副大臣・大臣政務官会見

繰り下げ馬淵副大臣会見要旨

2010年6月22日(火) 16:00 ~ 16:21
国土交通省会見室
馬淵澄夫 副大臣 

質疑応答

私から一点、平成22年度高速道路無料化社会実験の効果検証につきまして、御報告がございます。
皆さんのお手元には、資料をお配りさせていただいているかと思います。
これにそって説明をさせていただきたいと思います。
この効果検証についてということで、検証の概要を示しております。
高速道路の無料化を行い、社会実験として行った場合の実績データの観測ということでございます。
一般道から高速道路への転換、通行台数等をしっかりと確認をする。
渋滞の変化、走行速度、渋滞回数、渋滞の長さと、また物流車両の利用状況ということで、利用回数、あるいは到着時間の正確さと、また観光客数に関しましては、主要観光地の観光客数、旅行の回数等、また他の公共交通機関の輸送量に関しましては、鉄道、フェリー等の輸送量、その他に関しましては、交通事故や夜間の騒音等、こういったものの実績データを観測いたしまして、効果、影響の分析を行います。
経済効果としては、私ども最も大きいものだと考えております時間便益等の分析、さらには物流コストへの影響分析、また、観光地への波及効果の分析、そして環境問題、これも注目されておりますので、CO2排出量の増減分析や他の交通機関への影響の分析等を行うということでございます。
こうして、無料化の内容につきまして詳細に把握をし、また皆様方に公表をさせていただきたいと考えておりまして、2ページ目をご覧いただきますと、リアルタイムでデータを収集し、わかりやすく検証結果を公表するとしております。
開始日は、28日の午前0時でございます。
高速道路の交通量、渋滞発生の有無等を、これもリアルタイムで収集いたしまして、検証結果を発表させていただきますができる限り早くということで、現時点におきましてはちょうど28日月曜日の午前0時からスタートいたしまして、9時間のデータを実測すれば昼には皆さん方に公表が可能だということになるかと思われます。
いずれにしても、ずっと時間を継続でとっておりますので、まず無料化になった月曜日の深夜、未明となりますのでどれほどの変化があるかというのは難しいかもしれませんが、いち早く皆さん方にはその効果の結果というものをお示しするということでその準備を進めております。
今申し上げたように、午前0時から9時までの9時間の実測値をお昼には公表するということも可能かということで、できる限り皆さん方にそういった形で公表させていただきたいと考えております。
そして、状況というものは曜日やその時期によって違ってまいりますので、1週間程度データが揃いますと、一般道から高速道路へどうのように転換していったのか、渋滞回数がどう変わっていったのか、走行速度の変化等も取りまとめて7月上旬には1週間データという形で公表させていただきます。
また、1か月、3か月、6か月といった長期データでは、さらにお盆をはさみますのでこういった繁忙期、混雑期の状況も含めて、物流車の利用回数、観光地における観光客数、これらもまとめて公表させていただきたいと。
他の公共交通機関への影響等もこの段階でこうした中長期データに基づいて御提示をしてまいりたいと思います。
3月末の年度末には、この期間内のデータの全ての取りまとめを行いまして、経済効果分析といたしまして、時間便益は実測が出てまいりますし、物流の検証結果、さらには主要観光地等の観光客数等も含めて、これも一定程度効果を分析結果として御提示できると思います。
CO2の排出量も速度の変化等々で読み取れますので、CO2の排出量、他の公共交通機関への影響といったもので整理をして、年度末に検証を行いたいと思います。
