大臣会見

冬柴大臣会見要旨

2008年7月11日(金) 11:02 ~ 11:30
国土交通省会見室
冬柴鐵三 大臣

閣議・閣僚懇

 おはようございます。本日の閣議は、当省に関係するものでは政令の決定が4件、すなわち、「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律の施行期日を定める政令」の決定、「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」の決定、これが一連のものです。もう一つが、「海上運送法及び船員法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」の決定と、「海上運送法及び船員法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」の決定がございました。
 私から二点、報告があります。まず一点目は、皆さんにも配布しておりますが、給与の返納についてです。去る7月4日に、品川前北海道局長が起訴されました。私は、以前この場でも明言いたしましたが、これを機会に、国土交通大臣として受け取る給与の3ヵ月分を国庫に返納することとし、その旨の書面に昨日サインいたしました。具体の事実関係は今後公判において明らかになっていくものではありますが、現に世間をお騒がせし、国土交通省の信用が損なわれていることから、今この段階で、私は国民に対するお詫びの意味を込めて給与の自主返納を行うこととしたものです。私の他に、担当の松島副大臣と山本政務官においても、政治家として、給与の1ヵ月分を自主返納することとしました。逮捕・起訴の一連の事案における事務の監督者として、春田事務次官、宿利国土交通審議官、増田官房長においても、給与の10分の1を1ヵ月分、国庫に返納いたします。このことは以上です。
 次に、タクシーの関係ですが、現在、本年8月31日までの期間において、宮城県の「仙台市」を道路運送法に基づく緊急調整地域に指定しておりますが、今般、同市を、9月以降、再度緊急調整地域に指定するために必要な運輸審議会への諮問手続を開始することとしました。仙台市につきましては、本年1月の緊急調整地域への指定後、地域の業界団体が「改善計画」を作成し、問題の解決に向けた具体的な取り組みを進めているところであり、計画の着実な実施を図るためには、もうしばらく同市を緊急調整地域に指定することが必要であると判断したものであります。なお、仙台市については、従来の指定要件にも該当しております。一方、昨年11月より、運用上の試行的措置として、緊急調整地域の指定には至らないが相当の供給過剰の状況にある地域を、特定特別監視地域等に指定し、運転者の労働条件の悪化や不適切な事業運営の下で行われる供給の拡大について、事業者の慎重な判断を促すための措置を試行的に導入しておりますが、7月3日の交通政策審議会のワーキンググループでお示しした国土交通省の「考え方」も踏まえ、今般これを見直すこととし、事業者団体による、需要喚起策や労働条件改善策等を内容とする「構造改善計画」の作成を求める等、供給過剰の問題の解決に向けた、より総合的、計画的な取り組みを促すことといたしました。これらの具体的な内容につきましては、後ほど資料を配付し、担当部局より御説明させていただきます。今回の措置は、供給過剰に伴う問題の更なる悪化を防ぐための措置です。もちろん減車をお願いするとか、そんなものではありません。これ以上増やすということについては、合理的な理由がそこにあるかどうか、運転者がいないのに車だけ増やしたり、あるいは、現にある車の実働率がそんなに増えていないのに車だけを増やしたりのようなことです。何故こういうことが行われるのかというと、思うに、ワーキンググループの結論が年末に出ますと、やはり、増車が著しく困難になるのではないかという思惑からの「駆け込み増車」というものが行われる恐れがあるため、我々の今回の措置は、供給過剰に伴う更なる悪化を防ぐための措置でして、現在審議中の交通政策審議会ワーキンググループの年末の答申を見据えた当面の試行的措置であります。いずれにしましても、審議会においては、安全・安心な輸送をはじめ利用者の利便が最大化するような制度設計の議論をお願いして参りたいと考えております。私からは以上です。

