水資源開発審議会調査企画部会(第一回)
議事録

平成12年2月2日(火)

              
1.開  会
○事務局 それでは、定刻前ではございますが委員の先生方おそろいでございますので、ただいまから水資源開発審議会調査企画部会を開催させていただきます。
2.委員及び専門委員紹介
○事務局 議事に入ります前に、本日の調査企画部会を開催するに至りますまでの委員改選等の経過につきまして事務局より報告をさせていただきます。 水資源開発審議会におきましては、平成11年4月1日付で委員の改選がございまして、同年5月14日に開催されました第67回水資源開発審議会におきまして、会長の互選、部会に属すべき委員の指名等が行われております。 本部会の部会長につきましては、虫明功臣委員が選出されております。そしてまた部会長代理には丸山利輔委員が同じく選出されております。 また、専門委員につきましては、同日付で各部会に属すべき専門委員の指名がございました。 本日は、委員の選出後初めての部会でございます。お手元の資料−2をご覧いただきたいと思います。水資源開発審議会調査企画部会の名簿でございます。 それでは、開会に先立ちまして水資源部長から御挨拶をいたします。 
3.水資源部長挨拶 
○事務局 本日は1回目ということでございますので、余り長くするつもりはございません、若干御挨拶させていただきたいと存じます。 本日の会は、全国で七つございます水資源開発の指定水系、ここの基本計画というものをつくるその前段の位置づけでございます。この基本計画につきましては、いずれそれぞれの部会において詳細に審議していただいて閣議決定というふうに持ち込んでまいるわけでございますが、その前段といたしまして、私どもいろいろな点について今思いをめぐらせているところがございまして、悩んでいると言った方がいいかもしれません。そういった問題についていろいろ皆様方から基本的な方向について御示唆いただければ大変ありがたいと。それをいずれ水資源開発基本計画の中に反映させていきたいということでございます。 さて、この水資源開発基本計画というものがつくられるようになってから、昭和36年からでございますからもう40年近くなるわけでございます。当時は河川に対する水の需要というのはもともとは農業用水が主体であり、それに発電というものが加わり、そして地盤沈下というような大変な災害をもたらしたわけでございますが、その代替用水として工業用水道、さらに人口急増、あるいはいろいろな産業発展、いろいろな面で上水道の利用というふうに、上水道、工業用水という新しい需要がこれから大変増えていくよと。これについてはよほどのしっかりとした計画を立ててやっていかなければいけないぞと、そういう時期にこの水資源開発促進法というのができまして、水資源開発基本計画というものを水系ごとに定めて、計画的に水資源開発というものを行っていくということにされたわけでございます。 この計画は、御案内の方も多いわけでございますが、水の用途別の需要をまず立てます。上水道は毎秒何m、工業用水は何m、農業用水は何mだと、そういう大まかな用途別の需要の目標を立てまして、それに大まかな供給の目標を立てて、それをどういう施設でつくっていくのだという基本的な方向を定めるわけでございます。 今、需要と供給を大まかな目標を立てて突き合わせるという話を申し上げましたが、今までは言ってみればキャッチアップの時代と申しましょうか、水資源開発というもの自体がまだまだ大変遅れている時代、その中から急激にそういう需要を満たしていこうという時代には、そういう計画でもってそれなりの役割を果たしてきたわけでございますが、例えばある水系においては量的には、計画的には水は既に充足されているのだけれども、しょっちゅう渇水が起こるというような妙な問題が起こってきているわけでございます。これはどういうふうに考えたらいいかと申しますと、実は供給サイドで申し上げますと、ダムで毎秒何mの水を開発するというふうに私らは言うわけでございます。ところがよくよく考えてみますと、全く当たり前のことなのですが、実はこれはお天道様次第というところがございまして、雨がたくさん降らなければ、もともと2m/s開発するはずだったダムが1m/sの能力しかないということが起こり得るわけです。そういうふうに供給サイドの数字というものはいわばふわふわしたものだということがあるわけでございます。あるいは気象の長期的な変動というような問題も今後起こってくるわけでございますけれども、そういったときに今後雨の降り方がどうなっていくのかというようなことをこの計画の中にどう取り入れていくのかというようなことも課題でございます。供給がそのように今まではふわふわしていたのですが、そこのところは棚上げにして進んできたわけです。
 では需要の方はどうかと申しますと、これも実は皆さんすぐお気づきになるように毎秒何m使うというふうに言いましても、工場で水を使うようにしっかりとした数字がピシッと言えるというわけではございませんで、都市ですとか田んぼとかそういう動いているものを相手の水需要でございますので、大変変動が激しくてふわふわしているもの。節水すればある程度は我慢できるけれども、無駄遣いすれば幾らでも使えると。
 そういう需要も供給もいわばふわふわしたものをいよいよきちっとこの計画の中に持ち込んでいかないと、いろいろな問題に対処できないということにだんだんなってきているわけでございます。量を単に単純に充足させるということではなくて、その安全度と申しましょうか、そういった質的な問題まで含めてこの水の需給関係というものを考えていかないといけないという問題に立ち至っております。
 あるいは後でまた出てくると思いますが、健全な水循環系というような発想で私どもいろいろな仕事をしているわけでございますが、これは話すと長くなりますので省略いたしますが、いわば人間が水循環系というものにいろいろな作用を及ぼしております。これは水の利用という面もそうですし、堤防をつくるということもそうですし、家を建てて道路を舗装するということもすべて何らかの意味で水の経路を遮断したり汚濁物質を加えたり、いろいろな意味で水にかかわったことを人間はたくさんしてきております。その結果がある意味で例えば川の中に何らかの環境を悪化させたりとか、洪水をふやしたりとか、いろいろな問題が起こっているわけでございます。そういう問題を解決しようとするときに、全部それを川の中で解決するのではなくて、それぞれが問題を起こしている局面までさかのぼって人間の行為というものを全部見直していこうではないかと、こういうことでございます。 それを水資源の開発ということに置きかえてみますと、需要が何m/s要るからこれをすぐにダムを何m/sつくるというだけではなくて、節水ですとか水利用の合理化ですとか、さまざまな施策をきちんとした形で計画の中に取り込んでいくというような考え方になるわけでございます。
 そういった点についても、私どもいろいろ関係省庁とも相談しながら思い悩んでいるところがございまして、そういうような問題について私どもいろいろまた御注文もあろうかと存じますが、できるだけの資料を提供させていただきながら、皆様方の貴重な御指導をいただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
○事務局 それでは、これからの議事進行は部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 
4.議  事 
○部会長 私は初めてですので一言だけ私も御挨拶したいと思いますが、御挨拶というか言いわけなのですが、ここにある新しい全国総合水資源計画(ウォータープラン21)の、これは国土庁でおまとめになったものですが、それに対する提言をする機関として水資源基本問題研究会というのがございます。先ほど来お話にある健全な水循環系というようなかなりそういうところで議論してきたことなのですが、そういうことがあったので諸先輩を差し置いて私が調査企画部会長というような役を仰せつかっているのだと思いますので、僭越ではありますけれどもどうぞよろしくお願いいたします。 それでは、議事に入ります前に議事の取り扱いについてお諮りしたいと思います。 平成11年の1月の第65回の水資源審議会で決められたやり方、これはどういうことかと申しますと、活発に議論をしていただくために議事は非公開とすると。また透明性を一層高める観点から、議事録は発言者名を伏せて取りまとめてこれを公開することとするということでやらせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。 それから、今までこの調査企画部会の趣旨については御説明があったとおりですが、資料−1をごらんください。資料−1に、水資源開発審議会の中川博次会長からこういう諮問といいますか、依頼が来ております。ざっと目を通していただきたいのですが、水資源部長からお話があったように、ある意味ではいろいろな変革期にある時代での新しい時代に対応したような水資源開発基本計画を各水系でたてていくに当たって、一応共通な事項についてこの部会で審議し、それを審議会に上げてほしいというのが趣旨でございますので、そういう点でぜひ活発な御議論をいただければと思います。 
1)日本の水資源の現状と課題 
○部会長 それでは、きょうは初めてですので「日本の水資源の現状と課題」ということに焦点を当てて事務局で資料をまとめていただいております。その説明を伺った後で議論をしたいと思います。きょうの議題はそういうことになっておりまして、あとこれからどういう形でこれをやっていくかというのはあると思いますが、きょうの議論を踏まえて多少問題点を整理して次回にお諮りしたいというようなことを考えております。
 それでは、約1時間ぐらいになろうかと思いますが、事務局から資料の説明をよろしくお願いします。
○事務局 事務局でございますが、本日の資料の説明をさせていただきたいと思います。
 その前に資料の確認でございますけれども、お手元のクリップの束で資料−1、−2、資料−3が「日本の水資源の現状と課題」という束でございます。それと別途御参考までということで「日本の水資源」というこの冊子、それと「水資源開発基本計画の概要」というものを一束、それと先ほど部会長の方から少し御紹介がございましたが、新しい全国総合水資源計画、ウォータープラン21という形で、これは参考までに今お配りしております。この3種類の資料につきましてはまた必要に応じまして今後この部会の場でお配りいたしますので、この場に置いておいていただいても結構でございます。もちろん持って帰っていただいても結構でございます。
 それでは、資料−3でございますけれども、「日本の水資源の現状と課題」につきまして御説明をさせていただきます。OHPを使いながら御説明をさせていただきたいと思います。 資料を開いていただきまして、目次を見ていただきますと、全体が3部構成になってございまして、Tが「日本における水資源の特性と概況」、Uが「水資源を取り巻く状況の変化」、Vが「ウォータープラン21について」ということで構成をしてございます。こういうことで、本日は全般的な状況につきまして御説明をし、またウォータープラン21につきまして私どもでこういうことが課題だと思っているかということについて御説明をさせていただきたいと思っております。
 では、まず1ページでございますが、「日本における水資源の現状」というところで、これは左下の図の方は世界での淡水の状況から始まっておりますが、御承知のとおり淡水そのものが非常に地球上で貴重な存在であるということでございます。水そのものは地球上で約14億kmほどあると言われておりますが、そのうち2.5 %が淡水だと。なおかつこのうちほとんどは南極、北極等の氷として存在しておりまして、人間が比較的容易に利用可能な河川水、地下水は地球上の水の約0.8 %というふうに言われてございます。 このように水全体の中では貴重なものでございますが、この利用可能な水の源となります雨の量ということでいきますと、図−2に書いてございますが、世界平均で申しますと、約970 oほど世界平均で降るわけでございますが、日本では約1,700 o程度だということでございます。雨の量としましては比較的多いということでございますが、人口が日本の場合は多いということでございまして、人口1人当たりでいきますと決して多くはないと。世界平均の5分の1程度であるということでございます。
 その次の2ページを見ていただきますと、我が国の地形の特徴等を書いてございます。非常に地形が急峻で、また流域も小さく、河川の流路も小さいという形でございます。そういう意味で水の利用ということにつきましては必ずしも有利な条件にはないという形でございます。
