第5回国土審議会地方産業開発特別委員会小委員会議事録

 

日時:平成12年6月13日(火)14:00〜16:00

場所:中央合同庁舎第5号舘 共用第17会議室

 

○田巻審議官 ○○委員がまだお見えでございませんが、時間も過ぎましたので、ただいまから第5回の国土審議会地方産業開発特別委員会小委員会を開催させていただきます。 皆様方におかれましては、大変お忙しいところをご出席いただきましてありがとうございます。

 本日は、○○委員が出張でご欠席というご連絡をいただいております。

 ○○委員は、昨日付で○○にご栄転ということで、本日は異動の関係でご欠席というご連絡をいただいております。

 なお、○○委員はご栄転になりましたが、引き続き本委員会の方は続けていただけるということでございますのでご報告申し上げます。

 また、○○委員は、本日はそういった事情で欠席でございますが、○○委員から代理出席をお願いしたいというお話がございまして、成田委員長とご相談して、代理といたしまして○○の○○様にご出席いただいておりますので、その旨、ご案内申し上げます。

 それでは、この後の議事進行を成田委員長にお願いいたしたいと存じます。

 成田委員長、よろしくお願いいたします。

○成田委員長 それでは、第5回の小委員会を開催させていただきます。

 本日は、梅雨入りで足下の悪いところをお集まりいただきましてありがとうございます。

 ただいま、事務局からお話がございましたように、本日は、○○委員は○○の方に行っていらっしゃるということで、代理として○○の○○様にご出席いただいております。代理ではございますが、どうぞそんなことは関係なく、思っていることをどんどんご発言をお願いしたいと思っております。

 それでは議事に入りたいと思います。

 今日、予定しております議題は、第1は、第2次の道県アンケート調査の結果について。第2は、新産・工特制度の今後のあり方について。この2つでございます。

 この委員会はご承知のように昨年9月の国土庁長官の諮問に基づきまして、新産・工特制度の今後のあり方について、いままでいろいろ貴重なご意見を賜り検討を重ねてきたところでございます。そのときの諮問によりますと、政府が決定いたしました第2次の地方分権推進計画を踏まえて検討するようにとなっております。そして、政府の第2次の地方分権計画におきましては、平成12年度末の現行計画終了後のあり方について、廃止を含めた抜本的な見直しを行うとなっているわけでございます。

 そこで本日は、こういった諮問の趣旨を踏まえまして、新産・工特制度を廃止したとした場合にどういう問題点が起こるのか。その対応策をどうするのかということについて個別事業ごとに問題点を洗い出しながらご審議をいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず第1議題の第2次の道県アンケート調査結果について事務局からご報告をお願いしたいと思います。

○田巻審議官 ご説明の前に配布資料の確認をさせていただきます。

 本日、配布しております資料は、アンケート結果をまとめました資料1、支援措置の内容をまとめました資料2、論点をまとめました資料3、これは(委員限り)とさせていただいております。

 参考資料を3つほど用意しておりまして、参考1が第2次アンケートの一部であります個別事業の一覧表でございます。参考2、参考3は、これまでのご審議で配布した資料を再掲しております。

 それから、先ほど追加でお配りしましたが、成田委員長の方から、成田委員長宛に全国市長会の方から来ました要望書のコピーを先生方にお配りするようにというご指示がございましたので、併せて要望書のコピーを配布させていただいております。

 以上が本日の配布資料の一覧でございます。

 それでは、第2次道県アンケートの結果についてお手元の資料1に沿ってご報告申し上げます。

 第2次道県アンケートのアンケート表につきましては、前回の小委員会のときに資料をお配りしておりますので今回は省略させていただきましたが、表紙をおめくりいただきまして目次がございますが、今回のアンケートでは次の5項目、1.新産・工特地区内事業別達成状況調査、2.新産等債起債額等調査、3.国庫負担かさ上げ額等調査、4.重要港湾に関する調査、5.減収補てん額等調査の5項目についてアンケートを実施いたしました。

 その結果につきまして個々にご紹介していきたいと思います。

 1.新産・工特地区内事業別達成状況調査ですが、2ページに定義のようなものがございますが、この調査では「完了事業」、「未了事業」、「着手予定事業」という3つにわけて個別事業について進捗状況を伺っております。

 「完了事業」というのは、下に図がありますが第6次計画の期間が平成12年度までとなっておりますが、ケース1は平成11年度終了、ケース2は平成12年度終了ということで、計画期間内に終了するものを「完了事業」というふうに扱わせていただいております。

 「未了事業」というのは、今次計画期間中に事業を開始したものの平成12年度までに終了せず、13年度以降も続くものでございます。ケース3とかケース4のように、13年度以降も続くものを「未了事業」というふうに定義させていただいております。

 「着手予定事業」というのは、今次計画期間終了後初めて事業を着手し継続するものということで、例えば、ケース5のようなものです。こういったものを「着手予定事業」というふうに定義させていただいております。

 こういった定義で、個別事業を集計いたしますとどうなるかということでございますが、原集計値を8ページに数字で整理してございますけれども、ちょっとこの数字だけではわかりにくいものですから、3ページ以降、グラフにしてございますので、こちらの方がわかりやすいかと思いますので、グラフでご説明させていただきます。

 まず、この事業、道県事業と市町村事業とに大きく分かれておりますが、それを合わせました全事業の状況でございます。全部で5,625の事業がアンケートの結果ございます。その内訳といたしまして、完了事業が47%、未了事業が43%、着手予定事業が10%ということで、半分近く完了しておりますけれども、逆に言えば残り半分近くは未了であるということでございます。

 3ページにまいりまして、この未了事業の内訳が図1−2でございます。それでは「いつ頃終了する予定か」ということも併せて伺っております。ご覧いただきますように、13年度、14年度、15年度、16年度と大体4か年経ちますとほぼ50%超えるというようなことで、この辺が進捗状況の見込みがあるということです。また、5年以上、18年度以降も続くというようなものも一方で28%ございまして、ないしは「未定」、いつ終わるかわからないというものが9%ということで、かなり息の長い事業につきましては相当続くというお答えをいただいております。

 これは全体でございますが、これを道県事業と市町村事業の個別の事業別に見たものが4ページ以降でございます。まず4ページは・道県事業、言葉を換えて言いますと、新産等債の対象になる事業でございますが、この事業別達成状況を整理したものが4ページ、5ページのグラフでございます。新産等債対象となります事業は全部11事業ございますけれども、その達成状況でございます。

 完了の割合が多いものは、図1−3の住宅ですとか、図1−6の空港ですとか、あるいは図1−10の砂防事業、図1−11の森林荒廃防止施設、こういったものは比較的完了のウエイトの高いものでございます。

 一方、未了のウエイトの高いものは、残りということになるわけでございますが、その中でも、特に図1−4の道路ですとか、1−5の港湾、1−8の河川というものは未了事業のウエイトが高く、かつ終了年度の見込みも相当長期間というお答えをいただいております。

 参考資料1が、個別事業につきまして、終了予定年度、あるいは金額等を伺ったものの一覧でございますけれども、例えば、33ページをお開きいただきますと、これは○○道県のお答えでございますが、6.河川のところで、広域基幹河川改修(旧広域A)ですと平成35年度終了であるとか、その次の○○川も平成46年度終了見込みであるとか、先ほど言いました道路・港湾・河川はこういった形で、かなり息の長い事業であるということを反映したものかと思われます。

 資料1の6ページにまいりまして、・市町村事業、言葉を換えて言いますと、国庫負担のかさ上げ対象事業でございます。これは後ほどご説明いたしますが、政令で10事業が対象事業になっているわけでございます。この事業別の達成状況を整理したものでございます。これも完了の割合が高いものは、図1−15の道路ですとか、あるいは図1−18の教育施設、あるいは1−19の厚生施設、7ページにまいりまして、1−21の海岸といったものが比較的完了の事業のウエイトが高いものということが言えるかと思います。

  一方、未了事業のウエイトの高いものでございますが、これは比較的予定のものも多いものがございまして、図1-17の下水道、あるいは図1-20の河川といったところが未了事業のウエイトの高いものでございます。残りは、予定が相当多いものですから、それぞれ拮抗しているという形でございます。

  特に、下水道事業は、先ほどの河川と同様に非常に息の長い事業が多いことが特徴かと思います。

  参考資料1の63ページをご覧いただきますと、これは○○道県の例でございますが、4.下水道をご覧いただきますと、先ほどと同様に終了見込み年度が書いてございます。○○では平成37年度、○○では平成55年度、○○は平成60年度終了見込みということで、半永久的に続くような性格の事業ということを反映しているかと思います。

  以上が、個別事業の終了見込み年度を集計したものでございます。

 次に、2.新産等債起債額等調査でございますが、これは資料1の12ページ13ページに原集計値を掲載しておりますが、ちょっと見えにくいものですから、10・11ページのグラフ化したものでご説明させていただきます。

 ・新産等債につきましては、後ほどまた資料2でご説明いたしますけれども、支援措置といたしまして、引上げ、起債の枠の拡充でございますが、引上げと利子補給という2つの支援措置がございます。10ページにつきましては、そのうちの引き上げ分について整理したものでございます。

  図2−1が新産等債の引上げ分等の年度別推移でございます。黒い棒グラフが道県負担額でございます。この他に全体としましては別途国庫負担額等ございますが、とりあえず今回はそれを捨象いたしまして、道県負担額を棒グラフ化したものが黒い部分でございます。白抜きの棒グラフが、新産等債引上げ分でございます。Aのうちの一部でございます。このAを分母、Bを分子とした割合が三角形の折れ線グラフでございます。年によって変動がございますけれども、5か年平均で大体12%ぐらいが引上げ分の割合ということになっております。

 この引上げ分の事業別の内訳を見たものが図2−2でございます。圧倒的に道路、港湾のウエイトが高くなっております。これは事業数がもともと高い、あるいは事業別によって引上げ率がまちまちなのでございますけれども、引上げ率が高いものが出てきた、あるいは事業数の高いものが出てきたということかと思います。

