第6回
 
国土審議会地方産業開発特別委員会
 
小委員会
 
 
 
 
 
日時:平成12年7月26日(水)14:00〜16:00
場所:中央合同庁舎第5号館別館 共用第11会議室
 
1.開  会
 
○田巻参事官 まだ○○委員がお見えでないのですけれども、少し遅れるという御連絡をちょうだいしておりますので、ただいまから第6回国土審議会地方産業開発特別委員会の小委員会を開催いたしたいと存じます。
 皆様方におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして大変ありがとうございます。
 それでは、早速でございますけれども、この後の議事進行は委員長にお願いしたいと存じます。成田委員長、よろしくお願いいたします。
 
2.議  事
  (1)新産業都市の建設及び工業整備特別地域の整備の今後のあり方について
 
○成田委員長 本日は、雨が降って、また、蒸し暑い不快な天候が続く中を御参集くださいましてありがとうございました。
 それでは、これから議事に入りたいと存じますが、本日予定しております議題は、「新産業都市の建設及び工業整備特別地域の整備の今後のあり方」でございます。この小委員会は昨年9月に諮問を受けまして、新産・工特制度の今後のあり方につきましてこれまで5回にわたって検討を重ねてきたわけでございます。非常に貴重な御意見をいろいろ賜りましてありがとうございました。本日は、私どもがこれまで検討してまいりました結果を集大成する会議ということでございますので、そういった意味でさらに一歩踏み込んだ慎重な御審議を賜りますようにお願いしたいと存じます。
 会議の資料としましては、事務局の方でこれまでのこの小委員会の議論を整理してくださいました「中間報告(案)」というものを準備していただいております。これを事務局から紹介いただきまして、これでよろしいかどうか、何か修正するところはないかというようなことでひとつ御議論を賜りたいというふうに存じます。それでは、よろしくお願いいたします。
○田巻参事官 委員の皆様におかれましては、これまで5回にわたり大変御熱心に御審議いただき、本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。
 ただいま委員長のお話にもございましたけれども、これまで皆様に御審議いただきました結果を中間報告(案)という形で事務局の方で整理させていただきました。これまでの会議では、スケジュールの中で中間答申というような言葉を使っていたのですけれども、私ども事務局の方で、前回あるいは前々回の会議の運びを再度確認してみましたところ、中間報告という呼び方で整理させていただいているようでございますので、今後は中間報告という形で整理させていただきたいと思っております。
 それから、この資料でございますけれども、本日たたき台ということで私ども準備させていただきました。そんなことでございますので、この資料の配付は先生方に限らせていただいておりますし、また、たたき台でございますので、会議終了後、大変恐縮ですけれども回収をさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、この中間報告(案)につきまして、朗読する形によりまして、その内容を御紹介させていただきたいと思います。
○松山課長補佐 それでは、皆様、資料の1ページをおあけいただきたいと思います。
 〔以下朗読〕
 1.はじめに
 現在、新産業都市建設促進法(以下「新産法」という。)及び工業整備特別地域整備促進法(以下「工特法」という。)により指定されている新産業都市及び工業整備特別地域においては、平成8年度から平成12年度までを期間とする第6次基本計画に基づき建設整備が進められている。
 この第6次基本計画を承認するに先立ち、本審議会は、第5次基本計画終了後も引き続き新産・工特制度を継続すべきである旨の意見を平成7年12月に申し出たが、その際、「地方振興政策における産業のあり方について、3年間程度の十分な時間をかけて検討を行い、第6次基本計画終了後の新産・工特のあり方にも反映させるべきである。」との提言をあわせて行ったところである。この提言を踏まえて国土庁内に設置された地方産業振興に関する研究会は、「新産・工特制度については、廃止後の指定地区への影響に配慮し、経過措置を講ずることも選択肢の一つとして考慮しつつも、将来的に廃止することとし、今後の地方産業振興策については、基本的に地方公共団体の主体的な取り組みに委ねる方向とすべきである。」等を内容とする報告書を平成11年3月に取りまとめた。
 また、平成11年3月に閣議決定された第2次地方分権推進計画では、平成12年度末の現行計画(第6次基本計画)終了後の新産・工特制度のあり方について、廃止を含めた抜本的見直しを行うこととされているところである。
 本特別委員会は、昨年9月に内閣総理大臣から諮問されて以来、このような最近の動向も踏まえて新産・工特制度の今後のあり方について鋭意検討してきたところであるが、このたび、基本的な方向性について意見が集約されたことから、中間的に取りまとめたものである。
 2.新産・工特制度の概要と実績
 (1)新産・工特制度の経緯
 新産・工特制度は、昭和37年の全国総合開発計画で打ち出された拠点開発構想を具現化するものとして創設された制度で、工業発展のポテンシャルを有する地域を開発拠点として位置づけ、交通基盤、用地・用水の確保、労働力の確保のための基盤整備等を行うことにより、その地方の開発発展の中核となるべき都市を建設整備することを目標とし、このような手段を通じて、地方に工場を誘致・建設し、雇用の受け皿を確保することで、当時問題となっていた大都市の過密問題の解消、地域格差の是正を図ろうとするものであった。
 当時の基幹産業は、鉄鋼、石油等のいわゆる重厚長大型産業であったが、これらの産業が立地することにより相互に連関を持つ大規模コンビナートが形成され、されにそれが核となって関連産業が立地し、相当規模の産業都市が育成され、地域開発の拠点となることが想定されていた。このため、大規模な基盤施設整備及び産業立地が可能な21地域が新産・工特地区として指定されたが、これらの地区に対しては基盤施設整備が大規模に及ぶことから、財政特別措置等これ以降の地方産業振興策では見られない手厚い支援措置が用意された。
 なお、制度創設以来、新産・工特地区においては、道県が策定する基本計画に沿ってその建設整備が進められてきているところであるが、基本計画は過去5回にわたって変更されており、現在は、第6次基本計画(平成8年度〜平成12年度)に基づき建設整備が行われているところである。
 (2)支援措置の内容
 新産・工特制度における具体的な支援措置としては、財特法に基づく措置として、市町村に対する特定事業に係る国庫補助負担率のかさ上げ措置、道県に対する起債充当率を引き上げた新産等債の許可とこの償還の際の利子補給があり、また、地方財政法に基づく措置として、都道府県が行う重要港湾建設事業に係る市町村負担の制限措置がある。さらに、これらの措置のほかに、関係地方公共団体に対する地方税の不均一課税に伴う減収補填措置、事業者に対する税制上の特別措置及び金融上の措置がある。
 (3)基盤施設整備事業の規模及び内容
 昭和39年度から平成10年度までの間に基盤施設整備のために投じられた全地区の投資額の累計は、総額97兆円である。このうち新産地区が72兆円、工特地区が25兆円となっている。
 また、新産・工特地区における事業別の内訳を見ると、近年すべての地区において、そのウエートが道路、港湾等の生産関連事業から下水道、都市公園等の生活関連事業へとシフトしてきている。ちなみに、新産・工特地区全体では、第1次計画期間中(昭和39年度〜昭和50年度)は生産関連事業が56.5%、生活関連事業が43.5%だったのに対し、第6次計画期間中(ただし平成8年度から平成10年度の実績)には生産関連事業が30.5%に低下し、一方生活関連事業が69.5%に上昇している。
 (4)関係地方公共団体に対する助成の状況
 昭和40年度から平成10年度までの新産・工特全地区における国庫補助かさ上げ累計額は3,248億円、新産等債の発行累計額は1兆862億円、新産等債利子補給の累計額は1,297億円となっている。
 国庫補助かさ上げ額については、昭和53年度の350億円をピークに減少傾向にあり、平成10年度には85億円となっているが、これは財特法の支援期限を延長するたびにかさ上げ算定式が見直され、かさ上げ率が改定されてきたことが原因であり、必ずしも事業量の減少を意味するものではない。また、新産等債利子補給額については、昭和58年度の91億円をピークに減少傾向にあるが、これは近年の低金利により、平成4年度以降新たに発行された新産等債に対して利子補給が生じていないためである。
 3.新産・工特制度の評価
 新産・工特制度の今後のあり方を検討するに当たり、まず制度の評価を行った。
