2025年12月19日(金) 10:31 ~ 10:52
国土交通省会見室
金子恭之 大臣
(大臣)
本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から3点報告があります。
1点目は、公共事業の円滑な施工確保についてです。
16日(火)に、「「強い経済」を実現する総合経済対策」の裏付けとなる、令和7年度補正予算が成立しました。
補正予算における国土交通省の公共事業費は2兆873億円であり、平成13年の国土交通省設置以降初めて2兆円を超えたところです。
また、今回の補正予算では、「第1次国土強靱化実施中期計画」の事実上の初年度として、前年度の1.35倍にあたる総額1兆2346億円を計上することができました。
国土強靱化や生産性向上に資するインフラ整備を進め、強い経済を実現するには、今回の補正予算で措置された公共事業予算を迅速に執行するとともに、円滑な施工を確保することが重要です。
そのためには、今月12日に完全施行した第三次・担い手3法も踏まえ、適正な工期設定や施工時期の平準化、建設資材の高騰等を反映した適正な予定価格の設定、さらには、適正な労務費の確保と行き渡りなどの取組を強力に推進する必要があると考えています。
これらの取組については、関係省庁や地方公共団体等と連携して進めることが重要であることから、本日の閣僚懇談会において、私から関係閣僚に対し、協力をお願いしました。
詳細は事務方にお問い合わせください。
(大臣)
2点目は、明日の視察についてです。
明日20日に、下水道事業の現場である芝浦水再生センターと、今月8日に震度6強の地震が発生した青森県八戸市を訪問します。
芝浦水再生センターについては、八潮市での道路陥没事故を受け開催した有識者委員会から、今月1日に示された提言を踏まえ、都心部の下水道管の複線化や更新、下水道事業者と道路管理者の連携に関する先進的な取組を視察し、今後の検討につなげるものです。
青森県八戸市については、引き続き、災害対応、復旧に万全を期すべく、自ら、八戸港やJR八戸線、NTT青森八戸ビルの鉄塔の被災状況等を確認するとともに、被災自治体の青森県知事、八戸市長の御意見をしっかりと伺ってまいります。
詳細は事務方にお問い合わせください。
(大臣)
3点目ですが、この飾り付けを見て予測されている方もいると思います。
鈴木農林水産大臣からお声がけいただき、そして私も積極的に牛乳の冬場の消費拡大についてお願いをさせていただきたいと思います。
普段はここにお水を置いているのですが、今日は地元熊本県産の牛乳です。
実は熊本県は、御存知ない方もいるかと思うのですが、都道府県別の生乳生産量で、北海道、栃木県に続いて、全国第3位の生産地です。
例年、寒さが増す季節になると、牛乳の消費が極端に落ちてしまいます。
牛乳として消費されない分は、ヨーグルトなどの乳製品に加工されますが、近年、その需要も振るっていません。
牛乳の安定供給を確保していくためには、牛乳やヨーグルトの需要回復が急務ですが、そのためには、まず多くの皆さまに、このことを知っていただくことが重要であると思います。
私も母の実家が酪農家でしたし、友人も酪農をしていることもあり、おかげさまで牛乳を子供の頃から飲んだおかげで、病気もしない丈夫な体になりました。
そういう意味では、本来の担務とは違いますけれども、そういう視点で、また鈴木大臣の意気込みに答えていくためにも、私も率先して、他の大臣とともに、今日は牛乳を飲ませていただきたいと思います。
美味しいです。
ここでもう一杯、といきたいところですけれども、今日はこれで終わらせていただきたいと思います。
消費者の皆さまには、特に、寒くなるこの時期、ホットミルクや、牛乳やヨーグルトを使った煮込み料理など、牛乳の消費拡大に御協力をお願いしたいと思います。
色々、御批判もあるかもしれませんが、今日は私の個人的な思いの中で、この場を使わせていただきました。
御理解いただきたいと思います。
私からは以上です。
(記者)
北陸新幹線に関して、先日、与党会合で小浜・京都ルートを含む8ルートの再検討という方針が決まりました。
これまでの政府方針から大きく転換することになりますが、大臣の受け止めをお願いします。
また、これに伴って来年度中の着工は困難になったと思われますが、これについても受け止めをお願いします。
(大臣)
北陸新幹線(敦賀-新大阪間)については、「与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム」の下に設置された「北陸新幹線敦賀・新大阪間整備委員会」において議論が進められており、ルートに関する日本維新の会からの提案の取扱いについても、この委員会で議論されると承知しています。