 11ページにまいりまして、2つ目の支援措置であります利子補給の状況でございます。図2−3が利子支払額等の推移でございまして、黒い棒グラフが利子支払額でございます。実数はその下に書いてございますけれども、例えば、8年度が176億円、9年度が178億円等々というのが実績額でございます。これに対してまして、白抜きの棒グラフ、ちょっと小さくて見えにくいのですけれども、これが利子補給額でございます。8年度は6億9,600万円、9年度は6億2,400 万円等々ということでございます。白抜きの棒グラフは小さいものですから、図2−4はそれを拡大したものでございます。ですから、中身は同じでございます。黒の棒グラフ、すなわち利子支払額は平成10年度以降年々減少しております。これは断定的には申し上げられないのですけれども、最近のリースの低下を相当反映したものというふうに私どもは理解しております。利子補給額も年々減少しているわけでございますけれども、これにつきましては、近年の金利の低下を反映したもの、あるいは後ほどご説明いたしますが、そもそも平成4年度以降は制度としては利子補給がございますが、最近大変低金利が続いておりますので、利子補給する限度額を下回っております。実際、平成4年度以降発行された債権は利子補給が行われておりません。こういった実態も反映したものだと私どもは理解しております。これは後ほど、資料2で制度をご説明するときに再度申し上げたいと思います。

 以上が、新産等債の発行状況等でございます。

 次に、3番目の調査でございます3.国庫負担のかさ上げ額等の調査結果でございます。これにつきましても17ページ以降に原集計値がございますけれども、表ですと見づらいものですから、15・16ページのグラフでご説明したいと思います。

 15ページにまいりまして、図3−1が・国庫負担かさ上げ額の年度別推移でございます。黒の棒グラフが市町村負担額でございます。先ほどと同様にこの他に国庫の負担額、あるいは事業によっては県の負担額等々ございますが、それをわかりやすくするために捨象してございます。また小さくて見えにくいのですが、白抜きの棒グラフ、これは国庫補助かさ上げ額でございます。折れ線グラフが市町村負担額に占めます国庫補助かさ上げ額の割合でございます。これは例によって変動しておりますけれども、右の目盛りでございますけれども大体1%前後でございます。これを見ますと比較的小さい数字のように思われるかもしれませんが、実は新産・工特地区の市町村数は全部で349 ございます。そのうち、その年の財政力指数によりましてかさ上げがあったりなかったりします。5か年で、かさ上げがある市町村を全部足し併せますと155市町村ございます。ですから、349市町村のうち155 市町村のものが白抜きの棒グラフで表れているということで、黒の棒グラフの方は349 市町村の合計ですから、それは相当薄まっているということで、こういった小さな数字になっているのかというふうに私どもは理解しております。

  個別の市町村を見た方がいいかと思いまして、表3−2でございますけれども、個別の市町村に当たってみまして、B/Aの割合が多いものを順に整理してみました。例えば、○○道県の○○ですと、市町村負担額16億円強に対しましてかさ上げ額は2.6億円、比率が15.63%ということで、相当大きな比率であるということでございます。以下、同様に、○○道県の○○は15%、○○道県○○は14.7%、○○道県県○○は14.4%、○○道県○○は14.3%、○○道県○○は12.2%、○○道県○○は11%、○○道県○○10.6%、○○道県○○10.6%、○○道県○○10%ということで、個々の市町村を見ると相当大きな数字でございます。影響のある市町村にとっては非常に大きな影響があるということが言えるかと思います。

  16ページにまいりまして、これは事業別に割合を見たものでございます。これは圧倒的に下水道事業がかさ上げの割合が多いものでございます。これまで話題になっているとおりでございます。

  17ページにまいりまして、原集計値は事業別、年度別の集計値でございます。

  18・19ページは、先ほど「個々の市町村を見る必要があるか」と申し上げましたけれども、個々の市町村の集計の表でございます。これで見るともっと極端な数字が出ておりまして、例えば、○○道県○○も厚生施設の5か年平均のB/A、一番右側ですけれども、これをご覧いただきますと50%ということで、事業のうち5割はかさ上げ額であるといった個々の事業を見るとこのような実態があるわけでございます。

 以上が、かさ上げの調査結果でございます。

 20ページからが4.重要港湾に関する調査の集計結果でございます。

 重要港湾につきましては、後ほど制度でご説明いたしますが、現在、新産・工特地区の重要港湾につきましては、「市町村に負担させてはならない」という制度になっているわけでございます。これにつきましては、もし仮に平成13年度以降、新産・工特制度が廃止された場合に、「市町村に負担をさせますか、させませんか」ということを尋ねたものです。ちなみに、「新産・工特制度なかりせば、市町村に一部を負担させるかさせないかは県の判断でできる」というのがもともとの一般則でございます。そういった一般則があるものですから、「新産・工特制度が廃止された場合はどうしますか」ということをお尋ねしたものでございます。この中の数字が入っております。例えば、総事業費、あるいは県負担額、あるいは歳出予算額、あるいは負担見込額といったものは、あくまでも、脚注にございますが10年度の事業費をベースにしております。13年度以降の数字はわかりませんので、10年度の事業費をベースに負担見込額を試算したものでございます。あくまでも試みの計算ということをご理解いただければと思います。

 あとは、斜線の網かけがございます○○道県の○○、○○、○○、○○、あるいは○○、○○の県境にあります○○といったところは、港湾管理者が道県ではないものですから、市であったり、港湾管理組合であったりするものですから、先ほど言いました一般則で「県は市町村に負担させることができる」というルールが、そもそも県が管理者であるものですから適用される、一般則が適用されるという意味で、「将来、廃止した場合どうしますか」という議論になじまないものですから、それで網かけをしてあるというものでございます。

 真ん中のあたりに「負担予定の有無」ということで「○×」がございます。ここは

「○」は「仮に制度が廃止された場合には13年度以降負担させるつもりである」というお答えをいただいたところでございます。「×」は「仮に制度が廃止されても負担させるつもりはない」・「現状どおり県が肩代わりする」というお答えをいただいたところでございます。「未定」というところもいくつかございます。これは現段階では「県としては態度を決めかねる」というところでございます。「○」のところにつきまして「13年度以降、市町村に負担させるつもりである」というところですが、負担見込額を試みに計算しております。これは「県負担額」掛ける「予定負担割合」、これは事業によって異なりますが、県によっては「まだ決めていない」というところもございますけれども、数字をいただいたところにつきまして計算したものは負担見込額でございます。

 「歳出予算額 A」につきましては、市町村の財政はどの程度の影響があるかというものを見るために、それぞれの市町村の全予算額を集計したものでございます。その市町村のトータルの財政規模ということになるかと思いますけれども、例えば、○○の場合ですと、全予算額が約800億円あるわけでございます。これに対しまして、仮に10年度と同額であるとすれば負担見込額が約10億円になるということで、市町村の財政から見ても1.24%という大きな負担割合になるというお答えをいただいているわけでございます。

  もっと極端なところでいきますと、22ページにまいりまして、○○地区でございますが、○○道県の○○は全財政規模が56億円であることに対しまして、仮に負担させると3億円近くいく、5%近い予算を一挙に負担を負うことになるといったお答えをいただいているわけでございます。また、金額ベースで見ますと、同じく○○道県の○○は14億円が負担見込額になるという試みの計算を立てているわけでございます。

 このように、港湾関係は仮に制度がなくなるとすると、相当大きな影響が考えられる集計結果になっているわけでございます。

 最後に、5.減収補てん額の集計結果でございますけれども、24ページ以降でございます。この減収補てん額と申しますのは、後ほど制度の方でご説明いたしますけれども、不動産取得税、あるいは固定資産税につきまして、道県あるいは市町村の判断で企業誘致をした際に税を減免することができるということが一般則してあるわけでございます。減免した場合に、新産・工特地区については特に、減免分の一部を地方交付税で補てんするという制度があるわけでございます。一定の要件の下にでございますが。その実績を集計したものが25ページにまいりまして、道県別の不動産取得税でございます。

  26ページは道県別の固定資産税でございます。ただ、厳密に言いますと、脚注にありますが、固定資産税で大きなものは道県税でございます。小さな固定資産税は市町村税でございます。ただ、道県の大きな固定資産税については、実績がございませんでしたのでここでは集計を省略しております。これが減収補てん額の調査結果の集計でございます。

 以上、制度の詳細ご説明がまだ一部おわかりにくいとところがあったかと思いますけれども、第2次道県アンケートの集計結果でございます。

○成田委員長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に対しまして、何かご質問がございましたら、ご自由にご発言をお願いいたします。

 ちょっと伺いたいのですが、新産・工特の未了着工予定事業ですが、これは相当先の話まで書いてあるので、もちろん新産・工特の計画に載っているものではないわけですよね。

  個々の道路5か年計画とか、下水道整備の計画とか、港湾計画とか、そういうものに載っているものも全部ここに突っ込んであるわけですね。

○田巻参事官 結論から申し上げればそのとおりでございますが、具体的には、参考1をご覧いただくとわかりやすいかと思いますけれども、例えば、2ページをお開きいただきますと○○道県の例でございますが、○○道県の「2.道路」の下に小さな字で恐縮ですけれども、新産・工特の基本計画にはこの小さな字で書いたものが計画に載っているものでございます。全部網羅すると大変ボリュームが多くなりますので、代表的なものしか計画には載せておりません。しかし、実際、この支援措置の対象となるものは、その地区で行われる事業、一定の指定要件はございますけれども、計画に載っていなくても地区の事業で要件を満たすものであれば支援措置の対象となるということで、具体的にはここに挙げたような個別事業が載っているわけです。そういったことで、委員長ご指摘のとおりでございます。

○成田委員長 小さく書いてあるのは抽象的なものが割合に多いですね。

○田巻参事官  さようでございます。

  例えば、7.海岸でございますと、「波浪、高波対策や海岸浸食防止のための海岸保全事業等を進める」というふうに抽象的なものも多くございます。

○成田委員長 平成30年とか37年とあるのは、「やりたい」という希望だけではないのですか。

○田巻参事官 一応、この表で着手予定年度が空欄になっているところは、既に着工しているものでございます。終了見込年度はそのとおりなのですが、ここに書いてあるもので、着手予定年度が空欄のものは、「やりたい」という希望というよりも、既にやっているものでございますから、現実のものとなっております。

