第1回国土審議会地方産業開発特別委員会小委員会 議事録
 
 
日時:平成11年10月15日  10:00〜12:00
場所:虎ノ門パストラル 「やまぶきの間」
 
1.開  会
○田巻地方産業振興室長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回国土審議会地方産業開発特別委員会小委員会を開催したいと思います。
 皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして大変ありがとうございます。
 
2.局長挨拶
○田巻地方産業振興室長
 まず、議事に入ります前に、芳山地方振興局長から一言ごあいさつ申し上げます。
○芳山地方振興局長
 特にもうごあいさつもございませんけれども、前回の委員会でもって諮問が出されました。きょうは第1回目の小委員会ということで、皆様、お忙しい中御参加賜りまして本当にありがとうございます。
 第6次の基本計画は平成12年度末をもって期限を迎えるということでありまして、今後、この小委員会におきまして新産・工特の今後のあり方ないしは新たな地方産業の振興のあり方について熱心な御論議を賜りたいということで、本委員会がきょうスタートするわけでございますけれども、きょうは、今後の進め方ないしは今後のスケジュール等について御審議を賜りたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
3.議事
○田巻地方産業振興室長
 本日は初めての小委員会でございますので、まずはじめに、本小委員会の委員長を選任いただく必要がございます。事務局といたしましては、地方産業振興に関する研究会の委員長を務められて、本小委員会の検討事項に関する経緯等もすべて御存じでいらっしゃり、また、この小委員会の親委員会でございます地方産業開発特別委員会の委員長でもいらっしゃいます成田委員に委員長をお願いしてはどうかと思っておりますが、皆様いかがでございましょうか。
 御異議がございませんようですので、成田委員に委員長をお願いしたいと思います。
 それでは、成田委員長には委員長席にお移りいただきまして、この後の議事進行についてお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○成田委員長
 ただいま御推挙賜りました成田でございます。
 小委員長として、これから新産都市の問題についてどうするかということを含めて、皆様の貴重な御意見を承りたいと思います。
 本当は、親委員会の委員長が小委員会の委員長を兼ねるよりも、小委員会は小委員会で別の方の方がよろしいかと思うのですけれども、行きがかり等もございまして、お引き受けすることにした次第です。
 議事に入ります前に、当小委員会の情報公開について、その扱いを確認したいと思います。これは、皆さん御承知のように、既に国の情報公開法というのが成立いたしまして、それに先立って、閣議で、こういった審議会なり研究会なり小委員会なりの情報をなるべく公開しろということになっております。そういうことで、政府共通でこういう問題が出ているわけでございますけれども、これにつきまして、当委員会も例外ではないわけであります。必要な情報はどんどん出した方がいいだろうと思っております。
 そこで、これにつきまして、田巻室長から、資料3に基づいてひとつ御説明をお願いしたいと思います。
○田巻地方産業振興室長
 それでは、今委員長からもお話がございましたけれども、お手元の資料3、「国土審議会地方産業開発特別委員会小委員会の情報公開について(案)」ということで、私どもの案を準備しております。一応読み上げさせていただきます。
 「国土審議会地方産業開発特別委員会小委員会の今後の運営については、国土審議会地方産業開発特別委員会における対応等を踏まえ、今後下記のとおり扱うものとする。
1.当小委員会においては、審議の透明性を確保する観点から、原則として議事録を公開するものとする。
2.関係者の自由かつ公平な立場での審議を確保する観点から、会議は非公開とし、公開する議事録においては、発言者の名を伏せるものとする。
 また、会議の円滑な運営を図るため必要がある場合には、会議に諮った上で、議事録に代えて議事要旨を公開するものとする。
3.公開の方法
@ 会議終了後、必要に応じて、記者会見を行い、議事の概要につき、紹介するものと
する。
A 議事録または議事要旨の公開は、当小委員会の庶務を担当する国土庁の文書閲覧窓
口等において行う。」
 以上でございます。
 基本的には、前回の特別委員会のときと同じ扱いでございます。そのようなことにさせていただければと思っております。以上でございます。
○成田委員長
 ただいま御説明がございましたけれども、この委員会でも親委員会と同じような扱いで行きたいと思いますが、いかがでしょうか。
 せっかく情報公開をやっても、新聞に書いてくれるかどうかはわからないわけですけれども、建前はそういうことになっていますので、よろしくお願いします。
 
(1)小委員会における審議事項について
○成田委員長
 それでは、これから議事に入りたいと思いますが、まずはじめに、(1)の「小委員会における審議事項について」ということで、事務局から御説明をお願いしたいと存じます。
○田巻地方産業振興室長
 それでは、お手元の資料1といたしまして、「小委員会の設置について」という、これは前回、9月27日の特別委員会で、この小委員会の設置を御決議いただいたときの案文を再度準備させていただいております。
 この紙によりますと、「新産業都市の建設及び工業整備特別地域の整備の今後の在り方に関する審議に資するため、国土審議会地方産業開発特別委員会に小委員会を設置し、必要な調査審議を行わせる」ということでございまして、この小委員会のミッションは「必要な調査審議」という一言になっております。
 前回の特別委員会の場でも、どこまで議論の対象にするのですかというような議論があったわけでございます。新産・工特制度の評価、あるいはその評価を受けての今後のあり方、あるいは、場合によっては新しい制度も検討するのですかというような御議論があったわけでございます。その辺で、前回時間の関係もございまして、必ずしも十分皆様方の意識をすり合わせることができなかったのかなという感じもしております。そういった意味で、この小委員会は幸い人数も少のうございますし、密度の高い議論ができる場でございますので、ここで改めてこの小委員会の審議事項というものについて確認させていただければと思っているわけでございます。
 この新産・工特制度について御議論いただくということが−1枚おめくりいただきますと、これも前回の諮問文のコピーでございますけれども、新産・工特制度の今後のあり方について御議論いただくということが−直接の命題でございます。
 もう一度制度を確認させていただきますと、この新産・工特制度と申しますものは、昭和37年に成立いたしました新産法、それから昭和39年の工特法、そういった二つの法律を踏まえた、主な支援措置を定めた昭和40年の財特法、その三つの法律が基本となっている制度でございます。新産法、工特法、この二つは恒久法でございますので、第6次基本計画終了後も、何も措置しなければ、当然そのまま法律は有効でございます。ただ、主な支援措置を定めた財特法、これにつきましては、仮に平成12年度の基本計画終了後何も措置しないといたしますと、平成13年度以降、財特法の支援措置が講じられないという形の法律になっております。
 そういったことから、もし仮に13年以降何らかの措置を講じないと、「新産法」、「工特法」と名前は残りますが、その主だった支援措置が講じられないという、ちょっと不規則な形になるわけでございます。そういった意味では、13年度以降どうするかということについてきちっと御議論いただきたいというのがそこにあるわけでございます。
 前回も御報告申し上げましたけれども、5年前にも同様な議論がございました。平成7年の12月に、この国土審議会地方産業開発特別委員会におきまして−当時は第5次の計画期間であったわけですが−第5次計画終了後のあり方について御議論いただきました。前回の場合には、産業の空洞化等の厳しい地方産業の現状にかんがみ、第6次計画として継続すべきであるという御意見をちょうだいしたところでございます。それに基づきまして、先ほど申しました財特法の改正を行いまして、5年間、財特措置の延長を行ったわけでございます。
 ただ、その際に、これも前回報告したところございますが、宿題をちょうだいしております。3年程度の時間をかけてじっくり、この制度の第6次計画終了後のあり方について勉強するようにという宿題をちょうだいしたわけでございます。その宿題をこなすという意味で、「地方産業振興に関する研究会」というものを平成8年度に設置させていただきまして、平成10年度いっぱいということで、ことしの3月に報告書をちょうだいしたところでございます。その内容につきましては前回の特別委員会で御報告したところでございます。
 その報告書の中で、研究会としてこの新産・工特制度をどう評価するかという議論になり、幾つか論点がございました。
 例えば、経済・社会環境が大きく変わる中で、国が主導して拠点開発を行うことにより工業の育成を目標とした新産・工特制度の有効性は制度創設当初に比べて希薄になっているという御意見がございました。
 その一方で、産業の空洞化、人口の減少・高齢化といったことから、地方の経済活力の喪失が懸念される中で、主に地方自治体の委員を中心にではございますが、地方の産業拠点の整備は依然必要であり、そのため、新産・工特地区にこれまで蓄積されてきたストックを引き続き整備・強化してその活用を図るべきである、こういった御意見もあったわけでございます。
 また、地方と国の関係ということでいきますと、地方分権の議論が盛んになる時期にこの研究会、御議論いただいたわけでございまして、そういった意味で、地方と国の関係についても御議論がございました。
 一つ二つ御紹介いたしますと、国が策定する方針による制約、地方公共団体の計画の策定過程における事前協議、承認を通じたさまざまな関与などにより、地方公共団体の地域の知恵や創意を生かした自発的な計画策定を阻害している。国が方針を示すことが自発的な計画策定を阻害しているのではないか、こういった御批判がございました。
 その一方で、この新産・工特法の財政上の特別措置は、国が必要最小限の基本的事項を定めた基本方針に沿って、各地方公共団体が自主的に策定する基本計画に基づく基盤整備について講じられるものであって、地域の実情に合わせた、各地方公共団体の創意工夫に基づく自主的な取り組みをむしろ奨励するものである、こういった意見もあったわけでございます。
 また、国と地方との関係ということでは、制度創設以来、もう30数年間過ぎた長い制度でございますので、そういった意味で、存在意義や実効性が希薄なものとなっており、地方公共団体の国への過度の依存を助長しているのではないか、こういった御指摘もちょうだいしたところでございますが、これに対してもまた反対の議論がございまして、地域間格差の縮小は十分ではなくて、いまだ「国土の均衡ある発展」は実現していない、そういった意味で、この新産・工特制度の存在意義は高いという御意見もあったわけでございます。特に工業集積が不十分な地域ですとか、高速交通体系の整備がおくれた地域、こういったところに関しましては、産業基盤の整備が本格化して、また工場集積が進捗した地域においても、経済・社会環境の変化に対応した整備が必要だということから、地方公共団体の自主的な取り組みを支援するスキームとして、この新産・工特制度は有効であるという御意見もあったわけでございます。
 研究会の議論の概要を今御紹介したわけですございますが、このように幾つかの切り口で、それぞれこの制度の必要性を主張する議論、ないし制度の限界を主張する議論があったわけでございます。これはあくまでも研究会としての議論でございまして、これをたたき台として、この国土審議会でまた改めて、私ども、ゼロから御議論いただく必要があるのかなと感じているところでございます。
 具体的に申ししますと、客観的な指標に基づきまして、制度の目的としていたものがそもそも達成されたのか達成されていないのか、そういった達成状況の評価。それから、制度創設後30数年の間に、産業構造の変化ですとか経済のグローバル化、地方分権、産業政策の手法の変化等々幾つか環境の変化があるわけでございます。こういった環境の変化を踏まえての制度の見直しの必要性の議論。達成度、それから環境の変化、こういった二つの観点から御議論いただく必要があるかなという感じがしております。
 その場合、制度の見直しの先には、制度が達成されたから廃止という考え方もありましょうし、未達成ではあるものの環境の変化にそぐわないので廃止という御意見もございましょう。また、未達成なので制度を延長して引き続き支援措置を講じる、こういった幾つかの到達点があろうかと思います。この到達点それぞれにつきまして、まずどの到達点を選ぶべきなのかというところを御議論いただく必要があるかと考えております。