3ページ目を御覧いただきますと、並行する一般道の渋滞状況の変化ということで、これはイメージでございます。
並行一般道がどのような形で変わるかということであります。
今回、リアルタイムでということを繰り返し申し上げておりますが、これまでの観測は車の速度に関しましては、断面での走行速度調査、あるいは交通量は5年に一度のセンサスでやっておりますが、人手による交通量調査が秋季に1日実施ということでありました。
今回は、ITS、これらの技術を駆使しまして常時高精度の観測ということが可能になります。
区間の実際の走行時間データを収集いたします。
ここにプローブカーのデータによるとございますが、これは位置や時刻情報等の蓄積・通信が可能なITS車載器等を搭載した一般車両とあります。
わかりやすく言えば、ETCを付けた一般の方々の車がプローブカー、すなわちデータ収集の車になり得るということでありますから、非常にリアルタイムな情報データが手に入るということになります。
交通量に関しましても、トラフィックカウンターの活用によりまして365日、24時間の観測が可能と、いわゆる人手による調査ではございませんので、これもセンサーを用いて通過する車両数等を自動的に計測するということで、これも可能になります。
この意味で、今回のデータ収集というのは大変新しい方法を用いながらリアルタイムで全体を把握することが可能だと考えております。
また、路線全体にかかわる評価としましては、4ページ目を御覧いただきますと、これもイメージ図を載せております。
プローブカーのデータを活用することによって、1断面の速度変化だけでなく路線全体の速度変化を観測できるとありますが、ここにありますように道路は流れております。
その断面を区切った所での流量ということでありましたが、あるいはそこを通過する車の状況によって速度変化ということでありますが、先ほど申し上げたようにこの車載器を搭載した車全てからプローブデータとして頂けるので、速度変化というものを詳細に見ることができます。
このイメージ図にありますように、路線の流れの速度変化をリアルタイムで把握することができるということで道路のサービス水準を精度良く、透明化する形で把握ができますし、また的確にその課題を把握し、低コストで効率的な対策などにも活用ができるということになります。
こうして路線全体に関わる評価も行います。
私どもとしては、こういった情報を全て社会実験として国土交通省のホームページで順次公表をさせていただく予定であります。
こうしたデータの検証体制でございますが、6ページ目最後にございますが、政務三役の指揮の下、省内の関係局が連携をして実施をいたします。
ここにありますように、道路局がデータの取りまとめを行いますが、調査データといたしましては、省内、鉄道局、自動車交通局、海事局、航空局、観光庁、こういった所のデータ並びに高速道路会社からもデータを頂き、とりまとめると。
他省との連携も図ります。
これは以前にも申し上げているように、警察庁などのトラフィックカウンター、あるいはビーコンシステムといったデータも頂くということになっておりますので、連携を図りながら最終的にこれを検証するのは政務三役にてということにさせていただこうと考えております。
以上、私の方からは高速道路無料化の社会実験が28日から実施でありますが、その検証体制並びに検証項目、その内容についての概要をお伝えをさせていただきました。
なお、お手元に、その交通量等の観測箇所の日本地図データをお渡しさせていただいたかと思いますが、ここにありますように無料化社会実験区間に即した形で交通量等の観測箇所を示しております。
ここでは50箇所ということで観測箇所をここに挙げさせていただきました。
私からは以上です。

