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(掲載日:2000.5.23)



5月1日(月)から5日(金)の日程で開催されていた国際電気通信連合(ITU)無線通信総会で、5.8GHz DSRCの勧告案が承認されました。

以下、平成12年5月8日付の郵政省の記者発表資料を掲載致します。




平成12年5月8日
郵   政   省


国際電気通信連合(ITU)無線通信総会の結果

〜高度情報通信社会の実現に向けた無線技術の国際標準を決定〜



 本年5月1日(月)から5日(金)までの5日間、ITUの無線通信総会がトルコ共和国イスタンブール市において開催され、79の国と11の国際機関から400名を超える参加があり、活発な議論が行われました。我が国からは田中官房技術総括審議官を代表団長として郵政省、電気通信事業者、放送事業者、メーカー等から28名が出席しました。
 無線通信総会は、ITU無線通信部門(ITU-R)における勧告承認等の研究活動の評価及び次会期の研究方針の決定となる研究課題の承認等を行う場であり、今会合では高度情報通信社会の実現に向けた多くの勧告承認や研究課題の決定が行われました。
 本無線通信総会における主な審議結果は、以下のとおりです。


  1. 研究課題及び勧告の承認

     IMT-2000(第3世代移動通信システム)の無線伝送方式、ITS(高度道路交通システム)のシステムである自動料金収受システム(ETC)及び安全運転支援のための自動車レーダー等の移動通信分野をはじめ、固定通信、衛星通信等の各種無線通信に係る技術・運用条件等を規定した74件の勧告が承認されました。(参考1及び参照)
     また、IMT-2000の高度化及びその次の世代の移動通信システムの検討、成層圏無線プラットフォームと他業務との周波数共用の研究等、次会期の研究活動に関する400件近い課題が承認されました。


  2. 研究委員会(SG)組織の見直し(放送関係SGの統合)

     ITU-Rでは、これまで放送関係技術に係る研究をSG10(音声放送)とSG11(テレビジョン放送)の2つの組織で行っていましたが、放送のデジタル化技術の革新に伴い、これら2つの研究分野を区別する意義が薄れてきたことから、SG10とSG11を統合し新たにSG6とすることが決定されました。今回の決定により、ITU無線通信部門の研究委員会は以下のとおりになります。

    SG1:周波数計画、利用、技術、共用及び監視
    SG3:電波伝搬
    SG4:固定衛星業務
    SG6:放送業務(今回設置)
    SG7:科学業務
    SG8:移動業務、無線測位業務、アマチュア業務及びそれらに関連する衛星業務
    SG9:固定業務
    RAG:無線通信部門の研究活動への助言



  3. 研究委員会(SG)の議長・副議長の任命

     新たに設置されたSGを含め、8つのSGの議長・副議長の任命が行われ、我が国からは、次の4名が議長又は副議長の任命を受けました。

    SG4(固定衛星業務)
    議長
    伊藤泰彦(いとうやすひこ)
    KDD(株)執行役員ワイアレスビジネス推進部長)
    SG6(放送業務)
    副議長
    熊田純二(くまだじゅんじ)
    (NHK放送技術研究所衛星デジタルシステム部長)
    SG8(移動、無線測位等)
    副議長
    水池健(みずいけたけし)
    (KDD(株)先端技術ビジネス推進部担当部長)
    SG9(固定業務)
    副議長
    橋本明(はしもとあきら)
    (NTT DoCoMo(株)無線リンク開発部長)




参考1

IMT-2000(第三世代移動通信システム)



 IMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)とは、第一世代のアナログ携帯電話、現在普及している第二世代デジタル携帯電話に続く、第三世代の移動通信システムであり、ITU-Rにおいては、1985年から検討が行われています。
 IMT-2000の主な特徴は以下の通りです。

1) 最大2Mbps程度の高速データ通信機能を有し、高速インターネットアクセス等、マルチメディア移動通信サービスの提供が可能
2) 世界各国で使用可能なグローバルサービスを実現
3) 固定網並の高品質な音声サービスを提供


 今回の無線通信総会において、昨年9月に電気通信技術審議会から一部答申を受け、我が国で導入可能となるよう技術基準を定めた2方式を含む、地上系5方式及び衛星系6方式の無線伝送方式の仕様を規定する勧告が承認されました。
 なお、我が国においては、2001年中にもサービス開始が予定されており、郵政省では本年4月より、事業許可及び無線局免許の申請受付を開始しています。



ITU勧告に規定されたIMT-2000の無線方式

注1:DS-CDMA(ダイレクトスプレットCDMA):広帯域に電波を拡散して情報を伝送する方式
注2:MC-CDMA(マルチキャリアCDMA):狭い帯域の電波を多数組み合わせ、見かけ上広帯域とする方式


ITU勧告に規定されたIMT-2000の無線方式




参考2

ITS(高度道路交通システム)



 ITS(Intelligent Transport Systems)とは、最先端の情報通信技術を最大限利用することにより、人と道路とを一体のシステムとして構築し、カー・ナビゲーションの高度化、有料道路の料金自動収受、安全運転支援等を図るシステムです。ITSの実現により、快適なカーライフの実現、交通渋滞の軽減、安全運転の支援、物流部門の効率化、地球環境への負荷の軽減などに大きく貢献することが期待されています。

 5.8GHz帯のETC(自動料金収受システム)並びに60GHz帯及び76GHz帯の安全運転支援のための小電力自動車レーダーについては、日本からの提案をASTAP(アジア・太平洋電気通信標準化機関)を通じて提出し、SG8 WP8会合(1999年2月)、SG8会合(1999年11月)において新勧告案として採択され、今回のRA−2000(無線通信総会)において勧告化されました。


5.8GHz帯のETC

5.8GHz帯ETC






60GHz帯及び76GHz帯の小電力自動車レーダー

60GHz帯及び76GHz帯小電力自動車レーダ