 また降水量で見ますと、図−4のところでございますが、地域的には相当差があるということでございます。
 それから、3ページを見ていただきますと、水の循環と水資源ということで書いてございます。水そのものは土地とともに国土を構成する重要な要素でございますが、大きくは海から蒸発いたしまして雲となり、地上に下りましてまた川となって下るという形の大きな循環を繰り返しております。
 こういった循環の中で、特に流域の中での循環の中で人間がいろいろと手を加えまして使いやすくする、あるいは水を汚すというふうなことで手をかけておるわけでございますが、日本の場合、こういった人工の手あるいは人の工夫というものが国土の隅々まで行き渡っておりまして、水循環ということを考える場合に自然の水循環と人工の水循環両方を考えていく必要があるということでございます。
 4ページに参りまして、水資源賦存量ということで書いてございます。こちらの方は概念といたしましてその地域に降る雨の総量から蒸発散量を差し引いたものということでございまして、言ってみますと利用可能な最大限の量という形でございます。こういう形でひとつ物を見てみようということで、「水資源賦存量」という名前をつけてございます。図−7というものを見ていただきますと、人口1人当たりの水資源賦存量という形でございます。こちらの方は人口が関係してきますので、日本はそういう意味では少ないということになってまいります。この図−7で見ていただきましてもわかりますように、使える水の量1人当たりの量というのは決して多くないという形でございます。
 それから、5ページに参りまして、これは河川での水資源開発の考え方を書いてございます。OHPの方でちょっと説明いたしますと、こちらの方は横軸が時間になっておりまして、模式的に書いてございますが、雪解け、梅雨、また台風という形でございます。河川の流量が年間を通していろいろ変動がございますが、日本の水資源開発の場合、ダム、貯水池と組み合わせた水資源開発というものが一般的でございますが、これにつきましては河川の水が豊富にあるときは、この黄色い部分でございますが、川から水をとる。河川の水が少なくなってまいりますと、ダムに貯めておきましたものから、この赤い部分でございますが、補給をするという形で、新しく開発をしていくということでございます。そういう意味で河川の流量というものとその開発水量というのは密接な関係があるわけでございます。後ほども御説明いたしますが、雨の状況の変化によりましてこの流量の状況がもっと減ってまいりますと、ダムから補給すべき量が増える、あるいはダム自身にも水が貯まりにくくなるということでございまして、先ほど部長の御挨拶にもありましたように、供給量そのものも雨の降り方によって変化するということでございます。こういう形の水資源開発が日本では一般的でございます。 6ページからは水利用の現況というところでございます。6ページの右半分の方に模式的に、流域の中での水ということで書いてございますが、我が国に降ります水の総量、年間で約6,500 億mほどでございます。これに対しまして蒸発散量が約2,300 億m/年ということでございます。それを差し引きますと平均的な年での水資源賦存量が4,200 億m/年ほどになります。これが渇水年、この場合は近年30年間で3番目程度ということで言っておりますが、2,800 億m/年ということでかなり減るということでございます。
 ではこの4,200 億m/年あるいは2,800 億m/年のうちどれだけを使っているかということでございますが、おおむね最近では1,000 億m/年ほどを使っているという状況でございます。図−9の中にいろいろ数字が出てまいりますが、一番多いのが農業用水でございまして約600 億m/年を使ってございます。それから、生活用水が164 億m/年、また工業用水としまして138 億m/年という数字でございます。そのほか北国での雪を解かすあるいは流すための消・流雪用水ですとか、火力発電所等で使う水、あるいは養魚用水、魚を養うための水というふうなこと等ございまして、おおむね年間で1,000 億mぐらいの水が使われているという状況でございます。渇水年の水資源賦存量に対しますと約3分の1を使っているという状況でございます。 一方、その水源といたしましては、地下水からくみ上げているものが、これはかなり推計も入っておりますが、年間150 億m程度ということでございます。15%ほどが地下水、残る80数%は河川からの水という形でございます。また一方で下水の処理というものも下水道整備が進むにつれまして全国的にも増えてきておりまして、下水処理水として出ておりますものが年間124 億mというふうな数字もございます。極めて大ざっぱに言いますとこういう形で水の利用がなされているということでございます。
 それから、7ページでございますが、水の使用の実態でございます。7ページは使用量の主な産業用途、農業用水、工業用水、生活用水という形での経年的な変化を見たものでございます。
 もう少し個別にといいますか、生活用水から見てまいりますと、その次8ページでございますが、生活用水の使用量でございます。生活用水につきましてはこの8ページで見ていただきましてもおわかりのよに、着実に伸びてきておるという形でございます。昭和40年には全体で42 億m/年ほどであったものが、現在では3倍以上という形で142 億m/年という数字でございます。1人1日当たりの平均的な使用量という数字でいきましてもだんだん伸びてきているということでございます。
 9ページでございますが、工業用水でございます。工業用水につきましては、これも昭和40年からの図ということで書いてございますが、幾つかグラフがございまして、一番上は回収率でございます。それからその下が淡水の使用量ということで、これが工場等の中で実際に使っている水の量でございます。一番下のハッチをした部分が淡水の補給量ということでございまして、この部分を実際に河川からあるいは地下水からとっているということになります。全体の使用水量でいきますと、昭和40年代にぐっと増えまして、その後は若干変動しながら少しずつ増えてきているという形でございますが、回収水の利用も非常に進んできておりまして、平成9年では78%ほどということでございまして、淡水の補給量としましては昭和40年代から少し増えまして、その後少し減り、また若干増えまして横ばいないし、最近ここ一、二年は横ばいないし微減という形になってございます。これはまた景気の影響もあろうかと思いますが、こういう状況でございます。
 あと10ページからは工業用水につきまして業種別の工業出荷額、また業種別の淡水使用量を載せてございます。業種によりましてかなり差があるということでございます。 また回収率等につきましても次のページ、11ページでございますが、業種によりましてかなり差があるという状況でございます。 それから、農業用水につきましては12ページでございますが、右の方のグラフが耕地面積の推移でございます。耕地面積につきましてはこういう形で少しずつ減ってきているという形でございますが、水の使用総量という形でいきますとその横のグラフでございます。なお農業用水につきましては実測のデータがなかなか少ないということでございまして、これは推算ベース、水田なり畑で使う水の量が1日当たりどのくらいあるだろうかということをベースにしまして推算をしたものでございますが、それでいきますと余り大きな変動はないという状況でございます。
 13ページでございますが、こちらの方は全国での水資源開発の状況ということでございます。都市用水の開発水量の時系列を書いてございます。年間の量という形での表現になってございますが、平成10年度で都市用水の開発水量が約154 億m/年という数字でございます。
 こういう形で水資源開発そのものも逐次進んできてございますが、14ページを見ていただきますと、渇水の発生状況ということでございまして、右の方の図が渇水の発生年数ということで、最近20年間での渇水の発生した年数というものを地域別に整理をしてございます。一番太い斜めの線を引きましたのが20年間で8年以上、水道のこれは給水制限とか節水強化等で影響があったというところを示してございます。こういうふうに見ていただきますと全国的に、地域差はございますが、まだまだ渇水に対して弱いといいますか、渇水が頻発している地域があるという状況でございます。
 15ページでございますが、地下水の保全と適正な利用ということでございます。地下水も非常に重要な水資源でございますが、使い方を誤りますと地盤沈下を招いてしまうということでございます。こちらの方は、資料に載せているものでございますが、OHPで見ていただきますと、代表的な地域の地盤沈下の経年的変化ということでございます。関東平野、これは東京の江東区あたりですが、累計では4m以上沈下をしているということでございます。最近はいろいろ努力の甲斐もありましてほとんど地盤沈下はおさまってきているという形でございます。また大阪の方も累計で2m50pほどの沈下をしているということでございます。 こういった形でかなり地盤沈下はおさまってきているというところもございますが、一方では関東平野の埼玉県の地域でございますとか筑後の佐賀平野等は、近年でも地盤沈下が進行しているという地域もございます。
 また、平成6年の渇水、これはまだ資料はお付けしてございませんが、平成6年の西日本を中心としまして異常渇水があった際には、地下水に頼るということでその年だけポンと地盤沈下が増えるというふうな状況も出ております。
 15ページの右の方の図は、これは平成9年度のデータでございますけれども、斜めハッチをしましたところが平成9年度で年間2p以上の地盤沈下があったところということでございます。こういう形で沈下がしているということでございます。 それから、16ページにつきましてはその地盤沈下の著しい、被害の著しい地域としまして濃尾平野、筑後・佐賀平野、関東平野北部というものを指定いたしまして、地盤沈下防止対策の要綱が決定されてございます。それぞれここに書いてございますような形で目標等を設定しまして進めているという形でございます。
 17ページからは「水資源を取り巻く状況の変化」ということでございます。 まず最初が雨の降り方の変化ということでございます。OHPの方で見ていただきますと、こちらの方は気象庁が昨年の9月に発表しましたデータでございます。この少し黄色で塗っております部分、これが異常少雨、11年平均での多さを表すグラフでございます。ここで言っております異常少雨といいますのは、月降水量で見まして過去30年のどの値よりも少ないという場合を異常の少雨ということで、そういう見方で見てございます。これで見ますと、近年、異常少雨が増えてきているということで、気象庁の方もそういう見解を持っているということでございます。
 それと100 年間ということで長期的に見ますと、過去100 年間では平均的に見ますと減少傾向でございまして、約7%減少しているということが気象庁のデータでは出てきてございます。
 この雨の降り方につきましては国土庁の方も以前から関心を持って整理をしてきてございます。その次の図−26の部分でございますけれども、OHPの方で見ていただきますと、同じグラフでございますが、明治30年から約100 年間の年間の雨量の変動状況を書いてございます。これで見ますと、最近は変動の幅が大きくなってきているということでございます。平成6年のような非常に雨の少ない年も出てきているということでございます。トレンドで見ますと先ほどの気象庁の分析と同じでございますが、赤で線を引っ張っておりますけれども、やはり100 年間では減少の傾向が出ているという形でございます。 この雨の状況につきまして、これは水資源の一番の源でございますので少し別の見方でまた分析したものをその次のページから書いてございます。
 19ページ、図−27でございますが、これもOHPの方で見ていただきますと、これは期間別の水資源賦存量というもので整理をしたものでございます。階段状のグラフが二つございます。こちらの方のグラフが昭和31年から50年の20年間のデータをもとに整理をしたものでございます。こちらの方が昭和51年から平成7年の20年間、最近の20年間のデータを整理したものでございます。並べ方といたしまして、雨の一番小さい方から並べてございます。過去の20年間で雨の少ないもの、第1位の雨の少なさでいきますと年間で3,000億m/年ほど、この平均で見ますと4,500 億m/年ほどでございますが、平均でも減っておりますし、一番20年間で少ないものでいきますと3,000 億m/年が2,000 億m/年ほどに減っておると。また20年間の第2位でいきますと、3,300 何がしが2,500 何がしに減っているという状況でございます。