 具体的には、新産・工特制度が「国土の均衡ある開発発展及び国民経済の発達」という目的を達成したか否かについて、(1)基盤施設の整備状況、(2)産業の発展状況、(3)県民所得、(4)人口動態の4つの観点から検証を行った。
 (1)基盤施設の整備状況
 初めに、基盤施設の整備状況について検証を行った。
 まず、港湾の整備状況を把握するため、港湾貨物取扱量について、三大都市部と新産・工特地区との比較を行った。新産・工特制度創設後間もない昭和43年と、直近の平成9年の港湾貨物取扱量を比較すると、三大都市部では2.3倍の伸び(昭和43年:5億5,777万トン→平成9年:13億1,036万トン)であるのに対し、新産・工特地区では3.1倍の伸び(昭和43年:2億9,451万トン→平成9年:9億2,726万トン)となっており、三大都市部の伸びを上回っている。
 次に、道路の整備状況を把握するため、市町村道舗装率について同様の比較を行った。三大都市部では6.7倍の伸び(昭和43年:11.5%→平成9年:77.4%)であるのに対し、新産・工特地区では10.7倍の伸び(昭和43年:7.0%→平成9年:74.8%)となっており、やはり三大都市部の伸びを上回っている。
 さらに、下水道の整備状況について把握するため、公共下水道普及率についても同様の比較を行った。三大都市部では2.5倍の伸び(昭和43年:28.3%→平成9年:71.8%)であるのに対し、新産・工特地区では4.1倍の伸び(昭和43年:13.2%→平成9年:54.3%)となっており、伸び率については三大都市部を上回っているものの、普及率自体はいまだ三大都市部に比べ低い水準にある。
 その他、厚生施設、教育施設及び都市公園を初めとするその他の基盤施設についても、財特法等による支援によりこれまで着実に基盤施設の整備が進んできたと言える。
 (2)産業の発展状況
 次に、新産・工特地区における産業の発展状況について検証を行った。
 まず、工業出荷額について、三大都市部と新産・工特地区との比較を行った。昭和43年と平成9年の工業出荷額の伸び率を見ると、三大都市部では7.8倍の伸び(昭和43年:21兆5,996億円→昭和50年:72兆4,833億円→平成9年:168兆6,315億円)であるのに対し、新産・工特地区では11.5倍の伸び(昭和43年:4兆8,076億円→昭和50年:21兆8,860億円→平成9年:55兆1,099億円)となり三大都市部の伸びを上回った。さらに、人口一人当たりの工業出荷額を比較してみると、昭和43年には三大都市部が新産・工特地区を約40%上回っていた(三大都市部:45万円、新産・工特地区:32万円)のに対し、昭和50年にはほぼ拮抗し(三大都市部:137万円、新産・工特地区:132万円)、平成9年には逆に新産・工特地区が三大都市部を上回るに至った(三大都市部:275万円、新産・工特地区:289万円)。 次に、新産・工特地区の工業集積度(1.0が全国平均)を見ると、昭和43年には0.68であったのが、昭和50年には1.18となり、直近年である平成9年においては1.22となっている。
 以上のことから、新産・工特地区においては、総じてみれば、制度創設後産業が着実に発展し、三大都市部との格差は縮小しているものと言える。なお、産業が大きく発展したのは第1次石油危機の前後までであり、その後は伸びが鈍化している。
 (3)県民所得
 次に、一人当たり県民所得について、三大都市部と新産・工特指定道県との格差がどのように推移したかについて検証を行った。昭和43年には、全国平均を1とすると、三大都市部は1.23、新産・工特指定道県は0.89であったが、第1次石油危機後の昭和50年にはそれぞれ1.14、0.93となり、さらに、平成9年にはそれぞれ1.12、0.94となっている。
 このことから、三大都市部と新産・工特指定道県との格差は、新産・工特制度創設時に比べて相当程度縮小していると言える。
 (4)人口動態
 最後に、人口動態について検証を行った。
 人口規模について、三大都市部と地方圏(新産・工特指定道県を含む)と新産・工特指定道県との比較を行った。昭和35年には、三大都市部の人口は3,740万人、地方圏の人口は5,690万人、新産・工特指定道県の人口は1,360万人であったが、その後一貫して三大都市部の人口増加が地方圏及び新産・工特指定道県のそれを上回ったことから、平成7年には、それぞれ6,170万人(1.65倍)、6,390万人(1.12倍)、1,870万人(1.38倍)となつている。
 このように、三大都市部との比較では、新産・工特指定道県の伸びが三大都市部の伸びを下回っていることから、三大都市部と地方圏との人口格差の是正には必ずしも十分な成果を上げたとは言いがたいが、新産・工特指定道県と地方圏を比較した場合、新産・工特指定道県の伸びが地方圏の伸びを上回っていることから、新産・工特制度は地方圏全体の底上げには寄与したものと考えられる。
 (5)総合評価
 以上のように、基盤施設の整備状況、産業の発展状況、県民所得、人口動態の観点から検証を行った結果、人口動態の面においてはいまだ道半ばであるものの、基盤施設の整備が進められ、工業の地方分散と産業集積の形成が図られてきており、地区により進捗状況に差があるものの総じてみれば、国土の均衡ある開発発展及び国民経済の発達に資することを目的とした新産・工特制度は、日本の経済成長の実現、地域間格差の是正に大きく寄与してきたものと考えられる。
 4.新産・工特制度の今日的意義
 既に述べたように、新産・工特制度は、昭和37年の全国総合開発計画で打ち出された拠点開発構想を具現化するものとして創設された制度であるが、制度創設後40年近くの長い年月が経過する中で、当時制度が前提としていた我が国における社会経済環境は大きく変容してきている。
 (1)社会経済環境の変化
 @産業構造の変化
 我が国の産業別の名目GDPシェアの変遷を見ると農林水産業、製造業のシェアの低下とサービス産業を初めとする第3次産業のシェア拡大が顕著である。製造業の中でもとりわけ新産・工特制度が念頭に置いていた素材型製造業のシェアの低下が著しく、昭和40年に10.8%であったシェアが平成9年には5.6%にまで低下している。
 また、このような産業構造の変化を背景として、我が国の経済成長を牽引してきたリーディング産業も高度成長期の鉄鋼、石油化学等の基礎素材産業から石油危機後の自動車、電子・電気機械等の加工組立型産業、さらに近年は経済のソフト化、情報化の進展等を背景にサービス産業へと変遷してきている。
 そして、今後は、これまでのように特定の産業が経済成長を牽引する「一極集中型」から、情報通信、環境、医療福祉等も含んだ、よりバラエティに富む「多極分散型」の産業構造へと進展するものと予測されている。
 A経済の成熟化とグローバル化
 我が国経済は、近年成熟化が進みこれまでのように右肩上がりの成長を期待することはできないことから、かつてのような大規模工場立地を期待することは難しい状況にある。加えて、アジアの国々を初めとする海外諸国との競争が激化することに伴い企業活動のグローバル化が急速に進展し、今や我が国企業は国の内外を問わず工場立地に最適な土地を求める状況にある。
 この結果、今後の地方産業振興のあり方については、従来のように三大都市部から工場を誘致するだけでなく、地域資源(人材、技術等)を活用しながら新事業の創設を推進し、地域経済の自立的発展を図ることが求められている。
 (2)地方産業振興をめぐる手法の変化
 @地方産業振興策の変化
 我が国産業構造の変化や最近急速に進展しているいわゆるIT革命等の技術革新に伴い、今後の地方産業振興に当たっては、工場誘致も依然その重要性を失っていないものの、高次の管理機能や研究開発機能を持つ企業を有する地域を目指すことが必要となっている。 そのためには、新しい産業を担う技術力の強化、人材の養成、起業家の支援等が必要であり、産業振興策の内容も、港湾、道路、工場用地等のハードの基盤整備中心のものから、産学官連携の促進、技術開発の支援、人材養成プログラムの充実等ソフト面を重視したものが求められるようになってきている。
 A新しい国と地方公共団体の関係
 我が国産業構造が変化し、今後は、これまでのような特定の産業が経済成長を牽引する「一極集中型」から、より多様性に富んだ「多極分散型」に変化するものと考えられていることから、これからは、国が指針を示して地方公共団体に一定の方向づけを行うよりも、むしろそれぞれの地方の実情や特性を踏まえ、それぞれの地域に合った産業をそれぞれの地域に合った手法で育成することが有効であると考えられるようになってきている。
 また、既に見たように今後の産業振興においては、ソフト面を重視した施策の重要性が増すと考えられるが、この点ではまさに地方の特性に応じた施策の展開が必要であり、地方公共団体のイニシアチブが求められている。
 このような状況を踏まえたとき、今後の地方産業振興策は、従来の全国一律方式ではなく、各地方が独自性を発揮しつつ競い合うようにすべきであり、そうした観点から、地方における産業の振興は、原則として地方公共団体が行うという方向にあるものと考えられる。
 (3)今日における新産・工特制度の有効性