 その到達点がはっきりした場合に、廃止ないし延長ないしその中間といったことがあろうかと思いますが、そういったものがまず第1ステップとして明確になった時点で、次にその到達点に行く行き方でございます。前回の特別委員会でも、  委員から、廃止を前提に議論をしていくつもりであるが、その場合であっても、その後どうするかについて全く議論しないまま打ち切りというのは無責任ではないかというような御意見もあったと思うのですが、そういった意味で、到達点に達するための方策、具体的に申しますれば、経過措置を講ずる必要があるのかないのか、ないしは新たな措置を講ずる必要があるのかないのか、こういったことについて御議論いただく必要があるかと思っているわけでございます。
 長くなりましたけれども、整理いたしますと、先ず第1段階としましては、最近の地方経済を取り巻く環境といったものを踏まえつつ、制度の評価−目的を達成したか達成していないのか、こういったことをまず第1ステップとして御議論いただきます。
 その後、環境の変化も踏まえまして、制度の到達点、あり方−廃止すべきなのか延長すべきなのか、またその真ん中当たりをとるのか、こういったところを御議論いただくのが第2ステップ。
 その到達点が明らかになった後、具体的に到達点に達するための行き方−経過措置を講ずるのか新たな施策を講ずるのか、ないし延長であれば、微調整でどういった形で延長するのかといったようなところを御議論いただくのが第3ステップ。
 このような3段階での御議論をこの場で賜れればと思っております。資料4あるいは5で、幾つか取っかかりの材料を準備しておりますけれども、これからの小委員会、今まで申し上げました3段階のステップで御議論いただければと私ども事務局としては考えているところでございます。こういったことで、この小委員会で御議論を進めていただければと思っておりますので、委員長よろしくお願いいたします。
○成田委員長
 どうもありがとうございました。
 今御説明がありましたけれども、今回の小委員会は、前回から継続して御検討願う委員さんもございますけれども、全く新規にお願いした先生もいらっしゃいます。そこで、研究会の報告は報告として、やはり全体で共通の認識を得ておく必要があると思うのです。この問題については、研究会報告でも示しておりますように、二様の見解があるわけです。ところが、二様の見解、私の印象では、否定されている当該地方公共団体の意見がかなり強いということもあるかと思うのです。世の中は一体どう考えているか、あるいは経済界の方はどう考えているかということもこの際承っておきたいと思います。
 いずれにしましても、審議事項の範囲というのはこの小委員会にとって非常に基本的な事項であり、今度は恐らくこの問題は最終になると思うのです。政府に答申いたしますから、これに基づいていよいよ具体的な措置がなされるということになりますので、両論併記のような無責任なことはできないだろうと思います。そうかと言って、親の研究会の報告は報告ですけれども、それと全く違うことを言うこともできない。そこは両方の意見が出ておりますので、若干の幅はあるわけでございますけれども、いずれにしても、これからどういう事項について審議を進めていくか、どういう段階で進めていくかというのは重要な問題です。今、参事官の方から、一応3段階の話がございましたけれども、基本的には私はそうだと思うのです。今度、やはり着地点−先ほど到達点とおっしゃいましたけれども−到達した後でどういうふうに着地するかということ、これは恐らく3段階の議論になるのでしょうけれども、その議論もしていかなければならないということになるわけですね。
 そこで、この小委員会の守備範囲といいますか共通認識といいますか、そういうものをできるだけつくっていきたいと思います。そういうことで、この小委員会では一遍ゼロから議論してみたらどうかということで、新産・工特の今日的意義という、これまでの達成度などを見ながら現状認識をどうしていくか、こういう問題の方から出発をしたいと思います。これはどうしますか。御説明いただいてから皆さんに御論議いただいた方がよろしいですかね。審議事項そのものはちょっといただいていないわけですね。基本的に、今おっしゃった3段階ということになると思うのですけれども、一応御説明をいただいてからまとめて議論しましょう。
 
(2)地方産業の現状と課題について
○成田委員長
 そこで、今お話ししましたように、(2)−これは資料4になりますけれども−「地方産業の現状と課題について」、及び(3)の、これは本命の方ですけれども、「新産・工特制度の評価及び今日的意義について」ということで、あわせて事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○田巻地方産業振興室長
 それでは、お手元の資料の4と5、この二つを用いて御説明させていただきたいと思います。
 先ほど、審議事項についてということで、ちょっと触れさせていただきましたけれども、地方経済の現状と課題を踏まえつつ、この新産・工特制度の評価及び今日的意義について、これから御議論いただきたいと思っておりますので、そのための議論の材料を準備させていただいた次第でございます。
 まず資料4でございますけれども、「地方経済の現状と課題」でございます。
 大きく二つのパートに分かれていまして、第1のパートが「地方経済の現状」でございます。第2のパートは「地方経済の課題」でございます。
 1枚おめくりいただきまして、1ページ、「地方経済の現状」でございますが、一言で申しませば、地方経済、ごらんのとおり大変厳しい状況だということでございます。
 上のグラフは、工場立地件数の推移でございます。三大都市圏と地方圏と分けておりますけれども、いずれも89年にピークを迎えてその後減少と、大体同様の傾向を示しています。たまたま96年、97年に若干増加してございますけれども、趨勢としては工場立地件数は減少して、厳しい状況だということでございます。
 下のグラフは、雇用者のタイプ別増減でございます。左の棒グラフは三大都市圏、右の棒グラフは地方圏でございます。総数といたしますと、一番左にございますように、都市圏、地方圏ともにふえておりますが、内訳を見ますと、都市圏は、正規の職員、パート、アルバイト、いずれもふえておりますが、地方圏においては、パート、アルバイトはふえているのに、正規の方は減っているということがタイプ別にあるわけです。
 2ページ目は公共投資の依存度のグラフでございます。
 上のグラフが、ブロック別−北海道、東北、北関東といったブロック別の公共事業依存度の推移でございます。91年度から96年度まで6カ年間の推移を棒グラフにしたものでございます。一番右の方に、三大都市圏と地方圏というものをまとめてございます。こちらの方がある意味では見やすいかもしれません。これでごらんいただきますと、都市圏の方は、大体公共事業依存度−これは一番上に定義がございますように、総生産に対する投資的経費の割合でございますが−これが大体6%弱で推移しているわけでございます。これに対しまして、地方圏では公共投資依存度の割合がどんどんふえております。最近では11%弱ということで、大体都市圏の倍近い依存度になっているわけです。
 また、ブロック別の1人当たりの公共投資額の推移を見たものが下のグラフでございます。これで見ますと、大都市圏は大体1人当たり25万円程度で推移しているわけですが、地方圏はふえております。最近ですと35〜36万円ということで、地方圏は大都市圏の1.5倍ぐらいで1人当たり公共投資額が増加中ということでございます。
 3ページを見ますと、このように厳しい地方経済の現状から見て、公共投資依存度が高くなっているわけでございますが、収入の方は、年収が減少するということもございまして、歳出構造が悪化しているわけでございます。
 上の折れ線グラフが、都道府県の経常収支比率の推移でございます。経常収支比率と申しますのは、分母が変動費+固定費、分子が固定費といった数字でございます。固定費率と御理解いただければいいと思います。固定費と申しますのは、人件費とか生活保護費、こういったものでございます。総支出に対する人件費、それから、投資の割合ということで御理解いただければと思います。バブルのころは7割ぐらいで、固定費率はそんなに高くなかったのですが、この4〜5年は8割を超しているということで、極めて高い水準で硬直化しているということが読み取れるかと思います。
 下の棒グラフも同様なことを言っておりますので、省略させていただきます。
 4ページは産業構造の推移でございます。棒グラフで、上が三大都市圏、下が地方圏でございます。産業別のGDPの比率を示したものでございます。三大都市圏では、卸小売ですとか、サービス業、その他第3次産業というものの割合が多いわけでございますが、地方圏では、製造業、あるいは−先ほど申しましたように公共投資依存度が高まっていますが−建設業の割合が高いということで、対照的な産業構造になっているわけでございます。
 5ページのグラフ、地方産業の中心を占める製造業を取り巻く経済環境ということで、特に最近、経済のグローバル化ということがあるわけでございますけれども、グローバル化に伴う変化というものを整理させていただきました。
 上のグラフは、海外生産比率・製品輸入比率の推移でございます。縦軸の右側が製品輸入比率でございます。左側が海外生産比率でございます。上の黒いグラフが製品輸入比率でございまして、これを見ますと、81年、約20年前は、製品輸入比率が20数%だったのですけれども、最近は60%ということで、大変製品の輸入がふえているわけでございます。下の折れ線グラフは海外生産比率でございますけれども、やはり20年前、81年は3%程度であったのが、最近では12%程度ということで、海外生産比率も高まっているわけでございます。
 業種別にその内訳を見たものが、下の矢印のグラフでございます。これは86年と96年でございまして、ちょっと上のグラフとタイムスケールが違っておりますけれども、各業種を通じましても、いずれの業種も−ばらつきはございますけれども−この10年間の間に海外生産比率が高まっているということでございます。
 6ページは、第3次産業の方の様子を見たものでございます。
 上の棒グラフは、北海道、東北といったブロック別の金融・情報サービス業の分布でございます。棒グラフが3本ございまして、左の棒グラフが全産業、真ん中の棒グラフが金融・保険、右の棒グラフは情報サービスの、従業者数ベースでの全国分布の割合でございます。全国を100といたしまして、例えば南関東に全産業が30%存在すると、こういった性格の数字でございます。これをごらんいただきますと、−全産業と同じであれば、全産業と同じような産業分布になっているということでございますが−南関東なんかをごらんいただきますと、金融・保険、特に情報サービスなどは、全産業の倍ぐらいの50%以上があるということで、日本の半分以上の情報サービス産業は南関東に集中しているということでございます。
 真ん中のグラフは、ブロック別の民間研究機関分布状況でございまして、左が全事業所数、右が民間研究機関でございます。南関東は、これはまた端的でございますけれども、全事業所数の大体倍ぐらいの密度で民間研究機関が集中しているわけでございます。
 下のグラフは、上場会社の分布状況でございますが、大体同様の傾向が見られるかと思います。
 7ページに参りまして、「地方経済の課題」でございます。こういった現状を踏まえて課題を整理させていただきました。
 7ページは、ブロック別の産業基盤の整備状況でございます。上の棒グラフは可住地面積当たり、下の棒グラフは人口当たりでございます。
 可住地面積当たりで見ますと、これも南関東が一番典型的でございます。左の棒グラフは社会資本、右の棒グラフは民間資本でございますが、社会資本、民間資本ともに密度高く投資されているわけでございます。三大都市圏、地方圏というのが右にございますけれども、これで見ましても同様の傾向かと思います。社会資本、民間資本、ともに地方圏よりも都市圏の方が密度が高いということになります。
 人口当たりとすると、ちょっと様子が変わってきます。人口当たりで見たのが下の棒グラフでございますけれども、1人当たりで見ますと−三大都市圏と地方圏をまとめた右側の棒グラフが見やすいと思いますが−民間資本は、可住地面積と同様に大都市圏の方が地方圏を上回っているわけでございますが、公共投資を見ますと、大都市圏よりも地方圏の方が多いということで、ここでも地方経済の公共投資依存の割合が変わっているということが見てとれるかと思います。
 8ページは、高速道路のインターチェンジと産業とのかかわりを整理したものでございます。
 上のグラフは、高速道路インターチェンジの数を面積当たりで指数化したものでございます。全国平均を100としたときに、各地方にどの程度密度が高くがあるかというものでございます。右の方の、三大都市圏、地方圏の比較で見ますと、三大都市圏の方が密度が高いということが見てとれるわけでございます。ブロック別で見ますと、南関東、それから沖縄、近畿、こういったところが密度が高いということです。
