水資源開発審議会(第68回)
議事録


平成11年7月29日

1.開  会
 
○事務局 開会の予定時刻が参りましたので、ただいまから第68回水資源開発審議会を始めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
2.国土庁長官挨拶
 
○事務局 それでは、開会に先立ちまして、関谷国土庁長官から御挨拶いたします。
○関谷国土庁長官 第68回水資源開発審議会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
委員の皆様方には、日頃から水資源行政を含め、国土行政の推進につきまして御支援、御協力を賜り、また、本日はお忙しいところを御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
  水は、人間の生命にとって必要不可欠な資源であるとともに、人間社会の諸活動を支える重要かつ基本的な資源であり、今後とも、その安定供給の確保に努力していく必要がございます。
 また、今日では、飲料水の安全性やおいしさの確保など、新しい国民ニーズへの的確な対応なども課題となっております。
 このため、国土庁といたしましては、長期的な視点に立って水資源の計画的な開発を進めるとともに、水資源の有効利用を推進するなど、総合的な水資源対策を推進しているところでございます。
 本日、御審議を賜りますのは、関東地方並びに四国地方の都市用水の確保等を図るため、利根川水系及び荒川水系、並びに吉野川水系において推進をいたしております、水資源開発基本計画の一部変更についてであります。
 具体的には、思川開発事業の利水者の確定に伴う事業目的の変更、並びに劣化した構造物の緊急的な改築等を行う香川用水施設緊急改築事業の新規追加等について、計画を見直すものでございます。
 何とぞ幅広い観点から御検討をいただき、活発な御意見を賜りますようお願い申し上げます。
 最後に、水資源行政に対する皆様方の変わらぬ御協力をお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 どうもありがとうございました。
 なお、長官は所用がございますので、これにて退席いたします。
 〔関谷国土庁長官退席〕
○事務局 次に、委員の出席状況及び本会議の定足数につきまして御報告申し上げたいと思います。水資源開発審議会令第3条の規定によりますと、本審議会の開催には委員の2分の1以上の出席が必要とされております。委員の総数は15名でございますが、本日は、只今10名の委員が御出席でございます。したがいまして、本会議の開催に当たって必要となる定足数は満たされております。
 それでは、会長、よろしくお願いいたします。
○会長 それでは、ただいまから第68回水資源開発審議会を開催いたします。本日は、委員の皆様方には、大変お忙しい中、またこのように暑い中を御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 審議に入ります前に、議事の取り扱いでございますが、活発に御議論をいただくために、議事は非公開といたしております。また、透明性を一層高める観点から、議事録を発言者名を伏せまして取りまとめ、これを公開することといたしております。
 なお、このやり方は、本年5月の第67回水資源開発審議会で決定したとおりでございますが、引き続きこの方式でよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○会長 それでは、この方式でやらせていただきます。
 
3.議  事
 
 1)利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画の一部変更について
 
○会長 それでは、議事次第に従いまして、本日の議題の1番目、「利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画の一部変更について」に入らせていただきます。
 本件につきましては、水資源開発促進法第4条第5項において準用する同条第1項の規定に基づきまして、内閣総理大臣から平成11年6月25日付で資料−4のとおり、水資源開発審議会の意見を求められたところでございます。
 また、本件につきましては、平成11年7月8日付で当審議会から利根川・荒川部会に対し、本水系における水資源開発基本計画にかかわる専門的・技術的内容について調査、検討していただきまして、本審議会にその結果報告をしていただきたい旨付託したところでございます。
 それでは、ただいまの諮問の内容につきまして当局から御説明をお願いいたします。
○事務局 利根川につきましては、よく御存じのように、「坂東太郎」と称されておりまして、その源を群馬県利根郡水上町の大水上山に発しまして、千葉県関宿町において江戸川を分派し、さらに東流しまして、千葉県銚子市において太平洋に注いでいる我が国最大級の一級河川でございます。
 一方、荒川はその源を埼玉県秩父山地の甲武信ヶ岳に発し、東京都北区において隅田川を分派し、東京都江東区において東京湾に注ぐ一級河川でございます。
  利根川水系につきましては、昭和37年4月に水資源開発水系の指定を受け、同年8月に第1次の水資源開発基本計画が決定されました。その後、荒川水系が昭和49年12月に水系指定されたのを受けまして、昭和51年4月に利根川水系及び荒川水系として計画決定されて以来、昭和63年2月の全部変更、平成元年1月、平成6年1月、平成7年3月及び平成10年3月の一部変更を経て現在に至っております。
 第3次までの基本計画に基づきまして、既に矢木沢ダム建設事業、下久保ダム建設事業、利根川河口堰建設事業等計13事業が完成いたしまして、本水系の水の安定的供給に大きく貢献しているところでございます。また、現行の水資源開発基本計画に位置づけた38事業のうち、既に奈良俣ダム建設事業、埼玉合口二期事業等、計13事業が完成いたしました。現在は、思川開発事業等25事業を推進しております。
 水資源開発基本計画の変更でございますが、これは水資源開発促進法第4条第5項に基づき行われておりまして、閣議決定を経て内閣総理大臣決定をされるものでございますが、変更につきましては、大きく分けて全部変更というのと一部変更というものの2種類がございます。全部変更につきましては、水の需要見通しと計画の全体像の変更を伴うものでありまして、一部変更は事業進捗状況等に応じた各事業の部分的な変更を行うものでございます。今回は一部変更ということでございます。
  なお、現計画は平成12年度が目標年次となっておりまして、現在、全部変更の基本的考え方等につきまして検討を始めたところでございます。今後、調査企画部会でいろいろ御審議いただきたいと考えております。しかしながら、基本計画に位置づけた個別事業につきましては、事業は刻々進んでおりまして、それぞれ地元の事情によりまして、どうしても変更を余儀なくされる部分がございます。基本計画は上位計画でございますので、それに沿って変更せざるを得ないものがありまして、そういうものに限り一部変更させていただきたいと考えております。
 具体的には、利根川・荒川水系の計画で申しますと、思川開発事業につきまして、これは利水者が確定をしていないわけですが、今回、利水者間の話し合いがつきまして、栃木県、茨城県、埼玉県等々がどういう配分にしようという合意が得られましたので、それに伴った変更でございます。
 利水者を決めますと、工業用水等につきましては補助金が支給されます。確定されませんと、財投を使いまして事業をするということになります。財投を使いますと利子がかかりますので、実際の利水者が決まったときには確定を早くした方が、利水者にとって利子分だけ、少しでも助かるということがございます。そういう理由で、利水者の確定に伴い変更をしたいということでございます。
 あわせて、房総導水路建設事業、及び湯西川ダム建設事業につきまして、予定工期が過ぎておりますので、予定工期の変更を行おうというものでございます。
 詳細については引き続き説明をさせますので、よろしく御審議をいただきますようお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
○事務局 よろしくお願いします。
 御説明の前に、資料全体の確認をさせていただきたいと思います。お手元に議事次第のつきました1束、これが資料−1から資料−6まででございます。資料−7は新旧対照表、資料−8が参考資料、資料−9として2つございますが、現行の水資源開発基本計画でございます。資料−10が協議及び意見聴取文書。資料−11からが吉野川水系にかかわるものでございます。資料−11から資料−16、これは2種類ございます。以上でございます。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、資料の御説明をさせていただきます。
 まず、資料−2につきましては、水資源開発促進法の写しでございます。水資源開発基本計画を変更する際の手続き等について規定をしてございます。御説明は省略させていただきます。
 資料−3でございますが、これをフローチャートにしたものでございます。水資源開発基本計画の一部変更の手続きについてのものでございます。原案の作成を国土庁の方でいたしまして、関係の省庁に協議をする。これにつきましては、6月25日付をもちまして文書協議をしているところでございます。この協議の結果につきましては後ほど御紹介をさせていただく予定でございます。また、関係の都県の知事さんに意見照会をするということで、これも同じく文書照会をしておりまして、後ほど御紹介をさせていただきます。また、水資源開発審議会の関係でございますが、既に部会を27日に開催させていただいたところでございます。本日の審議会ということで、諮問をいただくということでございます。こういった手続きが整いますと、閣議決定、内閣総理大臣決定、最終的には官報公示という形でございます。