 例えば、4ページをご覧いただきますと、着手予定年度の港湾のところで「未定」というのがございます。終了見込年度も「未定」というものがございます。こういうものは、委員長がおっしゃったように「やりたい」という希望を反映したものということが言えるかと思います。

○  委員 港湾整備の仮に廃止された場合の市町村負担額試算表ですが、その意味は、「総事業費」の平成10年度の値は、つまり廃止された後続けて、この年度総事業費がかかったとしてということの説明ですよね。

○田巻参事官 平成13年度移行の総事業費はまだわからないものですから、仮に平成10年度と同じ額だったとした場合どのぐらいの額になるかということでございます。

○  委員 負担予定の有無が「×」になっているところは、市町村に負担させないつもりだと。

○田巻参事官 アンケートの段階では、県の中の議論ではそういう方向で議論しているということでございます。

○  委員 そうすると、廃止されても県がもつ……。

○田巻参事官 そうですね、肩代わりをそのまま続けるということでございます。

○  委員 港湾の場合は、先ほどの「未整備」、完了していないというのが多いのですが、そうするとほとんどがそこに入るから、ある程度の事業費がこのままやってもあると仮定したらこうなるということですね。

○田巻参事官 そういうことでございます。

 補足いたしますと、アンケートでは聞いてないことなので私の推測になりますが、先ほどの負担予定の有無のところは、一部例外がありますが、道県の中にも新産地区とそうでないところがあります。新産地区でないところに重要港湾を持っている県、これは既にそこに市町村負担をさせている県は、県などで横並びで、かりに新産・工特地区でなかった場合には負担させるという方針のようでございます。ただ、そういった新産・工特地区以外に重要港湾がないところは、新産・工特地区が1つしかないものですから、そうしますとこのまま続けても道県のバランスが崩れるからそのままでいるかなと。1,2例がありますが、地区であるかないかをみますと、そういったことが推測されます。これは私の推測でございますけれども。

○  委員 下水道のところで○○のところだけが永遠に長いのですが、どうしてそういうことになってしまうのだろうかということと、今の港湾の話もそうなのですが、一般になかなか前に進んでない理由と、長くなりそうだということと裏腹になっているのではないかという気がするのです。例えば、私が何年か前に、この前の会の時に、○○に行きましたが、港湾の整備は終わっているけれども、いろいろな意味で利用者がつかないから整備をその分だけ遅らせている。それはその分だけ終了年度が延びるということになっているわけで、つまり、長く延びているということはいらないということを強く言っているようにもみえるのですけれども、それが、しかしまだまだ延びますよというふうに逆に読めてしまうように読めてしまうというのが、このデータの微妙なところで、どっちとして判断したらいいかすごくわかりにくい。

 私は港湾の例しか知らないから、そう簡単に他のことについて言えるかどうかわかりませんが、これだけで言うと、つまりアンケートを取ったときの道県側の受け止め方がどういう感覚なのかということです。延びる理由はどういう理由で、それは本当に将来投資することが意義があって見返りがあると予想できるのか。なかなかないから延びているのかということに関して、何か答える側はずうっと続いていてほしいから「続いている」と淡々と書けば、まだまだ延びるように「継続中で」、「未定で」、「未了で」ということになってしまうのだと思うのですが、ここをうまく判断することはできないのでしょうか。

○田巻参事官 まず最初のお尋ねの○○でございますが、アンケート表については、数が膨大なものですから、これ以上詳しい答えを求めてないものですから、ここにあるのがすべてなので……。

○  委員  ○○周辺の公共下水道の話ですよね。他のところはみんな10年以内のところで、通常、下水道というと長くかかっても15年から20年の範囲のところで終わると思うのですが、ここだけは「永久に終わらないぞ」という感じで、何か特異な環境にあるのかもしれませんけれども。

○田巻参事官  確かに○○55年度、○○60年度とか相当長期間なことは事実です。おそらく市町村はそれぞれ個別に下水道整備計画を持っているのではないかと推測するのですが、そういったものに基づいてお答えいただいたものだということで、「終わらないぞ」ということでは必ずしもないのではないかなと思っておりますけれども。いずれにしても、これ以上詳しいアンケートをしておりませんので詳しい材料を持ち合わせておりません。

 2つ目の、長い事業についてむしろ長引かせているのではないかというようなお話でございますが、これも、これ以上詳しいアンケート結果をいただいておりませんので推測なのですが、おそらく事業の性格、もともと港湾にしても下水道にしても、数十年かかる事業だということは私ども常々市町村あるいは道県の方とお話ししてもお話いただいておりますので、そういった事業の性格を反映させているのかなというふうに理解しております。個々に子細に見れば、委員は先ほど実際にそういうお話を伺ったということですから、ちょっと長引かせるということが個々に子細にみればあるのかもしれませんけれども、私どもとしては元々事業の性格として長い時間がかかる、港湾の方と話をしていても、港湾というのは50年100年かかる事業なのですということをおっしゃるのですけれども、そういった事業の性格を反映しているのかなと理解しております。

○成田委員長 ○○委員がおっしゃった第2の問題については、最近、漁港の行政監察があったのです。新聞にも載っていましたが、漁港の中には、せっかく作ったけれども荷さばき施設や倉庫がないものだから全然使われていないというのがあるのですね。

○  委員  そういうものがあれば使いたいと……。

○成田委員長 それは投資をしなげればできないわけで、やはりよく探せばそういうのがいっぱいあるのではないですかね。

 最近は事業評価がいろいろ行われていますから、そういった事例が出てくるのではないかと思うのですけれどもね。

○久元課長 下水道なんかで10年から15年で完成してしまうということでの方が……。

○  委員  いや、通常考えると、再更新しなければどう考えても25年以内ですよね、普通は。だから、基本的に初めからすごく長期に計画を立てることが計画と言えるかどうかとか、その間に事情とか状況がみんな変わってしまうし、そういうことがあり得るのかなという感じがするのです。

○久元課長  地方負担が、財政がなかなかついていかないということがあって、下水道の場合は事業が長くかかるという例はかなり多いと思いますし、それから、下水道の普及率が100%近くなっても、指定都市などは特にそうなのですが、老朽化の更新みたいなものも出てきますし処理場だって古くなってきますし、ですから下水道事業はかなり長いスパンで取り組んでいるというのが実態ではないかなと思います。

○  委員  私、下水道事業団の入札監視委員会というのを5年間続けてきて、全国のこの5年間の事業の例を全部見ているのですが、通常、こういうことはいくら何でもないですよ。計画でこれだけ延びてしまうというのは普通は考えられないと思いますけれども。 それから、今だと事業の再評価のときに、こんな長い期間の計画になっていたら、もちろん即見直しになると思うのです。5年と10年という中に引っかかってしまうはずなので、そういうことはなかなかあり得ないと思いますけれども。

○成田委員長 流域下水道を作ってそれからということがあると相当かかるでしょうけれども、そういうことではないんですよね、あれ。

○  委員  公共下水道で流域の可能性は十分あるのですね、全部それにどうやってつなげるかという、だけど、これ公共下水道って書いてあるんですよね。だから、県の仕事ではなくてそれぞれの自治体にも分かれてますよね。だけど、扱いは○○ベースの流域型の扱いになっている感じに、全体で一体でやっているようにみえなくもないですね。

 でも、する担当者が計画を作るときに、それだったらほとんど計画とは言わない、ただ長いだけというのではないですか。やはりきちんと財源も計算されていないと計画と言わないのではないかと思うのです。他のところは考えられる範囲の期間になっているのに、○○だけが長いと思うのですけれども。

○成田委員長 河川なんかだと「百年河清を待つ」という言葉があるぐらいだから、100年単位の事業があり得るのかという話に……。

○  委員 下水道は1年ごとに事業費が取れないから小分けにしているのかなと思うのですが、本当はよくないのですね、環境上も何とかしなければいけないから、あまり長々といつまでも下水道を作られたのでは困るのでおかしいかなと思いますが、でも、まだ下水道というのは、要するに延長をどこら辺までしなければならないというのは比較的明確になるのですが、港湾などの計画はやっているうちに第何次といって、水深がもっと深いのが必要とかそうなってきて、完了というのがないみたいな計画になっていくのではないか。まだ下水道なんかの方が完了することはあり得るけれども、港湾みたいなものはますます「もっと必要」となってきて終わらない。そうすると、計画が「未了」という枠内に常になり得るわけで、そこら辺はちょっと考えないと評価ができないのかなと思いますけれども。

○成田委員長 ○○港も○○港もまだやっているでしょう、次から次へ。あれは港湾計画を改定してやっているのだと思うのですけれども。そういった意味では終わりがないという感じがしますね。

○  委員  結局、この事業としてその事業を継続するかそうでないかということになるわけですね。簡単にこの事業から通常の事業に転換できるかどうかという問題が一番深刻になるということです。

 それでも数が多いですね(笑)。これだけを1つ1つについて何か処理をするということはあり得なくて、そこで一括処理をするようにことをしないと。今でもそういう方向になるのかもしれませんけれども、ちょっと……。

○成田委員長 これを拝見していると、仮にやめるとした場合に影響が及ぶ範囲程度というのはかなりバラつきがありますよね。

○田巻参事官 そうですね。

○成田委員長 全部が平等にタメージを受けるという意味ではなくて、かなり一部に偏っている。そうすると、どういうふうなことにすればいいのかですね。

○田巻参事官 事業によっても地域によっても偏りがあるかと思います。

○成田委員長 だから、あまり具体的には書けないかもしれない。

 続きまして、2番目の議題である「新産・工特の今後の在り方」、今、ちょっとそういう話に入りかけていますので、それについて事務局から説明をいただき、また議論をしていただきたいと思います。質問がありましたら、そのときにまたさかのぼってお願いしたいと思います。

