交通事故詳細調査データを用いた事故分析結果について

(財)交通事故総合分析センター
研究第二課  林・杉山
TEL03-5609-2711 FAX03-5609-2710
e-mail : sugiyama@itarda.or.jp



 (財)交通事故総合分析センター(以下、分析センター)においては、茨城県つくば市に「つくば交通事故調査事務所」を設立し、平成5年8月から交通事故例調査(以下、詳細調査)業務を行っています。この間、交通事故1件当たり1,000項目以上、年間平均300件程度の詳細調査を実施し、平成9年末において、1,240件の交通事故例調査データ(以下、詳細データ)を蓄積しています。


<分析結果>

 分析センターにおいては、これらの詳細データを基に、「人」「道」「車」の総合的な観点から事故分析を行っています。この度、道路環境面からの分析結果を得たのでお知らせします。

夜間の歩行者事故に関する分析
 ・ 道路照明や周辺の生活光により、道路を横断している歩行者には周辺が明るく感じられるが、歩行者の背景となる部分が照明されていないために、車両運転者から歩行者が発見しづらい箇所もある。

2.構造物端部衝突事故に関する分析
 ・ 事故形態としては、以下の3つに分類できる。
  1. カーブの途中にガードレール端部がきているもの。
  2. ガードレール端部の視認性が悪いもの。
  3. 直線区間でカードレールが細切れに存在しているもの。
3.高齢者が運転する二輪車の事故に関する分析
 ・ 高齢二輪運転者の特徴として、以下の3点が考えられます。
  1. 安全確認を適切に行っていない、或いは、適切なタイミングで行っていない可能性がある。
  2. 交通環境の変化を適切に把握していない可能性がある。
  3. 運転時に判断ミスしている可能性がある。

<考えられる対策>

 道路構造、交通状況、沿道状況により考えられる対策は異なりますが、以下の対策が効果的であると考えられます。

1.夜間の歩行者事故に対する対策
 ・ 沿道の生活光(商業施設、住宅等)の影響を考慮した道路照明の設置位置及び照明方法の検討。 → 運転者から歩行者が発見しやすくなる。

2.構造物端部衝突事故に対する対策
 ・ 視線誘導標等を設置し、道路線形を明確化。 → 運転者から構造物端部が発見し易くなる。
 ・ 緩衝性に優れた端部構造を開発。 → 運転者の被害を軽減する。

3.高齢者が運転する二輪車の事故に対する対策
 ・ 高齢二輪車の行動特性を踏まえた交通交錯の解消(信号設置、交通規制等)、走行環境の整備(幅員の拡幅等)、視環境の整備(道路標識、道路標示を分かり易くする等)。 → 高齢運転者に配慮した道路環境を整備する。



道路環境分科会の過年度の研究成果について・今後の対応について

参考資料:過年度の道路環境分科会における研究概要




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