国土審議会東北地方開発特別委員会企画部会(第8回)
議事概要
- 「21世紀の国土のグランドデザイン」の概要について計画・調整局より報告するとともに、企画部会委員若干名、東北7県及び仙台市、関係団体から構成される「新たな東北開発促進計画策定に向けたワーキンググループ」の作業成果である「新たな東北開発促進計画スケルトン素案」(概要は別紙のとおり)について事務局より報告し、今後の東北開発促進計画の策定作業を具体化していくに当たっての議論を行った。
- 委員からの主な意見は以下のとおりである。
- 東北のオリジナリティや生活文化を大事にして、東北らしさを出してほしい。
- 環境立地などの視点を入れて、東北らしい産業イメージが出るようにしてはどうか。
- 子供がのびのび育つことは重要であり、東北の自然環境はそのための意味を持つ。
- これからの国際交流では芸術や文化が重要となるのではないか。
- 産業構造の変化に対応して、産業用施設の他用途への展開を考えるべきではないか。
- 若い人が来るようにし向けることが必要であり、東北の利点を活かして、中期的(1〜2年)であっても、暮らしていくためのきっかけをどう作るかが重要である。
- 定住と交流の中間である「半定住」(季節や数年で移動)のようなライフスタイルが今後重要になるのではないか。
- 東北は頭脳流出の傾向があり、新しい知的空間をつくっていくべきではないか。
- 学生数が減少する今後、大学は地域のシンクタンクとしての役割を担うべきである。
- 大学での社会人のリカレント教育の役割を明確にすべきではないか。
- 大学で異なる職業や年齢の人々の交流を進め、特色を作れば、他地域からも社会人が学びに来るのではないか。
- 東北の歴史、自然を踏まえ、「質の高い」ライフスタイルを前面に出すべきである。
- 住民参加は重要だが、東北は行政依存が強いので、自主的な行動を強めるべきだ。
- 寒冷地である東北の農林水産業の経験を活かし、中国等北東アジアと交流を深めるべきだ。
- 今後のスケジュールについて
概ね1年後の新たな計画策定をめざして、今後、計画素案策定のための検討をさらに進めるとともに、国土庁として、企画部会委員及び東北7県、仙台市の協力を得て、東北各地で幅広い住民各層から新たな東北開発促進計画の策定のための意見聴取を進めることとされた。
新たな東北開発促進計画スケルトン素案の概要
? 新たな東北開発促進計画の性格
- 計画策定の意義
21世紀の日本の国土を先導するフロンティアとしての東北を円滑に整備し、調和のとれた発展を図るために策定
- 計画期間
目標年次は2010年〜2015年とするが、長期的には21世紀前半を見通した計画に
- 計画の性格
- 長期的かつ総合的な視点から今後の東北の開発方向と施策の推進のための方針及び大綱を示す
- 東北に関わるすべての人々のための計画
- 東北の開発にかかわる国や地方公共団体の事業実施の基本
- 地域振興を図る上での民間事業に対する指針
- 住民の自主的な地域づくりの指針
? 新たな東北開発促進計画の課題
- 20世紀型の国土構造からの転換
- 開発・都市中心型の20世紀型システムから自然共存型の21世紀型システムへの転換
- 東北には、一層の社会資本整備等を通じた開発が必要な地域も存在するが、高速交通体系の整備、産業立地も進展
- 今後はポテンシャルのさらなる活用が課題
- 国際化、情報化、地方分権等の周辺社会経済環境の変化や人々の意識の変化への対応
? 新たな東北開発促進計画の基本目標と基本方針
- 基本目標
多彩なライフスタイルの展開が可能で、暮らしやすい東北
- 基本方針
1) ゆとりある暮らしの中で、自然の恵み、都市的サービスを享受できる東北
2) 国内のみならず世界と人々や情報、文化が交流する開かれた東北
3) 魅力ある職場が存在し、産業に活力のある東北
(基本方針の3本柱が「多彩なライフスタイルの展開が可能で、暮らしやすい東北」につながる)
- 計画推進の基本的考え方
参加と連携による地域の創意と工夫を重視
国、地方公共団体はそれぞれのレベルでの各種のハード及びソフト面での基盤を整備するとともに、住民、民間企業、NPOは、それぞれの立場から地域づくりに参加し、官民がそれぞれの立場から連携して地域づくりを担う
? 東北整備のための方向と施策
- ゆとりある暮らしを営むために
1) 総合的な居住環境が整備された自信の持てる地域づくり
2) 都市と農村が結びついた広域的な地域づくり
3) 生活をゆったり過らせ、子供、高齢者がのびのびと安心して暮らせる環境整備
4) 文化を大切にする美しい地域づくり
5) 多彩で高度な都市機能の充実
6) 条件不利地域の利便性向上
- 自然の恵みを守り、味わうために
1) 水系、森林、海浜等豊かな環境の管理
2) 中山間地域の保全と周辺地域との連携
3) 災害に強い地域づくり
4) 雪と共存する社会づくり
5) 廃棄物・リサイクル問題への対応
6) 環境と調和した地域整備
7) 自然と都市住民との交流
- 国内のみならず世界と人々や情報、文化が交流する開かれた東北のために
1) ラダー型地域構造形成による北東国土軸、日本海国土軸の整備
2) 世界に開かれた広域国際交流圏「東北」の形成
3) 広域連携による地域づくり
4) 首都圏との交流
- 魅力ある職場を確保し、活力ある産業を育てるために
1) 独創的な研究開発機能の充実と成長分野の産業育成
2) 多彩なライフスタイルを支える産業の展開
3) 高度化、高付加価値化による産業構造の強化と多彩な地域産業の充実
4) 豊かな農林水産業の展開
5) 東北の活力を支える人材の育成
6) クリーンなエネルギーの安定供給
7) 地域金融の充実
? 計画実施にあたっての留意点
- 住民参加による計画推進
- 重点的かつ効率的な地域整備
- 他計画との調整
- 計画の評価及び弾力的な運用
問合せ先:国土庁地方振興局東北開発室 (課長補佐)中島、(係長)藤原
(電話)03-5510-8060 (FAX)03-3580-7415