現在日本には108の活火山が分布しており、1990年の雲仙普賢岳、2000年の有珠山や三宅島など、火山噴火による災害が頻発しています。火山活動が活発で火山活動による社会的影響の大きい29火山に対して、火山砂防事業や火山噴火警戒避難対策事業により噴火災害を軽減するための対策を行っています。
しかし、砂防えん堤等の整備率が低い現状下において、火山噴火による溶岩流、火山泥流、土石流等の被害を皆無にすることは困難です。
このため、国土交通省砂防部では、いつどこで起こるか予測が難しい火山噴火に伴い発生する土砂災害に対して、緊急対策を迅速かつ効果的に実施し、被害をできる限り軽減(減災)するために火山噴火緊急減災対策砂防計画を策定することとしています。このたび、「火山噴火緊急減災対策に関する検討会」における議論を踏まえ、計画策定の手引きとなる「火山噴火緊急減災対策砂防計画策定ガイドライン」を作成しました。
本ガイドラインを各地方整備局や都道府県に周知した上で、市町村や関係機関と連携し、当面29火山について火山噴火緊急減災対策砂防計画の策定を行う予定です。平成19年度においては、十勝岳、樽前山、秋田駒ヶ岳、浅間山、富士山、霧島山、桜島について本格的な計画検討に着手する予定です。
また、内閣府においては「火山情報等に対応した火山防災対策検討会」においてより効果的な火山防災体制を構築するための火山情報と避難体制のあり方を検討中であり、これと連携し、火山噴火緊急減災対策砂防を進めるに当たり、火山監視機器の整備やリアルタイムハザードマップの提供等を進める予定です。

火山噴火緊急減災対策砂防のイメージ図
火山噴火緊急減災対策砂防計画とは、火山噴火時に発生が想定される溶岩流、火山泥流、土石流等の土砂災害による被害を軽減するため、地方整備局及び都道府県の砂防部局が策定するハード・ソフト対策からなる火山噴火時の緊急対応を定めた計画。計画策定にあたっては、砂防部局が火山毎に設置する学識経験者、気象庁や自衛隊、消防、警察などの関係機関及び都道府県や市町村などにより構成される検討会等により検討する。
2.火山噴火緊急減災対策砂防計画の策定対象火山
火山活動による社会的影響が大きく、火山活動が活発で、ハザードマップが作成されている以下の29火山を当面の対象とする。
雌阿寒岳(北海道)、十勝岳(北海道)、樽前山(北海道)、有珠山(北海道)、
北海道駒ヶ岳(北海道)、岩木山(青森県)、秋田焼山(秋田県)、岩手山(岩手県)、
秋田駒ヶ岳(岩手県・秋田県)、鳥海山(秋田県・山形県)、
蔵王山(宮城県・山形県)、吾妻山(山形県・福島県)、安達太良山(福島県)、
磐梯山(福島県)、那須岳(栃木県)、草津白根山(群馬県)、
浅間山(群馬県・長野県)、新潟焼山(新潟県)、焼岳(長野県・岐阜県)、
御嶽山(長野県・岐阜県)、富士山(山梨県・静岡県)、伊豆大島(東京都)、
三宅島(東京都)、鶴見岳・伽藍岳(大分県)、九重山(大分県)、阿蘇山(熊本県)、
雲仙岳(長崎県)、霧島山(宮崎県・鹿児島県)、桜島(鹿児島県)
(資料) 火山噴火緊急減災対策砂防計画策定ガイドライン(PDFファイル 5.16MB)