2025年4月22日(火) 8:47 ~ 8:59
国土交通省会見室
中野洋昌 大臣
(大臣)
本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
(記者)
神戸空港のことを伺いたいと思います。
18日(金)に国際チャーター便が就航しました。
滑り出しは好調のようです。
今後、5年後に国際定期便の運航ということも見据えているようですが、まずこの滑り出しをどう御覧になっているかということと、今後の期待について伺いたいと思います。
(大臣)
神戸空港については、関西空域の飛行経路の見直しによって、先週18日(金)から、東アジア5都市に国際チャーター便が就航したところです。
神戸空港の国際チャーター便は、我が国のインバウンドの約4分の1が利用する関西空港を補完して、特に神戸市以西の新たな需要を開拓していく役割が期待されていると承知しています。
御指摘のとおり2030年前後には、1日の最大発着回数40回を限度に国際定期便の就航が可能になると承知していますので、国土交通省としては、こうした神戸空港の活用によって、先日2025年大阪・関西万博も開幕しましたので、この万博とも相まって、旺盛なインバウンド需要を取り込み、地域の活性化にしっかりと結び付けていただくことを期待しています。
(記者)
北海道知床沖の小型観光船沈没事故の件でお伺いします。
明日(23日)で事故から3年ということで、遺族からは今も事故を防げなかった国の監査や検査体制の責任を問う声が、今も聞かれる状況でして、こうした声に今後どう向き合っていくのか大臣のお考えをお聞かせください。
あわせて、国土交通省の方では多くの再発防止策を既に実施済みかと思われますが、事業者からは観光業との両立で負担が重くなったという声も聞かれます。
こうした制度の浸透と着実な実施に向けて、制度の実効性をどう高めていくか、この点もお聞かせください。
(大臣)
明日23日(水)に知床遊覧船事故の発生から丸3年ということです。
改めて、事故でお亡くなりになられた方々に対して、心よりお悔やみ申し上げます。
また、御家族の皆さまに心からお見舞いを申し上げる次第です。
国土交通省としては、このような痛ましい事故が二度と起きることがないように、旅客船の安全・安心対策に取り組んでまいりました。
御指摘の再発防止策、今66項目あります。その大部分が実施中または実施済みであるという状況です。
特に、監査や検査の体制ということでお話がありましたが、監査については、研修の充実による監査能力の向上、そして監査体制の強化を図るとともに、今、抜き打ち監査も実施しています。
また、通報窓口の設置等の対応を進めています。
例えば昨年のJR九州高速船の違反事案は、この対策の一環である抜き打ち監査を通じて確認されたものです。
また検査について、特に小型船舶の検査については、日本小型船舶検査機構(JCI)において、検査員への「安全第一の意識改革」の徹底や、旅客船検査担当部署の設置など、検査体制の強化の取組を集中的に実施してきたところです。
国土交通省としても、引き続き、JCIに対して適切に指導・助言を行い、検査業務の更なる実効性の確保を図っていきたいと思います。
そのほか、事故を受けた改正海上運送法を含めた対策内容については、説明会の開催等を通じて全国の事業者への周知徹底を図っています。
最後に全体的な受け止めということで、船舶の安全運航については運航事業者にとって最も基本的であり、そして最も重要な使命であると考えています。
私をはじめ、関係職員が一丸となって、旅客船の安全確保に向けて、強い決意を持って取り組んでいきたいと考えています。
(記者)
知床の関連で慰霊碑の設置について伺います。
遺族側の中には事故の記憶などを残すために斜里町の道の駅の方に慰霊碑を作りたいと希望する声もあります。
一方で斜里町側も設置について理解は示しつつも、なかなか設置場所については慎重な姿勢を崩していません。
なかなか議論が進んでいない状況になっています。
過去には軽井沢のバス事故の時も慰霊碑の設置などに関して、国が支援した事例もありました。
今回議論になっているのは道の駅は一部国有地になっている部分もあります。
こういったことも受けて今後、国土交通省が行司役となって積極的に慰霊碑の設置に関して取り組んでほしいという声も遺族からあるのですけれども、大臣の所感と今後の取組について教えてください。
(大臣)
軽井沢の事例のところで少し事実関係を補足させていただきますと、平成28年1月の軽井沢のスキーバス事故の際は、被害者の御家族から事故現場近くの国道に歩道部分を拡幅して慰霊碑を建立したいとの御要望があったということでして、国土交通省ではこれを受けて必要な検討を行いまして、歩道の拡幅は道路事業で行い、慰霊碑については道路占用の許可を出すということで、御遺族が占用許可を受けて建立をされたという状況です。
知床の遊覧船事故についても、国土交通省でも被害者の御家族と定期的に連絡会を開催しまして、御家族の御要望をしっかり伺って、できる限り支援をしていきたいと考えています。
慰霊碑については、本年1月開催の御家族との連絡会において、「道の駅うとろ・シリエトク」周辺に建立したいという御要望をお伺いしまして、国土交通省では、周辺の土地の管理者の情報を提供させていただきました。
本年2月の連絡会では、明日(23日)、被害者追悼式がありますので、その際に御家族が道の駅の周辺の現場を確認される御意向であるということを伺っています。
国土交通省としては、被害者の支援の観点から、御家族による現地確認の後の最新の御要望も丁寧にお伺いして、現地関係者とも我々が積極的に連絡調整も行わせていただき、できる限りの支援をしていきたいと考えています。
(記者)
対米交渉についてお願いします。
トランプ大統領が昨日、自身のSNSで非関税障壁として日本の「ボウリングボール試験」を名指ししています。
こういった試験はあるのかの事実関係と、あわせて対米交渉で自動車分野の非関税障壁について検討状況を教えてください。
(大臣)
御指摘のトランプ米国大統領のSNSにおける発信は承知しています。
発信の逐一に国土交通省としてコメントすることは差し控えさせていただければと思いますが、事実関係として申し上げますと、まず日本が採用している国連で策定された基準があります。
これにおいて、歩行者の頭部を保護するための基準として、頭部を模擬したダミーをボンネットにぶつける試験があります。
これにより、ボンネットが衝撃を吸収する性能を満たしているかどうかを確認している試験というのが事実関係です。
これは国連で策定された基準であるということです。
非関税障壁の具体的な検討状況については、つまびらかにすることは差し控えさせていただければと思いますが、いずれにしても、米国の関税措置への対応については、関係省庁と密接に協力をしてしっかり取り組んでいきたいと考えています。