 資料−4につきましては、会長から御紹介があったとおりでございます。
 資料−5が、今回の一部変更の概要でございます。主たるものといたしましては、思川開発事業につきまして利水者が確定したことに伴いまして、これを事業目的の欄に書いてございますので、その分の記載の変更をするというものが主たるものでございます。
 そのほか、房総導水路建設事業、湯西川ダム建設事業につきまして、工期を変更したいということでございます。
 この3点が水資源開発基本計画の本文上での変更部分でございますが、説明資料の変更の中で関連するものがございます。先ほどの思川開発事業の事業目的のうち、利水者の確定によるものと、埼玉県の水量の用途転用によるもの。これは工業用水から水道用水への転用でございますが、これに関連しましての記載の変更がございます。これは後ほど参考資料の方で御説明をさせていただきます。
 資料−6は新旧対照表でございますが、この形では特に変更はございません。
 それでは、御説明に入りたいと思います。資料−8で御説明したいと思います。テーブルの両脇にアルバムを置いてございますが、これは、今回の案件につきましての、最近の状況等の写真でございます。これを回覧していただければと思います。
 では、資料−8につきまして御説明したいと思います。後ろの方に図面を張ってございますので、これを一部使いながら御説明させていただきます。
[以下、図示説明を交えて説明]
 これは、利根川水系、荒川水系の流域の図でございます。利根川水系につきましては、関東の水を支えております。流域面積といたしましては、我が国最大の河川でございます。1都5県にまたがっておりまして、流域面積は16,840km2でございます。また、荒川につきましては、流域面積は約3,000km2 弱の河川でございます。
 1ページには、前橋地点、秩父地点、それぞれほぼ中流での年降水量の変化を書いてございます。前橋につきましては年間1,300mm程度が平均値、秩父につきましては1,240mmほどが平均値でございます。この中流域につきましては、全国の年平均降水量1,700mmを下回っているような形でございます。
 治水の概要でございます。
 まず、利根川でございます。利根川につきましては、もともと東京湾に流れ込んでおりました河川でございましたけれども、江戸時代の初めに、江戸の町を利根川の洪水から守る、あるいは軍事上の目的もあったと言われておりますけれども、利根川を銚子の先の方につけかえております。また、「利根川の東遷(東に移る)」というような言い方をしてございますが、そういうことで現代ではこちらの方に本流が行っているという形でございます。
 そういう形で古くから治水事業が行われてきておりますけれども、明治年間におきましても、明治29年の大水害ということで、明治33年に本川下流部の河口から佐原のあたりまでの改修が着手をされております。その後、上流部でのダム −藤原ダム、相俣ダム、薗原ダム等の治水の役割を果たすダムの建設も含めまして、本川中流部での各種の治水事業が実施されてきております。
 現在の治水事業は、昭和55年に改定をされました利根川水系工事実施基本計画に基づくものでございます。下流部八斗島におきます基本高水のピーク流量、これはダムによります洪水調節がないとした場合の流量でございますが、これを22,000m3 /sといたしまして、これを洪水調節をいたしまして、河道では16,000m3 /sを流すという計画でございます。完成の程度につきましては、まだ全体の4割程度という形でございます。
 また、下流部につきましては、堤防の天端幅を非常に広げた、溢水しても堤防が決壊しないような形の、スーパー堤防というものの整備区間となってございます。下流部約338kmでございます。
 荒川水系につきましては、明治43年の大水害がございました。その翌年から、荒川放水路、これは現在の荒川の下流部でございますけれども、その開削事業が大きな治水事業ということで始まってございます。現在まで上流部で二瀬ダムという治水関係のダムができておりまして、各種の治水事業が実施されてきてございます。現行の計画は、昭和48年4月に決定をされたものでございます。利根川と同じく、下流部から熊谷市までにつきましては、約160kmがスーパー堤防の整備区間という形になってございます。
 3ページは主要洪水の記録でございますが、これは省略をさせていただきます。
 4ページでございますが、利水の概要ということでございます。利根川水系、荒川水系におきましては、古くから農業用水を主体に水利用が行われてきたわけでございますが、明治から昭和初期にかけまして、都市用水や発電用水としての利用が進んできてございます。水道用水としましては、明治20年に高崎市水道、また大正15年に東京都の金町浄水場、こういったものが建設をされてございます。また、発電の方も、明治26年に大谷川での発電所というものがつくられてございます。第2次大戦後の復興ということで、本格的な水資源開発が開始されておりまして、昭和25年の鬼怒川上流での五十里ダムの建設の着手に始まりまして、その下の表にございますが、これは水資源開発促進法に基づく水資源開発以前の主な水資源開発事業ということで、五十里ダム、藤原ダム、相俣ダム、川俣ダム、薗原ダム、以上が利根川でございまして、荒川につきましては二瀬ダムという形での水資源開発事業が行われてきております。
 5ページは、渇水の発生状況ということでございます。利根川水系につきましては、急速な社会・経済の発展によりまして、特に都市用水を中心としました需要が急激に伸びてございます。水資源の手当ての方がなかなか追いつかないという状況が続いてございます。その中で、近年の少雨傾向ということもございまして、ここに書いてございますように、左の方が利根川でございますが、渇水が発生をしております。最近では、列島渇水ということで、まだ記憶に新しいわけでございますが、平成6年につきましては最大の取水制限率30%という形でございます。それ以前にも、昭和53年あるいは昭和47年、ここには書いてございませんが昭和39年の渇水等がございます。平成6年以降につきましても、平成8年、9年という形で渇水が発生しているという状況でございます。
 6ページにつきましては、水質の状況が書いてございます。地点名と数字が書いてございます。数字につきましては、湖沼はCOD、河川の部分につきましてはBODの数字でございます。利根川につきましては、利根大堰、これは中流部でございますけれども、利根大堰地点で見ますとBODで1.6mg/lということで、まだかなりきれいな状況でございます。下流部の方に行きまして、布川では2.2mg/、利根川河口堰まで来ますと3.0mg/ということで、下流に行くに従ってだんだんと水質が悪くなってきているという状況でございます。それから、荒川の秋ヶ瀬堰のあたりにつきましては、2.1mg/という数字でございます。以上、水質の状況でございます。
 7ページにつきましては、水質保全対策ということで、さまざまな排水規制ですとか、浄化対策、下水道整備等が行われておりますが、その状況の御紹介でございます。
 8ページにつきましては、水環境の整備状況ということで、河川の中で行っております生態系に配慮した環境護岸の整備ですとか、浄化用水の導入、あるいはしゅんせつといったような事業の紹介をしてございます。
 9ページはダムの関連ということで、ダム周辺の環境整備事業、あるいは貯水池内の浄化というような事業もやっているという御紹介でございます。
 11ページからが、今回の水資源開発基本計画に関連したものでございます。
 11ページには、水資源開発基本計画の今までの経緯等を書いてございます。水系指定をされましたのが、利根川につきましては昭和37年、荒川につきましては昭和49年ということでございます。計画につきましては、利根川・荒川ということで1本としてつくりましたのが昭和51年ということでございます。それ以前には、利根川水系だけを対象といたしまして、昭和37年に計画が決定されてございます。現行の水資源開発基本計画と申しますのは、昭和63年に決定されましたもので、第4次 −第4次といいますのは、需給の見通しの変更も含めまして行う、これを全部変更と言っておりますが、これが第4回目ということでございます。
 計画の目標年度としましては、昭和61年度を足元といたしまして、平成12年度が目標ということでございます。この間の新規の水需要を、水道用水としまして93m3 /s、工業用水としまして35m3 /s、農業用水としまして約43m3 /sと見込みまして、合計で170m3 /sに対応する必要があるという形で見込んでおります。
 これに対しましての供給施設が、その下の欄でございます。ここで数字を丸で囲んでございますのが、水資源開発公団の事業ということでございます。これらの事業によります開発水量は、135m3 /sということでございまして、新規水需要170m3 /sに対しましては、これは施設が全部張りつけれられていないという形になってございます。水需給ギャップがあるという形での計画でございます。
 12ページ、13ページはその経緯ですが、これは省略をさせていただきます。
 15ページが、先ほど申しました需要想定の基礎となります、水道用水、工業用水等の諸元をまとめたものでございます。これも説明は省略させていただきます。
 16ページでございますが、既にでき上がっております施設、それから現在進めております施設の御紹介でございます。上の方には、第1次から3次までの基本計画の中で掲上をいたしまして既に完成しております施設、利根川につきましては8施設、荒川につきましては1施設ということで書いてございます。利根川につきましては、矢木沢ダム等の施設でございます。このうち、下久保ダムにつきましては、今回、用途間の転用ということで、既に完成している施設でございますが、説明資料の一部変更をさせていただきたいという形でございます。
