事例 No.21

富士山の乗り入れ規制(静岡県:富士山)

 

ポイント

・混雑区間のマイカー規制、及びシャトルバス・タクシーによる代替輸送を実施し、渋滞解消と同時に自然環境保護を図る。

・山梨県側と規制期間を統一し、規制内容の広報活動を連携することにより、相乗効果を狙う。

渋滞の状況と対策のねらい

・富士山の静岡県側の路線である富士山スカイラインは、富士箱根伊豆国立公園内を抜けて表富士宮口五合目に通じる。表富士宮口には年間30万人の来訪者があり、その多くがマイカーを利用している。

・表富士宮口にある新五合目駐車場の駐車待ちと、大型車のすれ違いを困難にする路上駐車により、道が狭くなる登山区間において特に渋滞が発生する。

・混雑がピークとなる期間に登山区間への一般車両乗り入れ規制を行い、渋滞を解消するとともに、排気ガスの削減による自然環境保護の効果を期待する。

実施内容(試行内容)

・富士宮〜御殿場路線から分かれ五合目へと至る富士山スカイライン登山区間で、一般車両乗り入れ規制する。

・規制区間手前の2箇所の駐車場でマイカーを止め、そこからシャトルバス・タクシーを利用するパーク&ライド(P&R)を実施。

・路上駐車防止用のバリケードの設置、大型車を誘導する人員の配置により、車両の通行を円滑化。

実施期間

旧盆にあたる8月の10日間

〃 主体

富士山スカイライン渋滞対策協議会

(静岡県:道路関係及び自然保護関係部局、警察、関連市町村、バス事業者、タクシー事業者、地元商店会、登山協会)

バス 運行ルート

通常のバス路線に加えて、

西臼塚駐車場〜五合目、水ヶ塚駐車場〜五合目を周回運行

 〃 運行時間

6:00〜23:00

 〃 運行頻度

30分間隔、利用状況に応じて増発

P&R利用料金

駐車場:無料

シャトルバス:往復1600円

シャトルタクシー:片道4000円(小型)〜4700円(中型)程度

費用負担

路上駐車防止バリケード、横断幕、看板などの設置、及び広報活動にかかる費用は県が負担。バス・タクシー事業者も一部負担。

 

工夫した点・苦労した点

(1)自然環境保護の観点を取り入れた交通規制

・協議会には、交通規制の実施に関して、渋滞解消だけでなく自然環境の保護を目的とする県の関連部局が参加している。

・山梨県側の富士スバルラインでの交通規制と期間を一致させ、渋滞解消の相乗効果を図っている。

・交通規制の実施は、結果として、交通及び環境の両面において快適な登山観光を可能にし、観光客の支持を得ている。

(2)規制内容周知のための広報活動

・来訪者へ事前に規制の実施を知らせるために、チラシ、ポスター、ラジオCM、県TVを通じた広報活動を行っている。

・中京方面からの来訪者には愛知県のラジオ、首都圏向けには山梨県側の広報メディアとの連携、全国に向けては観光情報誌の1面広告など、様々な媒体を組み合わせることで、幅広い層への周知を図っている。

・規制期間は毎年異なることから、継続的な広報活動が必要になるが、リピーターには周知されている。

 

対策の実施効果

・規制期間中は、以前のような著しい渋滞が解消され、快適な登山観光が可能になった。

・規制の実施による来訪者の減少は見られず、アンケート調査では対策継続に8割以上の賛成を得ている。

 

 

関係機関

静岡県土木部道路企画室(054-221-3359)

http://www.pref.shizuoka.jp/