水害サミットからの発信
災害復旧時の対応

公共施設関連

被災調査時(家屋調査)の留意点は?

家屋調査の際にはデータベース化があとで役立つ!
  1. 住民に家屋調査におけ調査結果(控え)を交付し、これと引き換えに証明を取ってもらうことにするとよい。
  2. データベースソフトをカスタマイズした「被災証明書発行システム」を開発した。
  3. 被災台帳データベースの共有が有効。証明書発行事務を所管する納税課が作成した被災台帳のデータベースを庁内LANのサーバー内に置くことにより、税部門はもちろん国民健康保険料、介護保険料及び保育料等の減免処理や災害見舞金の交付事務などにおいて、事務処理の迅速化と省力化が可能となった。

▼調査体制
・相互応援協定を結んでいる市町村より派遣された応援職員から、豊富なノウハウの提供があった。
・被害状況を把握するための連絡体制(自治会長・市職員等)、調査員ネットワークの形成が必要。
・人手が足りないので福祉・保健関係の職員も動員した。一律の判定基準を設けたものの、調査の実施方法等については事前に、充分研修等をしておく必要がある。
・初動調査の遅れにより、被災者が既に他所に避難済みで現地不在のまま調査となり、実態確認ができないケースがあった。
・災害対策本部からの連絡と被災者からの通報による被災家屋のみを、主たる調査対象としていたために、避難者の住家等は調査対象外となり、事後調査となった。
・住民記録を被害調査のベースとしたため、住民記録のない者の情報に、漏れがあった。
▼調査前の準備
・調査に必要な情報の整理ができていないまま調査に入ると、あとで苦労する。事前にポイントを整理しておくことが大切。
・迅速な被害認定のために、専門職員の研修や育成を図る必要がある。
・担当部署ごとに聞き取り調査をしたため、被災者はそのつど説明を繰り返すこととなった。部署問で調整し、聞き取り項目をまとめること。
▼被災・り災証明
・調査結果の集約に時間を要するので、その間の被災証明発行への対応に苦慮した。
・家屋等のり災証明書発行の手数料を無料とした。また、印鑑を持参しない被災者は拇印も可とした。
・被災証明書発行システム
このシステムは、データベースソフトをカスタマイズしたもので、発災日現在の住基データを基に、住所・氏名などの基本情報入力を省略し、被災の程度や家財情報などを入力すれば、電子公印の使用により、被災証明書の作成・発行が迅速に行えるとともに、被災台帳としてのデータベースが作成されるシステムである。このシステムの導入により、従来の手書き処理に比べ格段に処理時間が短縮され、迅速に対応することができた。
▼認定基準
・総務省の被害調査基準により調査を実施したが、全国一律の基準であるので被災者に不公平感が出た。
・一部損壊、全・半壊の基準が複雑で、何度も同様の調査を行った。
・被災から調査までの期間が短く、家財の被害程度に関する基準の統一が不充分であった。
・被害認定について、浸水被害時における認定の算出基準が、延床面積を分母としているため、2階建てと平屋建ての被災判定の差が大きい。たとえば、同様の被災状態で、平屋は全壊、2階建ては半壊というケースが生じる。また、台所、トイレ、風呂等の水まわりは1階に配置しているケースがほとんどであり、同様の被災で判定が違うことに対する理解が得られにくかった。
・家屋の構造・形状等により、被害算出の結果が異なり、不公平感が出た。
・二次調査にあたっては、建築士の資格を有する職員、民間建築士等が調査して損傷度合を判定するのが適正である。