 これまで見てきたように、産業構造の変化、経済の成熟化、グローバル化といった社会経済環境の変化に伴い、新産・工特制度が念頭に置いていた重厚長大型産業は相対的にその比重が低下してきており、国が主導して拠点開発を行うことにより工業を育成することを目標としていた新産・工特制度の有効性は、その制度創設当初に比べて今日においては減少しているところである。
 また、近年の地方産業振興策の変化や地方分権といった新しい国と地方公共団体の関係を踏まえると、今後の地方産業振興は、地方公共団体が中心となってそれぞれの地方の特性、資源等を活かした内発的な産業発展に重点を移す方が有効であると考えられる。
 しかしながら、新産・工特制度は、新産・工特法が恒久法であり、財特法に基づく財政上の特別措置が過去5度にわたって延長がなされてきたこと、さらに、現行基本計画に基づく諸事業の一部が継続中であることから、関係地方公共団体においては、現行基本計画の終期である平成12年度末以降においても制度の存続を希望しているところである。
 また、関係地方公共団体は、新産・工特制度に基づく国庫補助負担率のかさ上げ等の各種支援措置を活用しながら、これまで各種の事業に積極的に取り組んできており、本制度は関係地方公共団体の財政運営に少なからぬ影響を持っている。
 5.新産・工特制度の今後のあり方について
 (1)基本的考え方
 各指定地区において、国、関係地方公共団体、地元住民等の関係者が一丸となって積極的な建設整備に努めてきた結果、新産・工特制度は日本の経済成長の実現、地域間格差の是正に大きく寄与してきたと考えられる。
 しかしながら、これまで見てきたように、重厚長大型産業の誘致を中心として工業拠点都市を育成することにより国土の均衡ある発展及び国民経済の発達に資することを目的とした新産・工特制度は、制度創設以来の長い年月の間に生じた社会経済環境の変化や地方産業振興をめぐる手法の変化の結果、今日においては制度創設時における意義が失われつつある。
 このため、新産・工特制度の基本的なあり方としては、現行計画の終期である平成12年度末をもって廃止することが適当であると考えられ、その方向で最終的な報告に向けて引き続き検討していくこととする。
 (2)制度廃止に伴う激変緩和措置の必要性
 新産法及び工特法は恒久法であり、これまで基本計画が5回変更承認され、財特法に基づく財政上の特別措置についても過去5回延長されてきたところである。また、関係地方公共団体における各種支援措置が財政運営に少なからぬ影響を持っているところであり、直ちに支援措置が打ち切られた場合には、計画に基づいて進められている各種事業の円滑な実施に支障を来すこととなる。
 このため、現行計画の終期である平成12年度末をもって新産・工特制度を廃止する場合においては、制度廃止後も一定期間、激変緩和的な考え方で、制度の廃止に伴う影響等諸問題に対する適切な配慮が必要である。
 6.おわりに
 本特別委員会は、新産・工特制度の今後のあり方について、平成12年度末の現行計画終了時をもって廃止することが適当であるという基本的な方向性に関する中間的な取りまとめを行った。今後は最終的な報告に向けて、制度が廃止された場合における激変緩和措置のあり方及びこれからの社会経済環境等の変化も見据えた自立的な地方産業振興策のあり方について、引き続き検討することとしたい。
 〔朗読終了〕
 以上でございます。
○成田委員長 どうもありがとうございました。
 今、朗読がございました中間報告(案)につきまして、皆様の方から御意見を賜りたいと存じます。どなたからでも結構でございます。
○  委員 全体のトーンとしてはこれで結構だと思いますが、少し気になるのは、テクニカルな問題ですが、3ページに分析をしているところがあって、検証をいろいろな数字を使ってやっているわけですが、普及率の分析があって、市町村道舗装率、それから下水道普及率が書いてあるのですけれども、伸び率で、パーセンテージの伸び率でも評価しているのです。一般に伸び率でやると、もとの数字が小さいと伸び率は高いけれども、実際の伸び量というのは大したことはないという現象が起こると思うのですけれど、特にこの下水道は、三大都市圏で28.3%から71%になって、ポイント数の増加だと43ポイントぐらいふえているわけです。新産・工特では13.2から54だから41ポイントぐらいで、パーセンテージのポイントの増加はむしろ三大都市圏の方が多いですね。だから、例えば下水道というのは、特に新産・工特を含めて地方圏で遅れているから新産・工特でも結果として下水道普及のために財政措置等が使われているということになっているのでしょうけれども、この普及率等を伸び率でこうやって評価するのはやや誤解を招くのかなという気がするのです。例えば1%だったのが10%に伸びると10倍で、50%から100%になると2倍ですよね。2倍の方が少ないのだけれど、50%から100%というのは大したものだということになるのだと思うので、ちょっとここは再考があってもいいのかなと思うのですけれども。
○田巻参事官 確かにここは、伸び率よりもシェアの方が適当ではないかとかいろいろ議論はあったのですが、全体を見るときに、若干無理があるのは御指摘のとおりですが、伸び率で整理した方が全体を比べやすいのかなと思って、あえてここは伸び率で整理させていただきました。ただ、御指摘のとおり誤解を招く可能性があるといけないので、括弧の中には生データを入れたという形で整理させてもらったのでございますが、御指摘の点は、そういったことで生データも入っているということで御理解いただければと思います。
○成田委員長 誤解を招くようでは、ちょっとコメントをつけた方がいいのではないですか。
○  委員 特に下水道は微妙ですよね。一応評価の根拠に入っているわけですけれども、しかし、かなり低くて、むしろ、だから下水道に力が入れられているという流れになるのでしょうけれども、ただ、そんなことを書くと、文脈からすると余計な感じになるので、下水道はここに書かない方がむしろいいのかなと思ったりするのですけれども、そうはいかないですか。
○田巻参事官 下水道は、これは大分議論があったところでございますから……。
○  委員 私も今の点は全く同感で、パーセント・ポイントで比較した方が普通だろうと思いますが、そうすると多分下水道は低くなってしまう。そうすると、何で問題になるかというと、多分地方の方が、家屋密度が違いますから、同じ下水道でも普及率というのは、例の地方の下水道というのはものすごく離れているのです。そういう意味では工事費が高くなるという例の話が背景にあるのかなということで、あえて言うなら密度の差異があれば、こういうこともあれかなという感じで考えております。
 一つ気になるのは、私もトーンは全体としてはこの報告書で結構だと思うのですが、一番心配しているのは、最後の結論的なところにも「激変緩和措置のあり方及びこれからの社会経済環境の変化も見据えた自立的な地方産業振興策のあり方について、引き続き検討する」ということで「おわりに」で結んでいるのですけれども、我々の国土審の諮問との関係でうまくこれが……、ぜひこれはやりたいのですが、そこのところが諮問との関係でうまく整合的に説明できるのかどうか。やりたいのですが気になるということが1点。
 もう一つ、字句の話でよろしゅうございますか。6ページに、産業構造に関しまして一極集中型という言葉と多極分散型という地域用語を使われて産業構造を御説明されているのですけれども、これは、地域概念ですね、一極集中と多極分散というのは。これを産業構造にお使いになったところが、言っている趣旨は何となくわかるのですけれども、何となく産業構造に多極分散というのは、私も余り聞きなれないことなので、言っている意味がわかるようなわからないような感じがあるので、ちょっとここは表現を……。つまり、多分難しいのは、今までは供給サイドの産業構造から何々業、何々業とやっていたのを、こちらであえて言っているように、分野的なものに、需要サイドみたいな形に産業が変わるような形の概念整理の変化をあえて言うと、何か多極分散みたいなものがあるのかもしれませんが、どうも産業を論じる言葉としてふさわしいのかどうかが若干疑問であるということが一つでございます。細かいところでございますが、こんなところです。