 こういったインターチェンジと産業立地の割合を整理したものが下の棒グラフでございます。これは新規に立地した企業が、インターチェンジとの関係で、どの程度インターチェンジに近いところ、遠いところに立地したかというものでございます。下の黒いところが10km以内に立地したもの、それから20km以内、30km以内というふうに、上の方に行くに従って遠くなっていくということでございます。これでごらんいただきますと、インターチェンジに近いところに対する立地の割合が年を経るに従って高まっていく、新しく立地する場合にはインターチェンジの近くを選ぶ傾向が顕著であるということが見てとれるかと思います。
 9ページでございますけれども、今まで、地方経済が厳しいというお話を中心にさせていただいたわけでございますが、そういった中で明るい話題もございます。元気よく活躍されている企業もございます。そういった事例を幾つか整理させていただきました。
 事例の1は、ドイツの自動車メーカーでございまして、もともと東京に本社があったわけでございますが、最近愛知県の豊橋市に本社を移しております。そういった事例でございます。その理由といたしましては、各種のコストが安いこと、豊かな自然が身近にあること、豊橋に非常に立派な自動車を陸揚げする港が整備されている、それから近くに高速道路が来ているということで、基礎的インフラが整備されているということ、それから、東京圏、大阪圏が二大消費地になるわけでありますが、そういうところと時間距離で離れていないというような理由でこういうところに進出するという例もございます。
 事例の2は、鳥取県の米子市に「株式会社氷温研究所」というのがございます。御案内のとおり、鳥取県は二十世紀ナシの産地でございまして、これをいかにおいしく長期間保存するかということで研究された先生がいらっしゃいまして、たまたま、低温貯蔵、0°から−3°ぐらいの温度、この辺で保存すると一番いいということがわかりました。これを氷温保存技術と言っておりますけれども、ナシでそういった技術を開発されました。その結果、鳥取は境港といった水産物の基地もございますので、そういった水産物への応用等も図って、現在手広くやられているところでございます。
 事例の3は、寒冷地住宅の例でございます。北海道は冬大変寒いわけでございますけれども、気密性の高い住宅を寒冷地住宅として開発されているところでございます。最近、地球環境問題等々ございますので、省エネ化というのが大変話題を呼んでいますが、住宅の省エネ化ということから、気密性の高い住宅を本土でも普及させようではないかというようなお話があるわけでございます。そういったノウハウを現在開発して、本土向けの住宅に取り組んでいるところでございます。
 こういった幾つかの事例があるわけでございます。
 10ページ以降、新たな潮流ということで、地方経済を取り巻く潮流を幾つか整理させていただいております。
 10ページは、高齢化でございます。
 上の棒グラフは、0〜14歳、15〜64歳、65歳以上の方々の人口の絶対数を示したものでございます。御案内のとおり、2007年に絶対数がピークを迎え、その後減少するだろうと言われているわけでございますが、その中で、高齢者の方がふえていく割合を折れ線グラフで示したものでございます。折れ線グラフの、上が地方圏の高齢化率、下が三大都市圏の高齢化率でございます。三大都市圏を上回って地方圏は高齢化が今後も進展するというふうに見込まれているわけでございます。
 下の、都道府県別の進捗状況、これも同様の傾向でございますので、省略させていただきます。
 11ページは、グローバル化のデータでございます。
 上のグラフは、外国人登録者数の推移でございます。上の折れ線グラフが三大都市圏、下の折れ線グラフが地方圏でございます。三大都市圏、地方圏ともに外国人登録者の割合が増加傾向にあるということでございます。
 下の折れ線グラフは、日本人の出国者数の推移でございます。同様に、上の折れ線グラフが三大都市圏、下の折れ線グラフが地方圏でございまして、都市圏、地方圏ともに出国者数がふえているということでございます。
 12ページは、国際会議の開催件数でございます。
 上の折れ線グラフは三大都市圏、下の折れ線グラフは地方圏でございます。どちらも開催件数はふえているということでございます。
 ちょっと資料は準備できていないのですけれども、三大都市圏と地方圏の会議の割合を、この数字をもとに計算いたしますと、地方圏は、20%ぐらいだったのが、1997年、30%ぐらいということで、着実に地方圏での国際会議のシェアが高まっております。ちょっとデータがございませんで申しわけございません。
 13ページが、環境面、最近高まりがふえておりますので、環境の関係のデータを幾つか準備させていただきました。
 上の折れ線グラフは、環境関係の予算がふえているということでございます。
 下の表は、今後環境関係の市場が増大することが見込まれているという表でございます。 14ページに参りまして、情報化、これもひとつ今後のかぎだと言われているわけでございます。それで情報化の関係のデータをちょっと整理させていただきました。
 上の表は、ちょっと見にくくて大変恐縮でございますが、情報産業の市場予測でございます。2000年、2005年、2010年、2015年に向かって、例えばコンテント産業の成長率が、5年間で20%あるいは15%増加するというような市場予測があるわけでございます。
 しかし、地方圏はこれに対しましてちょっと課題がございます。下の棒グラフでございますけれども、この棒グラフは、システムエンジニア、それからプログラマーの人口当たりの数を示したものでございます。一番右側に三大都市圏と地方圏の対比がございますが、圧倒的に三大都市圏にシステムエンジニア、プログラマーが集まっている。地方圏は全国の半分ぐらいの水準である。とりわけ南関東は突出しているということでございます。こういうふうに、人材が育っていないということが地方圏の課題ということが言えるかと思います。
 15ページ以降は、地方産業振興策に関する潮流の変化でございます。
 (1)は、産業振興のための政策手法の変化でございます。
 従来、地方産業振興といいますと工場誘致が柱であったわけでございますが、最近は、新産業の育成というものももう一つの柱として言われているわけでございます。
 こういった新産業の育成というものを政策的に支援するためには、第2パラグラフでございますけれども、従来は、「港湾、道路、工業用地等ハードの基盤整備中心のものから、産官学交流の促進、技術の開発・支援、人材養成プログラムの充実等ソフト面の対策に重点を移すことが求められている」わけでございます。
 さらには、人の集まり、人の交流というのが重要になってまいりますので、そういった「都市の産業活動支援機能、産業の苗床としての機能を十分に発揮させるための環境整備が求められ」るようになったわけでございます。
 16ページは、新しい国と自治体との関係でございます。
 こういったソフト面での支援ということになりますと、どうしても、その土地土地に合った、特色ある地域づくりということが求められるわけでございますけれども、産業振興の面でも、地方の実情、特性に合った新産業の育成というのが必要となってくるわけでございます。土地土地に合ったということでございますので、どうしても自治体のイニシアチブが必要になるということでございます。
 これは平成10年5月の第1次の地方分権推進計画の抜粋ですけれども、こういったところにそういった考え方が打ち出されているところでございます。
 17ページは、広域連携の動きでございます。広域連携も最近議論があるところでございますけれども、3行目、「地域の持つ資源を広域的な観点から最大限に活用する」という観点、それから、「厳しい財政状況の下、重複投資を避け」るという観点、こういった両面の観点で広域連携の動きが最近議論されているわけでございます。自治省の方で、広域行政をまとめてございますので、そこに参考にコピーさせていただいております。
 以上が、資料4の「地方経済の現状と課題」でございます。
 
(3)新産・工特制度の評価及び今日的意義について
○田巻地方産業振興室長
 続きまして、資料の5に基づきまして、こういった現状と課題を踏まえつつ、新産・工特制度、これに焦点を当てまして、その評価及び今日的意義について幾つか議論の取っかかりを整理させていただいたものでございます。
 1ページが、「新産・工特制度の評価」でございます。この資料につきしては、先ほど、「〜審議事項について」というところで、研究会の報告を例に引きながら、新産・工特制度の評価あるいは今日的意義について、いろいろな見方があるということを申し上げましたけれども、そのいろいろな見方を対比させるような格好でこの資料は作成させていただいております。
 1ページの「新産・工特制度の評価」でございますけれども、二つの見方があるわけでございます。
 「指定後30年余りを経て、ばらつきはあるものの指定地区には一応の工業集積が出来上がり、人口・所得格差もある程度是正され、新産・工特制度は一定の役割を果たしたとする意見もある。
 一方、地域間格差の縮小は十分ではなく、未だ国土の均衡ある発展は実現していないとして、制度の役割は不十分であるとする議論もある」わけでございます。
 データで検証していきたいと思いますが、2ページ。
 上が、人口の推移でございます。昭和35年から平成7年−1995年までの人口の推移を示したものです。上が地方圏、その下が三大都市圏、東京圏、新産・工特指定道県というふうに整理しました。
 三大都市圏で見ますと、昭和35年、3,740万でございますが、これが平成7年には6,170万になっております。1.65倍でございます。一方、地方圏は、35年に5,690万でございましたが、これが平成7年には6,390万、1.12倍でございます。新産・工特指定道県は、35年、1,360万が、平成7年、1,870万ということで、1.38倍でございます。
 こういうことで、三大都市圏の伸び率の方が、地方圏あるいは新産・工特指定道県を上回っているということで、人口格差の是正はいまだ達成されたとは言い難い状況なのかなと研究会では分析しております。
 下のグラフは、所得格差の推移でございます。上の折れ線グラフが三大都市圏、下の実線が新産・工特指定道県、下の折れ線が地方圏でございます。昭和40年から平成7年までを整理しております。1.00という真ん中の横棒が全国平均でございます。この全国平均を1としたときに、三大都市圏ないし新産・工特道県が多いか少ないかというのをあらわしています。
 このグラフ、一目瞭然でありまして、所得格差は是正の方向にあるということが言えるかと思います。ただ、内訳を見ますと、第1次オイルショックまでは、明らかに急速に格差が是正していたわけでございますけれども、その後は一進一退ということでございます。見ようでございますけれども、石油危機までで概ね格差の是正は達成されたという評価もできようかと思います。
 3ページでございますけれども、工業出荷額でございます。これは昭和45年から平成7年でございますけれども、地方圏、東京圏、関西圏、名古屋圏、新産・工特地区ということで整理させていただいております。
 東京圏、関西圏、名古屋圏。名古屋圏はちょっと上向いておりますけれども、東京圏、関西圏は下向き。一方、地方圏は、昭和45年、37%が、平成7年、48%、新産・工特地区でも、昭和45年、15%が、平成7年に17%ということで、地方圏のシェアが継続的に高まっていますので、工業の地方分散という意味では概ね成功したと言えるのではないかと研究会では分析しています。
 以上、整理いたしまして、研究会の評価といたしましては、工業の地方分散についてはある程度達成され、その結果1人当たりの所得水準では概ね格差は縮小したものの、人口格差の是正は達成されたとは言い難い、こういった評価になっております。
 4ページ、5ページ、6ページは、工業出荷額に対する制度の効果を重回帰分析を用いて分析したものでございます。前回の特別委員会でも御報告したところでございますが、もう一度整理いたしますと、これは便宜的でございますが、1966〜1975年、1975〜1985年、1985〜1995年という三つの期間に分けまして、工業出荷額に対する制度の効果というものを、オールジャパンで整理したものでございます。工業統計を用いておりますので、工業地区は、全国を251地区に分けております。それぞれの地区に対する工業出荷額を非説明変数として左辺に置きまして、右側に、マーケットや港湾への時間距離、労働コスト、土地コスト、あるいは既存の工業の集積、こういったものを説明変数としまして、どの程度説明できるかというものでございます。乱暴に言いますと、グラフの斜めの線が立地ポテンシャルと実績値が一致するところでございます。この線より上のところはもともとの立地ポテンシャルよりも実際の工業出荷額が多かったところでございます。この線より下はもともとの立地ポテンシャルを実際の工業出荷額が下回っているもの、乱暴に言いますとそういうことになると思います。
 そういう意味で、第一期を見ますと、新産・工特地区のほとんどの地区がこの線を上回っています。●が新産・工特地区でございます。下の方に計算値がございますが、全体で2倍上回っています。新産地区が1.79倍、工特が2.33倍と、2倍上回っています。そういった意味では、非常にもともとのポテンシャルを上回って工業出荷があるということで、この時期は新産・工特制度がかなり有効に働いたと言えるかと思います。
