大臣会見

中野大臣会見要旨

2025年7月29日(火) 10:00 ~ 10:26
国土交通省会見室
中野洋昌 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)新たな「船員手帳」のデザインについて

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
それは、新たな「船員手帳」のデザインについてということでして、今月が、海への関心と理解を深めていただくための海の月間という形で位置付けています。
全国各地で海や船に関する様々なイベントを行っているところでして、海の月間の終わりにあたって、海に関連した「船員手帳」のデザインを今回刷新しますので、その件について御報告します。
この「船員手帳」というのは、約8万人の船員が使用する船員の身分証明書です。
海外においては、船の業務に付随して一時的な上陸が可能となるなど、パスポートに類似した機能も有しています。
今般、政府のデジタル化の方針を踏まえて、「船員手帳」の書類部分を大幅にスリム化することとしています。
この機会にデザインも刷新することとしました。
新しい「船員手帳」の色は、元々海の色ということで深い青色だったのですけれども、「海の色」に日本の「和」の要素も考慮して藍色ということで、今回新しい色にします。
船員手帳のデザインの変更は、1947年以来初めてということです。
新たな「船員手帳」については、2027年(令和9年)4月から発行を開始する予定です。
後ほどプレスリリースをします。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

米国政府による関税措置等について

(記者)

先日、日米の関税交渉の関係で合意がされましたけれども、こちらの中で国土交通省の分野でいうと、自動車について、安全基準について今後手続きを簡素化していくというような発表もありましたが、具体的にどのような見直しをして、それがいつから始まってというようなスケジュール感も含めて、具体的に決まっていることを教えてください。
もう1点関連して、同じく日米合意なのですけれども、ホワイトハウスの方から、ボーイング社の機体を100機、日本側が買うというようなアナウンスもあったかと思いますが、既に日本の航空会社、JAL、ANA、スカイマークですとかを入れますと、既に契約ベースでもう100機を超えているということです。
これについて、ホワイトハウスが発表している100機を買うというのは、この100機が現行の計画が含まれているのか、あるいは新たに100機追加で購入せよ、ということなのか、こちらについてはいかがでしょうか。

(大臣)

まず全体的なところですが、今般の合意において、我が国の基幹産業である自動車及び自動車部品については、本年4月以降に課された25%の追加関税率を半減して、既存の税率を含めて15%とすることで合意しました。
これは世界に先駆け、数量制限のない自動車・自動車部品関税の引下げを実現することができました。
続いて、相互関税については、25%まで引き上げられるとされていた日本の関税率を、15%に留めることができました。
さらに、米国への投資を通じて、造船や航空等の経済安全保障上重要な9分野について、日米が利益を得られる強靱なサプライチェーンを米国内に構築していくため、日米で連携していくことで合意しました。
御指摘の自動車の安全基準に関しては、今般、米国との間では、日本の交通環境においても安全な米国メーカー製の乗用車を、追加試験なく受け入れることで合意しています。
これは、少し繰り返しになりますが、日本の交通環境においても安全な米国メーカー製の乗用車について、認証の手続きを簡素化するというものとなっています。
もう1点、御指摘のボーイング社製の航空機の購入については、国内航空会社の既存の購入計画を念頭に置きながら、約100機のボーイング機を導入していく旨を米国に伝えています。
今後重要なのは、日米双方が合意の実施に努めることであって、特に、米側の関税引下げのために必要なのは、大統領令の発出など米側の国内措置です。
従って、まずは米側に対し、こうした措置が速やかにとられるよう求めていくことが重要でして、既にこれは米側への働きかけを行っていると承知しています。
今後とも、我が国として、米側としっかり意思疎通を続けて、米側に必要な措置をとるように求めていきたいと考えています。

(記者)

ボーイングの方なのですけれども、今おっしゃった念頭にというのは、それは追加で買う必要があるのかどうかというのはどう捉えればよいですか。

(大臣)

繰り返しになるのですけれども、協議における米側との具体的なやりとりについては差し控えさせていただきたいと思っています。
いずれにしても、国内航空会社の既存の購入計画を念頭に置きながら、約100機のボーイング機を導入していく旨を米側に伝えているものと承知しているということです。

自動車の安全基準に関する米国政府との合意について

(記者)

今の質問に関連してなのですが、認証手続きの簡素化であるとか、市場開放で米側が求めている文言の中で、自動車とトラックという言葉が入っていたかと思います。
これまでの日米交渉でトラックが俎上に上ったことというのはほとんど記憶がないのですが、今回トラックというのは、いわゆるフルサイズのピックアップトラックみたいな、SUVみたいなものを念頭に置いているのか、あるいは国土交通省が今進めている物流改革で、ダブル連結トラックであるとか、自動運転トラック、こういったものはかなり米国のメーカーも進んでいますが、そういったものも念頭に置いて準備をされていくのでしょうか。
その辺りをお聞かせください。

(大臣)

