2025年5月27日(火) 10:21 ~ 10:45
国土交通省会見室
中野洋昌 大臣
(大臣から)法定白書(水循環・首都圏・土地・観光・交通政策)について
(大臣)
本日の閣議案件で、私から2点報告があります。
1点目は、本日の閣議で、令和7年版の「水循環白書」、「首都圏白書」、「土地白書」、「観光白書」、「交通政策白書」の5つの白書が閣議決定されました。
これらの白書は、それぞれの関連法令に基づいて、政府から国会に対して報告しているものです。
詳細は事務方にお問い合わせください。
(大臣)
2点目は、本日の閣議で、成田国際空港株式会社ほか2社の代表権を有する社長の人事について、御了解いただいたところです。
これらの人事は、正式には6月に開催される各社の株主総会及び取締役会で決定される予定で、国土交通大臣が認可することになります。
詳細は事務方にお問い合わせください。私からは以上です。
(記者)
先日、トランプ関税に関する第3回閣僚級協議が行われましたが、国土交通省関連の議論の進捗について教えてください。
また、一部報道では、日米の自動車安全基準の相互認証の案が報じられていますが、歩行者保護を重視した日本の安全基準から譲歩する可能性があるのか改めて教えてください。
(大臣)
米国時間23日(金)、米国の関税措置に関する日米協議のために米国・ワシントンDCを訪問した赤澤経済再生担当大臣は、ラトニック商務長官との間で、その後、グリア米国通商代表との間で、それぞれ会談を行ったと聞いています。
その中で、可能な限り早期に、日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう、双方の立場の一致に向けて更に調整を加速していくことを確認したと承知しています。
これ以上の議論の詳細や、今後の対応についての具体的な検討状況をつまびらかにすることは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、日本の国民の安全を損なわないことを前提に、何が日本の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのかを考えながら、引き続き、関係省庁と連携して、政府一丸となって、関税措置への対応については最優先かつ全力で取り組んでいきたいと思います。
(記者)
JR北海道に対して本日から「強化型保安監査体制」を適用しての臨時監査に着手していると思います。
JR北海道については、北海道運輸局が3月31日に輸送の安全確保について改善を指示したところですが、その後も安全規定の違反やヒューマンエラーに起因すると見られる事故が相次いでいます。
JR北海道へのこれまでの監査や指導が実効性を確保できているかどうかという観点から、大臣のお考えをお聞かせください。
(大臣)
JR北海道においては、昨年来、例えば必要な手続きをとらずに線路内に立ち入り作業を行い、それについて虚偽報告を行っていたことや、脱線現場付近の安全確認が不十分な状況で、対向列車を通過させたことなど、安全に関する不適切な事象が続いていると承知しています。
こうした事象が発生する度に、国土交通省では、JR北海道に対して、それぞれの事象に応じ、原因究明及び再発防止策の検討を指示し、鉄道輸送の安全確保に向けて適切に指導してきたところです。
また、本年2月及び3月には、JR北海道に対して北海道運輸局が保安監査を実施の上、本社及び現業部門の管理体制の見直しを図ること、社内のコンプライアンス及び安全意識の再徹底を図ることなどの改善を指示したところです。
しかし、JR北海道においては、4月末に国土交通省に対し、安全に関する不適切な事象について改善対策の取組を報告していますが、この報告以降も、同種事象や負傷者が生じる事故が発生したところです。
このため、国土交通省としては、本省鉄道局及び北海道運輸局において、JR北海道に対し、継続的・集中的に保安監査を行う「強化型保安監査体制」において、改善対策の取組状況をしっかり確認させていただくということです。
鉄道輸送の安全を確保すべく、JR北海道に対しては、引き続き必要な指導を行ってまいります。
詳細は鉄道局にお尋ねいただければと思います。
マンションの建替え促進について
マンション管理会社等による不正について
(記者)
23日(金)に成立したマンションの関連法案について二つ御質問がありまして、一つ目が区分所有法の成立を受けて、マンションの建て替えの要件の緩和がされると思うのですけれども、このことによってマンション建て替えがどう加速するか、見立てをお聞きしたい。
法改正後も結局、資金不足とかそういったような課題は依然残っている中での見立てをお聞きしたいというのがまず1点目。
2点目が、マンションの適正管理を巡って、管理会社の着服とか修繕工事関連の談合疑惑というものも取り沙汰されています。
こうした事態に対してどのように対応されていくのか、方針をお聞かせください。