 下半分が、現行の基本計画に基づくものということでございます。17ページまでずっと続いておりまして、利根川につきましては28施設、荒川につきましては6施設、合計34施設ということでございます。この事業につきましても、それぞれ進んできておりまして、かなり完成をしたものが出てきてございます。16ページにつきましては、霞ヶ浦開発、これは開発水量43m3 /sという大型の開発でございますが、これも既に完成をしてございます。また、奈良俣ダム、埼玉合口二期も完成をいたしてございます。
 17ページの上から3分の1ほどの黒部川総合開発以下は県の事業でございますが、これも半分ほどが完成をしてきてございます。
 その下が荒川水系の方でございますが、浦山ダムにつきましては、平成10年度に概成をいたしまして、11年度から運用に入るという形でございます。また、荒川調節池総合開発についても完成を見ているところでございます。
 また、17ページのところで権現堂調節池というものが出てまいります。これは埼玉県の事業でございますが、これも平成3年度に完成しているものでございますが、今回、用途間転用ということで、後ほど御説明をさせていただきたいと思います。
 18ページにつきましては、導水施設ということでございます。これにつきましても、既に利根川で1次から3次までの間で完成しておりますものが4施設、現行で掲上をしておりますものが3施設でございますが、3施設のうち東総用水と霞ヶ浦用水につきましては既に完成を見ているという状況でございます。
 また、18ページの下の方には改築事業ということでございますが、利根大堰施設緊急改築事業が既に完成しております。また、武蔵水路改築事業については現在進めているという段階でございます。
 19ページにつきましては、供給計画ということでございます。ここは説明を省略させていただきます。
 20ページからは、水源地域対策ということでございます。上流部でのダム等の建設を円滑に進める上で、水源地域対策が欠かせないわけでございます。これを進めるということで、水源地域対策特別措置法という法律ができてございます。この法律に基づきまして指定をされておりますものが、20ページの表でございますが、川治ダムを初めとしまして霞ヶ浦開発まで含めまして9事業という形でございます。
 この指定ダムにつきまして整備計画をつくるということがございますが、これが21ページの上の表でございます。ここで記載しておりますように、さまざまなメニューでの整備計画を進めているという状況でございます。
 また、21ページの下の方には、利根川・荒川水源地域対策基金ということで、事業内容のところに書いてございますが、この基金事業によりましてもさまざまな事業を行っているという状況でございます。
 22ページからが、今回の一部変更の内容の御説明でございます。22ページは概要でございますので、中身に入りまして23ページでございます。思川開発事業の概要でございます。
 思川開発は栃木県の地内でございまして、23ページの右の方に概要図がございますが、南摩ダム、行川ダムという2つのダムをつくりました。このダムに対しまして、鬼怒川の支川の大谷川という川から導水いたしまして水資源開発を行うというものでございます。治水もあわせて行うということでございますけれども、そういう事業でございます。
 従来この事業につきましては、水資源開発をするということで計画がされていたわけでございますが、まだ利水者が確定をしていないという状況でございました。その段階では、「栃木県、東京都等の都市用水」ということでフルプラン本文で記載をしていたわけでございますが、今回、関係者間での調整が整ってまいりまして、茨城県、栃木県、埼玉県及び千葉県の水道用水、並びに栃木県の工業用水を確保するということで、それぞれ利水者が確定をしたという状況でございます。
 この事業につきましては、南摩ダム、行川ダムのうち南摩ダムの方が規模が相当大きい事業でございまして、こちらでの貯留等での開発を行うということでございます。新規利水としましては、下から3分の1のところにございます、水道用水として6.8m3 /s、工業用水として0.3m3 /s、農業用水として1.5m3 /sの開発を行うというものでございます。事業主体は水資源開発公団でございます。予定工期といたしましては、昭和44年度から平成20年度までということでございます。
 今回の利水者の確定ということで、先ほど利水者の県名等を御紹介いたしましたが、もとの計画といいますか、本文中では東京都という名前が入っていたわけでございますが、今回、東京都の名前は消えております。東京都につきましては、思川開発で水資源開発をいたしますと、江戸川系の方に水が入ってまいります。東京都の金町浄水場等がございますけれども、東京都としましては江戸川系の浄水場の施設能力が手いっぱいであるということで、東京都の方で需要の対策が必要なのはむしろ西部の方であるということで、東京都としては外れております。
 ただ、思川開発につきましては、開発が行われております栃木県にとりましては、自分の県の水源開発として非常に重要だということで栃木県が参画いたしますし、また、埼玉県につきましては、人口増加が非常に多いということで、現在でも既に水道用水の手当てに非常に困っているという状況でございまして、栃木県、埼玉県等を含めまして水配分ができたという状況でございます。
 続きまして24ページでございますが、房総導水路でございます。房総導水路の事業は、利根川の下流部から水をとりまして、房総半島のかなり先の方まで水を持っていくという事業でございます。現行の工期が平成10年度までということでございまして、この事業の中で建設いたします水路の部分につきましては既に完成を見ているという状況でございますが、利根川から取水いたします根っこの方の水路、これが両総用水との共用施設ということで、戦前から建設をされております農業用水の水路と兼用になってございます。この部分につきまして現地での調査等を行いましたところ、老朽化が深刻であるということで、この施設のうち両総用水路の施設につきまして一部改築等を行うという事業を今回この中で追加して実施しようということでございます。これに関連いたしまして、工期も平成10年から平成16年度まで延びるという形でございます。事業主体といたしましては、水資源開発公団でございます。そういう形で、今回、工期の延長と一部事業内容の追加を行うというものでございます。
 25ページでございますが、湯西川ダム建設事業でございます。こちらも栃木県の上流部の方でございますが、この事業につきまして工期の変更を行いたいというものでございます。この事業につきましては、位置は相当の上流部でございます。湯西川温泉ということで知られた地でございます。この事業につきましては、水没が85戸ほどということでございますが、従来からこの水没関係の方に御理解を得るべく、地元で調整を進めてきたところでございます。この水没者関係の方につきましては、もともと地区の外に移転をするということで話が進んでおりましたが、いろいろとやっていく中で、現地での再建をしたいという御希望がはっきりしてきたということでございます。ダム湖周辺の土地での生活再建の道を図るということで、さまざまな調査なり計画の策定を進めてきたところでございます。
 ダムを建設する上で、一つの大きな節目が補償基準の妥結ということでございますが、これにつきましては、先ほどの生活再建のための代替地計画の方が先であるということで、この事業では、代替地計画を固めた上で補償基準の妥結をしようということになったわけでございます。やっとこの調整等も済みまして、昨年の12月に補償基準の妥結がなされたということでございます。補償基準の妥結ができますと、調査を行いまして、用地補償が実施できるということでございます。本体工事につきましても、めどが立つということでございます。
 そういうことで、今回、事業の進捗につきまして大きな進展が得られまして、めどが立ったということで、改めて工程を引き直しましたところ、現行は平成10年度ということでございますけれども、工期としまして平成23年度までということで、相当延びる形でございますが、こういう形で事業計画を変更いたしたいということでございます。
 以上がフルプラン本文の内容でございます。
 26ページには、フルプラン本文には直接関係いたしませんが、用途間の転用ということで、埼玉県の工業用水から水道用水への転用というものの御説明でございます。埼玉県につきましては、人口がどんどんふえてきているということで、水道用水が足りないということでございますが、そのために水利権を確保しているわけでございます。その相当部分が暫定水利権といいまして、河川の水が豊富にあるときだけとれるという形の不安定な取水となっております。そういうことで、水の需給が逼迫し、非常に状況が厳しい水道向けに、既に埼玉県として確保しております下久保ダムからの水、また権現堂調節池からの水を振り向けたいということでございます。下久保ダムからは0.7m3 /s、権現堂調整池につきましては0.5m3 /sの水を振り向けたいという形でございます。
 以上が今回の一部変更の内容の御説明でございます。
○会長 どうもありがとうございました。
 本件につきましては、水資源開発促進法の規定に基づいて関係省庁との間で協議を行うとともに、関係都県から意見の聴取を行うこととなっておりますので、その結果について御説明をお願いいたします。
○事務局 お手元の資料−10でございます。1束になってございますが、文書の写しをつけてございます。ページ数が振っていなくて恐縮でございますが、めくっていただきまして一番最初に出てきますものが、関係省庁に対しましての協議文書でございます。その次が、関係都県知事に対しての意見照会の文書でございます。その次は、内閣総理大臣からこの審議会に対しての諮問の文書でございます。そこから大蔵省以下の回答文書がございますが、いずれも異議がない、あるいは異存がないという趣旨のものでございます。ずっとめくっていただきますと、茨城県知事からの回答文がございます。これが関係都県知事からの回答文でございますが、すべて異議がない、あるいは異存がないという趣旨の回答をいただいているところでございます。
