参考資料1 各省庁における申請・届出等手続の電子化状況


 道路占用許可申請手続の電子化に参考となる事例として、各省庁における申請・届出等手続の電子化の主な事例は、以下のとおりである。

申請・届出等手続の電子化計画の主な事例
申請・届出等手続名 所管省庁 導入時期




行政相談のオンライン処理 総務庁 平成10年
調達手続の電子化 郵政省 平成10年
調達手続の電子化 建設省 平成10年
入出港の届出 海上保安庁 平成11年
不動産登記及び商業登記のオンライン情報提供 法務省 平成12年(予定)
外為法に基づく輸出入許可及び承認手続の電子化 通商産業省 平成12年(予定)
労働統計のオンライン報告 労働省 平成12年(予定)
税関手続の電子化
(通関情報処理システム:NACCS)
大蔵省 Air-NACCS:昭和53年
Sea-NACCS:平成3年
食品等輸入届出の電子化
(輸入食品監視支援システム)
厚生省 平成9年
植物防疫法による輸入検査手続の電子化 農林水産省 平成9年
家畜伝染病予防法による輸入検疫手続の電子化 農林水産省 平成9年
特許出願に係るペーパーレスシステム 特許庁 平成2年
石油輸入調査のオンライン報告 通商産業省 昭和61年
海洋生物資源の採捕数量等の報告手続の電子化 農林水産省 平成8年




原子炉等規制法及び放射線障害防止法における申請・届出等の電子化 科学技術庁 平成11年
毒物劇物製造業等の申請等の電子化 厚生省 平成9年
医薬品等のFD申請・審査システム 厚生省 平成7年
通商産業省各種申請の電子化 通商産業省 平成8年
電気通信役務通信量等状況報告等の磁気ディスクによる提出 郵政省 平成7年
建築物の確認申請等の電子化
(建築確認支援システム)
建設省 平成5年
特殊車両通行許可申請手続の電子化 建設省 平成8年

出所:「申請・届出等手続の電子化に係るフォローアップ(平成10年度)の結果(平成11年4月)」総務庁



<事例1 大蔵省における税関手続の電子化>

(1)概要

 税関手続の電子化は、通関情報処理センターが運用する通関情報処理システム(NACCS;Nippon Automated Cargo Clearance System)により実施されている。
 通関情報処理センターは、「電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律」(昭和52年法律第54号)に基づき、国際運送貨物に係る税関手続その他の国際貨物業務を通関情報処理システムを使用して迅速かつ的確に処理するため、昭和52年10月1日、同システムの運営・管理の業務を行う運営体として設立された大蔵省の認可法人であり、政府が6,000万円、民間が3,000万円を出資し、資本金9,000万円で運営されている。
 通関情報処理システムは、使用に係る電子計算機と税関及び通関業者その他の者の事務所に設置される入出力装置とを電気通信回線で接続し、国際貨物業務をオンラインで処理するシステムであり、航空貨物通関情報処理システムと海上貨物通関情報処理システムの二つのものから構成される。

■航空貨物通関情報処理システム(Air-NACCS)
 Air-NACCSは昭和53年8月、輸入航空貨物に係る一連の税関手続及び関連民間業務を処理するために稼動を開始した電算処理システムである。
 Air-NACCSの稼動当初は成田空港に到着する航空貨物に係る輸入業務に限定されていたが、昭和60年には輸出業務も対象となり、システム対象地域も順次拡大されている。さらに、平成5年には一層の機能向上のためにシステムが更改され、現在では、輸入にあっては航空貨物が航空機から取卸されてから、輸入の許可を経て、国内に引き取られるまでに生じる一連の税関手続及び関連民間業務、輸出にあっては航空貨物が航空機から保税地域に搬入され、輸出の許可を経て航空機に搭載されるまでに生じる一連の税関手続及び関連民間業務をオンラインで処理する総合的なシステムとなっている。航空貨物の輸出入申告に関し、全国の約90%が本システムにより通関されている。

