大臣会見

中野大臣会見要旨

2025年2月7日(金) 9:01 ~ 9:26
国土交通省会見室
中野洋昌 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)「道路法等の一部を改正する法律案」の閣議決定について
      「港湾法等の一部を改正する法律案」の閣議決定について

(大臣)

本日の閣議案件で、私から1点報告があります。
本日の閣議で、国土交通省提出の2本の法律案、「道路法等の一部を改正する法律案」及び「港湾法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。令和6年能登半島地震では、人命救助・ライフラインの早期復旧・交通確保のための道路啓開の強化や、港湾を核とした緊急物資の海上輸送の重要性などが改めて確認されたところです。
また、道路・港湾の老朽化が進む中、維持管理を担う自治体では、技術系職員がいない市町村が全体の約4分の1を占めるなど担い手が減少しており、持続可能なインフラ管理が課題となっています。
さらに、気候変動に伴い自然災害が激甚化・頻発化する中、地球温暖化の影響を防止するための道路分野の脱炭素化の取組や、海水面上昇に対応した港湾の防護、再生可能エネルギーの導入促進も重要です。
こうした背景を踏まえて、まず、「道路法等の一部を改正する法律案」では、道路啓開計画の法定化や被災地へ出動可能なトイレコンテナ等の設置促進など、平時からの備えと初動対応の充実を図るほか、道路の点検・修繕等を自治体間で連携して行う制度の創設、道路分野の脱炭素化の推進を図るための措置などを講じます。
また、「港湾法等の一部を改正する法律案」では、災害時に海上からの緊急物資輸送を円滑に行うため、緊急物資等の輸送拠点としての港湾機能の確保を図るほか、国による港湾工事の代行制度の創設、海水面上昇等に対応した官民協働での備えの促進、洋上風力発電の基地港湾の円滑な利用調整を図るための措置などを講じます。
それぞれの法案について、後ほど資料を配付します。
詳細は事務方にお問い合わせください。

(大臣から)埼玉県八潮市における道路陥没事故について

(大臣)

このほか、私から1点報告があります。
埼玉県八潮(やしお)市の道路陥没事故を踏まえた有識者委員会の設置についてです。
現在、現場では懸命な救助活動が行われているところであり、国土交通省としても、引き続き、今後の応急復旧も含めて、最大限の協力を行ってまいります。
その上で、今後、下水道等の老朽化が更に進展することが見込まれることも踏まえて、今回の道路陥没事故のような事態を再び起こさないよう、再発防止策について速やかに検討を進めることが重要であると考えています。
このため、今回の事故を重く受け止めて、大規模な下水道の点検手法の見直しをはじめ、施設管理のあり方などについて検討するため、今般、有識者による委員会を設置することとしました。
国土交通省としては、今後、委員会での議論や埼玉県における事故原因の調査結果などを踏まえながら、国民の安心・安全を確保するため、必要な対応をしっかりと検討・実施していく所存です。
また、事故翌日に、同様の下水道管を有する7都府県13箇所・延長約500kmの下水道管理者に対して、緊急点検を要請し、本日までに報告いただくこととなっています。
この結果については、報告内容を早急にとりまとめ、公表したいと考えています。
詳細については事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

大雪による被害状況等について

(記者)

大雪となっていまして、月曜日には緊急な呼びかけも気象庁と一緒にやられたと思います。
いろいろな予防的な通行止め等あったと記憶しているのですが、実際、今週の被害の状況であったりとか、国土交通省の具体的な対応、またどれだけの呼びかけの効果があったかということをお願いします。

(大臣)

日本付近は、この冬一番の強い寒気が流れ込み、強い冬型の気圧配置となっています。
本州の日本海側や北海道では記録的な大雪となっている所があります。
今般の大雪に際して、国土交通省では、3日に緊急発表を行い、国民の皆さまに不要不急の外出を控えることなどの呼びかけや、交通事業者に対する注意喚起を行うほか、必要な体制を確保して、道路の除雪や予防的な通行止めなどの対応にあたっているところです。
これまでの降雪により、本日朝7時時点で、高速道路などの16路線28区間で通行止め、鉄道については6事業者14路線で運転見合わせ、航空便では2事業者32便が欠航など、交通への影響が生じていますが、現時点では大規模な車両滞留などは発生していない状況です。
このことについては、除雪や予防的な通行止めに加えて、国土交通省からの呼びかけや報道各社の皆さまによる大雪に対する警戒についての積極的な報道に対して、国民の皆さまが御理解と御協力をいただいた結果ではないかと考えています。
大雪については、9日(日)頃にかけてまだ続く見込みです。
引き続き、気象情報や交通情報の丁寧な提供に努めるなど、対応に万全を期していきたいと思います。
国民の皆さまにおかれましても、落雪や除雪作業中の事故、歩行中の転倒事故などに御注意いただくとともに、最新の気象情報や交通情報などに十分留意していただき、不要不急の外出を控えるなど、引き続き、御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。