 以上でございます。
○会長 以上によりまして、関係者がどのように考えているか御理解いただけたものと思います。
 次に、利根川・荒川部会におきます検討の結果につきまして、藤田部会長から御報告をお願いしたいと思います。
○委員 先日開催いたしました部会の報告をさせていただきます。
 審議会会長より平成11年7月8日付で付託となりました「利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画の一部変更」につきまして、一昨日の7月27日に利根川・荒川部会を開催して、調査・審議を行いました。部会におきましては、委員5名、専門委員9名が出席いたしまして、一部変更案の内容について事務局から説明を受けた後、案の内容について検討を行いました。その結果、活発な質疑、御意見がございましたが、検討の結果、本案の内容については「異議なし」という結論に達しております。多少、質疑の内容について御紹介をしておきます。
 まず、水資源開発基本計画における予定工期の記載についてでございます。これは資料−8「参考資料」の16ページ、17ページの辺でございますが、「予定工期欄において、事業の完成予定年度が記載されていないものがあるがなぜか。また、予定工期欄における開始年度は建設着工年度か」というような御質問が出ました。これに対して、「地質調査、用地買収等を行う事業の初期段階では不確定要素が多いため、熟度が高まっていない事業については予定工期を記載していない。また、予定工期欄における開始年度は調査期間を含めて記載している」という回答がございました。
 次は、思川開発事業についてでございます。ここにつきましては、「東京都は、西部地区の水需要が高まっていると聞いているが、当該地区における新規水需要にはどのように対応するのか。また、思川事業の都市用水の開発水量毎秒6.8トンの水量配分は決まっているのか」という質問が出ました。これに対して、「東京の西部地区の新規水需要には、現在動いている事業によって対応したい旨を聞いているが、全部変更における需給の検討項目の1つである。また、思川事業の都市用水の開発水量毎秒6.8トンの水量配分については、個別の事業実施方針で定められるものである。現段階において、関係者間では合意されているところである」というふうな御回答がございました。
 次に、用途間転用についてでございます。これは資料−8の26ページのところでございますが、「今回の埼玉県の用途間転用は緊急避難的に行うとあるが、後に工業用水の手当等を行う予定であるのか」という質問がありました。これに対して、「今回の用途間転用は、埼玉県において工業用水に比べ水道用水が非常に逼迫しているため措置するものであるが、今後の整理については全部変更において対応していきたい」という回答がございました。
 そのほかに多少ございますが、それを御紹介します。「今回の用途間転用は説明資料の変更で対応しているが、これは今後行政対応を行うときの根拠として使われるものであるのか」という御質問が出ました。それに対して、「今回の用途間転用に係る説明資料の変更は、当該用途間転用の行政処理を円滑に進めるため行うものである。既に開発されている施設の用途間転用の取り扱いについては、現在、全部変更に向けて検討しているところである」という御回答がありました。
 また、以上のほか、次のような意見もございました。「川に豊かな水を流すためには、豊かな水源林が必要であるので、今後は造林に力を入れるべきではないか」。また、「新規水資源開発だけではなく、既存施設の用途間転用に力を入れてほしい」というような御要望もございました。
 以上のような御質問、御意見につきましては、総じて、事務局から、今後これらの資料を踏まえて調査検討を進めていきたいというような意向が表明されました。これを申し添えまして私どもの部会報告といたします。
○会長 どうもありがとうございました。
 ただいま藤田部会長から部会の御検討結果の御報告がございました。皆様方におかれましては、この件につきまして御質問、御意見がございましたらお願いいたしたいと思います。
○委員 基本計画の一部変更自体については、説明をお聞きした限りでは必要なことだと考えますので、結構だと思っていますが、関連して状況をお聞きしたいと思います。 思川開発の関係で、南摩ダム、行川ダムはなかなか難しい状況があるということも仄聞しているのですけれども、現在の事業の進捗状況、そのあたりは一体どういうふうな状況になっているのか、もしわかれば説明していただければありがたいと思います。
○事務局 この事業につきましては、まず南摩ダムの方は、水没戸数が約80戸ほどございます。こちらの方は地元の水没関係者の方の御理解もかなり進んでまいりまして、用地の調査も相当進んでいる状況でございます。現在では、代替地をどういうふうにしたらいいかとか、そういうところまで話が進んできている状況でございます。
 そのほか、この事業につきましては、大谷川からの取水をどうするのかということが課題としてございます。大谷川からの取水は、栃木県の今市市というところからとるわけでございますが、大谷川からの取水につきまして、これを実施いたしますと、大谷川の水が少なくなってしまうのではないか、あるいは大谷川の扇状地で地下水に悪い影響があるのではないかということが懸念をされまして、地元の今市市としては、取水につきまして現時点ではまだ完全に了解という形までには至っていないということでございます。
 そういう意味で、現行のものでもそうでございますけれども、このフルプランの本文2ページの思川開発事業の事業目的の欄を見ていただきますと、「なお、大谷川等からの取水による取水地点周辺を含む下流地域の地下水及び利水に及ぼす影響調査に基づき、具体的な措置を講ずるものとする」という項目も書かれているところでございます。これにつきましては、現地で具体的な調査を事業主体の方でやってございます。また、さまざまな環境調査も実施いたしまして、平成5年から6年にかけまして、環境影響評価ということを行っております。結果としましては、地下水面の低下等は無視できる程度であろうという評価をいたしております。
 そのほか、平成6年にこの事業計画の見直しをいたしまして、当初の計画につきましては、大谷川から取水をするという1方向の流れでございましたけれども、大谷川の水が少ない場合には、大谷川の方に逆送いたしまして、大谷川の水も確保するという形での計画の手直し、修正も行ってございます。そういう形で、現在、関係方面の理解を得るべく、事業主体の方でいろいろと努力をしているという段階でございます。
○委員 ひとつ御苦労いただくようにお願いしておきたいと思います。
○委員 今のお話を伺って、私もずっと疑問に思っていたのですけれども、今はたまたま南摩ダムというものをつくるということになりまして、俎上に上がったから「進捗状況は」というような質問があって、御説明があるのではないかと思っています。私は審議会には今回初めて参加させていただいたのでよくわからないのですが、逆に言えば、ここの基本計画のダムのところでの進捗状況は一体どういう問題があるのか。例えば、私はきょう徳山ダムをインターネットで引いて見たら、これは目下裁判が行われている。あれは30何年ですよね。つまり、こういう状況報告というのは、この審議会であるのでしょうか。つまり、これからダムを新しくつくるなんていうことはないのだろうと思うし、国土審議会というのは、この基本計画についてもいろいろ審議をする場ではないかという気も片方でするものですから、そういう報告というのはここでなされるのでしょうか。また、もしないのでしたら、これから先どういうふうなお考えか、伺いたいと思います。
○事務局 今回の計画の変更につきましては、思川の計画等の利水者の確定に伴うものということでございますので、そういう意味で、それに直接関連する部分の御説明をさせていただいたということでございます。また、御審議をいただきたいといいますか、内閣総理大臣の方から諮問されております内容も、基本的には一部変更の内容について御審議をいただきたいということでございますので、その部分についての御説明ということでございますが、関連する部分、その段階で必要なものがあれば、当然これもまた御説明をしていきたいと思っております。ただ、今回はあくまでも利根川・荒川、それと吉野川ということでございますので、そのほかの分まで毎回必ずというふうにはまいらないかと思います。
○委員 毎回説明してくださいということは申しませんけれども、そういう状況というものを説明していただければと思うのです。今たまたま徳山ダムが一番言われていますので私はそこを引いて、「ああ、裁判をしているんだな」ということがわかったわけです。つまり、そういうようなエポックメーキングなことがあったら、今はどういう状況ですというような説明をしてくだされば、少しわかりやすい。特に、前の亀井大臣のときに幾つかダムを中止したという例もありますよね。つまり、今の時代というのは、やはりいろいろなことの見直しの時代だと思うのです。当然、60何年もたてば、イヌワシとかオオワシの問題などは、すみかが狭くなってくるという問題が浮上してくることもあるだろうし、水の問題でも、どのくらいの需要があるか、また変わってくるだろうと思います。だから、その段階で何か変化があったり、ありそうだというときには、ぜひ説明をしていただきたいと思うのです。よろしくお願いいたします。
○会長 これは、工期が平成11年とか12年というものが多いですね。これは前のフルプランに合わせているわけですか。そうでもないのですか。
○事務局 今の御意見に対しましては、また私どもも努力していきたいと思っております。
 12年ということにつきましては、これはもともとの水需要の見通しの目標年次が平成12年度でございますので、基本的にはそれまでに事業を完成させるのが本来の姿ということで、それにできるだけ合わせるという努力をしているということかと思います。
