副大臣・大臣政務官会見

岩井副大臣会見要旨

2020年10月14日(水) 10:03 ~ 10:26
国土交通省会見室
岩井 茂樹 副大臣 

質疑応答

(問)御就任に当たりまして、優先的に取り組みたい課題など、抱負についてお聞かせください。
(答)まず、国土交通省は、国民の皆さまの安全・安心の確保。
そして、持続的な経済の実現にも資するということがあります。
また同時に、豊かで活力のある故郷、地域づくりにも大変重要な役割を持っており、幅の広い分野を所掌しているところです。
今回、私は副大臣といたしまして、防災・減災、地域公共交通、建設産業、鉄道、自動車、観光等を担当することになりました。
その中で申し上げますと、何と言っても防災・減災、国土強靭化等の加速化・深化、これをしっかりと図ることが我が国の喫緊の課題だと認識しております。
このため、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を着実に実施するとともに、3か年緊急対策の後も骨太の方針に基づきまして、中長期的な視点に立って、必要十分な予算確保をしっかりと行い、防災・減災、国土強靱化にしっかりと取り組んで行きたいと考えております。
また、令和元年東日本台風や、令和2年7月豪雨など、頻発する自然災害からの復旧・復興にしっかりと取り組んで行くことも重要だと感じております。
次に、地域公共交通に関係した話でありますが、まず、新型コロナウイルス感染拡大による輸送需要の減少により危機に瀕している地域公共交通の確保、維持が重要だと考えております。
適切な感染拡大防止策を講じつつ、エッセンシャルサービスとしての機能の維持が図られるよう、引き続き関係省庁と連携し、これまで以上に強力に支援を行ってまいりたいと考えております。
また、同じく重大な影響を受けた観光の再生を図ることも重要だと認識しております。
まずは感染拡大防止策を徹底した上で、「Go To トラベルキャンペーン」の着実な実施などにより、国内旅行需要の喚起を図ってまいります。
その上で、コロナ後を見据え、インバウンドの回復までの期間を活用し、2030年訪日外国人6000万人等の目標に向けた取組を着実に進めてまいりたいと思います。
加えまして、建設業や自動車運送業などの国民生活や社会経済を支える重要な役割を有する産業につきまして、働き方改革や生産性の向上の推進などの取組を行い、将来の担い手の確保をしっかり図ってまいりたいと思います。
大臣へのサポートについても少し言及したいと思います。
赤羽大臣は、国土交通省の直面する様々な課題に対して「現場第一主義」、それでしっかりと取り組む姿勢を重視されております。
私も同じ姿勢で取り組み、国土交通行政がしっかりと前に進むように全力で取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(問)リニア中央新幹線についてお聞きします。
副大臣の御地元の静岡県ですけれども、建設に当たっての水資源への影響、あるいは環境への影響を巡って、建設に難色を示している状況かと思いますが、鉄道の御担当としてどのように対処されていくか、お考えをお聞かせください。
(答)リニア中央新幹線というのは、最速で東京・名古屋間を40分程度、そして東京・大阪間を1時間強で結ぶことによりまして、三大都市圏の間の人の流れを劇的に変えまして、国民生活や先ほども少し触れましたけれども経済、この面で大変大きなインパクトを持っていると考えています。
品川・名古屋間の工事については、全長約286kmのうちの約8割の区間で工事契約が締結されておりまして、工事が本格化しているところです。
このうち、私の地元の静岡工区におきましては、JR東海と静岡県との間の議論が、少し残念ではありますが、必ずしもかみ合っていない状況が見受けられるということも認識しております。
このため、国土交通省といたしましては、リニア中央新幹線の早期実現、その建設工事に伴う水資源と自然環境への影響の回避・軽減を同時に進めるため、本年4月に有識者会議を立ち上げさせていただきました。
これまでに計5回会議を開催させていただき、今も議論を進めさせていただいているところです。
有識者会議では、特に大きな水資源に関する2つの論点があると認識しております。1つ目は、トンネル湧水の全量の大井川表流水への戻し方。
2つ目として、トンネルによる大井川中下流域の地下水への影響について、引き続き科学的・工学的な議論を進めてまいりたいと考えております。
ここは重要だと思うのですけれども、リニア中央新幹線を進めるに当たっては、科学的・工学的な知見というのは大変重要であると思っているのと同時に、地元の理解と協力をしっかりと得ることが不可欠だと考えております。
事業主体であるJR東海におかれましても、地域社会としっかりと信頼関係を築くための取組を、是非これまで以上に積極的に行っていただきたいと思っております。
いずれにいたしましても、リニア中央新幹線につきましては、沿線自治体をはじめ、関係者間で早期開業への期待が大変大きいことから、国土交通省といたしましても、引き続き必要な調整、協力等を行ってまいりたいと考えております。

