大臣会見

中野大臣会見要旨

2025年9月5日(金) 10:31 ~ 10:47
国土交通省会見室
中野洋昌 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。

質疑応答

日本航空機長の飲酒問題について

(記者)

日本航空の飲酒事案について伺います。
先月28日、日本航空で再び飲酒事案が発生し、運航便に遅れが生じました。
日本航空に関しては昨年にも飲酒問題を起こし、国土交通省から行政指導を受け、再発防止に取り組んでいる中でのまた飲酒事案となります。
これだけ同じ会社、そして同様の事案が続いていることに対し、空の安全を守るという観点で監督省庁として更なる対応が必要だと思われます。
中野大臣の受け止め、そして今後の対応についてお聞かせください。

(大臣)

日本航空からの報告によると、現地時間8月28日のJAL793便ホノルル発・中部行きに乗務予定の運航乗務員が、宿泊先のホテルで自主的にアルコール検査を行った際に、アルコールが検知されたため、別の便に乗務予定だった乗務員に変更する事態が発生しました。
これにより、当該便を含む計3便に最大約18時間半の遅延が発生したところです。
日本航空は、昨年12月の業務改善勧告を受けて、再発防止策などを講じてきているところと承知していますが、御巣(おす)(たか)墜落事故40年の節目の年でもあるにも関わらず、繰り返しこうした事案が起きたということは社員一人一人に安全意識が徹底されていないと言わざるを得ず、大変遺憾です。
このため、国土交通省では、同社から報告を受けるとともに、9月3日に同社に対して監査を行い、本事案の事実関係や、昨年12月の業務改善勧告に係る再発防止策の実施状況などを詳細に確認しているところであり、今後、これらの確認結果を踏まえて、必要な対応をとることとしています。

米国政府による関税措置について

(記者)

今日、米国の一連の関税措置について、関税の引き下げについての大統領令が署名されました。
加えて米国への投資に関する文書についても両国で署名が行われました。
まず、この関税引き下げ措置の大統領令が署名されたことについての受け止めと、国土交通省が所管する投資分野もあると認識していますが、現在のアメリカとの調整状況や今後の見通し、これについても伺わせてください。

(大臣)

米国時間の4日、赤澤(あかざわ)大臣が訪米し、米側と協議し、米国の関税措置に関する大統領令が公表され、共同声明が発表されたとする報道については承知しています。
米国時間の4日、トランプ大統領によって大統領令が署名され、自動車及び自動車部品関税が引き下げられることとなったことについて、私、国土交通大臣としても歓迎したいと思います。
現在、米国にて赤澤大臣が会見を終えたところと承知していますので、私の方から、詳細の話は差し控えさせていただければと思います。

日本郵便の軽貨物事業に対する処分について

(記者)

日本郵便の点呼問題について伺います。
国土交通省が日本郵便の軽貨物車の使用停止処分を3日にも通知したと各社が報じています。
この点についての事実関係と今後の対応について、まず教えてください。
あと、今回大きな問題になるので、物流への影響について大臣のお考えも教えてください。

(大臣)

日本郵便の軽貨物事業に関しては、全国約3200の営業所のうち、法令違反の疑いのある約2400の営業所に対して監査を実施しています。
既に監査を終えた営業所のうち、違反事実が確認された約100の営業所について、9月3日、車両の使用停止の処分案を通知するとともに、行政手続法の規定に基づいて、弁明の機会を付与する手続を開始しました。
今後、弁明の状況等も踏まえつつ、順次、処分に向けた手続を適切に進めてまいります。
また、物流への影響ということですが、日本郵便より、軽自動車での業務については、他の運送会社への委託等を通じて、利用者に迷惑をかけないよう取り組むという見解が出されているものと承知しています。
国土交通省においても、引き続き、状況を注視しつつ、協力会社の確保等、必要な支援ついても行っていきたいと考えています。

自動運転バスの事故について

(記者)

8月29日に東京都八王子(はちおうじ)市で実施していた、自動運転バスの実証実験で車両が街路樹に衝突する事故が発生しました。
事故を受けて八王子の実証は中止となり、他の自治体でも延期などの影響が広がっています。
国土交通省は自動運転サービスの普及に向けて自治体を支援していますが、事故の受け止めと今後の対応を教えてください。
また、事故を踏まえ、今後の自動運転バスのレベル4実装に向けた取組への影響をどう考えているかについてもお聞かせください。

(大臣)

お尋ねの事故については、運転手が安全運転に責任を持つレベル2自動運転の実証中に発生したものであり、乗客3名が負傷されたと伺っています。
負傷された方々に対して、心よりお見舞い申し上げる次第です。
事故の原因については、現在、実証実験の実施主体である東京都において調査中と聞いています。
また、車両を提供しているボードリー社からは、原因が判明するまでの間、同型の車両とシステムを使用した運行を中止するという報告を受けていまして、国土交通省としても引き続き、国の定める車両の保安基準違反がなかったかどうか確認してまいります。
いずれにしても、自動運転は、ドライバー不足解消や地域の足の確保などに有効であり、早期に普及・拡大させていくことが重要であると考えているところです。
この東京都による原因調査の結果を踏まえつつ、引き続き、安全なレベル4自動運転の社会実装の拡大に取り組んでいきたいと考えています。

