大臣会見

中野大臣会見要旨

2025年4月11日(金) 9:36 ~ 10:01
国土交通省会見室
中野洋昌 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)ネクスコ中日本管内で発生したETCシステム障害について

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
4月6日の未明に発生した、ネクスコ中日本管内におけるETCシステム障害に関連して、昨日、ネクスコ中日本の縄田(なわた)社長と面会しました。
縄田社長からは、利用者の皆さまに御迷惑をおかけしたことに対するお詫びとともに、ネクスコ中日本主導のもと、ネクスコ3社で有識者を含めた検討委員会を立ち上げる、そして、今回のような広域的なシステム障害に備えたマニュアルをまとめ、再発防止に努めたいという話がありました。
これに対して、私からは、スケジュール感ということで、4月中には、今回の事案の原因と当面の対策をまとめていただきたい、また、6月中を目処に、再発防止策や広域的なシステム障害への危機対応マニュアルなどをまとめていただきたい、そして国土交通省に報告していただきたいという形で指示をしたところです。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

米国政府による関税措置について

(記者)

アメリカの関税について引き続きお伺いしたいと思います。
先日国土交通省でも対策本部というものが持たれて、様々な洗い出しを進めていらっしゃるところと思いますが、現在のところ、特に大臣が危機感を感じているような、そういった所管の分野について改めてお伺いしたいと思います。

(大臣)

御指摘の通り、9日(水)に国土交通省国際政策推進本部を開催しました。
私から関係幹部に対しては2点指示をしました。
一つは、米国における関税措置を踏まえた国土交通省関係分野への影響の精査・分析です。
もう一つは、所管分野において米国に対してどのように対応していくべきかを幅広く検討をしてほしいという2点を指示したところです。
影響等ですが、既に国土交通省関係分野の企業や団体に対して、措置の受け止めや影響の見通し、対応の方向性、こうした聞き取りを行っているところです。
内容も現在精査中ですが、例えばの分野として、国際的な輸送需要の変動に伴うグローバルサプライチェーンへの影響があるのではないかということですとか、あるいは米国向けの建設機械の輸出について関税の増加による影響があるのではないか、こうした点などについて懸念が既に示されているところです。
まずは可能な限り速やかに内容の精査を進めてまいりますが、その結果も踏まえて、関係省庁ともしっかり連携して、米国による措置の見直しに向けて適切に対応していきたいという状況です。

米国通商代表部(USTR)の外国貿易障壁報告書について

(記者)

トランプ政権が主張する非関税障壁についてです。
USTR(米国通商代表部)が3月に公表した貿易障壁報告書で、日本の電気自動車の充電方式のチャデモについて「時代遅れの技術」などと批判しています。
また、高速道路上にチャデモの充電設備しか設置されていないことなどが、アメリカの車が日本で売れない原因だとも指摘しています。
こうした批判についての国土交通省の受け止めと、今後、チャデモがトランプ政権との交渉材料になることはあるのか、お考えをお願いします。

(大臣)

カーボンニュートラルを実現するという観点から、高速道路における急速EV充電器の設置の促進は重要であると考えています。
御指摘の、現在、高速道路会社が充電事業者の公募を行い、今選定された事業者、(株)イーモビリティパワーという会社ですが、こちらが高速道路の休憩施設の用地を占用して、充電器の設置を進めています。
ネクスコ3社が管理する高速道路においては、昨年度末までに849(くち)の充電器が設置されたと、現状そういう状況です。
これらの充電器は確かに全てチャデモ規格ですけれども、規格に関しては、高速道路会社が指定をしているものではなく、充電事業者により選定・設置がされているようになっています。
他方で、令和5年7月に公表された公正取引委員会の報告書では、これも少し言及があったかと思いますけれども、当初の公募により選定された一事業者が設置をしているのですけれども、一事業者によって設置され続ける状況は、事業者の創意工夫による多様なサービスが出現しづらく、複数の事業者からEV充電器設置者を選定することが、競争政策上は望ましいこれが公正取引委員会からの指摘であります。
これを受けて高速道路会社は、今後の充電事業者の公募に向けて、経済産業省などと検討を進めているところです。
規格については、これまでと同様、チャデモ規格に限定しない方針であるとも伺っています。
御質問の充電器の規格そのものについては、そしてこれは実は経済産業省の補助金の対象でもあり、テスラ社のNACS(ナックス)規格のみの充電器は補助金の支給対象外であるとも伺っていますけれども、こうした充電器の規格や補助金の支給条件については経済産業省が所管していますので、トランプ政権との交渉材料になるかどうかも含めて、国土交通省としてのコメントは差し控えさせていただければと思っています。
我々は、高速道路の利用者がいつでも快適にEV充電できる環境はしっかり目指していこうということで、関係機関とも連携して取組を進めていきたいと思っています。

路面電車の速度計について

(記者)