質疑応答

(問)最近、各紙で報道されていますが、関空や中部空港の地方路線の廃止であるとか、国際路線の減便・廃止等いろいろと報道されていますが、今後の見通し等について、大臣自信のご所見をお願いします。
(答)原油価格の高騰は、諸処に非常に深刻な問題を投げかけているのですが、特に航空燃料ついては、代表的な指標であるシンガポールケロシンの平成19年の平均価格は、86ドル94セント/バレルであったものが、本年7月3日には、昨年の2倍以上となる、181ドル65セント/バレルに達するなど急激な高騰が進んでおり、航空会社の経営に大きな影響を与えています。燃油価格の高騰は、諸外国のエアラインの経営にも直撃しており、米国の大手エアラインは、7月以降、10%以上の減便を計画しています。あるいは、経営が行き詰まって倒産するエアラインも出ています。IATA航空運送協会も、今回の燃油高騰はかつての9.11の同時テロを大幅に上回る影響を市場に与えていると予測しています。こういう中で、JALとANAが下期から路線の減便や休止を検討していると聞いていますが、航空路線の減便や休止は、一義的には勿論、航空会社の経営判断ではありますが、路線の見直しということは、必然的に利用者の利便に大きな影響を与えます。また、地域への大きな影響を与えるとともに、国際拠点空港としての競争力の低下というようなことも考えなければなりません。そういうことから、航空会社において、関係する自治体等と納得してもらうように十分協議を行って頂く。そのようなことが必要であると私は考えています。私はつとにそのようなことを関係者にも申し上げているところです。

(問)タクシー規制の件ですが、今、原油高や競争過剰等で、苦しいのはタクシー業界だけでなくて小売り等いろいろな業界が苦しいと思いますが、その中で、タクシー業界だけを規制を強化して保護しようというような利用者の利便低下につながる方向というのは理解が得られないと思いますが、そこで通達を改正して方針を変えられるというところのお考えをもう少し詳しくお聞きします。
(答)利用者の利便をどうこうということや規制を強化するという思想は全くありません。私は規制緩和論者です。やはり規制は緩和していくという大きな流れが、全てのものにあると思います。ただ、そういうものも行き過ぎるということになると、諸処に不都合が生じてくることは、多くの人が論じていることだと思います。だからといって、規制強化に戻るとか規制強化策をとるということは、私はすべきではないと思います。今回の措置は、言わば、運転する運転手がいないのに、今持っている車をなお増やすということはどういうことなのだろうかと。しかし、「それは駄目です」と言い切っている訳ではありません。最後は、どうしても増車すると言うのであれば、我々は法的な措置は持っていません。しかし、そこはよく話し合って、例えば、今持っている車の実働率、そういうものが全く変わっていないのに増やすということは、それは如何なものかということを、その事実が認められればそのように申し上げるということであって、減車せよということではないのです。そこのところを私どもは、規制を強化するとか逆戻りするとか、そういう趣旨ではありませんので、どうぞその点よろしくご理解頂きたいと思います。

(問)今の話の関連ですが、その特定特別監視地域という表現ですが、実際のところほぼ全国なのでしょうか。
(答)いいえ。600ぐらいある内の100です、6分の1、109です。ですから6分の1くらいの地域です。勿論それにあらゆる網を掛けて縛るわけではなく、我々がよく検査して、これはやはり駆け込みの増車をやっているのではないかというような地域、そういう疑いのある地域について109をセレクトして、これは根拠がしっかりありますので、これは恣意的にやっているわけではありません。6分の1ぐらいです。

(問)規制するのはそういった駆け込みの増車のみでしょうか。
(答)だいたいそうです。そのようにしか考えられません。結局運転手の数が足らないのに車を増やすとか、先ほど言いましたように、今ある車の実働率が全然増えていないのに車だけまた増やしてしまうというようなことは、合理的な説明が付きません。いずれにせよ、交通政策審議会のワーキンググループで7、8回やりまして、議論を相当詰めていますが、年末にそういうものについてきちんと答申を頂いて、法律改正すべきものがあれば、法律改正等そういうこともしますが、それまでの保全策としてそういうものを見越して、いたずらに増車をするということは止めてもらいたいということで、今回やろうというわけです。

