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10月15日付朝日新聞「窓」の報道に対する建設省の書簡について
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11月15日付け朝日新聞論説主幹宛公開書簡
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(貴社が問題にしている建設省の資料について) 貴社の11月5日付け書簡によれば、書簡添付の建設省の資料において「堰運用開始後も、アユは順調に遡上していること」、「サツキマスやシジミの漁獲量も著しい減少は見られない」と記述していることを「建設省がだましている」と断定されています。 この建設省の資料は、長良川河口堰運用開始により、アユ、サツキマス、シジミ等の環境・漁獲がどのような状況となっているかという点について、根拠となるデータの一端を示した上で、現状での建設省の判断を簡潔に示したものです。 貴社が、建設省がこの資料に掲載されているデータのみに基づいた見解を述べ、他の事実を隠しているとご判断されているのであるとすれば、建設省が調査を行っている他の全ての調査結果も公開してきている点を改めて指摘させていただきたいと思います。 ここで、
(貴社のいう「真実」について) 貴社は、11月5日付けの書簡において、「長良川河口堰の運用後、天然アユは順調に遡上・降下していないこと。天然サツキマスや、長良川河口部のヤマトシジミの漁獲量は著しく減少していること」を「真実」と断定し、建設省はそれに反して、「堰運用後も、アユは順調に遡上し、サツキマスやシジミの漁獲量も著しい減少は見られない」と説明しているから、建設省は「真実を隠し、国民をだます」と主張しておられます。 貴社の主張が成立するためには、貴社がここで「真実」であると断定している内容が、単なる貴社の主張でなく、どのような角度からみても誤りのない、文字通りの真実である必要がありますが、貴社の書簡の中でこれらの「真実」の根拠として上げられている内容は、特定の方が記述あるいは口述されておられる内容を断片的に示されているものに過ぎないように見受けられます。 そこで、
(各論的事項に関する質問) 次に、いくつかの各論的事項について確認したい事項がありますのでご回答下さい。
(報道の基本的姿勢について) 私どもは、対立する見解が存在する案件を扱う場合には、それぞれの見解や論拠を確認して行うのが、報道の基本ではないかと考えております。特に、片方の側を非難する内容を記述する際には、非難を受ける側の主張や論拠を十分に取材した上で報道することが不可欠ではないかと考えます。
長良川河口堰の運用によって、環境へどのような影響が生じたかということについては、人により判断が異なる部分も依然として多く存在しているのが現状であろうかと思います。 例えば「アユの遡上は順調である」という見方について、建設省としては今までに公開してきた調査結果に基づいて判断した結果の適切な主張であると考えているのに対して、その主張を是としない方々がいらっしゃることも承知しております。 複雑な自然生態系に対するこのような見解の相違があることを私どもは何ら否定することはありません。 しかし、貴社のような正確を期すべき報道機関に、新聞紙上という公の場で、「建設省のウソ」と断定されたことは、見解の相違というレベルの問題ではないと認識しております。このような断定をしたのは貴社であり、その説明責任は貴社にあると考えられますので、誠意ある回答を宜しくお願いいたします。 また、今回の「窓」の論説に係る貴社との書簡の往復については、今後とも国民にとってわかりやすいものにして参りたいと考えております。宜しくご協力賜りますようお願いいたします。
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