- 日時
平成18年10月23日(月) 10:00〜12:00
- 場所
国土交通省特別会議室(中央合同庁舎3号館4階)
- 出席者
【委員】(敬称略)
森地茂、井口雅一、設楽利夫、廻洋子、市川嘉一、伊東誠、河端瑞貴、喜多秀行、高橋清、中村文彦、藤井聡
【オブザーバー】(敬称略)
武村昇治(金沢市都市政策局長)
岡村清治(広島市道路交通局都市交通部長)
【国土交通省】
宿利総合政策局長ほか
- 主な議題
(1)公共交通に関する政策課題と対応について
(2)新たな輸送形態の導入促進について
- 議事概要
- 資料2に基づき事務局側より公共交通に関する都道府県アンケート調査の結果について、続いて資料3に基づき公共交通に関する政策課題と対応について事務局による整理について説明された。
- 続いて、DMVならびにIMTSの資料映像を視聴した。
- これらの説明について、委員より意見が述べられ、これに対して国土交通省より回答がなされた。委員の意見の概要は次の通り。
- 第3回は11月14日(火)14時からの予定。
【主な意見】
<共通>
- 路面電車の最高速度は40km/h、モノレールも遅い。軌道系の最高速度の見直しは出来ないか。
- 車両デザイン・広報を良くすると地域のイメージも上がる。イメージ戦略が重要ではないか。広報でうまく伝えられると観光にも役に立つ。
- まちづくりと公共交通のあり方を一体的に議論する仕組みがない。自治体の中には計画を実効性のある手段として活用するという意識が十分ではないところもある。自動車はユーザーが個人であり、意思決定力も持つことでフィードバックループがある。公共交通はユーザーは個人だが、意思決定力は個人が持たないのでフィードバックループが無い。欠けているところを補うことがキーポイント。
- 乗りたくなるような公共交通にするマーケティングが重要。ドイツでは公共交通のマーケティングの取り組みを表彰する仕組みがある。日本でも日本鉄道賞のようなものが既にあるが、大掛かりな表彰制度があると良いのではないか。
- 本当のニーズは何かを把握する前段の部分が欠けているのではないか。常にマーケティングを考える必要。自治体が交通のプロデューサーになる意識が必要。「自治体が交通のプロデューサー」を具体的にしていくには「コミュニティビジネス」やNPOの関係を考える必要。タクシーに関してもパブリックのもの、「公共」+「私」のものであるという意識に踏み込んでいろいろなことを考え直す必要。
- 調整を促進するところと情報センター的なものを合わせて考えることが重要ではないか。オペレーションのみならず上部計画も含めて公共交通を運営する仕組みは出来ないか。地図の情報が一元化されていないことも問題。地図は情報のインフラ。情報を提供するだけでなく受け取りに行く、住民の声を徹底的に聞く体制が必要。
- 観光のための交通を細分化する必要。(出発地⇒観光地、観光地間、観光地内)クルーズ振興だけではなく、寄港地〜観光地間のアクセスも重要。公共交通を景観から捉えることも重要であり、都バスのラッピング広告は野放しでよいのか。バリアフリー設備もよく整備されてきているが、バリアフリー情報をよく分かるようにする必要もある。
- 安全基準に関して、本数の密度が違う区間に同じ仕組みを入れる必要はない。違う仕組みで同じ機能を持たせられる。きめの細かい議論をすれば効果が上がる。
- 地方鉄道・バスに関して、大きな視点、活性化のためどうするかという視点が必要。地方鉄道の運賃収入は、運営コストに充当するので精一杯。線路・道床にもお金がかかるがそこまで回らない。地方自治体が支えてきたが、地方自治体の財政状況も厳しくなってきているので、どうしたらよいのか。LRVの大量生産により単価を下げ、全国に広めるような検討も。
- 生活交通確保のための交通事業者が主体になった取り組み、地域が主体になった取り組みの事例・メニューが不足しているので、コンテンツ共有の仕組みがあればよい。
- 地方都市ではJRが基幹交通を担っている場合も多いが、地域ニーズに対応できていないこともある。自治体が補助をしながら列車を走らせるスキームや、別組織がJRのレールを使って運行する列車のスキームもあって良いのではないか。
- 公共交通の連携に関して、もう少しブレークダウンする必要がある。バスターミナル整備に対するスキームが現在無い。高速道路と公共交通、高速バスと地域交通、駅と空港、民々規制、路線権等、例を出すとアイデアがブレークダウンできるのではないか。トランジットモールの議論をどう突破するか。ここを突破しないと、都心商業地の話も県庁所在地クラスの都市の公共交通の話もおそらくうまくいかない。面的規制に関する議論に対しては、警察の規制に対する市民の受け取り方が影響したり、手間がかかる。公営交通の話をどうするか。BRTをやる時に、少しだけつなぎの部分を作るとか、右折レーンだけ何とかしようとしても、道路は「一般交通の用に供する」もので特定のバスのためには出来ないといつも話が元に戻ってしまう。あと、外国人対応。情報に関しては法律が整備されたので、次は何が必要か。
<三大都市圏・政令指定都市>
- 運政審では4つの混雑(車両、線路上、ターミナル、踏切)を指摘。特に線路上の混雑により、ピーク時の速度が非常に遅くなっていることへの対応を考える必要があるのでは。例えば、地下鉄に待避線を作れば輸送力が向上するような例も見受けられるが、そういうことをやるようなスキームが無い。
- 既存のバス車両で対応が困難だから連節バス、とすぐに行くのではなく、バス停、乗降方式等、バスシステムを全体で把握して検討する必要。連節バスはあくまでも一変数。
- ターミナルの中の乗り換えの利便性は非常に重要。
- 混雑緩和に関しても、東京圏、大阪圏、名古屋圏で事情が違うし、東京圏でも場所により差があるのではないか。本数増や相互直通運転により速達性、定時性が少しずつ揺らいできている。これらの問題に対して何か策を考えるのか。
- 大都市圏においても、フリーゲージトレインが実用化されれば直通運転が拡大され、導入の意味があるのではないか。
- 大地震が発生した場合の対応にまだ手がついていない。異なる事業者間の調整をどうするかが今後の課題ではないか。
<県庁所在地クラス>
- 公共交通維持にあたっては、沿線自治体との協力が不可欠。コンパクトなまちづくりと市域の広がりの両方を考慮する必要。市域の広がりに対応するためには、P&Rの推進等で円滑な輸送を図ることが不可欠。「公共交通のプロデューサー」であるためには、交通事業者にそれなりの権限が必要。
