2025年2月14日(金) 9:00 ~ 9:31
国土交通省会見室
中野洋昌 大臣
(大臣から)埼玉県八潮市における道路陥没事故について
(大臣)
本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
何回か御質問いただいていた埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえた緊急点検等の結果についてです。
事故を受けて、陥没箇所と同様の大規模な下水道管を有する7都府県13箇所の流域下水道の管理者に対して、下水道管路施設に対する緊急点検と、路面下空洞調査を要請していましたが、本日、結果をとりまとめたところです。
緊急点検対象の下水道管路については、延長約420kmに存在するマンホール約1700箇所で点検が実施された結果、管路の腐食などの異状が3箇所で確認されたところです。
これらの箇所については、必要な対策を速やかに実施していただくように、施設管理者に要請したところです。
また、緊急点検対象の下水道管路が埋設されている道路で、路面下空洞調査が約320km実施されました。結果、下水道管路に起因する空洞の可能性がある箇所は確認されませんでした。
併せて、先日の会見において設置を発表した「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」について、第1回委員会を2月21日(金)に開催することとしました。
委員会では、下水道など大規模な道路陥没を引き起こす恐れのある地下管路を対象として、一つは重点的に点検を行う対象や頻度、技術など点検のあり方、もう一つは他の管理者とのリスク情報の共有等のあり方などについて御議論いただく予定としています。
国土交通省としては、今後、この検討委員会での御議論を踏まえて、国民の安全・安心を確保するために、必要な対策をしっかりと検討・実施してまいる所存です。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
私からは以上です。
(記者)
今の冒頭についての関連ですけれども、緊急点検を受けて、この後対象を広げて緊急点検をまたお願いするというようなことはお考えはありますか。
それから一昨日の記者会見で、上水道の千葉県の陥没についても、その時はまだ新たな要請はしてないということでしたが、上水道の方についても何か今後自治体の方に取組というか要請されていくお考えはありますか。
(大臣)
今回の緊急点検で、管路の異状が確認された箇所は3箇所あります。
それらについては今後施設管理者において、適切に修繕がなされると聞いています。
国土交通省としては、今後、検討委員会を設置するので、この御議論を踏まえて今回のような大規模な道路の陥没事故の防止に向けて必要な対応をしっかりと検討・実施していくということですので、更なる点検についても、今後の検討委員会での議論を踏まえて、必要に応じて対応を検討していきたいと考えています。
もう一つは、改めてですが、全国の水道管、上水道については令和4年度末時点で、管路延長が約74万kmですが、耐用年数を超過した管路延長は全体の約24%、約18万kmということであり、老朽化の進行が見込まれており、対策を進めることが必要だと考えています。
今月11日に千葉県大網白里市で水道管の漏水が発生したことも聞いています。
幸いにして人的な被害はなかったものの、直径約2m、深さ約1.8mの道路陥没も発生しました。
水道管は下水道と違うところもあり、目視による点検が困難なところもありますが、今回の水道管の漏水事故を受けて、今後の事故対策に役立てるため、千葉県の事案に関しては地元自治体に対して、事故の詳細についての報告を求めています。
併せて、全国の水道事業者等に対しても、事故が発生した場合に速やかに情報提供するよう通知を行ったところです。
国土交通省としては、今後とも、事故対策に役立つように、こうした事故事例に関する情報を各水道事業者等に共有していきたいと。
併せて、施設の点検・調査、それに基づく計画的な管路の更新については着実に進めていただきたいということで、水道事業者等が集まる会議等含めてあらゆる場面で求めていきたいと思っています。
