大臣会見

中野大臣会見要旨

2025年1月31日(金) 8:32 ~ 8:47
衆議院本館 議員食堂
中野洋昌 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)埼玉県八潮市における道路陥没事故について

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
1月28日に埼玉県八潮(やしお)市で発生した道路陥没事故についてです。
事故に巻き込まれたドライバーの一刻も早い救助に向けて、救助作業のためのスロープの設置に着手するなど、現在も懸命に救助活動が進められています。
国土交通省としても、最大限の協力をしているところです。
現在、埼玉県においては、ドライバーの救出作業及び応急復旧作業のため、関係12市町の住民に対し、洗濯や風呂の使用を控えていただくよう要請がなされていますが、29日深夜より、陥没現場への汚水の流量を極力減らすため、国土交通省も技術的な協力を行いながら、上流にあるポンプ場から汚水の緊急放流を実施しています。
陥没現場に位置する損傷した雨水管からの雨水の流入を止めるための対策も実施されているところです。
また、復旧に向けては、救助が完了次第、すぐに応急復旧作業に着手できるよう、国土交通省からも専門家を派遣するなど必要な体制を構築し、関係機関が連携して準備を進めているところです。
国土交通省としても、まず人命救助に全力を尽くすとともに、1日も早く地域の皆さまが通常の生活に戻れるよう、埼玉県を始め地元の関係自治体としっかり連携し、必要な御要請や御要望があればしっかり対応させていただき、先日は石井(いしい)元国土交通大臣からも御要望いただいたところです。
しっかりと地元自治体とも連携し、速やかな復旧に向けて最大限取り組んでまいります。
加えて、このような事態を起こさないように、29日、全国の下水道管理者に対して、同様の箇所の緊急点検を要請したところです。
このような事故が起こったことを重く受け止めて、今後、事故原因の調査結果なども踏まえて、強靱な下水道の確保のために必要な対応をしっかりと検討・実施していく所存です。私からは以上です。

質疑応答

インフラの老朽化対策、国土強靱化について

(記者)

今回の事故はインフラの老朽化が原因とみられていますが、全国的にも老朽化が進み、事故は各地でも起きています。
インフラ老朽化の現状と今後の対策をお聞かせください。
また、老朽化に備えるために、国土強靱化の次期計画策定が進んでいますが、今後の策定のスケジュールを教えてください。

(大臣)

高度経済成長期以降に集中整備されたインフラは加速度的に老朽化しています。
建設後50年以上経過している施設が増加しているところです。
こうした中で、施設に不具合が生じる前に定期点検と対策を講じる「予防保全型」メンテナンスへの転換を進めてきました。
しかし、点検結果に基づく補修工事等が人的な制約、財政的な制約から、必ずしも十分には進んでいない課題があります。
このため、国土強靱化5か年加速化対策も活用して、一つは緊急度に応じて優先的・集中的に対策を実施する、そして複数自治体のインフラを「群」として捉えて管理する、「群マネ」と呼んでいますが、こうした取組、ロボットなどの導入促進等により、対策の的確な実施を推進しているところです。
また、先ほど申し上げたとおり、今般の八潮市の事案の原因調査なども踏まえて、必要な対応についても検討してまいります。
国土強靱化については、現行の5か年加速化対策後も必要な対策を着実に進めることができるように、現下の工事費の高騰等も勘案して、現行対策を上回る水準の事業規模で、そして本年6月を目途に実施中期計画を策定できるように調整を進めてまいります。

下水道の点検について

(記者)

大臣が今おっしゃられた八潮の件ですが、いろいろと各自治体の点検を進めるということですけれども、やはり自治体の方では、例えば地中のレーダーなどで点検している場合に、浅い部分しかできなくて、今回のような10mとかそういうところが分からないのではないかという声が聞かれていますが、この辺り、どういう風に今後支援されていかれますか。

(大臣)

平成27年、下水道法の改正におきまして、下水道の維持修繕基準を創設しました。
下水道管のうち、腐食のおそれのある箇所については、5年に1回以上の頻度で点検をする、しっかり点検をしていくという取組を進めていこうということで、やってきたということです。
他方で、国土交通省としては今回その中でこのような事故が起こったこともあります。
もちろん今救命中で、原因の究明等はこれから行っていくことですけれども、やはり今回こういう事案が起きたことは、いずれにしても非常に重く受け止めていますので、しっかりと今後の事故原因の調査結果等も踏まえて、必要な対策については検討・実施をしていかなければいけないと考えています。