 5ページは、第二期、1975〜1985年でございますけれども、新産・工特地区、かなり斜めの線に張りついてきております。一番下に数字がございます。この時期でも1.08倍ということで、もともとの立地ポテンシャルをちょっと実績値が上回っておりますので、ある程度の効果はあったと言えるかと思いますが、かなり効果は弱まってきたということが言えるかと思います。
 6ページ、第三期は、実はこういった分析をすることができませんでした。全く相関関係が出てきませんでしたので、説明できませんでした。だから言葉で言いますれば、第三期はこのような立地条件が工場立地に与える影響が少なくなったものと考えられるというふうに言えるかと思います。
 以上はいずれもマクロの分析でございまして、個別に見るとどうかということでございます。
 7ページが、個別に見たものでございまして、昭和38年と平成9年、制度制定前と現状を、各個別地区の工業集積ということで見たものでございます。この工業集積というのは、右下に注がございますけれども、単位人口当たりの付加価値額、単位可住地面積当たりの工業出荷額、これを足して2で割ったものでございます。こういった性格の数字でございます。全国平均が1.0でございます。1.0より上は全国平均以上に工業集積がある、1.0より下は全国平均以下であるということが言えるかと思います。
 これをごらんいただきますと、各地区いずれも、昭和38年を平成9年が上回る、あるいは、道央地区は横ばいでございますけれども、道央地区を除きましていずれも上回っているわけでございます。ただ、全国平均1.0との比較でいきますと、上回っているところ、下回っているところ、両方あるわけでございます。ちなみに、昭和38年は、全国平均1.0以下のところが、新産地区で14地区、工特地区で3地区ございます。昭和48年は、新産地区で11地区、工特地区はすべて上回っております。平成9年で、新産地区で8地区は下回っているいる、工特地区はすべて上回っているということでございます。ばらつきはあるものの、着実に工業集積度は上がっているということが言えるかと思います。
 このばらつきの要因でございますけれども、研究会の報告書にも入っているわけでございますが、工特地区を中心に、地理的な条件で恵まれた地域では高い伸びが見られるということが言えるかと思います。ただ、もともと工業集積があった工特地区−鹿島を除きますけれども−や、岡山県南、東予といったところは既にインフラ整備がなされていたこともあり、石油危機前までに着実な工業集積が進んだということが言えるかと思います。また、指定前に十分な集積がない地域であっても、鹿島ですとか大分のように、指定だから熱心なインフラ整備を行ったところないし地元の自治体の積極的な取り組みがあったところはかなり工業集積が進んだということが言えるかと思います。石油危機以降は、多くの地区で横ばいないし微減、道央とか日向延岡はむしろ下がっているということでございます。
 こういったことで、整理いたしますと、制度の創設後、石油危機までは工業集積の伸びは大きかったと言えますが、特にもともと工業集積があった地区、あるいは迅速な対応ができた地区においてはその伸びが著しい。ただ、その後は、産業構造が変化する中で、有利な地理的条件を有する地域では伸びているものの、多くの地区において、工業集積の伸びは石油危機前に比べて鈍いものになったということが言えるかと思います。
 以上が「新産・工特制度の評価」でございます。
 8ページ以降は、「新産・工特制度の今日的意義」でございます。
 まず、(1)は、「支援措置の意義について」でございます。
 「新産・工特制度は、創設当初に比べると地方自治体に対する財政支援措置の規模は縮小しているものの、地方自治体が行う基盤整備の支援措置として依然大きな役割を果たしており、さらに、今後、工業集積が不十分な地域、特に高速交通体系の整備が遅れている地域における産業基盤整備が本格化すること、工業集積が進捗した地域においても経済社会環境の変化に対応した整備が必要であることから、本制度は今日においても必要であるとする議論がある。
 一方、本制度は存在意義や実効性が薄れ、地方公共団体の国への依存度を助長しているのではないか、地方自治体が自由競争を行っていく時代に一部地域を優遇する制度は廃止すべきではないかとして制度の存続を疑問視する声もある」わけでございます。
 9ページは、支援措置のイメージをつかんでいただくものでございまして、市町村に対しまして、補助率かさ上げ、地方交付税減収補てん、重要港湾に係る負担免除と、乱暴に言いますと、127億円の市町村に対する補助が平成9年度単年度ベースであるわけでございます。道県に対しましては、新産等債発行、新産等債利子補給、地方交付税減収補てんということで、700億円でございます。合わせますと800億円の支援措置が単年度であるわけでございます。あと、企業に対しましても税制上の措置等々があるわけでございます。
 10ページは、そういった措置の経年変化−第1次から第5次までの推移を見たものでございます。
 特徴的なものといたしましては、脚注にございますけれども、新産等債にかかわる利子補給額については、第5次の利用実績は少なくなっているが、これは近年の低金利の影響でございます。
 補助率のかさ上げ措置については、第2次以降利用実績が低下する傾向がございますけれども、これは計画ごとにかさ上げ算式が変わっていることが原因でございまして、かさ上げ率が低くなっているということでございます。そういうことでございまして、新産・工特地区における事業量の減少を意味するものではございません。
 それからその下に、市町村による港湾整備の負担免除というのがございます。これは港湾のある市町村が対象でございますので、対象市町村の数がおのずから少なくなります。例えば新産ですと、29市町村で79億円ということで、1市町村当たりで見ますと、平均2.7億円、多いところは5億円、10億円ということで、当該市町村にとっては大変大きな財政支援措置になっているわけでございます。
 この三つが特徴だと思います。
 11ページは、地区別の数字でございます。後ほどごらんいただければと思います。
 12ページは、交通基盤整備の進捗状況でございます。
 高速交通体系、とりわけ高速道路、これが来ている地区と来ていない地区で……、先ほど工業集積度のところで地区別の様子を見ましたが、こういったところの一因がこの高速交通体系の整備状況かと思います。
 日向延岡地区はかなり厳しいのでございますが、まだ高速道路が来ていない。中海地区などもかなり厳しいのですが、ようやく高速道路が来たばかりということになります。これがかなり、先ほどの工業集積度に影響を与えるというのが私どもの研究会での分析でございます。
 13ページ、(2)「産業政策の手法の変化」でございます。
 「これからの産業政策は生活の利便性の向上や企業活動の高度化・複雑化に対応した情報、研究等各種機能の総合的な整備が必要であり、主に重厚長大型産業の大企業の誘致・育成を念頭に置いた現行制度は時代遅れであるとする声がある。
 一方、企業誘致は依然地方産業振興の柱であり、地方自治体による港湾、道路等の整備に対する支援を中心とした現行制度のスキームは、今後とも重要である」という御意見もあるわけでございます。
 14ページ、道県に対してアンケートをした結果でございます。今後の地方産業振興策の重要施策は何かということでございますが、1番多いのは、下から四つ目、「企業間や産官学の交流ネットワークの促進、交流基盤の整備」です。2番目が、「情報通信網の整備」でございます。そういったようなソフト面が多いわけでございますが、3番目に、上から二つ目、「高速道路の整備」、こういったハードの整備が依然重要であるという声もまだまだあるわけでございます。
 15ページは、(3)「支援対象施設の変化」でございます。
 「各指定地区における投資のウエイトが道路、港湾等の生産関連から下水道、都市公園等の生活関連へとシフトしていることから、制度創設当初の目的から外れているのではないかと懸念する声がある。
 一方、快適な生活環境へのニーズの高まりを反映して、産業政策における都市基盤整備の重要性は以前にもまして高まっており、今後とも生活関連基盤の整備を進めていく必要があるという声もある」わけでございます。
 新産と工特の法目的を抜粋してございます。新産法の場合は−2行目でございますが−法目的の中に、「産業の立地条件及び都市施設を整備」と、両方ございます。ですから、都市基盤整備を進めることは、たしかにその点では法目的にかなっているわけでございます。
 一方、工特法の方は−2行目でございますが−「工業の基盤となる施設その他の施設を一層整備することにより」ということで、こちらは工業基盤の整備だけが法目的です。そういう意味では都市基盤整備が入っておりませんので、前半の指摘が当たろうかと思います。
 具体的に数字でその様子を見ますと−16ページ、17ページでございますけれども−各地区別に生活基盤と産業基盤に分けてその比率の変化を見たものでございます。
 左側の棒グラフが第1次の計画での実績でございます。右側の棒グラフが第5次の実績でございます。上の濃いところが生活基盤でございます。生活基盤の内訳は−17ページの脚注にございますけれども−住宅とか下水道等々でございます。下の薄いところが生産基盤でございます。生産基盤は道路ですとか工業用地といったようなものでございます。
 これをごらんいただきますと、いずれの地区におきましても、若干の程度の差はあれ、生産基盤から生活基盤、とりわけ下水道にシフトしているということが言えるかと思います。
 18ページは、(4)「国と自治体との関係」でございます。
 「新産・工特制度は、地方自治体の計画策定過程において国が関与しているため、地方の自発的な産業振興策を阻害しており、今後は各地区の自立的な産業振興策に委ねるべきであるとする議論がある。
 一方、自治体の財政基盤の脆弱性、自治体間の規模、財政力、産業集積などの格差を考慮すると、現状においては、国の関与のもと財政支援措置を講じる必要があるとする声もある」わけでございます。
 19ページは、財政力の評価でございます。昭和40年度と平成9年度を比べたものでございます。これは何を示したグラフかといいますと−下がオリジナルデータでございます−@が、昭和40年の基準財政需要額。それぞれの人口ですとか、そういったものをベースに、最低でもこれだけの財政需要があるだろうというものを、地方交付税算定の観点から計算したものでございます。Aが、同じく昭和40年度の基準財政収入額。需要に対して大体このぐらいの収入があるのかなという感じのものを地方交付税算定の観点から計算したものでございます。この差額を地方交付税で補てんするというのが、乱暴でございますが、地方交付税の制度でございます。A/@−支出/収入−これがαでございます。βも、同様のことを平成9年度で評価したものでございます。こういった二つのものを比べたのが、上の棒グラフでございます。
 必ずしも顕著な傾向というのはないのでございますが、全国を見ますと、下の表、新産地区、工特地区というのが下から3行目、4行目に整理してございます。経年変化でいきますと、昭和40年度と平成9年度いずれも0.01でございますけれども、新産地区、工特地区、両方下回っているということでございます。ただ、全国比較でいきますと、新産地区は全国を下回っておりますが、工特地区は全国を上回っているということが一つの傾向かと思われます。いずれにいたしましても、厳しくなっているということは事実でございます。
 20ページが、(5)「昨今の厳しい地方経済情勢」でございます。
 「近年、鉄鋼、石油化学等重厚長大型産業の生産が急速に落ち込んでおり、指定地区も含めた地方の経済情勢が極めて悪化していること、また、関係地方自治体の財政事情も悪化していることから、本制度にかかわる財政支援措置を廃止するべきではないという声がある。
 一方、これらの問題は新産・工特地区特有のものではないことから、本制度を維持する理由とはならないとする声もある」というところでございます。
 21ページは、月別の粗綱生産量の推移でございます。平成9年、10年、11年とずっと下回っている。11年の6月ぐらいになりますとかなり接近しておりますので、前年を上回るかもしれませんが、これまでのところはずっと下回っているということで、かなり厳しい状態なわけでございます。
 22ページは、同様に、重油の生産量で月別の推移を見たものでございます。この場合、鉄ほど極端ではございませんけれども、やはり同様に落ち込んでいるという傾向が見られるわけでございます。
 ちなみに、23ページ、24ページは、こういった、鉄あるいは石油精製基地が、新産・工特地区とどの程度重なっているかというものを地図にプロットしたものでございます。全部が全部、新産・工特地区にあるわけではございませんけれども、かなりの確率で新産・工特地区に立地しているということでございます。この傾向は、ある程度、新産・工特地区を議論する上で必要な議論かと思っております。