(問)先ほど大臣会見で、来年度の高速道路無料化の概算要求額については、1,000億円を上回る規模を要求したいというお考えがありました。
8月末の概算要求段階というのは、この実験の結果をある種織り込んである程度路線を想定して要求されるのか、あるいはそこは年末まで腰だめで要求して年末までに詰めていくということになるのか、どちらでしょうか。
(答)まだどのような形でデータが収集されるかということについては、現時点で準備はいたしましたが、8月段階となりますとかなり限られた1か月データというふうになるかと思います。
これが全て無料化区間の方向性を定めるものかというのは一概に言えない部分があるかと思いますので、ここは23年度の概算要求に向けては、様々な観点からこれは何よりも財政的な制約要因というのが大きくございますので、これらも勘案しながら判断をしていきたいと。
当然ながら、使用できるデータ等については十分検討の俎上に乗せながらということだとは思います。

(問)今のデータの様相の中には、当然プラスのものとマイナスのもの等があると思うのですけれども、来年度の無料化路線を決めて行くに当たって、データの重み付けと言いますか、判断というのはどのように反映されていくのでしょうか。
(答)当初より申し上げているように、極めて経済効果が高くなるとお伝えしてきたわけで、実際に一般道路間の転換量、更には一般道並びに高速道路を並行している一般道、高速道路、これは全体の便益、すなわちこれは走行速度がどのようなものになるかということで、今回、無料化にはしていない区間についても非常に詳細なシミュレーションは可能になると思っております。
今までも無料化については様々なシミュレーションを行ってまいりましたが、こうした実測値はありません。
あくまで休日1,000円などのデータを基に想定することはできました。
渋滞状況の全体像を見ながらとかですね。
今回は無料化でありますから、この社会実験の結果によって全体シミュレーションもより詳細なものができる可能性はあると思っておりますので、今後はこういった経済効果、実績としての経済効果、そして更にはこの実績を踏まえたシミュレーション、そして公共交通機関への影響というのは前々から申し上げておりますので、公共交通機関への影響ということを踏まえた上での選定になるかと思われます。

(問)そのシミュレーションをして、今まだ無料化されていない路線をより精緻な形でシミュレーションをすると最もその便益がデメリットに比べると高そうだという順位のようなものが数値化されていくということなのでしょうか。
(答)全体のネットワークの中で、以前にもお示しをしたことがあるような、私どもコンピューターでネットワーク全体図をつないで料金が無料になった場合、どのような形で便益が出るかというのはシミュレーションを既にモデルとしては持っておりますので、これは外部に委託をしてやってきたものがありますので、こうした中で、より精緻な係数なり、関係する関数の数値なんかもより精緻なものが可能になると思われますので、実際には実績結果を踏まえながら、これは前にも申し上げておりますが、無料化した段階でどのような形で交通量が転換していくかというのは机上だけでは確実に捕捉できませんので、前々からご指摘あるような誘発交通量の問題もありますので、これは実際に行って判断をしていかねばならないと思います。
極めて重要なデータが得られると思っております。

(問)今日、国交省の政策集2010というのが発表されたのですけれども、その中で高速道路の今後の整備方針について具体的にいつ考え方をまとめるかというところの記述がちょっと無かったのですけれども、現段階の考え方を改めてお願いします。
(答)これは前々から申し上げているように、予算を編成するまでにはしっかりとネットワークの在り方も含めて決めていかねばならないと思っておりますし、当然23年度の予算編成ということについて言えば、年末までにということになります。
今回、菅政権の下、改めてこうした党の要望も含めて、党として幹事長あるいは政調会長、官房長官、また総理、そして当然ながら我が省におきましては大臣ということでご判断いただく部分があります。
その結果を踏まえて、私どもとしてはその指示に従って検討していきたいと思っております。

(問)経済効果について年度末に発表されるということなんですけど、現在、走行便益に1,500億円という試算があると思うんですけど、結果的には走行便益だけで1,500億円なので、年度末はその他もろもろの経済効果も乗ってくるということなんでしょうか。
(答)先ほど申し上げたように、観光等への地域の波及効果分析ですね、これも当然行っていくということですから、あくまで私どもとしては道路データから得られる便益というものは走行便益として切り出して御提示をしますけれども、観光客の増減等、これにつきましては各観光地域の方々の御協力を得ながら、データとして御提示できるものについては発表してまいりたいと思っております。

(問)CO2についてなんですけど、環境省の試算と国交省の試算がずれたりしていましたけれども、この辺はどういうふうに算出していくのでしょうか。
(答)CO2は間違いなくどこから出るかというと、これは車からですので、車の実際の走行の状況というものが明らかになれば実績で出ますので、環境省さんの数値と国交省の数値が違うというのはあくまで試算の話です。
試算の問題でなぜそこに乖離があるかというと、一つには推計のモデルの違いがあるということと、また推計のモデルに関連しますけれども、誘発交通量を勘案するかしないか等々ありますので、前々から申し上げていますけれども、こういったものを実績をベースに出させていただければ、これは当然ながら一つの結果でありますので、一つの結果として御提示できると思っております。

