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氏 名所 属
池谷 奉文 (財)日本生態系協会 会長

■ご意見の内容

道路建設は、国土の持続的発展の立場から見たとき単なる交通手段の整備ではなく、21世紀の地球規模での最重要政策課題である「環境の保全・再生」に直結する問題と認識すべきである。特に、将来世代までも視野に入れた持続的開発と国土の適切な土地利用の観点からは、道路建設は将来に引き継ぐべき自然環境の破壊や悪化を生じかねないことや、全公共事業費の中で最も多くの費用の割合を占めていることからも社会的な役割や責任にはきわめて大きなものがある。
上記の視点から、今後の道路特定財源の見直しに伴う道路整備計画に対し、以下の3点を要望したい。

1. 道路建設は自然環境への負荷を増大させる公共事業であることを踏まえ、国土利用の適正なバランスを図るために、自然環境地域への新規道路建設に当たっては、道路用地と同等の自然環境を確保・保全する代償ミティゲーション政策を具体化すること。

2. 特に、高規格道路については国土全体のネットワーク化が進められているが、道路網のみならず「国土形成計画」にも位置づけられる「エコロジカル・ネットワーク」を同時に整備可能となるよう、自然環境の保全や創出を目的とした道路周辺用地の取得費や整備費も道路事業の一環として出来るようにすること。

3. 既存道路についても、農水省管轄道路との整合や利用が少なく維持管理費とのコスト上の支障が生じる道路等については、道路存続の必要性を新たに検証し、必要性の低い道路は自然環境に積極的に戻していく政策を検討すること。道路管理費の支出困難が将来的に予測される中で、道路建設地の自然再生は有効な対応策。