また、時期別完成ダム数の推移について、図-2 であらわしています。
近代化の始まる明治以前、既に約300基のダムがあります。そして欧米の近代技術を吸収した明治後期以降、完成ダム数が増加し(水力発電中心の時代)、大戦で落ち込んだ後、再び戦後復興、高度成長期に急増しています。
多目的ダムが中心となった1960年代から1970年代にかけての20年間が、ダム建設のピークとなっています。
現在までに建設された全体のダム数は、約2,700です。 日本のダム数は世界有数であり、国土面積に対する設置密度で見るとおそらく世界でも最高レベルと思われます。
しかしその貯水容量については、地形の関係から大容量のダム建設は困難であり、日本全体のダムの総貯水容量を合計しても約270億m3と、例えばアメリカのフーバーダム1基(350億m3)にも及びません。逆に言えば、地形上の不利を数でおぎなってきたともいえます。
時代によって、アース、アーチ、重力、ロックフィルなどのダム形式の消長が見られますが、その推移は、各時代の状況(技術レベル、ダムサイトの性状、ダム建設工事を構成する資機材・人件費のコスト特性等)に応じて、経済性を追求してきた結果とみることができます。