なお、先ほどの検討委員会においては、下水道を先行して検討してまいりますが、水道も含めた大規模陥没を引き起こす恐れのある地下の管路も対象としていきたいと考えています。
(記者)
先週、国鉄の長期債務残高の新しい数字が公表されました。
年々額が少しずつ減ってはいるのですけれども、まだ15兆円を超えているということでして、私も実は昭和61年、62年と国鉄改革を直接取材したものですから、当時は非常に国民にツケを回すことが大きな問題だとして認識されていましたが、この今の現状について大臣どのようにお考えでしょうか。
(大臣)
国鉄改革については、当時約37.1兆円となっていた国鉄長期債務残高、これは国鉄清算事業団とJR4社等が承継したのが当時の経緯です。
このうち、国鉄清算事業団が承継した債務については、当時、株式市況の低迷等によって、株式の売却が順調に進まなかったこともあり、さらに平成10年に「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律」が成立して、一般会計に承継する形で整理されたのが経緯であると承知しています。
こうした承継時に一般会計の債務は約24兆円あったわけですが、令和5年度末で15兆715億円という数字で、これまで9兆円減少しています。
今後も着実に償還されていくものと承知しています。
こうした債務についての先ほどの御指摘もありましたが、やはり私は国鉄改革全体の議論の中での評価も必要かと思っていまして、こうした改革によって、JRによって鉄道サービスの向上等が図られてきているということもありますので、こうした長期債務のあり方については、こうした点も含めて評価をしていくべきものと感じています。
(記者)
福島第一原発事故の後の除染された土壌の利用についてお伺いします。
政府の方で、除染土壌の最終処分に向けて、福島県外での再生利用を進めるための関係閣僚会議が設置されたところだと思います。
今度、春頃になるかと思いますが、基本方針策定に向けて国土交通省に関連するところで言うと、道路地盤や盛り土といった使われ方が検討されていると承知しています。
国土交通省で考えている今後の取組や課題は何でしょうか。
大臣御自身のお考えや今後の考え方も併せてお伺いできればと思います。
(大臣)
中間貯蔵施設に保管中の除去土壌は、法律上、30年以内に福島県外で最終処分することになっています。
これを円滑に実施する観点から、除去土壌を再生利用して減容することは、私も大変重要な課題であると認識しています。
昨年12月に設置された閣僚会議の一員として、できる限りの協力をしていきたいと考えています。
これについては、現在、環境省において、除去土壌を再生利用する際の基準づくりが進められていると承知していますので、国土交通省としては、再生利用に係る基準の内容も踏まえて、そして、やはりこれは国民的な理解醸成が必要です。
これが進展していくことも考えながら、今後、再生利用の案件創出に向けた検討を進めていきたいと考えています。
(記者)
昨年11月にJR北海道の保線作業中に起きた問題についてお伺いします。
函館線の砂川駅で保安作業員が列車の見張り役を付けずに作業をして、接近中の貨物列車が非常停止した事案が起きましたが、さらにこの保安作業員が安全対策を怠ったことを隠すために、社内で虚偽の説明をするなどしていました。
JR北海道では2013年にもレール検査の改ざん問題が起きていますが、今回、安全輸送を担う鉄道会社でまた今回こうした問題が起きたことに対して国土交通大臣としての受け止めをお聞かせください。
また、北海道運輸局が12日と13日にこの問題についてJR北海道に臨時保安監査をしましたが、今後、改善指示や事業改善命令を出すのかどうか、今後の対応についてお聞かせください。
この2点お願いいたします。
(大臣)
昨年11月に発生したJR北海道函館線砂川駅構内での線路内作業時における待避不良については、JR北海道からは、作業に必要な見張員の配置等の必要な保安体制がとられていなかったこと、また、同事象に関しては、社内で虚偽の報告が行われていた旨の報告は受けているところです。