(大臣)
今国会に提出させていただいたマンション関係法の改正法案については、5月23日に可決・成立しました。
建物と区分所有者の「二つの老い」が進行する中で、国土交通省としては、マンションの新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、管理と再生の円滑化を図っていきたいと考えています。
そのためには、関係者の合意形成の促進と、資金不足などの課題という御指摘もありましたが、保留床の確保等による負担の軽減に取り組むことが重要であると考えています。
このため、本改正法においては、例えば、一棟リノベ-ション等を多数決決議で行うことや、隣接地の権利を再生後マンションの区分所有権に変換すること、などを可能とするとともに、資金不足などの課題も踏まえて、一棟リノベーションの実施等による予算支援や、住宅金融支援機構による融資、などの支援を総合的に実施することとしています。
これらの取組により、マンションの再生等の件数を、施行後5年間で、累計1000件まで増加させることを目標に、引き続き、関係者とも緊密に連携し、円滑な再生に向けた取組を着実に進めていきたいと思います。
もう一つの着服や談合疑惑ということですが、マンション管理業者による着服や修繕工事の談合は、マンションの居住者の信頼を裏切るものであり、あってはならないことだと考えています。
マンション管理業者による着服については、これまでも国土交通省として内容を把握した事案に対し、マンション管理適正化法に基づき、管理業者への処分等を適切に行ってきているところですので、区分所有者の財産が守られるように、引き続き、法令に基づいて適切に対応してまいります。
また、談合事案についても、個々の事案に対して厳正に対処するとともに、建設業法に基づく監督処分の基準においては、営業停止の処分期間を加重するなどの措置を講じてきたほか、業界団体に対して、コンプライアンスの徹底等を累次要請してきているところです。
現在、公正取引委員会において、その背景や手法等を含めてまさに調査を今進めているところでして、国土交通省としては、調査の進展、実態の解明を見守りつつ、その結果を踏まえ、厳正に対処するとともに、コンプライアンスの更なる徹底を図っていきたいと思います。
なお、この談合の件は既に報道もされており、管理組合や区分所有者の間に不安が広がることも懸念されますので、3月に関係団体に通知を発出し、大規模修繕工事の発注等に関する相談窓口や見積りチェックサービスの活用などについて、管理組合に改めて周知するよう依頼するなど、丁寧な情報提供や支援に取り組んでいるところですので、今後とも、マンション居住者の皆さまが安心して住み続けることができるように、適切なマンションの維持管理に取り組んでいきたいと思います。
(記者)
鉄道のあり方ついてお伺いします。
2路線についてお伺いしたいのですが、まず一つが芸備線ですが、先週、一部区間で増便の実証実験を7月からするということを再構築協議会で決められています。
まずこの事業への受け止めをお聞かせ願いたいのと、この事業の経済効果をもって存廃の判断材料にするということですけれども、その判断の目安なりをどう設定されているのかお聞かせください。
(大臣)
JR芸備線については、地域交通法に基づいて国が設置した「芸備線再構築協議会」において、そのあり方の議論が進められていますが、先日、その幹事会で芸備線の増便等の実証事業を行うことが承認されたと承知しています。
この実証事業の実施は、客観的なファクトとデータに基づいた分析に基づく議論を進めていく上で有用であると考えていますが、この存廃について具体的な数値等の判断基準を設けることとはしていません。
協議会においては、実証事業の結果も含めて、まちづくり、観光振興等の多面的な観点から総合的にJR芸備線のあり方を議論していくものと考えています。
(記者)
もう一路線が山口の美祢線なのですけれども、美祢線の災害からの復旧についての問題で、先般、JR西日本が地元の協議会で正式にBRTが適当であるというふうな考え方を示されました。
この点についての受け止めをお伺いしたいです。
(大臣)
豪雨災害によって運休が続くJR美祢線については、地域で設置された「JR美祢線利用促進協議会」において復旧のあり方の議論が進められてきました。
先週22日(木)に開催された総会において、鉄道と鉄道以外のモードでの復旧の比較等が示され、その際、JR西日本からBRTでの復旧が望ましいとの意見があったと承知しています。
このJR美祢線の復旧のあり方については、今回の総会での報告の内容も踏まえて、引き続き、地域において議論を深めていくと聞いており、建設的な議論を通じて関係者の合意形成が図られることを期待しているところです。
国土交通省としては、利便性や持続可能性の高い地域公共交通の実現に向けて、地域における議論を後押しするために、必要な支援や助言等を行っていきたいと考えています。
