副大臣・大臣政務官会見

長安副大臣就任会見要旨

2012年10月10日(水) 15:03 ~ 15:26
国土交通省会見室
長安 豊 副大臣 

質疑応答

 10月2日に国土交通副大臣を拝命いたしました長安でございます。
よろしくお願いいたします。
2009年に政権交代をさせていただき、政権交代直後は、この国交省の政務官を拝命したわけであります。
それから退任後2年が経って、また再び、この国土交通省に戻ってこれたというのは感慨深い思いでございます。
やはり今回副大臣を拝命したこのタイミングというのは、任期が1年を切る中のタイミングでございます。
そういう意味では、この間取り組んできた成長戦略など、また民主党政権が手掛けてきた改革をしっかりと仕上げ、また成果に結びつけていきたいと考えております。
何も出来ていないというような御批判もいただくこともあるわけでありますが、2009年当時に、国土交通大臣政務官として私も取り組ませていただきました成長戦略会議、半年に渡る侃々諤々の議論をさせていただき、様々な課題、また取り組みというものをまとめさせていただいたわけです。
その中でも、例えば航空分野におきましては伊丹空港の民営化、関空との経営統合ということが法律で国会にも出され、成立し、また本年7月1日に関空・伊丹の経営統合もなされました。
また首都圏の空港では、羽田空港の24時間空港化ということも実現して参りましたし、オープンスカイという意味でも多くの国々との締結をはじめ、またLCCの振興ということも努めてきたわけであります。
そういう意味で航空分野では大きな前進があったと思っております。
また港湾の分野でも選択と集中、また日本の国際競争力を高めていかなければならないという中で、当時は国際コンテナ戦略港湾の選定ということもさせていただきました。
私の退任後はバルクの戦略港湾、また日本海の拠点港湾も選択されたわけでありますが、選択と集中という取り組みがなされてきたわけであります。
また昨年の東日本大震災という、想定外のあのような大災害があったわけであります。
この復旧・復興の過程で国交省の緊急対応力、また組織力というものは、地域の皆様をはじめ、多くの皆様から評価をいただいてきたところであります。
さらに職員の力を全て引き出してチーム力を発揮できる、組織・ムード作りに取り組んで参りたいと考えております。
以上でございます。

(問)就任に当たって、今後具体的に優先的に取り組んでいきたいと思っているテーマ・課題について聞かせてください。
(答)まず、我が国の成長戦略を確固たるものにするために、国民一人一人、また企業も含めた経済主体が、前向きに自信を持って活動できる基盤を構築することが最重要課題だと思っております。
さきほど申し上げました国土交通省の成長戦略をベースにしっかりとPDCAサイクルを回しながらスピード感を持って前進して参りたいと考えております。
また、東日本大震災からの復興というものは、引き続き重要課題と認識しております。
変化する現場のニーズに柔軟に対応しながら、1日も早く被災者の皆さんが生活再建を実感できる環境を整えることが政治の使命だと考えております。
また今般、尖閣諸島をはじめ、領土・領海の問題が起こっております。
しっかりとこの領土・領海の警備には万全を期して参りたいと思っております。
尖閣諸島、竹島に関しましては、我が国固有の領土である、ましてや尖閣諸島に関しては領土問題は存在しないという我が国の立場をしっかりと堅持しながら、対応に当たって参りたいと考えております。

(問)海事産業についてですが、国際競争力の強化策、トン数税制の拡充などについての対応と、現在海賊問題とか自動車船のカルテルに関する査察の問題等がございますが、海事産業への対応について御所感をお願いいたします。
(答)海事産業、日本の海運というものは、世界に誇れる海運だと思っております。
そういった中で、先にカルテルのお話から申し上げますと、先般9月に公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで外航船舶運航事業者に対して立入検査を行ったと聞いておりますし、報道でも見ております。
公正取引委員会が独占禁止法違反として調査を行っていると聞いておりますが、国土交通省といたしましては調査に必要な協力はさせて頂きたいと思っておりますし、また違反等の事実があれば適切に対処して参りたいと考えております。
トン数税制をはじめ日本の商船隊を充実させると同時に、競争力を高めていくという施策をこの間も取り組んで参りました。
トン数税制は日本籍船については導入されておりますし、また日本籍船が増えるように後押しとなるようなトン数税制をさらに拡充していきたいと考えております。

(問)海賊問題は如何でしょうか。
(答)アデン湾で海賊問題が発生しております。
これは武装警備員を乗船させたいとのお話を、経済界等の関係機関からお伺いしているところでございます。
次期通常国会でもしっかりと対応できるような法案を提出させて頂けたらと思っているところであります。
これは内閣官房総合海洋政策本部が取りまとめをしており、国土交通省が中心となり、今検討作業を進めております。
いずれにせよ、日本国籍を含む我が国商船隊の航行安全確保に万全を尽くして参りたいと考えております。

