(1)ナビゲーションシステムの高度化
開発・展開の必要性 我が国においては、交通渋滞により経済損失が年間12兆円、時間損失が年間56億人時間発生しており、社会・経済にとって多大な負担となっている。こうした交通渋滞は沿道環境の悪化、地球環境との不調和、エネルギー消費の増大などの深刻な問題を招いている。また、我が国における交通事故による死亡者数は、1988年以降8年連続年間1万人以上に達している。 こうした中、利用者の快適性、利便性、安全性の向上を図るため、機器の安全な利用にも配慮しつつ、ナビゲーションシステムの高度化分野の利用者サービスを早期に実現していくことが必要である。 |
利用者サービス ・交通関連情報の提供 ・目的地情報の提供 |
システムの概要 ドライバーが移動中に、経路、移動時間等について最適な行動の選択を可能とし、交通流の分散等により、ドライバーの利便性の向上等を図るため、各経路の渋滞情報、所要時間、交通規制情報、駐車場の満空情報等を、オンデマンド等に対応したナビゲーションシステムや情報提供装置により提供する。また、移動に際して、同様の情報を家庭、オフィス等において事前に提供することにより、効率的な旅行計画の策定を支援する。 さらに、目的地の地域情報等のサービス情報を、車載機や高速道路上のパーキングエリアやサービスエリア、一般道路上の道の駅等においてオンデマンド等で提供する。 |
開発・展開目標
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開発・展開の必要性 我が国の高速道路では、交通集中による渋滞発生箇所の55%が料金所となっている※。また、大規模な道路ネットワークが形成された今日、有料道路における管理費も増大しており、より効率的な道路管理が求められている。 こうした中、料金所での渋滞の解消、管理コストの低減等を図るため、自動料金収受システムを、料金徴収経費の節減を勘案しつつ、早期に実現していくことが必要である。 なお、欧米や東南アジアにおいては、すでに自動料金収受システムの実用化が行われているなど、諸外国においても積極的な取り組みがなされている分野である。 ※日本道路公団調査による |
利用者サービス ・自動料金収受 |
システムの概要 有料道路の料金所の渋滞解消及びキャッシュレス化によるドライバーの利便性の向上、管理コストの低減等を図るため、有料道路等の料金所で一旦停止することなく自動的に料金の支払いを可能とする。 |
開発・展開目標
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開発・展開の必要性 我が国における交通事故による死亡者数は、1988年以降8年連続年間1万人以上に達している。また、21世紀には4人に1人が高齢者という高齢化社会を迎える。こうした中、交通事故の防止等を図るため、道路及び車両を高度情報化することにより、安全運転の支援分野の利用者サービスを早期に実現していくことが必要である。 なお、米国はNAHSC(National Automated Highway system Consortium:国家AHSコンソーシアム)が2001年に自動運転システムのプロトタイプを完成し、2002年から試験運用に着手する計画であり、諸外国においても積極的な取り組みがなされている分野である。 |
利用者サービス ・走行環境情報の提供 ・危険警告 ・運転補助 ・自動運転 |
システムの概要 事故等を未然に防ぐため、道路及び車両の各種センサにより道路や周辺車両の状況等の走行環境を把握し、車載機、道路情報提供装置により、リアルタイムで運転中の各ドライバーに走行環境情報の提供、危険警告を行う。 また、車両に自動制御機能を付加することにより、自車両及び周辺車両の位置や挙動、障害物を考慮して危険な場合には自動的にブレーキ操作等の速度制御、ハンドル制御等の運転補助を行い、ドライバーの運転操作を支援する。 さらに、自動制御が可能な運転補助機能を発展させ、周辺の走行環境を把握し、自動的にブレーキ、アクセル操作等の速度制御、ハンドル制御を行うことにより自動運転を実現する。 |
開発・展開目標
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開発・展開の必要性 我が国における交通事故による死亡者数は、1988年以降8年連続年間1万人以上に達しているほか、交通渋滞により経済損失が年間12兆円、時間損失が年間56億人時間発生しており、社会・経済にとって多大な負担となっている。また、交通渋滞は沿道環境の悪化、地球環境との不調和、エネルギー消費の増大などの深刻な問題を招いている。 こうした中、交通の安全性・快適性の向上と環境の改善を図るため、交通管理の最適化分野の利用者サービスを管理者の立場からも着実に実現していくことが必要である。 |
利用者サービス ・交通流の最適化 ・交通事故時の交通規制情報の提供 |
システムの概要 交通の安全性、快適性の向上と環境の改善を図るため、渋滞や環境悪化が著しい地域のみならず、道路ネットワーク全体として最適な信号制御を実現する。また、交通の管理を行うために、車載機や情報提供装置によりドライバーの経路誘導を行う。 また、交通事故にともなう二次災害を防止するため、交通事故の発生を素早く検出し、それに係わる交通規制を実施するとともに、交通規制情報を車載機、情報提供装置等により、ドライバーに提供する。 |
開発・展開目標
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開発・展開の必要性 我が国では、道路のストックが増大し、道路の維持・補修など道路管理に関するコストの伸びは道路建設に係る費用の伸びを上回っている。さらに、道路構造の保全、安全な交通の確保の観点から、特殊車両の通行管理が必要であるが、その許可手続きの迅速化、通行許可の一層の適性化が求められている。また、我が国では全国に5412箇所もの通行規制区間が存在しており、年間の通行規制回数は1万回を超えている*。 こうした中、維持管理業務の効率化、特殊車両の効率的な管理、通行規制情報の提供などを図るため、道路管理の効率化分野の利用者サービスを着実に実現していくことが必要である。 * 建設省資料による |