○田巻参事官 資料2に沿いまして「新産・工特制度に係る支援措置について」ををご説明申し上げます。

 これは概要はご紹介してきたところですが、今回もう少し詳細にご紹介したいと思います。

 1ページが1.新産・工特制度に係る迂遠措置(総括表)でございます。

 市町村を対象とするもの、道県を対象とするもの、企業を対象とするものと3つあるわけでございます。市町村を対象とする例といたしましては、今、下水道等で話題になりましたが、特定事業に係る国庫補助率のかさ上げがございます。地方税の不均一課税に伴う減収補てん。これは先ほど申しました固定資産税の減収補てんでございます。港湾整備における市町村負担免除の3つがあるわけでございます。

 道県に対しましては、一般部分のかさ上げを含めて新産等債という特別の起債が認められているということでございます。その新産等債について利子補給が行われるという支援制度。3つ目が地方税不均一課税に伴う減収補てんということで、不動産取得税、あるいは大規模固定資産税に対する減収補てんでございます。

 3番目の企業を対象とするものにつきましては、事業用資産の買換え特例、これは国税でございます。特別土地保有税の非課税、これは地方税でございます。日本政策投資銀行等による低利融資といった支援措置があるわけでございます。

 それぞれにつきましてもう少し詳しくご説明してまいりたいと思います。

 3ページにまいりまして、上の破線に囲まれたものが典型的なモデルケースということで書いてございます。それが通常の市町村と、新産・工特指定市町村がどういうふうに違うかというものを対比させて書いてございます。

 まず、かさ上げですが、破線で囲まれた四角の中のモデルケース、かさ上げは下水道が典型的ですが、仮に総事業費を3億円としますと、一般的には国庫補助が2億円、地方負担が1億円になります。そのうち負担は道県と市町村が半々で5,000万円ずつ、これが典型的なケースでございます。

  これが新産・工特がなければ1.通常の市町村のケースのように、モデルケースの国庫負担が2億円、道県が5,000万円、市町村が5,000万円となるわけです。これが新産・工特地区ですとかさ上げがありまして、かさ上げ率は市町村の財政力指数によって個々まちまちでございます。仮にかさ上げ率5%と仮定いたしますと、国庫補助掛ける5%で1,000万円がかさ上げ額になるわけです。ですから国庫補助かさ上げ額が1,000万円増えて、その分市町村負担額が1,000万円減るということで、結果的に国が2.1億円、市町村が4,000万円、道県が5,000万円になるということでございます。これは比較的単純なケースかと思います。

 4ページにまいりまして特定事業に係る国庫補助率のかさ上げ措置の仕組みについて(詳細)。先ほどもちょっと申し上げましたが、財特法の施行例の第4条で決まっておりますが、住宅から中央卸売市場まで全部で10事業がかさ上げの対象になっているわけでございます。

 5ページにまいりまして、細かい計算式でございますが、時間の関係で説明を省略させていただきます。

 6ページにまいりまして・港湾整備(重要港湾及び指定重要港湾)における市町村負担免除の仕組みについて。これも比較的単純でございますが、破線の四角の中のモデルケース、仮に総事業費が10億円としますと、国庫補助額は半分の5億円、この半分が地方負担ということになるわけですが、その地方負担がさらに道県が3.5億円、市町村が1.5億円。これは(注)にございますが、地方負担額のうちの30%を市町村が負担すると仮定した場合、これは県の自主裁量によりますので、0%から33パーセントまで県によって幅がございます。このケースでは30%と想定しております。

  仮に新産・工特地区でなければ1.通常の自治体のケースのように、国庫補助額が5億円、市町村が1.5億円、道県が3.5億円、合わせて10億円ということになるわけでございます。2.新産・工特関係自治体になりますと、市町村に負担させてはならないということになっておりますので、道県が肩代わりするということで、結果として国が5億円、道県が5億円ということになります。

 なお、このかさ上げは先ほどかさ上げと若干異なりまして、先ほどのかさ上げの場合は、国負担分と地方負担分が微妙にずれまして、先ほどのかさ上げのモデルケースでいきますと、国負担分が3分の2強、地方負担分が3分の1弱と、ちょっとずれたのですが、港湾の場合は市町村分を道県が肩代わりするだけですので、国対地方の割合は50対50で変わりません。

 7ページにまいりまして、根拠法理でございますが、港湾整備(重要港湾及び特定重要港湾)における市町村負担免除の仕組みについて(詳細)。

 受益者負担の原則というのが上の四角で囲んだ中にあります。地方財政法で一般的な受益者負担の原則を定めておりますし、また、港湾法でも港湾に関する受益者負担の原則を定めております。

 (参考)の2つ目の○に港湾法43条の4の抜粋がございますが、「港湾工事によって著しく利益を受ける者があるときは、港湾管理者は、その者に、その利益を受ける限度において、その港湾工事の費用の一部を負担させることができる。」ということで、港湾管理者が道県の場合には、一般則としては市町村に負担させることができるということですが、「負担させてもいいし、させなくてもいい」ということでございます。そこは港湾管理者の裁量であるということでございます。

 ところが、受益者負担の原則の排除というものが新産・工特の場合に定められております。四角の中を読み上げます「しかしながら、市町村の受益事業であっても、国又は都道府県が実施し、その経費を負担する道路、河川、砂防、港湾及び海岸に係る大規模かつ広域にわたる一定の事業に要する経費については、市町村に負担金を課することが禁止されており(地方財政法27条の2)……」、特にそれを具体的なものとして、地方財政法の施行令で港湾が指定されているわけでございます。

 (参考)の下の方の○でございますが、地方財政法施行令第16条の2の抜粋でございます。「港湾法第2条第2項に規定する重要港湾に係る同条項第7条に規定する港湾工事で、新産業都市建設促進法第10条若しくは工業整備特別地域整備促進法3条の規定により内閣総理大臣が同意した新産業都市建設基本計画若しくは工業整備特別地域整備基本計画に基づき、又は産炭地域振興臨時措置法施行令第4条に規定する地区内において、運輸大臣又は都道府県が行なうもの」ということで、新産・工特の場合は受益者負担の原則が排除されているわけでございます。

 もともと新産・工特制度は最初の全総で拠点開発方式という理念に基づいて発足した制度でございまして、1拠点の拠点開発をすればその効果が周辺に及ぶだろう、ジワーッと周辺に及んで、結果的に日本全体が浮上するだろうという理念に基づいて始まった制度でございます。そういった意味で、港湾が立地している当該市町村だけではなくて、そのメリットは周辺市町村にも及ぶはずだ。拠って立地市町村だけに負担させるのはいかがなものかという考え方でこういった受益者負担の原則の排除が定められているわけでございます。

 8ページ・9ページですが、新産等債の仕組みについてでございます。これはちょっとややこしいものですから、壁に紙が張ってありますので、そちらでご説明させていただきます。

 字が小さいので、お手元の資料と併せてご覧いただきたいと思います。

 上のモデルケースは河川の例でございますが、総事業費が2億円、うち国庫負担が1億円、道県負担が1億円というケースについてご説明しております。

 通常の道県の場合、国庫負担はここにありますが、国庫負担を省略しまして道県負担だけを図にしております。道県負担が通常の負担額と超過負担額と2つに分かれます。通常の負担額。これちょっとややこしいので省略いたしますが、11ページにありますが、ややこしい計算をした結果、通常負担額が出てくるということでありまして、結果的に道県負担額から通常負担額を引いたものが超過負担額になります。この超過負担額は差引き計算で出てくるものであるというふうにご理解いただきたいと思います。

  そういうことで、道県負担が2つの制度がございます。このうち一般のケースですと95%、(A)一般公共事業債という地方債の対象になります。これは正確に言いますと、95%というのは毎年の地方債の許可方針で決まるもので毎年、毎年違いますけれども、ここ数年は95%で一定しておりますので、大体95%が一般公共事業債であるというふうにご理解いただきたいと思います。

  残りの5%が(B)一般財源ということになりますので自主財源を充てる。自分のところの地方税を充てる、あるいは地方交付税を充てる。自主財源を充てるということでございます。これで全部で100になるわけでございます。

 1.通常の道県のケースは比較的単純なのですが、2.の新産・工特指定道県の場合はちょっとややこしゅうございまして、通常の負担額、先ほどややこしい計算で出てくる20%のところですが、これはとりあえずそのままでございます。超過負担額、先ほどの差引き計算で出てくる80%ほどのところでございますが、ここが新産等債に一部振り替えられます。新産等債は2種類ございまして、(C1)の通常分というものと(C2)の引き上げ分がございます。引き上げ率はまた事業によって違うものですから、これまたややこしいのですが、いずれにしろ通常分と引き上げ分(C1)と(C2)の2つございます。

 (C1)の通常分のところ、これは一般公共事業債から振り替えております。ここはあまり大きな問題は生じないのでございますが、(C2)の引き上げ分は一般公共事業債を押し出す形になります。押し出した結果どういうことが生じるかと言いますと、網掛けの部分ですが、これは脚注にありますが、最終的に地方交付税によって補てんされる部分でございます。ですから、通常道県の中に95%起債があっても最終的には交付税で補てんされるわけですが、新産等債に振り分けると引き上げ分については将来的に交付税の補てんではない、ある意味で、言葉は悪いですが「損する」という制度でございます。

 (C1)の部分は地方交付税の補てんがあります。網掛けですから補てんがありますからいいですが、(C2)は補てんがないので損する部分でございます。

  ただ、押し出された分、これを仮に(D)と置きます。これを一般財源に充当することができます。(B’)の部分です。一般財源に充当することができます。しかし、モデルケースですと一般財源に充当してもまだ27残るわけです。32から引くと27残ります。この残った27の部分を仮に(E)と置きますと、この(E)は他の事業の一般財源部分に充てることができる。こういう意味ではメリットがあるわけです。ですから、こういった一般財源に充てておいて、あるいは他の事業に充当することができるというメリットはございますが、将来的に交付税の対象になっていないと思います。ここがその段階でソロバンをはじいたというところでいろいろ事業実績に差が出てくるのだと思いますけれども、いずれにいたしましても、ちょっとややこしくて恐縮ですが、こういったものが新産等債の対象になります。

