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熊本県菊池市

キャンプ場への集客が地域の驚きと人々のつながりとなる竜門ダム

■実施主体:株式会社MOFF(MOUNTAIN OF FAMILY)

◆地域活性化の歩み

多目的ダムとして平成14年3月に完成した竜門ダム。ダム建設により集団移転で住民は減ったものの地域を盛り上げようとさまざまな取り組みが進められてきた。地域を活性化するため、国や県、市が中心となり策定した「竜門ダム水源地域ビジョン」を受けて設立された「竜門倶楽部」の他、龍門ふるさと振興会、龍門林業研究グループなど、さまざまな団体が地元住民を中心に発足。緑化活動や桜の植樹、龍門ふるさとまつりなど、団体主催の各種イベントが行われてきた。

多くの利用者でにぎわうキャンプ場多くの利用者でにぎわうキャンプ場(竜門ダムフェスタ)

◆「㈱MOFF」の挑戦

平成10年には地元の要望を受け、ダム湖畔に市交流促進センター「ロンロン館」がオープンし、ダム湖観光と山村地域振興の拠点施設として営業が始まった。しかし、ロンロン館は季節や曜日によって来客数の変動幅が大きく売り上げが伸び悩み、平成30年にはテナント事業者が撤退するなどの苦境に直面する。地域が衰退してしまうと危機感を持った地元出身の緒方元一さんは仲間と一緒に「㈱MOFF(MOUNTAIN OF FAMILY)」を設立。ロンロン館のテナント事業者に手を挙げた。「ダムができてからお客さんもそれほどいなく、活用をどうしていこうかという時に芝生広場自体はお客さんが結構いらしていたことに気づいた。ロンロン館自体を活性化するよりも芝生広場をメインとして活用した方が逆にロンロン館の活用にもなるのではないかと思ったのと当時はキャンプブームが始まろうとしていた時だった」と緒方さんは語る。

ダムを管理する国土交通省菊池川河川事務所に相談したところ「都市・地域再生等利用区域(オープン化)」という制度がある、これを活用した取り組みをしてはどうかとアドバイスをもらった。

令和2年1月には国や市の全面協力の下、区長や各団体の代表者からなる「竜門ダム周辺地域活性化推進協議会」を結成。地元住民と協力しながら令和2年9月に「ドラゴンキャンプ場」が仮オープンとなった。

◆キャンプ場開設

営業開始後は順調に売り上げを伸ばし、「都市・地域再生等利用区域(オープン化)」にも指定され本格運用に移行。5月の連休にはイベントが無いにもかかわらず、100張を超えるテントが集まり関係者も驚きを見せる。

オープン化によるキャンプ場開設オープン化によるキャンプ場開設
ドラゴンキャンプ場案内図ドラゴンキャンプ場案内図
ドラゴンキャンプ場の利用状況ドラゴンキャンプ場の利用状況

◆夜のイベント開催

ダム運用から20年の節目に合わせ企画として「竜門ダムフェスタ・ドラゴン夜市」が竜門ダム・ドラゴンキャンプ場(芝生広場)で行われた。主催は周辺住民らでつくる斑蛇口湖活性化推進協議会。過疎化が進む龍門地域に明かりをともしたいと初めて夜間に開催したものである。

ステージではアーティストによるライブや和太鼓のパフォーマンスなどが披露され、屋外スクリーンではダム建設により斑蛇口湖に水没した集落の昔の風景を紹介。ダム湖畔には屋台が連なり、キャンプ場広場には多くのテントが並んだ。

そのほかにもアウトドアショップ「WOODS菊池店」(大琳寺)と共同でキャンプイベントの企画や子ども向けのアクティビティも開発するなどダムや龍門地域の新たな魅力を発信している。

竜門ダムフェスタ・ドラゴン夜市竜門ダムフェスタ・ドラゴン夜市
和太鼓演奏和太鼓演奏
屋外ステージパフォーマンス屋外ステージパフォーマンス
WOODSとの共同イベントWOODSとの共同イベント
ロンロン館でくつろぐ人々ロンロン館でくつろぐ人々

◆地元の人たちも魅力と感じる場所へ

「僕ら世代の地元の人数は少ないが、残っている方がロンロン館に集まるようになった。今まではダムに人が、地元の人も含めて来なかったが、県外からダムへキャンプに来るとなるとそれ自体を見たいという何か不思議な現象が起きている。イベントのときになると龍門地域で一番人が多い村になってしまうほどで、今までにぎやかではなかった所がいきなりにぎやかになって、同世代、若い世代のつながりがすごく強くなった」と緒方元一代表は語る。㈱MOFFの挑戦はこれからも続く。