○会長 これは11年が完成目標年次だけれども、完成できなかったら当然工期が延びるわけですね。それはまた部分変更みたいなことが出てくるわけですね。
○事務局 12年度の全部変更のところでもう一回見直すということになります。
○会長 そのときには、おっしゃったようなことの説明は全部出てくるわけですね。
○事務局 工期なりの変更というのは、今回も全部変更でやってもいいのではないかという話もあるのですけれども、現実に10年度という過ぎているものをそのまま書いておくのもおかしいではないですか。今回は、少なくとも10年度となっているものは、一応今考えて工期を変更しようということで、房総導水路とか湯西川ダムについて工期を変更するということなのです。
○会長 だから、来年度になったら、ここにずっとあるものが完成していなかったら、そのときに全部おっしゃるわけですね。そのときに全部お聞きするということで。おっしゃったようなことは、審議会の委員としては十分承知しているというか、理解しておくことが必要ではないかと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 ほかに何か御質問はございますでしょうか。
○委員 部会報告にもあったのですが、思川の水量配分は確定しているわけですよね。数字を教えていただくわけにはいきませんか。
○事務局 数字そのものにつきましては、事業実施方針段階で固まるということでございますが、現段階では関係者の合意というものができてございます。23ページには水道用水、工業用水、農業用水の数字しか書いてございませんが、その内訳を申し上げますと、水道用水が約6.8m3 /sでございますが、このうち栃木県関係、これは県と関連の市等でございますが、これが約2.7m3 /sでございます。茨城県が0.7m3 /s、埼玉県が約2.2m3 /s、千葉県が約1.2m3 /sという数字でございます。工業用水につきましては全量栃木県、農業用水も全量栃木県という形でございます。
○委員 「利水者が確定したので」という言い方は、必ず水量配分は決まっているということと同義語と思って聞いていていいわけですね。
○事務局 一応、制度的には、今段階では内定ということで、決定というのは基本計画を受けた実施方針という計画の中で数字を決めるということになりますので、決定という段階はその段階になるのです。ただ、決定するときと上位計画の基本計画とにそごがあるとおかしな話になりますので、さかのぼって内定を踏まえて、基本計画の方も合わせて変えておこうということでございます。逆に、変えておかないと実施方針で変えられない。
○委員 単純に考えれば、要するに利水配分が決まったというのと同義語と思っていいわけですね。
○事務局 同義語と思って結構だと思います。当時は、現地でダム事業をやります栃木県と、下流の方の代表である東京都というのが代表として名前を書いてあったのですが、東京都が先ほど説明したような理由で落ちましたので、今のままだと基本計画と内定したものを実施方針で決めると、合わないことになっていますので、そこをきちんと整理しようということなのです。
○会長 ほかにございませんでしょうか。
 それでは、ほかに御意見がございませんようですので、この辺で議題の取りまとめに入りたいと思います。
 本日は、委員の皆様方からいろいろと貴重な御意見をいただきましたが、それらについては、水資源開発の実施の際、あるいは今後の水資源開発の計画策定に際して十分御配慮いただくことといたしまして、「利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画の一部変更について」は当審議会として了承するということにつきまして御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○会長 ありがとうございます。そのように決定させていただきたいと思います。
 ここで、内閣総理大臣に対する水資源開発審議会の答申の案を用意いたしておりますので、事務局から配付していただきたいと思います。
 〔事務局が答申案を委員に配付〕
○会長 ただいまお配りいたしました答申案につきまして御意見をお伺いしたいと存じますが、この案で答申することといたしましてよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○会長 御異議がないようでございますので、原案をもって審議会の答申とさせていただくことといたします。
 
  2)吉野川水系における水資源開発基本計画の一部変更について
 
○会長 続きまして、「吉野川水系における水資源開発基本計画の一部変更について」に入らせていただきます。
 本件につきましては、水資源開発促進法第4条第5項において準用する同条第1項の規定に基づきまして、内閣総理大臣から平成11年6月25日付で資料−11のとおり水資源開発審議会の意見を求められたところでございます。
 また、本件につきましては、平成11年7月8日付で当審議会から吉野川部会に対し、本水系における水資源開発基本計画にかかわる専門的・技術的内容について調査、検討していただき、本審議会にその結果を御報告していただきたい旨付託したところでございます。
 それでは、ただいまの諮問の内容につきまして御説明をお願いしたいと思います。
○事務局 それでは、私の方から概略を御説明をさせていただきます。
 吉野川は、「四国三郎」と称されておりまして、その源を高知県土佐郡瓶ヶ森山に発しまして、四国山脈に沿って東に流れ、紀伊水道に注いでいる四国第一の一級河川でございます。
 吉野川水系につきましては、昭和41年11月に水資源開発水系の指定を受けまして、昭和42年3月に水資源開発基本計画が決定されました。その後、平成4年4月に全部変更がなされ、平成9年12月に一部変更がなされて現在に至っております。
 第1次の基本計画に基づきまして、既に早明浦ダム建設事業、新宮ダム建設事業、池田ダム建設事業、旧吉野川河口堰建設事業、香川用水事業、高知分水事業の6事業が完成しておりまして、本水系の用水の安定供給に大きく貢献しているところでございます。現在は、富郷ダム建設事業を推進しているところでございます。
 今回の一部変更の内容は、香川用水事業で実施しました香川用水につきまして、構造物の劣化等が進んでいるということで、これに対する修繕といいますか、そういう面での対処、及び調節池の建設を行うという、名前といたしましては「香川用水施設緊急改築事業」を新規に追加いたしまして、それに伴いまして総事業費の変更等を行おうというものでございます。
 吉野川水系につきましても、現計画の目標年次が平成12年度となっておりますので、現在、全部変更の作業を開始したところでございますが、この事業につきましては、緊急に修繕を行うということ、また利水の安全度を高めるための調節池事業であるということでございまして、全部変更と不整合になるということはないという判断で、特に地元の方からは一日も早い事業の着手の強い要望がございます。そういうことから、全部変更に先立ちまして、一部変更でこれを位置づけたいということでございます。
○事務局 続きまして、御説明させていただきたいと思います。先ほどと同様に、今回の案件に関しまして写真等で紹介したものを机の両脇に用意しておりますので、見ていただければと思います。
 資料−11でございますが、これは、今回の案件につきまして、審議会への答申文でございます。
 資料−12は一部変更の案の概要でございまして、香川用水施設緊急改築事業を追加いたしたいというものでございます。これは参考資料でございますが、資料−15の方で御説明をさせていただきます。また図面を使いながら説明をさせていただきます。
 [以下、図示説明を交えて説明]
 こちらが吉野川水系の流域図でございます。四国の中で最大の河川でございます。水源は高知県の瓶ヶ森山でございます。本川はこちらの方から流れてきまして、銅山川を合わせまして徳島の方まで行っているという河川でございます。流域面積は 3,750km2 で、四国4県にまたがっております。幹線流路延長は194kmという河川でございます。年降水量につきましては、吉野川の池田地点、ここは中流でございますけれども、こちらの年降水量を書いてございます。年平均約1,500mmほどの雨ということでございます。また、池田地点の流況ということで、昭和29年から平成7年までの平均値と、平成7年の値を書いてございます。低水流量で申しますと、約35m3 /s程度の河川でございます。
 2ページは治水の概要ということでございます。吉野川水系における治水事業は、明治40年に第1期改修計画として始まったということでございます。下流部を中心にということでございます。その後、昭和20年の枕崎台風、昭和29年の12号台風等による出水にかんがみまして、改修計画の見直しがなされております。これに基づきまして、現在まで下流部の改修とあわせまして、柳瀬ダム、早明浦ダムの治水工事が行われてきてございます。現行の治水計画は、昭和57年に改定されたものでございます。基準地点岩津での基本高水のピーク流量が24,000m3 /s、上流ダム群で6,000m3 /sを調節しまして、河道で流す分は18,000m3 /sという計画でございます。
 3ページは利水の概要でございます。吉野川の水利用につきましては、下流部で農業用水を中心といたしまして進められてきております。上流部では発電、及び水の不足しております地域への分水に利用されてきているものがございます。分水としましては、水系指定以前に銅山川から瀬戸内海側への分水、あるいは上流部の方から太平洋側、高知県への分水としまして、2ルートございます。そういったものも実施をされてございます。水資源開発促進法によります、水資源開発以前の主な水資源開発事業としましては、柳瀬ダムということで、昭和28年完成のものがございます。
