第25回国土審議会首都圏整備特別委員会

日時:平成11年3月16日(火)
   午後2時00分〜3時35分
場所:東條会館4階「有明の間」


午後2時00分 開会

○事務局
お待たせをいたしました。本日は、委員の皆様方には御多忙のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。

新任委員紹介

○事務局
まず、議事に先立ちまして、前回の特別委員会以降、新たに委員に就任されました方々につきまして御報告を申し上げます。
お手元に資料1の委員会名簿をお配りしてございますので、ごらんをいただきたいと思います。
初めに、国会議員であります委員につきまして、衆議院議員太田昭宏委員、参議院議員齋藤勁委員。お二方、お見えの予定でございますが、ちょっとおくれておられます。お二方が新たに就任をされました。
次に、関係地方公共団体の議会の議長である委員につきましては、茨城県議会議長本澤昭治委員、山梨県議会議長臼井成夫委員が新たに就任をされた次第でございます。
ただいま御紹介を申し上げた委員の方々以外の委員につきましては、引き続き委員をお願いしているわけでございます。
それでは、委員長、開会をお願いします。

○委員長
委員長を仰せつかっております宮繁護でございます。本日は、大変お忙しい中を御出席賜りまして、ありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
それでは、ただいまから第25回の国土審議会首都圏整備特別委員会を開催いたします。

国土政務次官あいさつ

○委員長
本日は、御多忙の中、谷川国土政務次官に御出席をいただいておりますので、最初に谷川国土政務次官にごあいさつをお願いいたしたいと思います。

○谷川国土政務次官
皆さん、こんにちは。本日は本当に御苦労さまでございます。
関谷大臣が国会の関係で出席がかないませんので、私、国土政務次官を仰せつかっております谷川秀善でございますが、関谷大臣にかわりまして一言ごあいさつを申し上げます。申し上げるまでもなく、首都圏は我が国の政治、経済、文化等の面で中心的役割を果たしており、21世紀の我が国の発展に向けて大きく貢献していくことが期待されております。
一方で、首都圏におきましては、通勤混雑等の大都市問題は依然として深刻であるとともに、震災等の大規模災害に対して脆弱であるという問題を抱えております。また、少子化、高齢化の進行、産業の空洞化等の社会経済情勢の変化に的確に対応していくことが必要であります。このため、新しい基本計画の策定に向け、平成6年12月に、今後の首都圏整備の基本方針についてお諮りをし、これまで計画部会での御審議をいただいてきたところでございます。
本日は、この首都圏整備の基本方針につきまして、御検討いただきますとともに、これを踏まえ、21世紀初頭の首都圏整備の基本的事項を定める第5次首都圏基本計画(案)についても諮問を申し上げ、御検討いただくこととなっております。
また、本日は、首都圏における工業等制限制度の在り方についても御検討いただくことになっております。近年における経済社会情勢の変化に対応するため、所要の見直しを行うこととし、計画部会でその基本的在り方について検討の取りまとめをいただいたところでございます。何とぞよろしく御審議のほど賜りますようお願い申し上げまして、簡単でございますがごあいさつにかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○委員長
ありがとうございました。
今回の委員会は、首都圏整備の基本方針の案について計画部会からの御報告に基づき御審議をいただくとともに、第5次の首都圏基本計画(案)につきまして、内閣総理大臣から諮問を受けまして、これについて御審議をいただきたいと思います。
また、新たな首都圏整備における工業等制限制度の在り方の案につきましても、計画部会からの御報告に基づき御審議を賜りたいと思います。
議事に入らせていただく前に、今後の特別委員会の運営につきまして、1点、私からお諮りをいたしたいと存じます。
これまでの本特別委員会の情報公開につきましては、会議の議事要旨を公開するという対応を図ってまいったところでございます。しかしなから、審議会等の透明化、見直しについての閣議決定等では、議事録の公開等を行うことにより、審議会運営の透明性の確保に努めることとされております。また、これを受けまして、本年1月11日に開かれました国土審議会では、原則議事録を公開する取り決めを行っております。そこで、本特別委員会におきましても、今後はこういった流れを踏まえまして、議事録を原則公開することとしてはどうかと考えております。具体的には、事務当局から説明していただきたいと思います。

○事務局
お手元に、資料3といたしまして一枚紙でございますが、「国土審議会首都圏整備特別委員会の情報公開について(案)」という資料が配布されております。それに基づきまして御説明申し上げます。
まず第1に、原則として議事録を公開することといたしますが、2にございますように、委員の方々の自由かつ公平な立場での審議の確保のため、会議自体は引き続き非公開とし、公開する議事録においては、発言者の名前は伏せるものといたします。
また、会議の円滑な運営を図る必要がある場合には、会議に諮った上で、議事録にかえて議事の要旨を公開することといたしたいと思います。
3といたしまして、更に会議終了後、必要と判断される場合には、記者会見を行い、議事の概要について紹介いたしまして、議事録又は議事要旨を国土庁の文書閲覧窓口等に備えることといたしたいと思います。
以上の御提案でございますが、いかがでございましょうか。

○委員長
ただいま、情報公開につきまして事務当局から御説明がございましたけれども、この案につきまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞ発言をお願いいたします。

(「異議なし」の声あり)

○委員長
それでは、異議なしという御発声でございますので、このように取り扱わさせていただきます。

議事

○委員長
それでは、ただいまから議事に入ります。

(1)首都圏整備の基本方針及び首都圏基本計画(第5次)について

○委員長
「首都圏整備の基本方針及び首都圏基本計画(第5次)について」を議題といたします。
最初に、事務当局から、首都圏基本計画(案)につきましての諮問文を朗読していただきます。

○事務局
それでは、お手元にございます資料の5-1に諮問文が入ってございますので、朗読をさせていただきます。

11国都計第18号
平成11年3月16日
国土審議会会長
石 井 威 望 殿
内閣総理大臣
小 渕 恵 三
首都圏基本計画について(諮問)

首都圏基本計画を別添のとおり決定したいので、首都圏整備法(昭和31年法律第83号)第22条第1項の規定に基づき、意見を求める。

以上でございます。

○委員長
ありがとうございました。
各委員におかれても御案内のとおり、平成6年12月1日に内閣総理大臣から諮問を受け、以来、計画部会におきまして実に39回にわたって慎重に審議が行われてまいりました。この機会をかりまして、計画部会長並びに各委員の熱心な御審議に対しまして、心から敬意を表する次第であります。また、その間、本委員会におきましても、計画部会におきます審議の報告をお聞きしながら、各委員の貴重な御意見も承ってまいったわけでございます。
以上の経緯を経まして、首都圏整備の基本方針につきまして、計画部会の案がまとまりまして、本日、本委員会の御審議をお願いすることになったわけでございます。
また本日、先ほど諮問のありました首都圏基本計画(案)の内容につきましては、計画部会において首都圏整備の基本方針を審議するに際しまして、基本方針と一体として審議の対象としてまいったものでございます。首都圏整備の基本方針と、首都圏基本計画とは内容的にも非常に密接な関係にありますので、この際一括して御審議いただきたいと考えております。
では、御審議いただきます前に、最初に首都圏整備の基本方針につきまして、この案をまとめられました計画部会長から御報告をお願いいたしたいと思います。