 これは全国的な雨の状況でございますので、もう少し今回のフルプラン水系での状況に着目しまして見たものが20ページからでございます。 20ページは水資源開発基本計画の指定水系の位置図でございます。
 21ページを見ていただきますと、これは雨の方のデータを整理をしたものでございます。ちょっと字が小さくて恐縮でございます。OHPの方で少し部分的に拡大したものを見ていただきますと、これは雨の方のデータでございます。ここでは水系の中の幾つかの雨の観測所の平均的な情報ということでございますが、1年のうち水の需要が多い4月から9月の6ヵ月間、これは水の需要期という言い方をしてございますが、その水の需要期で最近の20年間と過去の20年間でどういうふうな差があるかということを見たものでございます。 こちらの利根川の方で見ますと、この部分が昭和31年〜50年の20年間、その後最近の20年間はこちらでございます。第1位がこの部分から赤い線、20年間の第1位で見ますと相当減ってきている。第2位で見ましても減っているという形でございます。利根川につきましては若干第1位が逆に少し増えて第2位がほとんど変わらないという形。荒川でいきますと第1位は相当減り、第2位は少し増えている。木曽川につきましては第1位、第2位とも相当減っているという形でございます。こういう形で河川ごとに少し差はございますけれども、かなりのところで近年雨が少なくなってきているという状況でございます。
 雨の状況の次は、では実際に河川を流れております流量がどうかということで、これが22ページのところでございます。 河川を流れております水の量、これは幾つかの基準地点で実測をしてございますが、実際に計られた量といいますのはその上流での水の利用が影響しております。具体的に言いますと、上流での取水をされましたものが減っておるわけでございますし、また排水されたものが逆に加わっているという形になりますので、自然的な状況にできるだけ戻すということで、そういう取排水の量ですとか、あるいは上流のダム、貯水池での流量調整といったようなものをもとに戻しましてできるだけ復元をしたということで、復元した自然流量というものでチェックをしてみたということでございます。
 ここも同じように需要期、夏場を中心にしました流量のデータで見たということでございます。利根川水系でいきますと、やはり同じような見方でございまして、最近20年間と過去の20年間でどうかということでございます。流量ということで見ますとやはり若干減少傾向になるということでございます。また荒川でも同様の傾向ということでございます。豊川では第1位は少し増えまして第2位が若干減っている。木曽川ですと第1位が相当減っているという形でございます。
 こういう形で雨の状況、また流量のデータからチェックをしてみたということでございますが、実態としましてはもう少しダムの貯水池の運用ですとか、長い期間のデータでの検証が必要でございますが、雨そのものが減ってきておるという状況がございますのて、こういったことに対応しまして今後の水資源の計画をどう立てていくかというが大事になってまいります。 もう一つ、本日の資料でははっきり書いてございませんが、別の情報といたしましてお話しいたしますと、ここで昭和30年〜50年の20年間と最近の20年間との比較ということでやっておりますが、これは一つ別の意味がございまして、現在でき上がっておりますダムあるいはつくりつつありますダム・貯水池の計画の基準となっております流量、これが昭和30年代とかそういった比較的古い時期の流量資料をベースにしてつくられております。そういう意味で基礎的な資料としまして比較的雨の降り方が安定してる、そういう時期のデータを使ってきておるということでございまして、それが最近ではより厳しい状況に変化をしてきているということでございます。
 23ページでは、これは水資源といいますよりは社会状況の大きな変化ということでございますが、少子化に伴う人口減少、また高齢化の進行ということでございます。現在日本の人口は1億2,000 万を超えておりますけれども、これからピークに向かいまして2007年あるいは2010年前後にピークを迎えまして、だんだん下がっていくということでございます。こういった人口の変化に対してどういうふうに考えていくか。あるいは高齢化ということに対してどう考えていくかということでございます。こういったことも今後の計画を考える上で念頭に置いておかないといけないということでございます。 それから、24ページでございますが、国民のニーズも多様化しているということでございます。これもよく言われていることでございますが、その現れの幾つかとしましてデータを載せてございます。
 図−34の方はミネラルウォーターの生産と輸入量の推移ということでございます。平成10年ですと年間で約90万mのミネラルウォーターが輸入され、あるいは国産でつくられておるということでございます。また、水質に対しての問題あるいはその味についての問題ということを背景にいたしまして、浄水器の出荷台数というものもずうっと年間ございまして、これに使われるカートリッジというものも着実にこれは増えてきているという状況でございます。
 その下の図−36のところでございますが、これは生活の便利さか自然とのふれあいかということでのアンケート調査でございますが、83年と94年で比べますと自然に対してのふれあいというものを志向する率が増えているということでございまして、こういう状況もあるということでございます。
 25ページにつきましては水環境ということで、ここではその代表的な指標としまして水質の状況を載せてございます。図−37は横軸が時間でございまして、二つグラフがございますけれども、上の黒い方につきましてはこれは河川でのBOD指標によりましての環境基準の達成率でございます。平成9年で80.9%という数字でございます。大体順調に改善されてきている、逐次数字が上がってきているということでございます。平成6年が少し数字がガタッと落ちておりますが、これは恐らく平成6年は大渇水でございましたので、そういうことも影響しているのではないかというふうに考えております。
 下の点線の部分でございますが、これは湖、閉鎖性水域でのCOD指標によります達成率でございまして、こちらの方は残念ながら余り改善が進んでいないという状況でございます。下水道整備等いろいろやってございますが、COD指標で見ました達成率は余りよくなっていないということでございます。 それから、25ページの上の文章表現中でございますけれども、水質の問題ということでトリハロメタンの問題ですとか微量有害物質の問題、また内分泌攪乱化学物質の問題等いろいろ新しい課題といいますか、出てきているということでございます。 それから、26ページでございますが、こちらは水資源と地球環境問題という見方でどうかということでございます。OHPの方で見ていただきますと、地球環境問題としましては幾つかの側面がございますが、ここでは地球の温暖化という面での見方をしてございます。このほか酸性雨の問題もございまして、酸性雨によりまして森林なり土壌が変化を受けるということも心配されておりますけれども、これは地球温暖化という問題につきまして定性的な整理をしてございます。
 まず全体としまして、気温が上昇する、地球の表面全体が暖かくなってくるということでまいりますと、雨の降り方が変化をするということでございます。この降り方につきましてはどういう形に、地域的あるいは時間的な変動がどうなるかということにつきましていろいろなシミュレーションが行われておりますが、まだこれといいまして絶対こうだという部分の情報はないわけでございますが、かなり変動の幅が大きくなるのではないかというふうな知見が出てきております。そういう意味でより水を安定的に利用するという点では厳しくなってくる可能性があるということでございます。 それから、暖かくなりますと雪、降雪量、これは間違いなく減るだろうということでございます。冬場の雪が減ることによりまして春先その雪解けによりまして河川の流量がふえる、この部分が変化を受ける。雪が少なくなり早目にそれが河川に出てしまうという部分の変化が心配されるということでございます。それから、一方で蒸発量も増えるということでございますので、これが全般的な影響が心配されるということでございます。
 また地球温暖化によりまして極地の氷が解けまして海面が上昇するということも心配されておりますが、これに伴いまして沿岸地域におきましては地下水の塩分化という問題も出てくるのではないかということでございます。 あと気温が高くなりますと水の使用量という面ではどうしてもこれは多くなるという方向に向かうということでございます。これは各地での水道の使用状況等を見ましても気温が結構効くということが出ております。こういう影響が心配されるわけでございます。
 そのほか気温の上昇ということが定着いたしますと、農作物の構成、どういう作物で収穫するかということに対しても変化が出てくるということでございます。これそのものは水としまして増える方向に向かうのか減る方向に向かうのかまだはっきりいたしませんが、そういう影響も出てくる可能性があるということでございます。
 その次、27ページにつきましては、これは国土庁としまして昨年の6月に策定いたしました「ウォータープラン21」というものの御紹介でございます。これにつきましては、新しい全国総合開発計画を踏まえまして平成22年から27年を目標年次といたしまして、今から10年ないし15年先でございますが、これを目標年次といたしまして全国でのマクロ的な見通しでございますが、水の需給の見通し、また水資源をめぐるさまざまな問題の課題を整理いたしてございます。今後の諸施策の指針となるということでの性格づけをしてございます。
 27ページの右の方に図−39がございますけれども、これがウォータープラン21、21世紀に向けてのウォータープランということでのポイントを書いてございます。
 真ん中から下のところに三つの柱がございます。こちらのOHPの方で見ていただきますと、ベースとしましては健全な水循環系の構築ということでございまして、こういうことを基本な考え方に置きまして、3本柱といたしまして「持続的水利用システムの構築」、また「水環境の保全と整備」、3番目としまして「水文化の回復と育成」、こういう三つの柱で書いてございます。こういう三つの柱をきちんとやっていくことによりまして持続的な発展が可能な水活用社会ができる、そういうことをつくっていくべきだという目標でございます。 「持続的水利用システムの構築に向けた施策の展開」ということの中では、幾つかの点を打ちまして書いてございます。水利用の安定性の評価その確保、水の安全に関する危機対策、良質の水の確保、水資源とエネルギー消費、水資源開発と環境保全といったようなテーマを掲げてございます。 また、「水環境の保全と整備に向けた施策の展開」というところにつきましては、水辺環境、自然との共生、水源の保全、水源かん養、湧水・地下水の保全、環境用水の確保といったような項目を掲げてございます。 また、「水文化の回復と育成」というところにつきましては、水を通じました地域連携の推進、水文化の回復・保全、新しい水文化の兆があるので、これを大事に育てていこうという趣旨で書いてございます。
 28ページのころは、先ほど来からお話ししてございますように、健全な水循環系というものが一番ベースの考え方であるということでございます。水資源につきましてはもともと循環型の資源であるということを踏まえまして、安全で快適な生活、また健全な産業活動を実現しまして、同時に自然環境、生態系の保全に果たす水の有する多面的な機能を損なわないように、さまざまなバランスを保ちながら人間の諸活動と水循環系との調和を図っていくということで、そういう考え方に基づいていく必要があるということでございます。 29ページには、持続的水利用システムの構築ということで少し文章が書いてございます。ここで第2パラグラフのところで申しますと、地域や流域ごとにそれぞれの実情を踏まえた水利用の安定性の目標水準を設定し、地域の合意のもとで安定的な供給可能量の増大のために供給側、需要側の対策を実施していくことが必要だということでございます。 目標の水準としましては、少なくともおおむね10年に一遍程度発生する少雨の年でも安定的に利用することを基本とするということでございます。この10年に一遍程度発生する少雨について平均的に見て10年間で一番雨の少ない年を対象にして計画をするということにつきましては、従来の水資源の計画の考え方と同じでございますが、まずそういった部分を実現をしようということでございます。
 またそのほか大渇水や震災、あるいは大規模な水質事故というふうなときでも経済社会に甚大な影響を生じさせないということで、危機管理といいますか、そういう施策も充実させていく必要があるということでございます。こういったことをこのウォータープランでの課題として挙げてきてございます。