米側が公表したファクトシートにおいてトラックに言及があったことは承知していますが、今回、米国との間では、日本の交通環境においても安全な米国メーカー製の乗用車を、追加試験なく受け入れることで合意しました。
いずれにしても、今後、米側と意思疎通を続けていく中で、合意の実施についてはしかるべく対応していきたいということです。

(記者)

そうしますと、現在大型車が含まれているかどうかということについては、まだ何も判断されていないという理解でよろしいでしょうか。

(大臣)

日本にとっては、日本の交通環境における安全性の観点が重要です。
今後の実施の過程において、トラックを対象とすること自体が排除されるものではありませんが、繰り返しですが今回合意したことは、日本の交通環境においても安全な米国メーカー製の乗用車を、追加試験なく受け入れることでして、合意の実施については、今後米国と意思疎通を続けていく中でしっかり対応していきたいということです。

ガソリンの暫定税率について

(記者)

野党側は、ガソリン税の暫定税率廃止法案を、8月1日召集予定の臨時国会に共同提出する方針を示しています。
大臣の受け止めと国土交通省としての対応についてお聞かせください。

(大臣)

暫定税率廃止法案についてのお問い合わせですが、これは現在野党において、今まだ検討中ということです。
また、ガソリンの暫定税率を含む税制のあり方について国土交通省の所管ではないと思いますので、国土交通省としてのコメントということでは、お答えを差し控えさせていただければと思います。

道路陥没対策について

(記者)

道路の陥没対策についてです。弊社で、各地方整備局などが作成している国道の陥没・空洞調査を分析したところ、八潮(やしお)市の陥没事故のように破損した管に土砂が流れ込む現象で発生したものが4割、地盤の締固め不足などの施工不良が2割に上ったり、その他空洞や陥没が近い範囲で起きているというような実態が分かりました。
この関係で2点伺います。
1点目なのですが、半年前の八潮市の陥没事故以降、国土交通省で様々な対応を検討されていると承知はしていますけれども、改めて道路下の状況把握をどのように進めていくのか、これが1点目。
2点目は、分析だと施工不良が2割あると、国道だけでも少なくないと我々受け止めたのですが、国土交通省として現状どのように認識されていて、今後どう対応されていくかお願いします。

(大臣)

まず全体的なところですが、道路利用者の安全・安心を確保するために、道路陥没を未然に防ぐ取組を進める事が重要であると考えています。
現在、埼玉県八潮市での道路陥没事案を踏まえて、本年4月より直轄国道を対象に、過去に複数回道路陥没が発生している箇所や、下水道管路の全国特別重点調査箇所など路面下の空洞調査を進めています。
陥没に繋がる恐れのある空洞が確認された場合には、補修などの対応を実施しているというのが今の取組です。
1点目の道路下の占用物件の状況把握ということですけれども、これは新たに道路管理者と道路の占用者で構成する「地下占用物連絡会議」を設置して、これは相互の点検結果などの情報共有を図るとともに、地下空間情報のデジタル化、統合化、こうしたものも併せて検討してまいります。
もう1点、施工不良の関係ですけれども、埋設管路の埋戻し土の締固め不足などによる陥没が発生している事例や適切な埋戻し方法、こういったものを関係者間で共有をしていきたい、そして占用者及び施工業者に対しての指導というのも徹底していきたいと考えています。
いずれにしても国土交通省として、道路陥没による事故を防ぐための道路陥没対策の推進を図っていきたいと考えています。

東京メトロの顧問人事について

(記者)

先週、一部報道でもあったのですけれども、東京メトロの本田(ほんだ)元会長が、今年1月から顧問として同社に復帰していたことが明らかとなりました。
本田氏に関しては人事介入問題を受けて会長を退任していたという経緯もあるのですけれども、同社は問題無いという認識を示していましたが、大臣の所感を改めてお願いします。

(大臣)

報道については承知をしています。
いずれにしても、東京メトロの顧問、これは顧問に関する人事ということですので、これはあくまで会社の御判断です。
そういう意味で、国土交通省としてのコメントは控えさせていただければと考えています。

九州新幹線西九州ルートについて

(記者)

九州新幹線西九州ルートについてお伺いします。
石破(いしば)首相が今月の17日、長崎市内で参議院選挙の応援演説をしたのですが、その際、全線フル規格化にかなり意欲を示されたと。
具体的に申し上げますと、今佐賀県がちょっと慎重姿勢なのですが、佐賀県がメリットがないと考えるのは当然だというふうに佐賀県の方の立場に理解を示されて、フリーゲージトレインの導入を断念したという経緯を含めて佐賀県の納得を得ることは国の責任だと強調されて、積極的にこれに関わっていくという姿勢を示されました。
この発言を受けて、国土交通省としてはこれまで通り佐賀県の説得を続けるということなのか、それとも、例えば財政スキームの見直しなど新たな提案を佐賀県側に示して踏み込んで推進するのか、どちらなのか大臣の所見をお伺いします。

(大臣)

