2025年12月26日(金) 10:50 ~ 11:04
国土交通省会見室
金子恭之 大臣
(大臣)
10月21日に高市内閣で国土交通大臣を拝命して、本日で2か月と5日が経ちました。
この間、記者の皆さま方には、私の記者会見にお付き合いいただき、また、視察等も取材していただきまして、ありがとうございました。
本日は令和7年最後の記者会見ですが、来年も皆さま方にはお世話になりますので、良いお年をお迎えいただきまして、来年もよろしくお願いします。
(大臣から)令和8年度当初予算案の閣議決定について
(大臣)
本日の閣議案件で、私から1点報告があります。
本日の閣議で、令和8年度当初予算案が閣議決定されました。
令和8年度の国土交通省の予算案は、「暮らしの安全・安心」の確保や「強い経済」の実現に向け、「危機管理投資」、「成長投資」を強力に進めていくことが必要という考えのもと、前年度から1221億円増額の総額6兆749億円を計上しており、このうち、公共事業予算は前年度から198億円増額の5兆2950億円、非公共予算は前年度から1023億円増額の7798億円です。
これは東日本大震災以降、最大であり、初めて6兆円を超えました。
具体的には、防災・減災、国土強靱化に3兆6601億円、埼玉県八潮市の道路陥没事故等を踏まえた上下水道管路や道路施設の老朽化対策等に8673億円、安全・円滑な物流等に資する道路ネットワークの構築や港湾ロジスティクスの強化に4188億円、海上保安能力の強化等に向けた無操縦者航空機や中型ジェット機の増強整備等に2953億円、国際観光旅客税の引き上げにより財源を確保した上で、地方誘客の推進やオーバーツーリズム対策等として他省庁分を含め1383億円等を措置しています。
また、組織については、インフラ老朽化対策を担う大臣官房審議官等の創設をお認めいただきました。
国土交通省としては、先週16日に成立した令和7年度補正予算を迅速に執行しながら、来年の通常国会での予算案の早期成立を目指し、各施策を速やかに実行し、国民の皆さまに安心と希望をお届けできるように取り組んでまいります。
詳細は事務方にお問い合わせください。私からは以上です。
(記者)
予算に関して1問お伺いします。
今回のポイントとして、観光関係の予算が非常に大きく増えています。
旅客税の引き上げに伴ってということなのですけれども、これに関して受け止めと、どのような部分に力を入れたか教えてください。
(大臣)
国際観光旅客税については、本日閣議決定された「令和8年度税制改正の大綱」において、税率を現行の1人1回当たり1000円から3000円に引き上げることとされたところです。
これによって、令和8年度の観光庁関係予算は令和7年度の579億円から1383億円と大幅に増額となり、2030年の訪日外国人6000万人、消費額15兆円の目標達成に向けて、観光客の受入れと住民生活の質の確保の両立を図ることを含め、様々な観光施策を充実させることができるものと考えています。
来年度については、この予算を有効に活用して、過度の混雑やマナー違反への対応、特定の都市・地域への集中是正・地方への需要の分散などのオーバーツーリズム対策や、これまで取り組んできたインバウンド市場の多様化を一層強化するため様々な国・地域からの誘客を促進するなどの施策に重点的に取り組んでまいります。
(記者)
首都高速道路会社が1km当たりの料金水準を、2026年10月から10%引き上げると発表しました。
大臣としての受け止めと、他の高速道路各社に影響が波及するかどうかについての考えをお聞かせください。
(大臣)
今月24日に、首都高速道路会社において、持続可能な道路サービスを提供していくための課題・対応策について、有識者検討会のとりまとめとともに、とりまとめを踏まえた料金具体案が公表されたことは承知しています。
具体的には、昨今の労務費や材料費の高騰などにより維持管理コストが上昇している中で、維持管理の現場で対応しているエッセンシャルワーカーへの適正な労務費の行き渡りの確保、物流などの支援のための大口・多頻度割引の拡充措置を当面5年実施するために、来年10月より、1km当たりの料金を約3円、現行より引き上げる具体料金案を首都高速道路会社が公表したところです。
首都高速道路会社からは、今後、パブリックコメントの実施や、関係する自治体の地方議会の議決を経て、自治体の同意を頂いた上で、国土交通省に対して料金変更のための事業許可申請を行う予定であると聞いています。