利用者サービス ・維持管理業務の効率化 ・特殊車両等の管理 ・通行規制情報の提供 |
システムの概要 各地域の自然、社会条件に応じて、安全、円滑、快適な道路走行環境の維持を図るため、路面の状況や作業用車両の位置等を的確に把握し、最適な作業時期の判断・作業配置の策定、車両への指示等を行うとともに、災害時には、道路施設や周囲の被災状況を把握し、道路復旧用車両の効率的配置等、迅速かつ的確な復旧体制の構築を行うなどの適切な道路管理を行う。 また、特殊車両の通行許可申請及び事務処理の電子化、通行許可経路のデータベース化及び許可車両の実際の通行経路の把握、車重計等による通過車両の積載量等の自動的な把握により、特殊車両等の適切な管理を行う。 さらに、各地域の自然条件に応じて、安全かつ円滑な交通の確保を図るため、雨、雪、霧、風、越波等の状況やこれによる通行規制に係る情報をすみやかに車載機、情報提供装置等によりドライバーに提供する。 |
開発・展開目標
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開発・展開の必要性 我が国では、自動車交通の増大に伴い、市街地等においては渋滞等により、バス等の定時性が損なわれてきたことなどにより、乗合バスの総輸送人員は昭和50年に比べ70%以下となっている※。 こうした中、公共交通において安全確保を行うとともに、事業運営の効率化、利用者の利便性の向上及び交通機関の最適な利用分担の実現を図るため、公共交通の支援分野に含まれる利用者サービスを実現することが必要である。 ※地域交通年報による |
利用者サービス ・公共交通利用情報の提供 ・公共交通の運行・運行管理支援 |
システムの概要 公共交通利用者のニーズに適した移動手段、乗り換え、出発時間帯等の選択を支援し、利用者の利便性の向上を図るとともに、交通機関の最適な利用分担の実現を図るため、公共交通機関の運行状況、混雑状況、運賃、料金、駐車場等の情報を出発前の家庭やオフィスの端末、あるいは移動中の車載機、携帯端末機、道路やターミナル、バス停、高速道路のサービスエリア等に設置された情報提供装置などにより提供する。 また、公共交通機関の安全で円滑な運行による利便性の向上と、事業運営の効率化を図るため、公共交通機関の運行状況等をリアルタイムに収集し、必要に応じて優先通行を実施するとともに、公共交通事業者に基礎データとして提供すること等により、公共交通機関の運行・運行管理を支援する。 |
開発・展開目標
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開発・展開の必要性 近年の物流サービスの多様化と渋滞発生等により、集配業務における積載効率は低下し、現在では積載率は20%以下となっている※。また、物流事業におけるコストの増大、ドライバーの高齢化などの問題も顕在化している。 こうした中、集配業務の効率化、業務交通量の低減、輸送効率の飛躍的向上を図るため、商用車の効率化分野の利用者サービスを実現することが必要である。 ※自動車輸送統計年報による |
利用者サービス ・商用車の運行管理支援 ・商用車の連続自動運転 |
システムの概要 輸送効率の飛躍的な向上、業務交通量の低減、輸送の安全性向上を図るため、トラック、観光バス等の運行状況等をリアルタイムに収集し、輸送事業者等に基礎データとして提供すること等により、運行管理を支援する。また、高度化・自動化・システム化された物流センターの整備、共同配送・帰り荷情報等の提供等により物流の効率化を支援する。 また、自動走行機能を持った複数の商用車等が適切な車間距離を保ちながら、連続走行を行う。 |
開発・展開目標
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開発・展開の必要性 我が国においては、21世紀においては4人に1人が高齢者となることが予想されている。一方、現在では歩行者・自転車交通事故死者の半数が65歳以上の高齢者となっている。 こうした中、高齢者、障害者等の交通弱者も安心して利用できる安全で快適な道路環境の形成を図るため、歩行者等の支援分野の利用者サービスを実現することが必要である。 |
利用者サービス ・経路案内 ・危険防止 |
システムの概要 高齢者・障害者等の交通弱者をはじめ歩行者等が安心して利用できる安全で快適な道路環境の形成を図るため、携帯端末機や磁気、音声等を用いた施設・経路案内や誘導等により歩行者等の支援を行う。 また、歩行者が道路を横断する際等の安全を確保するため、携帯端末機等による歩行者用信号の青時間の延長等により歩行者等の支援を行う。さらに車両側の対策として、前方の歩行者を検知し、ドライバーへの警告や自動的なブレーキ操作等により、歩行者等の交通事故に対する危険防止等を行う。 |
開発・展開目標
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開発・展開の必要性 我が国においては、阪神・淡路大震災における道路遮断等にみられるように、道路交通における迅速な緊急時対応は社会的な要請となってきている。 こうした中、災害、事故等にともなう迅速かつ的確な復旧・救援活動の実現を図るため、緊急車両の運行支援分野の利用者サービスを早急に実現することが必要である。 |
利用者サービス ・緊急時自動通報 ・緊急車両経路誘導・救援活動支援 |
システムの概要 災害、事故等に伴う迅速かつ的確な復旧・救援活動の実現を図るため、車両等自らが自動的に緊急メッセージを関係機関へ通報し、災害、事故等の認知と地点等の特定までに要する時間を飛躍的に短縮する。 また、交通状況及び道路の被災状況等をリアルタイムに収集し、関係機関への伝達、復旧用車両等の現場への誘導等を迅速に行う。 |
開発・展開目標
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