3月下旬に起きた熊本市電の衝突事故について再度お尋ねしたいのですけれども、現行の法令では速度計の設置というのが路面電車に義務付けられていませんが、これについて総務省が過去に路面電車の速度計の設置を実現するよう国土交通省側に要請していたということが判明しています。
これ10年以上前の話なのですが政府内でも現行制度に異論が出ている形ですけれども、なぜ現状、この制度が改められていないのかというのが1点。
また、専門家も当然だと思うのですが、速度計が設置されるのが当然だと指摘をしています。
あくまで現行制度の維持をしていくお考えなのか、改めてお尋ねしたいと思います。

(大臣)

1点目は平成20年2月に総務省の高知行政評価事務所から四国運輸局に対して、路面電車の速度計の設置を実現するようにという要請があったという事案だと承知しています。
当時の、なぜ変えなかったのかという御質問に対しては、先日も同じ御説明をしているのですけれども、路面電車においては、運転免許の試験において、速度や距離を認識する技能が備わっているかどうかをしっかり確認をすること、運転免許の取得後も車両の操縦を行う際に必要な知識及び技能が運転士に備わっていることを定期的に確認するという制度です。
こうしたことから、通知があった当時も、路面電車においては運転士の技能により安全を確保するということで、車両への速度計設置の義務付けをしなかったものと承知しています。
今後のことについては、繰り返しですけれども、まずは現在行っている臨時の保安監査で得られた情報等を踏まえて、熊本市交通局をまずは適切にしっかり指導するということと、運輸安全委員会での調査結果がこれからですので、これをしっかり踏まえて輸送の安全確保について必要な対応をとっていきたい。
先日の繰り返しの答えになりますが、そのように考えています。

米国政府による関税措置について

(記者)

関税の関係で、個別具体で何がカードになるのかお答えになれないというのは理解した上で、大臣の所感をお伺いできればと思うのですけれども、今回の交渉については要するに日本政府側からカードを切ろうにも相手が何を考えているかなかなか見えてこないと。
というのもUSTRの報告書は出ているのですけれども、しかしそれが今回の交渉のカードになるかどうかはなかなか分からないところだと思います。
韓国のように代償を払うだけ払って見返りが何も返ってこないということになればディールに負けてしまうことになります。
ディールの正面に立つのは赤澤(あかざわ)大臣になられると思うのですけれども、個別でどういうカードが切っていけるかという検討は国土交通省もされていくことになるのではないかと思います。
そういうディールの状況を踏まえた上で対応の難しさみたいなところの大臣の所感をお伺いできればと思います。

(大臣)

本日も閣僚会議がありまして、総理の方からもこうした関税に対する内容を精査・吟味してほしいとか、関係者と連携してアメリカ側の措置の見直しを求めるように働きかけていってほしいとか、当然国内産業対策ということもあります。
タスクフォースが設置されましたので、しっかり連携をして取り組んでいってほしいということも御指示もいただいたところです。
確かに米国政府の発表で言及されている、例えば非関税障壁等は具体的にどのようなものか明らかではないというのは、今までも私からも申し上げていまして、この点については特段のコメントは今まで差し控えてきているというのが現状ですが、総理の御指示もありますので、タスクフォースと連携をした取組というのをしっかりやっていきたいというのが今の所感です。

ネクスコ中日本管内で発生したETCシステム障害について

(記者)

ETCの障害の関係でお尋ねなのですが、今後、高速会社の方で有識者会議と再発防止策をまとめていくということなのですが、今回の件で広範囲のシステム障害に備えたマニュアルというものがなくて、各社についても大規模なシステム障害に対する対応策がまとめられていなかったということなのですが、これについてはなぜ今まで作っていなかったのかという点。
これは高速会社側がなぜ作っていなかったのかという点と、国土交通省もそれに対して作るようにこれまで特に指導などをされてこなかったのかどうか、されていなかったらそれはなぜなのか。
高速道路会社側と国土交通省側のこれまで対応のことについて、それはなぜなのかという点を教えてください。

(大臣)

確かに広域的なETCシステム障害というところが、災害等様々な料金所のBCPとかそういうものがある中で、そうした事態がなかなか想定されていなかったというのが現状ではあるのかなと思っています。
それは私も大変に大きな課題だと受け止めていまして、そういう意味では当面の対策も含めてできるだけ速やかな対応をしっかり求めたところです。
いずれにしても、今回の障害の中で様々な課題があったと思います。
料金所の運用もそうですし、料金の徴収の方法もそうだと思います。
復旧作業についてのこと等々も含めて、いろんな課題があったと認識していますので、やはり高速道路の利用者の方への影響が最小限に抑えられるようにしないといけないという思いを持っていますので、改めてそういう意味ではしっかりと有識者を含めた検討委員会というところで早急に検討していただきたいと思っていますし、その旨も昨日指示をしたところです。

(記者)

今のETCの件に関連してですが、今大臣、今回、課題として「料金所の運用もそうだし徴収の方法もそうだったと思う」とおっしゃったのですけれども、実際、無料開放したのが障害が起きてからかなり時間が経っていてからだったりとか、後からWEBで後払いしてくださいということに関しても、ネットとかで利用者の方から不満が挙がっています。
これらの対応について、大臣としてはどうお考えでしょうか。

