臨時大深度地下利用調査会 法制部会(第12回)
議事概要
日時:平成9年11月28日(金)10:00 〜
場所:通商産業省別館837会議室 |
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1.開会
2.損害賠償責任制度のあり方について
現行の損害賠償責任制度、大深度地下利用制度における損害賠償責任制度のあり方について、事務局より説明がなされ、以下のような意見が出された。
<主な意見>
- 大深度地下は、施設の作り直しが困難であること、利用による悪影響が全くないとは言えないこと、影響がすぐには表れにくいこと等の特徴があると考えられるため、浅深度地下とは異なる制度を導入するべきではないか。
- 大深度地下は、地下水、地盤等に悪影響を与えるといっても、浅深度地下と質的な差はないので、特別の損害賠償責任制度を導入するのは、バランスを失するのではないか。
- 現在の制度では、行為と損害の因果関係の証明が難しいので、因果関係の推定も含め、大深度地下については厳格な責任制度を導入するべきではないか。
- 因果関係の推定については、裁判における事実認定の方法論であり、自然科学的な完全な証明までは要求されていないこと、地上等でも立証が難しい例は数多くあり、不法行為一般の問題であること、推定する法制度の導入は他にも例がないことから、導入することは難しいのではないか。
- 大深度地下利用制度では、土地所有者の承諾を得ずに強制的に使用権が設定されるので、特別の損害賠償責任制度を導入するべきではないか。
- 供用中の事故については、現行の瑕疵による責任制度で十分であるが、工事中の事故については、原則無補償で使用権を設定することから、瑕疵の推定か無過失責任を導入すべきではないか。
- 強制的に使用権を設定するという特性は、土地収用法による浅深度地下や地上の収用・使用でも同様であること、無補償というのは使用権の価値がないから0になるのだということ、使用権に関しては土地所有者のみを対象としているが、賠償は土地所有者以外の周辺の人も対象にしていることから、特別の損害賠償責任制度を導入する論拠にはなり得ないのではないか。
- 大深度地下施設において、爆弾による崩壊等の第三者による不測の事態が生じた場合であっても、第一次的には施設の設置管理者が地上の陥没等に責任を負うような、無過失責任の導入について検討するべきではないか。
- 大深度地下使用権を設定するときには、地上に十分な大きさの建物が建てられるとの判断で設定されたが、後に実際にはそのような荷重の建物を建てることができなかった場合には、仮に事業者に過失がなかったとしても、何らかの形で賠償義務が生じるようにするべきではないか。
- 通常利用されない空間である大深度地下を公共的な利用に限って利用するのであるから、大深度地下利用制度という特別の制度を設けるときには、危険性において浅深度地下の利用や一般の工事と変わることがないとしても、いわば安心料的に、特別の損害賠償責任制度を政策的に導入することが考えられるのではないか。
- 現行の制度でも、過失や瑕疵の事実上の推定、因果関係の事実上の推定等により、被害者保護に事実上対応できているのではないか。
- 司法による救済とは別に、行政庁による認定制度等による簡便な救済制度も考えられるのではないか。
3.その他
次回の法制部会は、12月12日(金)10:00から開催される。
4.閉会
問合せ先:国土庁大都市圏整備局計画課大深度地下利用企画室
(室長)真鍋、(課長補佐)岩月
(電話)03-5510-8046 (FAX)03-3501-6534