○計画部会長
ただいま委員長からお話がありましたように、計画部会は平成7年2月でございますが第1回を行いました。したがって、4年を超える期間で合計39回の部会を開催いたしました。そして、ここで首都圏基本計画の新しい案を策定すること、それの基本となります基本方針の検討作業、これをいろいろ検討を進めてまいりました。ここで、基本方針について御報告をさせていただく次第でございます。
基本方針を議論するにつきましては、その内容として、地域整備の基本的方向、あるいは産業等の諸機能の展開、それから多様な主体の活動、環境との調和、防災、居住環境、さらに広域的な基盤施設の整備など、こういう項目について非常に熱心に計画部会の皆さん方の御議論をいただいたわけでございます。
計画部会の審議に御参加いただきました先生方のお名前は、お手元の資料8-1にございます。また、計画部会の開催経緯は、資料8-2でお配りしてございます。
昨年8月の本特別委員会に、これまでの調査審議の成果を「計画部会調査検討報告」として取りまとめ、御報告を既に行っているところでございます。
この公表されました調査検討報告に対して、いろいろな御意見をいただきました。それをもとにしまして、首都圏整備の基本方針についてさらに検討を行った次第でございます。同時に、本日、諮問が行われました首都圏基本計画についても、この計画部会で一体的なものとしていろいろ議論をさせていただきました。
基本方針の内容につきましては、本日資料4-1に基本方針(案)の本文と、資料4-2に基本方針(案)の要旨を配布してございます。
現行の第4次首都圏基本計画は、昭和61年に決定されておりますが、その後、経済社会情勢は極めて大きく変化しておりますし、特に右肩上がりの成長の時代が終わったという状況でございます。いろいろな点で社会的な転換が求められているわけでございます。こういう問題意識のもとに、計画策定をしたということでございますが、首都圏のあるべき将来像を描くとともに、圏域整備の方向についても、この基本方針では述べております。
資料4-2の「基本方針(案)の要旨」を使いまして、若干でございますが内容を説明させていただきます。
資料4-2、まず第1章で、首都圏の果たすべき役割と課題を挙げてございます。
@で、これは昨年の3月ぎりぎりに第5番目の全国総合開発計画が、「21世紀の国土のグランドデザイン」という形で閣議でお認めいただいた次第でございますが、これを受けまして、首都圏の基本方針を議論させていただきました。その結果、以下の4点がこれからの首都圏として日本全体のために非常に重要な役割として認識されたわけでございます。
1番目が、国際的競争力を維持し、我が国の活力創出に資する地域であるということ。そういう地域にならねばならない。2番目に、国内外にわたる多様な活動の連携を支援する地域の形成でございます。3番目に、自然の循環を重視した環境共生型の地域構造や生活様式、これをつくり出すということが首都圏に求められているわけです。4番目、4,000万人の暮らしを支える、安全で快適な生活の場をつくろう。この4点が、首都圏として日本全体に対して果たすべき非常に大きい役割であるという認識を、まずしております。
一方、首都圏整備の現状を考えてみますと、依然として現状解かなければならない現下の課題というのもございます。依然として大きな問題である過密と東京中心部への一極依存構造、これをどういうふうにしてより首都圏の皆様にいい形で組みかえていくことができるか。2番目に、東京都市圏における自立性の高い地域の形成に向けた拠点整備への一層の取り組み。東京だけではなく、それぞれの地域社会が自立性を持って、お互いに連携をして、新しい地域構造をつくっていく。3番目、北関東、山梨、関東東部地域における地域整備の新たな展開でございます。それから、都市空間の再編整備への本格的な取り組み。こういう4つの問題が現下の現状を解く課題として出ているわけでございます。
第2章としましては、以上の現状と課題、それから首都圏の果たすべき役割を念頭におきまして、首都圏の目標とする社会や生活の姿はどのようになるのであろうか、どういう目標で首都圏のこれからの問題を解いていかなければならないか、こういう問題を整理いたしまして、次の5点が首都圏計画の目標であるというふうに考えました。
1番目。我が国の活力創出に資する自由な活動の場の整備でございます。これは、日本国家が世界規模での競争の激化にさらされているわけでございますが、首都圏が日本の経済あるいは社会の変化を引っ張っていく、結果としてはそれがよりいい形で発展するということに非常に大きく貢献をしなければならない。そういう点で、個人や企業による経済、社会、文化活動がより展開しやすく、成長しやすい、そういう場として首都圏をつくり上げていこうということでございます。
2番目。個人主体の多様な活動の展開を可能とする社会の実現。特に最近、この説明の一番最後にございますように、女性や元気な高齢者の方が大変社会参画に熱心でございます。そういうように、個人が自らの意欲のもとにいろいろな活動をしようという、そういう状況を首都圏の中でも受けとめて、活動がしやすいようにしようということでございます。価値観、生活様式の多様化や、情報収集、発信能力の高まりに伴う個人の社会的影響力の増大などを踏まえ、個人やNPOなど、主体的、自発的活動を積極的に取り入れ、特に女性や高齢者などの自由な社会的活動をしたいという方々のそういう活動を妨げるような諸要因があったら、それを解消していこうということが2番目でございます。
3番目。環境と共生する首都圏の実現でございます。これは、もちろん自然環境の回復というのは非常に重要でございますが、最近のやはり重要な問題は、廃棄物、ごみ、こういうような私たちが生活をするに伴って生み出していく負の要素でございます。それが環境負荷であると考えております。こういういろいろな環境負荷を低減しようということ。それから、先ほど言いました自然環境、自然循環の回復、それから個人の健康と快適性の向上、こういうような個人の生活、自然環境の回復をきちんと充実して、そういうことが持続可能な社会を実現していこう、そのために必要な地域整備は何か、それからそれにふさわしい個人の生活様式、こういうものを新しい姿として考えていこう、そういう生活様式あるいは地域整備は何かということを計画部会としては議論をしてまいりました。
4番目。安全、快適で質の高い生活環境を備えた地域の形成でございます。御存じのように、この首都圏の計画部会が始まったとき、阪神・淡路の大震災がございました。この大震災の教訓を踏まえながら、震災など大規模災害に対する防災性の向上、これをきちんと考えていかなければならない。安全、安心を確保するということは大変重要である。一方、通勤混雑、こういうことは昔から言われているわけでございますが、こういう昔から言われていることは徹底して今回解決をするということに努力をしようということでございます。そして、地域特性を踏まえた暮らしやすい居住環境の整備を推進しようということです。
5番目。これは社会資本について、率直に言うと公共投資のこれからの在り方について、この計画部会で考えた目標でございます。世代を超えて、効用が十分に発揮される社会資本の整備、これは長持ちをして安全である、維持管理がしやすい、それから美しい、こういう社会資本の整備を官民一体となって重点的かつ効率的に行おうということでございます。また、後ほど申し上げます分散型ネットワーク構造というのを今回の計画部会では提案しておりますが、これを支えるためには、道路とかあるいは通信情報網、あるいは水資源、下水道、こういう広域的な基盤施設を重点的に、効率よく整備をしなければならないわけでございます。
最後に、将来の世代に引き継ぐ共有の資産としては、東京湾の適正な利用と保全ということが大変重要な目標であると考えております。
以上、5点を首都圏整備の目標として取り上げた次第でございます。
3章目は、このような五つの首都圏整備の目標を具体的に地域構造の上に展開するとどういうことになるかということでございます。
1番目に、地域構造の基本的方向は分散型ネットワークをつくろうということです。現在の東京中心部への一極依存構造から、首都圏の各地域が拠点的な都市を中心にして自立性の高い地域を形成します。そして、それらの地域が相互の機能分担と連携・交流を行う、こういう分散型ネットワーク構造でございます。このためには、既に指定されております首都圏内外との広域的な連携の拠点となっております業務核都市、それから関東北部、内陸西部地域の中核都市圏、これらを広域連携拠点といたします。その育成整備を進めますが、それと一緒に、拠点相互間や他の地域との連携・交流を強化するということを一生懸命考えていこうということでございます。さらに、地域における諸活動の中心となる都市を地域の拠点として新しく考え、それらの諸活動の中心となる都市を選んでいるわけです。このような業務核都市、あるいは中核都市圏、それから地域の拠点となる中心都市、これらを連携させながら分散型ネットワーク構造をつくっていこうということでございます。
2番目に、地域整備の基本的考え方として、首都圏を東京都市圏、それから関東北部地域、関東東部地域、内陸西部地域及び島しょ地域の五つに分けて、それぞれの地域の特性に応じた地域整備の方向を考えていこうということを計画部会は報告としているわけです。東京都市圏につきましては、先ほどから何回も申しておりますが、一極依存構造に伴なっていろいろな問題が発生しておりますが、そういう問題を解決するための都市構造の再編整備をしようということでございます。東京中心部においては、都心居住など、都市空間が非常にまだ質が悪くて人口も減っているわけでございますが、こういう都市空間の再編整備を積極的に進める。また、近郊地域におきましては、先ほど申し上げました分散型ネットワーク構造を使いながら、広域連携拠点を中心にして自立性の高い地域をつくり上げてまいります。拠点間の連携の強化を図りながら、環状拠点都市群というものを考えていこうということでございます。
それから、関東北部、関東東部、内陸西部地域、これはやや自然環境がすぐれている地域でございます。ここについては、平野部では秩序のある土地利用を守りながら、拠点性の高い都市を中心にして、都市的な活力と田園的な魅力を兼ね備えた地域の整備を考えていこうと。それから、環状方向に地域の連携を図り、首都圏における大環状連携軸を考えていこう。これは、高速自動車道路を中心にした交通軸、これが中心になるかと思っております。
それから、さらに外側でございますが、平野部の外側の山地。周辺の自然豊かな地域においては、自然環境を保全するということで、豊かな自然と交流、都市的な地域に住む人々の交流、こういうことが順調にいく、こういうような地域の整備を考えていこうということでございます。
島しょ地域については、交通、情報通信体系の整備の推進や、生活環境の改善によって地域の自立性の向上に努めようということです。
さらに、このような地域整備をどういう制度を使いながらやっていこうかということでございますが、既にそれぞれの地域におきましては既成市街地、近郊整備地帯、都市開発区域などの整備の政策的な対応が講じられておりますが、これを有効に活用するとともに、業務核都市制度なども積極的に使う。それから、交通、情報通信体系など、こういう広域的基盤施設、これについて今までの地域の整備方向に基づきながら整備をするという、こういう制度と社会資本整備、この両面からこの地域整備を進めていこうということでございます。
4章は、人口フレームでございまして、首都圏の人口は1995年に4,040万人でございましたが、2011年に4,190万に達すると考えております。その後減少に転じまして、2015年に4,180万人になると考えられております。就業人口につきましては、女性や高齢者の労働力率が上昇するということも考えまして、2015年においても1995年と同程度の2,120万人が就業者数として維持されるのではないか。しかしこの場合、職住近接の実現や就業形態の多様化が極めて不可欠であると考えております。特に、情報通信網の近年の非常にすばらしい発展の結果、こういう就業機会を支援する施策として、テレワークという考え方が普及するのではないかと思っております。現在、テレワーク型就業者数は、テレワークを週1回以上実施している就業者数をここで考えているわけでございますが、1995年に13万人しかございませんが、2015年には340万人にしよう、これは非常に首都圏基本計画としては思い切った就業者の内容の変化を読み込んでいるわけでございます。
以上が首都圏整備の基本方針の大体の要旨でございます。説明を終わらせていただきます。