■海上貨物通関情報処理システム(Sea-NACCS)
 Sea-NACCSは平成3年10月、海上貨物に係る輸出入通関業務等の税関手続を処理するために稼動を開始した電算処理システムである。
 Sea-NACCSは稼動後システム対象地域が順次拡大されているが、平成11年10月のシステム更改により、輸入にあっては入港から貨物の船卸し、輸入申告・許可、国内への引取りまで、輸出にあっては、貨物の保税地域への搬入から、輸出申告・許可、船積み、出港までの一連の税関手続へと対象業務が拡大され、対象地域も全国展開されている。海上貨物の輸出入申告に関し、全国の約90%が本システムにより通関されている。

(2)法制度面の対応

 「電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律」及び関係政令を制定し、同政令で定める税関手続及び当該手続の処分の通知については、電子情報処理組織を使用して行わせることを可能とした。

(3)運用等

 「電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律」及び関係政令を制定し、同政令で定める税関手続及び当該手続の処分の通知については、電子情報処理組織を使用して行わせることを可能とした。

ア 通関情報処理センターの業務の範囲)
 通関情報処理センターの業務の範囲は、以下のとおりである。
  1. 国際貨物業務を電子情報処理組織により処理するために必要な電子計算機その他の機器を使用し、及び管理すること。
  2. 国際貨物業務を電子情報処理組織により処理するために必要なプログラム、データ、ファイル等を作成し、及び保管すること。
  3. 2に掲げる業務に附帯する業務
  4. その他、国際貨物業務を迅速かつ的確に処理するために必要な電子情報処理組織の運営に関する業務を行うために必要な業務

イ システムの構築及び運用に係る費用の負担と利用料金設定の考え方
 通関情報処理センターの「海上貨物通関情報処理システム利用規程」によると、「システム利用契約者は、システムの構築及び運用に係る費用を次により負担するものとする」としており、「入出力装置の設置、使用及び保守管理に係る費用の負担」「電気通信回線の接続及び使用に係る費用の負担」「システム本体の構築及び運用に係る費用の負担」をシステム利用契約者に課している。
 また、料金設定の考え方は、「システム本体の構築及び運用に係る費用の負担」について、「システム利用契約者が同表(基本料金、従量料金、管理統計資料の提供に係る料金)によりセンターに支払うべき利用料金の毎事業年度の総額が、電子計算機その他の機器の使用料その他システムの運営に要する経費の毎事業年度の見積総額のうち他の収入項目からの収入で充足されない部分を充足することになるよう定める」としており、通関情報処理センターのシステム本体の構築及び運用に係る費用の大半は、システム利用契約者により賄われている。ここで言うシステム利用契約者とは、国(税関)及び民間利用者(航空会社、船会社、通関業者等)である。

(4)電子化による効果

 システムの導入効果は、以下のとおりである。

  1. 貨物の早期引き取り
     通関手続など貨物の引き取りに必要な一連の業務がシステムにより速やかに処理され、簡易審査扱いになった輸出入申告について即時許可されるなどにより、貨物の到達から引き取りまでの時間が短縮された。
  2. 入力情報の他目的利用
     一度入力した情報はシステムファイルに蓄積され、必要に応じ、相互に利用することができる。利用者間において重複している情報は入力する必要がなくなり、入力作業の簡素化が図られる。また、入力された情報のうち必要なものは自動的に編集され、各種統計資料として活用される。
     為替レート、特恵停止状況や申告の進行状況などを端末機から照会することもできる
  3. 関税等の自動納付
     あらかじめ銀行に専用口座を設けることにより、関税などを自動的に引き落とすことができる。したがって、納税の都度、銀行へ出向く必要がなくなった。
  4. 情報サービスの向上
     貨物の到着や搭載、通関手続の進行状況など輸出入貨物に関する情報を即座に、かつ、的確に把握することができるので、顧客などからの問い合わせにも迅速に対応することができ、サービスの向上が図られた。