 これに利子補給の問題があります。利子補給は新産等債の引き上げ分と通常分、(C1)、(C2)両方が利子補給対象になります。もし、金利水準が高ければ(C2)の部分、ここは利子補給の対象になりますから、そういったメリットもございます。ですから、他に振り分けられるあるいは利子補給の対象になるというメリットと、交付税の補てんの対象にならないというデメリットをここをどうソロバンをはじくかという面が最終的に県の財政のマターになろうかと思います。

 9ページにまいりまして・利子補給の仕組みの概要でございます。

 これまたややこしくて大変恐縮ですが、これまで5年ごとに制度を延長してきているわけですが、その都度、利子補給の下限の率は変わってきております。脚注にございますが、第4次の議論をした頃は下限率は4.5%ですが、第5次の頃には5.0%、今次の第6次の頃には3.5%ということになっているわけでございます。

  図表には△、○、◎で整理しておりますが、△のところが下限4.5%のところです。○が下限が5.0%の部分、◎が下限3.5%の部分でございます。

  実際の金利がどうだったかというのが政府資金の利率という欄にございます。これが実際の金利のこれまでの推移でございます。平成2年度の金利は7.01%ですから、4.5、5.0、3.5いずれも裾切りのままでございますから、これは利子補給の対象になるわけでございます。同様に平成3年度は6.4%金利ですから、いずれであっても利子補給の対象になります。平成4年度は5.04%ですから、かろうじて○の5.0%を上回ってますから、いずれの年度も利子補給の対象になります。

  ところが平成5年度になりますと金利が4.26%になっております。ということは、○の部分の5.0%の利子補給基準を下回っております。△の部分も4.5%で利子補給基準も下回っています。ということで5年度は利子補給の対象になりません。制度上はなるのですが市中金利との関係でなりません。あと、同様に、細かく言うとややこしいのですが、いずれも政府資金の利率が4.5なり、5.0なり、3.5の利子補修基準を下回っておりますので、結果としてこの網掛けの部分は利子補給の対象になりません。

  正確に言いますと、11年度までは実績が出ておりますが、12年度は来年の5月に金利が決まりますので、確定ではないのですが、今の市中金利の水準が続けば対象にならないであろうということですが、資料中、網掛けの部分は利子補給がないと予想されるというのはそういう意味でございます。断定的には申し上げられませんが、ほぼそういった感じになっているわけでございます。

 そういうことで平成3年度に発行されたものは平成4年度から利子がつきますので、平成3年度に発行された債券までは利子補給の対象になっております。しかし、平成4年度に発行されたもの以降は、これ、固定金利ですから発行されたときと金利は同じですから、平成4年度に発行されたものは平成5年度から利子がつきますが、先ほど言いましたような格好で、利子補給基準を下回っておりますので、平成4年度のものは利子補給の対象にならない。以下、同様に平成4年度以降発行された債券は、平成11年度までは利子補給の対象にならないということが確定しております。平成12年度は厳密に言いますと来年の5月の市中金利で決まりますので、今、確定的なことは申し上げられませんが、こういったことで、ここは利子補給の対象になっていないということは、先ほどの実績で言いましたように利子補給がダーッと減ってきているわけです。14年度以降は利子補給額はありませんでしたけれども、こういったことで利子補給の対象の債券がないということが理由でございます。

 10ページにまいりまして、新産等債及び利子補給の仕組みについて(詳細)でございます。利子補給の対象になる事業、政令で決まっている事業。こちらは全部で11事業ございます。

  11ページが詳しい積算の方法ですが、時間の関係で省略させていただきます。

 12ページにまいりまして、地方税の不均一課税に伴う減収補てんの仕組みについてでございま

す。

 1.制度の概要でございますが、「地方税法の第6条の規定に基づいて、一定の条件のもとに新産・工特地区内において関係道県又は市町村が不動産取得税又は固定資産税について不均一課税を行った場合に、その減収分の一定額について普通交付税で補てんする」というものでございます。

 減収分の一定額というものは5.減収補てん額算定方法ですが、道県の場合には8割、市町村の場合には7割5分、これにつきましてここにありますように掛け算をしたものでございます。

 不動産取得税は、土地建物でございますが、取得した年度、税の仕組み上当然でございますが単年度でございます。固定資産税は、課税が行われた年から3か年間だけ補てんする。4か年目以降は補てんしないというものでございます。

これは、全部の市町村、道県が受けられるわけではございませんで、2.要件の「適用団体」というのがございますが、地区指定時、昭和39年から昭和41年にかけて地区指定が行われたわけでございますが、その当時の財政力指数が0.46未満の道県、あるいは0.72未満の市町村がこの制度を受けられる対象になるところでございます。

  この中でさらにまた道県あるいは市町村の判断で、「いや、うちはそもそも交付税の不均一課税をやらない」「やる」というのは、公共団体の自主裁量の余地がありますので、最終的にはここから絞られることになるかと思いますが、いずれにしてもこういったところに対しまして減収補てんを行なうという制度でございます。

 13ページ以降、企業に対する支援措置でございます。13ページが税制上の措置の仕組みについてでございます。

 1.が国税の関係でございます。事業資産の買換え特例。事業資産の土地等を買換えた場合には、その譲渡益、差額の8割について課税の繰延べが認められているということでございます。

  2.特別土地保有税の非課税措置 これにつきましては非課税措置が講じられているということでございます。なお、これは厳密に言いますと、この2つの税制につきましては、国税は租税特別措置法あるいは地方税は地方税法で決められておりまして、これは以前に一ぺん程度審議されております。ですから新産・工特に基づいて5年間、必ずしもそういうものではございません、正確には租税特別措置法、あるいは地方税法で年々議論されているものでございます。その点よろしくお願いいたします。

 14ページにまいりまして、これも企業に対する支援措置でございますが、金融上の措置の仕組みについてということで、日本政策投資銀行、あるいは中小企業金融公庫、あるいは国民生活金融公庫というところが新産・工特につきましては一定の要件の下で貸出制度を設けていただいているということでございます。

  なお、これら税制、あるいは融資制度の実績につきましてはアンケートの集計はありませんでしたが、1ページの総括表の右側に平成10年度利用実績を書いておりますので、この辺の支援措置の規模のイメージを持っていただければと思っております。

  資料3でございますが、先ほど既にちょっとご議論がございましたけれども、ご議論いただきたい論点でございますが、例えば第2次道県アンケートを踏まえて、あるいは(参考2)、(参考3)といったようなものを踏まえまして、「第6次基本計画の進捗状況をどう評価するか」、「各支援措置の実績及び効果をどう評価するか」、「財政特別措置に対する関係自治体の財政依存度をどう評価するか」といったようなことにつきましてご議論いただければと思いますし、また、先ほど資料2でご説明申し上げました制度の仕組みといったようなものも踏まえまして、「仮に平成12年度末で制度を廃止した場合、関係自治体における残事業の実施に支障をきたさないか」とか、「仮に制度を廃止するとした場合に何らかの経過措置を講じるべきか」とか、「仮に経過措置を講じるとした場合にはその必要かつ十分な内容はどのようなものが考えられるか」といったようなことにつきまして、本日、ご議論いただければと思っております。以上でございます。

○成田委員長 ありがとうございました。

 ただいまのご説明に対しまして、まず質問がございましたら承って、後は、論点にはなかなか難しいものが多いのですが、論点につきましてもご意見を賜りたいと思います。

  ○○委員、先にご退出になるということですので、何かございましたら、今のうちにご発言をお願いいたします。

○  委員   質問ではないのですが、結論めいた感想を言ってしまうと、ここで議論すべきことは、関係自治体の財政当局が困るか困らないか、あるいは事業セクションが困るか困らないかということではなくて、国土政策上、あるいは産業政策上、これをやめた場合どういう支障をきたすかきたさないか、あくまでもその観点で議論すべきです。

  そういう観点で考えてみた場合、先ほど、港湾の例などがありましたけれども、今回、私、現地に行ってませんけれども、見る限りでは四半世紀以上前の計画で、いまだに高度成長の夢を追っているような事業をいつまでも国の政策で支援しながら存続させることの方がむしろ罪深いのであって、この際、少なくとも国土政策上の支援は断ち切って、あと、道県と市町村が、あるいは港湾局と協議の上推進するというのであれば、それはその判断に任せるという選択にすべき話なのかなと思います。

  河川についても大体同様ですし、私は、公共下水道も含めて、大半のものについて少なくともそういう意味での意味は失われていると思います。

  皆さんがいるところでそもそも論の話をしてもしようがないのですが、やはり新産・工特が意味があったとすると、初期の国土政策の課題であった「国土の均衡ある発展」ということと、臨海工業マターの産業貿易立国というか産業政策が見事に一致したということに意味があったので、今日では、一番最近の議論で言うと、マイケル・ポーターの「日本の競争戦略」とか幾つかベストセラーになっていますけれども、そういうところでは、ほとんど公共セクターと一体となった産業はむしろ競争力を失っているのが実態だと、業種別に非常に精細に整理していますけれども、いままでの日本に対する評価自体もかなり変わってきているこの時代に、いつまでも40年前の成功体系みたいなものを引きずっているというのは、地域の自立にとってもむしろマイナスであろうという判断から、支障をきたさないかという観点よりも、この際、スパッと全部やめた上で、個々の事業が本当に必要かどうかということを自主的に考えるということこそ、今の時代、分権と言われる時代に地方自治体に求められていることであろうと思います。

  したがって、基本的に支援措置は廃止してもかまわないし、経過措置がもしあれば、具体的に、こういう例からあるからこれだというふうな対案があればまた検討しますけれども、そうでなければ基本的には経過措置も必要ないと思います。

○成田委員長 今おっしゃった初めの点、国土政策上の観点から論議すべきだというのは、まさに正論なのですね。自治体がどうこうあるかというのは別のところで考えればいい問題で……。

○田巻参事官 一言だけよろしいですか。

○成田委員長 どうぞ。

○田巻参事官 ○○は、○○委員とご一緒するはずでしたが、ご都合が悪くなってご一緒できなかったのですが、私、反論するつもりは全くないのですが、そのとき聞いた話をお伝えするという趣旨なのですが、○○では、○○道県のご説明ですと、港湾計画は時代に応じて変化して見直している。現行計画では、例えば昔の工業地ではなくて流通基地を目指して、コンテナ埠頭を設けたり、ガントリークレーンを設けたりというようなことで、その時々に応じているのですというお話を道県当局から承っておりますが、それだけこの場でお伝えしたいと思います。