○委員長
それでは、次に首都圏基本計画の案につきまして、事務当局の方から説明をお願いいたします。

○事務局
お手元の資料に、先ほど読み上げさせていただきました諮問文の次に、別添資料5-1というのがございまして、これが第5次の首都圏基本計画の案でございます。それから、その次に5-2というのがございまして、この基本計画の要旨でございます。その次の5-3というのは、首都圏基本計画の構成を一枚紙にまとめたものでございます。そして6-1というのが参考資料、基本的な計数でございまして、その次に参考資料として別添で絵をつけてございます。こういうものを使いまして、簡単に御説明を申し上げますが、まず厚手の「首都圏基本計画」の目次を開いていただきますと、序説に続きまして「第1章 首都圏を取り巻く諸状況と課題」。それから、その次の第2章といたしまして「首都圏の将来像」。この2章につきましては、先ほど御説明ございました基本方針と内容を一にしておりまして、そのままちょうだいしているということになっているわけでございます。それから、3章が「首都圏の将来像実現のための施策」。そして4章が「地域別整備構想」。こういう章立てになっているわけでございます。
それでは、その次の「首都圏基本計画(案)の要旨」に沿いまして簡単に御説明を申し上げます。
冒頭のところで、この計画の目的について簡単に述べておりますが、計画部会長のお話にございましたような大都市問題、あるいは一極依存の構造といった課題に広域的に対処するということで、広域的な視野のもとに地域の将来展望を示しまして、長期的、総合的な視点から地域整備を推進するというのがこの基本計画の目的でございまして、計画期間といたしましては平成11年度、1999年度から平成27年度、2015年を計画期間といたしております。そして、この要旨の1、2、3、4までは計画部会長の御説明にございました基本方針と内容が重複いたしますので、説明を省略させていただきまして、4ページの「5.首都圏の将来像実現のための施策」について、簡単に御説明申し上げます。
まず、@の活力創出という観点から、これは国際的にも魅力のある事業展開の場づくりというような観点を挙げてございます。Aでございますが、個人とかNPOといった多様な主体の活動を可能にするような社会の実現ということで、SOHO(スモールオフィス、ホームオフィス)とかテレワークといったような問題を取り上げております。B番目は、環境と共生する首都圏ということで、水、緑、それから資源循環、リサイクルの推進ということを取り上げております。C番目でございますが、安全、快適で質の高い生活環境ということで、防災性の向上、都心居住の推進、美しい街並みの形成を取り上げております。そしてD番目でございますが、将来の世代に引き継ぐ資産ということで、交通、情報通信体系の整備を取り上げております。
その次の、「6.地域別整備構想」でございますが、これは図面を使わせていただきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。
(図示説明)これが、先ほど計画部会長から御説明がございました分散型ネットワーク構造を模式図としてあらわしたものでございまして、東京の中心部がございますが、それを取り巻くような形で東京都市圏という大体ほぼおおむね50キロ圏を東京都市圏という位置づけにしてございます。そして、そのほかに関東北部、東部、そして西部、島しょ地域という5地域区分でやっておりまして、まず東京都市圏についての考え方でございますが、東京の中心部につきましては先ほど計画部会長のお話にもございましたように、本格的なリノベーションに取り組んでいく。それから、それを取り巻く大体30〜40キロ圏のところに、従来からの業務核都市というのが成長しつつございまして、さらには新しくここにございますように柏とか多摩、町田、相模原といったようなところ、あるいは浦和、大宮の両翼になります川越とか春日部、越谷、こういったような地域を新たに業務核都市として位置づけまして、これをさらに環状方向に結びつけて、環状拠点都市群に育てていく、こういうことが1点目でございます。
それから、この30〜40キロ圏を超えました50キロ圏以降から100キロ圏ぐらいまでにかけましては、都市的活力と田園的魅力を兼ね備えた地域として育成整備していく。そして100キロ圏の地域につきましては、計画部会長の御説明にありましたように大環状連携軸ということで、広域連携拠点を結びつけるような形で自立的な都市が育ちつつございますので、それの横のつながりを強めていく、それが北関東から関東東部、内陸西部にかけてそういうことが将来可能になるであろうと。そういうことで、こういった地域を単なる周辺部ではなくて、首都圏のネットワーク形成上重要な地域として位置づけまして育成整備をするということで、関東平野、首都圏全体を広く使っていこうというのがこの分散型ネットワーク構造の考え方でございます。
以上、大変簡単でございますが、基本計画の要旨についての御説明にかえさせていただきます。

○委員長
ただいま、御報告のありました首都圏整備の基本方針の案、及び事務局から御説明のありました首都圏の基本計画(案)につきまして、御審議をお願いいたしたいと思います。
御質問、御意見等がございましたら御発言をお願いいたしたいと思います。

