大臣会見

中野大臣会見要旨

2025年3月18日(火) 8:46 ~ 9:10
国土交通省会見室
中野洋昌 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)令和6年度の予備費使用の閣議決定について

(大臣)

本日の閣議案件で、私から1点報告があります。
予備費使用の件です。
国土交通省関係の一般会計予備費として、総額615億円の使用を閣議決定しました。
予備費の内容は大きく2点あります。
1点目は、令和6年12月以降の大雪に伴う道路の除雪に関するものです。
この冬は、年末年始や2月上旬からの大雪などにより、各地で、平年を大幅に上回る積雪を記録し、平年より多くの道路除雪費が必要となっているところです。
このため、国土交通省では、地域の安全・安心な暮らしや、経済活動を支える道路交通を確保するための道路除雪に要する経費として、予備費471億円を計上しています。
この予備費に加えて、令和6年度当初予算を活用した追加配分も併せて、道路除雪費として地方公共団体に対して557億円を追加配分します。
これは、短期間で集中的な大雪が各地で発生したことや、人件費・燃料費などの高騰も踏まえて、過去最大の追加配分額となっているところです。
2点目は、昨日の総理指示を踏まえた埼玉県八潮(やしお)市での道路陥没事故に関するものです。
本年1月28日に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故について、事故に巻き込まれた運転手の方の一刻も早い救助や、下水道の早期復旧に向け、埼玉県による仮排水管の整備や破損した下水道本管の復旧工事等を支援します。
また、これは後ほど御説明しますが、下水道管路の全国特別重点調査を行うとともに、調査結果を踏まえた緊急改築を支援します。
これらの取組に必要な経費として、予備費から144億円を計上しています。
後ほどプレスリリースをします。詳細は事務方にお問い合わせください。

(大臣から)下水道管路の全国特別重点調査について

(大臣)

このほか、私から3点報告があります。
1点目は、先ほど申し上げた下水道管路の全国特別重点調査の実施についてです。
昨日、総理から、今回の道路陥没事故のような大規模な事故を防止するため、事故発生後直ちに実施した緊急的な点検、これに続いて予備費を活用して、全国特別重点調査を速やかに実施するようにとの御指示があったところです。
また、今回の道路陥没事故を踏まえて設置した有識者委員会において、調査の対象や方法、スケジュール等についてこれまで御議論いただいてきたところですが、昨日、提言としてとりまとめられたところです。
これらを踏まえて、今回の道路陥没事故と同様の事故を未然に防ぎ、国民の安全・安心が得られるよう、全国で、大口径かつ古い下水道管路を対象とした調査を行うこととし、本日この後、全国の地方公共団体に対して、速やかな調査の実施を要請することとしました。
具体的には、管の直径が2m以上かつ設置から30年以上経過している下水道管、延長約5000kmを対象として、速やかに全国調査を実施し、遅くとも1年以内を目途に報告を求めることとします。
さらに、社会的影響が大きく、大規模陥没が発生しやすい管路から優先度をつけて実施するために、この5000kmのうち、八潮市の道路陥没現場と類似の条件の箇所、構造的に腐食しやすい箇所などの1000km程度については、優先実施として特に速やかに調査を実施し、遅くとも夏頃までに報告を求めることとします。
また、調査の実施にあたっては、デジタル技術も活用し、調査方法を高度化しつつ、緊急度の判定基準を現行の点検より強化し、その結果に応じて対策を実施します。
この調査について、先ほど申し上げたとおり、本日閣議決定した予備費で地方公共団体を支援することとします。
事業実施主体である地方公共団体と調整をして、可能な限り速やかに対応をしてまいります。
詳細は後ほど事務方から説明させます。

(大臣から)観光立国推進閣僚会議について

(大臣)

