第3回国土審議会地方産業開発特別委員会小委員会議事録
 
 
日時:平成12年1月27日(木) 10:00〜12:00
場所:中央合同庁舎第5号館 共用第7会議室
 
 
1.開会
○ 田巻地方産業振興室長
 ただいまから第3回国土審議会地方産業開発特別委員会小委員会を開催したいと存じます。
 皆様方におかれましては、今朝はこの冬一番の冷え込みらしくございますけれども、お寒い中御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
 それでは、早速ではございますけれども、この後の議事進行を委員長にお願いしたいと存じます。成田委員長、よろしくお願いいたします。
○ 成田委員長
 それでは、これから議事に入りたいと思いますが、本日は大変寒いところ、しかもいろいろ御多忙なところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 早速ではございますけれども、本日予定しております議題は三つございます。一つは、アンケート調査の集計結果について。これは資料1−1というものかと思います。第2は、現地調査の結果についてということで、これは資料2−1に当たるものであります。第3は、新産・工特制度の今後のあり方について、資料3ですが、この三つと承知しております。
 前回の第2回の小委員会では、新産・工特制度の評価を中心にして、自由に御議論いただいたわけでありますが、この委員会としては、この議論を通じて、かなり共通認識に近いものが形成されてきたのではないかというふうに思われるところでございます。本日、アンケート調査の結果として、地区指定を受けております、道・県の御意見が紹介されることになっておりますし、皆様に現地調査をお願いしたわけですけれども、おかげさまですべて終了いたしました。その結果もきょう報告されるということになっております。
 そこで、前回の小委員会で形成されてまいりました共通認識と、皆様が現地をごらんになった斬新な印象というものを踏まえまして、これまでの議論を集大成して、これからの方向づけについて、本日の議論をちょうだいしたいというふうに考えているところでございます。
 
2.議  事
(1)新産・工特制度の評価等に関するアンケート調査の集計結果について
○ 成田委員長
 それではまず初めに、最初の議題でございます、アンケート調査の集計結果。資料1−1と資料1−2です。これにつきまして、事務局から御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○ 田巻地方産業振興室長
 それでは、事務局の方から、資料に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 アンケート調査の集計結果でございます。資料の1−1と資料の1−2、この二つがアンケート調査関連の資料でございます。資料の1−2がアンケート調査の都道府県からいただいたものを整理したものです。都道府県ごとに縦切りになっていたものを、横切りにしたというものでございます。オリジナルの回答全体でございます。これは大変大部でございますので、私どもの方で集計する、あるいは一部要約するというような格好でまとめた概要版が資料の1−1でございます。本日は、資料の1−1に沿って御説明させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 まず、1ページをめくっていただきますと、「新産・工特制度の評価について」ということで、問1−1.「新産・工特制度は、貴道県の指定地区における工場立地にどれほど効果があったと考えますか」とありますが、「非常に効果があった」、あるいは「まあまあ効果があった」ということで、23道県すべてが効果があったという答えを出しています。
 申し遅れましたが、このアンケートは指定地区関連の23道県に実施しておりまして、23道県全部から回答をちょうだいしております。また、一部の問いに関しましては空欄というお答えがございますので、問いによってはこの数字が23にならないことがございます。21とか22ということがございます。空欄でお答えいただいたということでございますので、その旨あらかじめお断りしておきます。
 本題に戻りまして、23道県すべてが何らかの形で効果があったというお答えをちょうだいしております。このアンケートは、こういった数字だけではなくて、客観的根拠等々あわせて示していただきたいという形式になっております。客観的根拠の例を御紹介いたしますと、○○道県の場合は、工場立地、工場地の売却率、あるいは工場用地の立地率、実際に工場が建った比率ですか、こういったものが9割を超えているということで、「まあまあ効果があった」という回答をいただいております。
 また、○○道県も「まあまあ効果があった」という回答をいただいていますが、工場立地の絶対数でございますが、昭和40年から平成11年に220件という3けたの数字があったということで、まあまあ効果があったという御回答をちょうだいしております。
 次に、問1−2でございます。産業基盤整備はどれほど効果があったかという問いでございますが、これも12道県が「非常に効果があった」、11道県が「まあまあ効果があった」ということで、23道県すべて効果があったというお答えをちょうだいしております。
 ○○道県の客観的根拠の例でございますけれども、「非常に効果があった」というお答えでございました。計画期間中に、全部で約6,000億円の生産関連投資があって、港湾・道路というものを中心に整備が進んできたということで、効果があったというお答えをちょうだいしております。また、@看板効果とありますが、特に制度創設当初においては、新産地区ということを優先的に事業採択されるという効果があったという答えをちょうだいしております。
 ○○道県の例でございますけれども、「まあまあ効果があった」というお答えをいただいておりますけれども、この工特地区指定前には、○○地区には工業団地は一つもなかったわけでございますが、昭和54年以降になりますと、○○道県全体の4分の1以上がこの地区で占めるということで、非常に造成が進んだということで、「まあまあ効果があった」という回答をちょうだいしております。
 3ページの問1−3でございますが、次に生活基盤。この制度は生産基盤と生活基盤の両方の推進を目的としているわけでございますが、生産基盤の方の効果でございます。7県が「非常に効果があった」、15県が「まあまあ効果があった」、1県が「余り効果がなかった」ということで、生産基盤に関しては、やや効果に対する評価が低いのかなという感じがしております。
 例といたしまして、○○道県は非常に効果があったわけでありますが、下水道、あるいは都市公園というものを例に、効果があったというお答えをいただきました。
 次のページにいきまして、○○道県でございますけれども、下水道を例にとりまして、地区内と道県全体を比べますと、例えば平成9年度、道県全体平均が78%の普及率に対しまして、地区は95%という数字をもって、効果があったというお答えをちょうだいしております。ただ○○道県は、公営住宅、あるいは都市公園というものでいきますと、この地区内は道県平均を下回っているということで、若干違うかなという答えをちょうだいしております。
 ○○道県の例でございますが、○○道県は唯一「余り効果がなかった」という答えをいただいた道県でございます。整備が低水準にあるというお答えが2つめのポツであります。三つ目のポツは、これは○○道県の特例かと思いますが、実は○○道県の○○地区は、新産・工特のほかに、産炭法の地区になっております。産炭のほうが新産・工特よりも市町村から見ますと有利な制度になっております。そういった意味で、産炭法の適用を優先的に受けた例が多いために、新産・工特よりも産炭法の効果であるということから、「余り効果がなかった」というお答えをちょうだいしております。
 問1−4ですけれども、「指定地区から周辺地域への経済波及効果はどれほどあったと考えますか」ということであります。もともと新産・工特とは拠点開発方式という理念に基づきまして、中心を経て、それが周辺にじわっと効果が広がることをねらったわけでございますが、それに対する評価を伺ったわけでございます。「非常に効果があった」が3県、「まあまあ効果があった」が13、「余り効果がなかった」が1、「どちらともいえない」が6ということです。ややばらつきが見られるところですが、それなりには効果があったということかなと思っております。
 ○○道県の例でございますが、「非常に効果があった」という御意見をちょうだいしております。○○地区と周辺地区の工業出荷額の伸び率で議論をいただいております。○○地区の方を見ますと、昭和35年に220億円だったのが、第1次、第2次に急激に立ち上がって、12倍、22倍となって、その後横ばいになっている。それに対しまして、周辺地区は、最初の第1次、第2次のときは、6倍、10倍と立ち上がりはにぶかったのですが、その後最近、第5次、第6次が35倍、42倍と急速に立ち上がってきたということから、波及効果は非常に大きいという回答をちょうだいしております。
 6ページにまいりまして、「余り効果がなかった」ところの例といたしまして、○○道県でございますけれども、工業集積度、製造品出荷額、これは対全県シェアではなくて全国シェアでございます。製造業従業員数、事業所数、総人口、このように@からDまでの数字がいずれも、昭和38年に比べまして、平成7年には下がっているということから、「余り効果がなかった」というお答えをちょうだいしております。先ほどもちょっと言いましたが、○○地区は産炭地でもともとございましたので、エネルギー革命の結果石炭が、あるいは化学産業が衰退してきたということの影響かと分析しております。
 ○○道県には「どちらともいえない」という回答をいただいておりますけれども、周辺地区が○○、○○、あるいは○○、○○ということから、工特とは別の性格を持った地域ということで余り波及効果が見られなかったというお答えをちょうだいいたしました。
 7ページにまいりまして、問いの1−5、「指定地区において、関係市町村の一体的・広域的な活動が行われていますか」という問いであります。成田委員長からもときどきお話があった新産・工特制度、周辺市町村で一体的な取り組みを目指したのが1つの目的です。典型的な例が、新産地区指定と前後しまして、市町村合併を行った○○道県の○○市の例でございます。こういったものも一つ持ってきまして、それを伺ったわけでございます。18道県におきまして一体的な活動が行われている、5道県では行われていないという御回答をちょうだいしております。
 ○○道県の例で見ますと、○○の推進というようなことで、周辺市町村が一体になったということ。地方拠点都市、テクノポリス、これはほかの制度でございますので、果たして一体的な取り組みと言っていいのかわかりませんけれども、そういった面でも一体的な取り組みだという答えを一応ちょうだいしております。
 ○○道県の場合には、昭和39年度の指定以来、○市○町で「○○協議会」というものを設立し、共通課題に一体となって取り組んだという活動を御紹介いただいております。
 8ページの問1−6でございますが、これからしばらく新産・工特制度の支援措置の効果、政策ツールの評価をいただいております。まず、@で「新産等債の発行・利子補給」では、16道県が「非常に効果があった」、7道県が「まあまあ効果があった」ということで、一応全道県からそれなりに効果があったという評価をいただいております。
 ○○道県の場合には、「非常に効果があった」ということで、8割以上が港湾整備であるということで評価をいただいております。
 9ページの○○道県の「まあまあ効果があった」の例でございますけれども、新産等債による起債充当率の引き上げ等が、財政上厳しい○○道県にとっては、非常に効果があったということでございます。「ただし」ということで、最近は低金利で利子補給については、かつてほどのメリットはないという率直な御意見もちょうだいしております。これにつきましては、ほかの道県もほぼ同様でございます。