今後とも、こうした与党における議論も踏まえつつ、一日も早い全線開業に向けて、国土交通省が、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでまいります。
(記者)
予算の話はいかがでしょうか。
(大臣)
閣議決定前ですので具体のお答えは差し控えさせていただきますが、与党の議論も踏まえ適切に対応してまいります。
(記者)
北海道新幹線(新函館北斗-札幌間)の事業費が1兆円以上増える見通しとなったことが明らかになりました。
これまでの認可額と合わせると総額は3兆円半ばとなります。
大臣の受け止めをお聞かせください。
また、事業費を一部負担する地元の自治体からは負担が増加することに対して不安の声もありますけれども、国土交通省としてどう対応されますか。
(大臣)
北海道新幹線(新函館北斗-札幌間)については、本年3月、有識者会議の報告書において、開業時期に関する今後の見通しが示されるとともに、「足下の物価高騰、工程遅延や工程短縮策の実施等が事業費に与える影響について、工事の進捗と併せて注視すること」とされたところです。
鉄道・運輸機構においては、同報告書を踏まえて、北海道新幹線の事業費について、精査が進められているものと承知していますが、現時点では、機構内の精査の結果について、正式には報告を受けていません。
国土交通省としては、関係者の理解と御協力を得て、北海道新幹線の整備を着実に進めるよう努めてまいります。
(記者)
1月から11月までの訪日客数が推計で3906万5600人となり通年で過去最多であった昨年の3687万人を上回りました。
一方、日中関係悪化が影響し11月の中国客の前年同月比は3.0%に落ち込みました。
それぞれの受け止めと30年に訪日客6000万人という目標達成に向けた課題と取組をお聞かせください。
(大臣)
本年1月から11月の訪日外国人旅行者数の累計は、約3907万人と前年同期比で約17%増加して、昨年1年間の訪日者数3687万人を既に上回っており、暦年として過去最高となることが確定しました。
地域別でみると、欧米豪や中東諸国などの様々な国や地域からの旅行者の増加率が高かったことが年間の過去最高に繋がったと考えており、インバウンド全体として、力強い成長軌道に乗っているものと受け止めています。
また、中国からの訪日旅行に関しては、引き続き状況を注視していきたいと考えています。
2030年訪日客数6000万人の目標に向けては、より多くの国や地域から日本を訪れていただくことが、極めて重要であると考えており、これまでも、インバウンド市場の多様化に向けて戦略的な訪日プロモーションの実施などに取り組んでまいりました。
この結果、中国人旅行者がインバウンド全体に占める割合は、コロナ前の2019年の約30%から2024年は約19%に減少した一方、欧米豪市場の割合は、約13%から約16%に増加しているところです。
国土交通省としては、今後も、様々な国や地域からの訪日を促進することに加え、消費単価の高い旅行者を誘致することや、課題となっているオーバーツーリズムへの対応も含め、持続可能な観光の実現に取り組んでいきたいと考えています。
IRの新たな区域整備計画の申請期間に関するパブリックコメントについて
(記者)
IRについてお尋ねします。
観光庁はカジノを含む統合型リゾート施設IRの整備地域追加選定に向け、自治体からの申請を2027年5月6日から11月5日まで受け付けるための政令改正案のパブコメを始めました。
唯一認定されている大阪は2030年に開業予定ですが、この時期に追加選定に向けてパブコメを始めた理由を教えてください。
あわせて、申請受付後に認定するまでのスケジュール感をどのように考えているかもお聞かせください。
(大臣)
IRの新たな区域整備計画の申請を受け付けるために、2027年5月から11月までを申請期間とする政令改正案のパブリックコメントを12月17日より行っています。
IRの整備は、自治体の発意を前提としていることから、これまで観光庁において、定期的な調査や随時のヒアリング等をこれまで実施してまいりました。
その結果、一部自治体から区域整備計画の申請意向や検討している申請時期が示されたことから、各自治体が申請までに要する期間を考慮して、今般パブリックコメントを実施したものです。
政令制定後は、IR整備法に基づいて、IR整備を希望する自治体から、申請期間内に区域整備計画の申請が行われれば、観光庁において審査の上、認定の可否を判断することになりますが、審査に要する期間は申請を行う自治体の数や、あるいは内容等によって左右されるため、現時点でお示しできるスケジュールはありません。
(記者)
能登半島地震について伺います。
発災からまもなく2年が経ちますが、現在の復旧・復興状況、それから、大臣が課題として認識されていることがありましたら教えてください。