○委員
まず、首都機能移転問題ですが、私は前回もこの件について発言いたしましたが、今度の基本計画を見ますと矛盾する部分があります。例えば、2ページをごらんいただきますと、6のところに「首都機能移転については、現在、国会等移転審議会で調査審議が進められているが、現段階では結論が得られていないことから、この計画においては同審議会の審議状況を踏まえた内容にとどめている。」と、こういう表現をしておりますが、一方9ページをごらんいただきたいのです。9ページでは、3のところに「首都機能移転」として、これは一々読み上げませんけれども、既に首都機能移転ありきというような書き方になっております。すなわち、その欄の4行目から、「広範、多岐にわたる首都機能移転効果の中で、特に国土構造の観点からの効果は主に次のように考えられる。」と言って、首都機能移転のメリットの方を全部羅列しているわけですけれども、同時にデメリットもあるわけですね。せっかくこれまで、これだけの多額のお金を投じて社会資本投資したのに、そういう費用対効果という面からの議論、あるいはまたもう一つ別の過密都市をつくることにならないかという議論、さまざまデメリットを指摘する声もあります。ですから、もし冒頭の2ページのように、検討中だからある程度抑制した書き方にとどめているというならば、私はこの9ページの4行目以降は削除するか、あるいはもしこれをあえて取り上げるとすれば、デメリットの方も、批判論も同時に並列的に書くのが至当ではないかと思うわけでありまして、これでは全く移転ありきという前提に立って記述したとしか考えられませんので、その点は指摘しておきたいと思います。

○委員長
ただいまの御発言に対しまして、何かございますか。

○事務局
ただいまの御指摘でございますけれども、この首都機能移転の問題については、御案内のとおり国会等移転審議会におきまして現在調査審議をしていただいているところでございまして、この新しい首都圏基本計画の策定時期との関係で、向こうの方が途中で、こちらの方はもう策定しなければいけない、こういう状況でございますので、その関係から、まだ結論の出ていないこの問題については、首都圏基本計画を考える上で大変重要な要素ではございますが、しかしまだそういう状況でございますので、今審議状況を踏まえた内容にとどめているということは、あえて冒頭に書かせていただいたわけでございます。
それから、御指摘の9ページの問題につきましては、これは御案内のとおり、新しい全国総合開発計画で議論された際に、首都機能移転の問題について記述がございますが、そういった記述との整合性ということもございまして、それを記述しているわけでございまして、決して結論を先取りするというような性格のものではございません。

○委員
国会でも、この前この移転審議会の法案のときには、最終的に全面的に修正をいたしまして、最終決定する際には東京都と比較考量するという一文があえて加えられたわけですね。したがって、そういう経過から考えますと、整合性と言いますけれども、少なくともこの基本計画の中で、さっき言った2ページと9ページは整合性がとれていないと思いますから、もしこれどうしても記述をしたいということであれば、もう少しまだ検討中であって結論が出ていないというふうに受け取れる表現に直していただきたい。これだと、まるっきりメリットばかりを強調して、いかにもそういう方向へ進んでいるという印象を与えかねませんから、もう少し公平な記述にしていただきたい。これは強く求めたいと思います。

○事務局
重ねて恐縮でございますが、国会等移転法というのがございまして、一応国に対してこの首都機能移転問題について積極的に検討する、そういう第1条の規定がございまして、したがいまして現在内閣総理大臣から審議会にその諮問がなされ、審議会の方で調査審議を進めていただいているということでございますので、やはりその事実は事実として、中立的に記載する必要があるのではないかということでございますので、そこの点は御容赦いただければ大変ありがたいというふうに思います。

○委員
意見を余り言うのは差し控えたいと思いますが、少なくともこの基本計画の中で、2ページと9ページを見て整合性あると考えられますか。最初の方では、まだ結論が出ていないから、ある程度抑制した表現にとどめていると言いながら、9ページの方はもう全く決まったかのような促進の論一辺倒じゃないですか。この基本計画の中身そのものに全く一致性がない、整合性がない。この辺は、表現はひとつぜひ研究していただきたい。そうでなければ、私はこれを認めません。

○事務局
この検討の方向と、それから審議会から御答申があった場合に、御案内のとおり委員が先ほど御指摘のとおり幾つかの点について総合的に勘案して、なおかつ東京都との比較検討をした上で、国会が法律でもって移転先を決めるという手続が法律上もう明確に書かれているわけでございまして、そういった一つのプロセスの中で検討の方向を簡単に記述したものでございまして、決して何か価値判断を入れて記述したものではないということを、ここで明確にさせていただきたいと思います。

○委員
○○委員ばかりがそうおっしゃっているのでなくて、私も全く○○委員のおっしゃるとおりだというふうに思いますね。ここは、表現を決定したかのような形で展開されているのはちょっと表現的にもいかがなものかと、私も同じ意見を持ちます。

○事務局
この記述は、「21世紀のグランドデサイン」、すなわち第5全総における記述とほぼ内容を一にするものでございまして、この計画は、全総計画を受けて策定するという、上位・下位関係がございますので、全総計画に書かれたもののうち、首都圏整備にかかわるものについてはそれを踏襲して記述するという、そういうスタイルをとっておるわけでございます。
ちなみに、全総計画は、第1章3節におきまして、約10行にわたってこの件について触れておりまして、その中で首都機能移転の具体化に向けて積極的に検討を進めるべきであるという記述、さらにここの9ページの一番末尾にございますように、「開かれた公正な手続のもとで国民の合意を図っていくことが必要である。」と、こういう記述になっておりまして、ですからもしこの記述を変更するということになりますと、全総計画の方も変更するというようなことになりまして、やはり下位計画としてはどうしてもこういう記述の形しかあり得ないというのが、上位・下位関係を考えた場合の考え方でございます。

○委員
それは硬直的な考えですよ。全総に全部、一言一句従わなければいけないなんて、そんなばかなことありますか。それぞれ独立性のある計画じゃないですか。だから、余り役所的に何かしゃくし定規に、もとの全総がそういう表現になっているから、これもそれと全く軌を一にしなければいかんなんて、そんなばかなことありますか。
だって、この移転審議会ができる当時と、現在では社会情勢も変わっているし、国会の議論なんかも全部変わってきているわけですよ。ですから、そういう硬直的な物の考え方じゃなくて、やはりその都度その都度、その状況に応じて、全総がどう表現されようと、私は基本計画は基本計画として、全く同一のものでなければいけないなんてことはあり得ないと思いますよ。それだったら、全総を書き直してくださいよ。

○事務局
御指摘いただいた点でございますが、この点につきましては御指摘も踏まえまして、ちょっと書き方につきましては委員長のもとで相談をさせていただきまして、後刻報告させていただくということでよろしゅうございますでしょうか。

○政務次官
今おっしゃるとおりだと思います。@、A、Bはちょっとやはりおかしいですな、これ。その辺は一度また事務当局で……。

○委員
委員長にお任せしますから、調整してください。

○委員長
それでは、私の方で御相談しながら。

○委員
東京都でございます。2点について意見を申し上げたいと思います。
1点は、首都機能移転問題でございますが、ただいまいろいろと御議論をいただいておりましたので、その内容については簡単にお話をさせていただきたいと思います。
2ページにいろいろ記述がございまして、都としては、2ページの記述は首都機能移転を前提としないというふうに理解いたしております。しかしながら、先ほど小杉委員等から御指摘いただきました9ページで、首都機能の移転が首都圏の課題として取り上げられて、その中で「今後とも、首都機能移転の具体化に向けて積極的な検討を進める」としておりまして、移転が既に決まったかのような印象を与えていることに強い懸念を覚えております。東京都は、これまで首都機能移転問題は、首都圏はもとより、国民各層による十分な議論と長期的な視点に立った総合的な検討が必要であると主張してまいりました。社会経済状況が大きく変化した今、改めてこの問題について移転の是非をも含めて議論を尽くして、国民の間の合意形成を図ることが必要であると考えております。
2点目は、首都圏整備の在り方でございますが、今回の計画案は、首都圏の将来像やその実現のための施策などについては、東京都の計画や考え方と基本的には同じ方向にあると考えております。また、首都圏の目指すべき地域構造を分散型ネットワーク構造としておりまして、その拠点として、今回、新たに町田市及び多摩市が業務核都市として位置づけられることとなりまして、多摩自立都市圏の形成に大きく寄与するものと考えております。今後とも、業務核都市等に対する国の支援制度のより一層の充実が図られるよう、要望いたしたいと存じます。
さらに、東京圏全体の均衡ある発展を目指しまして、バランスのとれた地域構造とするためには、首都圏中央連絡自動車道、東京外郭環状道路、常磐新線などの都市間をネットワークで結ぶ広域交通基盤の整備促進を図ることが重要でございまして、特段の配慮をお願いいたしたいと存じます。