九州新幹線の新鳥栖(しんとす)武雄(たけお)温泉(おんせん)間、これがフル規格で整備されれば、西九州地方と関西、中国地方がネットワークでつながり、観光やまちづくり、地方創生などでより大きな効果が現れると考えているというのは、従前から申し上げているとおりです。
国土交通省としての取組としては、やはり引き続き、新幹線整備の必要性、あるいは重要性について御地元の皆さまに丁寧に説明をしていくとともに、佐賀県との間でも議論を続けていくことなどを通じて、これは広く御理解をいただけるように、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。

(記者)

そうすると首相の発言を受けて、これまでの推進のあり方が変わるというわけではないのでしょうか。
これまで通りということでしょうか。

(大臣)

繰り返しになりますけれども、国土交通省としては先ほど申し上げたような新幹線整備の必要性、あるいは重要性について御理解いただけるように、引き続き佐賀県と議論を粘り強く積み重ねていきたいというのが考えだということです。

自動車の安全基準に関する米国政府との合意について

(記者)

先ほどの回答に関連して自動車の安全基準について伺いたいのですが、「日本の交通環境においても安全な米国製の乗用車を追加試験なく受け入れることで合意した」ということで御解答ありましたけれども、つまり追加試験の前提となる日本の交通環境においても、安全か否かを確認する試験なり方法はどうするのかという疑問が残ると思うのですけれども、それは先程おっしゃったように、現時点ではおそらく決まっておらず、今後アメリカと意思疎通する中で詰めていくと、そういうふうなことで説明されていると理解してよろしいでしょうか。

(大臣)

本合意に基づく措置の詳細ということについては、申し上げたとおり、米国とも調整をしつつ、速やかに検討を行っていきたいと今考えているということです。

(記者)

現時点では、詳細はまだ日米間では決まってはいないということなのですかね。

(大臣)

合意の中身については、先程申し上げたとおり、日本の交通環境においても、安全な米国メーカー製の乗用車を追加試験なく受け入れるということで、その措置の詳細については、アメリカと調整しつつ、速やかに検討を行っていきたい、こういう状況です。

 (記者)

今の質問のとおりなのですけれども、認証を追加試験なくというのは、漠としているのですね。
一般的にこれまで、米国メーカー製車両で問題となっているのは、環境性能と衝突性能、それから細かいところでいうと、ターンシグナルが赤なのを日本は黄色に直させているわけです。
協議で、具体はこれからだというものの、当然そういう念頭には浮かんでいるわけですが、ターンシグナルを赤でいいよというのは、比較的そんなに難しくないと思いますけど、衝突安全性能と環境性能は相当大変で、国際基準認証にも引っかかる可能性があると。
これはどのようにやろうと国は考えているのでしょうか。

(大臣)

繰り返しのところもありますけれども、今般の措置について、あくまで日本の交通環境においても、安全な米国メーカー製の乗用車について、認証の手続きを簡素化するというものです。
そういう意味では、日本の基準に適合せず、安全とは言えない自動車を受け入れるということにはならないのではないかと思っています。
いずれにしても、この措置の詳細については、今後米国とも調整しつつ、速やかに検討を行っていきたいと考えています。

(記者)

蛇足になりますけれども、日本ブランドの車は大丈夫だと思うのですけれど、デトロイト・ビッグスリーの車、特にコンパクトは、衝突安全性能は正直言って今のままでは通らない。
大きい車は良いのですけれども。多分、量を売ってほしいアメリカからすれば、コンパクトこそ入れろという話になる。
コンパクトといっても、日本ではCセグメント以上の車ではありますけれども、これは本当にアメリカの不興を買わずに、約束どおりの輸入拡大ができるのかというのは、どの程度の勝算をお持ちなのでしょうか。

(大臣)

繰り返しになりますが、詳細については、米国とも調整しつつ、速やかに検討を行っていくというのが現状ですので、現状これ以上申し上げるというのは難しいのですけれども、いずれにしても、これも何度も申し上げていますけれども、日本の交通環境においても、安全な米国メーカー製の乗用車について、認証の手続きを簡素化するというところは何度も申し上げているところですので、これも申し上げましたけれども、日本の基準に適合せずに、安全とは言えない自動車を受け入れることにはならないと考えているところです。

航空機の購入に関する米国政府との合意について

(記者)

ボーイング100機の話なのですけれども、これはその100機受け入れはいつからという話なのですけれども、合意後100機ということでいいのか、それとも、先程、購入計画を念頭にとありましたけれども、もう既に例えば今年入ってきているものもいると思うのですけれども、それも含めてなのか、合意後100機ということになるのか、スタートを教えてください。

(大臣)

これも繰り返しになり恐縮なのですけれども、協議における米国との具体的なやりとりについては差し控えさせていただきたいということと、米国側に伝えているものは国内航空会社の既存の購入計画を念頭に置きながら、約100機のボーイング機を導入していく旨を伝えているというところです。

(記者)

「していく」いうことは未来形ですから、これからという話で理解してていいのですよね。

(事務方)

繰り返しになりますが、詳細のところはお答えを差し控えさせていただければと思いますけれども、既存の購入計画を念頭に置きながらということで、詳細のところはお答えを差し控えさせていただければと思います。

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