○田巻参事官 最初の御指摘の「おわりに」のところでございますが、今後は最終的な方向に向けて云々というくだりでございますけれども、御指摘のとおりこの審議会はもともと新産・工特制度の今後のあり方についてということについて諮問があったわけでございまして、それを受けて御検討いただいてきたわけでございます。そういった意味で、この中間報告を取りまとめるまでの間はいろいろ御議論があったわけでございますけれども、最初の議論のスタートのときに、今後の新しい制度のあり方みたいなものについて議論するのですがどうしましょうかという、議論の進め方について最初のころ議論があったときには、とりあえず諮問を踏まえて新産・工特制度のあり方について御議論いただきたいと。その後、必要に応じて今後の新しい施策のあり方についても議論する、そういった進め方はいかがでしょうかということを御提案申し上げまして、一応そういったことを御了承いただいてこれまで御審議してきていただいたものというふうに理解しているわけです。そういった意味で、ここで中間報告という形で新産・工特制度のあり方について大まかな方向性をいただけるのであれば、その後、秋口以降になりましょうか、こういった自立的な地方産業振興策のあり方について、どこまで突っ込んだ話ができるかわかりませんけれども、私どもの方も資料を準備させていただいて、また今後の審議に備えていきたいと思いますので、御協力のほど何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 二つ目の用語でございますが、一極集中型、多極分散型というところはなじむのかという御指摘でございますが、もしもっとほかにいい言葉があれば、もちろん私どももこれに必ずしもこだわるものではございませんので。全く今の思いつきですけれども、例えば富士山型から八ケ岳型とか、そういったこともあるかと思いますけれども、何か適当なお言葉があれば、ぜひ御教示いただきたいと思います。
○  委員 7ページのところですが、(3)の「今日における新産・工特制度の有効性」の2行目あたりからですが、要するに新産・工特制度が念頭に置いていた重厚長大型産業は相対的にその比重が低下してきたというようなことが流れにありますね。これは、この前のところでは、新産・工特制度をやめる理由というのは、こういうことよりもある程度基盤整備を終えたとか、今どちらかというと生活の方に重点が行っているとか。基本的な役割を終えたからもうやめるよという流れになっているのであって、この産業構造の変化でこういう重厚長大型産業の比重が低下してきたということを言われると、産業界としても「ん?」というふうに思うでしょうし、そもそもこういう理由で新産・工特制度がなくてもいいよということにはちょっとつながりにくいのではないかと思うのです。
 この、重厚長大型産業が相対的にその比重を低下してきたから、日本はそういう産業構造に転換をしてきているということではないと思うのです。言い方の問題だと思うのですが、確かにシェアとか売上高とかそういうものは落ちてきています。付加価値も落ちてきています。だけれども、それは結果的にそうなのであって、だから支援措置を下げてもいいよという話ではないと思うのです。ある程度その産業構造の転換が成熟してきたから重点を置きかえようという話であって、あえて、ここは言い方は非常に難しいと思うのですけれども、この辺は少し配慮をして言い方を工夫された方が産業界にとってもいいでしょうし、この産業構造の面から見て何か変な感じがしますので、表現の工夫というのですか、そんなものを……。私もどういうふうにしたらいいか考えたのですが、どういうのが当たりさわりのない表現なのかなと思っておりますけれども、その点を少し御勘案賜ればと思います。
○田巻参事官 データとしては、5ページの「産業構造の変化」のところで素材型製造業のシェアが、昭和40年に10.8%だったものが平成9年に5.6%というデータがあるものですから、それを踏まえて7ページの今御指摘いただいたような「重厚長大型産業は相対的にその比重が低下してきており」というふうにまとめてみたのですけれども、私どもも○○委員の御指摘の点は少し心配なところがありまして、でも、7ページのあたりでは相対的にというものを入れれば少しやわらぐかなと思っていたのですけれども、御指摘がございましたので、そこはもう少し表現ぶりを工夫できるか検討させていただきたいと思います。
○  委員 やはり素材型イコール重厚長大になるのですかね。文面からいくと、そうなるのですかね。
○田巻参事官 ここで言っています素材型は、鉄、石油、紙パ、窯業、こういったものを一応集計したものでございますけれども、ですから、おおむね一緒かなとは思っていたのですけれども、いずれにしろここは御指摘を踏まえて検討してみたいと思います。
○成田委員長 ほかにございませんか。
○  委員 私も「基本的考え方」というところに尽きていると思います。新産工特の全部の地域に視察にも参りましたし、その結果こういう結論になったということでよろしいのではないかと思いますが、少し気になるところは、財政上の特別措置のところで今後激変緩和しなければいけないというところにつながるところで、何度か恒久法で特別措置が過去5度にわたって延長というくだりがあって、これは、かなり長く続いてきたから制度をやめるときに激変緩和が要るというところにつながる文脈だと思うのですが、もう一つ別の見方をすると、こんなに長く続いてきたから、ここでそろそろ成果があったか評価して終わりにすべきだというようなことも逆にあり得ると思うのです。明確には書いていませんが、裏はそういう話になってくるのだろうと思います。
 言葉がほかにないのかなと思いますけれども、恒久法という言葉はちょっと引っかかっていて、法律というのは、時限法でないと全部一種恒久法になってしまうわけですが、特にこういう法律というのはそんなに恒久的に続くというものでは当然ないですし、常にその時代にそぐわなければ改正していくべきですから、恒久という言葉は、響きがかなり強いかなという感じがして、ほかに何か適当な言葉があればと思うのですが。要するに時限法ではないという意味ですよね。どちらかというとおっしゃりたい趣旨はそうだと思うのですが、そうすると恒久になってしまうのですかね。そこだけ気になりました。
○  委員 テクニカル・タームはないのですか。
○  委員 普通の法律ということなのです。時限法に対する言葉は……。特に期限を限っていない普通の法律ということです。
○成田委員長 まして全然使わないわけではないですね。時限法という概念を使う場合に、その反対側ではやはり恒久法というようなことなのではないですかね。一般法と言うと、また少しおかしいですしね。
○  委員 非時限法とか。
○  委員 要するに、期間を限っていない法律ということですよね。
○成田委員長 私が気がついたのは、今の7ページの(3)ですけれど、「今日における新産・工特制度の有効性」というと、ちらっと見ると、今でも有効なのだというふうにとられやしないか。ここで言おうとしていることは、有効性が低下してきたとか、あるいは有効性が減少してきたということですよね。その点、これでいいかどうかという問題と、それから、そこの「しかしながら」以下のところは、これは経過措置のところと文章はほとんど一緒ですよね。だから、それは経過措置が要るよという、ここはこの(3)で書くことなのかどうかですね。制度の存続を望んでいる者がいるのも事実ですけれども、ここに書くことではないのではないか。
○田巻参事官 一応全体の整理といたしまして、4.までのところは事実関係の整理、5.のところはそれを踏まえた考え方という整理をさせていただこうかなと思いまして、今ほどの「しかしながら」以下のところにつきましては、一応事実関係としてこういう事実があるということでここで1回整理しておかないと、いきなり考え方の方に出てくると唐突なのかなと思いまして、確かに内容的にはダブッているところが多いので若干リタルダントな感じがするのですけれども、一応全体の整理といたしまして事実関係とそれを踏まえた考え方という整理をすると、ここで1回触れさせていただかないとつながりにくいのかなと思ってこういうふうな書き方をさせてもらったのですけれども。
○成田委員長 有効性というと、何か評価概念がそこに入りますからね。単なる事実関係の認識ということから少し離れてしまうのではないかという感じがするので、ここのところの書き方は少し難しいところですね。
○田巻参事官 そうですね。いい知恵が出てくるかどうか、工夫してみたいと思います。
○  委員 今の有効性の話もそうなのですけれども、多分先ほど○○委員からお話のあった点もそうなのですが、実は素材産業がせっかくできたのだけれど、国際化の進展の中でその集積が壊れているというふうな現状認識でこざいますよね。ですから本当は、有効性というよりも、求めていた政策性がむしろ今弱まったというのが認識ではないかという感じを私は持っています。これが1点です。
 もう一つ、これからの方向性をあらわすところの中で、インフラの話がございまして、ハードのインフラが終わってソフトの需要がふえてきましたというのが、6ページにございますね。このインフラにつきましても実は2段階あって、今の地方産業を考えたときには、当時のいわゆる港湾、道路、工業用地等のハードないわゆる物流交通インフラから、今求められているのは知的インフラなり環境インフラ、情報インフラという新しいインフラが出てきて、その上に加えて、それを加えることのソフトの要素が重要になってきたというのが、何となくインフラの中の重点の変化と、プラスこのソフトと言った方が、今後の施策を考えるときにはふさわしいのではないか。特に知的インフラとか情報インフラというものが今後の地方の産業を考えたときの機会均等をどうやって打ち出すかというときにも重要なキーになるので、もしできれば、少しそういったインフラの違いも入れられないかなということでございます。