春節期間における中国人観光客について

(記者)

春節休暇が終わったということですが、去年と比べて各地の観光地の、主に中国人の状況、まだ数字はまとまっていないと思いますが、どうだったかというところと、オーバーツーリズム対策として何か新しくでも、引き続きでもそうですし、国土交通省としてやられているのかお願いします。

(大臣)

今年の春節は1月28日に始まり、2月4日に終了したところですが、中国人観光客の状況ということで、まだ具体的な数字については把握できていませんが、中国現地の旅行業界からは、昨年の春節と比べて全体的に日本向けの旅行商品の売り上げは良く、特にゴールデンルートや北海道の旅行商品の売れ行きが好調であったと聞いています。
一方、御指摘の通りインバウンドが好調な現状において、一部の地域においては、過度の混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響等への懸念も生じているところです。
オーバーツーリズム対策ということで、例えば北海道の事例ですが、観光客が増加する期間の対策として、例えば小樽(おたる)港においては、風景を見下ろす事ができる景勝地である「船見坂(ふなみざか)」の周辺において警備員を配置する、美瑛町(びえいちょう)の人気撮影スポットである「クリスマスツリーの木」の周辺等での駐車禁止規制の実施など、各地でこうした対策が講じられていると承知しています。
国土交通省としては、インバウンド需要を地方へ誘客するための取組を進めると同時に、オーバーツーリズム対策として、一昨年、対策パッケージを取りまとめていますので、これに基づいて各地域の実情に応じた取組を引き続きしっかり支援していきたいと考えています。

北海道札幌市にある動物園の違法行為について

(記者)

北海道札幌市にある動物園のノースサファリサッポロという民間動物園が、開発が制限される市街化調整区域で許可を受けずに約20年無許可で営業を続けている問題についてお伺いします。
札幌市が都市計画法に基づく除却命令を検討しているという報道がなされており、都市計画法を所管している国土交通省として把握している事実関係と大臣のこの問題に対する受け止めをお願いします。
もう1点関連して、この動物園は、国道沿いの看板が道路法に違反する形で、営利目的で掲出されていることも分かっていまして、北海道開発局の撤去命令にも応じていないようですが、これについても大臣の受け止めと今後の対応について伺えますでしょうか。

(大臣)

基本的な制度としては、市街化調整区域に建築物を建築する場合は、都市計画法に基づく建築許可が必要となります。
札幌市によると、当該動物園においては、建築許可申請をせずに違法に建築物が建築されているということであり、こういう状態にあることは大変遺憾に私も思っています。
札幌市は運営会社に対して、複数回にわたって施設の除却について行政指導を行っているものの、未だ対応がなされておらず、都市計画法に基づく除却命令も視野に検討しているところだと伺っています。
開発許可制度そのものは自治事務ですので、具体的な運用は地方自治体に委ねられているところですが、開発許可権者である札幌市において、法令に基づき適切に運用していただきたいと考えているところです。
もう1点の看板の件ですが、当該動物園を案内する看板が、占用許可を受けずに直轄国道の区域内に設置されている状況であり、これも大変に遺憾であると思っています。
これまで北海道開発局から当該動物園に対しては、撤去を求める行政指導を複数回実施してきたところですけれども、昨日時点で看板の一部の撤去が開始されたとも伺っています。
引き続き、道路法令に基づき看板が全て撤去されるように適切に対応していきたいと思います。

埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえた有識者委員会について

(記者)

上下水道の老朽化の関連で2点御質問させていただきます。
事故を受けて注目が集まっていますが、老朽化対策を進める上で、料金の値上げなども考えると、国民の理解というのも重要だと思います。
議論を遡上に乗せていく上で、今回がどのようなタイミングですとか、危機感などの御認識や思いがあればお願いします。
もう1点、有識者会議では、点検の調査方法を見直されるということですが、より大きな上下水道全体の仕組みとして、料金の仕組みや地域の特性にあったインフラのあり方など、幅広い議論もされるのでしょうか。

(大臣)