北海道新幹線整備の現状について

(記者)

今週、北海道新幹線の整備の検討会議が開かれて、改めて今の工事が難航している旨伺っていますが、整備の現状をどのように認識しているかお伺いします。

(大臣)

北海道新幹線の整備の状況については、以前も申し上げましたけれども、昨年5月、建設主体である鉄道・運輸機構から、機構としては、2030年度末の完成・開業は極めて困難であると判断したという報告がありました。
この報告内容が合理的であるのか、あるいは何か講じることができる方策はないか、現在、有識者会議を開催しながら検討している現状で、有識者会議においては、難航するトンネル工事の工程をどのように見通すかということも含めて、科学的・技術的に御議論いただいています。
28日に開催された有識者会議においては、報告書骨子の案について御議論いただいた状況です。
そういう意味では着実に検討は進んでいるものと認識しています。
いずれにしても、沿線自治体からは、早期に開業時期の見通しを示すよう御要望いただいているので、国土交通省としては、まず有識者会議における議論を速やかに進めていきたいと思っています。

北海道新幹線札幌延伸工事による水枯れについて

(記者)

北海道新幹線関連でお伺いしたいのですが、札幌延伸工事区間の北海道黒松内町(くろまつないちょう)で川の水が枯れた問題について、新幹線のトンネル工事が原因だった可能性が高いと鉄道・運輸機構が地元に伝えていたことが分かったのですが、この新幹線工事による川枯れについての大臣の受け止めと、国土交通省としての今後の対応、他に同様の事例が起きていないのかどうか現状をお聞かせください。

(大臣)

北海道新幹線の建設主体である鉄道・運輸機構からは、内浦(うちうら)トンネルが通過する黒松内町を流れる(しゅ)(ぶと)(がわ)の支流において減水が生じており、利水者1件の方に対して応急対策を講じた上で、トンネル工事との因果関係を現在調査していると聞いています。
また、このほかですが、機構からは、ニセコトンネル付近の都築(つづき)(かわ)においても減水が生じており、利水者1件の方に対して応急対策を講じた上で、トンネル工事との因果関係を調査しているとの報告を受けています。
北海道新幹線札幌延伸工事が影響したおそれがある河川の減水は、現時点ではこの2件と聞いています。
国土交通省としては、必要に応じて適切な措置が取られるように、しっかりと鉄道・運輸機構を指導・監督していきたいと思います。

トラック・物流Gメンによる集中監視月間の実施結果について

(記者)

トラック・物流Gメンのことについてお伺いさせてください。
先日の集中監視月間を終えて勧告が2件となったことへの大臣の受け止めと、あわせてその他にも423件の働きかけがあったり、7件の要請の対象となった事業者もあったかと思うのですが、そういったところへの業界へのメッセージについてもお伺いさせてください。

(大臣)

昨日30日、NX(エヌエックス)NP(エヌピー)ロジスティクス株式会社及び株式会社吉野(よしの)工業所(こうぎょうしょ)に対して、トラック運送事業法に基づく「勧告」を実施し、その旨を公表したところです。
この両社については、令和5年末に、違反原因行為をしないよう「要請」を行ったところですが、昨年のトラック・物流Gメンによる「集中監視月間」において、違反原因行為である長時間荷待ちの情報が引き続き相当数寄せられたことから、今般、「勧告」を行ったところです。
今後については、改善に向けた計画を速やかに作成していただき、着実に取組をしていただきたいと思っています。
このほか、「集中監視月間」では、違反原因行為が疑われる荷主等に対して、423件の「働きかけ」と7件の「要請」を実施したところです。
我が国の物流が持続可能なものになるためには、この長時間の荷待ちや運賃・料金の不当な据置きといった、トラック運送業を取り巻く商慣行の見直しが喫緊の課題です。
今回、是正指導を受けた432の事業者においては、全社を挙げてこうしたことの改善に向けた取組を真摯に進めていただきたいと考えています。
国土交通省としても、是正指導を受けた各事業者に対して、トラック・物流Gメンによるフォローアップをしっかり継続をしていきたい、改善が図られない場合は更なる法的措置の実施も含めて、厳正に対処をするなど、引き続き、荷主等への監視を徹底していきたいと考えています。

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