○委員長
第1点につきましては、先ほど私どもの方で少し検討するということになりましたので、それでよろしゅうございましょうか。

○委員
結構でございます。

○委員長
第2点の方は、御意見としてお伺いしておくことにいたしたいと思います。

○委員
先ほどの首都機能移転の方は私も同感でございまして、一つは、当然のことながら全国で6地区、首都機能移転の候補地があるわけですが、関東も恐らく茨城とか群馬、栃木ですか、そういうものが入ってくるわけで、当然そういうふうなことになってくれば、全くこの構想というのは、もしその辺に決まるとするなら変わってしまうわけですね。ですから、それは私はむしろ触れない方がいいのじゃないだろうかと、こういうふうに思っております。
いま一つは、資料4-2の2ページの3の上のDに、「東京湾の適正な利用と保全」というふうに書いていただいているわけですが、この本文の方の5のところを見ますと、余りよくわからないというか、もう少し私は、たまたま首都の目前には東京湾というものがあって、それがために、今度アクアラインができましたけれども、ある意味ではネックになっているし、ある意味では将来大変な活用すべきものがそこにあるということでありますから、もう少し東京湾活用について具体的な視野に入れたものがあっていいのじゃないだろうか、こう思いますので、その辺はもう少し具体的にわかるようなものにしていただきたいということをお願いいたしておきます。

○委員
関連して。実は私、先週アクアラインを通って木更津とか富津とか、あの辺をずっと回ってきましたが、もうすばらしいお魚のおいしいところもありますし、また観光の面からも、ああこんなところが近県にあったのかと思うような発見がありました。今、○○委員が言われたように、この東京湾を中心とした地域の連携というか、これはもっと考えていいのじゃないかと思うのです。
アクアラインも、あれだけ巨額の費用を投じてつくった割には利用率が上がらないということですが、私はもっと、せっかく投資したあれを活用し、東京の人たち、あるいは首都圏の人たちがお互いにそれぞれの地域を訪問し合って、いいところを味わうということは本当に必要だと思うのです。これだけストレス社会が進んでおりますし、また週休2日がもう定着しておりますし、また学校も2002年から完全学校週5日制が始まるわけでありますから、親子の触れ合いとか家族の触れ合いとか、そういうものはますます重要になってくるので、そういった観光、あるいはゆとりある生活、余暇の利用、こういった視点をもう少し盛り込んでみたらいかがかということを申し上げたいと思います。

○事務局
○○委員、○○委員からの御指摘でございますが、この首都圏基本計画の47ページ以降に「沿岸域の利用」ということで、東京湾の保全と利用の在り方につきまして、総合的な観点からかなりのスペースを割いて記述をさせていただいております。それで、この点につきましては、私どもかなり総合的に取り上げているつもりでございますが、なお、ただ東京湾の利用の在り方につきましては、まだ東京都等でいろいろ千葉県も含めまして御検討中のところもございまして、はっきりその方向を見定めがたいということもございますので、そういった状況も踏まえながら、この基本計画を受けまして整備計画を策定することになるわけでございますが、そういったところでできるだけ具体的に委員御指摘の御趣旨も踏まえまして、そういうものが盛り込まれるように検討させていただきたいと思います。

○委員
それは結構だと思います。ただ、要旨の中に明確に「東京湾の適正な利用と保全」と書いてあるにもかかわらず、本文の5のところにはそれらしい記述が全く入っておらないというのは矛盾しているのじゃないかと。ですから、おっしゃるとおり47ページの「沿岸域」のところで書いていただいているということであるならば、ここにももう少しはっきりした意思というものを加えていただきたいと思います。

○委員長
47ページから、かなり書き込んであるというようなお話でしたけれども、部会長、何かございましたら……。

○委員
基本方針では、ただいま御質問のところは多分本文の10ページの上から6行目、「また、東京湾については」というところで、これが基本方針の成文でございますね。文章は2行ちょっとですが、ここでそれなりにきちんと表現していると思います。
基本計画の方は、実は3ページか4ページかなり記述しております。
私の、少し正式でないといいますか、インフォーマルな、個人的な話も入れまして東京湾の問題を申し上げますと、東京湾の問題は、実は広域行政というのは一体何であるかということを極めて深刻に問いかけている問題です。率直に申し上げますと、フェニックス計画がまだできていないのですね。阪神・淡路の大震災ときには、大阪湾はフェニックス計画がありましたから、そこへとりあえず瓦れきの処理したものを埋めることができた。ところが、東京湾はそういうフェニックス計画がございませんから、防災問題で地震がどこで起きるかわかりませんが、仮に大変まずいことに東京で地震が起きたときには、まず瓦れきを一体どこにおさめるかということ自体が問題になってまいります。これは、大地震のときの瓦れきの処理について、東京湾にきちんとした対応計画が必ずしもないということですね。
それから2番目は、船舶の安全航行について東京は大変複雑でございまして、これは大阪の比ではございませんが、船舶の航行安全についての明確な方針がございません。これは、東京湾の沿岸の土地利用ではございません、東京湾そのものの極めて重要な交通コントロールの問題。これも解かなければいけないのですが、これもまた広域的な問題でございます。
それから3番目には、第3空港の問題というのが、これは成田が第1で、羽田が第2で、その次は第3だと。これについても多分に東京湾がどうかということになる。そのほかにもございますが、こういうふうに三つの問題をあわせましても、これは地方分権下における国家がここに強力に介入する以前に、広域的な、千葉県、埼玉県、東京都、それから神奈川県、場合によっては茨城県の一部がこれについての積極的な議論と、そこの中での明快な答えを出さなければいけないという、こういう大変深刻な問題がございます。
それから、民間の問題について申し上げますと、例えば鉄関係のかつての繁栄を極めた埋立地の再利用の問題がございまして、この問題は千葉県の広大な、率直に言えば川鉄の跡地と、それから神奈川県の方のNKKの跡地、場合によっては東京の中にもそれに匹敵する遊休地がございますが、こういう遊休地を東京都は東京都、千葉県は千葉県、神奈川県は神奈川県、川崎市は川崎市で勝手にやっていいのか、こういう民間の遊休地を有効活用するというのは、例えば資源の循環とか −資源の循環というのは産業廃棄物、ごみ、下水、場合によっては発電所、こういう問題についても広域的に考えていかなければいけない、これも地方分権の極めて重要な問題でございます。こういうことがすべて東京湾の問題とかかわっておりますので、私自身としては、大変低姿勢でございますが、今度の首都圏計画の一番重要な課題は、東京湾の問題をどういうふうに地方分権下で首都圏の各県が国と協力しながら解いていくかということ、非常に重要な課題、私は一番重要な課題だと実は思っている次第でございます。
これは部会長ではなくて、インフォーマルな形で発言をさせていただきました。

○委員長
ありがとうございました。
そのほか、何か御意見等ございましたらどうぞ。

○委員
今の○○委員の話ですが、非常にいい話だと思うのです。私は、今、船をつくる仕事に関係しておるのですが、物流ネットワークの点からも東京湾に大きな船が入ってくるのをどうやって少なくするかという意味で、例えば首都圏の東部の整備というのが行われていますけれども、那珂湊とか大洗とか、そういうところで港が整備されまして、そこに入れる大型のフェリーボートであるとか、あるいは大型のRORO船、1万トンクラス、高速のもの、そういうものをそういう港に入れて、高速道路を経由して首都圏の後背地なり東京に持ってこようということが非常に行われていまして、北海道関係のカーゴはほとんどそういう経路で入ってくるようになって、大型船は房総半島を回って浦賀水道からのろのろ入ってくるというのはほとんどなくなりました。そういう意味では、そういう施設の整備なり東京湾をどう考えるかということがものすごく大きく影響してくるということなのですが、そこで私、個人的な意見ですけれども、東の方から、北海道の方から来る物流は受けるものが、そういうふうに港が整備されて、茨城県の方で整備されてできておりますけれども、西の方から来る、九州なり関西なり、西の方から来るそういう物流の物資については、それを受ける港が、首都圏の計画か中部圏に一部かかるのですけれども、そういうところに受ける港湾施設がないのですね。したがって、そういうところからのカーゴというのは、浦賀水道を通ってのろのろと、安全と公害の問題を危惧しながら東京湾の港に入ってきているという実態があります。こういうものも、何かできれば湾外で、そういうものを受ける港湾設備をつくって、高速道路につなげれば非常にいいのじゃないか。なかなか場所がいいところがないのですね、したがって現在イノベーションとして大型の浮体構造物の研究が進んでおりますけれども、そういうものを使った港とか、そういうことも考えられるのじゃないかということを、○○委員がおっしゃったことに付言して申し上げたいと思います。