 30ページ、31ページにはちょっと細かい数字が並んでおりまして恐縮でございますが、このウォータープラン21の中では水の需給ということにつきまして水利用の安定性がどうなのかということに着目いたしまして整理をしてございます。30ページが現況、平成7年で見た都市用水、水道と工業用水を合わせたものでございます。
 それから、31ページが将来時点ということでございます。平成22年から27年程度で見てどうかということでございます。このウォータープラン21では、従来の水の需給関係の見方を変えてございます。発展的にと言ったらいいのかもわかりませんが、変えてございます。
 この平成22年〜27年の表で御説明いたしますと、OHPの方でこれでも字が小さくて恐縮でございますが、水利用の安定性という部分が右の方にございます。ここではパーセント表示をしてございますが、水の需要に対しまして安定的に供給できるならここで0%、ぴったりと。安定的に供給できないとマイナスのパーセントになり、余裕があればプラスのパーセントになると、そういう表示でございます。従来ですと開発水量の値と需要の値を1対1で突き合わせましてどうかということで見てきたわけでございますが、最初の挨拶の中にもございましたように、水の供給量、それも安定的な供給量といいますのは雨の降り方によって変わるのだということを前提といたしまして、通常の年、それと水の少ない年、戦後最大級の渇水の年と、三つの場面でどうかということを見てございます。
 ここで水不足の年と言っておりますのが、ここでは近年20年で第2位程度ということで、10年に1回程度の渇水の状況でどうかということでございます。通常の年はもっと雨がたっぷりある年ということでございます。
 戦後最大級渇水の年ということでいきますと、これは近年40年間で第1位の厳しい雨の少ない状況でどうかということを見てございます。
 通常の年で見ますと、こちらで見ますと全国計だけの数字で見ますとプラスの14〜16%ということでございます。これは安定的に供給が十分できるということでございます。この通常の年でございますとそれぞれの水資源開発施設の開発水量、言ってみますと計画量といいますか、名目的な開発水量は十分とれるだろうということで整理をいたしておりますが、それでいきますと余裕があるという形でございます。
 水不足の年、10年に一遍程度の渇水の年でいきますと、全国計だと−1〜1%ということでほぼバランスしているということでございますが、地域によってはかなり厳しいところがございます。例えば北九州で−22%というふうなことでございます。沖縄でも−20%というふうな数字が出てございます。 この将来時点での安定性ということを推算するといいますか、その前提といたしましては、現在各地で進めております水資源開発のプロジェクトが予定どおり進行するというふうなことを前提にしてどうかということで見てございます。戦後最大級渇水の年ということでまいりますと、全体にマイナスが出るところが多いと。一部東北等ではトータルで見ますとまだ余裕があるという形でございますけれども、全体的に非常にマイナスが出るということでございます。
 こういった戦後最大級渇水の年では、すべてをダム・貯水池なり川の水、あるいは地下水で対応する、施設で対応するということは無理でございますので、危機管理的な考え方を入れましてユーザーの方にもいろいろ節水等の努力をお願いすると。あわせていろいろな水融通でございますとか水の運用によりまして、社会的な混乱、経済的な大きな被害を回避をしようという考え方をしてございます。 こういう形で、雨の降り方によって水の供給量が変わるという特性を評価しましてやってみたということでございます。ただ、ここでやっております安定供給量が雨の降り方によって変化するという部分につきましては、水資源賦存量がどう変化するか、その変化率でやったということでございまして、ある意味では非常に荒っぽい推算でございます。今回のフルプランにつきましては個別の具体の地域、水系の計画でございますので、このマクロの数字とは違ったものになるということでございますが、いずれにしましてもより精査をしまして水系の特性を反映したものにしていく必要があるというふうに考えてございます。 都市用水につきましてはこういう状況でございますが、表−4の農業用水につきましても同じような、同じようといいますか、ここでは農業用水につきましては10分の1程度の渇水の年でどうかということで見てございます。農業用水につきましては現況、将来ともほぼバランスをしている、若干マイナスのパーセントは立っておりますけれども、ほぼバランスをしているという状況でございます。 32ページでございますけれども、「水の環境の保全と整備」というところで文章でございますが書いてございます。健全な水循環系の確立に向けてということで、水の持つさまざまな多面的な機能を発揮するということで、豊かな生態系をはぐくむ機能ですとか、景観等の良好な水辺空間の形成を通じて人々に安らぎを与える機能等、こういったものを充実させていこうということでございます。こういった側面もフルプランを考える上で入れていければというふうに考えてございます。ただフルプランそのものが非常に施設計画に近い部分がございますので、個別の計画としてどこまで書き込めるかというところがございますが、こういう面も考えに入れていきたいということでございます。
 最後のページでございますが、「水文化の回復と育成」というところでございますが、これにつきましても水と人とのつながりを再認識いたしまして水を大切にする意識をはぐくむと。また上下流の連携といったものも従来以上にきちんとやっていく必要があるということでございます。そういった面も考えていきたいという趣旨で書いてございます。
 以上、ちょっとはしょった説明で恐縮でございますが、全般的な状況の御説明とウォータープラン21で考えておりますさまざまな課題ということで御説明をさせていただきました。
○部会長 どうもありがとうございました。 今の資料の御説明、日本の現状と現在水資源を取り巻く状況の変化、ウォータープラン21についての御説明だったのですが、最後にお話のあったこと、というのはこういうのをバックにして7水系についてのプランをつくるというときに、つまり今のような広い視野でどこまでやるかというのがここでの議論だと思うのですが、従来の7水系のプランというのはまさに施設計画、需給バランスをとるための施設計画だったと。それをとにかくそうではない広げた議論にしたいというのが、恐らくここでの議論になるのだけれども、どこまでやるかというのが恐らくですね、文化面まで書くのかという、そこまで一貫して各水系で施設計画からいろいろな運用の話から環境までできればいいのだけれども、これからの議論というのは、限られた1年ぐらいの間にどこまでそういう視野のものでやっていけるかというのが我々のこの部会の議論の中心だと考えてよろしいのですか。調査企画部会の役割と今の説明との関係を少し整理していただいてから議論した方がいいと思ったので。
○事務局 調査企画部会の方で私どもの方としましてぜひ御議論いただきたいと思っておりますのは、先ほどいろいろと私どもとしていろいろな課題があるという御説明をさせていただきましたが、幅広く御議論をいただければと思っております。ただ、水資源開発基本計画につきましてはやはり水資源開発促進法という一つの枠の中で、特に閣議決定いたします部分につきましてはかなり性格づけがはっきりしてございますので、そういった部分でどう書くかということはまたこれは私ども行政サイドとしましていろいろまた考えていかないといけないと思っておりますが、単純にある閣議決定された部分だけの計画ということでなく、ほかにもいろいろ実際に事業を進めていく、あるいは施策を進めていく上でもそのほかの要素もございますし、またフルプランそのものの書きぶりも場合によればまた変わっていくということもあると思いますので、まずは広いところで御議論をいただければというふうに思っております。
○部会長 それでは、ただいまの資料の御説明に、分けて議論をしなくてもいいと思いますので、全体を通して御質問なり御意見をいただければと思います。
○委員 今のやりとりとの関連でちょっと確認しておきたいのですが、水資源開発促進法自体を見直して、その枠自体も見直してやっていくというつもりはないということですね、今のお話は。現行の促進法を前提にして、その枠内でいろいろな要素を盛り込めるところは盛り込んでいくと、こういうふうに理解してよろしいですか。
○事務局 先ほど私の方でお話ししました趣旨はそういうことでございます。ただ法律の解釈あるいは運用面でも、新しい課題が出てきていることは間違いございませんので、最大限対応できるところは対応していきたいというふうに思っております。
○部会長 そういう意味では恐らく過渡期の議論だと思うのですね。将来はそういうことを見ておられるだろうし。
○委員 今の部会長の発言と関連するのですが、この委員会では何回ぐらい予定しておられて、いつごろ結論を出さなければいけないか、そんなことを初めに教えておいていただきますと、第1回は拡散した議論でもいいのでしょうが、最後にはちゃんと落としどころを決めないといけないのではないかと思いますので、ちょっとわかっていましたらお教えいただきたいと思います。
○事務局 これは私どもの方でのある意味では勝手な思いでございますが、いろいろ部会の方で御審議いただくことでございますが、私どもとしましては、数回程度いろいろ議論いただきまして、夏場、概算要求の前までに一つの方向性を出していただけるとありがたいと思っております。といいますのは、今回フルプランといいますのは、予算要求ともリンクをしてくることが考えられますので、そういうものに反映をさせていくということでいきますと、6月とかそういった段階で夏場の前ということにもなるかもわかりませんが、一つの方向を出していただければというふうに思っております。
○委員 今のお話で、水供給の安全度のお話がちょっとありましたが、10年に1回とか、従来からそういう慣習的にそういうのを使ってきたというお話だったのだけれども、確かに昔といいますか、10年に1回というので10年に1回程度発生する渇水をということで考えてきたことは事実ですが、その辺の根拠がはっきりしてないのです。あのころは非常に水の使い方もルーズでありましたし、かなり余裕もあったような使い方をしていましたので、これはそんなことで10年に1回ということで大体言ったのだろうと私は思っておりますが、今部会長からも御指摘がありましたとおり、これから水質も含めて環境の問題もこれあり、いろいろな問題が随分入ってきて、なおかつ地下水もそれに入ってきて、かなり水の使い方を厳密に考えていかなければいかんということになってきますと、それの供給の安全度、従来のような考え方でいいかということが一つありまして、その辺をもうちょっと何か理屈でできるような、広い意味から考えるとやっぱり10年でいいのだとか、あるいはもうちょっこれは上げるべきだとか、そういうことも少し要るのではないですか。
○部会長 水の融通とかそういうことも含めての議論にしなければいかんので、当然そのフルプランの中に入れるかことができるかどうかというのがあるだろうと思うのですけれども。
○事務局 実はその安全度そのものの議論をどうするかということにつきましては、ウォータープラン21を私どもの内部で検討するときにも議論にはなりまして、先ほどちょっと御説明いたしました29ページのところでございますが、持続的水利用システムの構築ということでいろいろ書いてございます。第3パラグラフのところで「水利用の安定性の目標水準は」ということで書いてございますが、ここで少なくともということで書いておりますことはそういう趣旨がちょっと入っておるのでございますが、ただ現状、また各地域の実情を見まして10年に一度の安定性も確保できていないというのが実態かと思いますが、そういう状況の中でいきなりそれを超えたものまでというのはちょっとこれも現実を離れた形になりますので、まずは10年に一遍程度のものまできちんとやったらどうかというのがこの考え方でございます。ただ地域によりましてはもっと高い水準というのもこれは当然考えられるかもわかりませんが、今の段階としてはここで書いてございます、少なくともという言い方で整理をいたしてございます。ただ、課題としましては私どももこれは大きなものということでは認識してございます。
○部会長 さっき、19ページのそれを頻度との関係では必ずしもおっしゃらなかったような気がして。10年に1回がどれぐらいになっているというのは。この図は今の計画論と結びつけると、これは2番目だから、3,345億m/年が一応10年に1回ならこういう値だと。