 10ページの二つ目の支援措置、国庫補助率のかさ上げ、市町村に対するものでございますが、16道県で「非常に効果があった」、7道県で「まあまあ効果があった」、全道県で効果があったというお答えをちょうだいしております。
 ○○道県は「非常に効果があった」ということで、かさ上げは積極的に事業を取り組むところに手厚い制度である。やる気のあるところを支援する制度で効果があったというお答えです。
 11ページの○○道県は「まあまあ効果があった」というお答えをちょうだいしておりますが、先ほどと同様ですが、財政基盤の弱い市町村にとっても、インフラ整備を進める上で非常に重要だったというお答えをちょうだいしております。
 12ページ、3番目の政策ツールであります国税の関係で、「事業用資産の買換特例」でございます。これにつきましては、8道県が「まあまあ効果があった」、2道県が「余り効果がなかった」、10道県が「どちらともいえない」ということは、先ほどの新産等債あるいは国庫のかさ上げに比べますと、ちょっと評価が低いのかなという感じがしています。
 客観的根拠の例といたしましては、○○道県が50件程度あったということで、「まあまあ効果があった」と。○○道県、○○道県は実績がなかったので「余り効果がなかった」、「どちらともいえない」ということでございます。
 13ページは、4番目の政策ツールです。今度は地方税でございますが、特別土地保有税の非課税制度でございます。「非常に効果があった」が1、「まあまあ効果があった」が14、「余り効果がなかった」が3、「どちらともいえない」が5と、これもやや客観的根拠の例にありますけれども、余り使われていないので、そういう意味で若干評価も下がるということでございます。
 14ページにまいりまして、5番目の政策ツール。日本政策投資銀行等による低利融資ということです。旧開銀、中小企業金融公庫による特別な融資枠を設けていただいております。その評価でございますが、「非常に効果があった」が1、「まあまあ効果があった」が6、「余り効果がなかった」が2、「全く効果がなかった」が1、「どちらともいえない」が10ということで、評価の度合いはやや低いのかなという感じがいたします。
 客観的根拠の例にございますけれども、○○道県ではほかの有利な融資制度と競合して使われなくなったという答えでございます。○○道県でも、最近ほかの融資制度が充実してきたことによって、ほかの融資同士の競合というものも一つの大きな要因かというふうに分析されております。
 15ページにまいりまして、6番目の政策ツール、「地方税の不均一課税に伴う減収補填措置」でございます。これにつきましては、「非常に効果があった」が8、「まあまあ効果があった」が10、「余り効果がなかった」が3、「全く効果がなかった」が1、「どちらともいえない」が1ということで、かなりばらついた評価をいただいております。これも使われたところは「効果があった」というお答えをいただいておりますし、使われなかったところは「効果がなかった」というお答えになったということでございます。
 真ん中の○○道県でございますが、工場立地がほぼ終わったことや、景気低迷で設備投資を控えていることから、実績がないというような分析をいただいております。また、小規模な町村においては、適用ハードルが高く効果がないという分析もいただいております。 16ページにまいりまして、7番目の政策ツール。「大規模港湾工事の市町村負担免除」でございます。「非常に効果があった」が14、「まあまあ効果があった」が2、「余り効果がなかった」が2、「どちらともいえない」が4ということです。ここにきまして、この政策に対する評価がちょっと高まっているという感じがしています。
 客観的根拠の例ですけれども、○○道県、○○道県、共に「非常に効果があった」という回答をちょうだいしております。次のページの○○道県は、「余り効果がなかった」という回答をちょうだいしておりますが、これは立場の違いかなという感じがしております。最初の○○道県・○○道県は、県がある意味では市町村の立場を代理した、県の立場ではなくて市町村の立場を代理した形でお答えをちょうだいしているという感じがしております。港湾工事、以前に制度の紹介でも申し上げましたが、単年度で50億円、100億円いくような金額の大きな工事でございます。県によって、ラフに言うと1割近く、5億、10億を市町村が本来負担しなければいけない、港湾法では負担すべきとなっているわけでございますが、これを県が肩がわりするという制度でございます。そういった制度でございますので、財政規模の小さい市町村にとっては、非常に大きな効果があったという評価を○○道県と○○道県ではいただいております。
 これに対しまして、17ページの○○道県は、純粋に道県の立場のお答えでございます。市町村は別の人という立場でお答えいただいておりまして、@県の財政負担が増加する、A○○港は、地元の強い要望を受け建設されたもの、B地元においては、かなりの効果がある、C○○市は、財政事情豊かな市である。そういうことで、道県から見ますと、○○港の建設に要する費用の一部を地元が負担することは当然であり、道県から見ると余り効果がなかったと考えるという答えをちょうだいしております。ですから、これは立場の違いかなという感じがしております。
 18ページにまいりまして、問1−7、今までの七つの政策ツールにつきまして、仮に重要度をつけるとどうなりますかということです。各道県別に、1位から7位まで重要度をつけていただきました。一部の道県は、重要度をつけられないというところもございました。おおむね重要度をつけていただきまして、それを仮に事務局の方で、1位をつけていただいたら7点、2位を6点、3位を5点等々、仮置きしまして集計した結果が、その枠の中でございます。各道県相当ばらつきがあったのですが、一応そういう形で集計を1つの試算として求めたものでございます。
 23道県全体に達しますと、一番重要度が高かったのが国庫補助率のかさ上げ、2番目に重要度が高かったのが新産等債、3番目が大規模港湾工事の市町村負担免除。ちょっと点数が開いたのですが、4位以下はごらんのとおりでございます。1位、2位、3位、この辺が、ある程度重要度が高かったということでございます。これは今までの問1−6の@からFの集計でも同じようなことがうかがえるかと思います。
 理由の例といたしまして、○○道県の場合は、1、2、3、4と数字がついておりますが、これは○○道県のプライオリティーの順番でございます。新産等債が一番ということで、港湾関係に8割で大変役に立ったといっております。2番目が、かさ上げが下水道に使われて大変役に立ったということでございます。3番目が、また港湾関係でありますが、市町村負担免除が大変役に立ったということです。4番目が、不均一課税に伴う減収補填措置が役に立ったということでございます。○○道県は、プライオリティーをつけられないということで、全くプライオリティーなしの回答でございました。
 19ページにまいりまして、問1−8でございます。審議会の検討のきっかけにもある意味ではなったのでございますが、第2地方分権推進計画で、廃止を含めた抜本的見直しをすることという御進言をちょうだいしたわけでございますが、仮に廃止された場合に問題がある事業があるかないかという問いでございます。22道県が、「問題となる事業がある」。1道県は○○道県でございますが、「問題となる事業がない」というお答えをちょうだいしております。
 問題となる事業とは、道県によってさまざまでございます。強いてまとめますと、○○道県、○○道県の例がありますけれども、港湾、あるいは下水道を中心に、「問題となる事業がある」というお答えをちょうだいしております。○○道県が唯一「問題となる事業はない」というお答えでございました。「県としては、問題となる事業は特にないと判断している」という明快なお答えです。これは、一部市町村では、企業の心理面で影響が出るのではないかというお答えがあるということでございます。
 20ページにまいりまして、大きな二つ目の設問、「今後の地方産業振興策のあり方について」と、今後のことについてお尋ねしております。問2−1が、「新産・工特制度のような、主に重厚長大型産業の誘致・育成を念頭に置いた制度は、現在でも有効だと考えますか」という問いかけでございます。「非常に有効である」が7、「まあまあ有効である」が11、「余り有効ではない」が3、「どちらともいえない」が2ということでございます。ある程度有効性を御評価いただいているのかなと思いますが、一部では「やはりこの時代に有効ではない」という答えをちょうだいしております。
 理由の例といたしましては、○○道県が「非常に有効である」、○○道県が「まあまあ有効である」というお答えをいただいておりますが、○○道県の場合は、拠点開発方式で大企業が来て、その大企業を中心に周辺の中小企業に波及効果があるということで、そういったパターンを想定しておりまして、今後も有効であるということです。
 ○○道県の場合には、当初の目的とは違ってきているのですが、自動車産業を中心に、現在この制度を活用していただきまして、ちょっと当初の目的とは違った産業なのですが、いずれにしても使っていますよということで、有効であるというお答えでございます。
 ○○道県は「余り有効ではない」というお答えであります。「臨海部への基礎素材型産業の集積による拠点開発といった当初の制度理念が、時代とは適応しなくなりつつあるため」という明快なお答えでございます。
 21ページにまいりまして、問2−2でございます。モデル型地域振興計画ということで、国がある一定のモデルを示して、それについて地方に実際それを受けてやっていただくというやり方が、地方自治体の自主性・独自性を発揮する上で問題があるかどうかという問いでございます。「やや問題がある」が1、「余り問題はない」が16、「全く問題はない」が3、「どちらともいえない」が3という答えです。余り問題は、地方の立場では感じていないということでございます。
 ○○道県は、唯一例外的に「やや問題がある」という答えをちょうだいしています。理由の例でございますけれども、「国の方針により制約が生じる」。あるいは、「長期的な公共投資を伴う計画は、昨今のような社会経済環境の急激な変化への対応が困難な場合もあるので、やや問題がある」という答えでございます。
 問題はないというところは大体一緒でございます。○○道県の例でございますけれども、地方財政の制約から、県独自ではおのずと限界があるので、国の支援が必要であるというようなお答えでありました。高速交通体系については、とても道県ではできないので、国の重点的な整備が必要だという答えをちょうだいしております。
 22ページにまいりまいして、問2−3、「貴道県において、今後重点的に振興すべき産業としてどのような産業を考えていますか」。問2−4は、「問2−3でお答えいただいた産業を振興する上で、重要だと考える施策は何ですか」という二つの問いでございます。ほとんど一体の問いですので、両方あわせて、ここに回答例を掲げております。特に、問2−4の方は、アンケートの回答だけでは詳細が不明なところがございます。柱だけをお答えいただいております。
 ○○道県の例でございますけれども、○○道県は「○○指針」というものを策定して、1番から4番まで、「地域の資源」、「新たな産業」、「福祉日本一」、「循環型の社会システムをつくる」ということをキーワードに、そこにあるような産業分野を、今後重点的に取り組むということをうたっていらっしゃるようでございます。具体的な施策としては、1番目、産業コーディネート機能を強化する。2番目、ネットワーク型の研究体勢をつくる。3番目、研究開発の拠点をつくる。4番目、創造的な研究者・技術者の育成・確保。次のページで5番目、創意・工夫を結集する環境を整える、というようなことです。3番目の研究開発拠点がハードかなという感じがしますが、1番、2番、あるいは4番、5番は、こういったものは大体ソフト的な施策かなという感じがいたします。詳細にはわからないので、余り断定はできないのですが、私個人としては読み取れたところでございます。また、交通インフラ面では、新幹線、高速道路、港湾とあわせて必要だという答えをいただいております。