 4ページは、渇水の発生状況ということでございます。吉野川水系での渇水の発生状況ということで書いてございます。早明浦ダムが完成しました以降も渇水が頻発しております。特に、平成6年は非常に厳しい状況でございまして、早明浦ダムの水が完全に枯渇をしてしまうという状況でございました。香川県では最大取水制限率75%ということで、このときは高松で5時間給水が1カ月にわたって続くという大変厳しい状況を経験してございます。その後も、平成7年、平成8年、平成10年ということで渇水を経験してございます。今年につきましては、今のところ水は平年並みくらいにはたまっているという状況でございます。
 5ページが水質関係でございます。地点名とBODが書いてございます。早明浦ダムではBODで0.4mg/?という非常にきれいな形でございます。中流部の池田ダムに行きますと0.8mg/?、下流部では1.0mg/?という形でございますが、我が国の河川としましては、非常に清流という形かと思います。
 6ページが水質保全対策ということで、水質の基準の設定、あるいは排水規制、下水道整備等の概況でございます。
 7ページは、水環境の整備状況ということで、河川での浄化や河道整備、またダムでの貯水池の水質の保全等の事業の紹介でございます。
 8ページからが水資源開発基本計画の説明でございます。
 8ページが計画の概要でございます。水系指定されましたのが昭和41年でございます。当初の計画ができましたのが、その翌年の昭和42年でございます。現行の計画は平成4年4月ということでございまして、第2次の計画ということになっております。この計画としましては、昭和59年から平成12年までの計画ということでございます。平成12年を見通した計画ということでございます。新規水需要約2m3 /sを、その下に書いてございます富郷ダムによりまして確保しようというものでございます。富郷ダムは銅山川の上流の方でございます。
 9ページは、その指定のいきさつが書いてございます。これは説明は省略をさせていただきます。
 11ページは、水の需要の見通しのあらましでございます。これも説明は省略させていただきます。
 13ページでございますが、事業の実施状況ということでございます。第1次の計画の中では、早明浦ダムが完成してございます。また、池田ダム、新宮ダムが完成しております。それと、旧吉野川河口堰も完成してございます。現行の計画では、富郷ダムというものを進めております。これにつきましては、水資源開発公団事業ということで進めてございまして、平成12年度には完成を見るという形かと思います。
 以上が水源の施設でございますが、そのほか14ページには、導水施設としまして香川用水、高知分水の2つの事業が書いてございます。これは第1次の計画の中で掲上されまして、既に完成を見ている事業でございます。
 15ページには、水源地域対策ということで、水源地域対策特別措置法に基づきます指定ダムの概要ということで、富郷ダムが指定をされているということと、その下には水源地域整備計画、全体事業費約23億円ということでございますが、この計画の概要を書いてございます。また、吉野川水源地域対策基金の活動状況についても、その下に書いてあるとおりでございます。
 16ページからが、今回の一部変更の概要ということでございます。
 17ページで香川用水施設緊急改築事業の概要を御説明したいと思います。これは平成11年度から新規の事業ということで進めたいというものでございます。
 香川用水につきましては、池田ダムの貯水池のところからトンネルで山を抜きまして、香川県内に水を運んでいる、香川県にとりましては非常に重要な水の施設でございます。この赤い部分が、水資源開発公団の行いました事業、水路施設ということでございます。さらにその先には、農業用水を運んでいく水路の整備もされてございます。幹線導水路が約8km、東部幹線が約35km、高瀬支線が約4km、最大取水量が約15.8m3 /sというものでございます。
 今回の改築事業につきましては、17ページの下の方に書いてございますが、香川用水施設の劣化が非常に進んできたということでございます。この施設につきましては、昭和43年から49年にかけまして建設をされまして、昭和50年度から供用されており、相当以前から供用されているということでございます。コンクリートのアルカリ骨材反応によりまして、ひび割れが非常に発生をしております。特に水路でのひび割れが目立つということでございますが、これがこのまま進行していきますと、水路が被害を受けまして、崩れたりといったことで、用水の安定供給が危惧されるという状況でございます。そういうことで、これに対しての水路の補強をしようということと、あわせまして耐震性、地震に対しての安定性を向上させようということで、それの対策を行うというものでございます。
 同時に、そういった施設の劣化に対しましての対策、手当てということに加えまして、調整池をこの場所に新設をするということでございます。もともとは、この場所は小さなため池がございましたが、そのため池の場所を利用しまして、容量300万m3 の調整池をつくるということでございます。こちらの施設につきましては、水道の専用施設ということでございますが、この調整池によりまして、渇水時に対しても最低限の水を確保するようにしたい、あるいは水質事故や地震のときにも、この調整池にためました水で緊急の対応をできるようにしたいということでございます。
 なお、水路の改築につきまして、この赤い部分が水資源開発公団の施設でございますが、全部手当てをするということではなくて、現地の調査を行いまして、その中で特に手当ての必要なものということで、この図ではちょっとわかりにくいかもしれませんが、この赤の濃くなっている部分の手当てをするということでございます。
 次の18ページを見ていただきますと、ハッチをした部分と黒く塗った部分がございます。黒く塗った部分が今回の改築対象という形でございます。この事業は、事業主体としましては水資源開発公団、予定工期としましては平成11年度から平成20年度までということを予定してございます。
 19ページでございますが、これはフルプラン本文といいますよりは、説明資料の中での変更ということでございます。先ほどの利根川と同じく、用途間転用でございます。香川県の水道用水の需要が増大をしてきているということでございます。香川県としての手当てが必要だということで、現在、早明浦ダムで確保しています水の中で、工業用水から水道用水に向けまして転用したいというものでございます。これは香川県の地図でございますが、香川用水の施設は、このあたりから来まして、こう来ております。今回、この赤い部分が県の水道用水供給事業としまして、対象エリアも広げたいということでございます。こういうことで、全体0.75m3 /sの水を手当てをしたいということでございます。この水源といたしまして、現在既に香川県として確保している工業用水からの転用を行うということでございます。
 20ページでございますが、新旧の工期と事業費の対照表ということで書いてございます。今回、香川用水施設の緊急改築事業の事業費としまして414億円ということで、新たに追加をしたいということでございます。そういう意味で、フルプラン本文中に書いてございます数字が少し変わってくるという形でございます。
 以上で御説明とさせていただきます。
○会長 どうもありがとうございました。
 本件につきましては、水資源開発促進法の規定に基づきまして、関係省庁との間で協議を行うとともに、関係県から意見の聴取を行うこととなっております。その結果につきまして御説明をお願いいたします。
○事務局 資料−17でございます。関係省庁並びに関係の県知事の文書での回答でございます。3枚目に大蔵大臣からの返答の文書がございます。それから、厚生大臣、農林水産大臣、通商産業大臣、建設大臣、自治大臣、科学技術庁長官、環境庁長官とありまして、いずれも異議はない、あるいは異存はないという趣旨の回答をいただいております。その次には、県知事さんからの回答でございます。徳島県、香川県、愛媛県、高知県ということでございますが、いずれも異議はない、あるいは同意するという形でございますが、徳島県知事からは要望ということで4点ございます。
 1点目が、池田ダム下流の流水の正常な機能の維持に必要な流量ということで、最優先で取り扱われたいということ。第2点は、吉野川の第十堰改築事業についてでございますが、環境影響評価等の手続や調査等を的確に実施され、住民との合意形成を図りながら事業を促進されること。第3点としまして、吉野川岩津上流の築堤及び旧吉野川河道の改修の促進が図られるとともに、吉野川水系における内水排除施設の整備の促進が図られること。第4点としまして、銅山川の河川環境の抜本的改善のため、河川維持流量の確保がなされること。この4点につきまして要望をいただいているところでございます。
 これにつきましては、昨日、この水資源開発審議会の開催を前にいたしまして、幹事会を開催いたしました。関係省庁にお集まりいただいたところでございますが、この御要望につきましては、河川管理上の問題でございますので、建設省の方に「こういう要望が出ている。十分意を体していただきたい」という形で、要望が出ている点をお願いをしているという状況でございます。
 以上でございます。
○会長 以上によりまして、関係者がどのように考えているか御理解いただけたものと思います。
 次に、吉野川部会における検討の結果につきまして御報告をお願いしたいと思います。本日、丸山部会長が御欠席でございますので、八木橋委員から御報告をお願いすることといたします。
○委員 ただいまお話がございましたように、丸山部会長が本日は所用のため御欠席でございまして、先般27日に開かれました部会におきまして、私が報告するように決定されましたので、私から部会の報告をさせていただきます。
 審議会会長より平成11年7月8日付で付託がございました、「吉野川水系における水資源開発基本計画の一部変更について」は、去る7月27日に吉野川部会を開催いたしまして、調査審議を行ったところでございます。部会におきましては、丸山部会長以下委員4名、専門委員8名が出席いたしまして、一部変更案の内容につきまして事務局から説明を受けました後、案の内容について検討を行ったところでございます。活発な質疑、御意見の開陳がございましたが、検討の結果、本案の内容については「異議なし」という結論に達しております。