(問)抱負の中で触れられておりましたけれども、防災・減災、国土強靱化に対する御認識と、3か年緊急対策後の取組に関しまして、所管される分野である水管理・国土保全、鉄道、そういったもののインフラ整備、老朽化対策、その取組方針についてお伺いいたします。
(答)国土強靱化ということでありますけれども、御存じのとおり、我が国日本というのは、災害大国と言われております。
地形的にも大変急峻な地形であって、ひとたび雨が降ると、急峻な河川を一度に雨水が流れていくなど、様々な要因が挙げられます。
これまで、阪神淡路大震災、東日本大震災といった大きな地震災害、西日本豪雨、東日本台風、先日の7月豪雨といった風水害に見舞われるなど、地震、豪雨等の自然災害に対して、極めて脆弱な国土だということが言えると思います。
さらに、今後、皆さまお気づきのように、地球温暖化による気候変動が進行することも踏まえますと、より一層スピード感のある治水対策をしっかりと行っていくと同時に、防災・減災対策を確実に進めていく必要があると認識しております。
そのため、上流・下流や本川・支川という、流域全体を俯瞰した、国、県、市町村、地域の企業、地域住民の皆さま方、あらゆる関係者が協働して治水対策に取り組むという、「流域治水」という考え方に基づいて、河川管理者等が主体となって行う治水事業等を強力に推進していく。
ハード・ソフト一体となった事前防災対策を加速化していくことが肝要と考えております。
また、国民の皆さまの防災意識の向上というのも、ある意味ソフトの面になるのかも知れませんが不可欠だと考えております。
マイ・タイムラインの作成や、不動産取引時の水害リスク情報の提供など、国民の皆さまへわかりやすい形で災害リスク情報をしっかりと提供していく取組を進め、地域や個人の防災力の向上を図ることも重要だと思います。
財源について、こうした治水対策など、防災・減災対策に中長期的視点に立って計画的に取り組むため、本年度中に全国の1級水系において、戦後最大洪水へ対応するため、「流域治水プロジェクト」を策定させていただき、事業の全体像を国民にわかりやすく提示することとしています。
こうした取組等を通じて、3か年緊急対策後も引き続き、十分な予算の確保に努め、安全・安心な社会づくりのために全力を尽くしてまいりたいと思います。
ハード・ソフト一体で、国土交通省の「現場力」を最大限に活用しながら、災害から国民の命と暮らしを守るために、総力を挙げて防災・減災対策に取り組んでまいります。

(問)前国会で、賃貸住宅の適正化法が成立しました。
施行に向けた準備が進められているところですけれども、特に注力したいポイントと、この法律で新たに位置づけられます賃貸管理業界の皆さまに対してどのような期待をされますでしょうか。
(答)賃貸管理適正化法が今年6月に成立いたしました。
本法律の内容のうち、サブリース業者とオーナーとの間の賃貸借契約の適正化に関する措置については、いよいよ本年の12月15日に施行されることになっております。
サブリース事業者等が広告・勧誘・契約を行うに際し、オーナーとなる方に対する家賃減額のリスク、契約解除についての説明が不十分であることによるトラブルを回避することが何よりも重要なポイントと言えると思います。
さらに、法規制の実効性を担保するため、その趣旨や内容について、事業者はもとより、オーナーとなり得る一般の方々にも幅広く周知し、適切に運用を行っていくことが重要だと考えております。
このため、有識者や業界団体等からなる法施行に向けた検討会と実務者ワーキングにおいて、現場の実態を踏まえつつ、法違反となる事例など、具体的な規制の内容も交えて明示したガイドラインの策定に取り組んでおり、近日中にその内容を公表させていただく予定となっております。
本法律をしっかり遵守していただきながらビジネスが展開されることで、まずは悪質な業者が淘汰されていく。
そして、賃貸住宅管理業界がオーナーや入居者など、一般の方々から高い信頼を得て、国民生活の安定向上に不可欠な業界として健全に発展する。この法律を契機にそのようになっていくことを願っております。