 ○○道県、○○道県でございますけれども、○○道県は「○○ビジョン」、○○道県は「○○長期ビジョン」というものを、○○道県は住宅、生活文化、環境・エネルギー、新製造、情報通信、国際・流通・物流、医療・福祉といったような業種を挙げていただいております。○○道県は、○○長期ビジョンにおきまして、3段目の段落に、「特に本道県には、医用工学、バイオ関連といったようなものを活用していきたい」と。また、その次の段落では、○○工業地帯を中心とした産業や技術の集積を生かしたものをやっていきたいというような答えをちょうだいしております。
 時間の関係で、○○道県、○○道県は省略いたしますけれども、いずれにいたしましても、どの道県におきましても、新産・工特制度を念頭に置いているような、重厚長大型産業ははっきりと出てきておりません。これは一つの特徴かと思います。
 25ページにまいりまして、「3.その他」ということで、今後の地方産業振興策について御自由にお書きくださいということで、お答えをちょうだいしております。回答はさまざまでございますが、○○道県の例でございますが、○○道県は○○地域が指定地区に入っております。これが皆さんにも既に御案内かと思いますが、新たに衣がえをして新たに取り組もうということでございます。そういった新たな取り組みを始めたところでございますので、今後インフラ整備、税制上の優遇措置などが必要であるというお答えでございます。○○地域の問題ですが、確かに新産・工特地区に入っておりますけれども、新産・工特は1全総、○○地域は2全総が始まったというようなことはありますが、ちょっと新産・工特は性格が別なのかなという感じが、私ども事務局としてはしないでもございません。いずれにいたしましても、○○地域というところが今後中心に、この制度が必要だというお答えでございます。
 ○○道県でございますけれども、ようやく高速交通体系が整備されてこらからですと。ぜひ、これからよろしくお願いいたしますということでございます。第2段落の後半にもありますけれども、仮に制度が廃止されるとすれば、長引く景気低迷の中、○○道県及び○○地区内の市町村は厳しい財政状況にあり、財政負担に伴う事業の進捗や、地区内産業・経済への影響は非常に大きいものがあると考えられるという御意見をいただきました。第3段落の後半でありますが、国土審議会の審議に際しては、今後の地方産業振興策について、新制度の創設も含めた新しい枠組みへの移行の必要性についても議論されるべきであるということを、ちょうだいしております。
 時間の関係もございますので、あとの道県は省略させていただきます。
 以上が、今回23道県からいただいたアンケートの概要でございます。とりあえずアンケート調査の集計結果については、このようなことで御説明を終わらせていただきます。○ 成田委員長
 どうもありがとうございました。
 
(2)新産・工特地区現地調査の結果について
○ 成田委員長
 続きまして、第2の議題であります現地調査の結果についてでございます。これについては、事務局から報告してもらいますけれども、その前に私どもから一言御礼を申し上げたいと存じます。
 委員の皆様には、年末の非常に御多忙なところ、ところによっては非常に寒いところ、精力的に現地調査を実施していただきまして、本当にありがとうございました。恐らく、ここで議論しているのと、現場で御覧になるのとでは相当印象が違うのではないかと思いますし、今まで行政側の意見を聞いていましたけれども、企業側の受けとめ方というのは、ここに書いてあるのものとはちょっと違うのではないかという印象も受け取れます。
 この場にはいらっしゃいませんけれども、我々を受け入れてくださいました、北海道及び関係県の皆様、あるいは立地されている企業の皆様をはじめとする関係者には大変お世話になったところでございます。
 おかげさまで、全国の21地区全部の調査を一応終えることができました。恐らく、先ほど申しましたように、大変斬新で有意義な知見、あるいは見聞を得ることができたというふうに思っております。厚く御礼申し上げる次第でございます。
 それでは、現地調査の結果について、事務局から御報告をお願いしたいと思います。
○ 田巻地方産業振興室長
 それでは続きまして、資料の2−1、資料の2−2、この2つは現地調査の結果を取りまとめたものでございます。
 資料の2−1は行程表でございます。昨年の10月20日から今週の火曜日の1月25日まで3カ月間にわたりまして、全部で14グループに分かれて、大変精力的に現地調査を実施していただいたわけでございます。おかげさまをもちまして、無事事故もなく現地調査を終了することができました。私の方から改めて御礼を申し上げたいと思います。
 一応この調査は、この特別委員会のほとんど全員の委員の方々に御参画いただきまして、お一方平均2カ所程度ですか、現地の方に参画していただきました。訪問先といたしましては、この行程にもございますけれども、港湾を中心とした産業拠点の開発というのが制度の趣旨でございますので、港湾、それからその周辺の産業活動の実態というものを中心に現地を回られた。実際、この制度を地元で進めていただいている道県との意見交換という形で、現地調査を進めていただいたわけでございます。
 この結果でございますけれども、資料2−2にまとめたものがございます。各委員からは、枠をはめるといけないものですから、自由に御議論いただくために、私どもは「視察を通じて感じた印象」、あるいは「制度の効果および意義」ということについて、自由に記述していただく方式でコメントをちょうだいしたわけでございます。そういったコメントにつきまして、私どもが事務局限りで、前回第2回の小委員会でお示ししました論点に沿いまして、各委員からちょうだいしました報告の中の事実関係のところは捨象しまして、御意見の反映されているようなところを中心に、事務局限りの独断と偏見で整理したものが、この資料の2−2でございます。そういった意味で、もし私の趣旨とは違うというような不都合がございましたら、後ほど御指摘いただければというふうに思っております。前回の論点に沿ってまとめてあります。きょうの資料でいきますと、資料の4が総括表になっておりまして、ここに論点の項目がありますので、これを横目で見ながらごらんいただくとわかりやすいかもしれません。
 まず1番目に、制度の客観的評価でございます。(1)が制度全体としての評価ということでございまして、@からDまで、5つの御意見をちょうだいしております。
 @は「一定の工業集積は進んだが、集積度は全国平均を大きく下回るなど、格差の解消は進まず、むしろ拡大している」というような評価をいただいております。
 Aは、「地元の方では支援のメリットは大きく、今後も制度の維持が必要と主張している。ただ、その内容を見ると、コンテナ輸送の拠点港としての港湾、あるいは下水道及び公園といった基盤整備は、必ずしも新産・工特制度の趣旨に合致していないのではないか」という評価をいただいております。
 Bでございますけれども、「新産・工特指定の結果、工業地帯としての一定の成果を上げた」と。「ただ、産業にかかわるインフラ整備自身が十分ではないという状況が特徴的である」という評価をいただいております。
 Cでございますけれども、「指定後10年程度で中核部分である臨港地帯が整備され、立地企業が早期に稼動した点が評価される」と、ここはかなり高い評価をいただいております。
 Dでございますけれども、「工場立地や工業出荷額の増加という面ではかなりの効果があった」というようなことで、評価をいただいております。ただ、その次のページにございますけれども、「未利用工場地が多く残され、「計画はいまだ道半ば」というような状態である」ということです。
 (2)が、インフラ整備の進捗の観点です。ここは、港湾、あるいは高速道路というものを中心にコメントをちょうだいしております。
 @、A、それからCが港湾に関するコメントでございます。港湾を中心に成果があったものの、港湾工事、非常に大規模であり、長期にわたるものであることから、新産・工特制度の支援が今後も必要だということにはうなずけるものがあるという、港湾工事の特殊性に関して、一定の理解が示されております。
 Bでは、工業用水路、工業水道でございまして、「工業用水の基盤整備には大きな役割を果たした」ということで、港湾以外のことについてもコメントをされています。
 Dは、高速道路でありまして、「高速道路ネットワークの整備から取り残されたことによる影響が大きい」と。「新産・工特制度よりも、高速道路整備の方が関心が強いというふうに感じられた」ということを言われております。
 (3)の生産・生活関連投資割合の変化については、今のところコメントをちょうだいしておりません。
 3ページにまいりまして、各制度の実質的有効性でございます。お二方からコメントをちょうだいしております。@の後半でございますが、「しかし、そのような意義は石油ショック前までであったと考える。最近においては、制度が余り機能していないという印象を持った。また、新産・工特というブランド名が今も生きているとの印象もなかった」というコメントをちょうだいしております。
 Aでございますけれども、「利子補給、補助率のかさ上げといったものについては、特段の利用度も乏しく、制度廃止の影響は少ないものとしている」といったコメントをちょうだいしております。
 2.の「社会経済環境」の変化でございます。
 (1)の三大都市圏への人口集中傾向の緩和については、コメントがございませんでした。
 (2)経済の成熟化とグローバル化の進展についても、コメントがございませんでした。 (3)の産業構造の変化に伴う指定地区の位置づけの変化でございます。@からBまで3つほどコメントをちょうだいしています。
 @でございますけれども、「国家的プロジェクトの推進のために、新産・工特地区内の関係市町における下水道等生活基盤の整備がこれから必要という意見もあるが、さほど大きな基盤整備に対する需要が見込まれるとは考えにくい」というコメントをちょうだいしております。
 Aでございますけれども、「新産・工特地区として整備蓄積された、人的、技術的資源は、指定地区の北に隣接する地域における工業開発の展開においても、不可欠のものとなっている」やや前向きの評価をちょうだいしております。
 Bでございますけれども、前半で、港湾整備で大変役に立ったというところは御紹介されたわけでございますが、後半の方で、「従来の新産・工特地区指定と港湾との強い関連については、港湾を利用した素材型の重工業を念頭においたための措置であったことにかんがみると、この地区の今後の港湾整備は、別の観点からの要求であるということができ、制度の目的とは違うのではないでしょうか」というコメントをちょうだいしております。 (4)でございますが、「製造業の雇用創出力の低下」については、特段にコメントはございませんでした。
 (5)の「産業構造の変化と地方圏の就業構造の変化」でございますが、「基礎的なインフラが最近になってようやく整ってきている。そのポテンシャルの上に、さらなる産業活動の発展が期待されているが、臨海型産業の立地促進をまだ重視したい」。なぜかというと、括弧のところですが、「加工組立型産業は、市場から遠いことから競争力の向上に限界がある」というコメントをちょうだいしております。ですから、地区の特性によっては、まだまだ臨海型でいくという理解が示されているところでございます。
 3.「従来の地方産業振興策(拠点開発方式を中心として)をめぐる環境の変化」ということでございます。
