CLOSE UP THE DISASTER IN1999
1999年の主な災害----3
 台風16号
9月14日15時に宮崎県近海で発生した台風16号は、宮崎県南部に上陸した後、次第に向きを北東に変えて九州の太平洋岸を北上、四国を横断して近畿地方から中部地方へ進んだ。小型で勢力の弱い台風だったが、折から日本海に停滞していた前線を刺激して、九州から東北南部にかけての広いエリアで大雨を降らせた。特に岐阜県内では県北部の山間部で500mmを超える豪雨となり、土砂災害や、長良川の本川が23年ぶりに決壊するという災禍をもたらした。
うねる長良川の濁流に、土台の柱を洗われながらも持ちこたえる郡上八幡の民家宅
濁流が荒れ狂う長良川
岐阜市の長良橋で、水量が増した長良川を不安そうに見つめる住民たち
 
降り続く大雨で長良川の水が%れ、岐阜市鏡岩の河川敷で水没した乗用車

 

 

 

 

 

 

16号は小型で勢力の弱い台風であったが、停滞していた前線と結びついたため、その相乗作用から、宮崎県や大分県、滋賀県、岐阜県で1時間に100 mm前後の降雨量を観測するなど、各地に激しい雨を降らせた。 この雨の影響で、愛媛県では土石流や浸水による被害が発生し、長野県安曇村では崖崩れにより道路が寸断され、上高地で観光客ら約1300人が孤立する事態となった。特に、台風の接近前から強い雨が断続的に降っていた岐阜県北部では、14日から15日にかけての総雨量が多い所で500 mm以上を記録した。崖崩れや土石流だけでなく、長良川の堤防が白鳥町など8か所で破堤・決壊して、多くの浸水被害を出した。長良川の本川が決壊したのは、昭和51年9月の水害以来のことである。 全国の被害は、死者・行方不明者8人、負傷者13人のほか、家屋の全・半壊26棟、流失1棟、一部損壊112棟、床上・床下浸水2180棟、道路損壊56か所、橋梁流失2か所、堤防決壊3か所、山・崖崩れ121か所などに上っている。