(問)それは並行する一般国道と高速道路とセットでということでよろしいのでしょうか。
(答)もちろんそうです。

(問)28日に最初の9時間で昼に実測値のデータを公表したいということですが、それはこれまでどうだったかということと比較するような形で出てくるのでしょうか。
(答)これまではこういった詳細な形のデータの取得をしておりませんので、少なくとも零時から9時までの期間で比較するというものが詳細に全線において可能かどうかというのは難しいんですが、一定のケースとして比較できるようなものについても、出せるものについては出していくことになると思います。
まずは、私どもとしては実績値を出すと、公表していくということが中心になると思います。
御指摘の部分は、様々な変化の結果だとかだと思うんです。
これは一定程度データの蓄積がないと申し上げられませんので、ここについてはまず我々としてはリアルタイムに状況をお伝えするということが第一だというふうに思っています。

(問)今回マニフェストも総理指示も、公共交通機関への影響を踏まえて段階的に無料化するというふうになりまして、ここで出る公共交通機関への影響というものと経済効果の部分というもののメリット、デメリットをどういうふうに比較するかというところが大事になってくるかと思うんですけれども、それは何か同一の定量的な比較というのはできるのでしょうか。
(答)公共交通機関データを頂く中で、例えば旅客は著しく減じた、あるいは逆のこともあるかと思います。
増えたといった場合もあるかと思います。
それによる経済効果というものをどう把握するかということはしっかりとどなたもが納得できるような形で整理をしたいと思います。
そして一方、高速道路の無料化によって発生した便益、これは走行便益もありますし、あるいは観光客の増による、いわゆる観光ビジネスにおける経済効果等々、やはりトータルでの経済効果というものを我々は御提示していかなければならないと思っておりますので、その意味では公共交通機関、どの路線とどの路線で並行していてどうなのかといことよりも、トータルでの判断というものを御提示していくことになるかというふうに思います。

(問)無料化が非常にうまくいって地域も活性化したと、だけれどもJRがお客が取られて不満を言っているというような場合においては、それでもまだ無料化をやるという判断はあり得るということですか。
(答)これはもう何度も申し上げているように影響というものを考慮しながらですから、その考慮をした上で物事というのは進めていくことになると思いますので、いずれになるかというのは現段階ではわからないということだと思います。
著しい影響があって、全体としてマイナスになるようなことは避けねばなりません。
繰り返し申し上げておりますが、私どもといたしましては総合交通体系というものを基本に据えた交通基本法というものをこの23年度には提出予定としておりますので、そういった観点から齟齬を来さないような段階的な無料化の実施というものを進めていくというのが基本でありますので、そこは全体を考慮しながらというふうになるかと思います。

(問)物流コストへの影響分析のことなんですが、具体的にどういった手法での分析というものを考えていらっしゃるのでしょうか。
(答)ETCなどに関しましては、車種をある程度捕捉できますので、いわゆる大型車、物流トラック等の速度、プローブデータとして得られるものから便益がどの程度上がっていくのか、あるいは全体の渋滞の頻度も回数も、あるいは渋滞量も含めて、その到達時間がどの程度減じたのかということも含めて、これは把握できる部分を把握をしていこうと、こういうことで物流コストの、これは低減なのか増なのかも踏まえてですけれども、最終的には整理をして御提示をしたいと思っております。

(問)今後の道路整備の方でのデータの活用というのもあり得るのですか。
(答)今後の道路整備に関しては、このデータそのものよりもむしろ事業評価、あるいはこの事業評価の仕組みや事業評価の方法、こちらが極めて重要な要素になるかとは思います。
ただ交通量の転換が無料化によってこういう形に変わるんだというときには、将来の交通の需要の予測についても一定程度参考になる部分もあるかもしれませんが、基本的には、事業評価の仕組みと方法、基本的な需要推計の考え方、これが一番であると思っております。

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