 (1)地方自治体の国への依存でございますけれども、「新産・工特制度は、地方自治体の国への依存を強め、地方の新の自立・自律を阻害することになると考える」というコメントをちょうだいしております。
 (2)は、「産業政策の手法の変化」でございます。「企業誘致・産業立地の促進を目的とする、従来型の地域産業政策はやめて、地域が主体となって、地域の中の産業・企業の結びつきを強めるというクラスター育成の発想を地域産業政策の中心とすべきだ」と。「そうであるとすれば、生産・生活基盤を整備し、拠点開発を意図する新産・工特制度は、今後大きな役割を発揮する機会は減少する」と考えるというコメントをちょうだいしております。
 (3)の「不公平論」でございますが、下水道整備については、全国的に見て、新産地区だけ、あるいは県内だけを見ても新産地区・工特地区だけをやる合理的理由は見出せないという御意見、これはかなり多くの委員からちょうだいしております。Aは港湾でございますけれども、港湾についても、新産・工特地区であるがゆえに、港湾工事をやるというのはいかがなものかという御意見をちょうだいしております。
 (4)の「国土の均衡ある発展の実現手法」については、特段コメントがございませんでした。
 4.の「その他」でございますけれども、@は1回目の特別委員会で御紹介しました、昨年3月の研究会の報告書でございますけれども、ここに「今後の地方産業振興策については、基本的に地方公共団体の主体的な取り組みにゆだねる方向とするべきである」と書いてあるわけでございます。理論的にはそのとおりではありますが、財政的に国の支援を欠くことになれば、実効を期しがたいという意見が示されております。
 Aでございますけれども、港湾として古くから開発された地区の再開発が進み、最近は観光客を集めてにぎわいの場に変わるといった、新しい港湾の発展形が示されているといったものが、1つの方向性ではないかという御意見が寄せられております。
 以上が、新産・工特地区の現地調査の結果でございます。冒頭申し上げましたが、資料の2−2は事務局限りで整理したものでございますので、もし思いと違うというものがあれば、またお寄せいただければというふうに思っております。以上でございます。
○ 成田委員長
 シナリオでは、ここで御質問をいただくことになっておりますけれども、これからどうするかという問題に結びついてくると思うので、資料3の方をまず説明いただいて、そこで全部合わせて議論をした方がいいのではないかと思います。
 
(3)新産・工特制度の今後のあり方について
○ 田巻地方産業振興室長
 それでは引き続きまして、資料3、4、5を使いまして、新産・工特制度の今後のあり方についてという資料を御説明させていただきます。
 資料の3は、これまで2回の小委員会の議論を整理させていただいたものでございます。整理の仕方といたしましては、先ほどの資料2−2と同様に、前回お示ししました論点に沿って整理したものでございます。資料4は、総括表ということで、都道府県のアンケート調査、それから現地調査においでいただいた各委員のコメント、これから御紹介します資料3のこれまで過去2回の小委員会の結果、これを論点の軸に沿って整理したものでございます。「新産・工特制度の評価、及び今日的意義に関する意見の総括表」ということで準備させていただいております。資料の5は、前回第2回目の小委員会でお話したものの再掲でございますけれども、審議のフローチャートということですので、必要があればご覧いただければということでございます。
 まず、資料3のこれまでの小委員会における議論を整理させていただいたものでございます。この場での議論でございますので、改めて私が申し上げるまでもありませんが、一応こういった字句に当てはめてみたというようなことで、簡単に御紹介したいと思います。 1番が制度の客観的評価でございます。(1)「制度全体の評価」につきましては、@、Aが制度の評価基準でございます。地域間格差というのはどういった基準で評価するか議論をする必要があるのではないでしょうかということでございます。B、Cが同様な御意見かなという感じがしておりますけれども、この制度の目標といいますか、そういったものが過去においては一定の効果、意義があったけれども、現在においてはその意義が少ないのではないかという御意見があったかと思います。D、Eは、1つ次元の高い御議論であったかなという感じがしております。この新産・工特制度は、国土の均衡ある発展というものを目的にしている制度でございますけれども、そもそも本目的である国土の均衡ある発展というものが時代にそぐわないのではないかというような御議論もあったところでございます。
 2ページにまいりまして、「インフラ整備の進捗の観点」でございます。インフラ整備、港湾を中心に御議論がございました。@からCが港湾整備の有効性についての御議論かなという感じがしております。Bは有効かどうかやや疑問という御意見もありましたが、まあまあ@とAは有効という御議論であったかと思います。また、Cはそれにつけ加えまして、工業用水の御議論がございました。工業用水は当初に比べると、ちょっと有効性が薄れてきたのではないかという御意見がございました。Dは下水道でございます。後ほどの不公平論にも関係するかなという感じがしますけれども、下水道はかさ上げ措置がなくても進む事業ではないかという意見でございます。
 (3)は、「生産・生活関連投資割合の変化」でございます。これも、下水道を中心に御議論があったのかなと思っております。下水道が今後も進むのは、ある意味では当たり前なのではなかろうかという御意見。あるいは、ちょっと下水道整備を中心に進めるのは、当初の方向とはやや外れているという感じがするという御意見がございました。
 (4)の「制度の実質的有効性」に関しては、御議論が余りなかったように理解しております。
 3ページにまいりまして、「社会経済環境の変化」でございます。
 (1)の「三大都市圏への人口集中傾向の緩和」につきましては、現在の人口のふえ方が減ってきており、今後その傾向が加速することが見込まれている。そういった意味では、制度の当初は人口集中傾向の緩和というものとは、ちょっと状況が変わっているのではないかという御意見がございました。
 (2)「経済の成熟化とグローバル化の進展」については、御意見がなかったように理解しております。
 (3)の「産業構造の変化に伴う指定地区の位置づけの変化」でございますけれども、3つの御意見はいずれも著しく変化したのかなというふうに思います。@は、新産・工特というレッテルは、重工業地帯というレッテルで、今の時代かえって足かせになって、かえって阻害しているのではないかというような御意見がございました。AとBは、役割を終えたのではないかという御意見がございました。
 (4)は、「製造業の雇用創出力の低下」でございます。@、A、同じかと思いますが、製造業の雇用創出力は低下しているのではないかという御意見がございました。
 (5)は、「産業構造の変化と地方圏の就業構造の変化」でございまして、この制度を工業都市とそれ以外ということでいただいておりますが、北九州と福岡というものを例に、4ページの最後の1行でございますが、「工業都市をつくるというのを国家の政策としてやる時代ではない」というような御意見をちょうだいしております。
 3.といたしまして、「従来の地方産業振興策(拠点開発方式を中心として)をめぐる環境の変化」でございます。
 (1)が、「地方自治体の国への依存」です。これに関しまして、肯定的な御意見なのかなという感じがしておりますが、3行目から4行目ですか、「通常の使途が限定されている補助金よりは自主性を阻害していない」。最後の1行ですが、「したがって、通常の補助金のような形での難点はない」という御意見をちょうだいしております。
 (2)でございますが、「産業政策の手法の変化」でございます。@は、新産・工特制度の手法は、今はちょっと成り立ちにくいのではないかという御意見をちょうだいしております。Aでは、頑張ったところが、これからはうまくいくようなシステムが必要ではないかという御意見をちょうだいしております。その1例になるのかと思いますが、B、Cでは港を例にとりまして、みずからの努力、ポートセーリングが必要である。あるいは、その際には、マーケット・オリエンテットで頑張らなければならないのではないかという御意見をちょうだいしております。
 5ページにまいりまして、「不公平論」でございます。先ほどの現地調査にもございましたけれども、下水道に関して不公平感があるという御意見をちょうだいしているところでございます。
 (4)「国土の均衡ある発展の実現手法」でございますけれども、新産・工特制度が国土の均衡ある発展の実現のための手法として有効かどうかというのは疑問だという御意見をいただいております。
以上が、第1回、第2回の小委員会の議論を整理させていただいたものでございます。
 資料の4が、繰り返しになりますけれども、アンケート調査、現地調査、それから過去2回における議論、これの全体をまとめたものでございます。見やすくするために字体を変えておりまして、明朝体のところが現地調査と小委員会での御意見で、いわばこの特別委員会の委員の意見でございます。ゴシック体のところが、道県アンケートの要約でありまして、いわば自治体の意見でございます。内容につきましては、これまで御紹介したところをそのまま切り貼りしておりますので、余り詳しくは御紹介する必要はないかと思いますが、全体の若干印象めいた話になるかもしれませんが、要約的な形で御紹介しておきます。
 まず、制度の客観的評価で、(1)が「制度全体としての評価」でございます。現地調査のところでもございましたけれども、ある程度の一定の御評価、効果はあったと。ただ、最近になってどうかというようなところが、委員の先生方の御意見の中心になると思います。これに対しまして、@の○○道県が、いまだ達成されていないと。まだまだこれからですというわけです。また、委員の中の一部が、Aでございますけれども、格差の解消は進まず、むしろ拡大しているというようなことで、まだまだこれからであるという御意見、委員からも一部いただいております。
 次のページに移りまして、(2)でございます。「インフラ整備の進捗の観点」でございます。左側の欄でございますが、現地調査から三つコメントをいただいております。港湾を中心に、各委員から御意見をちょうだいしたところでございます。港湾整備が、先ほども申し上げましたけれども、巨大性、あるいは長期にわたる継続性、こういったものに一定程度の配慮が必要ではないかというような御意見が寄せられているというふうに理解しております。右側の四角でございますけれどもゴシック体、道県アンケートで、2ページから3ページにわたりまして五つほど要約させていただきました。港湾を中心に、下水道ですか。あと、高速交通体系についても、御意見が寄せられております。インフラ整備、今後とも時代の変化に合わせて重要であるという御意見を道県アンケートの方からいただいております。あと、F、G、Hは委員の御意見でございますけれども、港湾整備、あるいは高速交通体系について今後も必要だと、必要性に対する理解が示されたところでございます。
 (3)でございますが、「生産・生活関連投資割合の変化」でございます。これは、委員の方から二つほど御意見をちょうだいしております。下水道につきまして、ややいかがなものかという御意見をちょうだいしているところでございます。
 (4)が、「制度の自主的有効性」でございます。委員の方から、二つほど現地調査を通じて御意見をちょうだいしております。制度をつくる当初は有効と考えられるが、現段階においてはやや効果が少ないのではないかという御意見をちょうだいしております。右側にまいりまして、道県アンケートにおきまして、これは先ほど御紹介した○○道県の御意見でございますけれども、現在の工特制度は、基盤整備に対する国の財政支援はかつてと比較して少なくなっているものの、数字としては少なくなっているということでございます。ただ、間接的、心理的には一定の効果を有しており、今後もある程度は有効であるというお答えをちょうだいしております。
