閉じる
氏 名所 属
高向 巖 (社)北海道商工会議所連合会 会頭

■ご意見の内容

○真に必要な道路整備について
〈高規格幹線道路網の整備について〉
北海道は、国土面積の22%を占める広大な大地に道北、道央、道南、十勝、釧路・根室、オホーツクの6つの経済圏を抱える広域分散型社会です。
しかし、現在、人口の3割が集中する道都・札幌市と高速自動車道で結ばれている各経済圏の中核都市は、道北の旭川市のみです。全国では、ほとんどの県庁所在地間が高速自動車道で結ばれていますが、北海道ではその基本的な道路網すら出来ていない状態です。
日本の国土政策の中での道路政策において、最低限の社会資本整備をどのように考えるかが重要であり、そのためには、全国画一的基準ではなく、地域特性を理解した上での整備が必要であると考えます。
北海道は全国平均を上回る少子高齢化社会を迎えており、地方での医療過疎問題は他地域にも増して深刻な問題となっています。安心できる地域社会を構築するためにも広域医療体制の構築が急務な課題となっており、これを支えるためには、高速交通体系の整備が急務となっています。
高速道路整備を取り巻く環境は大変厳しいものがありますが、特に、高速道路ネットワークの拡充による地域の活性化は、中央との経済格差に悩む北海道にとって必要なものです。このためにも、地域の実情に即した、画一的ではない、こまやかな施策を実現する中期計画の作成が必要であります。

〈防災対策について〉
北海道は厳しい自然環境にあり、冬期間の降雪による交通障害の軽減、一年を通じて安心して暮らせるための冬期道路対策は北海道民にとって重要な問題です。近年多発傾向にある自然災害に対する防災の問題については、迂回路や代替路が少ない北海道では、災害時の対応策として有機的なネットワークの構築が必要であります。

〈産業支援について〉
また、北海道は、広域分散型社会であり、冬期間の厳しい気象条件にさらされるため、他地域に比べて多大な物流コストと時間を要しており、北海道経済の高コスト構造の一因となっていると考えられます。
官依存体質から抜け出し、地域が自立するためにも、力強い産業構造を構築する必要があり、高規格幹線道路の早急な整備が他地域に比べ必要です。
また、近年、外国人観光客の内アジア圏からの来道者が急増しており、今後、外国人ドライバーの増加も予想される中、交通事故対策や案内標識の改善などが必要です。主要な観光地における夏、冬の観光ピーク時の渋滞は、国際観光を目指す上で致命的であり、観光産業の支援のためにも早期の対策を望みます。

○道路投資の重点化・効率化
我々が必要とするのは最低限の道路整備です。特に、北海道の高速道路のネットワークは、まだまだ整備途中でネットワークが完成して初めてその機能が発揮されるものであり、整備の途中段階でその真価は発揮できません。
厳しい財政状況の中、選択と集中による投資、既存の道路ストックの適切な維持管理など今まで以上に工夫が必要と考えます。特に北海道の交通特性を考えると規制速度の見直しをおこない、既存道路の有効活用を検討していただきたい。

○今後の道路政策について
道路は、国民生活、経済活動の基本であり、国土政策を踏まえた道路政策でなければいけません。これまで以上に、国民に理解してもらうと同時に、その意義を広くアピールする必要があります。
また、グローバル化のなか国際間競争にさらされており、社会資本の不備が地域の競争力の低下をもたらす可能性があります。
活力ある地域の発展を実現するには、地域の実情を理解していただき、地域の目線にたった道路施策の遂行、北海道地域のみならず、日本全国、各地域の実情に即した細やかな道路整備計画の作成を望んでおります。