(問)本日の閣議が長引いた理由は何でしょうか。
(答)総理から、北海道洞爺湖サミットについての報告や所感等を我々に詳しく話していただきました。そういうことで、別に何もありません。

(問)給与の返納ですが、以前も一度話があった時に、在任期間中のかなりの分を返納されることになるとお話しになりましたが、この事件の後も、直接業務に関係のないことではありますが、大麻等いろいろなことで職員の方が逮捕されるような状況が正直に言って続いています。返納する期間がこれだけ長くなったことも含めてご感想を。
(答)私は大麻の事件も本当に申し訳ないと思いますが、これは個人の犯罪だと私は思います。業務に絡んで組織的にやったわけではありません。ただ、私が今回自分自身を処分しようと思うのは、国土交通省の要職にある人が、これは私が就任する以前の話であったとしても、国土交通省の仕事の執行上こういう犯罪を行ったということを、国家機関が、検察がいろいろ調べた結果、そういうものが成立すると認定したわけです。それによって、有罪になるわけではありませんが、起訴をされ、これから裁判が始まるわけです。第1回の裁判で品川氏がどういった答弁をされるのか、認めるのか争うのかわかりません。こういうことは先ほども申し上げましたが、国土交通省の信頼を非常に大きく毀損するものでり、これは私はこの職にある者としては、国民にもお詫びを申し上げ、自分としてそれだけのことをしなければならないという思いでしているわけです。いろいろな事が多くて、今回も事務次官名で全ての職員に対して、大麻の事件についてもこういう犯罪行為が摘発されて非常に残念であり、国民に対しても申し訳ない、こういうことに手を染めたりすることがないようにやってもらいたいということをインターネットを通じて全職員に申し上げているところでして、ちょっと続き過ぎて私も随分ショックを受けてるわけですけど、当然その責任を取らなければならないと思っています。

(問)昨日、大阪高裁で明石の人工砂浜の陥没事故に関して、危険性が予見できたということで一審無罪判決が破棄されて差し戻しになったんですけれども、当時の現場を監督していた職員に対する刑事裁判ですけど、何かご所感がありましたらお願いしたいと思います。
(答)所感はあります。それは申し訳ない話ですが。ただ、これ刑事裁判の話でして、刑事の裁判の途中の話ですから、私がそれに対してコメントをするということは差し控えるべきだろうと思います。ただ、このように幼気な4歳の女の子が、砂の中に落ち込んで窒息死するというのは悲しい出来事でした。私は本当に心からお悔やみを申し上げますとともに、申し訳ないと思うのですけれども、それに対する裁判が一審で無罪で、2審は破棄して差し戻したという過程ですので、それ自身についてはコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

(問)地方分権の推進委員会が、出先機関の見直しの議論の中で、国交省ですと地方整備局とか運輸局を原則廃止して、都道府県に委譲できるものは委譲して残った部分を内閣府のもとに出先を統合するという案が検討されているということなんですが、大臣それについてのご感想をお聞かせいただけますでしょうか。
(答)地方分権のどの部分でそんなことが話に出たのか分からないんですが、記事は読ませていただきました。これは第2次勧告ということでこれから議論することでして、その主題はそのようになってますけど、これはあたかもそれでもうやるんだとかですが、これから議論することなんです。ですから、その記事の通りなんでしょうけれども、そういうことをおっしゃること自身、今から議論することで一部の人がそのように方向付けて報道してもらうというか、これはどうかなという感じはします。これからの話です。