 2.「社会経済環境の変化」でございます。
 (1)「三大都市圏への人口集中傾向の緩和」でございますけれども、緩和が進んでいるという、小委員会からの御意見があったということでございます。
 5ページにまいりまして(2)で、「経済の成熟化とグローバル化の進展」でございます。道県アンケートでございますけれども、「新産・工特地域では基盤整備がはかられ、企業誘致も進んでいるが、経済のボーダーレス化が今後とも進展する中では、外資の中心となる港湾を有する臨海部を中心とした新産・工特制度は今後とも産業拠点となる条件を有する」とありまして、時代の変化に対応して港湾整備を進めていくことは、今後とも有効だという御意見をちょうだいしております。
 (3)「産業構造の変化に伴う指定地区の位置づけの変化」でございます。これにつきましては、委員の先生方から、左側の四角でございますけれども、現地調査あるいは小委員会を通じまして、5つほど御意見をちょうだいしております。@、Aは、今後を考えると、当初の目的とは違った方向にきているのではないでしょうかという御意見だと思います。また、BあるいはCも、新産・工特というと重工業地帯というレッテルで、ある意味ではマイナス評価もあるのではないかという御意見かと思います。Dは、せっかくこれまで頑張ってきたので、将来に前向きに生かしたらどうかという御意見かと思います。
 一方、右側の四角でございますけれども、現地調査を通じて委員から寄せられてきたものでございますけれども、そうは言っても、新産・工特地区として整備蓄積された、人的、技術的資源は、指定地区の北に隣接する地域における工業開発の展開においても、ある意味では新産地区が母体となって、それが発展形となって周辺に及んでいると。拠点開発方式の趣旨が生かされているということで、今後も不可欠だという意見が寄せられいるところでございます。
 6ページにまいりまして、(4)でございます。「製造業の雇用創出力の低下」でございます。先ほども小委員会で申し上げましたが、雇用創出力が減少しているのではないかという御意見をちょうだいしたところでございます。
 (5)でございますけれども、「産業構造の変化と地方圏の就業構造の変化」ということでございまして、左側の四角でございますけれども、先ほども言いましたが、北九州と福岡というものを例にとりまして、工業都市をつくるということを国家の政策としてやる時代ではないのではないかという御意見が寄せられたところです。それに対しまして、右側の四角でございます。現地調査を通じまして、○○道県の例でございますけれども、「臨海型産業の立地促進をまだ重視したい」と。「加工組立型産業は、市場から遠いことから競争力の向上に限界があるという側面がある」ということに対しまして、現地調査を通じて理解が示されたところでございます。
 7ページにまいりまして、3.「従来の地方産業振興策(拠点開発方式を中心として)をめぐる環境の変化」でございます。
 (1)の論点、「地方自治体の国への依存」でございます。これに対しまして、先ほど現地調査で申し上げましたように、Aでございますが、新産・工特制度は地方自治体の国への依存を強めるという御意見が寄せられております。それとあわせまして、@に戻りますが、道県からも、先ほど言いました○○道県の御意見でございますが、「モデル型地域振興計画制度は、一定の制度体系、指定要件等が示され、地域に国の方針による制約等が生じ、それぞれの地域の実情を踏まえられない場合や、また長期的な公共投資を伴う計画は、昨今のような社会経済環境の急激な変化への対応が困難な場合もあるので、やや問題があると考える」と、道県からもそのような意見も寄せられているところでございます。
 右側の四角の「制度の見直しの必要性はない」というところでは、先ほどの○○道県の例でございますが、そうは言っても地方財政には限界があるので、今後も国の支援が必要であると。また、高速交通体系が非常に巨大プロジェクトなので、国に重点的にやっていただく必要があるというような御意見が寄せられたところでございます。
 また、その下のAは、小委員会でも御議論がございましたが、通常の補助金よりはよっぽど使い勝手がよくて、そう問題はないのではないかという御意見が、この委員会の場でも寄せられたところでございます。
 (2)の「産業政策の手法の変化」でございますが、左側の四角でございます。現地調査、あるいは小委員会の議論を通じまして、御意見が寄せられたところでございまして、@あるいはAは、大体同様な御意見かと思いますが、「拠点開発を意図する新産・工特制度は、今後大きな役割を発揮する機会は減少すると考える」。あるいは、こういったコンセプトは今後成り立ちにくいという御意見が寄せられております。また、B、C、Dは、頑張っているところが、みずからを助くところが助くというようなシステムがいいのではないかという御意見が寄せられております。港を例にとりまして、C、Dで同様な御意見が寄せられたところでございます。
 右側の四角でございますけれども、それに対しまして道県の方からは、先ほどの○○道県の御意見でございますけれども、まず国の指導によって大規模拠点を開発し、それが周辺の企業に浸透するといったようなことで、拠点開発方式になると思いますが、そういったものは今後も重要になるという御意見。Aでございますけれども、8ページの2行目、「本制度が産業振興の普遍的なテーマである「人・モノを呼び込むこと」をねらいとし、その条件整備を幅広く支援している以上、社会経済情勢の変化に対応するポテンシャルは高い制度であると考える」ということで、現在も人を呼び込むことに有効であるという御意見が寄せられいるところでございます。
 (3)は「不公平論」でございまして、@からC、4つほど委員の方から御意見が寄せられております。@が下水道、Aが港湾に関しまして、新産地区だけを優遇するのはいかがなものかと。優遇する理由があるかということに関する御意見が寄せられております。同じことが、県内でも言えるのではないかと。県内でその地区だけを優遇するのは不公平ではないかという御意見がございます。
 (4)が、「国土の均衡ある発展の実現手法」ということでございまして、小委員会の場では、「新産・工特制度が国土の均衡ある発展の手段として有効であるかは疑問である」と。これに対しまして、右側の四角でございますが、道県アンケートを通じまして、県内各地域、新産制度、あるいは中部圏制度、あるいはほかの制度等を利用して、バランスをとって県内を開発すると。仮に新産・工特制度のバランスが崩れる、均衡ある発展では困るというような御意見です。
 4.「その他」といたしまして、先ほどの○○道県のアンケートのお答えでございますけれども、県下の財政は大変厳しいので、現段階で制度廃止ということになると大変困るのだという御意見が寄せられております。
 以上が、資料4総括表ということで、アンケート、あるいは現地調査、あるいは小委員会の議論をまとめたものでございます。私がまとめてはいけないのかもしれませんけれども、この制度、ハード整備を通じまして、産業の開発というものを目指した制度であることから、道路あるいは港湾といった産業基盤、とりわけ交通アクセスですか、交通インフラを中心とした御議論。あるいは、下水道を中心とした生活インフラを中心とした御議論。アンケート、現地調査、小委員会のいずれを通じても、こういったものを中心に議論がこれまで展開されてきたのかなという感じがしております。
 以上で、資料の3と4の御説明を終わらせていただきます。
○ 成田委員長
 どうも大変長時間にわたりましてありがとうございました。
 今お聞きのように、新産・工特制度の今後のあり方というのは、この小委員会のたたき台の原案を出したということではなくて、これまでの1、2回の委員会の議論と、道県アンケート、現地調査の結果です。これを全部総括してまとめたというものでございます。これは、共通認識というふうに申しましたけれども、まだ細かい点についてはいろいろ意見が分かれている点もございます。
 これをもとにして、大体11時50分くらいまで、これまで現地調査でお書きになれなかった印象などを含めて、ひとつ御議論をいただきたいと思っております。どなたからでも結構でございますので、活発な御発言をお願いしたいと思います。
○   委員
 いろいろな御意見をまとめたのが資料4の総括表なのでしょうけれども、ここで結論的には「意義なし」とか、あるいは「程度見直しの要あり」と、これにほとんどの意見が集約されているという形ですね。都道府県の方は、「意義あり」というようなことの方に回答が集中しているというわけで、結局この小委員会だとか現地視察の結果というのは、みんな左の欄に入っているということになるわけですね。ところどころ違うものもありますけれども、大勢としてはそのような結論になっているわけですね。
○ 田巻地方産業振興室長
 はい。
○   委員
 私はたまたま行ったところが北海道の道央と、鹿島、前回の資料では一番いいところと一番悪いところの両極端を見てまいったのです。基本的に、先ほどいろいろ出ていましたけれども、道路とか、港湾の部分です。私、例えば北海道などは、苫東は別だという話がありましたが、確かにそうだと思います。あそこの仕掛けは、新産・工特とは違った観点から、どうしても手を突っ込まなければいけないなという感じです。
 ちょっと私が感じているのは、北海道の地域技術振興センターというところに行きまして、クラスターの話がこの中に出ておりましたけれども、ああいう形で北海道の各道全域にわたって、新しい知的な交流の場をつくって、北海道ですと例えば環境の問題ですとか、リサイクルの問題ですとか、いろいろな企業が大きな枠を超えて、道の中の枠を超えて、大学と手を組んで、自発的に何かをやりたいという企業が新しい事業のノウハウを持ち寄って、そういうものを仲介していこうという発想があるのです。まさに、北海道の中でニーズがあるものを、それにこたえる産業をつくろうという動きがあるのです。
 その場合に、その担当者の人が一番苦労されているのは、どういうお金を組み合わせて使うかです。国や県のお金はみんな紐がついていて、非常に使い勝手が悪い。使い勝手の悪さをなくしてくれれば、もっともっといろいろなクラスターが発生する余地があるのだというお話がありました。
 だから、知的な問題といっても、例えば情報関連のノウハウとか農業、環境も含まれるのですけれども、そういうものが手を組む余地というのは結構あるのです。それは、今までの重厚長大型とか工業関係とは全然違った発想で仕事をおこそうということが既にあるわけです。これは北海道に限らずいろいろなところであるかと思うのですが、そういうものを支えていく仕掛けとして、どういうものが必要なのか。
 そういう意味では、従来の産業基盤の育成というものが、既に大きく変わらなければいけないところに来ているのではないかという感じがします。そこには、工場とか、インフラというのとは違った支援のあり方というものが求められているのだと思うのです。そういうのが、だんだん広がって出ていくことが、結局は雇用の場をつくるという形になっていくのではないかと。日本も大分そういう方向に向けて切りかえていかないといけないという感じがします。そういう意味で、この制度はちょっと役割を終えつつあるという感じがするのです。
○ 成田委員長
 全般には各地区でそういう傾向があるのではないでしょうか。重厚長大産業なんていうのは念頭にないわけで、中小企業でもいいから新しい産業を創出しなければならないと。そのためには、大学などと提携するとか、異業種が一緒になってやるとか、そういった発想になってきているわけです。