国土交通省としては、会社から申請がなされれば、適切に対応したいと考えています。
また、首都高速道路会社以外の高速道路会社についても、昨今の労務費や材料費の高騰等の維持管理コストの上昇を含め、道路サービスを提供していくための課題への対応は、まずはそれぞれの会社において検討していくべき課題であると認識しています。
現時点においては、他の高速道路会社から、料金に関する具体的な検討について相談は来ていません。
(記者)
造船業再生ロードマップについてお尋ねします。
政府は2035年の年間建造量を現行から倍増となる1800万総トンに引き上げる目標を掲げ、その達成に向けた具体的な工程表を本日策定しました。
造船業界を所管する大臣に改めて所感をお伺いします。
また、2035年の倍増目標を達成するには、多くの設備導入や船の建造工程の自動化といった大規模な投資による生産性の抜本的な向上が不可欠です。
巨大な建造物でもある船は、人の手に頼らざるを得ない面があるのは否めず、地方に主要な生産拠点がある造船各社にとって労働力の確保は大きな課題です。
大臣として何が一番の課題だとお考えでしょうか。
こうした様々なハードルを乗り越え、目標を達成するには十分可能とお考えでしょうか。
大臣の見解をお伺いします。
(大臣)
「造船業再生ロードマップ」については、11月に閣議決定された「『強い経済』を実現する総合経済対策」において、年内に策定することとされていましたが、本日、公表しました。
本ロードマップでは、現在約900万総トンの水準にある我が国建造量を、10年後の2035年に1800万総トンへ倍増させるという目標を掲げています。
この目標は、造船業界が、造船業の再興に向けて大規模投資を伴う強い覚悟を示したことを受けて、政府としてもそれに対し強力に支援していくとの考えの下、新たに設定されたものです。
この目標達成に向けては、国土交通省だけではなく、関係省庁一丸となって、官民を挙げて取り組んでいく必要があり、今回のロードマップの公表により、良いスタートが切れたと受け止めています。
お尋ねの、「年間建造量倍増のための課題」に関しては、私自身、11月に日本最大級の造船所を視察し、現場の声も聞き、必要な取組を確認してきましたが、中国・韓国に対抗するためには、省力化あるいはロボット化のための投資に加えて、生産能力増強のための投資が必要だと感じました。
もちろん、そこで働く人材の確保も不可欠です。
目標達成のためには、これらの多角的な取組を有機的に連携させながら進めて行く必要があると考えています。
「倍増目標の達成は可能か」とのお尋ねについては、今回掲げる目標は非常に野心的なものですが、私は、本日公表されたロードマップに基づいて、官民が力を合わせ、覚悟を持って取り組むことで、達成可能と考えています。
私自身、目標達成に向けた、そうした取組の先頭に立って、力を尽くしていきたいと考えています。
(記者)
北陸新幹線についてお願いします。
北陸新幹線の敦賀-新大阪間の建設費は、来年度の当初予算では今回も計上されず、前年度と同額の調査費だけが盛り込まれる形となりました。
当初の着工予定だった2023年度から4年連続での予算計上見送りとなり、全線開業が更に遠のくこととなりますが、大臣としての受け止めを教えてください。
また、細かい話で恐縮なのですが、与党で進んでいる再検証では、一部のルートで東海道新幹線へ乗り入れが今検討されています。
JR西日本とJR東海で運行管理システムが異なることが課題となっており、一部では、JRの縦割りによる課題の解消には国が積極的に関与してほしい、という声も挙がっていますが 国土交通省としてはどのように捉えていますでしょうか。
(大臣)
北陸新幹線(敦賀-新大阪間)については、与党における御議論を踏まえ、先程閣議決定された令和8年度予算案において、施工上の諸課題を解決するための調査の先行的・集中的な実施や、沿線地域の理解促進等のため、今年度に引き続き、「北陸新幹線事業推進調査」として14.5億円を計上しています。
そのルートについては、様々な御意見があると承知していますが、与党における御議論も踏まえつつ、一日も早い全線開業に向けて、国土交通省が、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでまいります。
なお、御指摘のような御意見については、直接は伺っているものではありませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。