国土審議会首都圏整備特別委員会計画部会(第24回)
議事概要
- 2月7日10時より、中央合同庁舎第5号館共用第6会議室において、国土審議会首都圏整備特別委員会の第24回計画部会(部会長:伊藤滋慶応義塾大学教授)が開催された。
- 本日は、「新しい首都圏整備における諸施策の展開について(その5)」として、これ からの検討課題及び個別テーマに関する議論が行われた。主な論点は次のとおりである。
- これまでの首都圏計画は、開発圧力の増大の中での国としての個別課題に対応した将来像の提示を前提としてきた。今後、首都圏の人口が減少していく過程で地域レベルでどのような変化が起こるのかを踏まえつつ、首都圏の明るい将来像を提示していくことが重要である。
- 右肩上がりの成長の時代が終焉し、「たそがれてゆく社会」の中でどのように首都圏の活力を維持、増進させていくかが重要である。
- これまでの開発指向の社会システムから、新規の開発圧力や土地需要が減少していく時代への転換を踏まえた地域整備の在りかたを、環境との共生や再開発の重視、整備主体の広域化等も踏まえつつ検討する必要がある。
- 個人レベルで明るい将来像を描きづらい昨今の情勢の中で、国として過剰な夢を提示するよりも、現実的で最低限の対応策を計画の中で明示していくことが重要である。
- 将来の首都圏の人口減少に関しては、購買力の低下が大きな問題であり、いかにして全体の生産性を維持、増進させていくかが重要となる。
- これからの首都圏整備においては、リノベーション、ディベロップメント、メンテナンスの3つの要素を踏まえながら、これらが生み出す雇用について重視する必要がある。
- 人口減少期における地域の再生においては、首都圏のみならず、中部圏及び近畿圏との共通の枠組みの中で検討していく必要がある。
- 将来的に首都圏の人口が減少していく中で、外国人の流入と就業形態等に関する対応について、首都圏の経済力や都市の在りかた等と関連させながら検討する必要がある。
- 生産年齢人口が減少していく中で、女性や高齢者の就業の増大についてどのようなシナリオを描き、どのような支援方策を講じていくかが重要である。
- 女性、高齢者の就業の増大に関しては、従来の男性主導の就業形態下における対応のみでは不十分であり、労働時間の短縮等、男性の働きかた自体を変えていくことが重要である。
- 女性の就業の増大に関しては、高学歴の女性の中途退社が多いことを踏まえ、いったんリタイアした女性が労働市場に還流しやすい環境を整えていくことが重要である。
- 人口流出や遊休地の増加等に代表される都心部の空洞化については、再開発を促進するための公的介入を含むシステム面での対応が重要である。
- 都市の再開発においては、既存のストックを生かしながらデザイン上の工夫により成功している事例もあり、環境面に配慮した低コストな手法として注目される。
- 社会資本整備における地域間の公平性の確保を踏まえつつ、人口密集地における公共投資の方向性に関して検討することが重要である。
- これからの都市交通基盤等の整備においては、都市環境の維持や生活者の健康の確保等を含めた総合的見地が重要である。
- 製造業は、依然として我が国経済を牽引する役割を担っていることを踏まえ、全国の技術革新をリードする首都圏における製造業の役割について、積極的に位置づけていくことが重要である。
- 地域管理の社会的コストは非常に大きいものであり、今後の都市環境の整備等においては、これまでの行政主導の管理だけでなく市民が趣味の一環として積極的に参加できるシステムを整備していくことが重要である。
問合せ先:国土庁大都市圏整備局計画課 (課長)高津、(課長補佐)渡邉
(電話)03-5510-8042 (FAX)03-3501-6534