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II.高度情報通信社会の実現に向けた課題と対応
(5)ネットワークインフラの整備
   21世紀初頭に向けて、高度情報通信社会の構築に向けた動きを加速・推進するためには、情報・知識の創造・流通・共有化を支える高度な情報通信インフラを総体的に整備していくことが必要である。
 その際、「デジタル革命」を支える基盤として、次世代インターネット、光ファイバ網、グローバルな移動通信システム等の各種ネットワークインフラをシームレスに接続するとともに放送のデジタル化を図り、もって「トータルデジタルネットワーク」の構築を目指す。そのために所要の技術開発を積極的に進めていく。
 情報通信ネットワークインフラの整備に当たっては、低廉な利用料金の実現、地域間のアンバランスの是正、災害に対する脆弱性の克服、諸外国の動向に十分配意して促進する。基本的には公正有効競争の下で民間主導を原則とするが、将来需要を見越した巨額投資の短期的な立ち上げには、投資促進のための政策支援が必要である。併せて、災害の多い国土の特性に鑑み、地上回線と衛星回線といった多様なインフラの長所、短所を踏まえた幅広い整備が必要である。
 このため、以下のような施策を総合的・計画的に推進する。
  • 光ファイバ網の全国整備を2005年までに実現できるよう努力する。  加入者系光ファイバ網を補完するものとして、2000年までに高速の加入者系無線アクセスシステムの実用化を推進する。
  • 民間主導による光ファイバ網整備の原則の下、事業者への負担軽減、道路、河川、下水道等の公共施設空間の一層の活用、公共施設管理用等の光ファイバ網及びその収容空間(情報BOX等)の民間事業者等による活用のための環境整備を図る。
  • 地震等に対する情報通信網のセキュリティ確保等のため、公的支援により電線類地中化を推進するとともに、安全かつ円滑な交通の確保と景観の整備のため、電線共同溝等の整備を推進する。
  • 衛星や成層圏に滞空させた飛行船(成層圏プラットフォーム)を利用した次世代通信・放送システム実現のための研究開発を推進する。
  • 世界各国で利用でき、簡単な動画像の送受信も可能な次世代型の携帯電話など、「デジタル革命」に対応した新たな移動通信システムの導入を促進するために必要な研究開発並びに標準化を推進する。
  • 情報通信ネットワークの安全性、信頼性の向上を図る。また、人体や各種無線、電子、医療機器等に対して、安全かつ安心して電波を利用できるような環境の確保に努める。
  • 放送のデジタル化はサービスの多様化、高度化、電波の利用効率の向上をもたらすとともに大きな経済波及効果が期待されることから、全放送メディアのデジタル化を積極的に推進する。特に基幹的な放送メディアである地上放送については、2000年にはデジタル放送を開始できるよう制度整備を行うとともに、デジタル放送への円滑な全国的移行を図るための環境整備を推進する。また、地域の総合的な情報通信基盤として重要なケーブルテレビの普及・高度化を推進する。