事例　No.13

事例　No．13

交通規制によるバス運行支援（静岡県浜松市：浜松まつり）

　

ポイント

・バスレーン、信号機調整などの交通規制により、バスの安定的な運行を支援。

・バスの利便性を高めることで、マイカー利用を抑止し、バス運行を効率化する好循環が働いている。

渋滞の状況と対策のねらい

・5月の連休に開催される浜松まつりでは、約170の「町」が参加する凧揚げが行われる。会場となる中田島砂丘では、交通規制を行うものの、狭い会場内の駐車場に入るバス･関係車両と歩行者が交錯し、駐車待ちによる渋滞が発生した。

・平成2年度より、ボトルネックとなっていた会場内の駐車場を廃止し、輸送手段をバス・タクシーに限定した。これにより、円滑なバス運行が可能になり、あわせて、パーク＆ライド（P&R）を実施した。

実施内容（試行内容）

・会場付近一帯を一般車両乗り入れ交通規制する。代わりに、地元住民は各町内で用意した貸切バスを利用して来場する。その他の来訪者については、浜松駅あるいはP＆R用の駐車場からシャトルバス、タクシーを利用してもらう。

・バスが混雑した会場へ入ることは避け、会場から少し離れた駐車場をバス専用の発着場とする。

・バスの経路をバスレーンとして明示するための看板の設置、国道との交差点の信号機調整などを行う。

実施期間	5月3･4･5日
〃主体	浜松まつり本部、警察、遠州鉄道(株)
〃体制	・バス輸送に関しては全面的に遠州鉄道が担当・駐車場整理、看板設置などはまつり本部、交通規制に関しては警察・浜松まつり総会を基本として関係者間で連携･調整
交通規制内容	・国道1号線より南の会場一帯を9:00～17:00の間、一般車両通行禁止とする・バス路線と国道1号線との交差点における信号機調整を行う
バ　ス運行ルート	①貸切バス：各町内～中田島 ②シャトルバス：浜松駅～中田島、飯田公園駐車場～中田島（P&R） ③直通バス：各地区～中田島（通常路線で臨時便を運行）
〃　運行頻度	シャトルバスは利用状況に応じて調整
〃　運行台数	①貸切：のべ約500台で往復運行 ②シャトルバス：最大約100台でピストン運行
P＆R用駐車場	飯田公園（会場より約6km）約1300台収容
〃利用料金	・平成9年度までは駐車場：500円、バス：無料・平成10年度より駐車場：無料、バス：270円（平成11年より20円値下げ）
費用	・駐車場整理：約100万円、規制･案内看板設置約750万円、その他宣伝費など・バス輸送総収入約4500万円（貸切：3200万、乗合：1200万）
費用負担	・バス輸送に係る部分は遠州鉄道が負担・それ以外はまつり本部の運営費の一部

工夫した点・苦労した点

（１）マイカー利用に対するバスの優位性の確立

・会場付近一帯を一般車両通行禁止とすることで、マイカー利用を防止するだけでなく、バスレーンを周知するための看板の設置、信号機調整などの対策を組み合わせて、バス運行を効率化している。これにより、マイカーに比べたバスの相対的な魅力を高め、マイカー利用を抑止し、さらにバス運行が効率化する好循環が働いている。

（２）バス運行に関する工夫

・会場とバス発着場を離すことで、歩行者と車の移動の流れを分け、ボトルネックを解消した。これにより、会場付近の交通が円滑になり、高頻度でのバス運行が可能になった。

・バスの需要量を経験的に予測する一方で、特定時間帯への利用客の集中、天候による変動があることから、現地職員からの連絡により運行状況をリアルタイムで把握し、必要に応じて運行量を調整している。

・一時的な需要に対して、人員、車両などのストックに限界があることから、周辺バス事業者から車両の応援を受ける協力体制を組んでいる。

（３）関係者のそれぞれの強みを活かした役割分担

・長年の取り組みのなかで、まつり本部による駐車場整理や看板の設置、警察官や職員によるバス誘導など、各主体の強みを活かした役割分担ができあがり、関係主体が連携して円滑な輸送体系を支える仕組みが確立した。

・バス輸送を支える周辺の仕組みがしっかりとしているので、バスの運行に関しては、経営的なノウハウ、インセンティブをもつ民間バス事業者に全面的に任せることができている。

規制案内図

関係機関

静岡県浜松市観光コンベンション課(053-457-2295)

遠州鉄道株式会社運輸事業部(053-454-2263)

http://www.entetsu.co.jp/tetsudou/index.html