(問)建設産業政策についてお尋ねします。
昨年の国会で成立した新・担い手3法に基づく働き方改革や生産性向上の推進、あるいは入管法改正で特定技能外国人が新しく創設されました。
女性活躍など、多様な人材の活用・活躍が求められていると思いますが、建設産業の魅力向上に向けた取組について、岩井副大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
(答)私自身も建設業界に身を置いておりましたので、その辺の重要性と課題などは十分認識しているつもりです。
その中で、建設業は社会資本整備の担い手であると同時に、地域の経済、雇用を支え、また災害時には、地域社会の安全・安心の確保のために最前線で地域の守り手として、国民の生活や社会経済を支えている大きな役割を担っていると私は感じております。
一方で、建設業は、他産業を上回る高齢化が進んでおり、近い将来、高齢者の大量離職による担い手の減少が見込まれることから、将来の建設業を支える若年入職者の確保が喫緊の課題となっております。
このような状況の中で、新・担い手3法も踏まえ、適正工期による契約の推進、施工時期の平準化、i-Constructionの推進等により、建設業の働き方改革と生産性向上の取組を強化していきたいと考えております。
また、業界と連携しながら、公共工事設計労務単価の引き上げによる適切な賃金水準の確保や社会保険への加入徹底、技能者の就業履歴や保有資格を蓄積する「建設キャリアアップシステム」の普及・活用など、処遇の改善。
これらについてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
担い手の確保・育成を図るためにも、必要かつ十分な公共事業予算の安定的・持続的な確保により、工事の事業量の見通しが持てるようになるということで、その辺りもしっかりと取り組んでいかなければいけないと思っております。
こうした取組により、若者が働きやすく、やりがいを持って仕事ができるような労働環境を整備するとともに、特定技能外国人の受入れや女性の定着促進に向けた取組、建設業の魅力を積極的に発信する取組、これらをしっかりと推進していくことが重要だと思います。
国土交通省といたましては、「給与がよく、休暇がとれ、希望が持てる」新しい3Kの魅力的な産業となるよう、取組を更に加速するとともに、業界等と連携しながら建設業の担い手確保に向けた様々な施策について、しっかりと進めていきたいと考えております。

(問)観光分野についてお聞きします。先ほど、訪日外国人6000万人の取組を着実に進めていくと仰られました。実際に、6000万人はかなり高いハードルだと思うのですけれども、今後どういった点に重きを置いて進めて行かれるのか、その辺の方針と、加えて、現状への課題の御認識についてお聞かせください。
(答)コロナ前の話になりますが、まず我が国は、2012年から昨年までの間に、訪日外国人旅行者数を4倍の約3200万人とするなど、大きな飛躍を遂げてまいりました。
それだけ我が国にはポテンシャルがあるということだと思うのですけれども、現在、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、水際対策を徹底しております。
その反面、訪日外国人旅行者数が大幅に減少しているのも事実です。
ただし、我が国における自然、食、伝統文化、芸術、風俗習慣、歴史など、日本各地の観光資源のそれ自体の魅力が失われたわけではないということを申し上げたいと思います。
まずは、新型コロナウイルスにより大きな打撃を受けている観光産業の事業継続や雇用維持に全力を尽くし、その上で、安全・安心に旅行できる環境を整備するとともに、Go To トラベル事業によって国内の需要をしっかりと喚起したいと考えております。
また、インバウンドの回復までの期間を活用しまして、魅力的な滞在コンテンツの造成や、Wi-Fi環境の整備、多言語対応、洋式トイレなどの訪日外国人旅行者の受入環境の整備等をしっかりと進めるとともに、世界的な感染収束の状況を見極めつつ、訪日プロモーションも進めてまいりたいと考えております。
国土交通省といたしましては、引き続き、2030年訪日外国人旅行者数6000万人等の目標実現に向けて、政府一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。

(問)自動車分野について伺います。
新政権で、規制改革やデジタル化が掲げられていますが、タクシー等の分野の自家用車ライドシェアに関しては、副大臣はどういう御印象、お考えをお持ちでしょうか。
(答)我が国において、人口減少社会と言われて久しいのですが、地域の中で人口がかなり減ってきているということで、特に地域交通の中において、タクシーの分野は、ある意味大変厳しい状況になっていると思います。
MaaSもそうですけれども、そこをどう乗り越えていくかということに関しては、新しい技術もしっかりと取り込みながら、業界団体の皆さま方の御意見もしっかり踏まえて、何か新しい取組をしていく必要があると考えております。
ライドシェア等の話はありますが、そこにつきましては、何が実効性があって何が効果があるか、そして、トータルとして地域経済を支えているタクシーを含めた公共交通が本当に維持・継続できるのか、地域の方々のためになっているのかということをしっかりと検証しながら取り組んでいくことが重要だと思っております。

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