○事務局 過去の10年に一遍程度でございます。
○部会長 これが計画を立てた当時の状況だったのが、現状ではこれが5回とか6回起こっているわけね。5番とか6番になっている。
○事務局 ほぼ同じ数字で横にずらしていただきますと3,267億m/年という数字がございますが、これが4年に1回。
○部会長 4年に1回ですよね。それより大きいのだから3年、4年に1回に、十分の一が三、四分の一になっているというのが現状だという認識で、これは全国平均で粗い話だけれども、雨のことから言えば。それはひどいので、まずは十分の一までというのがさっきの説明だというふうに思います。おっしゃる議論はぜひやるべきだと思うのですね、安全性の議論は。水質も含めてね。それがフルプランまでにできるかどうかというのはちょっと大変だと思いますが。そういう目は入れておいた方がいいかと思うのです。
○事務局 先ほどお話しましたように、安全度というのは供給サイドの安全度はある程度これは雨の降り方とかダムの器の大きさとか、そういう問題で決まってくることですから、これは工学的にといいますか、データさえきちっとやっていけばある程度押さえることができるのですね。安全度が30年に1回ならこのぐらい、10年に1回ならこのぐらいと、これはある程度押さえることができるのですが、もう一方の供給の方も先ほど申しましたようにふわふわしたものですから、本当の意味での市民生活レベルでの安全度ということになりますと、大変取り扱いが難しい問題になってくるわけです、この問題は。やはり今後はそういう問題を少なくともやらなければいけないかなと思っているのは、今そういうことなのですよということをきちっと世の中に訴えていくと。そういうものの中から私たちとしてはこういう政策を考えましたということを説明をしていくということが大事なのだろうと。今まで全部それを伏せて追いかけている時代はそれでよかったのですが、より長期的には先ほど言いましたような長期的な雨が減ってくるというような問題もありますし、人口の問題といろいろな問題がございますので、その辺を全部踏まえて物事をできるだけ取り入れて、世の中に説明していくということが必要なのではなかろうかと、こんな考え方でございます。
○部会長 初めてこれは今回、さっきの実力が下がったというのを分析されたので言わせてもらえば、その前までは要するに計画レベルだけで、2000年の初めには需給はバランスすると国土庁は言っていたのだから、そうするとある意味では役所の実態を無視した話をしていたというか、失礼になるけれども、だからそれを実態も含めての議論にするというのは初めてだと思いますが。○委員 それぞれの水需給の利水データがございますね。注のところにいろいろな注釈があるわけですけれども、これを見るとそれぞれの所管する役所でそれぞれの水のデータの管理をやっておられるということなのですけれども、全体として国土庁が総括されていると思ったのですが、そうではないようですね。本来全体の管理は国土庁でやるべきで、ここの水の管理もやっておられる国土庁がそういうデータを全部集めるシステムが要るのではないかという感じがするので、それがない感じがちょっとします。 それから、今後の予測の中で問題は農業用水ですね、これは非常に格差が大きいわけですけれども、これの実績のつかみ方というのがどうもよくわからんと。推計が入っておると。実際、取水量段階でもちろん把握されているわけですけれども、何となく耕地面積が減りながら増えているというのは適切な利用がされていないのではないかという、ちょっとそういうことを感じるわけですけれども、その辺の解明が若干欲しいなという感じがするのです。 それともう一つは、将来予測に関連するのですが、工業用水がバブル以後余り伸びていないというのは当然なのですが、これをどういうように評価するか。要するにバブル後の10年間、産業が停滞したわけですが、このときに本来順調に伸びていたらちょっと伸び率の予測もできるわけですが、それが若干停滞してそのまま水の需要が、もちろん将来の産業構造も変わってくるわけですから、過去のデータを評価する場合に若干その辺が気になるのではないかという気がするわけです。
○事務局 1番目の基礎データの関係でございますが、これにつきましては水道用水でございますと水道統計という非常にしっかりしたデータがございますし、工業用水の方は工業統計の中での用水編というのがございまして、そういったデータをもとに国土庁としてまとめているという形でございます。 ただ、やはりそれぞれの水道統計なり工業統計、それぞれ目的によってやっておりますので、水の全体像をつかむという意味ではかなり加工しないといけない部分がございます。例えば工業用水でいきますと従業員数30人以上しかデータがないとかそういうことがございまして、全体をつかむためにはもっとそれ以下のところも推計しないといけないとか、あるいは水道用水の方から工業用途にいっている部分もございまして、そういうものをうまくダブルカウントしないような形で整理するとか、そういった部分で一定の精度をそろえる、あるいは一つの同じ見方でデータを整理するということで国土庁で整理しておりまして、そういうものは「水資源白書」、きょうお手元に置いておりますけれども、そういう形で整理しているということでございます。 そういう意味で、国土庁で全部やっているわけではございませんが、各種の非常に基礎的かつ長期的なデータをもとに、できるだけ一つのそろった形になるような形で整理をしているという状況でございます。 それから農業用水の方でございますが、先ほど推計ということを申し上げましたデータとしまして12ページのところのデータでございますが、実際の国土庁の方で推計しておりますやり方としましては、例えば水田ということで申し上げますと、各地域ごとの水田1ha当たり1日どのぐらい水を使うだろうかということを、これはデータがございますので、これあたりにつきましては農水省さんの御協力もいただきながら水の必要量というものを計算をしているという形でございます。 耕地面積が減っているのに使用水量が減っていないのではないかというお話でございますが、これは要素としましては幾つかございまして、一つは農業用水としまして田んぼに今水をかけるために水路に一定の水位が確保されていないと水がかからないということでございますので、一定の水田の区画の中で一部分が減ったとしましても直ちに水の需要は減らないという形はございます。
 それと、ここにもちょっと書いてございますが、文章中の2行目の後半からでございますが、水田利用の高度化ですとか、生産性向上のための水田の汎用化に伴う単位用水量の増加ということでございまして、これは農地の整備をいたしまして汎用田化等をいたしますと、むしろ単位面積当たりヘクタール当たりの水の量、減水深というものがふえるということも事情としてございます。そういうことでこういった整備の仕方でいきますと、水量的に必ずしも耕地面積の減少に見合った変化ではないという状況がございます。計算としましてはそういうことを一応織り込んだ形で推算はしてございます。 今後どういう形でやるかということでございますが、農業用水につきましてまたフルプランとしての評価の仕方なりフルプランにどう書き込むかということにつきましては、また引き続きこれは検討していきたいと思っております。 あと工業用水につきまして、ここ10年、バブル後の経済の不調ということがどう反映するかということでございます。このあたりも実はこれからの課題でございます。私どもとしましては、関係の県のそれぞれの地域での将来像といいますか、そういったものも参考にさせていただきまして、国土庁としての数字というものを積み上げていく予定でございます。先ほど言われましたような点もまた十分これは考えていくべきではないかと思っております。
○委員 私も似たようなことなのですが、「需要実態を踏まえて」というくだりがどこかにあったと思うのですが、これは今の話でどういうふうにして需要実態を押さえられるおつもりかということを伺いたかったのです。今のお話のように工業用水と都市用水、生活用水ですか、これは割合押さえやすいのですが、農業用水というのは本当に押さえにくいので、どのレベルでどんなふうにして押さえられるようにお考えになっているか。これはやはりいつまでもわからないということでは困りますので、ここに書いてあるように何らかの方法で押さえていただくということには大賛成でございますので、それをお考えいただければありがたいと思いますが、先ほどのお話で6月までにある程度の答えを出したいというようなお考えですので、それとの整合性はどうなるかというようなことをちょっと心配しています。 それから、農業用水が、これは600 億m/年もあって、これはどなたも早く発言したいと思っておっしゃっているのですけれども、農業関係に遠慮しておっしゃらないのだと思いますが、農業用水の一番大きな特徴は、循環利用というか反復利用なのですね。それで本当に農業用水でなくなる水、消費する水というのは水田面積×蒸発量だと思うのです。仮に蒸発量を5oぐらいだとしますと、灌漑期間というのは100 日ぐらいですから、それに300 万haを掛けますと実は150 億m/年にしかならないのですね。これを今600 億m/年と書いてありますから、ミニマムだったら私は大体4分の1だと思うのです、本当に農業用水に使っているのは。しかし、それだけでは足りませんで、水田というのは大河川の下流域に展開していますから、そこで使用水としてその蒸発以外に直接海へ出てしまうとか、地下水でもぐって出てしまうというのも入れますと、これが実はわからないものですから農業用水はどれだけ使っているかわからない、こういう話につながってくると思うのですが、それを仮に5oぐらい、蒸発とイーブンと考えますと大体300 億m/年ぐらいですね。ですから、本当に使っている水というのは150 億m/年から300 億m/年の間で、非常にアローワンスはありますけれども、実はそれくらいだろうと思っています。
 私、本当に昔なのですけれども、荒川水系の中川水系という7万haくらいのところで調査されたことを手伝った例があるのですが、全体では大体単位面積当たり20oぐらい、個別の取水量を全部サムアップしますと20o〜50oぐらいの水を使っているのです。ところが、実際にその水を収支して、入るのと出るのと差し引きしますと7oぐらいになってしまう。大体三分の一ですね。ですから、そういうふうに農業用水も実は工業用水の例のように補給水はどれだけかと、純消費量はどれだけか、こんな分析まで持っていっていただけると非常に透明度が高くなって皆さんの理解も得やすいのではないかと、そんなふうに思いますので、意見と質問と両方なのですが。
○事務局 需要想定をどういうふうにするのかでも需要の実態を踏まえてという部分をどうするのかという御質問がございますが、確かに農業用水につきましては基礎的なデータが非常に不足しているという状況でございます。私も実は非常にそこは悩んでいるところでございます。全部の農地の状況といいますと、これは実態的にデータもないということだと思いますので難しいと思うのですが、ただ幹線といいますか、主要な部分につきましてはやはりデータのあるところもございますので、そういったところからきちんとデータを押さえていくということも大事だと思っております。そのあたりはまた農水省さんの御協力もいただきながらこれは進めていく必要があると思っております。 先ほどの6月との関係でございますが、6月までに数字が出るということではございませんで、6月段階ではこの部会としましてこういう点が大事だとか、こういう方向で各水系の具体の計画をつくるのがいいのではないかとかそういうことをまとめていただければという趣旨でございますので、6月に数字が出るという趣旨ではございません。それはその次のステップの作業ということで思っております。 それと反復利用という形態が特徴的だというお話がございました。これはまさにそのとおりでございます。先ほど健全な水循環ということでそういった考えがベースだというお話をいたしました。そういった中で実態をつかむ上でも当然農業用水としてどこに水が行き、またどこへ返っているという、そういうことをつかむというのがベースだと思います。ただ、フルプランという形でどこまで書き込めるかというのが一つございますけれども、少なくとも方向としましては実態をできるだけ反映させる方向で考えていきたいと思っております。
○部会長 恐らくフルプランでできることと、もうちょっと将来を見てこうあるべきだという議論の両方あって。
○事務局 最初からそう言ってしまってはよろしくないのかもわかりませんが、長期的に考えるべきところもやはりあると思います。あるいは今後のデータの蓄積なり調査研究を積み重ねて解決していくという形で整理するという部分もあろうかと思います。