北海道新幹線札幌延伸に伴う鉄道物流のあり方について

(記者)

「北海道新幹線札幌延伸に伴う鉄道物流のあり方に関する有識者検討会議」が3日に公表した、中間とりまとめについて2点お伺いします。
とりまとめでは、貨物鉄道の機能を確保することが必要との結論に至りましたが、これに対する大臣の受け止めをお聞かせください。
もう1点ですが、今後の最終とりまとめですが、当初は本年度中の予定だった思うのですけれども、新幹線の開業遅れの影響で、最終とりまとめも遅れる可能性があるのかと思われますが、これに関して旅客輸送の議論も留意するとのことですが、いつ頃までに最終とりまとめを出すことになるのか、お聞かせください。

(大臣)

JR函館線の函館(はこだて)長万部(おしゃまんべ)間、いわゆる「(うみ)(せん)」については、鉄道物流のあり方に関して、有識者検討会議において議論を進めていただき、9月3日に中間とりまとめを公表しました。
この中間とりまとめでは、少なくとも北海道新幹線札幌延伸開業の時点では、海線の維持により貨物鉄道の機能を確保することが必要、との基本的な方向性が示されたところです。
海線は、北海道と本州を結ぶ青函(せいかん)トンネルと直結する路線であり、今般の中間とりまとめでは、今後の北海道及び全国の物流のあり方に関する重要な方向性をお示しいただいたと考えています。
国土交通省としては、この中間とりまとめを踏まえて、北海道庁等の関係者とともに、引き続き検討を進めていきたいと考えています。
もう一つは最終とりまとめの時期ということですが、北海道新幹線の札幌延伸の開業時期の変更など、有識者検討会議を立ち上げた当初からは情勢が大きく変化しています。
このため、予定していた最終とりまとめの時期も変わる見込みですが、旅客輸送に係る地元自治体の会議の動向にも留意しながら、議論を継続してまいります。
今後の進め方については、有識者検討会議の共同事務局でもある北海道庁等の関係者と調整していきたいと考えています。

EVモーターズ・ジャパンの万博輸送バスについて

(記者)

大阪・関西万博の送迎バスでeMover(イームーバー)というバスがたくさん走っていることは御承知のとおりです。
そのうち日野(ひの)の方はともかく、EV(イーブイ)モーターズ・ジャパンが140台程度、一番たくさん輸入して走らせています。
これは御案内のとおり、先頃自動運転もやっていたのですが、ポシャりました。
今般、当社の取材によれば、モーターのフランジというのですが、付け根部分が破断して、これが破断すると何が起きるかというと、駆動輪がロックしてしまうのですね。
駆動輪がロックすると何が起きるかというと、急制動がかかってしまって、場合によっては、バスというのは重心が高いですし、人もたくさん乗っているので、横転の可能性すらあると。
本件、EVモーターズ・ジャパンは近畿運輸局に対して、こういう可能性が発見できたので対処しますということで、当局からも指導が出ているのですが、実態はかなり悪そうです。
私見で言えば、EVバスは即時運行停止をして、代替のバスなり、他の交通機関に振り分けるべき、あと1か月で万博の会期も終わるので、ここで万が一のことが起きては、やはり安全・安心を標榜する国土交通省としてはいけないだろうと思っているのですが、大臣のお考えをお願いします。

(大臣)

EVモーターズ・ジャパンの万博輸送のバスについては、これまでも走行中に車両が停止する、ドアの開閉不良、こうした複数の不具合が確認されているところです。
こうした事態を受けて、一昨日9月3日、EVモーターズ・ジャパンに対して、万博輸送に使用しているバス以外も含め、車両全般について総点検を至急実施するとともに、委託製造先の中国メーカーを含め、品質管理体制を見直すこと、そして総点検等の結果について速やかに国に報告することを指示したところです。
今後とも、EVモーターズ・ジャパンの対応状況を確認しつつ、国土交通省としても必要な指導を行っていきたいと考えています。

(記者)

運行停止ということは、現状は考えていないのでしょうか。

(大臣)

まずはこうした事態を受けて、総点検を至急実施するように指示したところですので、この総点検等の結果を踏まえて判断をしていきたいと考えています。

米国政府による関税措置について

(記者)

トランプ関税について1点確認させてください。
発出された大統領令に「日本政府は米国での承認を受けた乗用車について、追加試験なしで日本で販売できるように取り組んでいる」というような記載内容がありました。
前回の大統領令と比べるとちょっと表現の違いなどもあるかと思うのですけれども、今回の大統領令の内容について、大臣としてこの記載内容をどのように理解されているのかを確認できればと思います。

(大臣)

この大統領令の件について、先ほども少し申し上げたとおりではあるのですけれども、現時点で、米側と交渉を行った赤澤大臣から直接話を伺っていませんので、私から詳細は差し控えさせていただければと思っています。
いずれにしても、今般の結果を受けた対応については、関係省庁と連携して、当然米国とも調整しつつ、速やかに検討を行っていきたいと考えています。

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