事例1先頭へ



<事例2 特許庁における特許出願に係るペーパーレスシステム>

(1)概要

 特許庁では、1980年代前半の情報処理技術の進展と普及を契機として、昭和59年に大量の特許出願をコンピュータを利用して迅速かつ効率的に処理し、審査要処理期間の短縮、工業所有権情報サービスの拡充、国際的な工業所有権情報交換等の協力の推進を行うため、特許行政全般の総合的コンピュータ化・データベース化を図る計画を決定した。
 その一環として、平成2年12月より、特許・実用新案の出願等の手続及び特許・実用新案・意匠・商標の登録料や年金納付の手続をオンライン(ISDN回線)で受付を開始するとともに、電子データを利用しての審査・事務処理を行うペーパーレスシステムの開発を推進してきた。オンラインでの出願等の手続は電子出願開始当初の専用電子出願端末による受付の他に、近年のコンピューター技術の進展・パソコン普及の拡大の状況を踏まえ、汎用パソコンでオンライン手続が可能となる電子出願ソフトの開発を行い、平成10年4月より受付を開始している。現在では、出願に占めるオンライン手続の割合は96%となっている。
 さらに、平成12年1月からは、意匠・商標・PCT(国内段階分)・審判(査定系)のオンライン手続の受付と審査・審判・事務処理のペーパーレス化が開始され、一層の審査・審判・事務処理期間の短縮と工業所有権情報のサービスの拡充等に寄与していくこととなる。また、手続と手数料についても変更され、FDによる手続の受付を廃止するとともに、 特許及び実用新案に関する出願等の手続を書面によって行う場合、出願書類に加えて、手続補正書等の提出についても、その電子処理のための手数料を納めることとしている。なお、オンラインによる手続の場合には電子処理のための手数料は不要としている。
 また、平成12年中には意匠、商標、審判、国際出願業務へのシステム拡大が予定されているとともにインターネットの利用も計画されている。

(2)法制度面の対応

 「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律」(「特例法」)が平成2年6月に制定され、電子出願システムの実現のための関係制度が整備された。

(3)運用等

ア 手数料の納付
 手数料等の納付は、従来、特許印紙の貼付により行っていたが、オンラインにより手続を行う場合には、これに代わる納付方法として予納制度を利用する。この制度を利用するには、申請人はあらかじめ予納届を提出し、予納台帳番号の通知を受ける必要がある。特許出願等の手続を行う際には、願書にこの予納台帳番号を記載することによって、当該手続の手数料等が自動的に引き落とされる。また、これに加え、金融機関からの現金での料金納付も利用可能となっている。

イ 図面の取り扱い
 申請書類の作成は、ワープロソフト等を用いて「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律施行規則」で定める様式に基づき出願、中間、納付書等の申請書類をHTML形式で作成する。図面はBMP形式、GIF形式またはJPEG形式で保存し、HTML文書中のイメージ挿入位置にそのファイル名を指定する。イメージデータは、特許・実用新案・意匠・商標の白黒二値の場合はBMP形式またはGIF形式で解像度200dpiまたは400dpiとし、意匠・商標のフルカラーの場合はJPEG形式で解像度200dpiとしている。

ウ 申請人の識別
 申請人は特許庁に対して事前に、申請人の住所(居所)、氏名(名称)、印鑑等の情報を記載した「識別番号付与請求書」を提出して、識別番号の付与を受ける。特許庁では、この識別番号を以後の手続を行う際の申請人の確認情報としている。
 申請人がオンラインによる接続を希望する場合は、特許庁に「電子情報処理組織使用届」を提出し、事前に暗証番号及び回線番号等の登録を受ける必要がある。
 また、FD申請においては、コンピュータを用いた事務処理を効率的に行う際の支障となる面があるため、押印に代えて特許庁長官が交付する「識別ラベル」を手続する書面等に貼付することにより押印の省略を可能とする事務処理の簡略化を図っている。