○委員
30ページのところ、下の方に「環境負荷の少ない交通体系の形成」という項目があります。私が言いたいのは、今までの交通政策の中で自転車というものをもうちょっと見直したらどうか、交通体系の中に自転車をきちんと位置づけてほしいということです。
私は、今度「自転車活用促進議員連盟」をつくりまして会長になりましたが、最近のそういう環境対策の面から見ても、CO2を全く出さないし、またエネルギーの観点からいっても全く人力の自転車、これはエネルギー政策にもかなっているわけですし、しかも高齢化時代の健康対策としても、もっと自転車が見直されてもいい。ところが、とかくこういう計画を見ると、空港だ高速道路、あるいは新幹線、港、地下鉄ももちろんあるのですが、それらも本当に基幹的な交通手段としては大事ですけれども、もっと小さな町の中の交通手段として、私は自転車というものをもう一度復権させる必要があると、こう考えているわけです。
例えば、道路をつくるにしても、自転車の、あるいは歩行者の道路というのが極めて冷遇されているわけですね。それから、電車なんかにヨーロッパなんかに行きますともう自由にすいている時間には列車に乗せて、そしてまた着いたら自転車を活用する、そういう習慣ができていますけれども、日本はどうも今まで自動車万能というか、大交通機関ばかりに目が向かっていて、もっと身近な、手近な、そういう自転車というものをもう一度考え直す必要があるのじゃないかと。
私なんかよくサイクリングに行きますと、幹線道路は、ほんと、死ぬ思いですよ。本当に危険ですよ。列車だって、すいているときにもっと自転車を自由に、簡単に持ち運びができれば、もう少しいい旅行ができるかなと思うのですが、それはともかくとして、これからの時代に備えて、やはりこうした考え方の中に自転車活用という視点をぜひ加えてほしいと思います。

○事務局
今の御指摘の点につきましては、30ページの下から6行目のところに、「自転車の安全かつ適正な利用の促進に向けた環境整備」ということを記述いたしまして、それから43ページでございますけれども、Cの「円滑な活動を支える都市内の交通体系の整備」というところの上から6行目でございますが、「安全で快適な歩行空間の確保や自転車利用の促進を図るため、広幅員の歩行者・自転車道のネットワーク、自転車駐車場等の整備を推進する。」ということで、かなりこの自転車道のネットワークということを重視した記述をいたしております。
なお、○○委員の御指摘の点につきましては、さらに整備計画の段階で具体的にそれが記述されるように、私ども念頭に置いて作業していきたいと思っております。

○委員
ありがとうございます。

○委員長
ほかに、何か御意見ございましたらどうぞ。

○委員
意見でなくて質問ですが、まず11ページに「安全、快適で質の高い生活環境」というのがあります。ここで、市街地の再編整備ということが書いてありますが、当然都心地区の低層住宅を、少なくとも中層ないし高層にするという政策があっていいのじゃないかと。そこまでこの答申で踏み込むべきかどうかわかりませんけれども、どういう議論が行われたかというのをひとつ伺いたい。
それから第2は、その下にあります次世代に引き継ぐべき共有財産としての首都圏。特に広域の首都圏という圏域になりますと、やはり景観というのが非常に大事になるのじゃないか。私、韓国を旅行しまして、何となく日本よりきれいだなと。かつての赤茶けたのが、みんな緑が植わりましてきれいになった。しかし、日本よりきれいだなと。気がつきましたら看板がないのですね。やはり何らかの看板の規制、これは1例でございますけれども、そうした景観に関する配慮、政策があってしかるべきだろうと。こうしたことについては、どんな議論がされましたでしょうかというのが第2の質問です。
もう一つよろしゅうございますか。もう一つは、人口について触れてありますが、これから日本全体が人口が減るという中で、首都圏はぎしぎしと込んで地方は猛烈に過疎化するというのが最悪のシナリオだと思います。そうした意味で、このテレワークというのが書いてありますけれども、現実にどんな可能性、どんな仕事をということのどんな議論がありましたでしょうか。その3点をお伺いしたいと思います。

○事務局
まず、低層の木造住宅が相当量東京都内にもあるわけでございますが、この問題につきましては二つの観点からとらえておりまして、まず一つは、防災性の向上という観点から、木造住宅密集地帯というのが御案内のとおり環七の周辺、あるいは中央線沿線に相当広く広がっておりまして、都内全体で約2万4,000ヘクタールという相当広範囲な広がりを見せているわけでございますが、これにつきましては、特に災害時の危険性が高くて、優先的に耐火性の高いビルに建てかえていかなければならないということでございまして、これは密集法という新しい法律をつくりまして、防災再開発促進地区というのをことしの1月末現在で首都圏で22カ所指定をさせていただいておりますが、こういった政策手法を使いながら重点的にこの問題については解決していきたいということと、それから都心部の低層地帯につきましては、これは御案内のとおり都心居住の問題というとらえ方で、都心部というのは業務に特化しやすい地域でございますが、やはりこれからの都心部というのは、業務だけではなくて生活空間、あるいは文化空間としても、そういった複合的な利用を進めるという観点が大事だと思っております。そういう意味で、中高層住宅も含めまして、高層化を図っていく際に居住環境という要素が非常に大きなウエートを占めてくるというふうに考えております。
それから、都市景観の問題につきましては、37ページに「良好な都市景観の創出」ということで(3)で書いてございますが、これについては私ども、美しい街並みの形成ということを、これは21世紀の大きな課題の一つになろうかと思いますが、現在もいろいろな地区計画とか風致地区、あるいは建築協定と種々の制度がございます。あるいは、自治体でもこういった都市景観条例みたいなものがございまして、いろいろな取り組みがなされておりますので、そういった動きを強力に今後とも支援していきたいというふうな考え方に立っております。
それから、テレワークにつきましては、これは○○委員のお話にもございましたように、これから2015年ぐらいにかけて飛躍的にこういった就業形態が定着していくだろうということでございますけれども、これにつきましては、今この細部について詳細を検討しておりますが、私どもの観点では、このテレワークが普及することによりまして、職場に通勤するという就業形態が相当自由度を持つような状態になりますので、それが通勤混雑とかそういうものに相当寄与するだろうと、それで全体の就業者数の15%程度は2015年にはテレワークというような就業形態になっていくだろうというふうに見ているわけでございますが、そういった支えとなります情報通信ネットワークの整備というようなことが、基本的なインフラとして整備が急がれるのじゃないかと考えております。

○委員
希望事項を二つ申し上げます。
一つは、まず景観ですけれども、私が申し上げた広域に都市圏が形成されますと、都市と都市の間の田園の景観が出てまいります。それについても今後ぜひ御配慮いただきたい、今後の課題です。
それから、次も今後ですが、テレワークで今世界スケールで見ますとアメリカの仕事をアイルランドがソフトウェアでたくさん受注している、あるいはインドのバンガロールがたくさん受注している、非常に遠距離なテレワークが現実に進んでいるわけですね。それから、テレホンコールセンターとか、あるいはパソコンのサービスセンターなども大都市からもう離れてしまって地方に出せるという時代が近づいております。ということで、これは首都圏の会議でありますけれども、むしろ今後の国土計画として、非常に密接な関連を持ちますので、将来の課題としてぜひ討論いただきたいと思います。