 以上、大変長くなりましたけれども、資料4、資料5の御説明でございます。こういったものを議論のたたき台とさせていただければと思っております。以上でございます。
○成田委員長
 どうもありがとうございました。
 ただいま、非常に広い角度、全国の地方経済、全県規模の、「地方経済の現状と課題」、それから「新産・工特制度の評価及び今日的意義について」という資料で御説明がございました。
 まず、きょうのメインの課題は、ステップ・バイ・ステップで進めていくという意味で、過去の評価を含めて現状認識をどうするかという点を少し伺いたいと思います。
 今まで御説明があったいろいろなデータ、これは昨年度の報告書の時点までのものをいろいろ集めているわけですけれども、何かこういうデータがあったらおもしろいなとか、その後状況が変わっているので、こういう変化もあるじゃないか、そういうデータはないかというような御意見でもあれば、どなたからでも結構ですので、お伺いしたいと思います。
○  委員
 ちょっと不勉強で申しわけないのですけれども、資料5の6ページでございますが、上の箱、三つありまして、この第三期、1985年〜1995年、「立地条件を示す指標で工業出荷額の増加額を説明することができない」となっているのですけれども、そういうものなのですか。前の一期、二期と比べて、第三期というのが顕著に違う、やはりいう結論づけになるのですか。これは前の報告書の後づけで申しわけないのですけれども。
○田巻地方産業振興室長
 これは数式でお示しすればよかったのですが、例えば4ページの真ん中に「推計式」という箱がございます。この一番上です。「工業出荷額増加額」、1966年と1975年、これは1966〜1977年の増加額を左辺にとっております。右辺の方は、SHIJOU−SHIJOUというのがその下にありますけれども−市場・取引企業へのアクセスビリティの指数ということで、251地区全地区の、A地点から残りの250地区への時間距離をはかったものです。それから、KOUWANは特定重要港湾へのアクセスビリティの指数です。同様に、250地区へのアクセスの時間距離をはかったものです。あと、製造業常用労働者給与月額ですとか、地区内の住宅地の平均地価、そういったものを説明変数として、重回帰分析を行ったものでございます。
 その結果が、6ページの下二つ、「各期における新産工特全地区の工業出荷額増加額と各指標との間の単純相関係数」、あるいは下に、「重回帰分析による決定係数(r2 )とt値」とありますけれども、単純相関係数で見ていただきますと、第一期、第二期は、値の大小はございますけれども、いずれもプラスの相関係数だった。ですからきちっと説明できるという結論になったわけでございますが、第三期は、そこにございますように、プラスの相関係数もあればマイナスの相関係数もある。前向いているのもあれば後ろ向いているのもあるということで、どちらに向いているかわからない、だから説明できないということが算術的に出てきているわけでございます。
 こういった、あくまでも算数を踏まえまして、こういう分析手法を使いますと、上の四角に戻りますが、「工業出荷額の増加額を説明することができない」。前向きと後ろ向き両方ございますので、どちらを向いているのかわからないので、説明することができないということで、第三期は、「このような立地条件が工業立地に与える影響が小さくなったものと考えられる」と分析しているわけでございます。
○成田委員長
 よろしいですか。
○  委員
 まあ、そういうこと。
 立地条件をあらわす指標を一まとめにするとそういうことになるのでしょうね。だけど、一まとめにした場合にはそうだけれども、その中で効いているものと効かない要素、要因というのはありますね。だから、要するに、こういう地域間格差を見る場合に何が一番重要で、どこを直すことがその地域の格差を是正する道になるのか、そういうものがこういうところに潜んでいるという感じがするのです。全部引っつかまえて、まとめて「立地条件」というと、いろいろなものが入ってくるでしょうけれども、その中で一番重要で、ここの部分を直していくことが−いろいろな意味で、三大都市圏と地域の間でこの部分を直すということが−本当の格差是正になるだろうという場合に、格差是正の一番のねらい目は何かですね。人口なのか……、出荷額と言ってもいいのかもしれないけれども、ハードなのかソフトなのかということですね。いろいろなメルクマールというのはあると思うのです。
○  委員
 全部重回帰でやっていますけれども、同じことを普通に主成分分析でやって、この増加要因−多分三つぐらいのファクター−どんなものがファクターになるか。新産・工特の都市基盤整備とか工業基盤整備の要因が幾つか入っているわけで、このままだったら1本の線を引くためにデータを使っているのでしょうね。後でそこに置いているわけだから、ファクターからの距離というのはなかなかわからないので、多分それぞれのポイントが主成分得点がとれるようになって、ちゃんと格差というのが見れるようになるので、多分、今言われたようなことというのは、同じ式をそのまま使って説明はできると思うのです。だから主成分分析をやればどのことがどういうふうに効いたかというのはわかると思うのですけれども、この第三期目が説明できないと言っていることの一番の意味というのは、つまり新産・工特なんかで整備されるようなもので、これまでは生産を促進する効果があることが見えていて、だから決定係数でも、このファクターで説明すれば済んだわけです。しかもこれは新産・工特の地域だけではなくて、全国のこういう工業地域を250ぐらいのサンプルでと先ほどおっしゃっていたので、それで線を1本引いたら引けたというわけですよね。
 もう一つぜひやってほしかったのは、新産・工特地域だけで線を引いてみたらどうだったかというのもやってみて、二つの線がどういう位置にあるか、北側にあって、やはりその効果はありましたということだと、この2本の線をずっと引いてきて、新産・工特の地域については、三期目どうだったかという線もひょっとしたら引けるかもしれない。250の地域についてはだめかもしれない、それから、そういうこととは全く関係なくて、為替要因など外国の、国内的な基盤の要因とは全く関係ないことで決まったというのだったら、そのことを説明しなければいけない。
 本当は最初からその外的な要因を外したところだけの効果をとっていかなければいけないので、普通だったら、どう伸びたという線をつくっておいて、それからの乖離をとっていって分析しなければいけないのですね。ここまでデータがそろっているのだったら、やろうと思えばいろいろなことが簡単にできるのではないかとも思いますけれど。
 この絵ではっきりわかっていることは、第三期になったら、これまでのような基盤整備は何の関係もなかったというふうに言えるのか、そういうふうな説明もなっていないですよね。違う要素かもしれないと書いてあるわけだから。
 だから、為替のような外の要因だったら何の説明にもならないし、今までのような効果が出なかったことが、こういう手法がよくないということの説明にもならないかもしれないわけです。そこのところを見極めることはすごく難しいのではないですかね。
 だから、全くほかの要因でそうなってしまったので、それを外して考えたら、まだ前と同じように説明があるというのだったら、そういう説明が要るのですね。
 僕が精度上の問題でものすごく心配しているのは、250のポイントをとって線を引いた中に、20幾つのところだけはこの精度だと。そのプラスアルファの要因が押し上げたかたどうかということを知りたいわけですよね。基本的には、他の立地の条件で決まっていて、この20幾つの指定地域よりも、250の他の工業地域の別のところの方が伸びている可能性はありますよね。特に首都圏などそうなっていると思いますから、何でそうなったかというのを見る。微妙ですよね。
 この3番目のところを徹底的に説明すれば全部がわかるという感じはします。何となくやりにくいからこういう文章にしたのかなとも思うのですけれど、今、そこが話題になってしまったので、もしやるのだったら徹底的にやってもいいかもしれません。
○成田委員長
 この話は非常に専門的な分も含まれているのですが、やはり従来の統計のとり方だけでは問題があるのでしょうね。やはり時代によって視座が違ってきますからね。 
○  委員
 その辺が違ったからこうなったかどうかが、これだけの説明だと見えないわけですよね。データを下されば、うちでも簡単にできそうです。院生にちょっと渡せばすぐできることです。
○成田委員長
 コンサルタントの方もいらっしゃると思いますが。
○  委員
 いらっしゃるのだったら、そこでやっていただければ。
○成田委員長
 新しいデータを少し入れた方がいいのではないかと思うのです。
○田巻地方産業振興室長
 3点ほど補足させていただきたいのですが、第1点は、先ほど、第三期について、私は、相関係数がプラスとマイナスがあるということだけを申し上げたのですが、一つ言い忘れていまして、相関係数の絶対値が、第一期、第二期は0.5とか0.8と、かなり大きな数字なのですけれども、第三期は0.0幾つ。ですから、ほとんど相関関係が出てこないということ、これも説明できない、ばらつきが大きいということの原因の一つだと。
 今の  委員のお話ですけれども、本当にこれだけなのか、もっとほかの要因で説明できるのではないかというお話でございますが、実は私ども、これを計算する際、説明変数をいろいろ置いてみたのですが、実はその中である程度相関係数が高いものを整理してここに御紹介しているので、この裏にはほかの要因もいろいろやっていたのですが、なかなか説明できないのです、ほかの要因は。それでこういう形になってしまったということです。ただ、今お話がございましたので、また委員と相談しながら、もしよろしければ、もうちょっと突っ込んでみたいと思いますが。
 それから3点目でございますけれども、これはある程度私の推測も入って恐縮なのですが、これまでは、第一期、第二期はこういった要因で説明できた、これが産業振興の一つのかぎだったというふうに、ある程度は言えるのだろうと思います。では、第三期あるいは今後どうかというところ、特に今後の話になると実績のデータがありませんので、こういった回帰分析はしようがないのですけれども、例えば14ページのところ、道県の方で、今後の重要施策は何ですかと聞くと、ネットワークの整備だとか情報通信基盤の整備だとか言っていますけれども、恐らくは、こういったネットワークの整備、情報通信基盤の整備、あるいは人材の育成というようなものを仮に説明変数に持ってくれば、多分それである程度説明できるような格好になるだろうとは思うのです。これは将来のことでデータがありませんので、推測になってしまうのですけれども、そういうことで、工業出荷額を伸ばす要因が、今までは道路、港湾であったのが、これからは情報だ、人材だ、ネットワークだということになってきたということなのかなという感じはしています。
○成田委員長
 これから見通しをする場合に、最近の金融機関の合併ですとか、それから、いろいろな企業が今までの枠組みを越えていろいろ連携しておりますよね。一方ではリストラをしながら、例えば港湾などを整理して立地しようとしている。それから川崎あたりの臨海工業地帯は施設が古くなって、通産省あたりが、少しでも何とかしようという政策を打ち出しつつあるわけですね。そういう状況の変化が今後一体どうなっていくのかですね。リストラされて集約された企業は一体どこへ、どういう形で立地するのか、そういうファクターが一つ入ってきているのではないかと思います。その対応の仕方というのは従来とはまた違うだろうと思うのです。この辺は予測だから難しいのですけれども。ちょっと予測の範囲を超えた動きになるかもしれないし。
○  委員
 土地利用的な問題から、どうしても動きがとれなくなって、大都市のリノベーションと言われているようなことで、一番水際線に近いところが傷んでしまって、降参するけれど、もうちょっと都市地域に近い側のところはまだ生きている、一番先端のところは工業地域で、それに似たようなものでは立地できないけれども、そういうものがなかなかない。土地利用としては、住宅だったら喜んでとか、それから情報産業でも喜んでと思っているけれど、そこは完全に工専地域で入れない。だから空いてしまっているというようなことは、それは土地利用計画だとか、都市計画上の用途の話、そういうところから引っかかっているのは、川崎なんかざらなんですよね。
 だけど、そういう問題が新産・工特地域に起こっているかというと、必ずしもそんなことはなくて、最初から水際線のところが動かないとか、それから、大型の、数百ヘクタール持っている企業が、そこを使う方法がなくなってしまっている。それは本当に細かく分割して、地域の芽になるような工業をそこに誘致できるかと言ったら、僕が知っている幾つかのところなど、かえって昔からそこに幾つかの企業が入ってしまって、排他的になってしまったために、もう新しく芽が出てきているものと入れかわれないという問題、それで既得権だけ持っていらっしゃるというというところもたくさんあるので、土地利用計画上の問題かもしれないですよね。