(大臣)

今回のケースに大変多くの御批判があるということは承知していますし、しっかりそれを受けて止めて対応する必要はあると思います。
今回は、システム障害が発生した料金所において、現金車の方は料金を支払っていただいて通っていたという状況です。
ETC車の方はWEB払いに変更する形で通っていただくという運用であった。
現状、そういう運用で今回対応したということです。
そういう意味では様々な御批判はあります。
ネクスコ中日本においてもやはり利用者の御理解がしっかり得られるように、丁寧に対応していただく必要があるとしっかりと考えていますし、そのように指導もしてきたいと思っています。

(記者)

後払いの部分なのですけれども、こういう事態で完全にETC側の障害であったり、ネクスコ側の過失にも関わらず、料金を後払いでも良いからとにかく払ってという要請というか、そういう仕組みになっているとネクスコ側は言っているのですけれども、これに関してはどう捉えていらっしゃるのか。

(大臣)

約款上の取扱いがどうなっているかと言うと、賠償になる原因は何なのかという中で、瑕疵がある時ということです。
これについては、一般的には道路構造物の損傷等の物理的な瑕疵を想定して、約款上は賠償を、という項目があると聞いています。
現在、様々原因究明も進めているのですけれども、やはり広域的なシステム障害時の料金の取扱いについて明確な規定がないということも課題だと認識しています。
そういう意味では今回、広域的なシステム障害時の対応マニュアルを早く作成するようにと指示をしたわけですけれども、こうした有識者委員会での議論の中では、料金の取扱いですとか、こうした瑕疵に対する考え方も含めてしっかり整理をしていくものだと考えています。

(記者)

今のお話に関連してなのですけれども、供用約款の中に、道路構造物に限る、システム障害は免責である、という表現はありません。
システム障害というのは高速道路会社の瑕疵ではないと、現在大臣もお考えでしょうか。

(大臣)

今の約款の賠償上の原因となる瑕疵として想定されているものが、道路構造物等の損傷等の物理的な瑕疵だということで聞いています。
こうした取扱い等も含めて有識者委員会でしっかり議論をしていただくということですけれども、詳細については事務方からも説明をお願いします。

(事務方)

現状、ネクスコ中日本の約款においては、瑕疵について具体的にどういうものというのは、明確には書いていないところですが、ネクスコからは道路構造物の損傷等の物理的な瑕疵を想定して規定したものと聞いています。

(記者)

混乱を避けるためにもう一度お伺いします。
(会社の責任)第10条の3には、瑕疵が無い場合を例示していますけれども、この中にシステム障害は入っていません。
どのようにお考えでしょうか。

(事務方)

約款上は、おっしゃるとおり、明確にシステム障害が除かれるという書き方はしていませんが、繰り返しになりますけれども、ネクスコが当初想定しているものは道路構造物等の損傷等の物理的な瑕疵ということです。
現在、原因究明を進めているところですが、この具体的な取扱いについては、今後の有識者の検討委員会の中で、これも含めて議論されていくものと承知しています。
 

日本航空123便の御巣鷹山墜落事故について

(記者)

今年で40年になる日本航空の墜落事故に関連してなのですけれども、昨日10日の参議院外交防衛委員会で、この日航機墜落事故が自衛隊機の撃墜によるものだという情報が、言説が流布していることについて、中谷(なかたに)防衛大臣が「対応する」と述べられました。
国土交通省もかねて、事故調査報告書が難しすぎるという批判を受けたので、平成23年には解説書まで作ったり、理解促進には努められてきた立場だと思います。
こういう情勢を受けて、国土交通省としてもまた何か、理解促進であるとか、啓発ということに取り組まれるようなお考えがあるか、この点について伺いたいと思います。

(大臣)

日本航空123便事故の事故原因ということで、昨日の参議院外交防衛委員会には高橋(たかはし)国土交通副大臣も出席しました。
この航空事故報告書においては、後部圧力隔壁(かくへき)の不適切な修理に起因し、後部圧力隔壁が損壊したことにより、胴体後部、垂直尾翼(びよく)、操縦系統が損壊し、飛行性能の低下と主操縦機能の喪失をきたしたために生じたものと推定される、ということを答弁しました。
事故原因については様々な角度から、調査・解析を行った上で、専門家による審議の上、ほぼ間違いないとの結論に至ったため、強い推定を示す「推定される」という表現を使用している、というところも答弁しました。
中谷防衛大臣もおっしゃっていたのですけれども、やはり国会ですとか、会見の場などを通じて、政府として責任ある立場にある者が、しっかり正確な情報を発信していくことが非常に重要だと思いますので、そういう意味では先ほど、この航空事故報告書の中身についても少し申し上げたところではありますが、しっかりと正確な情報を発信していきたいと思っています。

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