○委員長
そのほか、何か御発言ございませんでしょうか。

○委員
40ページあたり、第5節のいわゆる公共事業、社会資本整備等でありますけれども、私は大きく時代が財源のことも含めまして変化をしてきている、そこで公共事業等については、政府全体の姿勢として、事前評価と再評価と、最近は私もこの間強く主張させていただいたのですが、事後評価というような評価基準の問題というのは、単に形容詞的に使われるようなものではない、一番私は大事な一つのポイントは事前評価と再評価と事後評価ということであるし、国全体としては、この評価基準の問題の技術的な推進ということが非常に大事だと思います。それが一つ。
それともう一つは、住民参加ということが41ページのところにあるのですが、私は、これは何か住民の声を聞いてというような従来型のニュアンスはもうだめだ、しっかりとアカウンタビリティーというのが非常に大事な時代になっていると。例えば、先ほどからアクアラインというのが話に出ているけれども、アクアラインができ上がりましたが果たしてそれが計画どおり行われているかどうか、なぜそれが計画どおりになっていないのか、線自体が、ラインがつながっていないという要素と不況という要素のほかに、しっかりそこで分析がされているのか、そういうことが私は非常に大事で、そういうことも含めてアカウンタビリティー、説明する責任というものが公共事業を初めとするこういうときにはあると思います。私は、この文面、全体的に読みまして、その辺のめり張りは1項目立てるとか、あるいは強調するとか、評価基準ということと、それの再評価、事後、それからアカウンタビリティーということについて、もう少し強調するということでなければ、従来型の、あれもやりたいこれもやりたいという時代ではもうないのではないか、基本計画の中にそうした手法も含めたものを強調して入れるべきだ、私はそう思います。

○事務局
○○委員の御指摘の点は、今後の効率的な、あるいは重点的な公共投資の在り方、進め方について大変重要な点だと思いますが、この計画の中でも、40ページの中ほどにございますけれども、「効率的かつ効果的な整備」というところの中に、「事業の実施に当たっては、客観的な評価指標等による事業評価を踏まえつつ対応する等投資の効率化を図る。」という記述を一応させていただいております。
それから、住民参加の点につきましては、41ページの(4)のところの2行目に、これからは情報公開を積極的に進めるとともに、計画段階からより一層の参加が可能となるような仕組みを検討する必要があるというようなことで、私どもとしては十分問題意識を持って、さらに評価の基準等につきましては技術指針的なものの開発整備ということが大変重要になってまいると思いますので、そういった点を心して、今後よく検討してまいりたいと思っております。

○委員
今、テレワークのお話が出たので一言御意見を述べさせていただきたいと思うのですが。
今の通勤形態というのは、大体うちから出ていって最寄りも駅に行き、東京の都心に向かっていくというのが普通の通勤形態で、その後、通勤者は大体土・日にしかうちにいないというのが普通ですね。これに基づいてみんな都市計画なんか立てられているのですけれども、テレワークが仮に15% −私はもっと普及すると思うのですけれども、3分の1程度が家庭で仕事をするということになりますと、そこに働くことによるストレスというのもまた出てくるわけです。家庭の中で働くということを考えますと。そうなりますと、今通勤している方たちは通勤の途中でストレスを解消するいろいろなものがあって、おうちにたどり着くということがあるのですが、将来テレワークが普及したときに、その方たちのストレスを解消するために、例えばスポーツ施設がいいのか何がいいのかわかりませんが、そういうものを住宅の近くに良質なものが置けるような体制というのを整えておかないと、家庭の中で仕事はするけれども、もうそこで全部ストレスが家庭の中へたまってしまうというようなことになると、とにかくお父さんがいる場所がまちにもないわけですから、テレワークで主婦ももちろん働くようになったときの都市づくりというのは、やはり1項目立てて、どういうふうにそれをしていくべきなのかというのが、10年、20年先じゃなくても本当にすぐ近くに来ると思いますので、ぜひ……。
26ページにごく簡単に触れてあるのですけれども、ライフスタイルそのものが全部変わってしまうわけですから、当然まちづくりそのものも変わってくるのだという、どういうふうに変えるべきかというのはやはり1項目立てていただきたいなというお願いでございます。

○事務局
テレワークの問題につきましては、今後いろいろと検討すべきことが広範にございまして、国土庁だけではなくて、関係省庁とも十分連携をとりながら、委員御指摘の点も十分踏まえまして、今後よく検討させていただきたいと思います。

○委員長
ほかにございませんでしょうか。

○委員
栃木県でございますが、要望を申し上げるのもちょっと失礼かと思いますが、最初のころに首都機能移転の関係で多々御意見がありました。私どもの県は、御承知のとおり候補対象地域を抱えておりますので、何もここで言わないわけにもいかなくなりましたので一言お話をさせていただきたいと思います。
9ページの記載、実は私ども、もちろんこの計画自体は首都機能移転を前提としたものではないというのは理解をしておりますが、この記述は、首都機能移転というのがこれから首都機能移転をなぜ検討を始めたのかという理由が@、A、Bと、こういうメリットがあるから検討を始めたのだということが書いてあるのかなというような理解をしたところでございます。そういう意味では、この程度の記載であればいいのではないかと思ったのですが、先ほどの議論の中でこの部分の記述を見直されるということでしたので、要望として、この首都圏基本計画の対象地域には候補地を抱えている県もあるということをぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
なお、栃木県は、自然環境との共生と東京圏との共生が図れるということを売りにしておりますので、その点についても一言申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

○委員長
それでは、時間の関係もございますし、ほかに御発言もないようでございますので、先ほど来、○○委員、○○委員、あるいは東京都、今また栃木県さんの方から御意見もございましたけれども、この点につきましては9ページの首都機能移転の部分につきまして、再考するということで委員長にお任せいただいたということを前提にいたしまして、首都圏整備の基本方針の案及び首都圏基本計画(案)、原案どおりで御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○委員長
ありがとうございました。
御異議がないようでございますので、首都圏整備の基本方針及び首都圏基本計画(案)は、原案どおり了承することといたします。
なお、ただいまの御了承に基づきまして、「首都圏整備の基本方針」につきましては、原案のとおり答申を行うとともに、「首都圏基本計画(案)」については原案どおり決定することについて異議ない旨の答申を行いたいと存じます。

(2)新たな首都圏整備における工業等制限制度の在り方について(案)

○委員長
では次に、「新たな首都圏整備における工業等制限制度の在り方」の案について、議題といたします。
工業等制限制度につきましては、昨年の3月に閣議決定されました規制緩和推進3カ年計画によりまして、本審議会における幅広い審議を経て抜本的見直しを行い、本年度中にその結論を得ることとされております。このため、同課題につきましては、計画部会におきまして慎重に審議が重ねられまして、また関係地方公共団体等からも直接御意見を聴取した上で、計画部会としての案がまとまりましたので、本日の委員会で御審議をいただくことになったわけでございます。
では、「新たな首都圏整備における工業等制限制度の在り方」の案につきまして、計画部会長の方から御報告をお願いいたしたいと思います。

