●国際化・観光客への対応
(「わかりやすい道路案内標識に関する検討会提言 W.新たな課題への対応 (平成16年12月)」 より)
近年、我が国では観光立国の実現に向けた取組が強化されており、観光客受け入れ環境の一つとしても分かりやすい標識の整備が求められている。 |
観光客が必要としているのは、多量な情報ではなくシステム化されたシンプルな情報であり、この観点からもこれまで述べてきた取組を推進する必要がある。 |
また、観光情報については基本情報と峻別し、標識以外のメディアで提供されるべきである。 |
また、国際化への対応という点では、道路案内標識については既に標識令においてローマ字併用表記を基本とすることとし、その表記方法も具体的に定められているが、例えば、本来英語で表記すべき普通名詞が日本語の発音のままローマ字表記されている不自然な事例なども少なくないため、表記のルールを再度徹底し、乱れを是正していくことが必要である。 |
国際化対応として、道路案内標識への3ヶ国語以上の表記を求める声も少なくないが、標識はあくまでも道路交通の安全・円滑のための施設である。 |
自動車系案内に関しては視認性の確保が最も優先されるべきであり、板面を煩雑にし、視環境を乱す点から見ても、3ヶ国語以上の表記は適切でないと考える。 |
なお、「ローマ字表記」という呼称自体、日本語の音をそのまま表記するものと誤解を与えている可能性があるため、呼称については「ローマ字表記」から「英語表記」と改めることを提案する。 |
国際化や観光客への対応という点ではピクトグラム(図記号)の活用も有効であるが、ローマ字同様、表記のルールが定められているにもかかわらず、地域性を強調した独自表記等が氾濫し、視認性は勿論、景観・視環境をも損ねている。 |
ピクトグラムは統一的に定められているからこそ、地域や言語の障壁を超えた国際的な視覚言語としての機能を持つのであり、逆にそうでなければそもそもコミュニケーション・コードとならない。基準に基づいた統一的な運用の徹底を図る必要がある。 |
また、高齢化社会を迎え、高齢運転者は増加の一途をたどっているが、加齢に伴い視力、反応速度、認識能力等が低下するため、高齢者も即座に認識できるよう、文字の大きさ等の配慮や、夜間・薄暮時の視認性の向上を図る必要がある。 |
(1)英語表記 |
○2ヶ国語による統一性のある表記の徹底 |
・日本語と英語による併用表記を徹底する。 |
・英語表記については、より具体的な表記ルールを示し、乱れのない統一的な運用を図る。 |
・また、英語の文字サイズについても、外国人利用者の割合などを考慮しつつ、必要に応じて拡大表示を行う。 |
・なお、例外的に、ルールによらない表記法が既に定着しているなど、日本語の発音に沿ってローマ字表記することがユーザーにとって分かりやすいと認められる場合は、地域におけるマネジメントをとおして、個々に是々非々を検討する。 |
(2)ピクトグラム |
○ルールに基づいた表示 |
・標識や地図に表示する図記号は、国際言語としての役割を持たすため、規格化された標準案内用図記号による全国レベルの統一化を図る。 |