 だから、こういう基盤整備をしたからという問題ではなくて、既得権とか既存の人がいるために動きがとれないという問題も起こっている。それは制度上……というか、いつでも起こることですよね。土地利用計画というのは15年とか20年という単位でしか変われないので、そう簡単にこの範囲の中では見つけることができないでしょうね。
○成田委員長
 そういう意見を私も聞いたのですよ。これは都市工学の先生で、地方でいろいろなことをやっていらっしゃるかなり有名な方ですけれども、新産・工特の非常に大きな問題点の一つは、やはり国で計画が承認されているものですから、土地利用を簡単に変えられないと。これは具体的には、都市計画法−これは今度大きく改正になるのでしょうけれども−そこでやはり国の計画がいろいろ並んでいて、それと整合性をとらなければいけないという形で都市計画に入っているわけですね。この計画が決まって変更されないということになると、それに従って土地利用というものを決めていかなければならない。ですから、もう少し、新産都市については、土地利用の規制緩和といいますか、そういうのをやってほしいという意見がかなりあるというのです。
 それから、これは全然別で、去年、多自然居住地域の調査をやったのですが、そこではやはり農地、特に耕作放棄地等も含めて非常にたくさんの農地が残っているのだけれど、これは全然手がつけられないと。この辺の規制緩和というのを、多自然居住地域の新しい施策としてやってほしいというような意見がかなりありました。
 新産・工特も、そういう問題は実際にあると思うのです。それはこれから現地でヒアリングされる際にお聞き願いたい点の一つだと思うのです。
○  委員
 先ほどの最初の質問に戻るのですけれども、二つの時期は、決定係数もこんなに高くて、こんなにきっちり全体が説明できた時期があって、それが三期になったら全く説明ができないぐらい変わっているということは確かなのですよね。
 ですから、そこのファクター、何が変わってこういうふうになったかというのは、今多分先生がおっしゃったようなことはかなり大きなウエートだし、産業構造上の問題かもしれないし、押し上げるファクターというのが、今までのような、時間距離とか、そういうようなものではなくなってきて、情報通信革命が起こってきて、もう違うファクターに変わってきているのかもしれないし、特に新しい生産、つまり付加価値を高めているものはもう違うものに移ってきているのかもしれないですよね。既存のものはあるのかもしれない。本当に大事なのは、この第三期が何だったのかというところだけが徹底的にわかることが一番大事そうなんですけれども。そのファクターがわかればいろいろな説明ができそうです。
○  委員
 この第一期、第二期の工業出荷額の増加をとっていますよね。だから当たり前なのですけれども、第一期は素材産業が伸びたから、当たり前で、臨海型だという話ですよね。
 多分第三期の問題というのは、今委員がおっしゃったように、産業が、こうなっている部分とこうなっている部分があって、ですからまさに今の、我々も工業立地を調べても、産業立地の要因、まさに産業立地をなぜ選んだかという要因が大分変わってきていることが逆によくあらわれていると理解すれば、多分第二期は、加工組み立てである、いわゆるシリコンアイランドみたいなものの影響が強くでているのかなと。だから割とこういう件数が強く出ていると。むしろ工業出荷額の何が伸びていて、これが割とぴったりしているのではないかと、私なんかはそんな感じを持っていますけれども。
○成田委員長
 「地方経済の現状と課題」の9ページを見るといろいろな例が出ていますよね。この中で新産・工特に引っかかっているのは……、これは米子は違いますね。
○田巻地方産業振興室長
 中海で入っています。
○成田委員長
 中海で。それから北海道北見はどうですか。
○田巻地方産業振興室長
 北見は入っています。
○成田委員長
 入っていますか。
 これは新産・工特に指定されているためにこういう形のものが出たわけではどうもなさそうですね。
○田巻地方産業振興室長
 関係なく。
○成田委員長
 かつて、能代ですか、あの辺で何か中小企業を集めて非常にいいことをやっているという話を伺っていたのですが、それはもう消えてしまったのですか。
○田巻地方産業振興室長
 能代ですか。ちょっと存じ上げないのですけれども。
○成田委員長
 担当者がおかわりになるとやはりそういう点が消えてしまうという。
 そういうのを大分聞かされたのですよ。
○田巻地方産業振興室長
 そうですか。ちょっと調べてみます。
○成田委員長
 新産に指定されていないところで何かえらいことをやっているという話があって、能代のあの辺の例が。最近空港ができましたでしょう。
○田巻地方産業振興室長
 はい。……すいません。
○  委員
 新産・工特という制度上、効果のはかり方が、先ほどから議論がございますように、工業出荷額というふうなことで落ちつくのか、多分そうならざるを得ないのかなと思いますが、現実には、やはり周辺も含めて人口がどうなったか。一応、推移のグラフもございますが、人口のとり方が、県レベルでとっているから、ものによって広いところがあるし、市町村でとるには、周辺をどれぐらいとるかというのが難しいと思いますが、これからは、本来の意味では、地方の活性化だと思いますし、所得格差なんかもありますし。そういう観点からの効果を出すということが重要になってくるのではないかと思うのですが、今までなされてきた新産・工特の生産関連のインフラの到達度−工業出荷額なんかは、工業の性格が変わってきたら港湾のいいのは要らないような工業の方がよくなってくるかもしれないというような話になってくると思うのですが−とりあえず、今まで何十年やられてきた新産・工特のインフラ整備の物理的な到達度だけの資料というのは、12ページに日本地図がございますけれども、特定重要港湾は−直轄で負担を見てくれるという話ですが−実際にどのぐらいできているのですか。
 だから例えば、この制度、もうインフラはほとんどできたから、とりあえず御自身で、地方で考えてくださいという話にするにしても、では一応目指してきたインフラ自身はどうなったかという到達度がデータとしてほしいのですが。
○田巻地方産業振興室長
 高速道路などはこの12ページのこの図である程度御理解いただけると思うのですけれども、今お話がございました港湾は非常に気の長い話でございまして、例えば横浜港など、江戸時代の開港以来いまだに整備をしている。これはちょっと極端な例ですけれども、いずれにしましても、港湾整備局は20年、30年単位で計画をつくっておりまして、それが終わりますとまた次の20年、30年の計画をつくるというような形で整備を進めている事業なものですから、果たしてその到達度というものを示し得るかどうか。もちろん調べさせていただきますけれども、事業の性格からなかなか難しい点もあるのかなという感じがしております。
○  委員
 今現在でどのぐらいのことになっているかというのは。
○成田委員長
 難しいのは、工業用水なんていうのは、確かに整備度は非常に高まってきた思うのです、指定の時点に比べると。ところが実際にはもう水が使われなくなって、工業用水どうしようかという問題が出てきているでしょう。港湾なんかも、整備している途中に流通の形態が変わってきたわけですよね。新潟あたりに行ってごらんになったらわかりますけれども、港には大きなクレーンがいっぱい立っていて、これは昔の船から積み降ろすためのクレーンだったわけですね。それがみんな錆びついて残っているのですよ。ところが、今はコンテナ時代ですから、別にコンテナ埠頭、深水港湾を整備しているのですよね。そういう要素を入れていくと、到達度というのもなかなか……、一応達成されたけれど、陳腐化してもう使われなくなったというものもあるのですよね。
 一方の公園みたいなものはかなり進んでおりますね。価値観が変わってきたということもあるのですけれども。
○  委員
 道路の方は、今はわかりますか。
○田巻地方産業振興室長
 道路の方は、道路整備長計がありますので、それである程度出せると思います。ただ、それがある程度できますと、次また新しい計画をつくってまた達するというのが出まして、これは数字は準備できるかと思いますが、そこをどう評価するかはなかなか難しいところがあろうかと思います。
○成田委員長
 道路の整備は道路整備5カ年計画で決まりますから、そこでは新産であるがためにというのは余り聞かないのですよね。高速道路だって新産のため、産業道路で用意するのではなくて、全国的な道路網の中で考えるわけですから。
○  委員
 そうするとやはり港湾ですかね。今一番お金が出ているのは。
○成田委員長
 財政的な補助、利子補給なんて今意味がないのですよね。意味がないけれども、一番市町村で効いているのはやはり港湾ですよね。ところが港湾は、御承知のように、重要港湾の国直轄の事業を含めて、かなり巨大なつり堀ばかりつくっているというような批判もあるわけですから。
○  委員
 言いたいことはたくさんあるのですけれども、一つ一つみんな何かを批判することばかりになってしまっていけないのですけれども、ただ、工業を誘致しようというのは、人口を集めることではマイナスなんですね。これは前から言われていることで、工業誘致というのは人を集めることにはならない。サービス業の場合は猛烈に人を集めることになるのですよね。
 今、ただでさえ、GDP比率で、この4、5年、猛烈に工業出荷額は落ちているわけです。全体的に落ちているわけですね。まだ上り坂のところである程度のいろいろなファクターが説明できるようになって、90年代に入ってから、その伸びが、外に出る動きなどいろいろあって、完全に伸びなくなった状態のところで、しかも工業は、どちらかというと雇用は生み出さない。ほとんどがコンピューターであったり、ロボットがつくったりという世界になってきて、そういう難しさが起こってきてしまってますから、働く人も、農業をやっているけれども、農業のついでに働きに行くというような、農工法に基づくような工業団地の中につくられたようなという。それから、新潟新港の中にあるような幾つかのコンピューター系の企業の若い労働者というのは、ほとんどが週末に農業をやってお米をつくっている人が行っているわけですよね。ですから、そういう地域のことの効用というのは、先ほど言ったように、「正規」というような言葉−どういうふうに使うか微妙ですけれども−働いているのだけれども、必ずしも統計的にはあらわれてこない。
 だけど、そこで働いている人の所得水準はすごく高くて、二つの産業を一遍に抱えている世界になっていますから、このデータだけで評価しろと言われるとすごく悩んでしまうのですよね。特に新潟新港の周辺の、あそこに入っているコンピューター系の企業の中に就職している若い人たちというのは−すごい絶好調だと僕は思いますけれども−そんなに悪いわけではないと思うのです。
 この統計のとり方でそのまま見ようと言われたら、すごく微妙だし、その地域全体に、ここの地域のエリアの雇用が大きく響くというほど大きいかと言われたら、エリア全体、例えば宮崎県とかはもっと大きくて、その中のウエートは小さいのではないかという感じもしますよね。それから茨城の中でも、鹿島みたいにものすごく大きいところはウエートも大きくなる、そこの意義がものすごく大きいですけれども、そういう相対的な地位、広域エリア全体でのこの地域の寄与率のようなものがどんなものか、その中でどうなっているのかというのがわかるといいかもしれません。
 それから、工業で人口をというのは、あるところから無理になったのではないかという感じがします。人口のふえ方が減っている。全体のエリアで見たらみんなふえているのですよね。それが2007年になったら完全にゼロサムゲームになるわけですから、今度はそれがどういうふうにあらわれてくるかというところで、そのときのために、こういう新しい制度を準備しようというのだと、工業のあり方とか地位というのはすごく難しいですよね。人口問題で扱うことはすごく難しいという感じがします。
○成田委員長
 今まで新産・工特というのがいろいろ寄与してきたことは事実だし、まだ伸ばしてくれという意見があるのも事実なんですよね。これからの状況を考える前に、今−これまでは県民所得の向上だとか工業出荷額を伸ばしていくとかいうようなことが目標だったのですけれども−今それを言う人は余りいないのですね。それをどうしても維持してほしいというのは、やはり雇用の確保の問題とか。
 昔、30年代の初めごろに地方財産再建促進法が制定されたころは、やはり地方財政が非常に厳しかったわけですね。そこで自分で自主的な財源をつくるようなものを育成しなければいけないというので、臨海工業地帯みたいなものを企画し始めたのですね。だからやはり税収をふやすということが一つの目標だったのですよ、当時は。
 今その要素はない。むしろ補助金だとかいろいろな形で優遇されている。それは残してほしいということだと思うので、新産業を伸ばすということよりも、むしろ財政的な優遇措置を今取っ払われては困るということがかなり強い反対理由になっているような気がします。
○  委員
 両論併記になっていた幾つかのコメントというのは、大概−先ほど成田委員長がおっしゃったみたいに−今制度を受けているところの人たちの意見ですよね。でも、その地域の人たちでも、もっと自由に、つまり財政上の優遇の用途が広くなっていたりしたら、これでなくてはいけないとはおっしゃらないのではないかという気がするのですよ。現行の制度を減らされると、地域によっては数10億円からかなりの金額の……、毎年それが続いているわけですから、それは大きいでしょうね。