○部会長 そういうときには、議論にはタブーがないような気がするので、農業用水がブラックボックスであるためにいろいろな疑惑とかを持たれるわけで、農業とか農村として、地域要素も必要なのだし、恐らくわからないわからないというのが、わかりたくなくてわからないのか本当にわからないのかというのがあって、ただ今のように地球的なレベルでいろいろな計測して評価するという時代ですし、やはりわかるような努力をすればある程度わかるのですね。わかったことをもとにして、恐らく農業をつぶそうなんていう議論は今はあるはずはないし、恐らくこれからの政策は自給率を上げるというのはかなり国民的合意が得られる問題だし、それがわからないためにいろいろな疑惑があると。もっと必要だと言ってもいいと思うのですよ。地域によっては地域用水を含めたら必要だということが出てくるかわからない。ブラックボックスが悪いのだから、ここをぜひわかるようにするというのが非常に重要で、そうでないと健全な水循環は抽象論になってしまうので、健全な水循環系というと、まさに実態をちゃんとつかんで何が好ましい姿かというのをやっていこうということなので、ぜひそういう方向で、それは農水だけではないのですけれども、それを共通の考え方にしているというのはそこに一つの意味があると思いますので。 例えば6ページの全国の図がありますね、水循環の一応大まかな図だけれども。これだっていろいろな推定値が入っているのだけれども、各水系でできればこういうものをつくるという努力をしていただければ、さっきの数表のようなものだけではなくて。実は基本問題研究会で幾つかの水系でやろうとしたのです。なかなかそのとき難しかった、完全にできるとは思わないけれども。こういうものをつくる過程でどこが抜けているとか、どういう調査が必要だというようなことがよりはっきりするので、それから恐らくこういうものがますますアカウンタビリティというか、皆さんにわかりやすく説明できるということが必要になってくるので、精度は別にしてこういうものをつくる努力をぜひ7水系でやっていただければと思いますけれども。○委員 私も群馬県で水源地域に住んでいるわけですが、最近いわゆるダム不要論といいますか、そういうものもぼつぼつ聞こえているわけです。そのダム不要論の根拠というのは大体環境破壊だという理屈が多いわけですが、特に今言った需要・供給の根拠にしている議論は非常に少ないのですが、今回フルプランをつくるに当たってやはり、今も意見が出ていたわけですが、はっきりした基礎資料もないですね。それから算出方法、原単位、この辺を明らかにしていかないといけないのではないかという気がしています。今の生活用水なんかですと323?/人・日とか、あるいは工業用水の補給水が123 億m/年とか、いろいろ数字が現況は出ているわけですが、それを将来どういう具合に持っていくかと、この辺を明らかにして納得いく説明をしないと、なかなかダム不要論なんかも消えてこない。そういう納得した数字で説明できればやはり必要なのだという議論になってくると思うのですね。ですから、その辺をしっかりして、その上に先ほど部長さんが言いましたけれども、ふわふわした部分というのは、それがあってその上のふわふわした部分にどう対応するかというものにしていく必要があるだろうという気がしますので、ぜひその辺もフルプランの中で説明できるようなものにしていただきたいというふうに思っています。意見ですが。○委員 余り先走ってあれですが、余りにも実務的かもしれないのですが、安全率を上げる、安定度を上げるということになると、例えば今のフルプランの中に入っている開発施設等についても開発容量を上げるとか、開発水量をちょっと下げないと、同じ水域についてですね、こんな問題が起きるような気がするのですが、そこらあたりまで踏み込んでやらないとだめなのでしょうか。
○事務局 実態としまして、第1点としまして、どういう計画がいいのかということを見ていくということになろうかと思います。開発水量という形でそれぞれのダムに使用権なりが設定されておりますので、そういう権利性というものはやはり尊重しないといけないだろうというふうに思っておるわけですが、一方でその権利がある。ただ、一方で雨の降り方等の変化によりまして今時点で見るともし安定的な供給量が減っているということであれば、そのあたりを計画としてどう見るのか、そこが大きな課題かと思っております。 ただ、一つの見方としましては、先ほどウォータープラン21のところで御説明しましたが、場面別といいますか、雨がそこそこ降ればこの程度、10年に一遍、10年第1位程度の厳しさだとこの程度、もっと厳しくなるとどうだろうかという、そういう評価が一つの見方かなと思っております。 もう一つは、あとはそれをどういう形でフルプランなり書いていくのかということにつきましては、先ほどの従来の積み上げ、権利性の議論もありますので、そのあたり十分考えながらこれは関係の省庁とも相談していきたいと思っております。
○委員 先ほど事務局がおっしゃったように、需要の方がふわふわしているという話でございますが、確かに需要の方が今までと違った動きをしております。ほとんどの水道はどっちかというと売れなくて困っている。この豊水期に売れなくて困っているのですね。工業用水道は責任水量制ですから水量は下がらないですが、実は下がっていて、実水量も少し少ないはずであります。しかし、それは平常時のことなのですね。平常時は確かに余っているのですが、みんな恐れているのは渇水なのです。きょうも渇水の話が出ているわけですが、渇水と同時に洪水も多発しているわけですね。渇水と洪水が交互に来ているような感じが今しているわけですが、いつぞやの水資源の開発部会でも申し上げたのですけれども、先ほど明治30年からの話がありましたが、30年から10年ごとに区切って、その10年間の最大と最小の比をとっていくと、大体1.2 か1.3 ぐらいなのですね。ところが昭和の最後の10年が1.4 〜1.5 になって、平成に入った10年が1.6 幾つになって、この次の10年は1.8 ぐらいになりそうですね。そのような様相なのですね。だんだん最大と最小の比がどんどん大きくなっているのです。ですから、今渇水の話で利水の話が主になっていますけれども、やはり利水だけではなくて治水の話もしてこなければならない。 それで、私が申し上げたいのは、ダムの用途は大体どのダムも多目的ダムで利水も治水もするというダムになっているのですが、あれはどうでしょうか、一遍シャッフルしてこのダムは治水専用にする、このダムは利水専用にするというふうにすると目的がはっきりして、両方に対応できるような気がするのですね、相当乱暴な意見ですけれども。余りに全部が全部多目的なものだから、どれもどの目的も達成できないというような感じになっているような気がするのですね。今はもう相当たくさんのダムができたわけですから、一つや二つのときにはそういう多目的にしなければならなかったでしょうけれども、利根川にもたくさんぶら下がっているわけですから、分けて考えるようなことも少し検討の対象にしていただければいかがかと思っております。 それから、運用ですけれども、我々が学校でダムの講義をして教えるときは、1年間をタームにして1年のこのときに満水になってやるとかいってリップル法などというのを教えるのですけれども、今の雨の降り方を見ると少なくとも2年単位でダムの運用を考えないといけないような気がしています。両方あわせてダムの運用を少しうまくするというような、平板的な言い方をしますとそういうことになりますけれども。
○部会長 何かそういう動きは。
○事務局 今の時点でこういう形をやりますということではございませんが、大変重要な御指摘だと思いますし、それぞれのダムの役割というものを流域の特性とかを含めましてもう一遍見直してみるということは大事なことだと思っておりますので、そのあたりも少しこれは検討を考えさせていただきたいと思っております。○部会長 予備放流が本当にできればいいけれど、予備放流的な柔軟な操作を利根川とか何かで試験的にやったでしょうか。それで2,000 万トンぐらい容量があいたとかという、そういうことは。○事務局 今先生からお話があった専用のダムという話ですね、要はあえてそういうことまで含めてダムをいろいろな意味で効率的に使うということを研究してみたらどうかと、こういうふうに受けとめさせていただいて、これは直接やっておりますのは、主として建設省の方でございますので、きょうは来ていると思いますけれども、農水省もそれぞれ各省、利水の方も来ていますから、先生のお話はそういった意味でまた受けとめておきたいと思います。
 今先生からもお話がございましたように、ダムはいろいろな見直しをしてきております。それから経年貯留というか2年で貯めるというお話がございましたけれども、事実上そういうふうにせざるを得ないダムもございます。それから普通のダムはそういう1年単位で洪水期、渇水期、水が要るとき要らないときを目指して運用していくのですが、ある特別なダムは基本的に水を通常の状態では使わない、ずうっと貯めておいて、大渇水が来たときだけ使う、何年も貯めておいて。基本的に貯めっぱなしにしておいて、そして本当の渇水が来たときだけ使うというのもあります。 部会長からあったお話は、洪水のときに多目的ダムの場合には夏場には治水容量としてある一定の量をわざわざ下げておくわけですね。ポケットをつくっておくわけです。そして洪水が来たらここを使うわけですけれども、そのときに今だんだん気象情報も随分しっかりしてきましたので、かなり雨の情報というのはわかるものですから、本当はこれ以上水は夏場は貯めてはいけないという量があってあけるのを義務づけているのですが、実際はちょっと水を貯めて利水に使っても、どう見ても今は南海上に台風は一つもないとかというようなことで、かなり確実にその容量を治水に臨機応変に振り替えることができるというふうに技術が進歩してまいりましたので、そういうような見直しもやっているということを多分先生は御紹介したらどうかということだったのではないかと思います。
○委員 いろいろとお話があったこととダブるかもしれませんが、私はこの調査企画部会が何をするのかと、そこからまずお話があったときにいろいろ考えながら、自分で勝手にあれこれ考えておったことは、やはりミレニアムではありませんけれども、2000年、21世紀を迎えてこういう長期的な見通しに立ってもう一つ水のことを新しく考えることもやるのかなと思ってみたり、それから昨今の吉野川を初めいろいろなことで住民のいろいろなああいう動きがありますが、このお話はさっきの御説明を聞いておると、例えばウォータープランを踏まえた、それで今年の概算要求前に、それまでに一応つまり来年の予算要求に向けての一応の考え方の仕切りをしたいというふうに御説明があったように聞いたのですけれども、それももちろん大事なことであるし、それを何も必要はないというふうには申しませんけれども、ここの場でなくても場合によってはいいのですけれども、いろいろなことを長期的な視点からあれこれ考えていただくことが、この水資源の場合によっては審議会の方にお願いしてよろしいと思いますけれども、そんなことを思います。 というのは、例えば今需要の話とか供給の見通しの話をいろいろ御説明がありました。過去四、五十年、あるいはもっと古く明治からの話もあってやりましたけれども、そのことについては大変、私は専門家ではありませんから別にあれですけれども、そのまま受けとめたいと思いますが、ただまず供給の方からいきますと、過去の何年かのいろいろなデータ、細かいデータを、しかも農・工・上水わけていろいろ御説明になりましたけれども、専門家ではありませんから勝手なことを言いますけれども、私の個人的な感覚では、世界の状況をいろいろ見ておりまして、熱波、寒波、渇水、冷害、いろいろなことが起こっていますね。エルニーニョだか何だかいろいろのことのそういう原因で、そういったことが昨今の厳しい状況というものに少し影響を与えているのであれば、御専門のお立場の方に少しその辺を踏まえてさっきから御説明あった供給の話に加えてそういう角度からのデータもちょっとというふうなことも思うのですけれども。 これがさっきの目標年次がたかだか10年、15年ぐらいのことの話だけで終わるのであれば、それはとりあえずは過去からの延長線上でもいいのかもしれない。従来こういう計画変更をやる場合には大体このやり方でやってきましたから、そこがもう少し変わった新しいことが出てくるかしらと思ったらそこが余り聞こえなくて、そんな受け取り方をしてしまったわけです。そういった過去のこういう分析が重要なことだと思います。だからそういう重要なことを踏まえながらも、そういった大きなところの検討がどこかで要るのかなと、背景が大きく変化していやせんかと、この辺はちょっと御専門の方にお願いしたい。 