 なお、主な質疑の内容について若干御紹介いたします。
 1つは、「水資源開発基本計画における目途とする年度と香川用水施設緊急改築事業の予定工期との整合性について」の問題でございます。
 質問の趣旨は、「現行の吉野川水系における水資源開発基本計画の目途とする年度が平成12年度であるのに対し、香川用水施設緊急改築事業の予定工期が平成20年度までであるということは基本計画として整合がとれているのか」という質問でございます。これに対しまして、「香川用水は、現在、緊急的な改築及び調整池の建設による用水供給の安定性の向上が必要であり、今回は、事業を実施するため必要な最小限の変更を行うものである。また、本事業は開発水量がないため、水需給の変更を伴うものではない。したがって、平成12年度に予定している全部変更の際にも不整合を生じるものではないと考えている」という回答がございました。冒頭で御挨拶がございましたが、ああいう趣旨も踏まえての回答でございます。
 2番目の問題は、「調整池の貯留方法について」の問題でございます。
 質問の趣旨は、「今回の調整池には、どのような運用で貯留するのか。香川用水施設緊急改築事業における調整池の建設に伴い許可水利権の変更はあるのか」ということでございます。回答でございますが、「今回の調整池は節水備蓄により水を貯留するため、工業用水から水道用水への用途間転用に係る変更以外の水利権の変更はない」ということでした。
 もう1つの質問でございますが、「香川用水の年間総利用水量の変更はあるのか。この貯留のために水利権を変更しないで、うまく貯留が可能であろうか」ということでございます。これに対する回答は、「年間総利用水量についても、変わるものではないと聞いている。香川用水の中の水道の使用実績から見て、節水備蓄方式により十分可能と聞いている」ということでございました。
 3つ目の論点でございますが、「水利用の安定のための事業について」でございます。 質問の趣旨は、「香川用水施設緊急改築事業における調整池は新規開発のためでなく、水供給の安定化のための施設であるが、このような施設を今後フルプランにおいて順次掲上していくのか」ということでございます。この質問に対する回答は、「先般策定したウォータープラン21の中でも、近年の雨の降り方の不安定化を考慮した供給安定性の向上は大きなテーマとなっており、全部変更はこれを踏まえて行う必要があると考えている」ということでございました。
 次の論点は、「吉野川水系における水資源開発基本計画の全部変更の考え方について」の問題でございます。
 質問の趣旨は、「吉野川水系における水資源開発基本計画の全部変更の考え方について御教示いただきたい」ということでございます。これに対する回答は、「吉野川水系における水資源開発基本計画の全部変更については関係者間で相談を始めたところである。今後、調査企画部会等を活用して検討を進めていきたい」ということでございました。
 以上が主な論点でございますが、ここで行われました御質問、御意見につきましては、総じて、事務局から今後これらの趣旨を踏まえて調査検討を進めていきたい旨、意向が表明されたところでございます。このことを申し添えまして、私どもの部会報告といたしたいと存じます。
○会長 どうもありがとうございました。
 以上、吉野川部会からの御報告、それから事務局からの詳細な説明があったところでございますが、皆様方におかれましては、御質問、御意見がございましたらお願いいたしたいと存じます。
○委員 香川用水の導水トンネルの改築なのですが、これは改築中は水を止めるのでしょうか、それとも止めないのでしょうか。止めるとすれば、その間の水の需要はどうするのか。
○事務局 導水トンネルそのものの改築ということではございませんで、トンネルを出ましてから開水路になるわけでございますが、その部分のことでございましょうか。
○委員 黒くついているけれども、これは違うのですか。
○事務局 その部分につきましては、水をとる部分の除塵施設、ごみをとる施設がちょっと不具合がございまして、対象となっております。
○委員 これはもう導水トンネルを出た後ですか。西部幹線の。
○事務局 それは開水路でございます。開水路につきましては、今、アルバムで見ていただいたわけでございますが、相当ひび割れが進行してございますので、水路の補強ということで、炭素系の繊維を水路の前に張るような形でコンクリートのひび割れの増大を防ぐという、そういう形のものでございます。
 もう1点の御質問としまして、水を通しながらできるのかということでございますが、仮回しのパイプをつけまして、その部分で水を流しながらやるという形でございます。
○委員 仮回しの方は、将来また改築のことを思ってそのまま置いておくのですか。○事務局 仮回し水路につきましては、いろいろ検討をいたしまして、撤去する方が少しお金もかかるということでございまして、将来の効用もございますので、これは置いておくというふうに聞いております。
○委員 現在、漏水はないのでしょうか。
○事務局 漏水といいますか、大規模なところまではまだ至っていないということでございます。
○委員 緊急の漏水が出たとか、あるいは緊急に補修しなければいけないような場合は、こういう手続をしなくてもやれるようにはなっているのでしょうね。
○事務局 緊急に対応しなければいけない場合は、通常の維持補修の中で対応いたしますので、それは通常の管理業務の中でやっていくことになっております。そういうものもだんだん数が多くなっていると聞いております。
○委員 アルカリ骨材反応のためにというお話でしたが、そうなると、今後、全線で起きてくるのでしょうか。今はこの黒い点があるところだけ。
○事務局 現地を詳細に調査しまして、現時点として手当ての必要なものということで挙げておりますので、基本的にはその部分だというふうに思っております。今後、もし、さらに進行してくるということになれば、手当てが必要な部分が出てくるかもしれません。ただ、昭和50年から供用の施設でございますので、出ているとすればもうかなり出ているのではないかと思います。基本的には、必要な部分をまず今回選び出しましたということです。
○委員 ちょっと本筋からはずれるのですけれども、香川県には弘法さんがおつくりになった貯水池というのは幾つもあるのですか。
○事務局 満濃池というのは承知しておりますが、それ以外は……。
○委員 多分1つですよね。『中央公論』で例のカヌーの野田何がしと中野孝次さんが対談をしていまして、弘法さんのつくった満濃池も壊しているという、現地を見ないでの勝手な発言というか放言が8月号にあるのです。これは私が見つけたのではなくて、建設省の、道路屋さんの方の関係で、「道の駅」をまたぼろっかすに言っているわけです。それに、言葉がすべったように、弘法さんがつくった貯水池も壊しているというような発言をしているわけなのです。そういうのを黙って言わせたままにしておくのか、そういうことはしていないと、ちゃんと抗議を出すのか。例えば今の改築や補修でも、周囲の人たちに、それから周囲の人に限らない、パッと耳に挟んだだけとか、ちらっと見ただけで文字にする人たちに対して、今どういうことをやっているということをはっきりわからせる広報的な、パブリッシュメントといいますか、そういうことをやらないと。今とやかく言われることの方が多くて、あちこちで行政サイドがぼやいているのを聞くのですけれども、言わせ放題に言わせておくべきではないと思うのです。だから、この改修工事も、今のアルカリ反応が出て云々というようなことをきちんと表記して、新聞にもどんどん書いてもらうようにして、それをやっているということを知らしめねばならない。そうでないと、また何を言われるかわからないと思います。
 弘法さんがおつくりになった貯水池というのは幾つもあるのですかと伺ったのは、意地悪で言ったのではなくて −満濃池をまさかつぶすわけはないでしょう。でも、もしあれしか弘法さんがつくった池がなかったら、あれをつぶしているのではないかと思わせるような野田某の発言ですから、悪く言えば口から出任せの発言ですから、そういうことはシャットアウトする必要があるのではないかと思います。
○事務局 例えば香川用水につきましては、高松市を初め香川県、瀬戸内海の非常に雨の少ないところでございますけれども、それを支えている水でして、地元の方に行きますと、「香川用水は命の水」と言われておりまして、記念館もありますし、香川県の小学校4年生は、社会見学で記念館及び高知県の早明浦ダムを必ず現地見学をしまして、植樹もするということになっています。そういう面では、地元の人は極めて重要性というものは認識していますし、特に満濃池の問題などにつきましても、歴史的にも香川県にとって大変重要なものであるということは十分認識しているのですが、往々にして、余り地元ではなくて、東京あたりで現地のことを余り知らないような人が、若干聞きかじったことで記事にしてしまうという部分があります。私どもとしても、この問題は建設省の方で検討しているというように聞いておりますが、やはり間違いは間違いだということをはっきり言っておかなければいけないのではないかということを考えておりますので、貴重な御意見として対応させていただきたいと思います。
○委員 それは、釧路川でも、堤防が地震でひびが入ったときに、とりあえず開発局は上に盛土をして、土が固まるのを待つ、そういうような技術が何かあるのですよね。とりあえずそこに土を置いておくという。でも、それを見た朝日新聞の本多勝一という方が書いていたのだと思いますけれども、「釧路川に土を捨てている」という表現なのです。開発局の方に問い合わせがなくて、勝手にそういう表現をされたと。ですから、長良川の河口堰のときにもそうですけれども、やはり反論すべきものは、ちゃんと場所を得たところではっきりおっしゃらないと、そういう一般の『中央公論』のような雑誌を読んだ方は、それを本当だと思いますから。私でさえ、「弘法さんのつくった貯水池をつぶしている」という1行は、「えっ、まさか満濃池をつぶしたのか」と、知っていても思いますから。そんなことはないとわかっていても。だから、ちょっと目を光らせて、チェックをお願いいたします。