○成田委員長 今おっしゃっているのは、まさに最近言われている公共事業の見直しと関連があるのではないですか。今までは港湾とか道路が一つの公共事業としてインフラだと考えられてきたわけですが、最近はむしろ情報、知的インフラ、これを公共的な事業にして全体の投資の枠組みを変えるべきだというような議論が出てきている。そういうこととの関連ですかね。ハード、ソフトという今までの言い方が、最近局面が変わってきているという認識なのでしょうか。
○  委員 地方自治体もかなりこの部分に力を入れたインフラ整備を試行してきておりますので。
○  委員 一つお伺いしたいのですけれども、7ページの一番上のところで、今後の地方振興策、産業振興策のあり方は原則として地方公共団体が行うというふうに言い切ってあって、8ページにも何か似たような文章がもう1回出てきたように思うのですが、この議論の目的に今後のあり方を考えるということも入っているわけです。それで、その結論がこういうことだということになると、特に国としては何もしないという、そういうふうな結論も読めるわけですけれども、私も改めて考えると、そういうふうにすっきりさせるというのも一つなのかなと。でも、かなり重要なポイントになると思うのですが。
 ただ、実態としては、この法律はともかくとして、地方拠点法とか国土庁所管のものもあるし、あるいは通産でやっているようなものにプラットホームとか、そういうものも地方の産業振興を考えているわけです。そういうものとの関係で、我々の結論としては確かにこういう議論をしてきたのだからこれでいいということだけれど、まだ進行中のそういった制度は何のためにやっているのかという議論が逆に出てくると思うのです。それは今後、中間報告から本報告に向けてそういうことを議論すると一番最後に書いてありますけれども、ある意味でこの文章を重んずれば結論は出ているという、国はやらないのだと。みんな地方が競争してやるのだから、どこかに肩入れするのはおかしいことになりますよね。そういうふうに割り切れば、それも一つだと思うのですけれども、そういう意図でよろしいのですか。
○田巻参事官 「原則として地方公共団体が行うという方向にあるものと考えらる」ということで、原則としてというところに全部押し込んでしまったのが誤解を招いているのかもしれませんけれども、私ども、これまでの議論を伺っておりますと、地方公共団体に国としてはそういうふうな側面的な支援を行うというのがこれまでの議論の整理かなと思っております。それを原則としてという言葉に押し込んでしまったのですが、場合によっては、そこをもう少しかみ砕いたような表現にした方がよろしいでしょうか。
○  委員 そこは、例えば余韻を残すと、激変緩和措置以外にも例えば財特なんかの制度を換骨奪胎して新しい制度につなげるとか、そういう意見もあったと思うのですが、そういう未練がましいものは断ち切って、これはこれでスパッとやめる。それで、あとは激変緩和措置を何年かやって、それで完全におしまいだということの議論も強かったと思うので、それも一つの考えではないかと思うのです。
 私は四分六ぐらいで六分ぐらいはこういった地方に任せるというのもいいのかなと思いますが、あとは財政措置としては交付税とか、もっと包括的なものの中で見るというやり方が考えられるのではないかというふうに思っているのですが、ただ、必ずしもそういうふうに全体がまとまったわけでもないように思うので、その書き方を多少余韻を残すという手もあるのかなと。ちょっと煮え切らない意見で申しわけありませんが。
○田巻参事官 御指摘を踏まえまして工夫させてください。
○成田委員長 ここのところは、しかし、国が必要最小限度の支援を行うなんていうふうに書くと、かえって支援を残せという口実を与えかねないわけです。だから、スパッと切ってしまって、優遇措置、激変緩和だけではなくて、地方産業振興に係る国のあり方、例えば税制上の措置なんていうのは必要かもしれないし、これは国でなければできないわけですね。そういうものは要るかもしれませんけれども、その辺になると、やはりここで、どこまで地方産業の振興のあり方を長期的に考えるかという問題とつながってくるわけですね。
○上野審議官 今、○○委員がおっしゃられたことは、1ページに、11年3月の研究会の報告の最後の結論のところにプラスしてありますけれども、ここではもう少し丁寧に、「基本的に地方公共団体の主体的な取り組みに委ねる方向とすべきである」という形で書いてあって、基本的にはこのトーンに近いようなことを意味しているつもりが、ややはしょって書き過ぎて、やや大胆になったという気がしますけれども。
○  委員 今のところですが、割とクルーシャルなところだと思うのですけれども、私は基本的には、いわゆる計画主体は従来は国が主体で、国が指針を定めて、それに地方が乗ってくるという時代から、地域が自分の立場から計画主体になるのですよということが大きな一つの変化だと思います。地方振興策としては、結果の平等としてやるのではなくて、むしろ機会の平等的なものはまだ残ると思うのです。その上で機会の平等とか産業構造を踏まえたこととしての地域振興策に対して何らかの御支援措置をするということは、いわゆる機会の平等的な話からはあってもいいのではないかというのが基本的な地方産業に対する振興策だと思っております。
○  委員 ただ、分権の考え方からすると、○○委員が六とおっしゃった方の、割とスッパリ切ったものでいいのかなという感じもします。ほかにまだいろいろな諸制度が残っているとおっしゃるのもそうなのですが、とりあえずここでは新産・工特をどうするかということを考えるときに、割り切れるものであれば、範を示すではないですが、すっきりした考えを示して、あとは激変緩和というのも一つの筋ではないかと思うのです。もちろん新産・工特以外でまだ残っているものはありますが、ただ、ここで考えるのは新産・工特をどうするかですから、ある程度割り切ってもよいと思いますが。
○成田委員長 ○○委員のおっしゃった点は、全体を、これはやはり今後の地方産業の振興策は従来の全国一律方式ではなくお互いに競い合うようにすべきであると、そういう観点から地方の産業振興は地方公共団体が行うというふうに読めば、政策の転換として一般にはそういうことを言ってもいいのではないか。国がどうするかということは、ここでは言わなくても、一応政策の転換という意味はここにあるのではないかという気がするのですが。
 しかも、新産・工特というのは、ほかのテクノとか頭脳なんかと違って非常に手厚いわけですよね。従来の護送船団方式といいますか、非常に手厚く保護して育成してあげようという慈愛に満ちた制度なわけです。そういうものをやめようということで、しかし、実際は何も地域指定を全部やめてしまうということまでは言っていないわけです。そのテクノとか頭脳というのは全国一律ではないですよね。やはり地方公共団体が計画をつくっていくときには、それを承認するということですから。
○田巻参事官 今ほどいろいろな御意見をいただいたわけですが、この辺は6の「おわりに」の今後また引き続き検討というところで、またこの後、秋以降の議論で御検討させていただくということでよろしゅうございますか。
○  委員 今皆さんが言ったことは、私も大体ほとんどそのとおりだと思うのですが、例えば先ほど○○委員が言った産業の一極集中から多極分散へとか、そういうものを全部事務局が引き取ってしまって、次の委員会までに適切な言葉の言いかえが事務局でできるということでいいのですね。
○田巻参事官 そこは、また最終的には成田委員長と御相談するような形にさせていただければと思いますが。
○成田委員長 私は産業の専門家ではないから、もっとふさわしい方が……。
○田巻参事官 検討した結果、いい知恵が出てこないということもあるのかもしれませんが、そこは必ずしも全部が全部かどうかわからないのですけれども。
○  委員 やはり6ページの一極集中型から多極分散型の産業構造という、この表現は極めて違和感がありますね。一例で、最近のこういう産業を一言で言いあらわそうとして、余りなじまないのですけれども、○○は花びら型産業と言っております。あれもこなれない言葉ですけれども。6ページに何度か出てきますが、うまい言葉を考える必要があるのかなと思います。
 それから、本質的なさかのぼるような話をしてしまうかもしれませんけれど、やはり時代が大きく変わっていく中で産業振興というのは、地域に限定した場合、それは県や市町村が本当にやるべき話なのかどうかということについて若干私は最近疑問に思っていまして、特に分権の議論の中でこういうことを言うのは結構なのですが、むしろ日本にとって重要なのは、官主導から民主導という、そちらの方がむしろ健全な産業発展なり経済の発展につながるということははっきりしているだろうと思います。そのときに一番この地方分権とか産業の問題で嫌なのは、地方の県の方がより官尊民卑の風潮が強い。どこの県とは言いませんけれど、地方の県へ行くと県の役員の方がはるかに民間の企業よりも常に上座に座って偉そうな顔をしているという、この風潮が改まらない限り、本当に産業のイニシアチブを地方公共団体に任せるということが適切なのかどうかということについては甚だ疑問視せざるを得ない。地域にある産業に対して、地方公共団体の実力が伴わないにもかかわらず、一番プライドだけが強いのが、あえてここも対象地域ではなくて東京都庁だという例を挙げて話をしてあれなのですけれども。そういう若干の疑問はありますけれども、全体の文脈としてこういうふうに諮問も受けていますから、これはこれでいいかと思います。