それから、今の2番目の住民の話でありますけれども、思いますのにさっき委員が言われましたダムの反対、不要論とかああいうふうなものを、アメリカさんが来てそういうお話も出たりしたことも承知しておりますが、今度の吉野川がどれだけああいうことを踏まえての話があったかどうかということもまた別の話でありますけれども、思いますのにやはり住民に対するPR、説明、こうしたことについては細かい積算や何かまでの説明は要らないかもしれませんけれども、もしこのダムとかそのほかいろいろな水源の施設ができなかった場合に、どういう事態が起こったことにそのことについて住民の皆さん方がどれだけ責任をとれるかということをあわせて、別におどかすつもりではないですけれども、いわゆる行政側の説明責任の一環としてやはりこういうことをやらないと、もしこういうことになったら結局責任は行政が負うのだけれども、こういった大地震にしろ大渇水にしろこういうことが起こって、10年に一遍ということであるならば、それは一応行政側の予算要求とかそういう目標として一応10年に一遍とかいう枠を置いてそれで要求する、これは従来からずうっとやってきたことですから、そのことについては一応の一つの技術ということで理解をいたしますけれども。 ただ思いますのに、ここまで言ってはいかんのかもしれませんけれども、最近の財政の非常に危機ですね、国、県、市町村を通じてどこにも余り金がない中で、国の予算要求を外から見ていますと、それこそ新幹線の要求からいろいろなことが出てくる中でダムがどれだけ進んでいくのか、こういうことになりますと、同じ建設省の流れの中でも道路も要求する、河川も要求する中で、水のことをどれだけなのかというふうなことも当然出てきましょうから、余り引っ込んで議論はできないのかもしれませんけれども、私が勝手に思いますのは、10年に一遍までは行政がこういうことをやれば、大体需給バランスをとって国民の安全をちゃんと確保できるぞよと、こういう説明をするやり方もありますけれども、しかし今の状況ではそれが確実にすぐできるというふうになかなか思わないから、場合によっては住民の側で10年に二、三遍、あるいは20年ならばもっと四、五遍までも、住民の側でもよしんば水があるなしでやれば、節水とかいろいろなことをして我慢もするから、少なくともここら辺までの状況までは、金との見合いもそれは予算要求の関係であるだろうけれども、その中でもってあれこれ仕事を進めてくれ、それが100 %でなくて例えば80%ということの要求であっても、ということがさっき概算要求という話とはちょっと矛盾するのですけれども、概算要求するならもっと勇ましいいろいろな計画をつくっていって、このとおりやらなければならんから金をくれと、こういう格好の持っていき方をすべきだと思いますが。ただ先をちょっと見てしまうと全然必要ないというわけでは私はございません、とりわけ徳山とか今既にかなりスタンバイされているものについてはどんどんやっていくべきだと思いますけれども、日本全国見渡して今後ダムサイトがたくさん残っているというふうにはなかなか思わないものですから、その辺のところは国民なり地域の住民によく理解を求めて、ここはこういうことでやらしてもらうけれども、今のところこういう遅々たるペースであればこういうふうなことでいざというときにこう困るぞよ。そのときにあなた方は我慢してくれるねという、そこら辺の働きかけ、これがこの部会のレポートにはなるかどうかその辺のところはちょっとわからないし、一番最初の我々の部会としての所掌範囲がどこまでなのかなということをちょっと疑問に思いながら話を伺っていたわけですけれどもね。そんなこともちょっと思いながら住民に働きかけて、住民もそこら辺の落としどころといいますか、さっきの受益と負担という関係のことを、住民にその辺については大まかに理解してもらわなければいかんのじゃなかろうかという思いもちょっと横で持っております。 あと一つは夢のような話ですけれども、さっきむちゃくちゃなということをおっしゃったから私もむちゃくちゃなことを一つ言いますと、やはり農、工、上と今まで分野がそれぞれ縦割りで来ました。建設省、厚生省、通産省、いろいろなところでやってきましたけれども、私がむちゃくちゃなというのは、例えば農業の畑がつぶれてそこが住宅地に変わるとか工業に変わるのであれば、水の使い方がそれだけ農業は恐らく減ってほかの水に使う。それが縦割りの中でなかなか行ったり来たりができぬわけですよね。それは歴史的ないろいろなことを踏まえていますし、通産省の取った予算を今度は急に厚生省の方で使うというふうなことでもなかなかそれはいけますまいから、そこの難しいところは承知でございますけれども、何だか使うという意味ではやはり水がここの地域にできたダムで生み出された水なのだから、その水をどのように使うかということはお互いの融通をきかせながら、広く言えば共用みたいな考え方ができないかなと。これは今一朝一夕にできるとは全然思いませんけれども、それこそ21世紀全体を通してとかその先まで通していくならば、少しそういうふうにしていかないと、やはりなけなしの水、なけなしの予算でもって水を一生懸命守りながら住民に供給しているという立場からいきますれば、何かそこら辺の議論もどこかで、政府の中のどこかわかりませんけれども、そういうこともやっていただけるといいなと、こんな思いもちょっとしながら勝手なことを申させていただきましたけれども。失礼いたしました。○部会長 問題点はそこにあるのですけれども。
○事務局 今おっしゃったお話は、随分遠慮されて乱暴なことを言っていますというお話をされましたけれども、決してそういうふうに私どもは聞きませんでした。それぞれ一々全部は申し上げませんけれども、大変ごもっともな内容が含まれていて、私どももいろいろなことを考えておりますが、ごもっともな内容だったように思います。 それから、冒頭に概算要求の話がございましたけれども、要は概算要求というのは何か施設を要求するからそれに合わせるとかそういう意味ではございませんで、いろいろ議論する中で必要な新しい政策というのが出てくる可能性がある、そういうものをひょっとしたら場合によったら概算要求に盛り込めるものは盛り込んでいく。今ちょっと具体的にはあえて申し上げませんが、そういうことがあり得るので、一応のターゲットとしてそれまでにある程度の取りまとめをいただけるとありがたいという意味で申し上げているわけでございまして、何かすごく目先のことを考えて焦っているというそういう意味ではございません。 それから、我慢したらという話がございましたけれども、これも私、最初に冒頭に申し上げましたけれども、水の循環という視点から物事を見ていくと、人間がいろいろかかわっているわけですよね。水を使う、洗濯する、水を飲む、トイレを使う、それも水にかかわっているわけですけれども、そういう行為一つ一つについてみんなが水というものにかかわっているということをみんなが広く認識して、行政も企業も個人にもなるのですけれども、行政も国も地方も全部ですけれども、そういうところで認識して大事な水というものをどう守っていくのかということを考えることが必要なのではないかと。 当然その中には我慢するという、これは節水という意味もありますけれども、これは大変重要な選択肢であり得るわけです。何でもかんでもそういういらっしゃいいらっしゃいでそれを施設計画に結びつけて莫大なお金を使う、これは必要なものは絶対必要なわけでございますけれども、全部そういうふうに物づくりということに受けとめてしまうのではなくて、さまざまなハードもありますし、別の方法のハードもあるかもしれません。あるいはソフトもあります。そういったものを総動員して水の問題を考えていこうということでございます。全部のお答えにはなっていないと思いますが。 説明責任とおっしゃった部分も全くそのとおりでございまして、私どもは今まではわりかし、これはこれでよかったと思うのですが、行政がある程度責任を持って、そしてどこからも間違いないものをつくっていくということで、むしろ余りそういうことをべらべら説明するというのをよしとしないみたいなところもあったような気もするのですが、やはりこれからはそういうことではなくて、きちっとこういう考え方、こういう資料、こういう考え方に基づいてこういう政策を私どもは提案しましたと。審議会にも諮ってこういうことで御意見をいただいてそういうふうにやりましたと。それをきちっと説明していくということがやはり何よりも大事だろうと思っております。 したがって、今回のこの審議会の資料も、先ほど部会長の方から審議会の資料の公表のお話がございましたけれども、節目節目で、インターネットを使って広報していくとか、いろいろな形をこれからまた考えていきたいと思っておりますが、基本的に公表しながら、世の中の反応を見ながら事を進めていきたいと、このように思っております。
○委員 もうちょっとつけ加えますと、最後の33ページあたりでも文化の話ということで節水意識の向上が書いてあり、それから五、六行目に「水環境の改善に対する住民の参加」という言葉も入っています。こういうふうなことが今のような、言葉だけで言うとおっしゃるとおりなのですけれども、とかく今までの行政の進め方というのは、私もその一人ではあったわけですけれども、住民の側はともかく水が欲しい、欲しい、いろいろなことを言っている。どこからどういう水が来るのかということをよくわからんまでもそういう要望がいろいろあるのを、行政としてはベテランでありプロであって、言われようが言われまいがこっちの責任においてしっかり計画をつくって予算を取ってそういう仕事を進めてきて、だから逆に間に合わなければおしかりも受けることもあったのですけれども、そういうふうな格好の流れであったように思うのですけれども、これからは行政が100%いつでも、どんなことが起こっても、少なくとも100 点に近いような対応をいつでも身構えてやらなければならんということではなくて、私の言い方が間違っていたらまたそれはごめんなさい、謝りますが、そういうことではなくて住民の側にもこの金のない御時世にと、あるいは自然環境とかいろいろなほかの守るべきそういうふうなものがありながら、それとのバランスをだれかがしっかり説明できるような格好のものを横に持ちながら、だからとりあえず当面のところは10年に一遍と、例えば予算的にはそういうふうなことの積算の根拠でも進んでいくけれども、今当面のダムの整備状況、河川の整備状況、こういうふうなものについては、10年によしんば1〜2回、我々は大変渇水で我慢しなければならない側面が出てこようとも、あるいは渇水の我慢ばかりではなくて今の治水の、吉野川は恐らく治水の方の話が大きいかもしれませんけれども、洪水が起こったらどうするのだとか、そういうことについて住民が責任をとらんのではないか。そこら辺のバランスの問題もいろいろあるのでしょうけれども、行政はこういう考え方でここまでやっておるのだと。そこら辺がやはり説明不十分なためにちょっとぎくしゃくがあっているようにも受けとめています。当たっていないかもしれませんよ。吉野はそんなに専門家ではないですから。そんなことを思いながら……。
○部会長 私も言いたいことはいっぱいあるのですが、今まで御発言いただいていない方、何か御発言を。
○委員 私がここ数年特に感じるのは、やはり雨の降り方にむらが非常にあるなと思います。去年も練馬区のあたりは100 o、2回降っているのですが、余り町中で降る雨は多分流れていってしまうのでこの水資源の活用には関係ないのかもしれないのですが、雨が降ったとしても必ずしもダムにたまるわけでもないので、降水量が平年並みといってもダムの水も平年並みとは限らないですし、すごく雨の降り方の不安定さはここ10年ぐらいは確かにはっきりしてきていると思います。 あとは先ほどから農業用水の話で思っていたので、全然関係ないのですが、田んぼとか土の上に水をかけまして、それは確かに水を使っているのですけれども、それでその場の環境をつくっている場合もありますね、湿度を保つとか。だから使っている水が必ずしも使われているだけではない、という気もちょっとするのですけれども。
○部会長 だから水循環というのを出したのはまさにそうで、ダムによる供給だけではなくて、例えば今おっしゃった雨水利用も含めて視野に入れて、あるいは下水の処理水も資源的な価値はあるだろうと。だけどそういうのがどういう位置づけになるかというのを全体を見通して、それから下水処理水の再利用なんていうとすぐにはできないわけで、そういう体制もないし技術もないし。いろいろなものを見据えて水資源なら水資源を考えよう、治水は治水を考えようという思想ですから、そういう方向には実は行きつつあるわけです。