○成田委員長 あらゆる港湾でみんなそれをやっているのですよ。その結果コンテナ埠頭が多過ぎて……。

○  委員  こと港湾について言うと、○○や、ここにある幾つかの港湾を強化することよりも、むしろ○○港、○○港、そういう主要港の方の大水深のコンテナバースをきっちり整備して、日本の港湾はどこも背後地が非常に狭いですから、そういうところをどういうふうに再編成するかということの方がむしろ国策上は優先度がはるかに高い問題で、逆に、いつまでも俗に言うバラまき的なことをやっていることの方が国策上もマイナスが大きいと思います。

  ですから、そういう観点からすると、それでも必要な地方の……、本当にコンテナ型に変わっていますから、そのときに本当に地方の港湾には全部ガントリークレーンが必要なのか、それが日本のような狭い国土の中で貨物の物流上、海運上必要なのかどうかということを考え合わせてみても、私はもうあまり意味がないと思います。

○  委員 議論としては○○委員が言われるとおりで、そういう議論をして一応大きな流れとしては制度を打ち切ろうというということになったと思うのですが、問題は、だからその場合にどういう影響が起こるかという、むしろ収束の中で影響の度合を整理して、重大な影響があれば、それについては何か措置がいるのではないか、そういう議論になっているのではないかと思うのです。

  そういう意味では、新産・工特制度というのが言ってみれば生活の隅々まで行き渡ってしまって、下水道とか日常的な施設の整備に使われているから、これをやめてしまうと、意外なところでいろいろな影響が出る可能性もあるというのが今日の前半の資料に現れているのではないかと思うのです。

 そういう影響があまり大きいと、結局、制度を撤廃することについての抵抗がものすごく大きくなるおそれがあるので、そこのところはおそらく実務的には丁寧に考える必要があると国土庁ではお考えだと思うのですが、今日の資料で、それをやめたときに本当に救いがないのか、あるいは新産・工特とは違ういろいろ制度があって、そっちを使えば似たようなことが大体できる、そこは実質的にはあまり影響がないというふうに判断できるのか。それでずうっと分けていって、どうしてもこの制度がないと他に頼る制度がなくて、要するに実質的に損害というのか、今の制度に比べて不利益をこうむるというのについては、先ほど、○○委員が言われたような基金か何か積んでおくという方法があるのかどうかわかりませんけれども、何らかの措置をとるということは考えてもいいのかなという気もするのです。

  それは、今日の資料を土台にしてもう少し実務的に整理していただく方がいいのかなという気がするのです。

  私が訪問した○○などについては、どこか忘れましたけれども1か所だけがいろいろな制度に1つもかかっていない場所があって、そこの地域だけは新産の網だけが唯一のいわば制度の網だと。だから、たくさん指定されている市町村のうち1つだけそういうところがあるということでした。他のところは言ってみれば他の制度の網にかかって、すべての事業がそれの対象になるかどうかというのはちょっとわかりませんけれども、そういう意味では別な制度で生きていくことができる。

 そういうことで、そういう意味では各論をある程度整理して、表面上は反対しているけれども、本当は大した実害はないではないかということがわかった上で最後を詰めるということが必要なのかなという気がしますけれども。

 それから、1つだけ高等数学になってきたのでよくわからなくなってきたのですが、8ページの「押し出し」という意味がわからなかったのですが、伺っても私の方がわからないかもしれませんけれども、道県負担額100というのがこの事業にとって必要なのですよね。押し出し分が他の事業に充当されるというふうに書いてあるのがちょっと意味がよくわからなかったのです。

○田巻参事官 わかりにくくて大変恐縮でございます。

 公共団体の起債は、基本的にはむやみやたらに認めますと財政が破綻しますので、それぞれの事業ごとに起債の枠というのは決まっているわけでございます。それは毎年の地方債の許可方針というもので示されて、自治省の許可に係るわけですけれども、それが個々の事業ごとに決まっているわけですけれども、新産・工特に係る事業の場合には、一般公共事業債とは別に新産等債を発行することができるということで、通常以上に起債の発行限度を高めることが認められているわけです。

  その高めた分、押し出された分をここの一般財源のところに充てることができる。普通は95%までしか起債が認められていないのですが、新産等債の引き上げ分に押し出された一般公共事業債を一般財源部分に充てることができる。そうするとこの一般財源が浮きますから、また他の事業に充てることができる、一般財源は自由に使えるお金ですから。ということでその分メリットが出てくるということです。

○  委員 起債枠が拡大するという……。、

○田巻参事官 一言で言えばそういうことです。

○  委員  予定している別の事業に充当できることを想定できていた、ある時期そういう事業が幾つかあって、新しいことをやりたいと思うときにはこういう枠で、つまり押し出していた。グッドアイディアだったんですね。

○  委員 新しい財源を用意しなくても……。

○久元課長  できる、一般財源がすごく減るということ……。

○  委員  新規にやりたいと思うことができたという時期があったのです。

○久元課長  というか、他の国庫補助事業の裏負担があるわけです、一般財源で埋めなければいけない。毎年度、毎年度の起債の充当率は決まっていますから、その一般財源の部分に押し出された一般公共事業債という起債を充てる。そうすると一般財源が浮くということです。

○成田委員長 わりあい影響が大きそうな県の場合には新産等債ですよね。これは交付税で補てんされるということがメリットで、これはかなり大きいですね。

 市町村の場合には、利子補給の関係というのはあまり問題にならないわけで、結局、補助金のかさ上げ、しかもそれは下水道で。しかもそれは先ほど挙げられたようなわりと限定されたところだけだったということになるのですね。

○田巻参事官 ○○委員の最初のお話で、他の制度に代えたらどうかというところに関連いたしますが、今日は他の制度の資料を準備しなかったものですから恐縮ですが、ちょっと乱暴に言いますれば、資料2の1ページの市町村にたいする事業ですと、特定補助に係る国庫補助率のかさ上げ、あるいは港湾負担における市町村負担免除。道県ですと新産等債の発行あるいは利子補給、こういったものは他の制度で仮にエリアとしてカバーされていても、支援措置としては基本的にはございません。新産・工特、あと産炭もありますが、こういった制度に限定された支援措置でございます。

 それ以外の例えば地方税の減収補てんとか、事業資産の買換え特例措置、消費税の非課税、あるいは低利融資といったものは他の制度でエリアとしてカバーされていれば、大ざっぱに言えばかなりダブッております。ですから、そういう意味では新産・工特制度は相当かさ上げ、港湾免除、新産等債等、他の制度に比べて手厚いということは言えると思います。ですから、エリアは必ず他ので支援されているからいいじゃないかということには軽々にはいかないのかなと理解しております。

○成田委員長 併せて過疎法も改正になりましたよね。いままで指定してきたところをかなりちょん切って縮小したわけです。若干の軟着陸の措置を講じているのですが、その辺もちょっと次回にでも資料で、別の管轄かもしれませんが。

○田巻参事官 わかりました。

 今日は状態を準備していなくて恐縮ですが、今年の4月1日から新しい過疎法が制定されております。今回、過疎団体の要件を見直しておりまして、正確な数字は覚えておりませんが、約100ほどの市町村が過疎団体から卒業しております。過疎でなくなったということでございます。

 そういった過疎の卒業団体に対して、今回、経過措置というものを実施しております。そういう意味では、過疎の今回の卒業団体に対する激変緩和措置の例ですが、補助の特例、我々の新産・工特のかさ上げに相当するものですが、あるいは過疎対策事業債、我々の新産等債に相当するもの、乱暴に言えば相当するものですが、こういったものにつきましては継続事業あるいは新規事業も含めて、今回のアンケートでいきますと「未了事業」あるいは「着手予定事業」の両方につきまして、5年間激変緩和措置を実施するということが決められております。口頭で恐縮ですが、これが過疎法の例でございます。

○  委員代理 今のご説明に、金融上の支援措置の点だけ補足させていただきます。

 一応、現場の方の感じも聞いてまいりまして、今のご説明のとおりなのですが、やはり地域指定型の制度の場合、エリアの中のものであれば、かなり業種、投資形態、事業主体ということの要件はかなり柔軟に対応できる組立てになっておりまして、これら地域の中では企業誘致ですとか、最近では地場企業の育成という意味では相当利用いただいているという形になっていると思います。

 したがいまして、仮にこの制度がなくなる場合は、エリア指定型の制度ではなくて、他の趣旨に沿った、ベンチャー支援ですとか、研究開発、そこに読み込めるものはそこで取り上げていくという形になると思いますが、洩れるものも若干出てくるという点はあると思います。

 民間の方の期待利益の部分も多少ございますので、その辺のいろいろ制度を見直すことでの適切な緊張感というのは非常に意味があることだと思いますが、若干その辺の丁寧な経過的な扱いというのは、新規事業創出法でもテクノや頭脳立地法の指定について、やはりそういった経過措置というようなものを講じられているように聞いております。ちょっと補足でございますが。

○  委員  これで私、途中退席させていただきますので……。

 今の○○委員代理の発言に関係はしないのですけれども、触発されてお話しさせていただきますと、先ほどから話を聞いていて、道県アンケート、首長会を通じた要請書はよくわかったのですが、今、全国的に1つの議論になっているのは、公共事業が今の現状で果たしていいのかどうか。これは今日から始まった選挙でも大きな争点になっているわけです。そういう議論の中で、10の港湾、空港、漁港、ここに挙げられているような事業そのもをある特定地域に特定の新産等債なり利子補給の仕組みを作りながらも維持していく必要があるのかどうかということを、例えば道路局の地方道課長とか、そういう事業官庁の現場サイドからほとんど聞かないまま、地方側だけの意見だけで聞いてきましたけれども、公共事業全体が問われている中で、果たしてそれまでして運輸省港湾局は新産・工特を支援するかどうか。それを1回、代表的な役所幾つか聞いてみるというのはいかがでしょうか、やめておこうというのも1つの選択だと思いますから(笑)、それも含めての提案ですが。