 きょうのこの案は回収されるそうですから、一つだけ覚えておこうと私は提案をします。これはどう変わるか、ここだけ覚えておこうと思いますが、8ページの上から3行目です。ここの3行を一つのセンテンスの中で続けるのではなくて、2行目の「平成12年度末をもって廃止することが適当であると考えられる。」として、本当はここの主語は「本委員会は」ですが、それは「おわりに」であるから省略するとして、「検討していくこととする。」と、ここははっきり、むしろ「。」で切ってしまった方が……。これだと、例えば英語で1センテンスで語れるかという、一つだけ意地悪な質問をあえて、答えを要求せずに言うとそういうことなのですが、ここだけ、一番肝みたいな話ですから、ここだけスパッと言い切ってしまうということを御提案させていただきます。あとは、最終的に文章をどうされるかは、次回のものを見たときのお楽しみということにします。
○成田委員長 今、○○委員のおっしゃるのはもっともですね。これは中間報告で、今度は特別委員会で議論するわけですけれども、そこでスパッと中間報告の段階で廃止するというふうに、適当であると考えられると言い切った場合に、これは片や政治問題化しつつあるのです。若干含みを持たせる形でこういうふうに事務局は書いたのですが、そこはどうですか。
○  委員 そういう諸情勢全般をかんがえみて委員長が御判断されるのでしたら、私はそれ以上何も言いません。そうかもしれませんね。差し当たり特別委員会がもう一度近々にあるわけですから、その段階まではこのままで、そこでもう一回今の話をしてもいいと思います。
○  委員 今も出た6ページの一極集中、多極分散というところですけれども、確かにこれは地域概念が紛れ込んでいて少し文脈としておかしいとも言えるので、例えば、こういう言葉をやめてしまって、括弧の中を構造というふうに置きかえると、「これまでのような特定の産業が経済成長を牽引する構造から、より多様性に富んだ構造に変化するものと考えられている」というような表現でもいいのかなと思います。
○成田委員長 産業構造ですね。
○  委員 産業構造でもいいですし、あるいは単なる構造でもいいかもしれませんし、上に産業構造とありますから。
○  委員 それから、7ページの(3)の先ほどの「有効性」という点は、「意義」という言葉にして大見出しと同じにしてしまえば、評価が表に出なくていいのではないでしょうか。
○田巻参事官 それは一応検討したのですが、大見出しと一緒になってしまって、それで有効性としたのですけれども。
○  委員 同じようなことを考えるわけですね。
○成田委員長 やはり「今日における新産・工特制度」ぐらいで切ってしまってもいいのかもしれませんね。
○  委員 そうですね。有効と言っていないわけですから。
○  委員 あえて言葉をつけるなら「……の意味合い」ぐらいですかね。「今日における新産・工特制度の意味合い」とか、だけど、やわらか過ぎてしまいますけれどもね。
○  委員 成田委員長がおっしゃったように全部切ってしまう方がいいと思います。「今日における新産・工特制度」という方がわかりやすいですね。
○成田委員長 有効性が減少しているという言い方も、これは遠慮した言い方なんですよね。本当は有効性がありませんというふうに言いたいのだけれども。
○  委員 いろいろ遠慮した言い方はありますね。7ページの一番最後のところで、「今日においては制度創設時における意義が失われつつある」というふうに途中経過のような言い方ですが、実はもう失われたと言ってしまってもいいようなものだけれど、ちょっと言いにくいという感じですよね。
○成田委員長 それでは、まだ時間がございますので、ぜひ一言ということがございましたら。
○  委員 まず頭の整理で、この新産・工特の目指したものは多分大都市圏から地方圏への産業立地という形の移転で集積させましょうという考え方ですね。それで、今この文章に出ているのは、内発型な発展を図ろうという話で今後の展開を考えましょうというのが多分大きな流れになっている。先ほど都市の問題もあったのですけれども、我々が調べたところによると、実は工業立地というのは現在8割までは、要するに地元企業が立地しているのです。つまり外から出てきているのは、地方も2割ぐらいしかなくなってしまったというのが今の数字です。ですから、逆に言えば三大都市圏では、三大都市圏ほど工業集積があるから、そこではまたその部分が強く出てきている。そのときに、私は地方の立場というか地方でいろいろやっていますと、地方で内発型発展を起こすためには、かなり実はインフラが不足している。例えば大学の知的インフラをつくろうとすると600億の金がかかる。そうすると、予算が6,000億の地方自治体で600億の金をかけるということは非常に大きな決断が要る。そういう、つまり機会均等的な地域の新しい内発型発展を起こすためのいわゆる財源措置というのは、実は非常に大きな問題になっている。だから、これはいわゆるばらまきではなくて、まさに地域が内発型発展するために地方分権という言葉の中で、実は地方分権でありながら財源が移転できていないときにこういうことになったときには、必ずそれに対する問題意識が出てくると思うのです。だから、そういうことも含まれて何となくこういう受け皿があるのだからこうだとやらないと、つらいものがあるのではないかというのが率直な意見です。
○成田委員長 それはおっしゃるとおりで、補助金のかさ上げなんかより、本当は補助金は切って、やはり20兆ある地方に対する補助金負担金のうち4兆ぐらいは切ってしまって、その半分ぐらいは自主財源に移すというようなことを本当はやればいいわけです。それは、分権委員会にも頭の中にあるのですけれど、なかなかこれは、そういう税源の移転というのは国の財調、財政委員会とか、もっともっと大きなところで考えなければなかなかできないので、長期的な課題ではあるのだと思うのです。
 ただ、新しい全総では、連携とか提携というようなこと、共生というようなことを言っていますから、お互いに自治体が手をつなぎ合ってやっていくというふうなことも考えてもいいのだろうと思うのです。現にこの前、岐阜県の方に来ていただいて、いろいろ話を承りましたし、○○県あたりでも、かなり内発型でやはり重厚長大に近いようなものをだんだん最近は発展させつつあるわけです。これはまさに内発型なのだろうと思います。ただ、出てくる企業はやはり外資型のもらしいですね。そういう立地形態も最近は一つあるということなのですけれどもね。
○  委員 少し蛇足的に、特別委員会の後の議論なのかもしれませんが、きょうの議論の中で皆さん新産・工特と産業の考えについて、認識に若干のずれがあると思うのです。だから、そもそも論みたいな話で言うと、実は三大都市圏にあった重厚長大型産業を例えば○○とか○○に移すということではなくて、大都市では収容し切れないほど生産力を高めなければいけなくなったので、その受け皿を○○や○○や○○や○○に持っていったというのがそもそもの出発点だったわけです。だから、何かその辺が、もっとこれに先立つ工業等制限法なんかから、そういう追い出し立法と、それから、今度はもっと後の昭和40年代の工業再配置政策と、何かそのあたりが皆様の頭の中で混在したまま実は新産・工特についても論じているような気がするのです。ただ、やはり事実関係は、高度成長期で三大都市圏からオーバーフローしていったものをどこで受けとめていって国全体の生産力を高めるかということがそもそもの新産・工特制度の意義だった、産業政策上の意義だったという、そこの事実関係を、工配法なんかの経緯と少しチャンポンに議論していると位置づけを誤りますから、そこのところはもう一回認識を共通した上で次の国土審に臨んだ方がいいのかなと思います。ちょっと蛇足的に申し上げました。
○成田委員長 もちろんそれはおっしゃるとおり、二大工業地帯から移したのではなくて、当時はやはり国際競争に勝てるような新しい工場が要る、たしか100万坪ぐらいの単位で工場をつくらなければならないと。それは首都圏では収容し切れないということで、新産都市の埋立地を対象にして工場がどんどんできたということがあるわけです。だから、工業再配置は確かに指定し直して移すということなので、そこはおっしゃるとおりだと思うのです。
