国土審議会近畿圏整備特別委員会
計画部会(第3回)
議事概要
- 9月26日(木)13時30分より、梅田スカイビル会議室E(大阪市北区大淀中1−1−88)において、国土審議会近畿圏整備特別委員会の第3回計画部会(部会長 紙野桂人 大阪大学名誉教授)が開催された。
- 今回は、4名の計画部会委員から基調報告を受け、討議が行われた。
- まず、琵琶湖博物館専門学芸員 嘉田由紀子委員から「琵琶湖の環境保全と近畿−その百年の計を考える−」について基調報告と質疑が行われた。その概要は次のとおりである。
- 琵琶湖の今後を考える際には、近代化100年の歴史を踏まえる必要がある。
- 昭和30年代が環境問題を考える一つの原点であり、以降の都市化と内陸工業化の進展により、琵琶湖の上下流関係のバランスが維持できなくなった。
- 琵琶湖は単なる水ガメではなく、地球の歴史を写す古代湖、多様な固有種の生息場、近畿圏人にとっての脱日常の世界等の多面的意味と価値を有しており、総体としての環境保全への転換が必要。
- 次に、京都大学大学院工学研究科教授 内藤正明委員より「地球環境制約下の社会特性と都市・地域像」について基調報告と質疑が行われた。その概要は次のとおりである。
- 地球温暖化防止対策として炭酸ガス発生量を最近の研究により試算すれば、現
状の6割削減が必要であり、この状態は昭和30年代に相当する。さらに、中国の経済発展等地球レベルで見れば、なお一層の削減が必要である。
- 大人口の途上国の工業化は、21世紀の前半にありうる食糧、資源・エネルギー、地球 環境に危機的状況を避けがたいものにするので、現工業国は途上国に工業化以外の持続 的発展を可能にする社会像を示し、現工業国も共にそれに向けて社会の再構築をせざるを得ない。
- 都市・地域においては、農業と工業のバランスを取り戻し政策決定の単位を循環圏に見合ったものに分割する等のハードとソフトの仕組みの変革により一過型社会から循環型社会へ転換する必要がある。
- 続いて、昭和プラスチックス株代表取締役社長 中川健三委員より「アジア太平洋と近畿の経済交流の促進と国土計画」について基調報告と質疑が行われた。その概要は次のとおりである。
- 日本の経済から最近の若者にいたるまで活力が失われているが、近畿圏整備に
おいては活力を促進することが重要。
- 海外の中小企業の対日投資の促進と近畿圏の中小企業の海外進出の支援策が活力の促進にとって重要。
- 日本人はあまりにも都市の環境に対して美的感覚がなさすぎる。耳で聞く環境に加えて目で見る環境についての美的感覚を養うことが重要である。
- 続いて、日本電信電話株関西支社副支社長 横井省吾委員より「日本における関西の役割−個性溢れる関西、ばらばらの関西、その考え方の保守性と革新性−」について基調報告と質疑が行われた。その概要は次のとおりである。
- 大阪のイメージが関西全体の存亡にかかわる。
- 大阪がきたないことが定着していることをチャンスととらえ、安全で美しく活力のある国際都市大阪を100年かけて実現していくことが必要。
問合せ先:国土庁大都市圏整備局計画課 課長:高津、課長補佐:新田
(電話)03-5510-8042 (FAX)03-3501-6534