○計画部会長
資料にあるとおりの、これは案でございますが「新たな首都圏整備における工業等制限制度の在り方について」のこの内容を、計画部会としては皆様に御報告を申し上げます。
この問題は、全国的な観点からいたしますと非常にいろいろな話題がございまして、特に地方から私のところに、おまえは全国もやっているのに何でこっちを直すのだなんていう、そういう手紙も来ました。しかし、私は首都圏にとって極めて重要な制度の見直しだと思いますので、このような報告は大変よかったと思っている次第でございます。
表紙をおめくりいただきますと、基本的見直しの必要は三つございます。そもそもの前文は皆様おわかりのとおりでございますので申し上げません。
2の「抜本的な見直しの視点」でございます。これも、非常にかいつまんで申し上げますが、大規模な遊休地が実は京浜臨海部に大量に今発生しつつあります。そういうところについては、今後とも工業系の用途としての土地利用が将来にわたっても必要ではないかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、この大規模に発生している遊休地、特にこれは海辺でございますが、そこについては将来にわたる土地利用の動向を見据えた広域的、長期的な土地利用計画との整合をとりつつ、これはかなり長期的に見るといろいろな工業の内容も変わってくるわけでございますので、そういうことも観点に入れながら、市街地環境の整備・改善や防災性の向上を図るとともに、工場の再編整備及び遊休地等の有効利用に資するために必要な措置を講じる。こういうことでございまして、大規模遊休地については、より日本国家のために必要な新しい工業についての適地として考えるということは適当だろうというふうに私たちは考えております。
それから2番目でございます。これは内陸部でございます。「既存産業集積の再活性化及びその活用による新規産業の創出・育成」でございますが、内陸部にもやはり工業等制限の区域でいろいろな制限があります。現在の工業等制限区域内においても、機械金属加工業等を中心に、中堅・中小規模の製造業が集積しております。生産工程の分業、ノウハウ・技術の共有化など、ネットワーク関係を維持し、形成しつつ、事業活動を行っている地域がありまして、この地域もまた日本のこれからの経済の活性化にとって極めて重要な地域でございます。
こういう地域は、既存産業集積や関連情報集積が持つ産業の苗床的な機能でございまして、この苗床機能をより活用しなければ、これからの我が国を背負っていくような新しい新規産業の創出・育成ができないということも、これもよく知られているところでございます。そういうところで、しかし産業構造の転換の中で崩壊の危機を迎えつつあるような、非常に力のある、しかし資金的にいろいろうまく融通つかないなどという点で崩壊の危機を迎えている企業もございますが、国際競争力のある付加価値の高い製品や技術の産出を支援するために、こういう産業集積の崩壊を防止しなければいけない。その再度活性化のために必要な措置を講ずるということで、これも具体的には工場の面積とかいろいろございますが、そういうことをについてより今までの不満を解消する方向での措置を講じていくということでございます。
3番目は、大学等高等教育機関の充実でございます。いわゆる人材育成、高度な教育機関の機能等の強化でございます。
私見でございますが、私は大学の教師をもう40年やっておりますと、大学はもう真ん中に持ってこなければいけない時代になっているのです。大学院だけではなくて。しかし、これは計画部会では申しません。
読みます。

大学等の高等教育機関については、社会・経済が高度化・複雑化し、また、国際的な大競争時代を迎えつつある中で、我が国を支える人材育成や高度な教育研究機能の強化等が求められており、今後、大学院が果たす役割に対する期待が大変大きい。なかでも、大都市地域の大学院について、社会人等を対象とした高度専門職業人養成の機能や企業等の連携を通じた教育研究活動の実施、研究成果の産業活動への円滑な移転等を図る観点から、その量的・質的充実を図っていく必要があるので、工業等制限区域内において大学院の充実を図る上で必要な措置を講じる。

私、個人的希望としましては、東京の川向こうの墨田区、江東区、大田区、こういうところに私立大学の理工学部、商学部の大学院ができれば、非常に中小企業の皆様方に元気をつけさせることができるのじゃないかと。これは個人的見解でございますが、ちょっとつけ加えさせていただきます。以上3点でございます。

○委員長
ありがとうございました。

○委員
今度はお礼の言葉を申し上げます。(笑声)
前回、私、工業等制限法を抜本的に見直すべきことを主張しましたが、非常に熱心に検討していただいて、きょう、こうした案を出してこられたことに対して心から敬意と感謝を申し上げます。ただし、今○○委員が言われたように、まだ不十分なところがありますから、今回はこれでよしとして、今後まだ次の改善の余地ありということで、一言だけお礼を申し上げておきます。

○委員
私、初めて委員なったので、前回の○○委員の御発言の経緯は存じ上げていないのですが、私自身も神奈川出身でございますので、この工業等制限法については抜本的見直しどころか廃止をすべきであるという、個人的よりむしろ多くの市民の、県民の立場に立って申し上げさせていただきまして、国土庁にもたびたび御要請させていただきました。そういったさまざまな動きの中で、今の御発言も含めましてこういう経緯になったと思うのですが、改めてちょっと、せっかくの機会ですから……。
@の「必要な措置」というのがございますね、この必要な措置というのは、具体的にどういうことを想定されるのかというのをお伺いしたいということと、それからせっかく「抜本的」と書いてあるので、Bで、今いみじくも○○委員がお話になりましたけれども、大学院の「院」は取ってしまっていいのじゃないですか。(笑声)理由が何もないですよ、もうこうなると。もはやこれは、大学院の「院」を取って大学というふうにすることによって私は抜本的と。ぐらいはきょう了解するのかなというふうに思いますが、採決して決めるということでもないのでしょうから、いろいろ雰囲気の中で会議に参加させていただきたいと思いますけれども、この必要な措置ということと、それからあえて大学「院」とつけた理由について御説明いただきたいと思います。

○事務局
まず、必要な措置というのは端的に京浜臨海部の工業用埋立地については規制対象から除外するという方向で検討させていただきたいと思います。
それから、大学院でございますが、これは昨年の10月に、○○委員もよく御存じのとおり大学審議会の答申がございまして、大学自体はこれから少子化の時代で新・増設の要望はもちろんあるわけでございますが、それほど強い勢いというのはないわけでございますが、大学院につきましては、計画部会長から先ほどお話がございましたように、都心近くに大学に併設して大学院の新・増設の要望がこれからもいろいろと出てくるというふうにお伺いしておりますので、今回は大学院について適用を除外するということを考えさせていただきたい。ただ、大学につきましては、本当に必要なものにつきましては、運用面でいろいろ配慮するべき事項もあろうかと思いますが、やはり工場、大学というもの二つをとらえまして人口集中要因ということで、過度な集中抑制という観点ででき上がっている法律でございますので、その二つの要素のうちの一つをそのまま除外するというのは今日の時点では大変難しいというふうに、私ども考えている次第でございます。

○委員
現状はそういうことだと思うのです。いわゆる大学の進出の希望とか、そういうのはそういったことだと思うのですが、言ってみれば誘導策ですから、やはりそれなりの私どもは土壌をつくっていくということが、むしろそういう意味ではそういうものに向かってくる動きにもつながっていくというふうに思いますので、私の方は再度そういう経過であっても「院」は取るべきであるということを主張させていただきたいと思います。

○委員長
ほかに何かございませんでしょうか。

○委員
中小企業を初めとして、大田区なんかでもそうですけれども、産業集積という2項目めですが、集積の利益ということの考え方の中から、今までの法体系が相当来たと思うのです。ここで、産業再生計画であるとか、あるいは近促法が廃止されて経営革新法とか、そういうまた基本法がつくられるというようなそういう流れの中で、集積の利益ということの基本的な方向性というものが確認をされていこうとしているのかどうかということに、私はちょっと疑問を持っているのですが、その辺はいかがなものでしょうか。

○事務局
この問題につきましては、私ども通産省、それから中小企業庁とも十分早い段階から調整をさせていただいておりまして、今回の規制緩和の考え方といたしまして、首都圏の既成市街地、近県もそうでございますが、通商産業省の集積活性化法、委員御案内のとおりの基盤的技術産業集積というこの集積をとらえまして、それは産業政策あるいは中小企業政策として都市の中でも育成していこう、あるいは活性化していこうということでございまして、これは生産工程が分業関係にありまして、技術ノウハウは共有されている、お互いに個々の企業がネットワークを形成して支え合っている、こういう実態に着目いたしまして、そういったネットワークを形成しているような中小製造業の集積については、これは育成・活性化していこう、こういう考え方でございまして、そういった産業政策と工場等の立地政策との整合性を図るという観点から、今回の緩和措置を考えさせていただきたいと思っています。

○委員長
ほかにございませんでしょうか。
それでは、いろいろ貴重な御意見をいただきましたが、国土庁におかれましては、どうかこの工業等制限制度の在り方につきまして、この方針で今後施策を展開していただくことといたしまして、その際、今いただきました御意見、御要望等を十分に配慮いただくようにお願いをいたしたいと思います。
大変長時間にわたりまして、終始御熱心な御討議を賜りまして本当にありがとうございました。以上をもちまして、第25回首都圏整備特別委員会を終了させていただきます。ありがとうございました。

午後3時35分 閉会