 今度は、実は私は行政の方の意見より、むしろ立地して頑張っている企業の方の意見をいろいろと聞いてみたのですが、新産都市で何かの利益を受けているかというと、ほとんど念頭にはないわけです。余り関係ないと。自分で新しい技術を開発して、自分の努力でマーケットを海外にも求めている。その結果、うまくいっているのだということで、自分らには余り関係がないと。特に、松本・諏訪あたりに行きましたら、精密工業をやっていまして、ミクロン単位の精密工業をやっているのです。だから、余り大きな道路などをつくられたら、その振動でかえって妨害になるというようなこともおっしゃっていました。○   委員
 私が行った県の方がちょっとおもしろいことを言っていまして、素材型の重厚長大型産業はもう衰退していっているわけですが、こういうものが日本で全然なくなっては困るでしょうと。だから残すという、農業ではないですけれども、「それは農業みたいですね」と私が言ったので向こうが言ったわけではないのですが、「そういう観点というのは要らないのですかね」というふうなことをおっしゃる方はいらっしゃいました。それは、一番最初の新産・工特は確かにそうだったわけですが、もう姿が大分変わってしまっているのですね。
 ですから、仮にそういうふうな素材型を若干保護する必要があるとする場合にも、こういう制度のままで、もう大分方向が変わっていますので、別の観点から別の仕組みなのかなという感じがしたのです。ですから、自然の流れに任せればああいうものは衰退していって、新しい産業になりますから、今の県の方も結局、そういう大学とかリサーチとか、いろいろな方向でやろうと思っているわけです。マーケットに任せて。そうありながら、若干昔ながらのものの存続というものを、何かで保護していく必要があるかどうか。それは、新産・工特とはやはり別の観点なのかなというふうな感じがしました。
○   委員
 政策の目的ということから言うと、当初の目的が余り現実に合っていないというだけでなくて、弊害を生んでいるという感じもするのです。場合によっては。というのは、私が回ったところでは、新産都市をそのままやって、今まさに真っ最中というところもあるのです。工業団地をつくって、これから港湾の整備もさらに金をかけて、というところなのですが、しかしつくった工業団地が売れなくて残っている。あるいは、売れたけれども工場が建たなくてそのままになっているというところがあるのです。
 これは、厳しく言えば、新産というのが国の振興策の看板になっていたから、重厚長大型産業が来てくれるのではないかという期待のもとで、そういう政策がどんどん進められてしまったと。その結果、売れたから県としては一応いいということかもしれないけれども、客観的に見ると更地のままになっているところがあるわけで、場合によっては農地をつぶしてそうしたので、当初の開発目的が達成されないで、売った人が怒っているとか、そういう例も出ているので、やはり大きな政策目的を余り引っ張りすぎて、時代の状況に合わなくなると、国のミスリードということで、政策に対する批判が強くなりかねないと思うのです。そういう意味では、政策のサンセットというのは、適切な時期にちゃんとやるべきだという印象を強くしたわけです。
 二つ目は、実利がこの制度はあるので、その実利が市町村に財政規模が小さくなるとかなり大きな額になって、急にそれがとまると影響が大きいという問題が出ていると思うのですが、やや複雑なのは、非常に実利を生む優遇制度というものがわかりにくいのです。わかりにくいというのは、一つは他にも過疎制度とかいろいろなものがあって、新産制度がなくなってもほかで代替ができるということがあるので、本当に困るところはどこかというのが、額面どおりには受け取れないのです。その辺が、他の制度との関係で、これがなくなると本当に困るというのはどういうことなのかというのを、整理する必要があるのではないか。それは同時に、他の制度もいろいろなものを累積して、それが全部残っているものですから、制度が錯綜して非常にわかりにくくなっていると。重複しているとか。だから、国総法の見直しもやっているわけですから、それにあわせて地域開発制度も一たん整理して、実利的にどの制度がどこで効いているのかとか、あるいは一元化していくということが可能なのかどうかとか、その辺を考える必要があるのではないかと。それは、他の制度との関係です。
 それから、新産制度の枠の中だけでも、県の担当の方に補助金がどうやってくるのかとか、あるいは起債がどこに使われるのかとか、あるいは港湾に関する市町村の負担の特例があるのですけれども、それを県が肩がわりするということになっているのですが、それは県の実質的負担になるのか、それとも交付税でみてくれるのかとか、そういう細かな話をしていくと、なかなか答えられない。なかなか複雑で、担当者もその辺の流れをきちんと理解できていないところもあるようなのです。それは担当者がどんどん変わるからということもあるようなのですが。したがって、新産制度、工特制度の種々の優遇措置の枠の中も、少し複雑になり過ぎているので、一たん整理して、仮に経過措置などを考える場合、全部一律に経過措置を考えるのではなくて、本当に困っているというところを洗い出さなければいけないと思うので、その作業が要るのかなと感じました。
○   委員
 皆様と一緒なのですけれども、総括に私も3地区を回らせていただいたのですけれども、基本的には立体的な新産・工特というところでの、皆さんが言うところの看板効果が残っているとか、県の内で地域バランスの上でこれがあると。こういうことについては、実態的にまだ意義があるというお話でした。
 財政の問題については、非常に使い勝手がいいので、残してほしいということは、実際に皆さん言われています。ただ、これが先ほど  委員もおっしゃったように、本当に新産・工特制度というものと結びついて考えておいた方がいいのかというと、どうも皆さんそこについては、「もう無理だね」という感じがありました。
 もう一つ、でも実際にこの新産・工特制度を、先ほどもありましたけれども、今地域においてはかなり、島根県でも新しい地域の産業づくりに取り組まれたり、静岡もそのような話をしていました。みんなそういう新しい、アンケートでも新しい産業づくりに対する取り組みというものに対する必要性はものすごく感じていると。そういうことも、この制度が少し使えるから今はやめないのですけれども、やはりそこのあるべき新しい地域産業政策があるのに、何となくこれで賄っているというところに矛盾点があって、そういう意味ではここに書かれている、まさにこれは多々ますます弁ずで、あればいいということはみんなわかっているのだけれども、本来の目的との関係を整理する時期になっているのかなということを感じました。
○ 成田委員長
 地方を回って感じたのは、前回のときと比べて、かなり言い方が違うのです。前回は、かなり強行に「残せ、残せ」という主張が強かったのですが、今度はある程度分権推進計画も織り込み済みということもありますし、各自治体が財政状況が非常に厳しいし、新しい考え方で事業評価などをやっているわけです。そういう流れがあるものですから、これは松本の市長さんも言っていましたが、「自分は片方で行革をどんどん進めているので、余りそうは言えないのだけれども」ということで、やや遠慮がちに言っていましたけれども。そういった意味で、かなり感覚が変わってきているのではないかという印象を受けました。
○   委員
 私が行ったところは、余り覚悟はできていないみたいなところでした。要するに、お金の問題ですから、だから残せと言っているのだなというのはよくわかります。要するに、そこをどうするかということです。名目は、何でもいいのです。下水道とか公園とか、そういった形で使っている。港湾の方は、特定重要港湾になっている。港湾法の問題ですから、もちろん市町村負担もどうするか。ですから、そういう本当にお金が来なくなるということは、確かに困る。「これをやりたい」と言ったら、これにお金がつくわけですから、そういう意味では非常に紐が薄いといいますか、そういう補助金ですから。そういう観点から言うと、最後に、「かえって新産・工特というと、そういうネーミングでマイナスになることはありませんか」と聞くと、今までずっと財政と言っていますから、その手前そうだとは言えないのです。ただ、要するにお金なのだろうなという感じは非常にします。そういう意味での頑張りというのがあるのかなと。
○ 成田委員長
 この制度の受益者は、どうも企業ではなくて行政なのです。行政支援策みたいな形になってきているのはおかしいなという感じは私もしているのです。  委員はいかがですか。
○   委員
 まず一つおわびしなければいけないのは、私は現地調査に行くつもりだったのですが、全部本業の方が非常に立て込んでおりまして、大変失礼いたしました。まずおわび申し上げます。
 現地調査には実際は行けなかったのですけれども、相前後して、例えば  委員が行かれた中海などに別の機会に行ってきまして、例えば境港の竹内のみなとタワーとか工業団地なども見てきたのですが、私が行ったときには、新産の話ではなく行ったものですから、単純にみなとタワーの三セクの会社の専務の方に話を聞いて、その後境港の商工会議所の専務理事に話をしたりしてきたのです。境港の場合、あそこはFAZの指定をしているのです。韓国、北朝鮮、中国、ロシアですか、そことの貿易を、むしろでき上がった港、それから竹内工業団地などを通じて、いかに輸出入・貿易を活発にしていくかということを一生懸命やっている。みなとタワーの会社の専務は、伊藤忠のOBでやっていて、伊藤忠時代にいろいろと培ってきた経験というものを、地元の比較的貿易の実務を余り精通していない人たちに、一緒にやりながら伝えていくと。そういうことが非常に役立っているとか。商工会議所の専務は日通のOBで、やはり物流の方の国際の物流の実務的なことをサポートしている。そういうことで、むしろ先ほどの  委員の北海道の話にもありましたように、ハードの整備よりも、いかにあるものを使って作業を活性化していくかということの方に、むしろ対象地域のそれぞれの課題があるのだろうと思います。
 したがって、それはハードのお金を引き続きある程度上乗せしていくという現行の新産・工特という制度の継続することによって果たされるものではなくて、むしろそのお金よりもいかに人材を地域で見出していくか。あるいは、足らざるところを補っていくかというようなことを、それぞれの県が中心になって考えるような時代になってきているのかなと。非常に、中海を例に挙げるとあれですが、ほかの地域でも、今治などにも年が明けてから行きましたけれども、今治のタオルや造船にしても同じような話をやはり聞きます。そういうことから照らし合わせてみて、ちょっとこれからの産業振興のあり方自体が、ひとつ大きく変わってきているということを、まず1点申し上げたいと思います。
 それから、もう1点。先ほどの、重厚長大産業はもう衰退産業で、要らなくなっていいのかどうかという話なのですが、これはきちんと現状認識をある程度皆さん共通しておいた方がいいと思います。例えば、鉄鋼にしろ化学にしろ、ひところほどの日本の産業の全体を牽引する、戦略的な輸出産業ではなくなったけれども、今の日本の経済も、例えば自動車一つつくるのでも、まだ鉄でつくって、全部がアルミとプラスチックの自動車が走っているわけではないと。そういう意味で、基礎素材、すべての日本経済のさまざまな生活にもかかわる部分の、とりわけ化学とか紙とかのウエイトは大きいわけですが、そういう意味での日本の経済、あるいは世界の経済の中での日本の産業のベーシックな部分を支える産業としては、十分な役割を果たしているのだと。だから、産業としての歴史的な役割が終わり、あるいはもっと縮小すべきだという、農業が抱えている問題とはずいぶん違い、衰退産業ではないと。個々の企業を見てみると、もちろん従業員はぐっと少なくなって、例えば水島の川鉄などを見ると、3分の1とか、場合によっては4分の1くらいに変わってはきているけれども、その分はコンピューターとかさまざまな中での技術革新によって補っているという、そういうことだろうと思います。ですから、そういう意味では、個々の産業はひところほど派手ではありませんけれども、やはり日本の産業の中では重要な役割になっているし、決して放っておけば、政策的に手を差し伸べなければ衰退してしまうという産業ではない。だから、それをサポートするための制度という意味合いは、新産・工特制度を継続することも意味はないと思います。