(問)先ほど国際コンテナ、バルクのお話がございましたが、新たに副大臣になられて今後どのような御展開をされていくのか、心づもりなどありましたらお願いします。
(答)前回(国土交通大臣政務官当時)から出席しておりましたので、あの時はまさに港湾局の会見のような会見ばかりでした。
この間、国際コンテナ戦略港湾、あの時の選定が終わった後で、各選定された港湾管理者が民営化を行っていく、また経営統合を行っていく取り組みが進んでいるとお伺いしております。
大切なのは、やはり我が国の競争力をいかに高めていくのかということが大きなポイントであります。
あの当時から言われておりますが、北米航路の日本への寄航というのが年々減少している中で、我が国産業、我が国企業にとっても物流が上手くいかない弊害が出ているというような状況でありました。
そういう中で、2015年に今釜山でトランシップされているような貨物を半減させて、日本の港から北米あるいは欧州に直接運んで頂くということが一つの一里塚でございます。
そこを目指してしっかりと取り組みを進めて参りたいと考えております。
バルクに関しましては、石炭、鉄鉱石、穀物の3つの品目で選定をさせて頂いております。
世界の流れが船舶の大型化が進んでいる中で、日本の購買力を高めるためには船舶の大型化に対応しなければならないということであります。
そのためには当然岸壁等が対応することが重要でありますが、一つの港だけでなかなか大型船舶の貨物を降ろすということが出来ない、需要的に足りないという部分もあります。
そういったところに関しては二港揚げをするように企業間で連携を取って頂くということで選定をさせて頂いているわけでありまして、その過程で例えば鉄鉱石では、例えば新日鉄と住金の経営統合と合併が進んでいるわけであります。
これが進んでいくことによって、さらに二港揚げとかの資源の運搬の効率化が図られていくのかと思います。
国としてもしっかりと支援をして参りたいと考えています。

(問)北海道局と北海道開発局についてお伺いしたいと思います。
存廃問題ということもございますが、副大臣として今後のあり方と課題についてお考えをお願いします。
(答)北海道は、食・観光・エネルギーと非常に高いポテンシャルを持った地域だと私は思っております。
そういう意味では、食の供給力の確保、観光立国の推進など我が国の課題解決に貢献するためには、北海道の総合的な開発が必要だと考えております。
御存知のように北海道局におきましては、北海道総合開発計画を企画・立案・推進するほか、国家的課題であるアイヌ政策、また北方領土隣接地域振興等の重要施策も推進をさせて頂いているところです。
また北海道開発局では、河川・道路・港湾・空港・漁港・農業等の直轄の公共事業を一元的に実施するなど、北海道開発を総合的に推進する役割を果たしております。
日本再生戦略においても、農林漁業の再生、観光立国を位置付けておりますので、現在進めている第七期の北海道総合開発計画の中間点検も踏まえ、今後も北海道の総合開発を推進していく必要があると考えております。

(問)今お話がありましたように、2年ぶりにお帰りになりました。
前は政務官でしたが、今度は認証官として着任されましたが、何か心構え、意気込みというのは違いますか。
(答)意気込みが違うというとおかしいことになりますが、前回は政権交代直後でございました。
その中で政務官という大役を拝命致しましたけれども、ある種自ら反省をしてみますと、肩に力が入りすぎていたかなと思う部分もあります。
今回2回目ということですが、今、所管事項の説明を受けてますが、慣れ親しんだテーマばかりであります。
いたずらに政治主導を振りかざして、政治家と官僚組織が対立するのではなく、シンクタンクとしての官僚組織の力をいかに生かしていくかに力を注いで参りたいという決意を新たにしているところであります。