○  委員 もう1点、歴史的な話で恐縮ですけれど、例えば局長はお詳しいでしょうけれど、○○なんかを例にとると、新産法が始まる前にも○○の工業団地の開発計画がありましたし、○○開発も○○にしても、○○もそうでしょうか。幾つかのところは、むしろこの新産・工特よりもっとはるかに先立って地域が主体的にこういう臨海型の開発計画を持っていて、それをもう少し国家的な戦略と一致させたものがこれだという、だから、その段階では、今日よりはるかに地域の主体性が発揮されていたというところをもう一回思い出していただいて、それと比べれば、いまだにこの制度を残せと言っている主体性のなさをきっちりと指摘しておきたいなと思います。
○成田委員長 それも歴史的におっしゃるとおりなので、これはやはり新産・工特以前に、やはり当時、あれは29年から31年ごろに地方財政がものすごく苦しい時代があったのです。これは局長も御存じだと思うのですが、そこで地方財政再建のための法律ができたりしたのですけれども、そのときに、これからは自主的に自分の財源をつくることが大事なのだということで、国に先立って埋め立てをして、そういう工場の誘致を考えていたのです。その流れが拠点開発構想になってきたという経緯があることは確かに事実です。そのころは、確かに今よりもっともっと地方が一生懸命やろうというふうな気概はあったと思うのです。それが、長い間にだんだん意識も制度も疲弊してきたということだと思います。
○  委員 少し蛇足的に、もう少し具体的に言いますと、私は1980年前後にテクノポリスが始まったころに対象地域を幾つか取材したのです。そのころ、例えば○○に行くと、○○さんといって、そのころ企画何とか室長でしたか、そういう新産・工特時代の一番の最前線でやっていた人たちが、最後の○○に行くと○○をやっているとか、そういう方と何人かお会いしたのです。それで、始まったころの話を随分各地で聞いたものですから、改めて思い起こしてみると、その人たちの気概に比べて、今日この存続をやっている人たちの気概の有無について甚だ感じるところがありまして、少しつけ加えさせていただきました。
○成田委員長 あのころは、たしか大きなタンカーがつくられ始めて、知事の一言ですぐにやれと、12メートルまで水深を掘れというようなことを当時命じた知事がいましたが、そのとおりになっています。今だと、それを変更するにはいろいろな役所を回って改定しないければならない、厄介な問題になるのですけれどもね。
 私も新産ができたときからかかわっているものですから、今とうとうお葬式を出す、生まれたときからお葬式を出すまでつき合っているわけですけれどもね。
○田巻参事官 先ほど○○委員から、事務局で全部引き取って大丈夫かという御心配をいただいたのですけれども、私も心配になってきまして、よろしければ、時間がまだあるようですので確認をさせていただければと思うのですけれども、よろしゅうございますか。
○成田委員長 はい。
○田巻参事官 御指摘いただいた順番で、少しページは飛びますけれども、まず最初に、○○委員の方から伸び率はいかがかというお話があったのですが、そこは括弧内に生データを書いてあるということで、これはこういうことで御了承いただけますか。それから、○○委員の方から、一極集中、多極分散型、この言葉がいかがなものかという御指摘がございまして、その後、最後の方で○○委員の方から構造という言葉に置きかえたらどうかというお話がありましたので、例えば6ページの一番上ですが、「特定の産業が経済成長を牽引する構造から、情報通信、環境、医療福祉等も含んだ、よりバラエティに富んだ産業構造へと進展するものと予測されている」という案でいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 6ページのAもこれと同じように、「牽引する構造からより多様性に富んだ産業構造に」という形にさせていただきたいと思います。
 その後、○○委員の方から、7ページのところの(3)「新産・工特制度が念頭に置いていた重厚長大型産業は相対的にその比重が低下してきており」という表現はいかがなものかという御指摘がございまして、これにつきましては5ページに、「素材型製造業のシェアの低下は著しく云々」と、「10.8%、5.6%」という記述がございますので、この記述を引用するような形で「経済の成熟化、グローバル化といった社会経済環境の変化に伴い、素材型製造業のシェアが低下するなど、国が主導して拠点開発を行うことにより云々」というような形に、もしよろしければさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○成田委員長 それでよろしいですか。
○田巻参事官 それから、ページが飛んで恐縮ですが、○○委員の方から恒久法という言葉はちょっとなれないというお話があったのですけれど、成田委員長の方から、そういったことはないわけではないというお話があったのですが、ここは……。
○  委員 私も、恒久的な法でも、かえってそれももっとまずい状況ではないかと。数十年も続いていれば、かなり恒久法だったと理解すればよろしいかと思います。
○田巻参事官 では、とりあえずこのままでよろしゅうございますか。
○  委員 はい。
○田巻参事官 7ページの(3)の「今日における新産・工特制度の有効性」と、こういうふうに書くと今でも有効であるような誤解を与えるのではないかという成田委員長の御指摘でございますが、その後、この有効性を取ってはどうかという御意見がございまして、「今日における新産・工特制度」と、これで言い切ってしまうということでよろしゅうございますか。
○  委員 今の恒久法のところは、もう少し扇大臣好みにわかりやすい言葉で言うと、「新産法及び工特法は古い法律であり」と言った方が、だれもが意味がわかりますが。
○成田委員長 古い法律というと、明治時代のものもまだ残っておりますからね。
○  委員 期限を限った法律ではなくとか。
○田巻参事官 ここの事務局のニュアンスとしては、あたかも動かない、変わらないような法律であるという意識を持っている方が世の中には多くて、それで、急にはとまらないというか、経過措置が必要だというロジックにしたいということで、こういった言葉を使ったわけです。
○成田委員長 そこで少し気になるのなら、「新産・工特法に基づく基本計画が」としたらどうですか。恒久法はやめてしまってね。「新産・工特法に基づく基本計画は」と。財特法は、これは時限立法ですよね。そういうことはここに書いていないのだけれども。
○田巻参事官 形式としては、恒久法がいいかどうかは別にして、恒久法なのですが、ただ、具体的な中身として例えば平成12年度まで支援を行うという書き方をしてありますものですから、結果的に時限的ニュアンスになると思います。
○成田委員長 やはり恒久法という言葉を取ってしまったらどうですか。
○田巻参事官 ここを取ると、なかなか説得力がなくなってくるのかなというのが少し心配なのでございますけれども、もしお許しいただけるのであれば、これを残させていただけると、今後ほかのところでこの報告書を使うときに使いやすいのかなと思っておりまして。
○成田委員長 しかし、(3)のところの「しかしながら」以下は、文章がこれは後のところとダブッてしまっているのですよね。だから、どちらかをもう少し簡単にするということにしてはどうですか。
○  委員 恒久法というのが2回出てくるのが気に入らないですよね。だから、7ページと8ページのどちらかにね。
○田巻参事官 では、8ページの方を切りまして、8ページの方は「新産法及び工特法の基本計画が5回変更承認され」と、こういう形にいたしましょうか。
○成田委員長 延長されたから、既得権だからもう一遍延長してくれという理屈は成り立たないので、これは現に諸事業の一部が継続中であるということを言えばいいのではないですか。この前の整理も、3年以内に抜本的に見直しますよということをたしか言っているのです。予告編できちんと予告しているわけですから。
○田巻参事官 はい。
○  委員 例えば「新産・工特法に期限の定めがなく、時限法である財特法に基づく財政上の特別措置が過去5度にわたって延長がなされてきた」というふうに書けば、意味が非常にクリアになるのではないですか。
○成田委員長 いかがですか。
○  委員 法律的に言うと恒久法でもいいのです。ただ、私が気になっているのは、一般の方への響きがむしろ心配で、ずっと続く法律のように響くのではないかということを心配しているのです。
○  委員 それを国会で変えればいいとみんな思っているのではないですか。
○  委員 そういうことで割り切っていただけるのなら。
○田巻参事官 では、今の議論を整理させていただきますと、7ページのところは「新産・工特制度は、新産・工特法に期限の定めがなく、財特法に基づく云々」と原文に戻ってきまして、8ページのところは「新産法及び工特法の基本計画は5回変更承認され」という形でよろしゅうございますか。
 それから、○○委員の方から、6ページの(2)の手法の変化の@、「地方産業振興策の変化」のところで「ハードからソフトへ」というのは、大きくはそうかもしれないけれども、細かく見ると、例えば大学の設立とか、ソフトの中にもハード面のものがあるのではないか。そういうものをきちんと読めるようにしてはどうかという御指摘をいただいたわけでございますけれども、それで、こういった案文はいかがでございましょうか。6ページの@の最後のところですが、「産学官連携の促進、技術開発の支援、人材養成プログラムの充実等よりソフト面を重視した」というふうに、ここに「より」を入れるということでいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。では、そのようにさせていただきます。
