事例 No.5

5分間隔のバス運行(奈良県吉野町:吉野山)

 

ポイント

・観光客ニーズに立脚した2系統のバスルートと5分間隔の運行頻度を実現。

・駐車場事業者、観光事業者の事業にも配慮。

渋滞の状況と対策のねらい

・桜の名所吉野山には、主に大阪、名古屋方面からお花見のため4月一ヶ月間でおよそ30万人が訪れる。吉野山へ向かう国道169号線には、マイカー、観光バスが集中し、開花ピークの土日には、10数qの渋滞が発生し、付近の住宅街への違法駐車も目立ち始めていた。

・吉野山の麓に臨時駐車場を設置し、吉野山に向かう観光客に、マイカーからバスへ乗り換えを誘導するパーク&バスライド(P&BR)を実施。

実施内容(試行内容)

・吉野山区の1カ所は観光バス専用駐車場とし、マイカーは、吉野山区内の駐車場(主に民間駐車場)が満杯になると、国道169号線沿線の臨時駐車場に誘導される。そこからシャトルバスで、入山してもらう。

・4月の1ヶ月間は吉野山周辺に交通規制が実施される。「大型自動車交互交通」を道路幅員が狭い区間で実施し、シャトルバス運行の円滑化を図る。また、「歩行者天国」、「マイカー通行規制」を実施し、マイカー利用の抑制を図る。

実施期間

桜の開花ピークの土日

実施主体

吉野山シャトルバス運営委員会(吉野町、吉野山区(自治会)、吉野警察、奈良交通、吉野山観光協会、吉野山駐車場管理委員会)

実施体制

臨時駐車場内誘導、料金徴収に約20名。他にバス利用案内や誘導などに約20名(奈良交通が派遣)

バ ス運行ルート

@臨時駐車場〜下千本

A臨時駐車場〜中千本

 〃 運行時間

吉野山内駐車場が満車になった時点(9時頃)〜18:00

 〃 運行頻度

5分間隔

 〃 運行台数

12台

駐車場規模

約1,050台

 〃 確保

吉野木材協同組合の土場を有償で借り上げ、河川敷の多目的広場は無償で借り上げ

P&BR利用料金

駐車場及びバス利用料金1,000円/台・日

費用

2日間実施にかかる経費250万円(土場借り上げ、バス運行委託、ガードマン・アルバイト、駐車場内仮設トイレ、看板制作、昼食代等)

費用負担

赤字が出た場合には、吉野町と吉野山区が折半して負担

 

工夫した点・苦労した点

(1)利用者ニーズを重視したバス運行

・吉野山には、下千本、中千本などのお花見に適した箇所が複数ある。開花具合や好みに応じて、観光客が目的地を選択できるように、バスは2系統用意している。

12台のバスを使い5分間隔の運行を目標としている。これは、臨時駐車場内でバスを待つ乗客の安全確保からあまり長い行列を作らないこと、並んで待ってもらって5〜10分が限度だと考えていることにある。バスの運行間隔や所要時間を計測して状況を把握し、2系統間でバス車両を臨機応変に配車したり、無線で連絡を取り合って調整するなどの努力をしている。

・バス乗車時間は片道で1520分程度。バス車内で立っている乗客もいるので乗車時間をこれ以上のばすことは避けたい。乗車時間が30分以上かかるようなときには、警察との協議によりある程度のマイカーの入山抑制を行ない、円滑なシャトルバス運行に努めている。

(2)現場での円滑な連携体制確保がキーポイント

・吉野山を巡回している警察官が駐車場の込み具合を判断して、P&BR実施要請を国道169号線にいる警察官に連絡する。連絡を受けると、吉野山駐車場が満杯である旨を伝える立て看板を沿道に設置し、臨時駐車場に誘導を開始する。一方、吉野山の駐車場に空きが出てくると、看板をはずして吉野山の駐車場の利用も可能なようにする。

(3)実施時期を早めに決定

・長期天気予報、桜開花予測情報などを参考に、P&BR実施の事前準備のため、実施時期を2月末の時点で決めている。対策の実施効果、収支自体に大きく影響を与えるため、この見極めはきわめて重要。

対策の実施効果

・P&BR実施効果ははっきりと出ている。実施した場合には、渋滞長が約5q程度となる。

・利用者から、「半日で十分に桜を楽しめることができた」と時間を有効に活用できたことを喜んでもらった意見を聞く。一方で、駐車場料金が高い、誘導の看板が少ないなどの改善要望も出ている。

吉野山のP&BR及び交通規制の実施状況

 

 

関係機関

奈良県吉野町経済観光課(07463-2-3081)