(問)冒頭で航空政策についてはかなり進展があったというお話がありましたが。
(答)例えばですよ。
(問)今後、航空分野で、今後の課題、もしくは取り組みたい部分、残っている所があればお聞かせ頂ければと思いますが。
(答)成長戦略会議の大きなテーマであった航空分野であります。
私も地元に関西国際空港を抱えておりますので、個人的にも政務官に就任する前から非常に関心を持って取り組んできた訳であります。
あの時に成長戦略会議の中の報告書で出てきたのは、徹底的なオープンスカイの推進というのが一番最初でございました。
これは先ほど申し上げたとおりで進展している。
首都圏の羽田空港・成田空港の強化、これも進展しているのは御存知のとおりであります。
それから航空ネットワークの維持、これについてもJALの会社更生等ありましたけれども、先般JALが再上場するということになりまして、一定程度のネットワークの維持というのはできたのではないかなと思っております。
先ほど申し上げた関西国際空港と伊丹空港の経営統合によって、関西国際空港の国際競争力が高まっていくものと思っております。
一つ、先ほど申し上げた中で抜けているのが、民間の知恵と資金を活用した空港経営の抜本的効率化です。
先般の通常国会に空港の民営化という法案を出させていただきました。
残念ながら国土交通委員会の中では審議がされずに終わってしまったわけです。
全国的にも空港の民営化ということには非常に関心を持って頂いております。
皆さん御存知のとおりでありますが、国管理の空港が全国27あり、27の全国の空港の着陸料収入を例えば空港整備勘定に入れて行っている訳ですが、従来のような整備の仕方、また、運営の仕方では競争力が高まっていかないのではないかという問題意識から生まれてきたわけです。
つまり海外の空港は、例えば隣の仁川国際空港にしても、多くの国際線を日本の地方空港に直接乗り入れているわけです。
多くの日本人客が、日本から仁川国際空港に行き、仁川国際空港でトランジットをしてヨーロッパ、あるいは北米に旅行をしているという状況があるわけです。
私は、まさに国内の需要が奪われているという認識でおります。
そのような中で、やはり日本の中でしっかりとしたネットワークを張っていかなければならないと思っております。
しかしながら、ネットワークということになると、今までは航空会社任せになっていた部分も多かったのではないかなと思っております。
その国の管理というものを、民間に改めることによって空港もしっかりとネットワーク充実のために、経営戦略を立てて取り組んで頂くということが非常に重要だと思っております。
これは今は閉会中審査となっておりますが、次期臨時国会でも引き続き審議されるものとなると思いますが、しっかりと成立に向けて取り組んで参りたいと、これは一つ大きなまだ残された課題だと思っております。
とりわけ、この民営化に関しては、被災地である仙台空港の民営化というものは、官民が入って様々な議論がなされている中でありまして、国としてもしっかりと後押しが出来るように、この法律の成立に向けて取り組んで参りたいと考えております。

(問)都市の低炭素促進法ですが、今、国として基本方針の策定をなさっている状況かと思いますが、その進捗状況もしくは大まかなところが決まっていればというところと、各自治体にそれを自己的に計画をしてもらうために、何かインセンティブなど、どのようにお考えでしょうか。
(答)この都市の低炭素化の促進に関する法律は、先般の通常国会で成立し、9月5日に公布されました。
3ヵ月以内に施行をすることとなっております。
この低炭素まちづくり計画の作成に関する基本的事項などについて記載することとなっておりますが、本法律の施行と併せて12月始めに公表出来るように、共管の省庁であります経済産業省と環境省と共に策定作業を現在進めているところです。
それからもう一つ、支援策ですが、基本方針を作ったけれども、自治体での計画がなかなか作られないということでは困りますので、我々は積極的にこの策定が進むような支援策を考えております。
具体的に申し上げますと、計画の策定に関わる経費の補助、それから計画の策定を行う上で当然必要なる情報の提供もさせて頂きたいと思っております。
また、平成25年度の予算の要求の中においても、この計画に位置づけられた事業に対する国費率のかさ上げ等、支援策の強化に努めて参りたいと考えているところです。

(問)国内の道路ネットワークの現状と課題について、副大臣の御所見をお願いします。
(答)我が国は2005年から人口減少社会に入っております。そのような中で、国際競争力を高めていくためには、やはり慢性的な渋滞の解消等、大都市の機能強化が重要であると私は考えております。
そのためには、東京の外環等の環状道路等の整備によるネットワークの強化が必要だと認識をしております。
また、先程来何度も申し上げておりますように、東日本大震災におきましては、道路ネットワークが果たす役割が再認識されました。災害に強い国土の実現を図るため、これは地方部分の高速道路のミッシングリンクについてはしっかりとネットワーク機能を早期に確保することが重要だと考えております。
しっかりと地域の要望も賜りながら、道路ネットワークの強化に取り組んで参りたいと考えております。

(問)同じく道路関連ですが、首都高の再生の提言が先日まとまりまして、提言を受け止めて今後国土交通省としてどのように対応されていくのか、その辺りのお話を聞かせて下さい。
(答)首都高は建設から長い年数が経ち、非常な老朽化が進んでいると私も認識をしております。
政権交代当時でしたか直後でしたか、当時の馬淵副大臣と共に道路を担当させて頂きまして、首都高の老朽部分を実際視察にも行きました。
そのような中で、首都高の耐震補強等は取り組まれてきていますが、いよいよ寿命が近づいているという認識を持っております。
一方で、この首都高は、東京、この首都圏の競争力を維持していく、また高めていくためには欠くことが出来ないものだと思っております。
そのような中で、今提言がなされている訳ですが、当然費用対効果が一番重要になるかと思いますが、そのようなことを総合的に判断した上で、新たな首都高を上に作るのか地下に作るのかという様々な議論がありますが、判断をして参りたいと考えているところです。

ページの先頭に戻る