○  委員 今の話にも絡みますが、例えば港湾60億円、総括表では比較的市町村負担分が大きいですが、直轄の負担については分権委員会の勧告でも縮減の方向で。つまり本来は国直轄であれば国が全部お金をもつのが原則なはずであるという話にはなっています。そうすると、本当は枠組み自体が違ってくるはずなのですが、それはまだ、なかなかそこまではいかないというのが現実のようですが、今、○○委員がおっしゃったように、公共事業の負担金についてのそもそも論が少し関わるのかなという感じがしました。

  総括表を見ますと軟着陸の経過措置で、利用実績が大きいところを少し考えなければいけないという感じになってくるのだろうと思うのですが、新産等債の、要するに押し上げで、交付税で見てもらえない分を作るのですから、これからもそんなに欲しいのかなというところが、本当のところはどうなのかなと1点思いました。

 港湾の場合、先ほどご説明がございましたけれども、道県内に他の重要港湾があるときは、他の市町村に既に負担してもらっているから、同じように負担してもらうことにしようということになるのですが、そういう場合、今回、新たに新産・工特を外れて、そこの部分が出てくるということになって、当該市町村が困るだけということにだけなるのか、あるいはそうでない選択というのも県の方としては本当はあり得るわけだから、他の港湾にしわ寄せがいくという可能性もないわけではないと思うのですが、それはやる気がなくてただ市町村だけにという話なのかもしれませんが、本当は県の方にもいろいろ影響はあり得るのかなと思うのです。そこら辺は、今はとりあえず考えられていないのでしょうかね。

○田巻参事官 ここで私が道県の方と意見交換をしてきたところをお伝えいたしますと、最初の新産等債につきましては、本当に道県が欲しがっているのかどうかやや疑問のところがあるというお話でございますが、先ほども制度の仕組みを申し上げたときに、新産等債について、特にかさ上げ分につきましては、メリットとデメリットの両方あるので、そこは県の財政当局は慎重に判断しているというふうに申し上げたかと思いますが、このアンケートに載っていないのですが、実際、県によってはそういった意味で新産等債の利用ゼロというところもありますし、2割程度使っているところとか、県によってまちまちでございます。そういう意味ではまさしくメリット、デメリットの両方を県の財政当局が判断した結果だろうと思います。

 2つ目の港湾の話ですが、仮に県の肩代わりがなくなった場合に困るのは市町村だけなのかというお話でございます。これも、これまで道県の方と意見交換をしてきたところをお伝えいたしますと、道県の方も立場によってというお話でございまして、商工部局、あるいは港湾部局は、港の整備を進めていきたいということで、そういったところは仮に市町村の負担免除がなくなると、市町村はそんなにお金を出せませんから、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、出せない可能性がありますから、整備のスピードが落ちるだろう。そうすると、港湾部局、商工部局は困るのだというご意見が県庁の中にもあります。

 一方、財政部局は、いままで県が出した分市町村に肩代わりしてもらえるから、財政部局としてはありがたい話だと、県庁の中にも両方の話があるというお話でした。

 ただ、「トータルするとどうですか」とお尋ねしますと、県のほとんどの方が、最後は知事の判断ですけれども、おそらくは商工あるいは港湾部局の意見に近いのではないでしょうかというようなお話を、これまでの道県の方との意見交換の中でいただいております。

 そういう意味では「市町村だけが困るのか」というお話ですが、整理すると、道県の方も「かなり困る」という認識をお持ちなのかなというふうに感じております。

○成田委員長 今から2,3年のうちの射程距離まで考えた場合、これからいろいろな意味で政権が代わるようなことが仮にあっても、今の財政制度それ自体をどう考えるか。特に財政再建、国・地方の財政問題、これが非常に大きく変わってくる可能性があるのです。例えば、今、問題になっている国庫補助や国庫負担金制度についても、今、地方公共団体向けの補助金、負担金が20兆円あるわけです。そのうちまず4兆円を削ってという話が前から、地方6団体なんかも言っておりましたし、今、分権推進委員会でもそんな線で検討を始めているのです。この場合、統合補助金とか、直轄事業の維持、これは残すにしても、国庫補助というのは相当整理されてくる。そうすると、かさ上げの元になるものがなくなってしまうという可能性もあるわけです。

 もう一つは、起債ですけれども、これは地方公共団体全体が非常に赤字を抱えていて、これをどうやって再建するかというのは、これからの再建の大きな課題になってくるわけで、これからはどうしても起債を抑制していくということになるのだろうと思うのです。ですから、いままでみたいに交付税全部補てんするなんていうことはできなくなっていくのではないかと思うのです。そうすると、新産債などというのも、そういう面からも非常に問題になり得るわけです。それが当然地方交付税の方にも波及してきて、交付税それ自体も見直せという話になってくる可能性があるのです。

 ですから、いままでの財政制度を前提にした議論というのは、これから2,3年のうちにかなり変わってくるし、誰が政権をとっても、この問題は避けて通れない問題なのではないかと思うのです。

 ですから、そういった意味ではこれをなくすというのは、ある意味ではいいタイミングだと思うのです。三大都市圏についても類似の補助金のかさ上げ制度なんかありますけれども、おそらくこの1つがなくなるとそれが突破口になってドミノ効果が起こってくるのではないか。大蔵省はそういうことを言ってほしいということが一方であると思うのです。やはりそういうことを背景に置かなければいけないと思うのです。

 ただ、いままで議論があるように、いきなりちょん切ってしまうと、かなり影響が大きいというので、いままでにも、例えば過疎のように5年間はそのまま続けさせるという選択肢があるし、それから、先ほど○○委員がちょっとおっしゃったように基金を用意するというやり方もありますし、あるいは都道府県に一括で統合補助金みたいな形で一定の金を渡して自由に、例えば3か年なら3か年の間、あるいは5年なら5年の間、新産事業の継続なり何なりに使いなさいという形で、統合補助金で交付するという道もないわけではないと思うのです。

 いろいろな選択肢があり得るわけですけれども、いずれにしてもあまり細かいことは、これ、予算折衝の過程で毎年毎年決まってくることですから、平成13年度の予算の中にここではっきり出したって、これからの交渉事ですから、あまり具体的に書けないのではないでしょうかね。

○芳山局長 今、委員長が言われた、過疎法の去年来の経緯を若干皆様方にご説明しますと、経過措置というか激減緩和措置をどういうふうにしていくかというのが大議論になりまして、いずれにせよ過疎法は10年に一ぺんずつ、45年、55年、平成2年、今年が4回目だったのですけれども、いずれにせよ過疎団体でなくなる、ということは人口の減少率が緩和される、高齢化率が若干違ってくるという意味で卒業団体が出てくる。卒業団体が出てきたときの激変緩和措置をどのように措置するかということが、去年来、議員立法ですので先生方でだいぶご議論されて、従来は、激変緩和措置は過疎債以外は講じられていなかったわけです。ところが今、地方公共財政は非常に厳しいという中で、従来以上に卒業団体に対する激変緩和措置がちょっと強めに出まして、今年の法律には、卒業団体については5年間法律に基づくかさ上げの制度ないしは市町村代行という制度がありますけれども、代行制度を含めて5か年間は新規の事業を含めて、みんな経過措置で救おうではないかという形で、今の新しい自立促進法はでき上がっております。

 ただ、ものの考え方として、激変緩和措置をどこまでやるかというときに、先ほど支援措置の総括表がありましたけれども、この中でもいろいろ性格があって、市町村に対する財政援助、ないしは県に対する財政援助、企業誘致のための措置というような形に分かれておりますが、少なくとも企業誘致なりの面については、これから5年間企業誘致を支援していくための制度というのはいかがなものかということで、そっちの方の措置については手をつけなかった、ないしは政策投資銀行の融資制度についても、卒業団体については措置をしていない。しかし、ビルトインされている、いわゆる地方団体の財政運営に対する措置については、少なくとも面倒を見ようかというのが過疎法における措置でございます。

 同じように、去年、通商産業省でご議論された産炭法の廃止に伴う措置についても、全体的に産炭地域の制度そのものは過疎市町村並みにだいぶ良くなってきた、全体的には良くなってきたということですが、ただ、この事業そのものの財政支援措置についてもビルトインされている面があるので、市町村の財政支援についてある程度面倒を見なければならない。そういうようなことを聞いております。

 そういう中で、新産・工特の総括表を見てみますと、完了しているのが50%ぐらいで、完了していないのが50%と出ています。その中を子細に見ると、あと何年かすれば80%ぐらいいくというように……、ただ、この中で議論したのですが、県ごとに非常に熱心に拾ってきているところと、厳密にやられているところとあるものですから、先ほどの完了率の50とか80とかいうよりも、そこをどう見ればいいのかというのがあるのですが、ただ、何年間かをみた場合には8割ぐらいは完了するだろうというようなこともあるので、そこらの面を参考にしながら、また、どういう事業に絞るかというのを絞りながら何か考えなければいけないのかなというのが内部の話なので、先生方のご議論をお聞きしながら、次回にもう少し細かい詰めをしたいと思っております。

○成田委員長 過疎法というのは日本の国土政策全体から言っても必要なのです。今度の新しい「グランドデザイン」でも新全総でも、「多自然居住地域」という名前を使って新しい位置づけをしているわけです。国土政策上必要である。分権推進委員会の計画でも、政府の計画でも、過疎と北海道と沖縄については別だということで、それは引き続き推進するということになっているわけです。

 新産・工特になると、三大都市圏の他の計画もそうでしょうけれども、先ほど○○委員がおっしゃっていたように、国土政策上からみて引き続きこれらを推進するという必要性がまずないのです。そういう点を考えると、過疎法がそうやったからこちらもそうだということにすぐつながっていくのかどうか。そこらもひとつ考えていかなければならないところではないかと思いますけれども。

