世界の道路標識

諸外国の道路標識
 道路交通の歴史とともに育っていった諸外国の道路標識は、それぞれにその国独自の歴史を持っており、大きく分けると、欧州方式と米国方式の道路標識に区分されます。
欧州方式 特 徴
 道路網が国境を越えて発展している関係から、道路標識の表示に言葉を用いることは不便であり、表示をできるだけシンボライズすることが古くから行われてきました。このため、記号を用いると同時に色彩と形状を十分に駆使して視認性と識別性を高める工夫がされています。
欧州各国で採用されており、後の国際連合道路標識(道路標識及び信号に関する議定書)の基となります。
 視認性、識別性、国際性に優れる。

米国方式 特 徴
 原則として四角形のみが用いられ、地色は白または黄色(高速道路案内標識は緑)を主とし、記号は単純に誰にでも理解できるもの以外は用いず、原則として言葉による表示を採用しています。
アメリカ合衆国、カナダ、中南米で採用されています。
 機能性、確実性に優れる。

道路標識の国際統一化
 欧州諸国において道路標識を国際的に統一しようとする動きが生まれ、1949年(昭和24年)ジュネーブで開催された国連経済社会理事会の分科会である内国運輸委員会道路小委員会で標識の世界統一化案が提唱され、1952年(昭和27年)に国連総会で提案し採用され、翌1953年に参加国68カ国による国際連合道路標識(道路標識及び信号に関する議定書)が発行されました。その後、1968年(昭和43年)に国際連合道路交通会議にて「道路標識及び信号に関する条約」として成立しました。
国連標識加盟国一覧
 フランス、オランダ、オーストリア、スペイン、ドイツ、デンマーク、オーストリア、アラブ連合、カンボジア、タイ、イギリス(近年採用)など。
国際連合道路標識に加盟していないが、これと同等または類似の標識を採用している国も多いです。
わが国においても、1963年(昭和38年)に国際連合道路標識を取り入れる形で道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(標識令)を改正しています。
米国方式を中心とした道路標識体系を確立している米国、カナダなどの国々では国際連合道路標識には加盟していません。一方で、米国では、形状、色彩、記号等による表示に関心を示し、1971年(昭和46年)に、シンボルを取り入れた大幅な改正を行っております。

国際連合道路標識とは
 国際連合道路標識はフランス、ドイツ、イタリアの標識を母体としてできたもので、言葉による表現を用いず、その表現を形状と色彩と記号で表現している点で、国際性と速認性を特色としています。

日本、アメリカ合衆国、ドイツ、国際連合道路標識の概要
 世界の国々で設置している標識(ここでは日本、アメリカ合衆国、ドイツ、国際連合道路標識)を、案内標識、警戒標識、規制標識の3つに分類し、それぞれの標識板の概要や特徴を紹介します。