JR北海道に対しては、当該事象を検証して課題を抽出し、再発防止対策を検討することを北海道運輸局から指示をするとともに、一昨日、2月12日から保安監査を行い、安全管理体制などを確認しているのが現状です。
監査で確認された事柄については、現在、内容を精査しているところであり、今後の対応はその監査の結果を踏まえて、厳正に対処していきたいと考えています。
輸送の安全確保は鉄道事業者にとっては最も重要な使命であると考えていますので、国土交通省としては、引き続き、輸送の安全確保、再発防止の徹底について、事業者を適切に指導していきたいと考えています。
(記者)
緊急点検の結果に関してお伺いしたいのですが、3箇所はどこの都道府県になるかと、腐食の度合いはどのくらいのものなのか教えてください。
(大臣)
異状がありました3箇所については、いずれも埼玉県の新河岸川水循環センターに繋がる管路です。
具体の詳細については埼玉県にお問い合わせいただければと思います。
(事務方)
異状があった3箇所の具体的な内容ですが、1箇所が管路の破損、残りの2箇所はマンホールの内壁の腐食と聞いています。
これらについては、既に県の方で必要な対策を実施中であったり、それに向けて準備中と聞いています。
(記者)
緊急点検の結果の関係で1つ伺わせてください。
先ほど大臣から対策委員会の議論も含めた今後の取組についての意気込みを伺いましたが、今回、数は少ないとはいえ3箇所の管渠で異状が確認されたと。
一方、下水道付近の空洞は0箇所であったと。
今回のこの結果についての大臣の率直な受け止めを伺わせてください。
(大臣)
今回の点検については、今回の事故の下水管の半分程度の規模を対象として、あくまで緊急的に点検を行わせていただきました。
その中で管路の腐食などの異状が発見されたとのことですので、こうしたことは適切に修繕をしていかないといけないと思っています。
いずれにしても今後のあり方については、この緊急点検のあり方、そしてこれから開かれていく検討委員会でしっかりと御議論いただかないとと思っていますので、その結果を踏まえて必要な対応はとっていかなければならないというのが改めての思いです。
(記者)
質問は日本橋の再開発事業です。
国土交通省道路局は日本の表玄関だからちゃんとやるだということで莫大なお金をつぎ込んでいるわけです。
私このビルを毎月定点観測していて、スカイスクレーパー状態です。
空はありません。
52階建ての威容を誇るビルが建っていると。
再開発がだめだとは全く思いませんし、日本橋の東京駅側は確かに超高層ビルが林立しているのですが、中野大臣御案内のとおり日本橋の三越側ですよね、こちら側は三井さんが土地をたくさん持っていて再開発をやっているということですが、御案内のとおりあの辺は下町の街並みがまだ残っていて、情緒あふれるところであります。
日本の表玄関というのは超高層ビルが林立しているのが表玄関なのでしょうと国土交通省は思うのですが、その中で一つ長年問題視しているのが、「日本橋川の空を返せ」という運動が30年以上なされていて、その方々の思いを国土交通省が首尾よく認めて首都高速の高架を1km以上に渡って撤去すると。
まだ撤去始まっていませんが日本橋の真上はこれから撤去されるということです。
皆さんいらっしゃれば分かると思いますが、ビルがあまりにも高いので高架があってもなくてもあまり変わらないのではないかと私はずっと主張してきましたが、道路局は聞く耳を持たないということであります。
で、分かりました、高架を撤去してトンネルにするのですねと、検討会があって結果的には一番金のかかるトンネル化を国は選んだ。
その金の一部は東京都が都の財源で払う、三井不動産や野村不動産含めてデベロッパーたちの地権者、受益者たちが一定程度を払う。
残りはどこに払うの、トンネルと高架だと1000億円以上今どんどん物価が上がっているので最終的には大きなことは聞かないでよと言われていますが、莫大な金がかかる。
翻って八潮の件もそうですが、中野大臣の御専門ですが、インフラの維持・更新、これから山ほど金がかかる、いくら金があっても足りない状況が見えているのに、こういう無駄、僕からしたら無駄です。