○ 成田委員長
 先ごろ、政策評価とか事業評価とかいうのが大きな問題になっていて、各省設置法にみんな入っているわけです。これは、何を評価するかという基準が余りないので、制度をつくるのはなかなか難しいのです。
 一つは、目的なり目標と、そこに投入される施策です。これは行政手段もありますし、税財政措置もありますし、準備事業もありますけれども、そういう目的とやはり手段との相当な関係というのは保たれているかどうかということだろうと思うのです。これは効果がどうなっているかということだと思うので、まさに我々は今、そのことをやっているのだろうと思うのです。この制度は、目的それ自体がずれてしまっているし、目的を達成するための手段というものもずれ込んでしまって、非常にいびつな関係になっているのかなと。恐らく、昭和40年代くらいまでは、これも大きな効果があったというふうに認識してもいいのではないかと思います。現時点で、これからどうするかということになると、これを継続するだけの意味というのはあるのかどうか。今おっしゃったように、もっと別の手段を投入していって、目標自体も変えた方がいいのではないかというような評価も出てきそうな気がするわけです。そうすると、やはり港湾というのは、途中で人々を放ったらかすと非常に困るという。それを何とか継続しなければならないというようなことになるかもしれません。
 この前たまたま行ったのは、松本・諏訪地区という港湾がない唯一のところなのです。そこではまだ下水道や公園とかいうものに金を使っていますけれども、その下水・公園というものも諏訪湖の水質保全だとか、公園は観光客を誘致するための公園とか、そういうようなことになっています。やはり、まちづくりみたいなことに使われているという印象を受けるのです。
 港は、これも大きな問題になっていて、橘湾は港をつくりながら火力発電所を、270万キロワットか、石炭火力の最新鋭の設備で、たまたま行ったときに火入れがありまして、その現場を見てきたのです。これなどは、非常に成功している方だと思うのですが、その周辺にも、まだ2つくらい港湾が整備するという計画もあるらしいのです。
 港湾の場合には、やはり放ったらかすわけにはいかないのですけれども、港湾の性格が、ここの委員さんの印象にあるように、重工業を一致させる、あるいはそれを輸出させるような港湾ではないのです。むしろ物流拠点にしたいと。物流拠点にするためには、やはり道路の整備などのネットワークがちゃんとないとうまくいかないわけです。日本海でも、環日本海なんていうことを言っていますが、下手に港湾整備をすると、日本の中古車を輸出したり、向こうのマフィアが来たり、非常に地域の状況が悪くなっているという例もあるらしいのです。その辺を、どう考えていくかです。
 恐らく私が見るところでは、新産にも工特にも指定されていない北関東地区というのは、工業団地がかなり売れてしまっています。これを見ていると、工業団地というのはいろいろな施策が重なって、そのたびに工業団地が出てくるので、非常にたくさんあると思うのです。ところが、長いこと持っていると金利がかさんでしまって、非常に単価が高くなってしまっているというのが現状になっていると思うのです。
○   委員
 私が行ったところはもちろん港があって、まだ整備をしているのですけれども、港湾ができれば一応輸出関係では立地した重化学工業、新産的な企業が港を使って輸出するというのがあるのですが、荷が偏って輸入が少ないから、結局空のコンテナを持ってくるとか、来るときには空で、出ていくときには荷物を積んでいくとか、そういうことになってバランスがとれないという問題もあるのです。だから、そうやって考えていくと、港湾をつくったらつくったで、今度は輸入品をどうするかとか。そうすると、その港湾を拠点としていろいろなところに運んでいくための道路整備が要るとか、派生していろいろなことが出てきて、それに全部つき合っているとまさに切りがない、永遠の営みになるわけです。
 したがって、それはそれで独自の事業として、別途の事業としてやっていくということにはならざるを得ないと思うのですが、そのときも港湾に絡む、例えば新産が打ち切られたときのダメージとか、実質的な影響とかをある程度整理しておかないと、何か言われたときに答えきれないという問題が出てくるのかなと思うのです。実際に港湾そのものは、要するに市町村の負担がなくなるというのは新産制度ですけれども、港湾そのものの整備は、運輸省の補助金を使ってやる別な仕組みだと考えていいのですか。それとも、それにも新産というのは影響を与えていると考えるのでしょうか。
○ 成田委員長
 特定重要港湾とか重要港湾というのは、決まっているわけですね。
○   委員
 新産とは直接関係ないと割り切れば、市町村分のところだけだというふうに考えるわけですか。
○   委員
 港湾自体が、一種のばらまき行政の典型と言われていたわけです。運輸省が、特に今度の予算で相当絞り込む、調べてないので具体的にはっきり言えないのですけれども、やはり重点化に転換を今度の予算はしているのです。だから、運輸省自体もそういうふうに変わっている時代に、新産の方のサポートする制度だけ残す必要も逆になくて、むしろ港湾行政の中での絞り込みの方にむしろゆだねていくようにするためには、新産である程度多少なりとも支えていく部分というのは必要ない。極端に言ってしまえば。そういう時期に、港湾についてはきているのだろうと思います。
○   委員
 先ほどの認識を一つはっきりさせておきたいのですけれども、本来新産・工特というのはバルクなのですね。素材産業を相手にしていますから。今の港湾整備というのは、もうバルクをやるようなところは少なくなりまして、基本的にはコンテナなのです。これは、まさに今言ったように流通の問題なのです。ですから、新産・工特というものと港湾の関係というのは、そういう意味ではかなり切り離されているのが実態なのかなと。ただ、当初は、三河湾などからお聞きしましたら、やはり新産・工特の制度があったので、かなり重要港湾との関係がリンクされたという効果があったと。そういうふうにお聞きしています。
 それからもう一つ、工業立地の問題で、先ほど  委員もおっしゃったように、今私もいろいろ調べてみますと、工業立地が今は4分の1が、工業立地のピーク時が5,000件だとすると、今は1,500件くらいになっているのですけれども、そのうちの4分の1が、いわゆる県域立地なのです。例えば北海道であれば、北海道以外にくるのは4分の1しかないと。これは九州で調べたら、九州も同じなのです。大体、4分の1。あとの4分の3は内発型になっている。ですから、ある意味で工業立地という観点からいくと、内発立地というものを、ものすごく重視したものを考えなくてはいけないと。
 そういう意味では、先ほどの境港などの地域の動きを見ていると、明らかに高速道路のネットワークとくっついて、それによって港湾が一つの武器になって、コンテナを今整備していますと。そうすると、工業団地だけれども、工業団地は工場は立地しないけれども、流通団地に持っていこうと。そういう政策をやられている。だから、それぞれの地区が、実態に合わせながら動いている。その辺の地域の動きを、どういうふうにうまく反映したものに変えていくかというのが大きな課題ではないかと思っています。
○ 成田委員長
   委員にお伺いしたいのですが、最近企業はどんどん合併したり、外資系に買収されたりしていますね。日産の工場みたいに、集約してどこかへ持っていくとような傾向もあります。そういうものの立地というのは、今後どのようになっていくのですか。京浜工業地帯の石油化学などは、かなり設備が古くなっているので、やはりリストラの対象になるのだろうと思います。
○   委員
 石油化学については、終始くっついたり離れたりとかしていまして、施設自体は比較的そのままで、そうスクラップされている部分はないです。比較的そのまま更新されて、維持されているだろうと思います。むしろ、この議論の中で大事になってくるのは、今のような状況になってくると、例えば大分がまだ港湾整備をしなければいけないと言っていましたが、あそこは日産に売るはずとところが、日産がもう進出する兆しはないですね。そういうことで、ある程度この企業がくるという想定で用意していた、とりわけ埋め立て造成地のようなところは、今の企業再編の中で、ちょっと目途が立たなくなってきた。そういう状況ではないでしょうか。
 水島なども、三菱自動車がちょっと元気がなくなりましたから、そういうようなことから、世界的な各業界の再編が進む中での、設備を拡張していくために、さらにそのために港湾的なインフラが必要だと、ある程度埋立地のような土地が必要だという時代ではなくなってきたということだけは、間違いないと思います。
○ 成田委員長
 ポートセーリングなどは、いろいろと専門家の話を聞くと、港湾関係者のところに行って、いろいろとやっているらしいのですが、それはおかしいと言うのです。荷主のところへ行ってやらなければだめだと言うのですが、そういう活動は余りやっていないという話です。
○   委員
 あとは、ポートセーリングというのは基本的に、船会社をつかまえてくるかという話ですね。
○   委員
 今の  委員の話に関連するのですけれども、特に製造業の中でも素材型のところです。鉄鋼ですとか金属の関係です。やはり、どんどん集約化していかないと、とてもではないけれども化学などというのは、今の規模では欧米の企業に勝てない。それこそ、競争力は半分くらいですから。
 特に、素材型のところで一番どの企業でも今悩んでいるのは、価格がどんどん落ちていくわけです。競争が激しくなれば。鋼材の価格などというのは、15年くらい前の半分なのです。今の話のように、従業員の数がだーっと減っていまして、その能力は機械化ですとか、コンピューター化ですとか、それで補っているわけです。確実に製造業に従事する人間の数というのは、これからも減り続けていく。限度はありますけれども。人口構造はどんどん変わっています。ですから、いわゆる今の団塊ジュニアくらいが少しふえていく可能性はありますけれども、それ以下の年齢層というのは今後どんどん減っていくわけです。そうすると、そういう労働力の供給の面からも、産業構造は変わらざるを得ない。メーカーも、特に素材型のところは、いわゆる生産工程をどんどん高レベル化して、かつ工場は集約していく。絶対にそういう姿にならざるを得ないわけです。これは価格の面からも、人的労働力の供給の面からも、それは目に見えているわけです。その中で、どうやって企業が生き残るかというと、それは必死なのです。これ以上、工場とか生産拠点を国内に分散化というと、そんな発想は全然ないわけです。海外のどこに建つか、どの部分を国内でやるか、そういう選別にもう入っているわけです。その中で、工業立地をどういうふうに再編するかというのは、そういうことを考えて、この中にもある「均衡ある」という意味です。この均衡は前とやむを得ず変わらざるを得ないというふうに、これからますますなっていくのではないでしょうか。その場合に、新しい産業をどうやっておこすかということにつながっていくと。
 もう一つは、地方分権とか、いろいろな強いニーズがさまざまにある場合に、それを国の方でどこまで面倒を見るかということと、自治体がどこまでやれるかということ。特に、分権と言いながら財政基盤がないのです。財政基盤を、どうやってこれから膨らましていくか。いろいろな税の問題も絡んでくると思うのですけれども、国と地方のお金の割り振りというのですか、そこをあわせていかないと、この制度の受益者は自治体ですよね、自治体も頭を変えないとだめなのですが、頭を変えるためには、お金の財源をちゃんと中央もこれから与えていかないと、高齢化して介護の費用ばかり負担している。お金は中からわいてこないと地方分権も実質的に掛け声だけで済まないのです。そちらの方の、財政基盤の充実もあわせて考えないと、何か切りかえようといっても先が見えない自治体になってしまうという懸念があります。
