わが国の道路標識の歴史

江戸時代の一里塚

江戸時代の一里塚我が国においては、昔から街路の辻、街道の分岐点に道しるべや街路の一定距離ごとに一里塚が設置され、旅人達に安堵と利便を与えてきました。これらは現在の道路標識に相当するもので、道路と人の移動との間に目印や方向などの情報伝達手段が必要とされてきました。
  ここでは、明治時代から現代の本格的な道路標識が出現するまでの歴史を紹介します。

 

 

年 月   @標識令
  A関連法令、トピックス等
案内標識
明治初期 @−
A・牛馬車、荷車の時代
 ・「制札」により通行の禁止等を指示
 ・制札の様式は官公署ごとにまちまち
明治32年6月 @−
A・警視庁「制札制文例」を通達し、東
  京府下の制札の様式を統一、標識令
  の原典となる
 ・通行止めにかかわる8種を制定
明治後期 @−
A・制札を「傍標」と呼称
 ・自動車の出現
大正8年1月
    4月


大正9年12月
@−
A・内務省令「自動車取締令」制定
 ・「道路法」制定、道路標識を道路の
  付属物として位置付ける
 ・内務省令「道路取締令」制定、道路
  標識に牛馬をつなぐことを禁止
大正11年11月 @内務省令「道路警戒標及び道路方向標
 に関する件」制定
 ・我が国で初めて道路標識の全国統一
■道路方向標1種類(道路名、方面、方向、
 距離を表示)

昭和2年
昭和5年
@−
A・全国に自動車台数6.6万台
 ・東京に初めて自動信号機設置
昭和9年4月 @−
A・警視庁訓令「道路標識統一に関する
  件」
 ・管内警察署長に通達、規制・指示に
  関する標識を8種類に大別し、形状
  色彩、反射レンズ等を基準化、全国
  にも波及
昭和14年 @−
A・全国自動車台数22万台、交通事故死
  者3.3千人
昭和16年12月 @−
A・太平洋戦争に突入、鉄製標識の撤去
昭和17年5月 @内務省令「道路標識令」制定
 ・大正11年の「道路警戒標及び道路方
  向標に関する件」は廃止
 ・道路標識を案内、警戒、禁止、制限
  指導の5種類とし、様式・設置方法
  を制定
 ・様式はヨーロッパ方式をベースとす
  る記号式
■案内標識1種類(道路の種類、現在地点名
 方面、方向又は距離を表示)
■白地に黒文字とした
昭和20年〜
20年代前半
@−
A・太平洋戦争が終結し、駐留軍時代が
  はじまる
 ・全国自動車保有台数20万台プラス駐
  留軍車両交通事故死者4.4千人
  (昭和21年)
■駐留軍マップに合わせた「アベニュー、ス
 トリート」標識の設置

アベニュー・ストリート
昭和22年11月 @−
A・「道路交通取締法」制定
 ・大正8、9年の自動車取締令、道路
  取締令廃止
 ・道路交通取締令に、道路標識、区画
  線の定義が示される
昭和23年7月 @−
A・国家地方警察本部通達「道路標識の
  暫定的措置について」により、禁
  止、制限標識の様式をわかりやすく
  する暫定措置を行う
昭和25年3月 @総理府・建設省令「道路標識令」改正
 ・道路標識を案内、警戒、禁止、指導
  指示の5種類とする
 ・ヨーロッパ型の記号表示を原則とし
  これに日本文、英文を入れる
 ・様式ごとに分類番号を付ける
■案内標識5種類(市町村、都府県、方面、
 方向及び距離、方面及び距離、著名地点)
 いずれも白地黒文字、大文字によるローマ
 字併記
昭和20年代 @−
A・24年、国連ジュネーブ会議「道路標
  識及び信号に関する議定書(案)」
  を作成
 ・28年、国連標識の採用を各国に報告
 ・29年、日本の回答、「加入は保留す
  るが、内容については異議なし」