(記者)
交通政策白書の内容についてお尋ねします。
リニア中央新幹線の整備に関しまして、国土交通省として静岡県とJR東海との対話を一層促すという記述がありますけれども、その一方で、昨年は記載がありました「品川・名古屋間の1日も早い開業を目指す」という文言が今回の白書には載っていないようなのですけれども、これは国としての何か方針に変更があるのかどうなのか、その辺の背景をお聞かせください。
(大臣)
リニア中央新幹線の品川-名古屋間については、「モニタリング会議」を通じて、事業主体であるJR東海の対話状況を継続的に確認するとともに、引き続き、静岡県とJR東海の協議に国土交通省も入って一層の対話を促すことで、一日も早い開業に向けた環境整備を進めているところです。
御指摘の令和7年度の交通政策白書におけるリニア中央新幹線に関する記載については、こうした、昨年度からの取組の進展に伴って、「令和7年度に講じようとする施策」をより充実した記載にしたものであり、国土交通省としての方針については、何ら変わるものではないということですので、国土交通省としては、引き続き、沿線自治体と連携しながら、品川-名古屋間の一日も早い開業に向けて、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
(記者)
ちょうど人事も出たのですけれども、人事はあくまで適材適所ということだと思うのですが、特に成田空港については先日本格着工したということで、一つの節目、これから新しい事業に入っていくということなのですが、これまで、現田村社長の下で進められてきた機能強化の取組への御所見、あとは今後の藤井新社長の下でどのような更なる機能強化、新しい成田空港構想について期待をされているかという点。
これはもしかしたら空港会社の人事になるかもしれないのですが、田村現社長の次の人事、例えば社内に残るですとか、あるいはその辺りがもし現時点で分かっていることがありましたら教えてください。
(大臣)
成田国際空港の人事の今回の所感ということでお話しさせていただきますと、本日の閣議で3社の社長候補者の御了解をいただいたのですけれども、これは実績や経験、手腕がそれぞれの会社において評価をされて経営トップとして適任であると判断をされたと承知しています。
成田国際空港で申し上げると、田村明比古氏が本年6月の株主総会終結時に任期満了をもって退任し、藤井直樹氏が代表取締役社長に就任をするということが本日の閣議で了解をされました。
藤井氏は国土交通事務次官をはじめとする要職を歴任していまして、成田国際空港の運営及び成田国際空港株式会社の経営を戦略的に推進していく上で、同氏の知見、能力が必要であるという評価をされまして、経営トップとして適任であると判断をされたものと承知しています。
新たな体制の下で成田国際空港株式会社の経営の健全性の確保と持続的な成長、そして競争力向上に向けて指導力を発揮されることを期待しています。
その他の人事については特に私の方で承知はしていません。
(記者)
JR北海道の保安監査の関連でお伺いできればと思います。
JR北海道では10年ほど前にレールの検査データ改ざん問題などもあって、今回また安全面でもトラブルが繰り返されたということに関する大臣の所見と、トラブルが続く背景に何があるのかと大臣はお考えになっているのかお聞かせいただければと思います。
(大臣)
繰り返しになりますが、安全に関する不適切な事象が続いているということで、当然安全の確保というのは公共交通事業者として最も重要ですので、今回いわゆる強化型の保安監査を行うところです。
いずれにしてもこの「強化型保安監査体制」において、4月末に報告された改善対策が確実に実行されるように取組状況をしっかりと確認したいと思いますし、これからの保安監査で、トラブルが相次いでいるではないかという御指摘もありますので、そうしたことも含めて調査をしていきたいと考えています。
(記者)
日本航空が提案しているAGPに対する株式非公開化について、昨日(26日)、AGPの社長が会見で反対を表明しました。
駐機中の飛行機に対する電力供給であるとか、公共性が高い事業を行うAGPの経営を巡る混乱について、受け止めと今後の対応、こういう対応であってほしいという期待の声などを伺えればと思います。
(大臣)
昨日(26日)、航空機へ電力や空調を提供している株式会社AGPが、記者会見を実施して、日本航空株式会社が提案をする株式の非公開化に反対する旨を表明されたということは私も承知しています。
本件は、民間企業同士の経営に関する事案と考えていますので、国土交通省としてはコメントする立場にはないと考えていますが、その上で、一般論として申し上げれば、航空機の円滑な運航に不可欠なグランドハンドリング業務ですので、これについては今後とも安定的に事業が実施される必要があると考えています。