○成田委員長
 アンケートの問題に関連するのですが、廃止しろという意見があるけれども、今廃止されて本当に困るのは何ですかという本音をもう少し聞いてほしいのですよね。それを残してほしいということを言うのだったら、それらの説明責任と言いますか、そういうのを果たしてもらいたいと思うので。困る困るとだけ言われたのではちょっとどうしようもないですからね。本当はどこが困るだというのをもう少し突っ込んで聞いてみたいですね。それを聞くと、それではどうしたらいいかという次の施策が出てくるわけですからね。そこがどうも、今まではっきりつかめていないのですね。
 地域間格差とか国土の均衡ある発展というのは、この前多自然居住地域の方の研究会で早明浦ダムの方に行ったのですよね。そこで頑張っている地域の人がいまして、その人に聞くと、自分たちは非常に幸せだ、むしろ不幸なのは都会の人ではないかと言うのです。地域間格差ということを言っているが、そんなことは余計なお世話だ、自分たちに自由にやらせてほしいと。国はいろいろな規制がたくさんかかって、縦割り行政で分断されてしまって、やりたいことがやれないのだ、そこを自由にしてくれという意見を言われて、ちょっと僕もショックだったのですけれどね。東京の目だけで見てはだめだなということを……。
○  委員
 尺度が、東京というか霞ケ関尺度になっているのですね。だから、向こうの人にとってみたらそのことは余り大事なことではないかもしれないのですよね。でも、こちらの要求にデータでこたえようとすると、こういう格差がありますということをおっしゃると思うのですけれど、所得で実質的に、何か豊かさに差があるかとか、大都市で生活する尺度、何か国際比較するときに似ていますよね。だから向こうの人に貧困感とか、格差があるという感覚はないのではないでしょうか。すごく深刻なところもたくさんありますけれどもね。一般的に言ってですよ。
○成田委員長
 だけどいまだに、地方を回っていくと、例えばある商品が全国シェアの70%ここで出しているのだというところがありますよね。例えば福井県の武生の眼鏡、これは相当なシェアです。それから学生服だとかの繊維関係がかなりのシェアを持っているところがあります。それから四国へ行くと、タオルですか。そういう非常に特化したシェアを持っているところもあるのですね。
○  委員
 多分  委員のおっしゃるとおりのところもあるのですけれど、私なんか地方を回っていまして、現状をとってみれば、多分おっしゃるとおりで、地方の方が、物価水準だとか住みやすさだとかいろいろなことを考えると、非常に満足度は高いのだろうと思うのです。
 資料4の4ページというのは非常にいいグラフで、よくあらわれているかと思うのですけれども、この地方圏は何が多いかというと、農林水産業であり、建設業であり、公務であると。つまり公共の色彩が非常に強いものに依存している。実はこれが今回の、御存じの財政の問題で、これに対する将来不安というのが非常に強いのが現状なのです。私、産業立地なんかもやっているのですけれども、産業立地の数字も5分の1ぐらいになっていると思うのです。この5分の1のうち、外から来ているのは2割ぐらいなのです。すると、地方がこういう構造を変えていくための本源的な仕組みが、実は今なかなかない。
 つまり、将来を考えたときに、確かに均衡ある発展ではなくて、機会の均等は大事だと思うのですけれども、機会の均等を考えたときに、例えば情報産業一つとっても、先ほどのグラフにありましたように、圧倒的に大都市圏が強いのですね。日本の強いのは、ハラパック   現象という話で、ゲームソフトみたいなのがみんな渋谷あたりに出てくるのですね。我々が頑張っている宮崎の例でも、大学の立地などを考えると、かなり県が情報系大学をやっているので、人材が来ている。人材はいるのだけれど、それが産業として成り立っている販売は大都市にある。
 その辺のギャップ、機会、その芽をいかにやるかということに対する将来展望が今開けていない。つまり、これから国際化の中で大きくなったときに、日本の、今まで地方を支えていたいろいろな仕組みが全部、機会的に弱くなっている、そこの不安感、それをどう産業構造的に軟着陸させるかというところが、実は今、県の方の最大の課題になっていまして、県の方の、この地方の産業をどうするかということに対する関心度は、私らの目から見ると非常に強いというのが実感でございます。
○成田委員長
 それは、だから全部国に依存して、何をやったらいいでしょうかと国の指示に従ってやるという時代ではないのですよね。通産省の政策も、そういう時代はもう終わりましたというようなことで、むしろ自主的な形で新しいビジネスを起こしてください、それに支援しましょうというふうに変わってきていますよね。
○  委員
 そこのところが、もう一つ言わせていただくと、実は、国の政策から地方で勝手にやりなさいと言ったときに、勝手にやる手法が今見つからない。例えばインフラのあり方だとか、それからどういう産業が本当に国際的に通用するのか、その点が非常に大きな課題になっているわけです。
○成田委員長
 それはよくわかっていますけれどね。
○  委員
 一番大きいのは、地方だと、ある程度のスペースを確保することなどは簡単なんですよね。ところが、基盤になる高速道路で大都市圏に行こうとするときの料金だとか、電話回線でネットワークで情報通信をやろうとするときの料金体系、結局そういうものが引っかかってしまって、時空を超えるなんていう話にちっともならなくて、オフィスを立地するのでも東京の方が有利になってしまう。それから24時間利用できるところの方が有利で、1日8時間しか使えないような、そういう活動しかしていない地域は不利だとか、何か別の事情になってきてしまっているのです。だから、地方の人は、東京みたいに24時間動いている、そういう時間の動き方をしているところの今の新しい産業の方にやはり魅力を感じるから、立地するのだったら川崎とか、そういうところで安いところありませんかという話になってしまうのでしょうね。
 川崎みたいなところで大きいコンテナ埠頭をつくっても、ちっともお客が来なくて、本当に厳しい。それは、装備をしても、横浜や千葉や東京港はみんな成功していてどんどん伸びようとしているのに、川崎港は全然大変なんですよね。それも、同じ立地条件で立地していても、進まないところは進まない。これはどう説明したらいいのか。後背地も完璧に整備されているのになかなか進めないところもある。それはこれまでの長い歴史の中で、顧客をどう確保するかとかそういう問題になっているのではないでしょうか。
 それから、新たに港を整備して、コンテナ埠頭をつくったらさっとお客がつくなんて、先ほどのお話ではないですけれども、20年とか30年という世界ですよね。
○成田委員長
 この前高知県へ行って悪口言ったんですよね。あなた方は立派な港をつくれば船が自分で来ると思ったらそれは大間違いだと。ポートセイリングについてはこういうメリットがあるということをどんどん宣伝しなければいけないし、それから瀬戸内海は大型船舶の航行に非常に問題があるから、そこの通行を制御して、そのかわりここで受け入れましょうというような政策とリンクしていればいいけれども、ただ大きな施設をつくれば船が来ると思っているのは大間違いだと、大分……。
○  委員
 しかも立地もよくてね。完璧なんですけれども、来ないというと困るわけですから。
○成田委員長
 FAZというのをつくっていますが、実際には名前だけで、余りそれを聞いていると……、悪口言うと関係者にとっては困るのだけれども。
○  委員
 単位をどれぐらいの期間で見るかというのもある。この三期で見て、三期目はピンチだというのはすごくよかったのですけれど、そこから次の制度のことまで考えなければいけないとすると、この先のところを丁寧に調べていただくということが必要なのではないでしょうか。
 地域は工業で人口を集めたいとは思っていないのではないでしょうかね。これもすごい微妙なところで、これがこの制度の一番深刻なところで、だからこそ、都市的な整備の仕方の方にずっと費用も動いていたということになるのではないでしょうか。
○成田委員長
 農林水産業絡みのいろいろなものが出てくるのではないですか。それはだんだん工場化してきますよね。そうすると、工業出荷額というのは、そういうのがどの程度入っているのか、僕もよくわからないのだけれども、食品加工だとか木工品だとか、そういうものが、割合最近は地方でつくられていますよね。
○  委員
 食糧の加工ね。
○成田委員長
 レタスの栽培なんか、水耕をやっているところを見てきましたが、本当、工場ですよね。
○  委員
 今どういう分類なんですか。工業になるのですか。
○成田委員
 それはいろいろなもので酒をつくったりやっているのでしょう。どこ行ったって、妙なワインがたくさんあったり、地ビールがあったり。恐らくアサヒビールが出せば工業出荷額になるのでしょうけれど、地ビールなんていうのはどうなんですかね。
○  委員
 経済連が出すとか、そんな話。
○  委員
 あの分類自身が無理なんですよね。
 私、経済の専門ではないので、経済的なことはわかりませんが、常識的な見方をしても、新産・工特というのは、小学校の教科書レベルで、そういう時代があって、成功例もあって、日本が経済発展したとき−過去といいますか、やはりどう考えてもそういう雰囲気が国民レベルでも常識なのではないかと思うのです。21世紀になろうというときに過去の制度をそのまま引きずるというわけにはいかない。
 一番困るのは、今指定を受けていて、しかも指定を受けるということ自身は本当にいいことかどうかわからないと思うのですよ。そういう重工業的なレッテル張りがある雰囲気がどうしてもありますので、その地域に。でもお金がついているから、欲しいのはやはりそのお金の部分が削られたら困ると思っていらっしゃるところだと思うのです。そこをどう配慮するか。余り結論めいたことは言えませんけれども。ただ常識的に言うと、やはり古すぎるのではないかという響き、そういう感じがするんですよね。
○成田委員長
 私も経済の専門家ではないので。せっかく経済界の方もいらしていますので、どういうふうに見たらよろしいですかね。
○  委員
 ちょっと御質問を先に。時間がないのですけれども。
 先ほど田巻室長の言われた到達点というのですか、着地点に向けての審議の進め方、先ほど、資料5に課題をずっと掲げられて、かつ、それぞれに賛否があるわけですね。この小委員会では、このそれぞれの課題についてどちらか方向を決めていって、灰色ではなくて、黒白はっきりした結論を出す。そのためにどういう審議の進め方をするのか。先ほどのこの五つのやつを一つ一つつぶしていくような格好で問題を選んで、最終的にはどうかというようなことにしていかれるような審議を、資料8のスケジュールを見ますと、このスケジュールに合わせて1個1個論点をつぶしていくというようなやり方をとられるのですか。
○成田委員長
 一応平成12年度中に、この法律、特に財特法が切れるものですから、これを政府として何とかしなければいけないわけですけれども、先ほど申しましたように、ここでは、一応研究会の報告として、促進する立場から認識を共通にしていきたいと思っているのです。
 一方では、先ほど報告があったように、第2次の地方分権推進計画が閣議決定されていまして、そこで廃止を含めて将来のあり方を検討するということで、「廃止」という言葉を入れるか入れないかで大分すったもんだあったようですけれども、一応方向が出たわけですね。ところが、指定されているところの知事が連名で、私のところに、延ばしてくれというふうな、立派な陳情書みたいなのが来ている。そういう中でどう考えていくかということだと思うのです。やはりここでは、前の研究会の報告書を横目で見ながら、先ほど言ったように3段階に分けて話を進めていく。
 そういう意味で、きょうは新産・工特というのを現状の時点でどう認識するかという問題だと思うのです。この議論は進んではいないと思うので、これからもおいおい出てくると思うのです。少しこれからの進め方のプログラム、検討事項というものをステップ・バイ・ステップでつくっていただいて、それで一つ一つを積み上げていく。そこで到達点をどうしていくか。初めから到達点をはっきり持つ必要は必ずしもないと思うし、それをはっきり出すと政治的にいろいろな問題を引き起こしますから。要するに客観的に進めていくというのがいいだろうと思うのです。
 
(4)今後の審議の進め方について
○田巻地方産業振興室長
 資料で、今後の進め方について幾つか準備していますので、御説明させていただいてよろしいですか。
 資料の6〜8、これは今後の審議の進め方に関する私どもの御提案でございます。どのように審議を進めていこうかということでございますが、ちょっとこちらを御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料の6でございますけれども、議論の材料の一つといたしまして、アンケート調査を実施してはどうかということを私ども考えております。