昭和27年6月


昭和29年
昭和32年
@−
A・新「道路法」制定
 ・道路の通行の禁止制限に伴う道路標
  識を設ける
 ・第一次道路整備5箇年計画発足
 ・「高速自動車国道法」制定
昭和35年5月 @「道路標識令」改正
 ・道路管理者の設置する標識について
  の追加、拡大率の規定を設けた
■「国道番号」標識の追加
昭和35年6月 @−
A・「道路交通法」制定、「道路交通取
  締法」廃止
 ・昭和35年、京葉道路開通
昭和35年12月 @総理府・建設省令「道路標識区画線及
 び道路標示に関する命令」制定、「道
 路標識令は廃止
 ・禁止、指導、指示を規制、指示に編
  成替え
 ・区画線、道路標示を初めて全国統一
 ・国連標識の採用は検討されたが見送
  られた
■案内、警戒標識については旧「道路標識令
 」をほぼ踏襲
■案内は6種類(市町村、都府県、方面方向
 及び距離、方面及び距離、著名地点、国道
 番号)
昭和36年8月 @−
A道企発「道路標識設置要領(案)」
昭和37年1月 @第1回改正
 ・道路管理者所管標識の改正
■「方面及び方向」「街路の名称」の追加
■「方面及び方向」は青地に白文字
昭和38年3月 @第2回改正
 ・公安委員会所管標識の大幅改良
 ・国連標識を大幅に取り入れた
昭和38年7月 @第3回改正
 ・高速道路標識の新設
■「入口の方向」等、高速道路標識を制定、
 地色を緑色とした
■「駐車場」は指示標識から案内標識に変更
 一般道と高速道に区別
■「まわり道」についても指示標識から案内
 標識に変更
  @−
A・昭和38年、名神高速東京〜尼崎間供用
 ・昭和39年、東京オリンピック
 ・昭和39年、首都高速道路一部開通
昭和39年8月 @第4回改正
 ・道路交通法一部改正に伴う改正
■「待避所」ありの新設
昭和40年8月 @第5回改正
 ・交通情勢の変化に対応する改正
■「非常電話あり」、「まわり道」の追加
昭和42年11月 @第6回改正
 ・首都高環状線、東名・中央道延伸に
  伴う高速道路標識の改正
■「入口の方向」「入口の予告」「方面及び
 距離」「方面及び方向」「方面及び出口の
 予告」「方面車線及び出口の予告」「方面
 及び出口」「出口」「非常駐車帯」の改正
 又は追加
■高速道路の標識について、主要な文字高を
 50センチとした
昭和43年 @−
A・ウィーン、世界道路交通会議「国際
  標識及び信号に関する条約」締結
昭和44年11月 @第7回改正
 ・路面電車等の撤去に伴い、現在地点
  を知らせる必要から
■「主要地点」の追加
昭和45年8月 @第8回改正
 ・道路交通法改正への対応
昭和46年11月 @第9回改正
 ・道路法、道路交通法改正への対応
 ・案内標識の視認性の向上、色彩の統
  一等
 ・一般道路の方面を案内する標識の地
  色を青とし、ローマ字併記を廃した
■「方面、方向及び経由路線」「都道府県道
 番号」「方面及び方向の予告」の追加
■「方面及び方向(108の2-B)の様式追加
■「サービスエリア」の様式変更
昭和50年12月 @第10回改正
 ・条文の整備、様式追加なし
昭和53年3月 @−
A・都街、道企発通達「道路標識設置基
  準」
昭和53年8月 @第11回改正
 ・道路交通法改正への対応
昭和60年10月 @第12回改正
 ・公安委員会所管標識の1部改正
昭和61年10月 @第13回改正
 ・案内・警戒標識の改正
■ローマ字併用表示を基本とする
■「方面・方向及び道路の通称名(の予告)」
 歩行者用「著名地点」「登坂車線(117の
 2-A,B)」「出口の予告」の追加
■「著名地点(114-A)」「待避所」の様式
 改正
■「街路の通称名」を「道路の通称名」とし
 様式の改正及び追加
■市町村章、都府県章、シンボルマークの表
 示を可とした
■「方面・方向及び経由路線」を廃止し、経
 路案内標識に路線番号を表示することがで
 きることとした
■108系に高速道路の通称名を表示する場合
 は緑色で行う
■「方面及び距離(106-B)」「方面及び出
 口の予告」「方面及び出口」「出口」
 「料金徴収所」「サービスエリア」の様式
 の改正及び追加
■「方面及び車線」「次の出口の予告」「方
 面及び出口」の廃止
昭和61年11月 @−
A・都街、道企発通達「道路標識設置基
  準」改訂
昭和61年11月 @第14回改正
 ・規制標識の改訂
平成元年2月 @第15回改正
 ・軽自動車の大きさ等変更に伴う語句
  の改正
平成2年11月 @第16回改正
 ・貨物自動車運送事業法施行に伴う語
  句の改正
平成4年6月 @第17回改正
 ・規制・指示・補助標識の改訂・追加
平成4年7月 @第18回改正
 ・補助標識・道路表示の改訂
平成7年10月 @第19回改正
 ・標識令の改訂(交差道路標識、ポイ
  ンタープロジェクト)
■ポインタープロジェクトに基づいて「交差
 道路標識」が制定された。
平成9年 @第20回改正
 ・標識令の改訂(トラックレーン)
平成10年 @第21回改正
 ・標識令の改訂(20t超案内)
■20t超案内の制定
平成12年 @第22回改正
 ・標識令の改訂(移動円滑化)
■移動円滑化に関する標識の新設
平成16年3月 @第23回改正
 ・標識令の改正(3.8m超案内)
■3.8m超案内の制定
平成16年12月 @第24回改正
 ・標識令の改正(自動二輪二人乗り)
■自動二輪車二人乗り通行禁止の制定
平成17年9月 @第25回改正
 ・独立行政法人日本高速道路保有・
  債務返済機構法、日本道路公団等
  の民営化に伴う道路関係法律の整
  備等に関する法律への対応
■道路関係4公団の民営化に伴う
 「市町村」(101)及び「方面及び出口
 の予告」(110−A)の設置場所の規
 定が変更された
平成17年10月 @−
A・「周辺環境に調和した道路標識特区」
  を国が決定(基本方針決定)
平成17年12月 @−
A・構造改革特別区域法への対応
■構造改革特別区域内の案内標識の
 寸法(柱の規格に係る部分を除く。)を
 標識令別表第二の案内標識の部分
 の図示の寸法の二分の一まで縮小す
 ることができるとした
平成18年2月 @第26回改正
 ・道路交通法改正による車両の種類
  の変更への対応
平成18年3月 @−
A・「周辺環境に調和した道路標識金沢
  特区」を国が認定