2点目は、観光立国推進閣僚会議についてです。
本日の閣議前に、「観光立国推進閣僚会議」が開催されたところです。
本日の会議では、観光の現状と、令和5年3月に閣議決定された、観光立国推進基本計画における取組状況について、私や、関係大臣から報告を行ったところです。
また、これらの報告を踏まえて、総理からは、[1]地方観光の魅力向上や、航空ネットワーク・二次交通も含めた受入環境整備を進めるとともに、大阪・関西万博を契機にした、地方誘客のより一層の促進に取り組むこと、[2]観光産業のスマート化・高付加価値化や、オーバーツーリズムの未然防止・抑制等に取り組み、持続可能な観光を推進すること、[3]2030年訪日客数6000万人・消費額15兆円の高み、更には地方創生2.0の実現のために、必要な施策を盛り込んだ、新たな「観光立国推進基本計画」を来年度末までに策定することについて、御指示がありました。
国土交通省としては、観光が地域の社会・経済に好循環を生む「持続可能な観光地域づくり」を全国各地で推進し、観光立国の実現に向けて、政府一丸となって様々な取組を力強く進めてまいります。
詳細は事務方にお問い合わせください。

(大臣から)「TSUNAG(ツナグ)」の第1号認定と認定式の開催について

(大臣)

3点目は、「TSUNAG(ツナグ)」の第1号認定と認定式の開催についてです。
国土交通省では、「まちづくりGX」の一環として、昨年11月に施行された改正都市緑地法に基づき、優良緑地確保計画認定制度を創設し、愛称を「TSUNAG」としたところです。
この「TSUNAG」は、事業者の皆さまによる良質な緑地確保の取組に関する計画を、気候変動対策や生物多様性の確保、ウェルビーイングの向上といった観点から、国土交通大臣が評価し、認定するものです。
昨年11月に申請受付を開始し、本日、第1号となる14件を認定したところです。
来月25日には、認定式を開催します。
来年度については、4月1日から30日までを申請の受付期間としますので、良質な緑地の確保に取り組んでいる皆さまは、是非、「TSUNAG」認定の申請を御検討いただきたいと思います。
後ほどプレスリリースをします。詳細は事務方にお問い合わせください。私からは以上です。

質疑応答

地下鉄サリン事件から30年について

(記者)

地下鉄サリン事件から間もなく30年の節目を迎えます。
改めまして大臣の受け止めとこれまでの鉄道の安全確保の取組についてお聞かせください。

(大臣)

今週20日で地下鉄サリン事件の発生から30年となります。
改めて事件の非道さに対する怒りと深い悲しみを覚えます。
お亡くなりになられた方々の冥福を心からお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆さまに心よりの哀悼の意を表します。
また、長年にわたり後遺症に苦しんでいらっしゃる皆さまをはじめ、被害に遭われた全ての方々にお見舞いを申し上げる次第です。
公共交通機関として多くの方が御利用になる鉄道をターゲットとした卑劣なテロは断じて許さないという決意の下、国土交通省では、関係省庁や鉄道事業者と連携して、鉄道のテロ対策を強化しているところです。
具体的には、何点か申し上げると、関係省令における鉄道係員による手荷物の検査権限の明確化や、鉄軌道の車内の防犯カメラの設置の義務化、「鉄道テロの対応ガイドライン」の改正による危険品持込みに係る指導の強化、鉄道事業者による、警察などの関係機関と連携した合同訓練の実施、こうした取組を実施しているところです。
また、本年4月には大阪・関西万博の開催が予定されています。
より多くの鉄道の利用が見込まれることから、関係省庁と緊密に連携して、防犯カメラの効果的な活用や、駅員・警備員の巡回の強化、危険物探知犬の巡回等を実施し、ソフト・ハード両面で鉄道利用者の方々の安全確保の取組を特に強化していきたいと思います。
引き続き、国土交通省としては、これらの取組を着実に実施して、鉄道の安全・安心の確保に努めてまいる所存です。

日本郵便における運転者の飲酒事案について

(記者)

日本郵便の点呼の問題についてなのですけれども、その後の報道で去年の5月に神奈川県の郵便局で乗務前の点呼が行われず、その後飲酒運転に至った事例というのが明らかになりました。
日本郵便の方でも全国調査が進んでいると思うのですけれども、改めてその事実関係と、改めてその問題に対する所感をお願いします。

(大臣)

その報道については私も承知しているところです。
事実関係としては、昨年5月の日本郵便株式会社南関東支社戸塚(とつか)郵便局での飲酒運転事案については、事案の報告を受けて、所管の運輸支局より再発防止の徹底を指導して、その後、再発防止策の実施の報告を受けているというのが現状です。
受け止めですが、点呼というのは、運転者が疲労や酒気帯び等で安全な運転ができないおそれがないかなどを確認するという、これはまさに安全管理の要ですので、本事案を含めて、日本郵便株式会社の複数営業所において適切に点呼が実施されていないという事実が判明したとすれば、これは輸送の安全の確保を揺るがしかねないものであると考えています。
いずれにしても、国土交通省としては、日本郵便に対しては、今、事実関係を調査して、速やかに報告するよう求めているところですので、この事実関係を精査した上で、不備があれば厳正に対処していきたいと考えています。