○ 成田委員長
 それは全くおっしゃるとおりだと思います。
○   委員
 きょうの議題の三つ目が「今後のあり方」と書いてあるのですが、今後のあり方については、先ほどのアンケートでも、○○道県ですか、余り国のモデル事業は好ましくないというようなニュアンスの答えでしたけれども、それ意外は期待していると。私が行ったところでも、新産をやめるのならば、かわりのものをつくってくれというニュアンスの発言はありました。
 かわりといっても、新産のかわりに新新産をつくるとか、そういう単純な変わり方ではなくて、分権化を踏まえたり、時代の流れの中で考えるという、もちろんそういうことは必要だと思います。そもそも、そういう格好で、新制度というものを考える地域振興なり地域産業振興ということで考えるのか、それとも今回の役割は、サンセットをすることが大事であって、経過措置くらいを書けば、とにかくこの制度はおしまいになると。そこが目的だということになると、次の制度は特に考えないということになりますね。それは、そのスタンスとして、国土庁などではどう考えておられるのか。
○ 成田委員長
 もう一つそれに関連して気になるのは、新産を廃止しても、首都圏・近畿圏のアクションエリアさんが残るのです。かさ上げを同じような形であるのです。これが廃止されれば、それも先導的な役割で廃止されることになるのかどうかということになるのですが、それはいかがでしょうか。
○ 芳山地方振興局長
 今後の小委員会なり特別委員会全体の持ち方と、一番最初にその議論を  委員を初め皆さんから出されていまして、進め方はどういう形にするかは、また皆様と御協議したいのですが、大きい方向としては、皆様と共通認識が大分できてきているように思うのですけれども、次回の3月13日に全体の委員会があります。全体の委員会の中で、新産・工特両代表から御意見を聞くということを予定しております。こういった形で、各23道県の御意見が出ていますけれども、全体の委員会の中で、再度代表から御意見を聞く機会を1回つくっていただいて、それを踏まえてまた小委員会の方として、本当に共通認識はそういうことでいいのかという形で、御議論を踏まえた上で、本委員会の方にそれを中間の形で上げるのかなと。
 その中で、今、  委員が御指摘のように、我々の今度の整理の方は、まだ消化不良のような形になっていますけれども、廃止の場合の経過措置をどういう形にするのかという御意見。経過措置といっても非常に難しい議論になって、どういう事業を経過措置するのか、じゃあどれくらいやるのか。何年やるのか。というようなことが、財政との関係で非常に詰めなければいけない点が多うございます。
 ただ、それだけでいいのかという議論が当初から出ておりまして、資料5にありますように、各地域の意見にもありますように、新たな方向への施策を模索するのか。新たな施策の方向の提起をする場合に、これは全国版なのか、23道県の新たな方向なのかという御議論もありますので、一応中間報告をしていただいて、6月、7月の概算要求までの間に、ある一定の方向が出れば、その後年内の本答申に向けて、  委員が言われたように、全国版の新たな方向の施策なのか、この地域だけの新たな方向なのかを御論議していただいて、それが本当にまた、財政措置の支援に結びついた施策なのか、それとも今の地域振興のあり方をこれまでの分権計画のように国が余り口出ししないような、大きな方向の御提示なのかということがありますので、それを含めての御議論をぜひしていただきたいというふうに、我々は思っています。
 ですから、全体を含めて、今委員の御議論の中で、この新産・工特はもちろん一応方向としてお出ししていただくと同時に、全体の新たな方向についても、新たな産業政策についても、ぜひ御提言していただきたいということです。これも皆さんの中で御論議していただいてやったらいいと思いますけれども、私は個人的にそう思っております。
○   委員
 前にも聞いたことがあるような気もするのですが、もう1回次の議論をする上で必要なので一つだけお伺いしたいのですが、来年の1月1日以降、この制度というのはどこが所管することになるのですか。
○ 芳山地方振興局長
 国土交通省になるわけです。
○   委員
 国土交通省になるわけですね。そうすると、財政特例措置も国土交通省になるわけですか。
○ 芳山地方振興局長
 それは、今からちょっと自治省が財特法の関係で所管していますので、それとの関係もありますので。
○   委員
 これから御議論していく中での一つのアイデアとしては、交付税でしていくのか、補助金でいくのか、もっと機動的にある程度、時代、時代またそのときどきによって、国家として地域に投入できるような、フリーハンドで地方財源として持っておくとか、そういうことも考え得ると思うのです。そういうこともあって、ちょっとお聞きしたのですが。
○ 芳山地方振興局長
 我々の答弁が正確ではないかもしれませんけれども、今過疎法も同じような議論をしていまして、過疎法で新しい制度で、議員立法なのですが見直しをするというときに、百数団体が過疎団体でなくなるのですけれども、その経過措置をどうしようかということで、大分委員から御議論が出ています。従来は、過疎債を5年間を措置すると。けれども、過疎債だけではどうしようもないということで、国庫補助を含めてかさ上げがあるのですけれども、国庫補助を含めて、また予算上の措置を含めて、何か対応できないかということで、委員方から御議論が出ています。所管のところは国土庁が全体の施策については責任を持っているのですけれども、今の国庫補助のかさ上げであるとか、予算の補助であるとか、各省庁お持ちなものですから、国土庁が各省庁に声をかけて、この制度については経過措置をどこまでやればいいのかと。全体をひっくるめて大蔵省との関係もありますので、大蔵省とも御協議しているというぐあいになるわけであります。そして、新産もまさしく今からの御議論の中で、制度について方向が出て、経過措置についてはこういう点についてどういうぐあいにしたいと。どの施策を経過措置として残せばいいかとなりますと、来年の1月6日以降につきましても、含めてその前ですけれども、関係省庁とお諮りして、制度についての経過措置は御論議していくことになりますので、多分4月、5月、6月、7月以降、所管している関係省庁と御議論した上で、経過措置を練るというわけで、ひとり国土交通省のみが担当するようにはならない。全省庁で、新産・工特についてどういうぐあいにするか、こういうことが正確なお答えになるかと思います。
○ 成田委員長
 曲がりなりにも内閣総理大臣が出てくるから、各省庁の調整がある程度できるわけです。これは国土交通省になった場合に一つの省になってしまうので……。例えば山村振興は依然として農水省ではないのですか。四つに組んでいくのですかね。そこがちょっと心配なのですが。
○   委員
 いわゆる国土交通省の補助事業を、どういうふうに重点配分するかという形で継続するか。そうではなくて、地方のそれぞれ経過措置として、対象の二十数道府県について、比較的自由に使えるような財源として残すという手もあり得る話です。経過措置として。私は、そういう機動性の経過措置が必要だったら、そちらにしてしまった方が趣旨にかなうような気がするのです。先ほど来の議論の現状を踏まえていくと。
○ 成田委員長
 統合補助金などがありますが、ああいうものを活用すれば、それは可能だと思います。
○ 芳山地方振興局長
 ただ、来年の4月からの話ですから、概算要求自身は今年度中の御議論になるので、まだ分割する前の省で考えなければいけないというところは悩ましいところです。
○ 成田委員長
 具体的な措置はどこまで書けるかですね。一般的に抽象的に書いても、お任せするということにするのか。その辺に非常に微妙な問題があるということですね。
 
(4)その他
○ 成田委員長
 それでは、大体時間がまいりましたので、きょうはいろいろ非常に活発な御議論をいただきましたけれども、今ちょっとお話がございましたけれども、次回は3月13日でございますけれども、この日は指定地区の道県ヒアリングのために、特別委員会が予定されています。せっかくの機会ですので、きょう事務局から報告がありましたアンケート調査、現地調査、それから本委員会でのきょうまでの審議状況をまとめていただいて今度は経過報告をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 特段御異論はないと思いますので、そのように扱わせていただきます。なお、経過報告の仕方につきましては、私の方で事務局と相談しながら進めてまいりたいと思いますので、御一任いただけるでしょうか。それでは、そのようにしたいと思います。
 それでは、3月13日に地方産業開発特別委員会に向けまして、私の方で事務局と相談しながら、準備を進めていきたいと思っております。
 それから、今後のこの小委員会につきましては、3月の特別委員会で行われます指定地区の23関係道府県のヒアリングの結果等を踏まえまして、新産・工特制度の今後のあり方に関して、小委員会としての方向性を徐々に詰めていくということになろうかと思います。これからなかなかしんどい仕事があると思いますけれども、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局の方から何かございますか。
○ 田巻地方産業振興室長
 今ほど、成田委員長の方からお話がございましたが、次回3月13日の午後に特別委員会を開催したいと思っております。また、正式な御案内を別途させていただきます。その際に今のお話にもございましたけれども、指定地区道府県のヒアリングをいたしまして、かなり内容が多くなりますので、場合によっては時間を3時間くらいちょうだいする可能性もあるかと思いますけれども、また改めて御連絡したいと思います。午後2時から5時くらいというお心づもりでいただければ大変幸いでございます。 第4回目の小委員会でございますけれども、次回の特別委員会の議論を見ながら、またその結果を受けて段取する必要があるかと思いますので、これは別途日程調整を3月13日以降にさせていただければと思っておりおます。
 本日の資料でございますけれども、議論する際に議論しやすくするために、地区名等をかなり入れた形になっておりますが、情報公開との関係でございますけれども、確か最初の委員会のときに情報公開については、原則的公開であるが一部については委員長と相談して取り扱いをするということにさせていただいています。そういったことで、地区名を全部出してしまうと関係の方に御迷惑がかかるかどうか、それは一度委員長と相談した上で、情報公開に関しては取り扱いをさせていただきたいと思います。
 私の方から、その他としては以上でございます。
○ 成田委員長
 きょうは予定されておりました議題はこれですべて終了したわけでございますが、また活発な御意見をいただきまして、きょうの御意見も盛り込んでつくりたいと思っております。次回は3月13日の午後に予定されておりますけれども、場合によっては3時間に及ぶということも御確認いただきたいと思います。
 今度、小委員会ではなくて親委員会でございますので、人数も多くなります。それが終わった後の第4回の小委員会の日取りにつきましては、3月13日の特別委員会の議論を踏まえた上で改めて事務局を通じて調整させていただくということで、またお知らせ申し上げます。
 以上で、きょうの会議は閉会にさせていただきますけれども、お忙しいところ非常に長時間、御熱心に御議論を賜りありがとうございました。厚く御礼申し上げます。