(問)原則廃止というのは受け入れる余地はありますでしょうか。
(答)今から考えるんです。今から。そういうことが出てくるかどうか分かりません。

(問)先ほどのタクシーの話に戻るんですが、駆け込みの増車を規制するというお話で今回地域を広げるということでお話があったんですが、その前に例えば増車をすると儲かるようなタクシー会社の賃金体系とかを見直したり、もっと既存の業者が運賃競争をしてどんどん業者が退出してくるような、もっと市場原理を働かせたりとか、やり方は他にあると思うんですけど、それでもやはり規制という形で地域指定ということになるのでしょうか。
(答)今言われたことは、まさに規制そのものではないでしょうか。交通政策審議会でまさにそういう問題がいろいろ指摘されていることについてどう考えるか、そしてむしろそういうことをした方がいいということであれば、そういう答申を頂ければ、今度は立法しないとできません。そういう法律の改正をするという手順だと思います。決してするとかしないとか言っている訳ではないです。そういうことを見越して、理由のない駆け込み増車をしているのではないかと疑われる部分について、我々としてはそれはやめてほしい。我々としては交通政策審議会の答申を頂いて、その上でこの運転者の給与なんかでもひどいです。本当に。こういうことがなぜそのように起こるのか、そういう問題についてよく探っていきたいと思います。

(問)大臣、給与の自主返納の話なんですけど、3ヶ月分じゃないですか。今月からですか。
(答)だから次もらうところからです。

(問)そうすると内閣改造があった場合、そういうときはどうするのでしょうか。
(答)どうするのでしょうか。私の自主返納願いはここからの給与は3ヶ月分はお返ししますと書いてありますので。

(問)タクシーの件でまた恐縮なんですけども、報道では、参入時に必要な車両台数の数を引き上げるから、小規模な事業者の参入は難しくなるということが書いてあるのですけれども、そういったことも含まれているんですか。
(答)またあとで事務方がきっちりご報告を申し上げますけれども、今増車しているのはですね、だいたい5台ということになってますから、そういうギリギリの所の増車が多いんです。ですからそこら辺をどうするかということで、そこに書かれているようなことは、後で詳しく説明させます。

(問) 先ほど大臣からタクシー運転手の給与がひどい状況になっているという話がありましたが、そういうことも規制の理由の1つになっていると思われるんですけども、給与に関して、最低賃金法で規制するべきではないかという、労働法上で対応するべきだという声もすごく出てきてます。
(答)それでは運転手は誰も来ません。16時間も乗りますよ。家族を扶養できないような給与しか受けとれない運転手さんが沢山あるわけですよ。最低賃金を超えていたら良いんじゃないかということがあるかもわかりませんが、自動車を運転しておられる人の事故率が上がる、そしてまた深刻な死亡事故とかが引き起こされるというようなことがありますと、私の方としては困るわけですね。ですからやはり、もう少し余裕を持った普通の平均的所得が頂けるような、そういうことが望ましいのではないか。何故そうならないのだろう、まあだいたい年間タクシーを21億人くらい利用しておられるわけです。まあ仙台の例でみたらわかりますけれども、過剰、今まで2千台だったのが、3千台になってるんですね。そういうところでこういう問題が起こっているという認識はしています。

(問)自主返納の件なんですけど、普通、文書注意処分とか訓告とかそういった形を伴うことが多いと思うのですけれども、今回はそれは伴ってないのでしょうか。
(答)事案が確定していないのです。事案が確定した段階でこれはやります。

(問)大臣、また藤沢の方で生コンの業者が違法だったんですけどそれのご所感と、建築基準法上では規定がないとは思うのですが、その辺については何かしら設けた方がいいのではないでしょうか。
(答)実際、私は犯罪だと思います。生コンの場合は、納入する前にどれほどのものがJIS規格をきちんと備えているかとか、テストするんだそうです。そのときには普通の骨材が入っているわけです。そしてそれで合格して、いざ納入したらそこに溶融スラグを入れてやっている。だから、ここまで調べるというのは本当に難しいです。ですけれども、そういう溶融スラグが入ると強度が、倒壊するということではないにしても、JISもそれは認めてないわけですから、JIS規格が認めていない製品を使われますと、強度とか耐用年数とかいろいろな面に影響してくるのだろうと思います。今、事実関係を特定行政庁に、至急何棟使われてどんな建物にこれが使われているのか調査してもらうようにしています。その上で、これどうしたらいいのか考えなければいけないと思いますけど、全く犯罪だと私は思います。

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