 7ページの上の2行目のところで、「原則として地方公共団体が行うという方向にあるものと考えられる」というところは、非常にクルーシャルなところだという御意見があったのですけれども、これにつきましてはいろいろな方からいろいろな御意見をいただきまして、最終的には秋以降の議論でまたここは議論させていただくということで、文章としてはこのままということでよろしゅうございますか。
 私のメモでは以上がきょうの御意見かと思いますが、こういったことでよろしゅうございますか。ほかに言い残したものがあれば……。
○成田委員長 7ページの「しかしながら」以下のところはちょっとやはり気になるのだけれど、それは残すにしても、その次に「また」というのがあるでしょう。「この制度が財政運営に少なからぬ影響を持っている」というのは、これは事実認識というのはこれからの問題ですから、「また」以下はここには要らないのではないか。むしろこれからの(2)のところにそれを入れればいいのではないかという気がしています。諸事業が継続中である。それから、各地方公共団体も制度存続を希望しているというところまでは事実なので、それは一つの認識として成り立ち得るわけです。それで、「また」以下は、これは今後の影響ですから。
○田巻参事官 ここは、新産・工特法の世話人会の方から第2回目の特別委員会のときにお話を伺ったわけですけれども、あのときに、この新産・工特に基づく財特制度は地方財政にビルトインされていますといいますか組み込まれているいうようなお話をいただいたものですから、それを事実としてここで整理させていただいたわけです。ここまでは、私ども事務局としては事実関係なのかなと思いまして、それでここに一応記述させていただいたのです。
○成田委員長 それから、8ページの(2)のところでも「また」というので、ほとんど同じような文章が入っているのです。
○田巻参事官 なるほど。
○成田委員長 要するにここに書くのか、これからのところに書くのか。
○田巻参事官 ですから、先ほどの8ページの方を少し整理してはどうかという御指摘がございましたので、8ページの方を、「過去5回延長されてきたことなどから直ちに支援措置が打ち切られた場合には」と、こういった形にいたしましょうか。
○成田委員長 そこは、もう一遍少し内部で検討していただいて、もう少し整理した方がわかりやすいのではないかと思うのですけれども。
○田巻参事官 はい。
 それから、8ページの6.の「おわりに」のところで、「激変緩和措置のあり方及びこれからの社会経済環境等の変化も見据えた云々」とございますけれども、この「激変緩和措置のあり方」のところは少しくどいのかなという感じもいたしますので、もしお許しをいただければ、この「あり方」を削除させていただければと思います。よろしゅうございますか。
○成田委員長 「廃止された場合におけるあり方」ですか。
○田巻参事官 「制度が廃止された場合における激変緩和措置及びこれからの」と、「あり方」を削除するということです。
○成田委員長 これも、予算査定なんかとも相当絡んでくることですからね。
○芳山地方振興局長 それと、多分委員会でどこまでどうするかというのは書けないような感じがちょっと……。先ほど○○委員から御質問がありましたけれど、年数に言及することも、中身についても、物の考え方についてここは書くのかなと。それで、あり方というのはひょっとすると、イメージ的にどの程度の規模で何人ぐらいというようなことを審議会として打ち出すイメージでとられると、多分そこまでは言及できないかもしれないです。物の考え方を、次の最終答申で激変緩和と。
○成田委員長 激変緩和では、一番やはり要望しているのは港湾なんですよね。仕かけ中の港湾をきちんとやってほしいということと、それから市町村では下水道のかさ上げ、それから道路も一部言っていました。それから、県では支援措置をどうするかという問題もあるけれども、これは、しかし、運営上問題があるのでしょう。
○芳山地方振興局長 そうですね。利子補給はほとんどないですから。あと、特に問題は、税と助成ですね。この辺が難しいですね。
○成田委員長 税の優遇措置ですか。これは、しかし、租税特別措置法か何かで経過措置を講じればいいかもしれませんね。だから、財政的な支援措置のそれぞれについて少し考えてみたら、これはなかなか難しいのですよね。法律を廃止したときに、附則で生かしてしまうのかどうかという問題もあるし、法律を廃止しながら附則で全部生かすのは意味がないわけですから。そのために、また計画をつくってというようなことになると、何のために廃止したのかわからないようなことになってしまうから。
○  委員 激変の幅も問題ですね。本当に激変なのかどうかですね。激変だと言っているけれど大したことはないという感じがするのも正直言ってあるから。だから、港湾ももろに市町村の負担になれば、これはかなり激変だと思うのです、今は県がやっているわけですから。それ以外は、下水道も多少年月が延びるということであれば、激変とまでは言えないと思うのです。
○成田委員長 県によっては、この制度とほかの制度を抱き合わせて、うまいこと地域バランスに使っているでしょう。その一つの柱が外れてしまうとやりにくいという……。それは、しかし、国が何とかする問題ではなくて、地方が考えればいい問題ですからね。
 ほかに御意見はありますでしょうか。
 では、時間は一応15分ぐらい残っていますけれども、大体議論も出尽くしたのではないかというふうに思います。
 そこで、本日はいろいろな御意見を多数いただきましてありがとうございます。皆様の御意見、今、事務局の方で受けとめて一部修正するという話も出たわけでありますけれども、なお、その後の御意見を踏まえた最終的な修文をもう一遍していただくつもりであります。
 そこで、次回の特別委員会におきましては、これまでの小委員会の審議経過の報告をするというふうにしたいと存じます。その際、本来ならば小委員長である私は特別委員会の報告をしなければならないということになるわけでございますけれども、私は親委員会の特別委員長でもありますので、これは私がやると双方代理みたいな変な形になってしまいます。そこで、この委員会の報告は、大変申しわけないのですけれども、○○委員にぜひお願いしたいというふうに存じます。
 そのほか、特別委員会の中間報告(案)に関する具体的な修文、これは一部は既にできたわけですけれども、それ以外のものにつきましては私に御一任いただきたいと思います。なお審議経過の報告の仕方につきましても御一任いただきたいと思います。
 それでは、次回の地方産業開発特別委員会に向けて私の方で準備を進めてまいりたいというふうに存じますが、本日お手元にございます中間報告(案)につきましては、先ほど申しましたように非公開として、これは回収させていただくことをお許しいただきたいと思います。
 それから、今後のこの小委員会につきましては、これで終わったわけではございませんで、これは中間報告の終わりにございますように、最終的な報告に向けて引き続き、これはどこまでできるかわかりませんけれども、残っている課題、激変緩和措置等も含めて引き続きお願いしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 
(2)その他
 
○成田委員長 最後にその他でございますけれども、これは田巻参事官の方から何かございましたらどうぞお願いします。
○田巻参事官 次回は特別委員会、親委員会ということになるわけでございますけれども
本日の資料につきましては、今までございましたように今後親委員会に向けて継続審議ということで、大変恐縮でございますけれど回収をさせていただければと思っています。
 それから、この小委員会としての次回のスケジュールでございますけれども、秋をめどに別途調整をさせていただきたいと思っております。夏休み過ぎにでもまたお願いできればと思っております。
 私の方は以上でございます。
○成田委員長 どうもありがとうございました。
 
3.閉  会
 
○成田委員長 それでは、本日予定しておりました議題につきましては、これですべて終了でございます。今の事務局の説明にもございましたけれども、次回の会議は、小委員会ではなくて親委員会であります地方産業開発特別委員会でございます。そこで、第7回の小委員会の日取りにつきましては、次回の特別委員会の議論も踏まえた上で改めて、秋口ということですが、事務局の方から御連絡を申し上げたいということでございます。
 本日は、事務局の予定では30分ぐらいで終わるのではないかというお話でしたけれども、いろいろと貴重な御意見を賜ったために大体時間どおりになったわけでございます。本当にどうもありがとうございました。本日の会議はこれで閉会させていただきます。