○  委員  過疎法とか産炭というのは、どちらかと言うと本当に疲弊しているところの話であって、新産地域とかというのは、ここに産業拠点を根づかせようというので、もともはここに事業が増えてきて、ここで地域の税収入も増えて自立できるというのが前提なのです。それが、その地域の中の一番奥の町村の学校施設とか下水道とか、そういうものですごく広域にとってしまった一番端っこのそういうところに生活関連施設を整備しているという感じになっていて、まるで過疎法とオーバーラップになっていることに、根本的にこの制度の問題点があるのではないかという気がしてしまうのです。

 次の時代に合わせるためには、都道府県に思い切って自由裁量の余地を残すようにして、国はとにかくそちらに自由度をあげて、だけど、財源的に余裕のあることはできないから、とにかくギリギリの財源措置をしておいて、何年間で、都道府県単位というか、広域で判断してくださいという処理の仕方にするしかないのではないかという気がするのです。

 先ほど○○委員が言ったように、大きな国土政策、産業政策として作られた制度としての根本的な見直しをしておいて、今、それについての判断をする。そのことで言えば、通産にしてもプラットホーム型という新しいタイプの地域振興策を持ってきているわけだし、だから、どの役所だって、ある種の自立型のというのですか集中統合型の予算方式になってきているので、それは感覚としては新産と似ているわけです。福祉、教育、都市基盤整備、あらゆるものをその地域に集中できるようなメカニズムになってきていて、つまり、全体として各省庁がそれに対応するような……、建設省だって統合予算というコンセプトで、今度はパッケージ予算というコンセプトを作っていらっしゃるし、そういう方向で持って来られている。それに国土庁が広域連携型で価値のあるものというので利用評価できるものを加えようというふうにされているわけだから、ほとんど他の制度で代替できる関係になってきていると私には思えます。ですから、本来の趣旨から大きく逸れてきて動きが変わったということで撤退するということがある。

 ただ、そのときにずっと気になっているのは、広域連携の中の道路、その拠点になっている港湾に関しては、どのレベルかというのは、本当にその事業をやっている人の事業評価をきちんと聞きたいと思うのです。港湾整備についてはこの5年、10年どう評価されたのかという事業評価について、都道府県でやられている評価をきちんと紹介してもらって納得しないと、まだまだ延ばさなければいけないというときに、ここプツンというのだったら、それは別のところできちんと代替する制度を確保するようなことをしなければいけないのではないかという気はしますけれども。

  それで、どういう評価になっているのかは、やはりそれぞれのところで既にやられているので、ここの議論とまた違うのではないかと思います。

○成田委員長 おっしゃるように、これから続けたいのだったら、説明責任をちゃんとしてくれないと……。

○  委員 理屈から言えば、財特法そのものが、それぞれ5年の時限になっているわけです。だから、50何年の財特法をあてにして行われるということ自体が理屈に合わないのだから、それは5年ごとの節目で終わるというのは一向にかまわないと思うのだけれども、あとは政治の問題ですよね。

○成田委員長 だけど、選挙が終わるまで言えないですよね(笑)。

○  委員 ただ、一応全体としてはきれいに収めていくためには、その辺フォローをちゃんとしないと、足下をすくわれるというか根強い反対が出てきてしまうと話がややこしくなるという感じだと思うのですけれども。

○  委員 もう30年以上やっているわけですから、事業評価で「まだできない」というのは、年数を考えると常識的ではないですよね。

  ですから、さまざまなところでいろいろな事情があって、新産工特による助成がまだまだ続けばできそうだと言うかもしれないけれども、これだけ長年にわたってこの制度をやってきたわけですから、あとは地方ご自身でやって下さいという話なのではないかなと思います。

○  委員 本来の目的に照らせば、最初の10年でカタがついているんですよね。要するに重厚長大型の産業で、これは特に人口増加を狙ったわけですから、そういう効果が現れたところとそうでないところというのは、大体10年ぐらいでカタがついて、その後は、要するに生活密着型の支援に変わっているわけです。そういう点ではもう制度そのものが死に体だったと思うのですけれども、それはそれである程度、このレベルでは合意できるんだけど……。

○成田委員長 事業評価という考え方が出てくる前から、この委員会というのは、○○委員や○○委員も長いのですけれども、もう前の前のあたりから「ぼつぼつやめようや」という話になっていたのですよね。それがなかなか、全体の制度が動かない中では、これだけ突っ走ってやめるわけにはいかなかった。最近は周辺が動き始めていますから、地殻変動の中でこれも仕掛けた方がいいだろうというようなものですよね。

○  委員 先ほど委員長がおっしゃった首都圏の財特は廃止の議論にもなってないですよね。

○成田委員長 あれはまた今度新しく首都圏計画を作ったでしょう。あれは制度をどうするかという話は出ていないようですね。

○  委員 だから、そっちは生き続ける状態にあるんですよね。

○成田委員長 あれは分権委員会でずいぶんやったのですけれども、結局は、大都市圏に関わる省庁が猛烈に抵抗しまして、是非必要であるということで下ろされちゃったんですよね。

○  委員 そういうので地方だけ削るというのがバランスが悪いという面はあって、それはこの制度を換骨奪胎できるか、なくなったらそれで財源もろともお終いになるという運命になるのか、いままで洩れ聞くところでは、換骨奪胎というか新しい制度に生まれ変わらせるというのはなかなか難しいということのようですから、一方的に地方だけ終わるという可能性はあるのですね。そこはアンバランスとも言えますね。それはまた別の問題でしょうか。

 あれも似たようなことをやっているわけですよね、下水道を作ってるんですからね。

○  委員  全く同じです。

○成田委員長 あるいは工業団地がわりあい多いのではないですか、北関東あたりにたくさんああいうところがあるんですよね。

○  委員 もともと都市整備だから、下水道は向こうの方がスタートだと言える。

○  委員 そう、そう。

○  委員 国土庁内では、一緒にやめようというような議論はないのですか。

○田巻参事官 それぞれ目的が別なものですから。たまたま支援措置、スキームが似ているものですから、どうしても横並びの行政なのですけれども、目的が別なのものですから、そういう意味ではそれぞれで議論しましょうということになっております。

○  委員 それはそういうものでしょうね。

○  委員 でも、こっちの目的の方が、昔の重厚長大型のだから、何ていうか、より生き残るのが難しい。だから、生活関連の下水道なんていうのは何もなくてもやらなければいけないもので、どこでも同じなんですよね。「なぜ、ここだけ?」という理屈ですね。

○成田委員長 むしろ環境問題という要請が強いわけですけどね。

 この前、岐阜県の方の話を聞きましたが、三重県あたりは地域産業については1つの見識を持って一生懸命やっているのですよね、新産に指定された都市より以上に地域の産業問題をよく考えてやっているのだと思うのです。

○  委員代理 地方が主体的にという息吹は非常に盛り上がっているという印象は受けるわけですが、○○委員がおっしゃったように、トータルに従来型と違うという意味の支援の枠組み、一括型のものだとか、その辺のメッセージが全体としてまだ届きにくくて、そういう部分が、国の役割がある程度残るとすれば、今後はこういう形でというイメージがもう少し前面に出ますと、個々の制度の見直しの議論も全体としてはスムーズにいくのではないかという感想を持ったりするのですけれども。

 部分的にはテクノ法とかいろいろあるとは思うのですけれども。

○成田委員長 ただ、新しいものにどう支援するかということは、まだ出始めの時期ですから、今、制度化するというところまでいかないのではないですかね。やるのだったらモデル事業みたいな形で実験してみるというようなところから始めなければいけないのではないでしょうか。

○  委員代理 おそらく国としての役割分担という問題になる……。

○  委員  先ほど地方自治体の財政状況が厳しいという話がありましたが、国の方がはるかに厳しい状態なのです。つまり、できたら、これ以上累積はさせないという感覚はもう強くなってきているわけです。そうすると、これまでのものについては頑張らなければいけないという感覚はありますけれども、これ以上拡大させないということから引っかかってくるのにこういうところが引っかかってきてしまうので、どう考えても今より経済は、実質成長しても名目は減少しているわけですから、そういう意味で税収は全然増えない状態で、そういうときに累積させないということになると、この補助のシステムのようなタイプのものは非常厳しい環境に置かれているのですよね。それでも「制度としてあります」と言っておいてもほとんど中身のないものになるということを実態として認識される時期が自動的にきてしまうという感じもするのです。

 そういう意味では、制度があっても実行できない状態になっていってしまうのではないかというのも感じます。

○成田委員長 地方では、まだまだ困れば国が何とかしてくれるだろうという安易な考え方が案外強いのですよ。それはこの時代にはやはり改めてもらわなければいけないので、自分でギリギリまで頑張ってもらうということが大事なのではないですかね。

 おっしゃったように、もうどうにもならないような状態にきているので、国に頼られても国自体が破産に近い状況にあるわけですからね。

 それでは、いろいろなご意見も出たわけでありますけれども、この委員会はこれまで全部で5回にわたりまして、大変精力的にご審議いただいたわけであります。

 その結果、「新産・工特制度の今後の在り方について」は、今日、論議をいただいた「新産・工特制度を廃止した場合の問題点・対応策」について若干のご意見も出ております。まだまだ明確に確定しているという段階にはいかないわけですけれども、そういったご意見もいただきました。

 そこで、もし、皆様の同意が得られるということであるならば、この委員会としてはそろそろこれまでの議論全体をまとめていく作業に移りたいと考えております。

 具体的には、この夏までに中間答申をまとめなければならないということですので、次回の小委員会におきましては、これまでの議論をすべて集約いたしまして、中間答申 (案)というものを作っていただいてご審議を賜ったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

 それでは、次回の小委員会はそういう方向で、中間答申(案)のたたき台を一応作っていただきまして、それを中心に論議をするということにいたしたいと思います。

 最後に「その他」ですが、事務局から何かございますでしょうか。

○田巻参事官 ただいまの委員長のお話にございましたように、次回は中間答申(案)を準備せよということでございますので、中間答申(案)につきまして、私ども委員長と相談しながら準備させていただきます。

 具体的なスケジュールにつきましては、別途改めてご連絡させていただいて調整させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○成田委員長 それでは、長時間にわかりまして、ご熱心なご議論をいただきまして、ありがとうございました。本日は、これで閉会とさせていただきます。