国土審議会首都圏整備特別委員会計画部会(第25回)
議事概要
- 3月27日10時より、第5合同庁舎共用第6会議室において、国土審議会首都圏整備特別委員会の第25回計画部会(伊藤滋部会長:慶應義塾大学大学院教授)が開催され た。
- 本日は、「新しい首都圏整備における諸施策の展開について(その6)」として、これからの検討課題及び個別テーマに関する議論が行われた。主な論点は次のとおりであ る。
- 首都圏の将来像を展望すると、低成長は可処分所得の減少を通じて人々の生活水準が低下するということにもつながるので、どのような成長シナリオがふさわしいのか十分検討する必要がある。
- 今後の首都圏を展望する際、生産、雇用と並んで就業者と非就業者との分配や高齢者層と生産年齢層との分配についても検討する必要がある。また、従来、女性が中心に担ってきた家事労働や介護などの分野が産業化する場合には、経済成長への寄与や関連する雇用増大等も想定されるのではないか。
- 女性の就業の増加は、介護や子育ての担い手の減少を意味することから、それを誰が担うかを踏まえながら、女性の就業などの社会参加と介護、子育てとの配分をどのように描くかを十分検討する必要がある。
- 女性の就業の増大を考慮する際、男性、壮年層中心の現在の仕組みだけでなく、性別 間、世代間でフレキシブルな就業形態を考慮することが重要であり、女性の就業率が上昇するとすれば、介護、子育ての負担も軽減されていくようなシナリオを描くことが重要である。
- 首都圏の将来像を描く上で、経済成長により個人の可処分所得が増加する一方で、個人が自由に使える時間(可処分時間)がどのように変化するかということにも着目する必要がある。特に首都圏では長時間通勤に伴う可処分時間のロスが大きいことが生活上の豊かさを考える上で課題となっている。
- 我が国の活力を維持していくためには、国際競争力の源泉として将来にわたって創造性を備えた人材をどのように確保していくか重要な課題であり、特に首都圏は積極的な役割を果たしていくことが求められている。そのような観点から、高齢者層への社会保障の給付と並んで、社会人対象の再教育(リカレント教育)、高等教育の質的向上等、若年層の活力の維持増進のための投資も重要である。
- 今後の社会資本整備に係る投資のあり方については、フローの水準をどのように設定するかという見通しと併せて、諸外国との比較においてストック面で我が国がどのような水準にあるのかを踏まえながら検討する必要がある。
- 今後の我が国の社会資本整備に際しては、魅力ある社会、居住環境を積極的に創造していくという観点から、様々な分野において長期的に「美しさ」と「品格」を前提におくことが重要である。
- 首都圏は、大都市の有する空間的魅力から、消費をはじめとする諸活動が全国レベルで極めて活発に営まれており、それらの活動が我が国経済に大きく寄与しているということに着目する必要がある。
- 東京における諸活動のスピード感や時間的な余裕のなさを避けて、積極的意志で筑波研究学園都市等の田園都市居住等を選択する外国人が増加していることに着目する必要がある。
問い合わせ先
国土庁大都市圏整備局計画課 課長 高津 定弘、課長補佐 渡辺 浩二
電話 03-3593-3311 内線7620,7626 FAX 03-3501-6534