 きょう準備した資料は、とりあえずこんな項目でアンケートをとったらいいのかなということを列挙したものでございますが、御議論いただきながら進めていきたいと思います。 「目的」でございますけれども、新産・工特制度の今後の在り方についての審議の参考とするため、制度の評価等に関する自治体の意見を聴取するのが目的でございます。
 「対象」といたしましては、全指定地区に関係する23道府県−指定地区は21地区ですけれども、またがっているところがございますので、道府県の数は23ですが−これを対象としたいということでございます。
 「質問項目」でございますけれども、二つございます。個々の新産・工特地区の評価を中心としたもの、それから新産・工特制度全体を中心としたものと両方でございます。
 1番は、個々の地区の評価を中心としたものでございます。
 (1)で、工場立地はどれほど効果があったと思いますか。
 (2)で、産業基盤の整備。
 (3)で、生活基盤の整備。
 (4)で、これは前回申し上げましたけれども、最初の全総の拠点開発方式という例に基づいた制度でございますので、拠点から周辺地区への経済波及効果はどうであったかということ、それを伺いたいと思います。
 (5)で、各支援措置、先ほどかさ上げとか新産等債等々の支援措置があると申し上げましたけれども、それぞれ支援措置はどの程度効果があったかということを、措置別に、@からFまでございますけれども、伺ってみたいと思っています。
 (6)で、その支援措置の重要度の順位。先ほど、どれが役に立ってどれが必要ではないかという御意見がございましたけれど、重要度の順位を伺っていきたいと思います。
 あとは、これも先ほど、やめたら困るのは何ですかというお話が出ていましたけれど、(7)、仮に廃止された場合に問題となる具体的事業名は何ですかというような形で、私どもアンケートを設定しています。
 ここまでは個別の地区の話でございますけれども、2.で、「今後の地方産業振興策の在り方」というところは制度全体でございます。
 (1)が、「新産・工特制度のような、主に重厚長大型産業の誘致・育成を念頭に置いた制度は現在でも有効だと考えますか?また、その理由は何ですか?」ということでございます。
 (2)が、先ほど地方分権の絡みで幾つか議論がございましたけれども、「いわゆるモデル型地域振興計画の制度は、地方自治体の自主性・独自性を発揮する上で問題があると考えますか?また、その理由は何ですか?」
 (3)が、今後の産業なり、またそれを伸ばすファクターは何かという議論も大分熱心にしていただきましたけれども、各道県におきまして、「今後重点的に振興すべき産業としてどのようなものを考えていますか?」
 (4)で、その場合に、その産業を支援するための施策は何かということを聞いてみたいと思っています。
 それから、3.「その他」ということで、自由に、今後の地方産業振興施策について御意見をお聞きしたいということです。
 こういった形でアンケート調査を実施したい、これを議論の材料の一つにしたいと考えております。
 それから二つ目でございますけれども、資料7でございます。前回の1回目の特別委員会で、大枠については御承認いただいたところでございますけれども、指定地区の現地調査、これは各委員に、お忙しいところ大変恐縮でございますけれども、分担してお願いしたいと思っております。そこにございますけれども、10月20日、来週でございますけれども、来週早々から1月25日まで、分担していただきまして、地区と、参加委員、今のところ御予定いただいている委員の名前を書いてございますけれども、こういった格好でお願いしたいと思います。まだ一部、突然御都合が悪くなったとかいって変動が多少あるかと思います。また、八戸地区が、実際御都合が悪くなって、今ちょっと再調整中でございます。そういうことで、一部変更があるかもしれませんけれども、概ねこういったことでお願いしたいと思っております。
 実際行っていただくときに、お忙しいところ大変恐縮なのですけれども、調査結果のコメントをいただきたいと思っています。それが、2ページ、3ページにございますけれども、「視察を通じて感じた印象」、あるいは3ページ、「これまで30年以上にわたり、新産・工特制度に基づき指定地区に対して国が財政上の支援等を行ってきているが、本地区についてその効果及び意義はあったと思われるか」ということで、非常にふわっとした形になっておりますけれども、個々の地区の話、それから制度全体の話、こういったことについて、調査結果の簡単なレポートをお願いできればと思っております。
 それから資料8でございますけれども、当面のスケジュールでございます。
 きょうは第1回ということで、問題意識の共通化を図らせていただいているところでございますけれども、冒頭、私も、審議事項は3段階かなということを申し上げました。
 今回と第2回あたりは、第1段階の制度の評価、こういったことについて御議論いただければと思っております。
 第2回は一応12月7日を予定させていただきたいと思いますけれども、きょうの議論、あるいはこれからお願いします現地調査の議論、こういったものを踏まえまして、制度の評価、今日的意義を再度御議論いただければと思っております。この際、もし可能であれば、フリーディスカッション形式ということで、先生方、いろいろお願いしたばかりで恐縮ですけれども、簡単な先生方のコメントをできればお願いして、それを材料にフリーディスカッション形式でお願いできればと思っています。
 第3回は、来年、年明け、1月あるいは2月ごろに、新産・工特制度の今後の在り方ということでして、このときまでには、恐らく先ほどのアンケートの集計結果は整っていると思います。現地調査も大体終了しているのではないかと思いますので、そういったものを整理させていただきまして、それを議論の材料といたしまして、第2段階の着地点、廃止なのか継続なのかといったような着地点についてある程度コンセンサスをいただければと思っております。
 その、小委員会でいただいたコンセンサスを親委員会、特別委員会の方に上げまして、こちらでそういったことで御承認をいただければ、御承認いただいたコンセンサス、地方産業開発特別委員会としてのコンセンサスに基づきまして、第4回小委員会、これは来年春ごろお願いしたいと思っておりますが、ここで、第3段階の一部になりましょうか、着地点に具体的にどうやって着地するかという、着地する方策について御議論いただきたいと思っております。
 そういった第3段階の御議論を踏まえて、第5回小委員会、来年の5月ぐらいにお願いできないかと思っておりますが、ここで中間答申(案)という、小委員会としての案を御議論いただければと思っております。
 それを、その後、6月、初夏でございますが、特別委員会で、可能であればオーソライズしていただきまして、中間答申(案)に基づきまして、私ども、予算要求しないと実際に仕事が進みませんので、予算要求につなげていくといったようなことでお願いできればと思います。
 この後、来年の12月が最終ターゲットでございますので、ここまでに具体策の中でほかの議論をお願いして、最終答申をまとめていただくというようなことでお願いできればと思っております。
 そういったことで、中間答申までの当面のスケジュール、余り先々まで固めても、また議論の展開が変わってくると思いますので、中間答申をターゲットにして、一応当面のスケジュールを整理させていただきました。
 こんなことで、今後の御審議をお願いできればと思っています。以上です。
○成田委員長
 当小委員会の審議の進め方について御説明がございましたけれども、何か御意見ございませんでしょうか。
○  委員
 ちょっとお聞きしたいのですが、「21世紀の国土のグランドデザイン」というのが、政策部会ですか、御審議されていますね。あのグランドデザイン、私、ちょっと前回欠席して、議事録を読ませていただいただけなのですけれども、要するにあの中に、これからのいろいろな国土政策の展望が全部入っているわけですね。あれとこの委員会とどういうつながりになるのですか。やはりここでこれからのことを考える場合に、あれをこっちに置いておいて、それに向けてつなげていくようなことに……結果的になるのでしょうけれども、ひとつ我々何か考える場合に、あれをこちらに置いておいて、何かそれにすり合わせていくような結論が出るとうまくつながるとか、そういう関係になるのでしょうか。あれはあれで別に置いておいてということでいいのでしょうか。
○田巻地方産業振興室長
 グランドデザインは、当然この議論と私どもの関係すると思っています。グランドデザインは第五次の全国総合開発計画になるわけでございますけれども、もともとこの新産・工特制度というのは、昭和37年にできました第一次の全国総合開発計画、これで拠点開発方式という理念が打ち出されまして、その理念に基づいて、具体的な施策としてあらわれたのがこの新産・工特制度でございますので、全国総合開発計画とこの新産・工特制度は切っても切れない関係にあるわけでございます。
 そういった意味で、これまで、このグランドデザイン、5回ほど全国総合開発計画がございますけれども、その中でそれぞれ、この新産・工特制度についてその時点時点での評価がございます。グランドデザインの中では、そろそろ見直すべきではないかという評価があるわけでございますけれども、その際には、せっかくの産業集積のポテンシャルを活用するといったことが考えられるという、将来の方向性のヒントもございますけれども、そういった評価をしております。
 これは、今度新産・工特を念頭に置いたような形になるのですけれども、例えば多自然居住地域の整備とか、大都市のリノベーションとか、幾つか将来に向けての御提言をいただいております。
 ですから、この新産・工特制度についての議論での評価、着地点、それから、着地点への行き方という第3ステップの議論のときの、そういったグランドデザインに出る今後のあり方の、幾つかいただいている御提言も参考になるのかなという感じがしております。そういった意味では、過去の評価につきましても、今後のあり方につきましても、グランドデザインと大変密接に関係していると考えております。
○  委員
 アンケートをおやりになられて、一方で調査をやられて−多分ヒアリングをするのだと思うのですが−この辺、アンケート事項と現地調査における共通のヒアリング事項とか視点みたいなものは何か連関があるのでございましょうか。
○田巻地方産業振興室長
 ヒアリング、現地調査につきましては、先生方の調査に、私ども余り枠をはめてはいけないかと思っているのですが、そういった観点で、こういったふわっとした項目にさせていただいたのでございますけれども、もし我々の希望を言わせていただくのであれば、アンケート調査のとき、大きく二つ−そういう個別地区の話と、それから制度全体の話というふうに−そういった見地でアンケート調査を設計しておりますので、現地調査においても、そういった個別地区への−先ほど遊休地の問題なんかを先に調査せいというお話もございましたけれども、個別地区のそれぞれの整備状況のお話、それから、そういったものを踏まえて、制度全体の評価のお話、そういったものについて意見交換なりをしていただければと思っております。
○成田委員長
 現地調査はなるべく本音を聞いてほしいのですが、やはり本音はなかなかこういうアンケートで出てこないし、最近は一杯飲みながら本当の本音を言うということがなくなってきたので聞けないかもしれませんけれども、なるべく突っ込んだ本音を引き出すようにしていただきたいと思うのです。
 北の方は冬になると非常に不便がありますので、北の方はなるべく早い時期に片づけるようにしておりまして、真冬は余りそういう影響を受けないところに行こうかということです。私も大体のところは行っておりまして、2回行くことになる私もつき合おうと思っております。
 御異議がないようですので、事務局の案に基づいて今後の審議を進めていきたいと思いますが、フリーディスカッションのときに、先ほどメモを出してほしいという話だったのですけれど、それはもう少し後からの方がいいのではないですか。むしろどういう議論をしなければならないかというふうな、フリーディスカッションの項目みたいなものを場合によっては出してもらって、それを事務局の方で整理していただくというふうにしたらいいのではないでしょうか。いずれ皆さんにはメモをいただくことも必要でしょうけれども、場合によっては、欠席される方に限るとか、そういうやり方もありますし。
 それから次回のスケジュールですけれども、これは先ほどちょっと田巻室長の方からお話がございましたように、12月7日、これはちょっと忘年会のシーズンに若干かかったりして、皆さんお忙しいかもしれませんけれども、12月7日の午後2時から4時。その前に、既に若干の先生方には、手分けをして関係方面に行っていただくということになっているようでございますので、また認識を深めていただいて、そのときは、お聞きになった本音の話を出していただきたいと思います。
 
(5)その他
○成田委員長
 それでは、本日は、ちょっと時間が過ぎましたが、非常に御熱心に御議論をいただきまして、ありがとうございました。
○田巻地方産業振興室長
 ありがとうございました。