○委員 これも変更の本題とは関係ないのですけれども、説明していただいている資料−15の4ページの渇水に関することですけれども、平成2年から平成10年、ほぼ10年間で6回発生していて、特に香川県の取水制限率が、比較的渇水の激しい利根川と比べても、50とか75とか非常に大きいわけです。思うには、徳島の工業用水はまだ需要が張りついていない部分とかいうのが多分あるのではないかと思うのですが、そういう条件の中でなおかつ、早明浦の最低水位がどのくらいのものだったかは知りませんが、10年間で6回も起こっているということについて、どう言ったらいいのでしょうか。やはり取水条件を少し検討して、過去の実績の取水制限率をちょっとでもよくする手だてがないのかなというようなことを検討するとか、しておられるとかいうことがありますか。これは水資源開発公団に伺うことかもしれないけれども。
○事務局 それでは、私の方からお答えさせていただきます。
 通常、ダム建設をする場合は、10年に1回起こる程度の、雨が少ないときでも対応できることを一応基準にした計画をつくるというのが一般的なのですけれども、吉野川水系につきましては、吉野川は四国で一番大きな川でございますし、この水源を四国みんなで活用しようということで、早明浦ダムと吉野川総合開発事業というものが進められたわけでございます。その中で、できるだけ効果・効率的に使おうということがありまして、安全度というのは実は10分の2という、ある意味では5分の1という、ほかに比べて安全度を低くしているために、少し使用水量は多くするというような計画になっております。そういう面では、もともと四国のこのあたりは雨の多いところですが、逆に雨が極端に少ないことも当然あるわけでございまして、そういうときには吉野川は若干渇水が起こりやすいという計画であるし、また実態であるということでございます。
 その中で、吉野川につきましては高知から徳島県徳島市の方に流れていくわけでございますが、香川につきましては、実質、香川県に降った雨ではありませんし、吉野川というのは香川県を流れてはいなくて、瀬戸内気候で非常に水が少ないために、その水をある面では分けようということで、分水ということで持っていっているわけでございます。徳島県からすれば、吉野川の洪水にさんざん苦しめられている徳島県として、利水分だけ香川県が持っていくのは若干いかがなものかという気持ちも当然あるわけでございます。それについては、当時4県の話し合い、また国も入った話し合いの中で、一定のルールのもとでこの事業が進められてきております。ただ、決められたときの一定のルールというものがありまして、そのルールは、徳島県の意見にもありましたが、ある面では徳島県のそもそものものが優先というものが少しあるルールということになっています。ということから、実態になりますと、取水制限率も香川県側が非常に厳しい取水制限率ということになっているということです。さらに厳しくなりますと、香川県の知事さんが、徳島県の知事さんのところに、平たく言えば頭を下げにいって、というようなことが行われているわけです。
 ただ、そういう経緯とか歴史も非常に重要であるし、大事にしなければいけないとは思いますが、これは若干個人的な感情にもなりますけれども、ある程度時代も経てきているわけですし、うまく使うということも考えて、「従来こうだったから、それでずっと未来永劫いくのだ」ということではなくて、少しいろいろな工夫なり、ダムの運用も少なくとも検討はしていかなければいけないのではないか。これは若干個人的にそう思っているということになりますけれども。非常に難しい話ではございますが、問題点としては、我々も十分認識していかなければいけない問題だというように思っております。
○委員 国が水系指定をして、基本計画をつくって、開発方針を決めてやっている水系で、香川県の知事さんが徳島県の知事さんのところへ行って頭を下げないと余分な水が回らないというのは、やはりだれかが何か言わなければならない、おかしいのではないか。例えば、よその国から見るとか。しきりにこのごろ水資源の国際化をおっしゃられるけれども、そんな話を国際舞台に出したら、日本の後進性を笑われるくらいが落ちで、やはりだれかが勇気をもって言わなければならない時期に来ているのではないかと思うのです。だけれども、むしろ香川の知事さんが頭を下げに行く風景を、みんなが「当たり前だな」と思って見ているのは、ちょっとまずいのではないかという気がするのです。だから、機会があるたびに正面を切って言うと、徳島県に怒られてしまうのでしょうけれども、多少議論をするとか、世論を醸成するとか、そういうことはやはり国にかかわっている人がやらないといけないのではないかと思うのです、テレビを見るたびに。
○委員 今の吉野川水系の水資源の賦存量に対して、開発水量というのは何%ぐらいになっているのですか。
○事務局 今すぐに御回答できませんので、後ほどまた御報告したいと思います。利用率は相当あると思いますが、数字が今……。
○会長 吉野川も、平成6年の早明浦のように空っぽになるくらいだから、かなりそれは開発されたということか。だから、香川県で賄える流量と香川導水との比率というのは何%くらいになっているのですか。香川導水の最大取水量が15.8トンで、香川県の全需要と余り変わらないのではないかと思います。ということは、かなりの量を香川導水に依存している。別の委員が先ほどおっしゃったように、実際には徳島県が、例えば渇水時に限らず、自分のところでコントロールできる取り決めが恐らくあるのだろうと思うのです。だから、もっと広い意味から言えば、吉野川がぎりぎり開発されてきた、こんなことを言ったらいけないのですが、ないところからないところに回してやって、あるところからないところへまた持ってくる。四国としては何かそういうことを全域として考えていかなければいけないのではないかと思います。
 だから、太平洋側と瀬戸内とではえらい違いなのだから、そういうことを考えたら、これからの水資源開発というのは、吉野川水系だとか何とかというのではなくて、四国全部を考えて、少々投資してもやるべきではないかと思います。
○事務局 香川県の中で吉野川に依存している分ということでございますが、現況の数字ではございませんが、参考資料の11ページを見ていただきますと、平成12年時点の予測の中での数字でございますが、11ページの上の方の表でございますが、香川県の水道用水で見ますと、全体6.3トンのうち、吉野川依存分が3トンで約半分くらいという形でございます。ただ、恐らく問題としましては、香川県内の水量といいますのは、非常に雨の少ないところでございますので、早くかれてしまう水源が多いということがあろうかと思います。その分、ため池等でいろいろ努力はしているようですが。
○委員 余計なことを申しまして。
○会長 いえいえ、余計なことではなくて、非常に大事なことだから。
○事務局 20世紀は石油をめぐる争いだったけれども、21世紀は水をめぐる争いをやるのではないか。水紛争というのは、今でも結構国同士であることはあるのです。特に、国際河川というところになると、ますますこれからそういう可能性が出てくるということですが。せめて我が国の中では、四国の香川と徳島のあたりは仲よく……。
○会長 利根川とか荒川とか、関東一円の中では、東京というか首都圏が物すごく需要があって、東京ばかりが水をもらって、今度は埼玉とか千葉とかが非常に水の需要がふえてきた。それで円滑にいけているのだけれども、やはり広域的な導水とか、流域をまたぐいろいろな問題、そういうことも考えておく必要があるのではないか。そうでないと、逆に言うと、日本全体の均衡のある発展ができない。首都圏とか近畿圏とか、ああいうところばかり集中する、それがやはりひずみを起こしているということもあるわけですから、そういったことを考えた水資源の開発というものが必要なのではないかと思うのです。だから、まさに国土庁はそういうことを検討していただきたい。それがウォータープランだと思うのだけれども。これはまた、いつかいろいろ広い立場から皆さんの御意見を懇談会ででもお聞きするということにしたいと思います。
 それでは、ほかに御意見がございませんようでしたら、この辺で取りまとめさせていただきたいと思います。
 本日はいろいろと大変貴重な御意見をいただきました。それらについて、先ほどと同様に、実施の際あるいは今後の水資源開発の計画策定の際に十分配慮していただくことといたしまして、御審議いただきました「吉野川水系における水資源開発基本計画の一部変更について」は当審議会として了承することに御異議はございませんでしょうか。
 (「異議なし」の声あり)
○会長 どうもありがとうございました。そのように決定させていただきたいと思います。
 ここで内閣総理大臣に対する水資源開発審議会の答申の案を用意させていただいておりますので、事務局から配付いたしますので、ごらんください。
 〔事務局が答申案を委員に配付〕
○会長 ただいまお配りしました答申案につきまして御意見を伺いたいと思いますが、この案で答申することとしてよろしゅうございますでしょうか。
 (「異議なし」の声あり)
○会長 どうもありがとうございました。御異議がないようでございますので、この原案をもって審議会の答申とさせていただくことにいたします。
 
 
  3)その他
 
○会長 本日予定されております議事は終了いたしました。その他何かございますでしょうか。
 特にないようでございましたら、最後に事務局から何か発言はございますか。
○事務局 御熱心な御討議ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
 
4.閉  会
 
○会長 それでは、長時間ありがとうございました。