- 情報センターから全国的に使える指標が発信、また市町村の側からも情報を提供するようなシステムがあれば良いのではないか。
- 全体の意思決定ルール、どれくらい賛成すればよいのかというものが必要。
- もともと公共交通を利用していない、公共交通の利用を志向していない住民がたくさんいるのではないか。公共交通利用の教育が小学生・中学生・高校生等に対してなされても良いのでは。
- 公共交通を含む公共政策の公共性について、今まで国がどれだけ語ってきたか。住民、自治体、事業者に公共性の意識をきちんと持ってもらうことが重要。県庁所在地クラスだと土地利用、土地計画との関連性が特に重要。
- 国土形成計画でも「新たな公」の指摘がなされている。地方においても中心部回帰が進んでいる都市がたくさんある。
- 経営が困難になってから上下分離を取り入れるのではなく、元気なうちに上下分離を取り入れる仕組みがあってもよいのではないか。トランジットモールの導入等にあたっては、警察の対応が自治体の担当者を悩ませているようだ。快適な移動と交通安全行政の関係を改めて入れてほしい。
- 都市計画でいろいろ出てくる問題を解消するために、交通計画がかなり力を使ってきた。交通の側から見て、こういう都市計画を作ると困る、無理であるという考えを明らかにする必要。交通圏単位で地域公共交通を議論し、地域交通計画を立てる、支援するスキームが必要。
<その他地方都市・中山間地域・離島>
- 地方においても、混雑時の輸送に相当注力しているが、それ以外の時間帯はガラガラであり、非常に効率が悪い。ピークロードプライシングに関して、難しいと言われているが、地方では可能ではないか。
- 存続とあるのは、存廃ではないか。存続か、別の手立てを講じるかという決断が必要。自治体の首長は選挙を意識するが、交通計画の期間は任期より長いことがほとんど。その結果、任期中はサービス水準を下げたくない、鉄道を廃止しないと、公共交通の問題に手をつけないことも多く、必ずしも適切な時期に適切な判断がなされない。いかにそれを予防する手立てを講じることが出来るか。
- 公共交通の公共性に対する意識、マイレール意識等の醸成が特にこのクラスの都市では大切ではないか。
- 介護保険制度と交通の負担の議論が介護保険導入時に議論になった。除雪の話と公共交通の話を絡めた議論が北国ではあり得るかもしれない。
- バスの運営等にどれくらいの費用がかかっているのかを利用者に認識してもらう必要がある。例えば、鳥取では1人あたりの費用を明らかにすることにより利用者の意識がずいぶん変化した。適切に判断してもらうための情報提供が意識を醸成する上でも重要。
- DMVが冬に公共交通として一定の地位を占めるか若干疑問がある。冬季の除雪等を通じて、バス停をコアにして地域の公共交通意識を高められるのではないか。バスターミナル、バス停をコアにしてまちづくりと連携して考える必要があるのではないか。
- 地方都市においても情報技術が貢献すべきではないか。
<新しい輸送モードに関して>
- 新しい技術を使える環境をいかにして作っていくかが重要。
- 総合的な交通体系を公共交通と自動車ネットワークで考える上で端境となるモードがDMVやIMTSと思われる。あるべき交通体系を考えることの象徴。あるべき車社会をみんなで考えようという発信が出来れば良い。
- IMTSの軌道に関して、軌道でするのか、専用道路で行うのか、取扱いに関して課題が残る。海外で実用化されているものも考えると、技術の幅はいろいろあり、こういったものにもっと投資すべき。
- 強調したいのは三位一体の取り組みの必要性。JR北海道は、問題提起したことに対し地域住民・行政がどう受け止めるかが、DMVの投げかけた意味の1つ。いろいろな選択肢があって良い。
- 技術を導入することによる全体像・効果・インパクトが見えづらい。技術開発によりユーザーがどのような動きになるかというのが具体的になると分かりやすい。
- 安全の議論において、今までは絶対の話になり、確率の話にならなかった。国交省の安全担当は、どういうスタンスなのか今一度はっきりさせたらどうか。
注:「主な意見」は、現時点において事務局の責任において取りまとめたものであり、今後公表される議事録等と異なる可能性があります。
交通政策審議会交通体系分科会 第2回地域公共交通部会 資料
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配布資料一覧 |
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配席図 |
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委員名簿 |
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議事次第 |
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交通政策審議会第1回地域公共交通部会における主な意見 |
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資料1 |
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公共交通に関する都道府県アンケート調査の結果について |
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資料2 |
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公共交通に関する政策課題と対応について |
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資料3 |
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DMV資料(北海道旅客鉄道株式会社作成) |
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資料4 |
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IMTS資料(トヨタ自動車株式会社作成) |
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資料5 |
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