○委員 先ほどの概算要求の話にも関連するのですが、この部会の仕事は個々のフルプランの見直し改定をやるについての共通事項を議論すると、こういうふうになっていますね。本体の方の、個別の部会で恐らくやることになるのでしょうけれども、フルプランの改定についてはどういうふうなタイムスケジュールで今予定されているのだろうかというのをひとつお聞かせいただきたいなというふうに思いますのと同時に、先刻御承知の上での発言だったのだと思うのですけれども、農業用水の転用事例というのはいわゆる農業用水合理化事業その他である程度ございますが、一番どうも現場の悩みは、農業用水の場合はかなり季節性のある水なものですから、ところが都市用水の方は年間を通じてのものということで、なかなか需給が合致しないというところが一つどうもあるみたいですね。したがって、私は素人なりに思いますと、今度のフルプランの各水系別の議論を具体的にやる際に、どこで水が余っていないのか余っているのか、あるいは使えるのかどうかというやつを非常に具体的な議論としてやって一つにまとめていくという、そういう議論がこれから要るのではないかというふうに素人として思っています。もしわかればちょっと教えてください。
○事務局 今後のスケジュールということでございますが、これは私どもとしての現在時点での予定なり見積もりということで御承知願いたいわけでございますが、現行のフルプラン、お手元の資料でこのフルプラン、水資源開発基本計画の概要ということでコピーしたものがございます。これを見ていただきますと、現行計画というのが上から4行目にございまして、これが現行の計画を決定したときの時期でございます。計画目標年度というのがその下の下の行でございますが、これも御承知のとおりすべて需給を見る目途とする年度が平成12年度にそろっているということでございますので、私どもとしましては何とか平成12年度内に改定ができればと思っております。 この部会でその基本的な方向をいろいろ御議論いただきまして、方向がある程度まとまったということになりましたら、これは審議会の中の手順としましては恐らくそれを今度は審議会でまた議論いただいて、審議会としてそれでいいということになればそういう考え方で個別の水系の作業をすると。行政サイドの方ではその間いろいろまたデータの蓄積なりいろいろ関係機関、地元等との調整ということもございますけれども、そういった作業を進めながら並行してこちらの方での基本線を出していただいて具体的な形にしていきたいというふうに思っております。
○委員 年度内ということになれば、こっちの方がむしろ概算要求ぴったりなのですよね。個々の事業プロジェクトと関連しながらいくわけですから、個別のやつは。そうなってくると、いろいろな状況の変化を踏まえた議論もやらなければいかん。そういう意味ではかなり幅広い議論が必要には違いないけれども、一定の期間内にやれることとやれんこと、あるいはできることできないことがあるとすれば、長期的な検討課題として残すものと、それから今度のフルプランでここは十分注意しながやろうやということで生かしていくものとの仕分けをきちっとやった上で、私も実は部会長の一人なものですから、各部会に示してほしいなというふうに思います。以上です。
○部会長 そのとおりだと思います。その辺がどう整理できるかが大変なのですけれども。
○事務局 これは部会で御議論をぜひまたお願いいたします。
○部会長 それから、最後におっしゃったことは、部会でやると、つまり部会という事例を通してまた共通事項というのは最後に整理するような場が、次のフルプラン見直しだけではなくて、促進法でない水資源管理を含めた次のシステムをつくっていくときには非常に重要だから、そういう機会もということをおっしゃったような気がしたのですが。事前に共通項の議論はあるけれども、実際に7水系でやってみて、事例を通して原理原則を引き出すというようなプロセスが必要だと思いますね。それはもっと後の話ですからいいですが。
○委員 今の話と関連するのですが、質問と要望です。二つあります。 一つは、この部会は各水系に共通するものということで伺ったのですけれども、手法的にはどういう手法で需要を算出し供給計画を立てるかという基本的な考え方をここでまとめて各部会でそれぞれ計算するのか、あるいは全国マクロ的なものをつくって各水系部会はそれをブレークダウンするのか、手法的にどういう、この部会でやる役割というのは具体的にどのような内容なのかというのがちょっとまだ私はつかめきれていないので、それを一つ教えていただきたいということ。 もう一つは要望なのですが、19ページで先ほどの説明もありましたが、降雨量が過去10ヵ年間と比べて最近は減ってきているということで、これは確かに降水量なのですが、利水の安定性を議論するときには河川流量を100 %使っているわけではなくて、渇水年の中のまた渇水期間ですから、生起確率で十分の一と四分の一というこういうドラスティックな比較を見ますと大変だという気がしますけれども、もっと変化は緩いのだと思うのですね。そういうのを余り誤解を招かないような表現方法というか、そういったことも今後工夫して議論していく必要があるのではないかと思います。要するに渇水は1年中全部渇水ではないので、そういったことも少し踏まえた議論というのがあってしかるべきだと思うのですけれども。以上でございます。
○事務局 需要想定についての御質問でございますが、これにつきましては全国計のものが何かありましてそれをブレークダウンしていくということではなくて、各水系それぞれ地域の経済なり社会の特性がございますので、それぞれの地域での特性を生かしながら地域ごとにこれは算定するということになろうかと思います。ただそのときに、こういう要素は特に注意をして考えるべきだとか、そういう点の御指摘をこの部会でいただければ大変ありがたいというふうに思います。 それから、渇水年のところにつきましては、言われましたようにここでは年間の雨量という形で表示してございます。19ページのところはそういう形でございますので、もっとダムの補給というふうなことで考えますと数ヵ月とかそういう期間が問題になる、これはまさにそのとおりでございます。そういう意味でより実態に即した各水系ごとのダム等の運用等を含めましてどういう形になるのかという実態をきちんとお示しするということも必要かなと思っております。
○部会長 時間は一応4時ということで少し過ぎてしまったのですが、何かほかに御発言は。
○委員 一言いいですか。これは委員の皆様方の話を聞いていると、最後はここをどう処理するのかというのは、どうも一口で言うと環境倫理をどう考えるかというところに行くような気がするのですね。非常にこれは問題が大きくて、この委員会では多分手に余ると思いますけれども、何か考えておかないと、という気はするのですが、どんなものでしょうか。 例えば多面的機能と言いますけれども、今出ている話はもう人間中心の話ですね、少なくとも。ところがやはり生態系をどうするのかというようなことは、ちょろっとは書いてありますけれども、なかなかこれは具体的にはやりにくいし、これからこういう水資源開発に携わる人以外の人に対してアカウンタビリティを確保するということになると、実はそっちの方が多分重要になってくるような気がしまして、きょうは総論だというお話ですから、どこかでちょっと頭の隅にでも置いて考えていただけれは大変ありがたいなと。どこで折り合うかというのは、これは人によったり場所によったり随分違うと思うのです。やはり最後は環境倫理をどうするのか。なかなか説明できないですから、科学的には。やはり倫理の問題になってくると思いますね。そんなことをちょっと思いましたので。
○事務局 非常にこれは重たい御指摘でございますが、今私どもの方としまして健全な水循環ということを大きな課題として考えているわけでございますが、その中でもやはり人間のいろいろな活動と環境の問題をどういう形で調和をとっていくのか、両方ともうまくいくというのが一番いいわけでございますが、そういうことを考えながら健全な水循環という方を詰めていきたいと思っております。 ただ、先ほど環境倫理ということを言われましたけれども、これもなかなか、私も余り知識は十分ではないのですが、環境倫理の本なんかを見ておりましても、環境のとらえ方そのものがいろいろ見方があるようでございまして、それを本当に母なる自然というとらえ方の部分が非常に強いような気もいたしますし、もうちょっといろいろな厳しい側面もあるのかなという気もいたします。ただ、そこの議論まで入りますと多分幅が非常に広がってしまいます。そういうことも念頭に置きながらこれは考えていきたいと思っております。ぜひまたそれを御指導をお願いしたいと思っております。
○委員 いろいろ議論も出たのですけれども、例えば使用水量の推移がついていますね。これが1年間のトータルで出ているものだから、その中でさっきもお話ししましたけれども、渇水の期間というのは1年続けてあるわけではないので、ある渇水のときが問題になるのであって、トータルに直してしまいますと渇水以外に雨がたくさん降れば全然なかったような形になってしまうものですから、少しこの辺を皆さんにPRするためにはもうちょっと丁寧な説明をしなければいかんと。期間をもうちょっと切って考えるとかですね。 それから、さっきもちょっとお話がありましたけれども、平成6年に随分列島渇水があったのだけれども、これは地下水を大分使ったというようなお話も出ていましたけれども、そういうようなことを加味したような使用水量の推移にしておかないと、ちょっとよく皆さんにおわかりいただけないですね。
○部会長 どうもありがとうございました。 よろしいですか。それでは今いただいた御意見、一つだけ言わせてください。つまり国際的な視野とかそういうことが非常に問題になっているときで、そういう背景がここにあらわれているかというと、実はあらわれていないと私は思うわけです。例えば2ページの日本の特性をあらわすときに、ずうっと高橋裕先生の図を持ってきて、日本はほかの、これは大体大陸河川なのですが、大陸の環太平洋アルプス造山帯以外の川を選んできて「違う違う」と言ってきた。だけど我々がこれから東アジア、東南アジアと一緒に何かやっていこうよというときには、「ここと同じだよ」という視点が必要だと思う。むしろここにフィリッピンの川とかインドネシアの川とか韓国の川とか入れたら仲間なんですよね。そこはまた水不足地帯でもあるわけです。だからこれは欧米と違うということを言いたいのならそういうのも脱する時代だと思いますから、ここでどうのこうのという話はないですけれども。
 それから、もう少し今度はそういう活動を水の分野でもやろうという動きがあるわけで、ワールド・ウォーター・ビジョンのような議論の中では、まさに世界共通の議論としてフルプライシングのようなことを一つの柱にしようと。水に全部価格をつける。それがいろいろな節水のインセンティブにもなるし有効利用のインセンティブにもなる。そういう流れの中で、では日本はどうかという視点が必要で、さっきの農業用水の話も、別に農業用水を今価格、フルプライスなんて大変な議論が要ると思うけれども、それに耐えるような少なくともデータとか考え方の整理は必要だというような、つまり国際的な視野というのもそういう視野が背景にあるべきだと思いましたので。ちょっと抽象的ですが。 それでは、きょういただいた御議論を事務局と相談しながら、どういう視点でこの企画部会の議論をまとめるかというのも、できるかどうか非常に自信がないのですけれども、議論するポイントの整理をさせていただいて、できれば事前にお配りして、その論点の整理がいいかどうかということを伺えるかどうかわかりませんが、次までにはそこまではやって次の委員会に臨みたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 2)その他
○部会長 きょうはこれで会議は閉めたいと思いますが、その後の予定を含めて、事務局、どうぞ。
○事務局 どうも大変ありがとうございました。ちょっと事務的な御連絡で恐縮なのですが、委員の皆様方、大変お忙しい中でございますが、次回の部会をできましたら3月の末ないし4月上旬ぐらいに開きたいと思っております。今、日程調整の紙をお配りしておりますので、大変恐縮ですがこの場で御記入いただきまして、また御連絡させていただきたいと思います。 最後に部長の挨拶をお願いいたします。
○事務局 どうもありがとうございました。また部会長と相談しながら先ほどいただいた御指示を踏まえまして頑張っていきたいと思いますので、よろしく御指導のほどお願いいたします。
 5.閉  会 
○事務局 それでは、これをもちまして水資源開発審議会調査企画部会を閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。なお、この後簡単な議事概要を国土庁の方で公開させていただきますので、よろしくお願いをいたします。