北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の開業時期について

(記者)

北海道新幹線札幌延伸の開業時期についてお伺いします。
先週14日に有識者会議が開業時期について、2038年度末、場合によってはさらに数年単位で遅れるとの見通しを示しました。
目標だった2030年度末からの大幅遅れとなって、これほど遅れることは、これまで全国の整備新幹線事業を見ても異例なのではないかと思います。
見通しが甘かったのではないかとの指摘も聞かれますが、開業時期を決めた当時の判断が妥当だったのか大臣の見解をお聞かせください。
もう1点、新たな開業時期について沿線自治体から、戸惑いの声も多く聞かれ、北海道の鈴木(すずき)知事からは「にわかに受け入れがたい」とするコメントも出ています。
こういった声に対して、地元へどう説明していくのか、国土交通省の対応を改めてお聞かせください。

(大臣)

北海道新幹線(新函館(しんはこだて)北斗(ほくと)-札幌間)については、有識者会議において、科学的・技術的な御検討をいただいて、3月14日にその検討結果をとりまとめた報告書を森地(もりち)座長から受領したところです。
開業時期の見通しに関しては、この報告書の中で、2030年度末の完成・開業は困難との鉄道・運輸機構の報告内容は合理的であると考えられること、発現の蓋然性が高いリスクや採用可能な工程短縮策を前提とした場合、現時点では、完成・開業は概ね2038年度末頃となることが見込まれること、特に工程への影響が大きい更なるリスクが発現した場合、更に数年単位で遅れる可能性がある、とされているところです。
本事業について、沿線自治体等の関係者の皆さまの大変大きな期待がある中で、このような見通しが示されたことについては、私自身も重く受け止めているところです。
報告書の内容を踏まえて、私から鉄道局及び鉄道・運輸機構に対して、3点の指示を行いました。
1点目は今後の見通しについて、沿線自治体等の関係者に丁寧かつ速やかに説明を行うとともに、関係者の理解と協力を得るためにも、引き続き、工事の進捗状況やリスクの発現状況等について、随時情報共有すること。
2点目は、現時点の開業見通しには相当程度の不確実性が残るため、トンネルの貫通に一定の目途が立った段階で、改めて全体工程を精査すること。
3点目は、沿線自治体、営業主体であるJR北海道等の関係者と一丸となって、リスクの発現やその影響を最小限にしつつ、工程にも工夫を凝らして、一日も早い完成・開業を目指すこと。
この3点の指示を行ったところです。
早速、本日午後以降、鉄道局及び鉄道・運輸機構から、沿線自治体等の関係者に御説明する予定としています。
その際にも御地元の声をお聞きしたいと考えています。
国土交通省としては、関係者の理解と協力を得て、一丸となって、北海道新幹線の整備を着実に進めるように努めていきたいと考えています。

北陸新幹線(敦賀・新大阪間)事業への影響について

(記者)

先ほどの北海道新幹線の開業時期の遅れの質問に関連してですが、今回の開業時期の延期が北陸新幹線の全線開業のスケジュールにどのような影響があるのでしょうか。
特に整備新幹線の整備については毎年当初予算ベースで、北海道と北陸と九州の3区で計800億円くらい事業費が計上されていると思いますが、今回の北海道新幹線開業への遅れが北陸新幹線の事業費の配分にどのような影響を与えるのかお聞かせください。

(大臣)

まず、足元の令和7年度予算については、北海道新幹線が主たる事業ですので、令和7年度については特段の影響は無いのではないかと考えています。
その上で、北陸新幹線(敦賀(つるが)-新大阪間)については、これまで同様、今後の着工5条件の議論において、厳しい財政制約の下、そしてまた一日も早い開業を目指す観点から、適切な財源構成が検討されていくものであると考えています。
いずれにしても、国土交通省としては、いずれの線区についても、一日も早い全線開業に向けて、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでいきたいと考えています。

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