特定交通安全施設等整備事業五箇年計画について

平成8年12月13日
閣議決定

 交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法(昭和41年法律第45号)第7条に規定する特定交通安全施設等整備事業五箇年計画を次のとおり定める。

1 特定交通安全施設等整備事業の実施の目標

 最近における交通事故の発生の状況にかんがみ、緊急に交通の安全を確保する必要がある道路について、新たに平成8年度を初年度とする特定交通安全施設等整備事業五箇年計画を作成し、国及び地方公共団体が一体となって総合的な計画の下に特定交通安全施設等整備事業を実施することにより、これらの道路における交通環境の改善を行い、交通事故の防止を図り、併せて交通の円滑化に資するものとする。

この計画においては、主として次に掲げる事業を行うものとし、その実施に当たっては、歩行者及び自転車利用者、特に、高齢化の進行に伴い今後とも交通事故の増加が懸念される高齢者並びに児童、幼児及び障害者の交通の安全を確保するとともに、併せて車両の交通の安全を確保することを重点に、交通事故の実態を的確に把握するための調査、分析及びこれに基づいた交通事故多発箇所等における対策の体系的な実施を、最先端の情報通信技術も活用しつつ行うなど、交通事故の態様、交通及び道路の状況等を考慮して、効果的に交通事故を防止し、併せて円滑な自動車交通を確保するように配意するものとする。

(1) 歩行者及び自転車利用者(以下「歩行者等」という。)の交通事故を防止するための事業

イ車両と歩行者等の交通が分離されていないため歩行者等の交通事故が発生するおそれが大きいと認められる道路には、歩道、自転車歩行者道等(以下「歩道等」という。)を整備することとし、その際、高齢者、障害者等の社会参加の機会の増大にも対応して、平坦性と快適な通行空間を十分確保した幅の広い歩道等の整備に努める。また、住居系地区等において、通過交通の進入を抑え、地区内の生活の安全を確保するため、ハンプや狭さく等が整備されたコミュニティ道路及び歩車共存道路等の面的整備とゾーン規制等の交通規制を適切に組み合わせて、良好なコミュニティ・ゾーンの形成を図り、安心して歩ける生活環境を整備する。

ロ歩行者等が道路を横断する際に交通事故が発生するおそれが大きいと認められる道路には、信号機の弱者感応化、歩行者感応化等の高性能化を行うとともに、利用しやすい立体横断施設等を整備する。

ハ 夜間において歩行者等の交通事故が発生するおそれが大きいと認められる道路には、道路照明灯を整備する。

ニその他歩行者等の交通の安全を確保する必要がある道路には、道路標識等を整備し、また、自転車駐車場を整備する。

(2) 通学路における交通事故を防止するための事業

イ 車両と歩行者の交通が分離されていないため児童又は幼児の交通事故が発生するおそれが大きいと認められる通学路には、歩道等を整備する。

ロ 児童又は幼児が道路を横断する際に交通事故が発生するおそれが大きいと認められる通学路には、信号機、立体横断施設等を整備する。

ハ その他児童又は幼児の交通の安全を確保する必要がある通学路には、道路標識等を整備する。

(3) 車両の交通事故を防止するための事業

イ 交通の流れが円滑でないこと等のため車両の交通事故が多発するおそれが大きいと認められる道路については、信号機の高度化改良又は交差点の改良を行うとともに、登坂車線、付加車線、車両停車帯又は中央帯を整備する。

ロ 見通しがきかないこと等のため交通事故が多発するおそれが大きいと認められる道路では、見通しをよくするための道路の改築を行い、又は路肩の改良を行うとともに防護柵、道路反射鏡等を整備する。

ハ 夜間において車両の交通事故が多発するおそれが大きいと認められる道路には、道路照明灯又は視線誘導標を整備するほか、高速走行抑止システムを整備する。

ニ 多数の路上駐車のため安全で円滑な道路交通が阻害され、追突事故などの交通事故が多発するおそれが大きいと認められる都市内の道路において、自動車駐車場、違法駐車抑止システム等を整備する。また、都市間の一般道路において、簡易パーキングエリアを整備する。

ホ その他特に車両の交通の安全と円滑を図る必要がある道路には、道路標識、区画線又は地点標を整備し、また、異常気象時の道路状況に関する情報等を提供する道路情報提供装置を整備する。

(4) 交通管制センターの整備に関する事業

 信号機、道路標識及び道路標示の操作、道路交通に関する情報の収集、分析及び伝達その他の道路における交通の規制を広域にわたって総合的に行うため、新交通管理システム(UTMS:Universal Traffic Management Systems)として中央装置や交通情報提供装置を整備するなど交通管制システム機能を充実・高度化する。

2 特定交通安全施設等整備事業の量

 この計画においては、総額2兆6,900億円(調整費3,700億円を含む。)に相当する事業を行うものとし、このうち都道府県公安委員会は総額2,100億円(調整費200億円を含む。)、道路管理者は総額2兆4,800億円(調整費3,500億円を含む。)に相当する事業を行うものとする。

 なお、この計画の実施に当たっては、財政の健全性の確保に留意しつつ、その促進に努めることとし、各種事業の整合性の確保を図り、建設コストの低減等により効果的・効率的な整備に努める。また、今後の社会・経済の動向、財政事情等を勘案しつつ、弾力的に本計画の実施を図るとともに、必要に応じ、その見直しにつき検討するものとする。



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