私が発表した有識者委員会の委員やスケジュール、検討内容等々についてお話をさせていただくと、まだ委員や開催の日程や詳細な検討項目などについては、現在調整中のところです。
2月中の委員会の立ち上げを目指して調整を進めているところです。
また、全体的な受け止めや今後の幅広く議論を進めていくかという御質問もいただきましたけれども、前回の記者会見でもお話させていただきましたが、笹子トンネル事故等もあり、インフラの予防保全にしっかり努めていこうということで、下水道法も改正をして、維持管理をしっかりやっていこうと、そうした取組を進めている中で、今回の陥没事故が起きたことは私も非常に重く受け止めている、そういう思いを改めて思っています。
そのため1つは、今回の事故を再び起こさないように、再発防止策についてしっかり検討していかないといけないという強い危機感を持って、この有識者委員会を早急に立ち上げようと考えているのが1点です。
そしてもう1つは、上下水道などの強靱化をしっかりと進めていかないといけないという中で、これは今、国土強靱化中期計画というのも大きな計画として議論されているところですので、やはりこうした中にもしっかり上下水道の強靱化も含めて議論していく、そうしてこのインフラメンテナンスの強化を取り組んでいくという検討については、しっかりと対応していきたいと考えています。
 

(記者)

同じく下水道の有識者委員会のことですが、結論はいつ頃出す予定なのでしょうかということと、一部報道で国土交通省は自治体に義務付ける下水道管の定期点検の対象を拡大する方針だと、利用人口が多く破損時に影響が大きい都市部の主要管路も対象に追加することを検討するということが報じられていますが、この点についての大臣の御所見をお伺いします。

(大臣)

様々報道が今出ていることは私も承知をしています。
議論の内容についてはまだ現在調整中であり、特段決まったものはありませんので、しっかり委員会でよく御議論をいただきたいと思っています。
特に今回の事案について、事故原因の調査がこれから行われていくということもありますので、こうしたことも踏まえながら、しっかり検討していくことになろうかと考えています。

気象災害時における外出自粛の呼びかけ効果について

(記者)

大雪の関連でお聞きしたいのですが、大雪とか台風とかそうした気象災害で、不要不急の外出の自粛の呼びかけというのはずっと行われていて、最近は交通インフラも事前の計画運休とか道路の通行止めとかが定着してきたのですけれども、例えば会社員、働く皆さんはテレワークして良いとなかなか会社に言われなかったりして、かえって運休・通行止めで苦労しているとか、そういう指摘もあります。
皆さんとしては気象庁の呼びかけによる人流抑制の効果をどう見ていらっしゃるか、例えば調べていたりするのか、それから呼びかけだけではなかなか進まないという現状を今後どうしていったら良いとお考えか、教えてください。
 

(大臣)

確かに大変大事な視点だと思いますし、そうした様々なお声もまたしっかりとお伺いしながら対応を考えていくことになろうかと思いますが、いずれにしても、国土交通省から不要不急の外出を控える等の呼びかけを行わせていただいていますが、どの程度の効果をもたらしたのか、ということを定量的に分析するというのはなかなか難しいところもありますけれども、今回は現時点で大規模な車両の滞留などは発生していないということもあります。
このことについては、こうした呼びかけに対して、国民の皆さまからは少なからず御理解や御協力をいただけているのかなと考えています。
国民の皆さまが防災の対応がしっかりできる、それに資するように、いずれにしても適切な形の呼びかけに取り組んでいきたいと思います。
報道各社の皆さまも含めて、国民の皆さまには、引き続きの御理解と御協力をよろしくお願いしたいと考えています。

埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえた有識者委員会について

(記者)

大臣、冒頭御発言のありました下水道の八潮市の関係で1点補足で伺わせてください。
埼玉県においても独自に事故原因の調査等を今後進められることかと思いますけれども、国土交通省が設置される委員会の趣旨として、あくまで再発防止といったインフラメンテナンスというハウツーの部分を特化して議論されていくのか、あるいはこういった事故原因の調査ということにも一定程度何らか関わっていかれるのか、そこの趣旨について改めてもう一度伺わせてください。

(大臣)

今回の有識者委員会については、今回の事故をあくまで受け止めて、こうした大規模な下水道の点検手法の見直しや施設管理のあり方などについて、検討をしていこうというものです。
今回の事案の原因等については、埼玉県などで検討がなされると聞いていますので、我々としてはそうした状況も受け止めながら、今回こうした管理のあり方、老朽化の対策をしっかり検討していこうということです。

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