スカイスクレーパーみたいなものを建てておいて、足元を見ると確かに高架があるのだけれども、それがどう景観にとって悪なのと、そこまで金を使う必要があるのかと。
ここの議論が実はなおざりになっていて、造りたい人、格好良くしたい人の思いだけで金をつぎ込む、国民の税金を何だと思っているのだと。
中野大臣は公明党の出身だし庶民の味方だというお立場だと思います。
日本の表玄関が超高層ビルが林立するのが日本の表玄関で、下町情緒なんてなくても良いのだと、その金は国には無いから首都高速利用者に払わせれば良いのだという考えで間違いないでしょうか。
(大臣)
いろいろな御指摘を今頂きましたが、一点踏まえないといけないのは、日本橋エリアのあり方については、今まで地域の皆さまも含めて様々な経緯があり、様々な議論もあったということはあろうかと思います。
昭和39年の東京オリンピックに合わせて緊急的に整備をされたところですので、老朽化が進んでいるということはあります。
他方、水辺の空間が消失し、都市の景観や快適さを損なうことになったということはあろうかと思います。
こうした中で、先ほど御指摘も頂きました高架橋を撤去して地下化等を含めた再生を目指すという提言も有識者から複数回頂いたということもありました。
また、地元の中央区からも地下化の協力については、責任を持って全力で取り組むという申し入れもあったかと思います。
そうした様々な議論の中で、この区間を含めた首都高速全体の大規模な更新計画を策定したという経緯もあります。
御指摘のように関係者と調整して、東京都であるとか再開発事業者であるとか、それぞれの費用負担を決定しました。
そういう上で日本橋区間の地下化事業に取り組んでいるのが一つあろうかと思います。
老朽化対策はいずれにしてもやっていかないといけないことはありますし、地下化をすることによって老朽化に加えて、耐震性についても向上が見込まれる意味では、利用者にとっても一定のメリットはあるのではないかと考えています。
いずれにしても、こうした地域の皆さまも含めいろいろな議論のあった計画です。
これは日本橋周辺の都市景観を再生することもありますし、地域の魅力を向上させるという、まちづくりと一体となって行っていくということもあろうかと思います。
そういう中でこういう地下化工事と併せて首都高全体の老朽化対策も行っていくことと考えています。
(記者)
補足になりますけれども、高架がトンネルに比べて耐震性が劣るということになると、日本中の高架を変えなければなりません。
それから神田川沿いでいくと、確かに日本橋の上は高架が走っていますが、同じ神田川沿いでいえば飯田橋も江戸川橋も同じように高架があるわけです。
やりたかったからやったということではないのですか。
それからおっしゃっているようにインフラの維持・更新に莫大な金がかかると。
7月8月もそうですし、年末もそうです。
各自治体の官僚の皆さんや議員さんが道路局詣をして、うちに道路をひいてよと、耐震化をやってよと。
大臣にお願いしたいのは日本中の人たちが、お金が欲しい、ここに何とかしてほしいと言っている中で、わざわざ日本橋を高架の補修・改修は良いと思っていて、僕は否定しませんでした。
わざわざトンネルにして、それで分かったと。
行ってください、日本橋に。
三越の方から超高層ビルが52階建て1年後に竣工して、開業・営業しますと。
コンクリートで固めた水辺ができるのですが、詭弁です。
官僚の話ではなくて、政治家としてそういうので良いのかというのを伺っているのですが、いかがでしょうか。
(大臣)
この計画、かなり歴史の長い計画であることは御承知のことかと思います。
国土交通省がこれをやりたいからやったのではないかとのお話もありましたが、様々な提言を頂き、そして地元からも申し入れも頂き、そうした街づくりと一体となって東京都、中央区含め様々やっていく中で決めた計画ということもあろうかと思います。
そういう中でいろいろな費用負担の議論もあったのは御承知の通りかと思いますので、そうした街づくり全体の議論の中でやっていく老朽化対策だということで私は理解していますし、利用者の皆さまにとっても御理解いただければと考えています。