(4)電子化による効果

電子化による効果は、以下のとおりである。

■申請人側の効果
  1. 電子媒体による利便性向上
     ワープロ等で作成した書類をオンライン・FDにより直接特許庁へ提出可能となった。オンライン出願の場合は、全国各地からも特許庁へ直接オンラインで即刻出願可能となり、特許庁の受付システムで受理されると出願番号が直ちに返信されるようになった。(従来、出願番号通知は、出願から1ヶ月程度)
  2. オンラインによるチェック機能
     オンライン出願では、受付時に論理チェックがなされるので、不適な出願については直ちにエラーメッセージが返信される。したがって、その受理状態(受付の可、不可)について即刻判明することとなり、申請人によるその後の速やかな対処が可能となった。

電子化による効果は、以下のとおりである。

■行政側の効果
  1. 省力化
     審査周辺業務について、電子情報をベースとしているので、従来のような紙による申請書類の持ち運びをする必要がなくなった。
  2. 電子公報の発行
     特許・実用新案の電子出願によって得られた電子情報を利用して、特許・実用新案の公開公報及び公告公報の電子編集を行うことにより、電子公報(CD-ROM公報)の発行が可能となった。
  3. 総合統計情報システム
     ペーパーレスシステムにより構築される基幹データベースを整理し、整合性のある統計情報を二次データベースとして蓄積し、迅速かつ高度に活用するため、平成3年度から総合統計情報システムを稼動させ、順次機能拡充を行っている。

事例2先頭へ



<事例3 法務省における不動産登記及び商業登記のオンライン情報提供>

(1)概要
 オンライン登記情報提供制度は、登記事務を電子情報処理組織によって取り扱う登記所の登記簿に記録された情報(以下「登記情報」という。)を、インターネットを利用して一般利用者が自宅または事務所のパソコンで閲覧することができるようにする制度である。一般利用者は、これまでは、登記所まで出向かなければ登記情報を入手することができなかったのに対して、オンライン登記情報提供制度が実現すると、これを利用することにより、居ながらにして登記情報を閲覧することができるようになり、登記情報を閲覧するための時間と手間が大幅に縮減されることになる。 平成12年の実施を予定している。
 提供する情報は、不動産登記、商業・法人登記の登記簿に記録された事項の全部についての情報(ただし、不動産登記簿に記録された事項のうち、共同担保目録に記載された事項については、その提供を受けるかどうかを利用者が選択することができる。)及び不動産の所有者に関する情報である。

(2)法制度面の対応
 「電気通信回線による登記情報の提供に関する法律案」が、平成11年3月2日、第145回通常国会に提出され、平成11年12月14日に可決成立し、平成11年12月22日に公布されている。施行日は、公布の日から起算して1年以内の政令で定める日とされている。

(3)運用等
 利用方法及び利用手順は以下のとおり予定されている。
  1. オンライン登記情報提供制度を利用しようとする者は、あらかじめ指定法人に利用者の登録をする。
  2. 登録利用者は、自宅または事務所のパソコンからインターネットを利用して、指定法人に対し、登記情報の提供を請求する。
  3. 指定法人は、登録利用者の請求に基づき、専用回線を利用して、登記所のコンピュータ・システムに対し、登記情報の提供を請求する。
  4. 登記所のコンピュータ・システムは、指定法人に対し、請求に係る登記情報を送信する。 なお、指定法人は、国に対し登記手数料の納付義務を負う。
  5. 指定法人は、登記所のコンピュータ・システムから送信された登記情報をインターネットを利用して、登録利用者に送信する。
  6. 登録利用者は、送信された登記情報をパソコンの画面に表示し、または印刷して、その内容を確認する。
  7. 指定法人は、毎月一定日に、以下に掲げる登録利用者の区分に応じ、それぞれの方法で利用料(登記手数料相当額を含む。)を徴収する。
     ・自然人である登録利用者  クレジット決済
     ・法人である登録利用者   銀行預金口座からの引き落とし

事例3先頭へ





 目 次 


参考資料2