加えて、能登半島地震の対応のきっかけとして、防災・減災に活かされている具体的な事例があればあわせてお願いします。
(大臣)
二つ御質問いただきました。
まず、能登半島地震についてですが、地震の発生から先程お話しがありましたようにもうすぐ2年、そして、復興中の奥能登を襲った豪雨から1年が経過しました。
震災や豪雨によってお亡くなりになられた方々のご冥福を改めてお祈りします。
私自身、国土交通大臣就任直後に、最初の視察として、能登半島の被災地を訪れ、被災の厳しい状況やインフラの復旧状況を確認しました。
これまでの各種事業への取組によって、二次災害に直結するような切迫した被災箇所の応急対策は全て終了し、インフラの機能回復対策、本復旧などが順調に進捗しています。
これからが本格的な復旧・復興の正念場で、インフラの復旧やまちの復興は、被災者の方々の生活やなりわいの再建を強く後押しするものであり、先日成立した補正予算も活用して、着実に進めることが重要です。
国土交通省としては、引き続き、被災地の声に丁寧に耳を傾けて、復旧・復興を急いでまいります。
次に、能登半島地震での経験を踏まえた防災対策については、例えば、広範囲での断水やあるいは復旧の長期化等が生じたことから、浄水場等の上下水道システムの急所となる基幹施設や、災害拠点病院などの重要施設に接続する上下水道管路の一体的な耐震化を進めているほか、水道法等の改正によって、日本下水道事業団が水道施設の復旧工事等を可能とする制度の創設等を行ったところです。
また、通信網の途絶等があったことから、衛星インターネット装置、スターリンク等々ですが、モバイル映像伝送装置等の情報通信機器の導入を進めています。
実は私の地元で8月6日からの大雨で熊本県上天草市においても、あるいは台風第22号や第23号での東京都八丈町等においても、情報通信網が非常に重要なことを踏まえて、自治体支援に活用したところです。
さらに、地震災害としては、過去最大規模でのTEC-FORCE派遣となった経験も踏まえて、大規模広域災害に備えた災害対応力を格段に引き上げるために、「TEC-FORCE予備隊員」制度の創設など、TEC-FORCEの増強と多様な主体との連携強化による被災自治体への新たな応援体制の構築を進めているところです。
国民の生命・財産・暮らしを守り抜くことは、国土交通省の重要な使命であり、今後とも、能登半島地震の経験も踏まえ、防災・減災、国土強靱化の取組を全力で推進してまいります。
(記者)
バイク駐車整備の考え方についてお尋ねします。
現行での地方自治体や事業者との対話は、駐車場法の目的の一部である公衆の利便に資するということに偏りすぎではないでしょうか。
道路駐車の違法性というのは、交通事故を誘発する可能性が問われているのであって、駐車場事業者の附置義務が課されるのも交通事故を防止して、道路交通の円滑化を図るためだと思うのですが、省庁連絡会議も開催されました。
採算性を心配する前に、事故防止のために必要であるという考え方に立つことが必要ではないかと思うのですが、大臣の御所見をお願いします。
(大臣)
これまでも自動二輪車の駐車場問題については、積極的に取り組んでいただいて、これまでも何度も御質問、御提言を頂いたと聞いています。
自動二輪車の駐車場については、東京都等大都市部では、保有台数あたりの駐車スペースが少なく、駐車スペースが不足しているとの声があると承知しています。
自動二輪車の駐車スペースの適切な確保は必要であり、国土交通省では、従来より、商業施設などに駐車施設の設置を義務付ける「附置義務条例」による対応や、駐輪場や余剰駐車マスの活用による駐車スペース確保などについて、地方公共団体に働きかけるとともに、社会資本整備総合交付金等により、駐車場の整備を支援してまいりました。
加えて、本年5月に、新たに自動二輪車の駐車スペース確保に関する関係省庁連絡会議を設置し、業界団体や地方公共団体のヒアリングなど、省庁横断的な議論を進めています。
先程も申し上げましたが、以前、大臣会見の場で、「会議日程を事前に周知するべきではないか」と御質問いただいて以降、その指摘も踏まえて、会議日程を事前に記者発表した上で、今月3日に第2回の会議を開催し、大都市の地方公共団体との個別協議を行って、ニーズに応じた駐車スペースが確保されるよう取り組んでいくことを、関係省庁で確認しました。
この方針のもと、年初には業界団体への更なるヒアリングを予定しており、得られた意見などをもとに、関係省庁とも連携し、駐車場が不足する東京都などの地方公共団体に対して、個別に訪問して意見交換することも含め、自動二輪車駐車場の確保を強く働きかけるなど、しっかりと取り組んでまいります。
本日頂いた御指摘も受け止めて、今後の具体的な取組を進めていきたいと思います。