国土審議会首都圏整備特別委員会計画部会(第23回)
議事概要
- 12月11日10時より、第5合同庁舎共用第6会議室において、国土審議会首都圏整備特別委員会の第23回計画部会(伊藤滋部会長:慶應義塾大学大学院教授)が開催された。
- 本日は、「新しい首都圏整備における諸施策の展開について(その4)」として、これ からの検討課題及び個別テーマに関する議論が行われた。主な論点は次のとおりである。
- 首都圏の将来の圏域構造を考える際、最近の首都圏の人口の社会移動の変化について、企業の雇用調整や大学進学者の地方回帰の増加等の経済社会的、文化的要因や首都圏住民のライフスタイルの変化に伴う居住地指向の変化等を踏まえた構造的要因を踏まえながら中部圏、近畿圏と一体の枠組みのなかで検討する必要がある。
- 最近の全国的な出生率の低下に関連し、首都圏の出生率の低下に歯止めをかけるためには、子どもを生み育てるための社会的環境を整備することと併せて、首都圏全体が安定した経済成長を続けることが重要である。因みに高い出生率を回復していたスゥエーデンでは、近年の低成長に伴う税収減により、急激な出生率低下に歯止めがかからなくなってきている。
- 首都圏では、男性の未婚率の上昇が顕著であり、今後、生涯未婚率の想定も重要となる。こうした傾向を踏まえ、これからの首都圏におけるライフスタイルを展望する際には、女性、高齢者の動向と併せて独身男性の今後の動向について着目していく必要がある。
- 首都圏における将来の女性の就業者数の増加を検討する際、現状の就業の場がかならずしも高学歴の女性の能力に見合ったものではないということを踏まえ、個人にとっての最適な就業先の確保について検討することが重要である。また、就業形態についてもフルタイム以外の多様なあり方を考慮する必要がある。
- 首都圏の高齢者の就業については、特に年金受給者等の低所得者層に対する就業先の確保が重要であり、こうした人々の今後の居住地選択の動向等を踏まえながら高齢者の生活像について検討する必要がある。
- 首都圏における課題として、首都圏を静的な側面のみから捉えるのではなく、地域間の流動性や個人の活動の自由度を高めながら流動を活発にすることにより、全体として平準化していくという観点から捉える必要がある。例えばNPO等の自由な活動に対する支援のあり方等についても着目する必要がある。
- 首都圏の将来像として、中心部は規制緩和等により自由な活動を促進する地域を目指す一方、周辺部は住宅や医療の面で住みたくなるような質の高い魅力ある地域を目指すことが求められる。
- 身近な地域と環境とのかかわりをとらえた例えば環境圏に関する検討が重要と考えられ、その考え方としては、固定的な圏域にとらわれず、NPOやテーマコミュニティ等の住民の自発的な活動を包含するような多様な内容を対象とすることが重要であり、その具体化にあたっては、都市開発とどのように関連付けていくかが重要となる。
- 首都圏における交通体系のあり方を検討する際、高密度に居住する地域における個人の住まいかたを踏まえながら、具体的かつ効果的な公共交通機関への誘導方策の検討が重要である。
問合せ先:国土庁大都市圏整備局計画課 (課長)高津、(課長補佐)渡邉
(電話)03-5510-8042 (FAX)03-3501-6534