事例 No.3

スキー場帰り客渋滞の緩和(新潟県湯沢・塩沢地区:スキー場)

 

ポイント

・複数メディアを利用した混雑情報の提供により、スキー場帰り客による渋滞を緩和。

渋滞の状況と対策のねらい

・当地は国内でも有数の豪雪地帯である。関越自動車道の開通に伴い関東圏からのスキー客が急増。スキー客の約8割がマイカー利用であり、関越トンネル・一般国道17号で混雑が発生。特に、雪道に不慣れな車が引き起こす事故、路上でのチェーン着脱作業が渋滞の原因となり、住民生活、緊急車両、除雪作業に大きな影響を与えた。

・豪雪地帯でのハード整備にも限界があるとの認識の下、道路状況の把握と情報提供のシステムを中心としたTDM施策を推進。情報により観光者の行動を変化させ、交通量の平準化を図ることで、ソフト面での渋滞問題解決をねらう。

実施内容(試行内容)

情報収集・提供の全体の仕組み

・湯沢・塩沢地区渋滞対策懇談会において、各対策の関係機関が参加し、連携を図っている。

情報収集・提供の仕組み

 

実施期間

情報伝達センター:12月中旬〜3月末

実施主体

湯沢・塩沢地区渋滞対策懇談会(建設省長岡国道工事事務所、日本道路公団、新潟県、警察、塩沢町、湯沢町)

懇談会オブザーバー(観光協会、索道事業者、FM雪国)

利用メディア

インターネット、FAX、情報板、路側放送、電話、FM放送、チラシ

費用負担

各実施主体が負担

情報伝達センター

・通常は12時間毎に、天候に変化があった時などは必要に応じて、道路の渋滞、路面状況、規制などの情報を収集し、FAXによる連絡体系により50箇所の拠点に情報伝達。

FM雪国

・観光情報と合せて、道路混雑の情報を随時放送。また、チェーンが不要なスタッドレスタイヤのPR、雪道安全運転の啓蒙を行う首都圏向け番組を制作した。

工夫した点・苦労した点

(1)複数メディアを活用した幅広い場面での情報提供

・出発前、スキー場までの経路、スキー場、帰宅前といった多様な移動需要シーンに応じて、提供する情報の内容、メディアを使い分けながら、効果的な情報提供を実現している。

・各情報拠点への情報伝達の仕組みをつくることはできるが、本当に情報を必要としている末端のドライバーに対して、必要な情報を提供するためには、カーナビへの直接的な情報提供が必要になる。

(2)情報提供源の周知

FM周波数の周知を図るために、タイアップメディア展開(ブックカバー、ステッカーの配布)を行った。

(3)情報とインセンティブの組み合わせによるスキー客行動への訴求

・索道事業者の協力による平日券・半日等のリフト券価格体系の見直し、道路公団による高速料金割引等、経済的な面でのインセンティブを組み合わせて、帰り客の行動決定を変化させ、時間平準化、経路分散を図っている。

(4)関係機関での共通認識

・懇談会においては、各関係機関が対策案を持ち寄り、積極的に連携を図る仕組みが旨く機能している。

・その背景には、スキー人口の減少、近隣観光地との競争激化に対する危機意識から、渋滞問題を解決し、他の観光地との差別化を図ることで、魅力的な観光地としての評判を維持していく、という共通した目標を持っていることがある。

 

 

関係機関

建設省北陸地方建設局長岡国道工事事務所調査課(0258-36-4551)

http://www.hr.moc.go.jp/tykoku/